○高田
説明員 土地收用法の
改正につきまして御
説明申し上げたいと思います。あらかじめ先般お手元に土地收用法の要綱の案を刷
つて差上げてあるわけであります。また一応の案といたしまして、條文のものをお手元に差上げてあるわけでありますが、事柄が非常に複雑になりますので、一応要綱を中心に御
説明申し上げたいと思います。
まず土地收用法の
改正の必要の点でございますが、御承知の
通り土地收用法は明治三十三年の制定でございまして、今日まで数回の
改正を経ておるのでございますが、いずれも部分的な
改正の域を脱しておりま
せん。現行法の大体の骨子は、明治三十三年の制定にかかる土地收用法の構造を、ほぼそのまま受取りましてできておるのでございます。従いまして新憲法の施行されました今日におきましては、現行法はいろいろの点で改変を要する部分が出て参るわけであります。御承知の
通り土地收用法は、公共のために土地等を收用する事柄をきめますと同時に、收用の手続等を詳しく規定しておるのでございますが、手続の規定のいたし方が、今言
つたように新憲法のもとにおいては、ややそぐわないものがありますと同時に、他方土地を收用いたしますところの公益目的につきましても、時代の変遷に伴
つて若干の
改正を要する部分があるのでございます。また新憲法の施行後におきまして、いろいろな法律の
改正が行われております。たとえば国家公務員法とか地方自治法等の施行がございますが、これらの
法規との関連におきましても、やはり出直しをする必要があるのでございます。また文言その他にいたしましても、今日の時代におきましてはかなりそぐわない文言等があるのでございます。それらの点からいたしまして、先般来
改正の必要にかんがみまして、種々研究をいたしてお
つたのでございますが、一応現在成案を得ましたので、その要綱をまとめたわけでございます。その骨組みにつきましては、先ほど申しました
通り、お手元にお配りいたしました要綱で一応の骨組みをまとめた次第でございます。
次に要綱につきましてその要点を若干御
説明申し上げたいと思います。要綱の目次から、ちよつと御理解の便を考えまして、特に重点的にかわりました点を案で申しますと、要綱の第二でございますが、土地を收用使用することのできます公益
事業の範囲でございます。この公益
事業の点につきましては、要綱の第二にございますように、現行法に比べまして精細に土地を收用し得る
事業を法文の上でうた
つたわけでございます。要綱に添付いたしました別紙に一応の案が書いてございますが、現行法に比べましてかなり精細に法文をも
つてその
内容を明らかにしたわけでございます。いわば現行法よりかなり民主的な立法の
態度をと
つたわけでございます。この別紙の中で、特に重点的に新しく
改正になりました点をかいつまんで申し上げますと、別紙の五の「河水統制のためにするえん堤、水路、貯水池その他これに附帯する施設」それから十二の「道路運送法による一般乗合旅客運送
事業の用に供する施設」それから十八、十九、三十、三十一のところに列挙してございますように「国又は地方公共団体が所有し又は直接に運営する電気通信設備」でありますとか、電波監視のいろいろな諸施設、航空無線標識施設等の
種類、それから放送協会の放送設備等でございます。またその
あと若干申し上げますと、三十二ないし三十五にございますような事項、新しい法律ができまして、医療法でありますとか、あるいは身体障害者福祉法によりますところの諸施設、それから都市の防火施設といたしましての、都市
計画区域内の不燃性のコンクリートの
建築物等を考えておるわけでございます。三十五は鉱業法の
改正と歩調を合せまして、鉱業法に
関係いたしますところの坑口であるとか、坑井、選鉱等の諸施設をここに列挙したわけであります。新しく加わりました点は、今申し上げた
通りでございます。その他はほぼ現行法の運用でや
つておりますところを法文に現わしただけでございます。
次に大きな
改正の点を申し上げますと、第三の、收用のできる土地の制限、この第三の土地の制限につきましては、最近のいろいろな趨勢からいたしまして、公益
事業がただ一つの土地について競合する場合が出て参るのでございますが、それらの際に、
国民経済上国土の利用が適正となるような観点から、その土地の鑑定をいたすという趣旨のことを骨子としておるのでございます。
次に大きな
改正点は、第六並びに第七の收用
委員会の設置でございます。この点をかいつまんで申し上げますと、この案に類似いたしますものは、都道府県に收用審査会という組織がございます。これは知事を会長として、府県
会議員が五名、
関係の官公吏が三名で組織されております。この收用審査会の構成を民主的に
改正して、まず收用
委員会の
委員は議会の同意を経てこれを任命するということに改めたのであります。また従来は地方の府県だけに收用審査会があ
つたのでございますが、
改正案においては、諸般の必要上、中央に收用に関する
委員会を新たに設置したいと存じております。その構成は、地方と同様に、議会の同意を経て所定の学識経験者等から選任をいたすことを考えておるのでございます。
次に大きな
改正点を申し上げますと、第十並びに第十一、
事業の認定という点でございます。現行法によりますと、
事業の認定は、主務
大臣である
建設大臣が公益
事業の何たるかを法文に基いて認定するわけでありますが、この点を民主化して、まず利害
関係人の意見を広く聴取するという点を新しく設けました点と、またその
事業認定に際しましては收用
委員会の議決を経るということに改めまして、
事業認定の手続を民主化したわけであります。
その次の大きな
改正点を申し上げますと、收用審査会の審理でございますが、現行法の建前でございますと、非公開かつ書面審理でございますが、これを民主的に改めて、口頭かつ公開を原則といたすことに改めたのでございます。また裁決にあたりましては、現行法の場合よりは一段と特にその損失の補償につきまして十分の審議をする、という建前からいたしまして、まず收用、使用の裁決をいたしました後で、補償の裁決についてのみ十分の審議をするというふうに改めたのでございます。
以上が大きな点の
改正でございますが、こまかい点をさらに小さく申し上げますと、收用されました場合の買もどし権でございますが、買もどし権の行使にあたりましては、時価で買受けをするというような点を一応考えておるのでございます。また企業者が土地收用の手続をいたします際に、国家財政の見地からいたしまして、企業者側から所定の手数料を徴收したいというようなことを考えているのでございます。
以上申し上げましたのが大体の案でございますが、ただ收用法は非常に重要な法典でございまして、個人の権利にも影響いたしますことが非常に多い法律でございます。今申し上げましたのが一応の私
ども事務当局でつくりました案でございましてなおいろいろな方面からの意見も伺いまして、十分な検討を遂げて参りたいと思
つております。そういう趣旨でお聞取りをいただきたいと思います。
大体要綱の
説明は以上でございます。