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1950-04-06 第7回国会 衆議院 建設委員会 第22号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年四月六日(木曜日) 午後一時五十五分
開議
出席委員
委員長
淺利 三朗君
理事
内海 安吉君
理事
田中
角榮
君
理事
内藤 隆君
理事
上林與市郎
君
理事
天野
久君
理事
砂間 一良君
理事
笹森
順造
君 池見
茂隆
君 大西 弘君 越智 茂君
瀬戸山三男
君 西村 英一君
宮原幸三郎
君 小松 勇次君 増田
連也君
出席政府委員
大蔵事務官
(
主計局長
) 河野 一之君
大蔵事務官
(
銀行局長
) 舟山
吉正
君
建設事務官
(
住宅局長
)
伊東
五郎君
委員外
の
出席者
專 門 員 西畑 正倫君 專 門 員
田中
義一君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
住宅金融公庫法案
(
内閣提出
第一五二号)
建築士法案
(
田中角榮
君外六名
提出
、
衆法
第一 五号)
昭和
二十五年度における
災害復旧事業費国庫負
担の
特例
に関する
法律案
に対する
申入れ
の件 —————————————
淺利三朗
1
○
淺利委員長
これより
会議
を開きます。 昨日
付託
になりました
建築士法案
、
田中角榮
君外六名
提出
、
衆法
第十五号を
議題
といたし、
提案理由
の
説明
を求めます。
田中角榮
君。
田中角榮
2
○
田中
(角)
委員
過般来より当
委員会
で
各党議員提案
といたしまして、
法案
の立案にあた
つて
おりました
建築士法
も、
諸君
の格段の御協力を得まして、一昨四
日本院
に
提出
、昨五
日本建設委員会
に
付託
に相なりましたので、
提案者
を代表いたしまして、
提案理由
の御
説明
を申し上げたいと思います。
建築物
の
災害等
に対する
安全性
を確保し、質の
向上
をはかることは、
個人
の
生命財産
の保護と
社会公共
の福祉の
増進
に重大な
関係
を有するものであります。そのためには
専門
の
知識
、
技能
を有する
技術者
が、その
設計
及び
工事監理
を行うことが必要であります。
建築士法
はこの
趣旨
にのつとり、
建築物
の
設計
及び
工事監理
をつかさどる
技術者
の
資格
を定めて、
試験制度
により、
建築士
の
免許登録
をすることにより、
一定
の
技術水準
を確保するとともに、その
業務
に対する
責任制度
を
確立
しようとするものであります。過去数十年来、
建築士法制定
の
必要性
は、識者の唱道して来たところでありまして、欧米においてもつとに
建築士制度
を
法制化
し、
建築
の
設計
及び
工事監理
に
知識
技能
ゆたかな
専門技術者
を当てて、
建築設計技術
の
向上
と、
設計者
の
責任制度
の
確立
に努めておる状況であります。今回
政府
においては、
市街地建築物法
を全画的に改正すると同時に、
臨時建築制限規則
を廃止して、
建築手続等
も極力簡易化せんと企図しております。ちようどこのとき
建築士制度
の
法制化
を実現しますことは、両々相ま
つて
、今までの
監督行政
を脱し、民主的な
建築行政
を
確立
する
ゆえん
と考える次第であります。 次に
本法
案の内容に関し特徴とする点を二、三御
説明
いたします。 第一に
試験
による
免許登録制度
によ
つて
、
建築
の
設計
及び
工事監理
の
専門的技術
の
一定水準
の保持とその
向上
に資することができます。 第二に
建築
に際して、
建築関係法規
の確実な適用が期待されるとともに、
建築士
の創意くふうにより、合理的かつ経済的に
建築物
の
安全性
の確保と
経済価値
の
増進
をはかることができます。 第三に
建築
の
設計
は
建築士
に、
工事
の実施は
建築業者
にと、おのおの
責任
の所在を明確にすることにより、相互に不正、過失の防止をはかることができます。 第四に
建築士制度
の
確立
により、
建築主
は
設計建築手続
、
工事監理
についての煩瑣な
事務
を、
建築士
を信頼してまかせることができるようになります。 最後に
経過的措置
について若干の
説明
をつけ加えます。かかる
制度
が新たに設けられますと、現在までこの
方面
の職に従事していた人々が、あるいは
試験
に落ちて職を奪われはしないかという
心配
が起ります。
本法
においては、
わが国
の
現状
にかんがみ、
建築士
を一級及び二級にわけて、おのおのその適当な職分を受持つことができるように配慮しておりますから、この
心配
は少いのでありますが、さらに
附則
において、
現存
の有
資格者
に対しては暫定的に
試験
を用いず、
選考
によ
つて免許
を與える道を開いております。またこの場合の
学歴
や
実務経験
の
基準
も、十分に
実情
を考慮して、一方あまりに緩に失して法の
目的
を阻害せしめないとともに、
他方あまり
に嚴に過ぎて、現在の
営業者
を困らせることのないよう十分に留意したつもりであります。以上で
本法
案の大要を御
説明
申し上げました。 次にこの
條文
の
説明
を簡単に申し上げたいと思います。第一章、総則、第
一條
は御承知の
通り法
の
目的
を明らかにしたものです。第
二條
は法文中に出て来る
用語
の
定義
であります。
建築士
という
名称
はアーキテクトの訳語として、現在すでに
わが国
でも通俗的に使用されております。これが
本法
により
法律用語
となると、これに類似の
用語
の使用は禁止せられるわけであります。
建築士
を二階級にわけ、
程度
の高い、すなわちむずかしい
構造物
を
設計
する人を
一級建築士
、その次の
程度
のものを
設計
する人を二級
建築士
といたしました。これは二階級にわける方が
現状
に即すると考えられたからであります。
名称
の
先例
といたしましては、
教職員免許法
に
一級普通免許状
及び二級
普通免許状
という
言葉
が使われております。当初は
建築士
及び
建築工務士
という案もございましたが、
工務士
の
名称
は
外国
のエンジニヤの
訳話
と間違えられることを恐れて避けたのであります。また
建築士
及び
建築士補
の案も出たのでありますが、必ずしも補佐的な
仕事
に限らないという
理由
でやめたのであります。このほか
建築士
及び
建築工士
の案も考えられましたが、
原案
の方が
一般
的にわかりやすいであろうという
理由
で採用いたしたのであります。
工事監理
という
言葉
は、普通に
工事
の
監督
という場合よりやや狭い
意味
に
定義
されております。
法律
で縛るのはこの
範囲
として、
建築業者
との限界を明確にするよう留意したものであります。なお第三十
一條
の
業務
の條で明らかな
通り
、
建築士
が
工事
の
監督
をすることはさしつかえないのであ
つて
、ただ
法律
的な
責任
としては、
設計
及び
主事監督
の
範囲
に限られるわけであります。 第三條は
建築士
に権限を與え、これを保護する
趣旨
の
條文
であります。これは元来、別の
法律
として近く
政府
から
提出
される
建築基準法
に
規定
するのが適当でありますが、一応
本法
に簡単に
規定
し、詳細は同法に譲る予定であります。
建築基準法
の成立が遅れるような場合には、單行法として出すことも当然考えられるわけであります。
学校
、病院、劇場、
百貨店等
、
特殊用途
の
建物
で九十坪すなわち三百平方メートル以上のもの、
鉄筋コンクリート等
、
木造
以外の
建物
で二階以上または六十坪、二百平方メートル以上のものは、
一級建築士
でなければ
設計
または
工事監理
ができなくなります。また
特殊用途
の
建物
で三十坪すなわち百平方町メートル以上、
木造
以外の
建物
及び
木造
でも、三階以上または九十坪すなわち三百平方メートル以上のものは、
一級建築士
または二級
建築士
でなければ
設計
または
工事監理
ができなくなるのであります。そのほかの
建物
、すなわち
特殊用途
の
建物
で三十坪
未満
のものまたは二階までの
木造
で九十坪
未満
の
建物
は、この
規定
ができてからも、だれでも
設計
または
工事監理
ができるわけでございます。
従つて一般木造住宅
の
建築等
に対しては大きな影響を與えないのであります。この緩嚴の度合いについては論議の余地があることと思いますが、
わが国
の
現状
から一歩前進した形として、上述いたしました
通り
の
規定
を構想している次第であります。 第三章
免許
、
本章
は
建築士
の
免許
、
登録制度
に関する
規定
でございます。 第四條は、
一級建築士
の
免許
を国が行い、
一級建築士
の
免許
を
都道府県
が行うこととしたのは、三級
建築士
の
仕事
が大体その
都道府県
内で行われると予想されますので、
実情
に即した
免許
を行い得る
便宜
があると考えたからであります。
先例
といたしましては、
保健婦
、助産婦、
看護婦法
による
甲種看護婦
は国で、
乙種看護婦
は
地方
で
免許
することにな
つて
おります。 第
八條
は、
建築
に関する
犯罪者
はも、ちろん不適格である場合がありますし、その他のことに関しても、禁錮以上の刑に処せられた者は不適格とすることがあるということにいたしました。 第十條は、
建築士
に不誠実な
行為
があつたときは、その軽重により懲戒として戒告、一年以内の
業務
の
停止
あるいは
免許
の
取消し等
が行われます。
業務
の
停止
及び
免許
の
取消し
は
建築士
にと
つて死活
に関する重大問題でありますので、特に聽聞を行い、かつ
審議会
の
同意
を得るという民主的な
手続
をふむこととし、当事者の独断を排し、愼重を期したのであります。 第三章
試験
、
本章
は
資格試験
の
方法
、
受験資格等
に関する
規定
であります。 第十三條は、
試験
の科目としては、
建築設計
及び製図、
建築構造
、
建築施工
、
建築材料
、
建築衛生
、
電気
並びに
給排水等
の
建築設備
、
建築関係法規等
に関する基本的な
事項
が予想されておるのであります。
一級建築士
に対しては、このほか
構造力学
、
暖冷房設備
、
建築史
、
都市計画等
に関する常識的な
事項
が加わることも予想されます。 第十
二條
は、
試験
は少くとも一年に一回以上は行うこととし、
免許
の機会を長い間ふさぐことのないようにした
規定
でございます。 第十四條、第十
五條
は
受験資格
を定めたもので、その年限を図示すれば
別紙
の
通り
になるのでありまするが、この
別紙
は現在印刷をしておりますので、あとから
委員諸君
のお手元までお届けいたしたいと思います。
学校
の
課程
として
建築
または
土木
としたのは、両学科とも、
建築物
の
安全性
に
関係
する
構造力学
を十分に修得していると見られるからであります。
一般
に
建築
と
土木
の
学歴
に特に差別をつけなかつたのは、
建築衛生
、
設備
または
意匠方面
の
知識
は
建築
に関する
実務経験
中に修得されるものと予想されるからであります。
従つて
、第十
五條
第一号のごとく、
学校卒業者
がただちに
資格
を生ずるような場合に限り、
土木工学科
の卒業生に対してはさらに
建築
に関する
実務経験
一年を必要としたのであります。機械、
電気
、
衞生等
の
課程
を修めた者も同様に取扱つたらどうかという要望もありますが、これらは
構造力学
に関して不安な点がありますので採用しませんでした。
一級建築士
の
受験資格
として、
実務経験
のみの者を認めなかつたのは、
鉄筋コンクリート等
の
構造物
を建設するには、
構造力学
に関する
基礎知識
を必要とすると考えたからであります。
学歴
の全然ない者に対しては、二級
建築士
の
経験
四年を
必須要件
とし、その間に、この
方面
の
知識
を補えるものと予想したのであります。 第十四條第四号及び第十
五條
第三号に「前各号と同等以上の
知識
及び
技能
を有する者」とあるのは、大体
外国
の
学校
を卒業した者を予想しているのであります。 第十六條は、
受験手数料
は
一級建築士
に対しては八百円
程度
、二級
建築士
に対しては、
府県
の
実情
に応じてそれ以下の額が予想されます。 第四章
業務
、
本章
は
建築士
の
業務
に関する
規定
であります。 第十
八條
は、
建築士
は
法令
に適合した
設計
をせねばなりません。この
規定
があるために、
建築士
の
設計
した
建築物
に対しては、特に
許可手続
を簡易にすることができるわけであります。
工事施行者
が
建築士
の注意に従わない場合、
建築士
はその旨を
建築主
に報告せねばなりません。その結果、
建築主
の依頼によ
つて
、
建築士
がさらに
種々
の
措置
をとることは当然考えられるところでありますが、これは
本法規定
の
範囲外
のことで、
建築主
と
建築士
との間の別の民法上の契約に基く
行為
となります。 第十九條は、
設計変更
の場合は
原則
として
原設計者
の
承諾
を求めて行うことにな
つて
おり、
従つて
、その
責任
も当然
原設計者
が負うことになります。何かの
事情
で、たとえば
設計者
が遠隔の地におる場合等、
原設計者
の
承諾
が得られなかつたときは、他の
建築士
が自己の
責任
において
変更
することになります。この場合、
変更部分
の
設計責任
は
変更
を
行つた建築士
が負うことは
もろろ
んですが、将来その
建物
に障害が起り、それが
設計変更
のために生じたということが技術的に確認されたときは、その
責任
は
設計変更者
が負うべきものと解せられます。なお、
一級建築士
でなければ
設計
できないような
構造物
の
設計変更
を、二級
建築士
が行うことは当然許されないのであります。 第二十條は、
建築士
が
設計図書
に記名捺印してその
責任
を明らかにする
規定
です。 第二十
一條
は、
建築士
は本来の
業務
のほか、
本條
に掲げる
業務
を当然に行うことができます。
建築手続
の
代理業務
は、
府県
によ
つて
は
條例
による
免許制度
をと
つて
いるところもありますが、
本法
による
建築士
は、その
條例
にかかわらず、当然に
代理業務
をも行い得ることになります。 第五章
建築士事務所
、
建築士
が
業務
を行う
建築士事務所
に関しては、当初
登録制
にすることも考えられましたが、
種々
の
事情
で、単なる
届出制
に改められました。
従つて府県ごと
に
建築士事務所名簿
を作成する等のことも
法律
には
規定
されませんでしたが、これらの
仕事
は
民間
の
団体
、
建築士会等
において自主的に行い、公衆の
便宜
をはかるべきものと考えるのであります。 第二十三條は、
建築士事務所
を開設する場合の
届出
に関する
規定
であします。
出張所
については
規定
されておりませんが、独立して
業務
を行う場合は、一個の
建築士事務所
として当然届け出なければなりません。他の
府県
へ移転した場合は、元の
府県
へ
廃止届
をし、新たな
府県
へ
開設届
をすることになりまする 第二十四條は、一人の
建築士
が多数の
建築士事務所
を持つことを禁じた
規定
で、これによ
つて
責任
ある
業務
を行わせようとするものであります。
法人等
で各地に支店、
出張所
を設ける場合には、専属の
建築士
を配置しない限り、
建築士事務所
と称することはできません。 第二十
五條
は、特定の
建築物
の
設計
及び
工事監理
は
建築士
でなければできないので、
設計料等
を独占的に不当に引上げられた場合には、
一般
の人が迷惑することになります。また逆に競争的に不当に引下げるようなことが起れば、正当な
業務
を行い得ないようになります。料金の最高または最低の
基準
は、
建築士会等
の
民間団体
が
地方別
に自主的に定めることが最も適当と考えられますが、何らかの
事情
で行われがたい場合を予想して、必要があれば
建設大臣
も
中央建築士会
の
同意
を得て、これを勧告することができることとしました。 第二十六條は、
建築士事務所
の
監督
に関する
規定
で、不都合があつた場合は、
都道府県知事
が
閉鎖
を命じ得ることにな
つて
おります。但し、
閉鎖命令
も重大な問題でありますから、
聽聞並びに審議会
の
同意
を必要としました。 第六章
建築士審議会
及び
試験委員
、第二十
八條
は、
建設省
に
中央建築士審議会
、
地方
に
都道府県建築士審議会
を置き、
本法施行
に伴う
重要事項
の
審議
に当らせるとともに、
関係
各庁に建議することができることにな
つて
います。これはこの
種法律
の民主的な運営に必要な
措置
と考えられるのであります。 第三十九條は、
審議会
の
委員
は
原則
として
建築士
のうちから、
建設大臣
または
都道府県知事
が委嘱することにな
つて
おります。
一般
にこの
種審議会
は
関係官庁
の
職員
や
学識経験者
をも
つて
構成するのが従前の例でありますが、
大臣
や
知事
の
諮問機関
に
官庁
の
職員
が入る必要はないという
意見
もあり、かつ、もちはもち屋の方が適当であろうということで、
原案
のごとくいたしたのであります。また、小さな
府県等
で
建築士
の数が十分でないような場合には、その他の
学識経験者
をも
つて
補うこともできるようにな
つて
おります。 第三十
二條
は、
本法施行
上必要な
試験委員
も
原則
として、
建築士
をも
つて
充てることにな
つて
います。これはかかる
制度
を技術的に権威づける
ゆえん
と考えられたからであります。 第七章罰則、
原則
といたしまして、あまり重い
刑罰
を課することなく、
行政
上の運用によ
つて
措置
する方針をと
つて
おります。たとえば
建築士
が
法令
に適合しない
設計
を
行つた
とき、
建築主
に対する報告を怠つたとき等は、すべて第十條にいう「不誠実な
行為
」をしたものとみなして、
業務
の
停止
または
免許
の
取消等
によ
つて
臨み、
刑罰
は課されないことにな
つて
おるのであります。 第三十
五條
は、
本法
による最も重い
刑罰
であります。第三号は不誠実な
行為
により
業務停止
を命ぜられた者が、これに違反した場合であります。第四号は専任の
建築士
を置かずに
建築士事務所
を開設した場合で、第一号にいう「
業務
を行うための
名称詐欺
」にひとしいと認められます。第五号は
建築士事務所
が
都道府県知事
の
閉鎖命令
に違反した場合であります。 第三十六條は、これは前條より軽い罪で、体刑は含みません。第一号は単純な
名称詐称
の場合であります。第二号は
試験委員等
が不正を
行つた
場合であります。 第三十七條は、最も軽い
過料処分
で、これは
建築士事務所
の
届出
を怠つた場合に適用されます。
附則
、まず
施行期日
に関する
規定
であります。第二十
二條
の、「
建築士
でないものが
建築士
の
名称
を用いてはならない」という
規定
、及び第五章の
建築士事務所
に関する
規定
は、実際に
建築士
が
選考
されて
業務
を開始し得ると認められる時期、明年七月一日まで
施行
を延期してあるのであります。二項から十二項までは、
現存設計
及び
工事監理
を業としている者に対する経過的な
措置
を
規定
しております。かかる人人に対しては
試験
を行わず、
選考
により
資格
を與え得る便法が講ぜられておりますが、あまりに緩に過ぎて
本法
の、
趣旨
を没却されることのないように、必要と認められる者に対しては、
考査
を行うこともできるようにな
つて
おります。
選考
の
対象
となる
資格
は、第十四條及び第十
五條
の
受験資格
より若干きつくな
つて
おります。すなわち、
経験年数
において一年ないし二年くらい延長されていますが、これは
試験
を省略するための当然の要請であります。但し従来正規の
学校
を出なくて、この
種業務
に従事している者も若干おりますため、その救済のため、
実務
十五年の
経験
を有する者は
一級建築士
に、
実務
十年の
経験
を有する者は二級
建築士
に、それぞれなれる道を開いております。もちろんこの場合には第七項による
考査
を
行つて
、実力のない者が
建築士
となることは防止せねばならぬものと考えます。
選考
の
資格
は明年三月三十一日を
基準
とし、
選考
の申請は同じく四月三十日までとしてあります。これは
種々
の
準備等
に要する
期日
を見込んだものであります。
選考委員
に関する
規定
は
試験委員
に関する
規定
に準じたものであります。但し、この場合は、いまだ
建築士
がおりませんから、
選考委員
は
関係官庁
の
職員
と
学識経験者
をも
つて
充てることにしております。
選考
及び
考査
の
基準
というのは、
実務経験
とはいかなる
経験
を指すか、いかなる場合に
考査
を必要とするか、あるいは
考査
の
課目等
に関する
事項
で、これが各
地方
でまちまちにならないため、
建設大臣
が告示することにな
つて
います。
考査
の
課目
は大体さきに述べた
試験課目
に準ずるものと考えられます。本年は
選考
前でありますから、当然
試験
は行われません。初めの
試験
は明年の後半になるものと考えます。
建築士
がきまるまでの
建築士審議会
の暫定的な構成を十三に
規定
したものであります。第十四は、
建設省設置法
に
事務
的な改正を行う
規定
であります。 以上で逐條の御
説明
を終る次第であります。 なお
経過規定
によりますところの
実務経験
十五年以上というような者に対する
定義
でありますが、簡單に申し上げますと、
建築
に関する
経験者
は、すなわち俗に大工さんその他いずれでもいいかというと、そういうふうに広義な
人たち
までを
対象
に
規定
いたしたわけではありません。これはすなわち夜間の
甲種工学校
、
高等工学校等
を卒業せられた者であり、前各條に述べる
程度
の
学歴
、
経験
を持つ者と認められる者や、特に現在東京、大阪その他で
條例
により
施行
せられております
建築代理士試験等
に合格せられまして、なおかつ
本條
に
規定
せる
経験年数
を有する者であり、一、二級
建築士
の
資格
を十分備え得るとみなした者を
規定
いたしたのであります。 以上で
提案理由
の
説明
を終ります。よろしく御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
淺利三朗
3
○
淺利委員長
本案につきましては本日はこの
程度
にとどめます。 —————————————
淺利三朗
4
○
淺利委員長
それでは本日
理事会
において
昭和
二十五年度
災害復旧事業費国庫負担
の
特例
に関しての
大蔵委員会
に対する
申入れ
の件を協議いたしたのでありますが、
大蔵当局
の御
意見
も承りたいという考えでありますから、この問題は後刻にまわしまして、とりあえず本日上程にな
つて
おります
住宅金融公庫法案
を
議題
といたし、
質疑
に入ります。
通告
がありますから、先に
通告順
によ
つて質疑
を許します。
大野久
君。
天野久
5
○
天野
(久)
委員
本法
案に対して一、二御質問を申し上げたいと存じます。まずこの
法案
は第
一條
に掲げてあります
通り
、庶民、いわゆる銀行の窓口をたたくことのできない人及び
財産
のない人に金を貸して
住宅
を建てさせる、こういう
趣旨
であると存じますが、まず第一にお伺いいたしたいことは、
貸付方法
をどんなふうになされるか、
貸付
の
対象
となる人を選定する
方法
についてお伺いしたいと思います。
伊東五郎
6
○
伊東
(五)
政府委員
貸付
の
対象
を、選定する
方法
についてのお尋ねでありますが、この第十七條にございますように、
貸付
の
対象
となるものは、大体三種類にな
つて
おります。
一つ
は
個人
、それから
住宅組合
、第三番目は
賃貸事業
を行う会社その他の
法人
、こうな
つて
おります。この第一の
個人
に対する
貸付
の
方法
について申し上げたらいいのじやないかと思います。これは
住宅
に困
つて
いる者ということがむろん第一の
條件
でございます。それから
償還能力
のある人、こういうのがもう
一つ
の
條件
に相な
つて
参ります。いろいろ具体的にきめて行かなければ場ならぬ問題と思いますが、大体現在
当局
として考えておりますのは、まずこの
住宅
の困窮につきましては、困
つて
いる人に対してなるべく広く公平に選定をいたしたいと考えます。たとえば現在いわゆる
住宅
でないところに住んでいる、
壕舎
とか仮小屋とか、あるいは職場に住んでいるとか、こういう方もあるでしよう。また
住宅
に住んでおられましても、同居して非常に
むりな居住状態
にある、あるいは通勤の
場所
まで非常に遠距離の
場所
に住んでおられる。いろいろ原因がありますが、なるべく広く
住宅
に困
つて
いる人を
対象
にしたい。それから
住宅
と申しますから、
世帯向き
の
住宅
を主として考えておりますので、
独身者
の寄宿舎的のもの、これは一応除外して考えた方がいいのではないかと考えております。 それから
償還能力
でありますが、これもなるべく広く困
つて
いる人に均霑するという
意味
から、あまり嚴重な
條件
をつけることはいかがかと考えますが、ただあまりこれをルーズにいたしましても、将来の
国庫
の非常な
負担
になるということもありますので、その辺の調整はむずかしいのでありますが、ある
程度
と申しますか、必要なだけの頭金、一時金を支拂う
能力
もある。それから月々の
償還金
についても、毎月の収入などからにらみ合せまして、その
程度
の賦金なら拂えるというような目安で選定して行く必要があるのではないかと考えるわけでざいます。
天野久
7
○
天野
(久)
委員
大体
資格
についてはわかりましたが、その
貸付
けの
対象
となる人の決定、いわゆる第十
八條
の
條文
に対して、どんな形に実際行われるのか、ひ
とつ
詳細な御
説明
を願いたいと思います。
伊東五郎
8
○
伊東
(五)
政府委員
ただいま申し上げましたような観点から一応調査いたしまして、
貸付
けの
対象
として
資格
がするということがきまつた場合におきまして、一方において予算の上から一応の
わく
があるわけですが、その
わく
より超過するという場合には、これを公正に選ばなければならないということが、十
八條
に
規定
されておるわけですが、これが
公開抽籤
というような
方法
できめる以外に、
方法
はないのじやないかというふうに、現在のところ考えております。
天野久
9
○
天野
(久)
委員
この
條文
を見ますと、またその御
説明
を拝聽いたしますと、公庫において一括決定するというように解釈できますが、この全国から申し込まれたその多数の申込み人を、公庫一本においてその決定が迅速になし得るかどうか、これが疑われて参ります。今までもよく例があつたことでありますが、この法文をこしらえなければならぬというように、
住宅
にせつぱ詰ま
つて
困
つて
おる人、いわゆる住むに家なく、つくるに金がないという人がたくさんあるので、この
法案
ができたのである。しかるに全国のものを公庫で一箇所においてこれを決定するということであるならば、これは相当な時日を要し、そうして簡單にきまらないこと、それからその
対象
がよくわからないということ、それからまた県などにおきましては、やはり
住宅
政策が十分に立てられないという結果にな
つて
来る。
従つて
借入金の申込みを決定いたす上において、この十
八條
の
條文
だけにおいては、この
法案
が今
住宅
に窮迫しておる
人たち
に対してりつぱに役立つものかどうか、こういうことが疑われて来ますが、そういう点について、いま少し詳細な御
説明
を承
つて
おきたいと思います。
伊東五郎
10
○
伊東
(五)
政府委員
予算で大体決定しております
通り
、公庫の機構が、資金を取扱う機関としましては比較的小さいのでございます。それで非常にその調査決定にひまど
つて
、
貸付
が非常に遅れるのじやないかという御
心配
でありますが、この点につきましては、公庫自体も実はこの一箇所で決定する、というのではなくて、全国適当に支所を置きまして、おのおの地域ごとに分担をするようにな
つて
おります。しかしそれにいたしましても、この支所の取扱い区域も相当広いことでありますから、御懸念のような事態が起るわけでありますが、ただ決定は公庫において行いますが、決定に至るまでの調査の
事務
、これに主としてひまがかかるわけですが、この調査
事務
については、銀行その他の金融機関と、それから技術的の審査につきましては、
地方
公共
団体
に委託をすることにな
つて
おります。
地方
公共
団体
は、場合によ
つて
は、
府県
のみならず、市なども動員することができると思いますし、大体それがために
貸付
が非常に遅れるということはないつもりでおります。またないようにしなければならぬと思
つて
おります。金融機関につきましては、銀行局から御
説明
をお願いしたいと思います。
舟山吉正
11
○舟山
政府委員
ただいま
説明
のありましたように、
住宅
金融公庫はその規模を極力小さくいたしまして、無用の出費を防ぐ建前にな
つて
おりますので、
業務
を銀行その他の金融機関中適当なものに委託することに相なります。しからば
業務
の委託を認める金融機関はどういうものを予想しているかと申しますと、銀行、これには大銀行も入りますし、また
地方
にあります
地方
銀行も入ります。それからさしあた
つて
は無盡会社中その
能力
ありと認めるものを入れたらどうかと考えておる次第であります。これらの金融機関におきまして、この資金の
貸付
にあたりまして、借受け希望者の適格性、あるいは自他資金で幾らか
負担
しなければならないことにな
つて
おりますが、その
負担
能力
ありやいなや、それからその
建築
を予定しております
設計
の規格その他を審査してこれを公庫に届けるわけでございます。主として審査
事務
はこれらの金融機関の手によ
つて
十分になされるということになるわけであります。これを各地に集めまして、いかなる
基準
によ
つて
えりわけをするかという問題につきましては、
建設省
の方から御
説明
があつたと思います。
天野久
12
○
天野
(久)
委員
今
銀行局長
のお話では、つまり公庫の
出張所
と申しますか、支所を全国に何箇所か置いてやる、こういうようなお話でありますが、大体その予定の箇所はどれくらいであるか、ひ
とつ
お知らせ願いたいと思います。 それからいま
一つ
、信用調査の調査機関は、銀行、金融機関である、こういうような御
説明
でありまするが、はたしてこの金融機関だけにこの調査をまかして公正な調査ができるかどうか、むろん
住宅
を建てることができない人でありまするので、信用満点という人がこの金を借りるようなことはないわけであります。
従つて
今まで金融
業務
によ
つて
仕事
をして来た人、いわゆる回収のみをほんとうに
目的
とした
人たち
が調査して、はたしてこの
人たち
に対してしつくりその調査ができるかどうかということを承りたい。そこでこの
條文
を見ますと、
地方
の
府県
は何ら参画して行くというような
條文
がないのでありますが、何ゆえに
地方
の
団体
やその他を使わなければならないときに、
府県
の
土木
課なり、あるいはその他の各課を除外しておるのか。こういう点について詳しい御
説明
をお願いしたいと思います。
伊東五郎
13
○
伊東
(五)
政府委員
公庫の支所は札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の七箇所であります。東京は本部に支所の
事務
を扱う部局を設けました。大体今のところそういうように進めてみようと思
つて
おります。 それから銀行で信用調査をする場合の御懸念の点については、大蔵省から御
説明
願つた方がいいのじやないかと思います。 最後の
府県
がこれに關與していないように思うというお話でありますが、この
貸付
の決定につきましては、国の
責任
においてやる必要がありますので、国の機関たる公庫自体が決定することになります。但しそれだけでは調査の
事務
に事を欠きますので、
府県
あるいは場合によ
つて
は市なども、つまり
地方
公共体には
工事
の監査を委託するということで、最初
貸付
の決定、金額の決定等において仕様書とか、
設計
書、見積書、そういうものの審査は
地方
公共
団体
の適当な技術
職員
にお願いしよう。それから
工事
の進捗に応じて支拂いをいたして行きますが、現場の認証についても技術員にお願いしよう。そういう面で
地方
の公共
団体
に關與していただく、こういうりもりでおります。
天野久
14
○
天野
(久)
委員
そうしますと、これを見ると現在
貸付
金は大体三十坪ということが限度とな
つて
おるようですが、今資本金五十億、及びそれに見返り資金を入れて貸し
付け
て何戸ぐらいの家を建てようという予定になりましようか。
伊東五郎
15
○
伊東
(五)
政府委員
ただいまお配りいたしました表は、予算の
範囲
内で何戸ぐらい建つかという大体の計算をしみたものでありまして、むろん確定的なものではございませんが、一応いろいろな仮定を置きまして、
木造
ならば平均十二坪ぐらいになるだろう。コンクリートのブロツク造、これは平均十三坪半くらいになるだろう。鉄筋コンクリートのアパート、これも十三坪くらいになるだろう。それから坪当りの建設費、これがわかりますと大体戸数が出て来るわけですが、坪当りの建設費の平均を一応まだ検討中でございますが、
木造
ならば一万七千円
程度
、これは
地方
によ
つて
もずいぶん違いますし、実際の場合になりますと多少の狂いがあると思いますが、ただいまのところこの
程度
で、コンクリート・ブロツク造ならば二万二千円
程度
、鉄筋コンクリート造ならば三万二千円
程度
ではないかと思います。これから算術的に計算して建設費を出す。それから敷地に対する融資でありますが、これもある坪数と単価とを想定いたしまして、大体全体の中分
程度
は敷地についても融資が必要ではないか、そういうような仮定を置きました。それで融資
貸付
の率、これも七五%までは
貸付
ができるわけでありますが、実際はもつと少くて五割借りればいい、六割借りればいいという人もあると思います。平均しまして
木造
の場合は七〇%、ブロック造の場合は七〇%、鉄筋コンクリートの場合は七五%、こういうふうに計算して参りますと、全体の
貸付
にまわし得る総金額は百五十一億五千万円ということになりますので、戸数が各種の構造のものを合計いたしまして八万一千戸
程度
、こういうことになります。
天野久
16
○
天野
(久)
委員
今の御
説明
で大体八万一千戸建りということですが、今
出張所
の数を承ると大体八つぐらいのものです。一
出張所
で一万戸以上の
事務
を取扱う、こういうことになりますが、これだけの
出張所
でありますと、
建築
をする人はその
手続
やその他のことについて相当な煩瑣な
手続
と、しかも時間の空費をしなければならないものと予想しなければならない。これは
場所
によりますと、この
住宅
を建てるのに十万か二十万の金を借りる。それが二日がかりでなければできないというようなところもありはしないか、こう想像できますが、
住宅
に困る人に金を貸してやるのだ、そういう名目のもとにごしらえる
法案
ならば、いま少し家を建てる人に親切丁寧に、しかもそう手数をかけないで金を貸してやれるように考える必要がありはしないか。この八つの
出張所
にもし行くとしますれば、相当手間がかかるでありましよう。もし一箇所で一万戸の処理をいたしますならば、これも相当の時間を要しなければならぬと考えます。そこでなお
一つ
伺いたいことは、私は、この
住宅
の貸金が七割五分であるということが、一体どこからこの数字を出したかわからない。金がないからこそこういう金を借りてやるのである。しかも二割五分の自己資金を持
つて
おるから必ず金が返せる、持
つて
おらぬから返せぬとは限らない。今まで
住宅
に対してはいろいろの資金の融通もあつたが、つまりこの状態で二割五分の自己資金がなければいかぬ。しかもこの
手続
方法
、審査
方法
で行きますならば、相当の期間がかかることはどうしても予想しなければならぬ。そこで今までの例にしましても、幾ばくかの自分の金があればあとは貸してもら
つて
家を建てるということがあつたと思いますが、そういう場合に、自己資金を寄託して、貸してもらう金を待
つて
おつたが、
手続
きが煩瑣で、とうとう自己資金を使
つて
しま
つて
も、貸してもらえなかつたというような例もあつたのでありますが、この場合にやはりああいつたはめに陥りはしないかという危惧の念にかられるのであります。そこでこの七割五分の貸金を、むしろ
住宅
に対しては全額貸すようにしたらどうかと考えますが、これについての御
意見
を承りたいと思います。
伊東五郎
17
○
伊東
(五)
政府委員
住宅
の建設費なり、土地の取得費の一〇〇%を貸すようにしたらどうかというお尋ねでございますが、 〔
委員長
退席、内海
委員長
代理着席〕
一つ
は
一般
の不動産金融の慣例から申しますと、むしろもつと低くして、最高七〇%ぐらいしか貸さないのが常識でございます。ただ
政府
資金による公庫の
貸付
でありますから、それよりも高率に貸してもよいじやないかというふうに考えるのでありますが、これも
程度
がありまして、担保物件などからにらみ合せまして、これを一〇〇%まで貸すということは、貸す方の側から申しますと、非常な危険があると思います。また一面
政府
の資金をできるだけ有効に活用したいという考えがありまして、できるだけ
民間
資金を動員したいという考えもありまして、これは何パーセントが適当でありますか、いろいろ研究いたしました結果、七五%というところにおちついたわけでございます。二五%の自己
負担
は、人によりましてはかなり重い
負担
になろうかとも考えますが、そういう場合になるべくその
負担
のできる
程度
の家をつくるということにしていただいて、ひとまずそういうことでや
つて
みたいと思
つて
おります。例を申し上げますと、かりに十坪の家をつくる場合に、十七万円かかる。これに七五%貸し
付け
まして、三割五分の一
負担
をしてもらうとしますと、四万三千円の
負担
になるわけでございます。また資力に応じまして、もう少し自己資金が調達できる場合には、大きな家をつく
つて
もいい。一軒の家という場合にはそう小さいものもありませんが、現に十坪の家は二間くらいで、庶民
住宅
の場合でもや
つて
おりますし、十坪とか九坪とかいうふうに、坪数で切下げて行く
方法
もありますし、
負担
に応じたものを建てていただくということで、ひとまずや
つて
いただくよりしようがないのじやないかと考えておるわけでございます。 それから先ほどちよつとお話がありました一支所一万戸というと、戸数が多くて非常に
手続
にひまどるではないかというお話でありますが、支所は七箇所置きますが、しかし実際の
事務
は銀行において調査をいたします。その銀行の店舗は全国的に相当適当な配分になるような見込みでございます。ですから一店舗当りの取扱い件数はそう多くならないと思います。また
工事
の方の審査をしますにしても、これは
地方
公共
団体
がずつと市町村まで
行つて
おりますから、そういうものを適当に利用しますと、
工事
の審査などもそうむやみにひまどるというようなことはないようにできると思いますし、またしなければならぬと思
つて
おります。二割五分の頭金で、建前なら建前まで進行した。そうしてあとの借りられる資金が遅れて、建ち腐れのようなことにならないようにやり得るものと考えております。
天野久
18
○
天野
(久)
委員
この
法案
の骨子は、一体
住宅
のない人を救おうということであります。しかも
住宅
を処理する人は、温厚そのものの、日本全国から慈父のごとく尊敬されておる
住宅局長
であります。その人の話を聞いても、全額貸してはあぶない、二割五分と
つて
おかなければあぶない、こういうようなことを考えられておる。金融の本旨から言つたならば、回収ということをまずも
つて
考えなければならぬのであるから、それはもつともの話でありますが、しかしこの法の精神は、
住宅
のない人に早く、家を建ててやろうということが、まず眼目でなければならぬ。そうしてしかもその金が三割五分あつたら、それでは必ず完全に行くか、あるいは金額貸したらあぶないか、こういうことは私はこの
法案
については考える必要はないと思う。そこでわれわれは今の
説明
を聞いて不安に思われるのは、ほんとうに無欲恬淡で国家の
行政
に盡される
住宅局長
がそう言われるのだから、今度は選定を出先の金融業者にまかせるとすれば、これは非常にぎごちないものが出て来る。金融業者は、その個性として、この貧乏やろう、倒されやしないか、倒されないようにするにはどすればいいか。貸してくださいと言
つて
も、あなたの資産はどのくらいあるか、どうだ、こうだと言
つて
、むずかしい調査條項を並べてなかなか貸してくれない。これが金融業者の本質である。しかも営業をも
つて
立
つて
いた人は、今までの得意先と申しましようか、
関係
者と申しましようか、そういうものがあ
つて
、自然そういう今までの
関係
者によけい決定するというようなことも考えなければならぬ。しかしこの
法案
から言えば、公庫が決定するとは言うが、しかし公庫が決定するには抽籤するのであ
つて
、その選に入るまでは、今の御
説明
で行けば金融業者がやる。こういうことは私は非常に不安である。しかも各
府県
にそれぞれの機関があるにかかわらず、一体何ゆえに
府県
の機関を除外してそういうところでやらなければならぬか。こういう点について
建設省
としてもいま少し真劍剣にお考えを願
つて
、この
法案
ができたならば、スムースに社会のために利用されるようにしてもらいたい。今までこういう
法案
ができて、かえ
つて
われわれは中間に立
つて
、
法案
そのものの利用価値がないとか、あるいはスムースに行かないとか、あるいはせつかくできても何にもならぬじやないかというようなことで、われわれは怨嗟の的になることが往々にしてあるのですが、この
法案
だけはそうでないようにしていただきたい。しかし今の
現状
のままで行くならば、おそらくスムースに行かないと考えますので、これがスムースに行くように考えていただきたい。 それからなお回収ということについて、二割五分の手持ち金がなければいけない。こういう
心配
があるにもかかわらず、これに対しては、その不動産、いわゆる
建築
した
建物
に対しての災害に対する保障というものが、どうも
規定
されておらない。どこか火災保險というものがあるような気がしましたが、火災保險をつけなければならないという
條文
はないように聞いております。大災、災害というものに対する保障は、どういうところでしておられるか、つまり回収ということだけではない、災害ということに対しても、相当考えて行かなければならぬのではないかと思います。もう
一つ
伺
つて
おきたいことは、これがもし返せなかつた場合に、どこがその
責任
を負
つて
、その損失の
負担
をするか、こういうことを承
つて
おきたいと思います。
舟山吉正
19
○舟山
政府委員
この
法案
は、
建設省
と大蔵省と共管でございまして、金融
方面
の問題につきましては、大蔵省の方でもいろいろ参画いたすわけでございますから、私の方からお答え申し上げたいと思います。 まずこの
法案
によりますと、幾らか手金がなければ
住宅
が建設できないのではないかという御質問でございますが、全然手金がない純然たる無資産者という方の
住宅
対策といたしましては、
地方
公営
住宅
というものをも
つて
充てたいと思いまして、これに対して
国庫
補助もいたしておる次第でございます。そのほかに若干の手金はあるが、なお資金の大部分は調達できないという人々のために、別途こちらの行き方でこれを救済したいということをこの
法案
で考えております。こういうことによりまして、一軒でも早く
住宅
が建てば、それだけ
住宅
緩和に資するのではないかという考え方でございまして、公営
住宅
の考え方と総合して、
一つ
の
住宅
対策にな
つて
おるということを御了承願いたいと思うのでございます。 さらに大蔵省的見地からみますると、従来
住宅
営団のごときものがございまして、これは借り手あるいは讓り受け手の方で一文の金も出ないというような扱いであつたのでありますが、そういたしますと、何だか人の
住宅
に入
つて
いるような気になりまして、なかなか年賦金も納めなければ、家の修理、保全というようなことにも力を盡さないで、住み荒してしまうという弊もあるように思いまして、こういう行き方も
一つ
の行き方ではないかというふうに考える次第でございます。 次に金融機関に審査をさすということは、必ずしも公正を期せられないのではないかという御疑念の点につきましても、公庫の直接の人員を非常にふやしまして、公務員によ
つて
処置するというようなことも、
一つ
の行き方であるかもしれないのでありますが、そういたしますと、公庫の費用というものはむやみにたくさんになります。またさしあた
つて
急場の間に合せなければならないということに対しまして、公庫の人員を集めてから始めるというようなことでは、なかなか
事務
の進捗をみないわけでございます。そこで
民間
の諸機関のうち、最も公共性のあると認められる金融機関の助けを借りるということを考えついたわけでございまして、こういたしますれば、特に公庫としては固定費用をそれほど投下することなく、ただちに借入れ申込みに対して審査をなし得る状態に入れるわけでございます。しかして金融機関につきましては、この
法律
の
規定
によりまして、公務員の扱いもいたしますし、また罰則の適用もございます。さらに公庫から金融機関に臨んで必要な検査もできるという建前にな
つて
おりまして、別途銀行
行政
の上からも、この
仕事
に関しましては、絶対に私のないように
監督
して行きたいと考えている次第でございます。金融機関といたしましては、
個人
の金融調査、あるいは勧業銀行等の銀行におきましては、不動産の取扱いというようなものに習熟いたしておりますから、即刻これが利用できるというので、この金融機関を利用することを考えついたような次第でございます。 次に災害の問題につきましては、
貸付
にあたりましては、約款をも
つて
火災保険は強制的につけさす方針でございまして、その保險料も、年賦金の出に込めて計算するという方針をとる予定でございます。それからなおこの体付金の返済がございませんときには、担保権を執行いたしまして、必要な元金の回収をはかるという方針でございます。
天野久
20
○
天野
(久)
委員
大蔵省の御
説明
によると、この
法案
はちようど金のない困
つて
おる人と、金のうんとある人との中間を行く
法案
だという御
説明
なら、あるいは一応そういうことも考えられるかもしれません。そこで承
つて
おきたいことは、この
住宅
というものは、今各
府県
でもそれぞれ
住宅
政策を立てて、何戸くらい足りないから、何戸くらい建
つて
行かなければならないか、いうようりなことをや
つて
おると思い出す。そうするとこの
貸付
金は、全国に対して大体割当てをするのか、それとも早く申し込んでたくさん
資格者
のあるところへ、どこへでもどんどんたくさん貸すのか、その辺は
建設省
としてはどんな考えを持
つて
おられますか。
伊東五郎
21
○
伊東
(五)
政府委員
この八万戸を各地域に割当てて行くということは、公共事業などの
関係
では、
地方
の予算の
関係
もありますから、そういう必要もあるのですが、この場合には、それぞれ
わく
を
地方別
にきめる、こういうことは必要なかろうと思います。また申込みを受
付け
るのを年に何回かいたしたいと思います。第一回に一応の
地方別
の
わく
をきめまして、それで申込みを受
付け
、そうして抽籤してや
つて
行く。こういう
方法
をまずとりまして、またその後の状況によりまして、第二回、第三回、年度内におきましても、その
地方別
の不均衡は是正しながらや
つて
、なるべくこの地域別の不公平のないように調整をして行きたいというふうに考えております。
天野久
22
○
天野
(久)
委員
今の局長の御
説明
で行くと、割当てはしないが、大体全国に平等に分布するようにするというように承
つて
さしつかえないわけですね。そういうことになりますと、これはどうしても私はこの決定に対して、やはり各
府県
がこれにどういう形かで参画して行くことが、その県の
住宅
政策の一環ともなりまするし、また金融業者だけにまかしておく上りかも、その方が公平に行くのではないかと考えますので、この決定に対し、私は計画その他に対して、県がこれに参画することを強く要望した、と思います。 それからなおこの貸金については、私は全額貸してやることを要望いたしますが、これは大蔵省の方の御
説明
によれば、その中間を行くのだということですが、そういうねらいであるならば、これもあるいは余儀ないかとも思います。 そこでこの貸金に対する利率でありますが、年五分五厘というものは、こういう性質の貸金としては、決して低利ではない。いま少しくこの利率を安くすることができないか、安くして、そうして完全な回收をはかるようにいたしてむらうことがよくはないか、このように考えますが、その点に対しての御
意見
を伺います。
舟山吉正
23
○舟山
政府委員
この資金は十年以上になるのでございますが、五分五厘という利率は、現在の金利から申しまして非常に安いものであると申さなければならぬと存じます。また金利状態が平常的な状態になりました場合を考えても、これは決して高くはないと考えておる次第であります。
伊東五郎
24
○
伊東
(五)
政府委員
府県
がこの
事務
に關與する必要があるというお話でありますが、この点につきましてちよつと御
説明
申し上げます。とりあえずの
わく
をきめたり、
地方
への資金の配分をきめたりするような場合には、もちろん
地方
の
住宅
政策を担当しております
都道府県
、あるいは市などの御
意見
は十分伺
つて
きめて行きたいと思
つて
おります。また
貸付
の決定に際しましても、これは公庫が決定するわけでありますが、これの
諮問機関
とでも申しますか、監査機関とでも申しますか、
府県
や
関係
の市などの、あるいは銀行とか、あるいは金融公庫といつたようなものから構成した協会のようなものをつく
つて
、そこで相談にあずかるとか、あるいは
意見
を述べるなり、そういうような形をと
つて
行きたいと思
つて
おります。
内海安吉
25
○内海
委員長
代理 砂間一良君。
砂間一良
26
○砂間
委員
きのう
大臣
の
提案理由
の
説明
を伺
つて
おりましても、
住宅
難は依然として緩和されず、国民生活の安定上放置することは許されないような状態にあるという御
説明
がありましたが、戰後
住宅
難が非常に深刻であるということはだれしも承知しておるところであります。そこでその
住宅
に一番困
つて
おる人はどういう階級の人であるかということを、まず最初に
住宅局長
にお伺いしたいと思います。
伊東五郎
27
○
伊東
(五)
政府委員
今日の
住宅
の
事情
は、長年の戰争と、それから終戰後の状態によりまして、世界に類例のないような異常な状態にあるわけでございます。
住宅
困窮者というものは、国民全般——都市と言わずあるいは町村と言わず、全般的に国民各階層を通じての問題じやないかというふうに考えております。
砂間一良
28
○砂間
委員
建設省
ではいろいろこれまで御調査などをなされておると思いますが、特に放置しておくことのできないような過密
住宅
に住んでおる人が相当あると思います。国民
一般
と申しましても、それは資本家もあれば労働者もある、金持もあれば貧乏人もあるわけですから、どういう階層の人かという点をお伺いしたい。それから労働階級だとか商工業者だということが一概に言えなければ、たとえば定收入が何万円以下くらいの人が今一番困
つて
おるかということをまずお伺いしたいと思います。これについては、大体
建設省
あたりでいろいろこれまで御調査に
なつ
た統計や何かであると思いますが、概略のところでけつこうですから、御
説明
願います。
伊東五郎
29
○
伊東
(五)
政府委員
実は收入別などの調査はございません。
住宅
がどういう
事情
にな
つて
おるかということは、一昨年調査費をいただいて全国的に調査をいたしましたが、そのときの收入別とか階層別という調査も突はないのでございます。しかし大体の見当はつきますし、それで進めて行くことができると思
つて
おります。
住宅
の困窮者は各階層を通じてあまねくあるわけでありますが、その中で、
政府
として資金的な援助をしなければならぬという階層はどうかと申しますと、むろんこれは
一般
のサラリーマンとか労働者とかいう階層になるものと思
つて
おります。
砂間一良
30
○砂間
委員
昨年十月の建設月報によりますと、東京においては、労務者の五一・五%が過密
住宅
で、
住宅
難にあえいでおるということが
建設省
のこの雑誌に発表されております。あるいはきのう
委員
部の方からいただきました
電気
事業経営者
会議
の方の請願書によりましても、
電気
事業においては、九万三千世帯の従業員のうち、三万一千世帶が
住宅
難に悩み、過密
住宅
や遠距離通勤のために困
つて
おるというふうなことが言われておりますが、大体におきまして、
住宅
難々々々と申しましても、この定額所得者、勤労階級の中でも、特に所得の少い階層の
人たち
が一番
住宅
に苦しんでおるということは間違いない事実だと思います。たとえば東京の世田ヶ谷
方面
に行きましても、あの狭いぼろ屋のようなところに何世帶も押し込まれまして、まつたく見るにたえないような悲惨なる生活を続けておるのは、これらの階層の
人たち
であります。これらの階層の
人たち
に
住宅
を供給するということこそ刻下の急務でなければならないのじやないかと思うのでありますが、はたしてそういう
人たち
に今度の
住宅
金融公庫による
住宅
の供給ができるかどうかという点をまずお伺いしたいと思います。
伊東五郎
31
○
伊東
(五)
政府委員
お話の
通り
、定額所得者、労働者に非常にたくさんの
住宅
困窮者がおることは事実でございます。しかしこれを階層別にどういう種類にな
つて
おるかという調査までないということを申し上げたわけで、抜き調査的に、ある会社についてあるときに調べたことはございますが、ただいま御引例になりましたようなものは、大体間違いなかろうと思
つて
おります。不良
住宅
とか、あるいは非常な過密
住宅
に住んでおられる方につきましては、これは最も対策は急を要するわけでありますが、
建設省
でや
つて
おります
住宅
対策としましては、先ほど
銀行局長
からもお話がありました
通り
、公共事業として国で補助をしまして、公共
団体
にや
つて
いただく賃貸
住宅
と、
住宅
金融公庫の融資による自己の
住宅
の建設、この両面からや
つて
おりまして、あらゆる場合を公庫の
貸付
によ
つて
解決できるとは考えておりません。この
貸付
によ
つて
、自己
住宅
をつく
つて
もらうということ自体が、やはりある
程度
の自己資金を持ち、ある
程度
の毎月の
償還能力
があるということを前提といたしますので、あらゆる場合に公庫でそれを
対象
にするというふうには考えておりません。ただ現在もう一方の方の公共事業というものが、予算の
関係
から十分でありませんので、そういう公庫の
対象
とならないような人の
住宅
問題の解決がなかなか急速に行きませんことはまことに残念でありますが、その方もますます努力いたしまして、並行して、両方で
住宅
対策を完璧にしたいというふうに考えておる次第であります。
砂間一良
32
○砂間
委員
それでは今ほんとうに
住宅
に一番困
つて
おる勤労階級の貧乏な
人たち
は、
国庫
補助による賃貸
住宅
の方でや
つて
行つて
、公庫の
貸付
金による
住宅
の建設ということは、もつと上の方の、裕福な
人たち
だけに貸してやるということを
目的
とした
法案
である、こういう御
説明
として受取
つて
よろしいのですか。
伊東五郎
33
○
伊東
(五)
政府委員
大体そういうことになると思います。こういう金融公庫におきましても、勤労者
一般
が
対象
になるようにはできるだけ考えたわけでありますが、おのずからやはり自分の家をつくるには、若干の自己資金を持たなければならぬというような点から行きまして、資産や收入に多少のゆとりのある人が
対象
になる。公共事業の方は
国庫
補助金のある貸家ですすから、比較的低い家賃を拂
つて
行けばいいというようなことから、おのずから
対象
が少し上下の差が出て来るものと思
つて
おります。
砂間一良
34
○砂間
委員
それでは主として低收入の勤労者に対する
住宅
の供給、これが今日
住宅
難で一番困
つて
いる。人数の上から言
つて
も全国的に一番多数を占める階層でありますが、こつちの方は
国庫
補助による賃貸し
住宅
でや
つて
行くというお話でありますから、その方をお伺いいたします。が、それでは昨年度はこの方の
国庫
補助が二十五億でありましたが、ことしは三十一億何ぼにな
つて
いる。これで去年は何戸建つたか。ことしはそれでは何戸建てられるか、あるいはその家賃が幾らかということをお伺いしたいと思います。
伊東五郎
35
○
伊東
(五)
政府委員
昨年度は三十五億の予算で大体二万五千戸建
つて
おります。二十五年度に三十一億の予算で二万七千戸できる予定でございます。家賃は当初のものは二、三百円くらいからりましたが、だんだん建設費が上
つて
参りまして、三十四年度、二十五年度は、
木造
の十坪
程度
の家で、人体全国平均しますと七、八百円
程度
になるようであります。
砂間一良
36
○砂間
委員
三百五十何万戸とかいうのが全国で不足しておるそうでありますが、そごへも
つて
来て二万五千戸や二万七千戸を建てた
つて
、それで
住宅
難が緩和されるということは、これは大海の一滴にも足りないと思うのです。しかもその家賃が七、八百円ということを今申されましたけれども、大体最近建
つて
おります鉄筋コンクリートやあるいはコンクリート・ブロックの
住宅
は、千円から千四、五百円の家賃のところが多いようであります。しかもこういう公営
住宅
で、賃貸し
住宅
で建つ戸数そのものが少いのですが、ここへ入れる人は定收八月一万円以上の証明を持
つて
来なければ受
付け
ないとか何とか言
つて
、結局一番
住宅
に困
つて
いる
人たち
には、まつたくよりつきがたい天上の花みたいにな
つて
いる。これでは国の
住宅
政策は何をや
つて
いるのかわからない。この一番困
つて
いる、そして一番多数の人に対して、
住宅
の供給ということは何もや
つて
いないということになるのですが、これではたしていいのだろうか。国の
住宅
政策を預か
つて
おられる
政府委員
として、もう少し
責任
ある御方針をお示しを願いたいと思うのです。
伊東五郎
37
○
伊東
(五)
政府委員
今お話のように、ある場合には、鉄筋コンクリートのアパートは千円くらいのがありますが、大体最近のもので七、八百円の家賃にな
つて
おります。この七、八百円の家賃というものが
一般
勤労者、定收入のある勤労者が支拂い得るかどうかということになりますが、大体大部分の庁は七、八百円
程度
の家賃は、今までや
つて
おりました
経験
から言いますと、拂い得るように思
つて
おります。これでもまだ抑えないというものにつきましては、これを引下げることは、実は現在や
つて
おりますのは、公共
団体
の企業としてや
つて
おりますので、
民間
の企業とは違いますが、それでも
一つ
の採算をと
つて
や
つて
おりますので、これ以上下げることは困難だと思います。あるいは補助率を引上げるとか、あるいは何かはかの
方法
で行くよりしようがないのではないかと思います。また別途に特別の階層の貧困者に対して家賃の補給をするというようなことも考えられますが、これは
住宅
政策と申しますよりは、生活の困窮者に対する政策といたしまして、われわれとしましてもいろいろ研究はいたしておりますが、もう少し広い問題だろうと思
つて
おります。なおこれにつきましては、とにかく小
住宅
がたくさんできますと、その方へだんだん移
つて
行く、そうして家が一方においてあいて来る。ゆとりもできて来るというようなことで、直接の
対象
になりませんでも、全般的に見ますと
住宅
難がそういう
方面
の
人たち
にもだんだん緩和して来るという道もありますので、決してこれがマイナスになるわけではないと思いますが、さらに一歩を進めて行く必要はあると考えますので、なおそういう点につきましても、研究を進めて行きたいと考えております。
砂間一良
38
○砂間
委員
今度公庫によ
つて
建てられる
住宅
の
償還金
、——火災保險その他合算いたしまして、毎月総計何千円くらいを償還して行けばよいという、大体の目安はどのくらいになりますか。
伊東五郎
39
○
伊東
(五)
政府委員
かりに十坪の
木造
の
住宅
を建てるといたしまして、地域によ
つて
建築
費が違いますが、かりに坪当り一万七千円かかるものといたしますと、建設費が十七万円、これに七五%
貸付
けまして、その金額が十二万七千円になります。これを五分五厘の利子で十五箇年間の均等償還にいたしますと、元利
償還金
千三百九十円ということになります。その他公庫との
関係
ではございませんが、家を持ちますと、税金とか火災保険などで若干
負担
があるわけでございます。
砂間一良
40
○砂間
委員
大体十坪の
木造
の家を建てましても、元利の償還だけでも千三百九十円になる、これに火災保険料だとか、あるいは家屋税だとか、その他の公租公課を含めますと、相当のものになると思います。私どもが先ほど
専門
委員
室からいただきました資料によりましても、十三坪の
木造
の家で最低千五百五十円くらいになるという計算が出ておりまして、千六、七百円から二千円以上ということになると思います。それだけの
償還能力
のある人でなければ、この公庫の金を借りて家を建てることができないという、そこに限界が引かれていると思うのです。ところがこれは公営の賃貸し
住宅
の家賃とも関連して来るわけですが、賃貸し
住宅
の方は最近
木造
で七、八百円ぐらいだというお話がありましたけれども、この七、八百円の家賃すら支拂えないのが今日の労働階級の
現状
であります。先ほど読み上げました建設月報の昨年の十月号の最近の
住宅
事情
によりましても、
昭和
二十三年十一月の東京の家賃は一世帶当り平均百四十五円ということにな
つて
おります。しかもこの古い家賃を標準にして、あの食
つて
行けないところの六千三百円ベースというものが組立てられているのでありまして、この賃金ベースでは食
つて
行けないから、これを何とか上げろということを私どもが何べんやかましく言いましても、
政府
はそれを一向改めようとしない。 〔内海
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 そして二十五年度の予算もそのまま組んでしまつた、というわけでありますが、こういう状況のもとにおきまして、賃貸し
住宅
にも入れない。まして千五百円から二千円以上も償還して行かなければならぬという公庫の
住宅
建設は、勤労階級にと
つて
は全然利用されない問題であるということを私は断言してもいいと思います。もし
住宅
難で一番困
つて
いる、また全国で一番多数を占めるところのこの
人たち
に、何らかの
方法
で
住宅
を提供して行こうというのが国の親心であるならば、これをやめてしま
つて
、もつと家賃を補助するとか、損得勘定でなくて、もつと社会政策的な立場からこの
住宅
政策が立案されなければならないと思うのです。そういう広い観点からいたしまして、
住宅局長
に日本の
住宅
政策の基本的な方針というものをこの機会にもう一ぺんはつきりと御言明願いたいと思います。
伊東五郎
41
○
伊東
(五)
政府委員
私どもの考えでは、勤労者の大部分のものにつきましては、公営
住宅
の家賃三分の一の補助をすることが当然であると思うのでありますが、七、八百円の家賃というものの
負担
は、現在食糧費その他相当上
つて
おりますし、賃金も非常に低いのでありますから非常に苦しいとは思いますが、ほんとうに家に困
つて
いる人ならばこの
程度
の家賃は拂えないことはないと思います。但しこの、家賃でもなお高い、
住宅
に困
つて
いるが、何とも手がないという人々に対しましては、さらに別な手を打つ必要があるのじやないかということは考えております。しかしこれは予算にも
関係
することでありますし、研究はいたしておりますが、三十五年度は実現できなかつたわけでございます。
砂間一良
42
○砂間
委員
住宅
不足が三百何十万戸と言われております。そして一番過密
住宅
でほ
つて
おけないものでも、大体八十万戸くらいあるということが言われております。これが賃貸し
住宅
が二万五千戸から二万七千戸、
住宅
公庫で八万戸くらい、合計十万か十一万戸くらいしかできて行かないわけでありますが、こんなことで一体いつに
なつ
たらこの
住宅
不足が緩和できるか、一方においては古い
木造
の家なんかどんどん腐朽して行くと思うのです。もう少しはつきりした
住宅
政策というか、そういう方針はお立てになることができないのですか。
伊東五郎
43
○
伊東
(五)
政府委員
三百数十万戸の
住宅
不足がございますが、その中で少くも八十万戸くらいは何とか
政府
なりあるいは公共
団体
なりの資金的な援助が必要であるというふうに考えております。そして長期計画と申しますか、五年計画でその
程度
のものを解消しようという一応の
事務
的な案は持
つて
おりますが、何分
住宅
のみならず、国としましてはいろいろ緊急な事業がたくさんあるわけでありますので、われわれの努力が足りませんことはまことにおはずかしいのでありますが、今年人は両方合せまして約十万戸
程度
しかできない、なお将来これをもう少しふやして、なるべく短かい間に
目的
を速成するように努力したいと思
つて
おります。
砂間一良
44
○砂間
委員
国庫
補助による賃貸し
住宅
は、家賃の
関係
で貧乏人には入れない、今度の
住宅
金融公庫はもつと上の金のある人でなければとても寄りつくことができないということになりますと、もう低收入の勤労階級はどこへも住むことができないわけなんです。ところが野ざらしにされて生きて行くわけにも参りませんので、ずいぶん見るにしのびないような悲惨な生活をや
つて
いるわけで、一方におきまして、前に
住宅
営団で建つた非常にそまつな家ですら、そういうところに住んでいる人もあるわけです。そういう
方面
についてはほとんど修理補修とか、維持管理ということがなされていないのですが、
住宅
金融公庫とは別でもいいのですから、あの
方面
でもう少し国費の補助をするなり何とか手入れをいたしまして、この
住宅
難を緩和して行くということはお考えにな
つて
おりませんか。
伊東五郎
45
○
伊東
(五)
政府委員
旧
住宅
営団の未処分の
建物
は御
説明
のように相当ひどいものがございます。修繕が行き届きませんで、雨漏りがあるとかいうようなものはずいぶんあるのでございますが、この方は実は今
閉鎖
機関に指定されておりまして、修繕などすることはできないことにな
つて
おりますので、できるだけ早くこれを処分いたしまして、なるべく安い価格で、できるだけ許される
範囲
におきまして入
つて
いるに買
つて
もらう、こういう方針で今度進めております。本人のものになりますと——比較的安い価格で拂い下げますと修繕などもできることと思
つて
おります。
一般
的に不良
住宅
、戦災にあわない
建物
でもかなり不良
住宅
が多い。ある場合によりましてはそれが集団しまして不良
住宅
地区というものを構成しているものもあるのでございますが、これは現在不良
住宅
地区改良法という
法律
もりつぱにあるわけなんですが、何分絶対数が足りませんで、家のない人のために家をつくることに急がれておりますので、不良地区を改良するというところまで手が延びておりませんが、これもわれわれの課題といたしまして、ごくひどいものからでも何とか融資なり補助なりの道を開いて、その地区の改良をするというふうに進めて行きたいと思
つて
おります。これも二十五年度はそこまで手が及ばなかつたわけであります。
砂間一良
46
○砂間
委員
安い値段で買
つて
もらうとい
つて
も、買う力がないのです。新しくつくる
住宅
に金を貸してやるくらいなら——古い
住宅
を買う購入資金を国が何とか公庫みたいなものでもつく
つて
貸してやるというようなことは全然考えておられないのですか。
伊東五郎
47
○
伊東
(五)
政府委員
売却の価格もできるだけ下げるということと、もう
一つ
は一時金では抑えないが、毎月の收入からだんだんなしくずしで拂
つて
行くならば返し得るのだという人々は多いのであります。
住宅
営団の処分につきましては、銀行から特別の融資の道を開いております。将来もそういうことで行けると思
つて
おります。
砂間一良
48
○砂間
委員
銀行から融資といいましても、これが普通は借りられないのですよ。今度の
住宅
公庫の場合にも、先ほど大野
委員
からいろいろご質問がありましたが、銀行に扱わせるといつたら、銀行は石橋をたたいて渡るような商売ですから、審査が非常に厳重になりまして、一番困
つて
いる人が家を建てたいとい
つて
も、そつちの方へまわ
つて
行かないことははつきりしていると思う。ですから、そういうことは單なる言いのがれにすぎない。少くとも勤労階級に対しては国の
住宅
対策は何ら立
つて
いない。どんなに困ろうが、雨ざらしになろうが、野ざらしになろうが、ほつたらかしておくと言
つて
も決して言い過ぎにならぬと思う。しかしそれはそれといたしまして、大蔵省の方もそこにお見えにな
つて
いるようですから、関連してお尋ねしたいと思うのですが、税金の
関係
です。今度は
地方
税法も改正になるわけですが、かりに十三坪の家を建てまして、それが三十万円くらいの建設費がかかるといたしますと、その家賃は新しい
地方
税法によりますと、どのくらいになりますか。さらにそれにいろいろな住民税の所得割だとか、
地方
税がかか
つて
来ると思うのですが、そういう税金の合計がどれくらいになりますか。地租もかか
つて
いると思うのですが……。
淺利三朗
49
○
淺利委員長
砂間君、あまり問題の
範囲
を拡張しないように願います。税法の問題までやると、なかなか際限がなくなりますから……。
舟山吉正
50
○舟山
政府委員
地方
税の問題につきましては、私の方で直接にはじいてみたものは持合せがありませんが、この
建設省
の資料はシヤウプ勧告案に基いて計算したものであります。
淺利三朗
51
○
淺利委員長
それでは
住宅
問題につきましては、次会に
質疑
を継続することといたしまして、本日はこの
程度
にとどめます。 —————————————
淺利三朗
52
○
淺利委員長
なお
主計局長
が見えておりますから、先刻
議題
とな
つて
残
つて
おりました
昭和
二十五年度における
災害復旧事業費国庫負担
法の
特例
に関する
法律案
について検討を行いたいと思います。 ちよつとお諮りいたします。まずも
つて
先に懇談をいたして、それから正式の討議、
質疑
に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
淺利三朗
53
○
淺利委員長
それではこれから懇談会に入ります。 ————◇————— 〔午後三時四十五分懇談会に入る〕 〔午後四時十四分懇談会を終る〕 ————◇—————
淺利三朗
54
○
淺利委員長
懇談前に引続き
会議
を開きます。 先刻懇談会において大蔵省・
主計局長
の
意見
もともとと承つたのであります。よ
つて
さきの
理事会
の協議及び先刻の懇談会の結果によ
つて
、先日
大蔵委員会
との合同
審議
の結果に基きまして、当
委員会
から
意見
を申し入れることに話がついたのであります。その
申入れ
の
事項
を一応読み上げます。
昭和
二十五年度における災害復旧 事業費
国庫
負担
の
特例
に関する件 律案に対する
申入れ
事項
昭和
二十五年度における
災害復旧事業費国庫負担
の
特例
に関する
法律案
ついて、過日来
大蔵委員会
と連合審査会を開会致した結果に基き、当
委員会
の修正
意見
を左の如く
申入れ
る。即ち 第
一條
に
規定
する災害復旧事業の
定義
と第三條に
規定
する災害復旧事業に対する全額
国庫
負担
の
範囲
とは当然一致せしめるべきであるから、第
二條
中括弧内全文は削除されたい。 四月六日 建設
委員長
淺利 三朗 大蔵
委員長
川野 芳滿殿 右のごとく申し入れることについて御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
淺利三朗
55
○
淺利委員長
御異議なければさよう決します。
手続
は
委員長
において取扱うことを御了承願います。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十一分散会