○
古賀参考人 私
都市不燃化同盟の
古賀でございます。私の申し上げます
意見は、
都市不燃化同盟の立場から申し上げますから、あるいはほかの
方々から考えられますと、いささか矯激に過ぎるような議論があるかもしれませんが、私
どもの立場としてこういうことを申し上げるのだということを、あらかじめ御了解を得たいと思うのであります。
そこで、まず本
法案に対する一般的な御
意見を申し上げ、それから引続き
本法安の各
條項についての
意見を申し上げたいと思うのであります。まず一般的に申し上げますと、われわれの根本的な要求といたしましては、この百五十億の金を、できるだけ
都市不燃化のために使
つていただきたい。つまりこの公庫の発足を機会として、
都市不燃化の第一歩を踏み出していただきたいということであります。御承知のよろな窮乏した財政から、百五十億という貴重な金を出すのでありますから、この
資金が永久に残るような方法において投資されることをまず要求いたしたい。
火事で焼けてしまう、
風水害にやられてしまう、二十年もしたならば全部なくな
つてしまうような形において、投資されるのではなく、永久に残るような形において、つまり
木越住宅ではなくして、
不燃住宅に全部投資されることを、われわれとしては根本的に要求したいのであります。消防庁の調査によりますと、昨年中に焼け失せたところの
建築物は、坪数にして九十一万八千坪、金額にいたしますと、その損害は二百六十九億七千万円に上るということであります。実に甚大なる損失を、
木造であるために受けている。戦前から家は三年と申しまして、家を建てて三年た
つたら、そのうちに全部焼けてしまうかもしれないということで、採算その他を考えて建ててお
つたようであります。三年というのは少し極端でありますが、かりに函館市の例をとりますと、商館の焼失を数年欄にわた
つて調べたのであります。そうすると、函館市は大体二十五年間に全市が全部焼けてしまう勘定になるのであります。この割合で行きますと、函館市に住んでいる人は一生のうちに二回全財産を蕩尽してしまうという運命のうちに暮しているのであります。これは函館市
一つではないのであります。
日本全国の
都市みんな同じ
状態に住んでいる。しかもこういうふうな都会において
火事が起
つた場合、常に
火事の
原因としてあげられますのは、折から烈風何メートルであ
つた、あるいは
消防力が不足してお
つた、
早天続きでかわいてお
つたということが、
原因としてあげられるのでありますが、私
どもの方から申し上げますならば、これらはいずれも大火災の
原因ではないのであります。大火災の
根本原因は、建物が
木造であるということ、これが
根本原因であります。しかるにこの
原因があまりに大き過ぎて、あまりにあたりまえ過ぎるものでありますから、これを忘れてしま
つて、ほかに
原因を求めている。
根本原因は
木造である。もし建物がすべて
不燃建築であ
つたならば、たとい女中があんかをひつくり返したとか、
電熱器をどうしたとか、折から烈風がどんなであろうが、おそらく一間かあるいはただの一軒の建物が焼けるだけで、全市が総なめになる、あるいは
繁華地帯が一挙にして灰燼に帰するということは、絶対にないのであります。
そこで私の申し上げたいことは、このような惨禍を避けるためにも、この符五十億は全部
不燃建築に対して投資していただきたい。承るところに上りますと、
建設当局においては、大体この
資金をも
つて八万戸の
住宅を建てる予定を立てているということであります。これは私の聞き違いかもしれませんが、しかし私をして言わしめますならば、八万戸という数に必ずしも拘泥する必要はないのであります。かりに八万戸建てたとしましても、今申し上げましたように
火事で焼けたり、
風水害でくずれてしまう。たとい
火事や
風水害の難を免れたとしましても、十年なり、二十年なりしましたならば、
耐用年限が来て壊滅してしまうのであります。少くとも住んで行くためには、新築とほぼ同じような補修を行わなければならないということは火を見るよりも明らかなのであります。しかるにこの八万戸という数に拘束されることなく、たとい戸数が六万戸に減り、あるいは五万五千戸に
減つたとしましても、これを
不燃建築でつくりましたならば、二十年た
つても三十年たりても大体そのまま残
つて行きます。
せつかく窮乏財政から百五十億という金を出すのでありますから、二十年後にはゼロにな
つてしまうような金の出し方をしないで、それが二十年た
つても三十年た
つても、投資として厳として残
つて行くというような建物をつく
つていただきたい。それが私
どもの根本的な要望であります。もちろん現在
住宅が非常に不足しております結果、
国民諸君は
不燃住宅というようなぜいたくなことはいらない、とにかく屋根と畳さえあれば
木造でも何でもよい、家がほしいという切実な希望を持
つていることは当然であります。しかしながら、いやしくも国政の衝に当る
方々は、このような切実ではあるが、しかしながら近視眼的な要求に動かされることなくして十年、二十年、三十年の後を見通したところの根本的な
住宅対策を立てていただきたいということを
お願いしたいのであります。要するにわれわれの要求するところは、その百五十億を
住宅の応急的な施策のために投ずるごとなく、
住宅の恒久的な施策のために動かしていただきたいということが、われわれの根本的な
お願いの
一つであります。これは従来私
ども不燃同盟おきましても、しばしば
建設当局に進言いたしましたり、また国会にも進言いたしておる次第でありますが、あるいはお聞きの
方々はもう事にたこができるとおつしやるかもしれませんが、われわれとしては
目的達成までは何百万べんでもこれから申し上げるつもりでおります。全般的なわれわれの見解はこの百五十億を全部
不燃住宅にまわしていただきたいということでありますが、次にこの
法案の個々の
條項にわた
つていささか
意見を申したいと思います。
この
法案の個々の
條項にわた
つて意見を申しまするためには、この
法文だけでは不十分でありましてこの
法文を具体的に行う場合、一体どういうふうにして行うかという
施行細則が示されなければ、これに対して精密な具体的な
意見を申し上げることは不可能であります。しかしながら現在どういう具体的な
施行細則、もしくはその
法文の中にあります
主務省令によ
つて定める、あるいは
主務大臣が決定するとかいうようなことが、どういうふうに決定されるか、私は存じておりません。
従つて具体的に批評はできませんし、また現在の
状態で具体的な批評を申すことは失礼かと思いますが、少くともその
法文に現われた
限度内において、私の解するところに
従つて意見を申し上げたいと思います。
まず第一は、第十七條でありましたか、
融資対象の問題、
融資対象につきまして、私
どものまず
お願いしたいことは、なるべく
融資の
対象を大幅にと
つていただきたい、これはあまり厳密に解することなく、できるだけ多くの人に貸していただきたいということであります。たとえば
融資の
対象を考える場合に、
住宅のない者に貸すということがおそらく
一つの
條件になると思いますが、しかし
住宅を持
つていないという者ばかりでなく、たとい現在
住宅に休んでおりましても、それがはなはだしく不当な
條件のもとに、妥当ならざる
條件のもとに住んでいる者に対しては、これはやつ
ぱり融資の
対象にしていただきたい。現在
住宅の不足は三百六十万戸と称せられておりまするが、このうちには
住宅を持
つていない者のほかに、たとえば片道二時間以上往復四時間も毎日通勤に費しておるというような
遠距離通勤者が二十数万世帯を数えております。さらに、家はなるほどあるけれ
ども、朝晩に、出て行
つてくれ、立退いてくれと
言つて、はなはだ不愉快な要求を受けて、おちおちと暮しておられないような
状態のものが、これまた二十五万戸に上るということであります。さらに
大豊一間に四人以上住んでいるというような、おそるべき
過密状態の中に住んでいる者が二十六万世帯、そのほか非衛生的な
状態、あるいは破損はなはだしく、すでに
耐用年数を過ぎた家に辛うじて住んでいるというような、きわめて不適当な
状態に住んでおる者がありますが、これに対しても家を持たない者と同様に貸していただきたい。こういうものに、お前はとにかく家に住んでいるのではないか、ぜいたくを言うななどと言わないで、こういう
人たちにも貸していただきたい。これが
対象についての第一の
お願いであります。
第二は、十七條に三つの
対象が載
つておるようであります。その第三番目にな
つておりますが、この三番目を
法文の上で拝見いたしますると、
住宅賃貸会社その他の、法人に対して貸し与えるということが書いてある。この文面だけ見ますると、一般の
住宅供給会社にも貸していただけるようでありまするが、しかしながら後の第三十五條という
制約條件がありまして、三十五條によ
つて賃貸家賃は
家賃統制令の定むる以下の
限度に低く押えられるようであります。
従つて採算の関係上、一般の民間の
住宅供給会社は成立しないということになります。おそらく
府県市町村その他の
公共団体が一部出資をするところの特殊な
会社が特にこの
不燃アパートを
建設するということになるのではないかと思われるのであります。しかしながら御承知のように現在
都市において最も理想的な庶民の
住宅は
不燃アパートであります。この
不燃アパートを府県の出資するところの
特殊会社だけにまかしておいて十分に建つかといえば非常に疑問があると思うのであります。こういう
庶民住宅としての
不燃アパートは、現在いくらあ
つても足りないのでありまして、決して
都市の
特殊会社にまかして足りるものではないのであります。もし
民間会社においてこれをつくるものがあ
つたならば、どんそれ認めてやればよいと思うのであります。ただ
法文上で認めるぽかりでなく、実際採算上成立するように認めてやらなければならぬ、と申しますのは、第三十五條において
家賃を
統制令以下に定めるということは受けとれないのであります。少くとも
家賃統制令の
限度までは十分認めてや
つてよいのではないかと思うのであります。
都市の援助する特殊の
賃貸会社において、
限度以下に安く貸してやるということははなはだけつこうでありますが、しかしそれ以上出してもとにかく
不燃住宅に住べたいという人があ
つたならば、そういう人に供給する
会社は、これを認めてや
つてさしつかえないのであります。たとえ
統制令の
限度まで
家賃を認めたとしましても、本法によりますると
耐用年限は三十年、
家賃統制令は六十年でありますから、この点で非常に不利を甘さなければならぬ。なおかつ民営の
会社を建てようという者がありましたならば、これを十分認めてや
つてさしつかえないと思うのであります。これに対しまして従来承
つております
反対論は、民間の
住宅供給会社を認めるということは、
中間搾取を容認することになるからいけない。こういう御
意見でありますが、これははなはだ受取れないことであります。暴利をむさぼるならばけしからぬと言えましようが、
家賃統制令の範囲内で正当の
家賃をと
つて行くならばさしつかえない。もしこれを
中間搾取と言うならば、一切の取引は全部
中間搾取ということになるのでありまして、特にこういうことを申しますのは、一般に
資本主義を認めておりながら、この際特に
中間搾取を云々するのは当らない議論であると思うのであります。
第三には
不燃アパートにつきましては、
本案の
條文によりますると、
賃貸形式だけを認めているようでありますが、
不燃アパートについても
分割所有を認めていただきたいと思うのであります。
分割所有をしようという者に対しても金を貸してもらいたい。もちろん
不燃アパートの
分割所有ということになりますと、
共通部分——廊下とか、階段とか、土地とかいうものについて問題が起るようでありますが、これは
共同登記という方法によ
つて問題は解決できるのであります。こういう方法によ
つて解決して、下
燃アパートの
自分の住んでいる部屋は
自分のものにしたいという人に貸してや
つていただきたいと思うのであります。これは
賃貸の場合に比しまして、個人に
所有せしめますと二つの利点があるのであります。
一つは人間の本性として、借りているものは大事にしないが、
自分のものは大事にするのであります。特殊なる
公共団体から
アパートを借りて住んでいる人はあまり部屋を大事にしない。ところがこれが
自分のものだということになれば、非常に大事にする。
従つて保存上きわめて有利であります。
それからもう
一つは、いかなる形においても
賃貸機関というものがある以上、その
賃貸機関の費用というものは毎月借りている人におつかぶさ
つて来るのであります。これは安いにしても、結局それは税金として間接にかか
つて来るのであります。いずれにしても
管理機構の費用というものが
賃貸者にかか
つて来るのであります。これが自己の
所有に帰するならば、そういうふうな費用がいらないわけであります。こういう点から考えまして、私は
アパートの
分割所有というものを認めていただきたいと思いますが、
アパートの
分割所有ができるということになりますと
自分の
所有の部屋を持ちたいとか、
アパートを建てようと思う人が何へかあ
つても、お互いに知らない同士でありますから、
従つてこれが集ま
つて一つの
アパートを建てることは困難であります。そこで
アパートを建てようという
建設代行機関を認めていただきたいのであります。
建設代行機関に対して銀行が金を貸してやる、そしてこの
建設代行機関が一切の
建設業を代行して
アパートを建ててそうして
アパートを
分割所有したいという人に対して引渡す、そうすると公庫に対する債務が同時に
住居者に対して肩がわりするという形をとればさしつかえないと思うのであります。この場合ブローカー的な
代行会社の出ることが予想されますが、それは
資金の構成あるいは
重役陣の構成、あるいは経営の方面に対して十分監督をすれば、十分不正は防ぎ得ると考えるのであります。
第四に
対象の問題として申し上げたいことは、
産業住宅もしくは
職場住宅に対しても貸していただきたいのであります。現在職場において、いすの上に寝たり、
炊事場のすみに床を敷いて寝ている者が十四万人に上るということを聞いております。しかして
住宅がないために、
失業防止のための
職場転換を行おうとしてもそれができないという場合がしばしばある。また非常に
遠距離から通
つておるために、労務者の能率が上らないということをしばしば述べられております。
従つて職場住宅に対して貸していただきたいのであります。これは組合をつくればいいじやないかという議論もありますが、そうするとその
会社をやめたり、転勤した場合いろいろめんどうが起る。それよりも一括してその
産業会社に貸してや
つたら、きわめて簡単に片がつくのではないかと思うのであります。これに対しても、
産業住宅を認めるということは、
産業会社に勤めておる者に特殊な利益を与えることになるから、不公平だという見地から
反対論があるということを承
つております。しかしながらこの
反対論は当らないものと思うのであります。現在
住宅の不足は三百六十万、一戸に五人とすると、実に一千八百万人の問題であります。これはすでに個々の問題でなく、国民全体の問題であります。
住宅問題は、警察、衛生、教育の問題と同じであります。もしこの場合、特殊の
産業会社に金を貸すのは不公平であるというならば、
自分の出した税金で学校を建てて子供を教育しておるが、
自分には子供がない、学校に行
つておらぬ、これは不公平だということになる。あるいは、やはり税金で警察官を養
つておる、しかし
自分の家にはどろぼうが入
つたことがない、これは不公平だということになる。しかし、そういうことは成立しない。決して特殊な問題ではないのであります。この点からこの
反対論は私は成立しないと思う。以上は十七條の
融資の
対象についての問題であります。
次は二十條であります。二十條にあります
標準建設費あるいは
標準地価というものは、一体どのくらいに決定されるのか存じません。たびたび新聞などに出ましたが、始終かわ
つておりますので、いずれに決定せられるのか存じませんので、これについての
意見は申し上げられませんが、これについて、この
條文によりますと、七五%以下の
融資をすることにな
つております。七五%以下というのはどういうことかわかりませんが、これも私の承りますところによりますと、あるいは私の考え違いかもしれませんが、十坪の家に対しては七五%貸してやるが、十五坪、十八坪の家に対しては七〇%しか貸さぬというような御
意見のように承
つております。しかしこれははなはだ理解しがたいことでありまして十坪に七五%貸すならば、十八坪、二十坪に対しては八〇%、九〇%貸していただきたいのであります。なぜならば、十坪というのは、
最低限の家でありまして、第一條に規定しております健康にして文化的な生活を営むに足る家では決してないのであります。
専用家の研究によりましても、普通の四人牛の
標準家族の住めるところの文化的な
住宅は、二十坪くらいが
最低限にな
つております。しかしわが国情においてはこれができないから、十坪、十五坪、十八坪でがまんしようというのであ
つて、これをぜいたく視して、七五%貸してやらない、七〇%しか貸してやらぬというのは不審な見解でありまして、むしろ本法の第一條の意味に即せば、十坪以上の、十五一坪、十八坪、二十坪の家を建てて、標準的な文化的な
住宅に住もうとする者に対しては、より以上多く貸してや
つていいのじやないかと思うのであります。同じ見地から、
貸付率についての問題でありますが、
不燃住宅と
木造住宅に対して同じく七〇%を適用することに対しても反対したい。私
どもは
不燃建築に対しましては特殊な
助成金制度を設けていただきたいぐらいに思
つております。
木造と
不燃との差額に相当するくらいのものを助成して、それによ
つて不燃建築を促進してもらいたいくらいに思
つておるのであります。現在は
不燃建築についての
助成金制度がないのであります。その制度にかわる意味におきましても、
木造に対して七割五分ならば、
不燃建築に対しては八割とか九割とか、よけいに貸していただきたいのであります。
それから
貸付時期の問題でありますが、
一体金を貸してくださるのはいつのことであるか。
木造については棟上げのあとに第一回を貸してくれるということでありますが、
不燃建築についてはいつ貸してくれるわけですか、なるべく早くしていただきたい。少くとも
基礎工事の完了したときに第一回の
貸付をしていただきたいと思うのであります。
次は第二十一條であります。
貸付の利率並びに
償還年限の問題であります。
貸付利率は五分五厘とな
つておる。現在の
状態で五分五厘は非常に安い金利ではありますが、しかし借りる側の住民の月々の負担から申しますと、五分五厘でも必ずしも軽いとは言い得ない。できればわれわれとしては三分くらいに
お願いしたいのであります。せめて四分くらいにしていただきたい。
見返り資金を四%くらいの率で使
つておる例はほかにもあるのであります。できるだけこれを低くしてなるべく毎月の住民の負担が少くて済むようにしていただきたい。同じことは
償還年限についても申し上げられるのでありまして、これが
簡易耐火構造については二十年、本格的な
耐火構造については三十年としてありますが、これをおのおの三十年、六十年くらいにしていただきたい。
家賃統制令では本格的な
耐火構造は六十五年まで認めておりますから、その程度に延ばしていただきたい。
貸付利率を下げること、
償還年限を長くすることによ
つて、毎月の負担を少くしていただきたい。もしこの両方がぜいたくならば、どちらかでも認めていただきたいと思うのであります。
次は第二十二條であります。第二十三條において、本法の業務を銀行その他の金融機関に委託するということが書いてございますが、その他の金融機関の中に、できれば損害保険
会社を入れていただきたい。損得保険
会社は御承知のように代理店が非常にあり、
住宅の
不燃ということについては特殊な利害を持
つておる。いろいろな点において本法の窓口とするにきわめて適当な機関でありますから、これをぜひ加えていただきたい。これに業務を取扱わせることにしますならば、その家屋が
不燃性を持
つて行くということを監督して行く上におきましても、あるいは
家賃を毎月取立てる上におきましても、いろいろな点で便宜があるのではないかと考えるのであります。
それから二十四條以下の問題でありますが、あるいはむしろ省令において定めるという範囲に入るかもしれませんが、手続の問題に入ります。ことに出願をいたします場合に設計書を備えて提出しなければならないと思うのでありますが、一般の人々が家屋の設計書までつく
つて出すということはなかなか困難であります。もし専門家に委嘱しますと何らかの料金をとられる。せつかく料金をとられて出したものが、貸してくれないということになれば、全損になるおそれが多分にありますから、これは第十七條の本法の業務の中にも、工事の設計監督等について公庫が援助するということが規定されておるようでありますから、この趣旨にのつとりまして、公庫もしくは
建設省におきまして、十坪から十八坪というふうなものについて、ABCDEFくらいの模範的な規格
住宅の設計図をこしらえて備えておいていただきたいのであります。そうして出願する人がその規格のどれと言う場合には、設計図はいらないということにしていただきたい。そうすれば出願するときの費用が助かりますし、判定する方も、規格によ
つてやるのでありますから、あらためて判定する必要がない。すぐ片がつく。手続上非常に楽になると思うのであります。規格
住宅はいやだ、特別なものをこしらえたいという人は、設計図を備えて出願すればよろしい。しかし一般的なものは、いろいろな大きさのものを三つ四つこしらえて置けば、大体間に合うのではないか、こう考えるのであります。それから一般的な手続の問題につきまして、これは全部の要望でありましようが、なるべく簡単、迅速にや
つていただきたいのであります。できれば
融資を申し込みまして、
融資決定までに二週間くらいでどんどん流して行くというような便法を講じていただければ辛いであります。なおこの金融公庫から
貸付を受けた金で
住宅を建てる者に対して、特殊な
住宅建設基準を設定するというようなお話も承
つておりますが、すでに
建設基準法というものがあります以上、この工事の管理は
建設基準法に
従つてやれば十分でありまして、その上さらに特殊な公庫のための
建設基準をつくるということは屋上屋を架する、いた、ずらに手続を煩雑にするのみであると私は考えるのであります。以上時間がありませんから、各
條文についての
意見はこれだけにいたしておきます。
最後に全般に対して附帯的な
意見を少し申し述べさせていただきます。本法を施行して行きます上において、一番問題になりますのは、おそらくこの金を借りて家を建てるという人に対して一番困難を感ずるのは、頭金の調達の問題と土地の獲得の問題、この二らであろうと思います。
従つて本金庫の設立と並行して、この二つを解決する方法を何か考えていただきたい。頭金を五万円なり十万円なり用意しなければ、本金庫を活用することができません。しかしながら今
庶民住宅を求めておる人は現金で十万円用意しておるという人はほとんどない。おそらく何か処分するなり売るなりして調達しなければならぬ。この場合土地を持
つておる人は土地を抵当に入れて金を借りたいと考えましても、現在長期金融、不動産金融機関はありません。また一軒に五家族とか六家族住んでおるものは、現在
自分の住んでいる家を担保にして金を確りようと思
つても、家を担保にと
つてくれる長期金融機関はない。
従つてこういう土地、建物を担保にと
つて金を貸してくれる不動産金融機関をなるべくすみやかに設けられるように、これは本法とは直接関係ないかもしれませんが、すみやかに設けられるような処置を講じていただきたいのであります。土地の問題についても同じでありまして、現在家を建てる上において一番大きな障害は、適当な土地がないということであります。しかるにほんとうに土地がないかというと、そうではない。焼け跡には草ぼうぼうの土地が幾らもある。それにもかかわらず、その上地上権が複雑している。
従つていたずらにその
所有者は権利の上に眠
つて土地を放棄している。今後
不燃建築アパートでもつくる場合は、都心において一段と土地が必要になる。これに対して、今眠
つている土地を活用するために、土地收用についての何らか便法を迅速につく
つていただきたい。われわれはそのためにこの
法案が本議会に提出されることを希望してお
つたのでありますが、御提案がないようでございますから、この次の臨時議会にこの
法案が提出されることを切に祈
つてやまない次第でございます。