○
渡部委員 この
請願は東京都の北区東京自由
病院内の五十三名によ
つてなされたものでありまする
請願の
要旨は
健康保險経済は破綻に瀕し、患者、医師及び
一般被
保險者の生活に深刻な影響を與えているにかかわらず、
政府はその根本的解決をしていない。また
外来結核患者は入院患者に比べて社会的保護を受ける機会がほとんどない
状態である。こういう理由に基いて七つほどの
請願の項目が述べられておるのであります。
第一が保健所における
健康保險の適用ということであります。これは
政府は結核の予防、診療等にあた
つて保健所を利用するよう呼びかけておるが、東京都内の保健所ではほとんど全部
健康保險被
保險者の診療を取扱
つていない。他の道府県においてはみな適用されておるにかかわらず、東京都のみが取扱わない
現状は、まつたく不合理であると言わなければならない。厚生省並びに東京都等は、最近に至り取扱う旨を言明してはおるが、これが実施にあた
つては、その隘路を完全に解消せられたいというのであります。
第二は
健康保險の
赤字を
全額国庫負担とし、
診療報酬及び傷病手当金をすみやかに支拂うこと、理由は
保險経済の破綻が
赤字と
なつて現われて、各種
給付金の支拂いが遅れておる、この
状態が続くならば
健康保險制度は以前のように死物化してしまう。同時にわが国の
社会保障制度全般にも重大な影響を與えることになるというのであります。
第三が制限診療を撤廃すること、理由は
昭和二十四年九月二十七日厚生省指針に基いてレントゲン写真の制限や
医療慣行に反する注射の制限等を行
つておるが、これは差別診療の第一歩であ
つて当然撤廃すべきものである。また結核に対する療養
期間二年は療養の
実情に適せず、三年に延長すべきであるというのであります。
第四が
保險料率の引上げに反対である。理由は
保險経済の
赤字を埋めるために現在の料率千分の五十五を千分の六十五に引上げるということであるが、これが実施されれば、わが国の
保險料率は世界最高のものと
なつて、低賃金に苦んでおるわが国の勤労者にと
つてはとうてい
負担し得ないものとなるからであるというのであります。
第五が
保險料に対する
所得税の撤廃、理由は社会
保障の建前から
保險料に税金をかけることは不当であるというのであります。
第六が医師の
保險診療に対しては免税すること、理由は現在医師の取扱
つておる診療はその七割が
健康保險被
保險者である。しかもそれに対する
課税は高率に過ぎる。たとえば大体三割ないし四割を利益と見て
課税する
実情であ
つて、これは他の営利事業と同一視すべきでなく、減税すべきであるというのであります。
第七が結核外来患者に対する療養加配米並びに栄養物資の配給であります。理由は
結核患者は現在
診療所に入院を
希望しても、申込み後半年ないし一年を要する
実情である。これらがやむなく外来患者と
なつておるのであ
つて、また
経済的、家庭的の事情により入院できない者もいる。
従つて外来患者は入院患者に比較して決して軽症者ということは断定できない。入院患者は現任一日百四十グラムの加配米があり、外来患者に比べて社会的保護を受けておる機会が多い。しかも入院患者の
病院給療は
健康保險診療の一部であ
つて個人
負担ではない。外来患者——退院した者も含むというわけでありますが、この外来患者は、結核の特質上長期の療養を必要とするにもかかわらず、何ら社会的な保護を受けていない。
従つて今後外来患者に対して、療養加配米並びに安い油脂、魚類などの栄養物資を配給せられたい。この配給は地域ごとの保健所、
病院等に登録することとすれば、配給方法の困難は解決するはずである。以上のような
要旨であります。