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瀬戸山委員 最後に
一つ、これは重要なことで、ほかの方からも
質疑があ
つたかと思いますが、第六章の
防火地域の問題であります。
防火地域についてはこれも各種の詳細な
制限規定がありますので、内容は申し上げません。そこで
防火地域を
指定したら——これも今日
防火地区というのがありますけれども、
関係の地方公共団体から申請して来て
指定するということにな
つております。そうして今後申請があ
つたらやられるつもりであろうと思いますが、問題はそれを
指定して、ここに書いてあるような
建物が一体建つかどうか、この
法律を
政府がみずから
立案し、しかもその
防火地区内にはこれこれの
建物をつくらなければならないということについて強力な
制限規定をいたしておるのであります。しかもそれでは各個人々々が、そういうふうに要請されておるところの耐火構造の
建築物ができるかというと、それはできない。私から説明するまでもないことでありますか、大正十一年から東京都にはいわゆる甲種
防火地区というものが設定されておるそうでありますが、その面積九十三万坪のうち約十二万坪の耐火
建築ができておる。大体一四%という数字になるそうであります。それから北海道の函館が昭和九年の大
火災後にやはり甲種
防火地区を設定いたしたところが、今日までそこに幾つ耐火
建築ができたかというと、た
つた二棟であります。こういう実情であります。今日までもやはり
防火地区には御
承知の
通り市街地建築物法の付属法令によ
つて詳細な厳格な耐火
建築の
規定がある、それにもかかわらず今日までかような状態であります。これが日本の姿であります。ところが今日まで——方において
法律をつく
つたが、家はできておらない。やはり
木造建築が軒を並べて建
つておるというのが実情であります。それはとういうわけかというと、
市街地建築物法施行規則の第百三十五條の二に「
都道府県知事ハ
防火地区内ニ在ル
建築物ニシテ一時ノ使用ニ供スルモノニ付第百十九條乃至第百三十五條ノ
規定ニ拘ラス必要ナル
命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得」、この第百十九條ないし第百三十五條というのがちようどこの
基準法案に盛られておるような強力な
制限規定であります。そういうりつぱな
趣旨の
規定ができておる反面に、こういう緩和の
規定がある。これは日本の実情には適しておる
規定であります。いかに耐火構造をやれと言
つても、さて各個人にはできない。そこでしかたがないから実情に沿うたと申しますか、一歩退歩した
規定があるわけであります。この問題にな
つておる
建築基準法には、さような緩和
規定が、いわゆる
防火地区の
規定にない。そこで
政府は、この
法律を出して——これは理想として、私どもは非常に同感であります。どうしてもこうならなければ日本の
建築は発達しないし、また
火災の損害を防ぐということはきわめて困難だということは、ほとんどの人たちか
考えておるわけでありますから、かような
規定があることはよい。そこで
制限緩和の
規定がないから、
政府はこれに対してこの
法律の実効をあげるという決意を持
つておられるか、どういうような方法で実効をあげられるかということ、これは確かめておかないと、ある
一定の区画を
制限して、そこに家は建たない。そこに
土地を持
つておる人もしくは家を建てたいという人は、この
規定のために家が建てられないということになりますから、当然そうな
つて参りますが、どのくらいの範囲でこれを
指定されるのか、これは申請がないとわからないわけでありますけれども、現在でもあるわけでありますから、これに対して
指定をしたが、そこにただちに
法律の
規定が動いて、ほんとうに
防火地区の
建築物ができる方法を
考えておられるか、どういう方法をやられるかということは、きわめて重要であると思いますので、はつきりお答えを願いたいと思います。