○中田政府
委員 ただいま
委員長から念のために
お話がありました
通り、お
手元にお削りいたしました
地方開発法案と申しますのは、ま
つたく事務的に研究の途上にあるものを一応まとめたという程度でございまして、従いまして
建設省の省議、あるいは政府の決定というような
段階にまで立ち至
つておるわけではございませんが、何かの御
参考にという意味で申し上げる次第でございますので、何とぞその意味を御了承の上、お聞き取りあらんことをお願いしておきます。
ただいま
飯沼さんから御
説明がありました
国土開発法案、このことにつきましては、昨年
内閣に設けられました
審議会において御検討の上、御成案に
なつたものでございまして、すでに
総理大臣あて答申が出ておるわけでございます。この答申の趣意もなかなか御りつぱにできておるわけでございまして、かねてからこの種のものをどういう構想で立法化するかについて、多少の研究を怠らずにお
つた者といたしましては、
一つの有力な案として拜見したわけでございまして、ただいまこれから申し上げようといういわゆる
地方開発法案というのも、ただいま御
説明の
総理大臣への御答申の案を相当盛り込みまして、一案をものしたのでございます。従いましてその
内容等につきましては、かなり接近いたしておるやに
考えられます。従いまして條文ごとに御
説明するような煩を除けまして、ただいま
お話に
なつた法案と多少食い違
つておるというような点だけを、主として申し上げるということでお許しを願いたいと思います。
第一の点としまして、
国土総合開発委員会のものとされました案は三段構えで、中央では一国全体の
国土計画を立てる。中の中三階では
地方的ブロック的な
計画を立てる。一番の末端の
計画においては、いわゆる
府県を単位とするような三段構えに
考えてあるようでございますが、ここで御
説明する
地方開発法案におきましては、一段の
全国を対象とした
開発計画というものにつきましては、現
段階においてはなかなかむずかしい問題がある。これは御
承知でございましようが、
安定本部が例の産業
復興五箇年
計画というようなものも、十分な御努力に
なつておつくりに
なつたやに
承知いたしておりますが、これは
内閣のいろいろな都合で、まだ発表に至
つておりません。そういう意味もありますし、一国全体にまとめて
計画をするということはなかなかむずかしい問題なので、これはひとつ
地方の、ほんとうのやむにやまれぬ実情からしたところの
計画を立てて、その
計画が中央へ出てある程度もつともだということになれば、その方を進める方が比較的に地についた案になるではなかろうかという意味で、第一段のいわゆる
全国を対象とした
国土計画という方の問題は、一応これには遠慮いたしております。従いまして
地方開発法と名が示すがごとく、それぞれの
地方——これは県単位あるいは数
府県単位というようなものが中心になるわけでございましよう。また県単位と申しましても、県のまた下の特定の地域、たとえば山形県の最上地域とかいうように、まとま
つて計画が比較的わかりやすく、割合に
はつきりとした線でつくれ得るような、そういう地元の
計画というものをつく
つて行こうという意味での
地方開発、従
つてその
計画はまあ
地方的
計画ということに限定をいたした点でございます。この点が非常な大きな差ではないかと思います。しかしこれはまあそうは申しましても、
地方の
計画を中央で見る場合に、中央に何かあてばん的なものがないと判断ができないというりくつも成立ちますので、従
つて理論上から申しますと、全体の一国の
国土計画が概略でもできて、それを
地方にまかすというのも
一つのりくつでございますが、それはただいま申し上げましたような意味で、
地方の方からひとつ盛り上げてみたらどうかという意味でありますので、これも程度の問題ではないかと思いますが、一応遠慮した形で、
地方の方から積み上げて行こうかという意味にした点でございます。
その次に多少違いはしないかという感じを持ちますのは、
審議会を
地方なり、あるいは政府に設ける点は一致いたしております。その
審議会の性格等もほぼ大同小異でございます。ただ
一つ考え方として違
つております点は、
審議会というものが、政府とか県庁とか、そういうものの系統と別に、一番下の
審議会、その上にブロック
審議会、その上に中央
審議会、こういう
審議会がずつと上から下に下
つて行くような形になる。まあ広い意味の行政
機関の
一つではありますけれ
ども、
審議会が別な形でずつと上下につながるという形があり、
飯沼さんの御
説明になりました案の御趣旨のように思いますが、この案におきましては多少違いまして、やはり県知事が
計画を定めるのだ、但し
審議会という
一つの法的な
機関の議を経て定める。そこで一応県というものの行政の中にとけ込んで、それを今度中央へ持ち出す。中央におきましても、これを
審議するときにはもちろん中央の
審議会にかけますが、しかしこれをまた行政権にとけ込ますためには、やはり行政部である
内閣総理大臣という方に決定権を持たして行く。こういう形にいたしておるところが少し違いはせぬかと思います。しかしいずれにしても、
審議会というものの議を経るという点では、あまり違わないように存じます。
第三の点としましては、お
手元に配
つた案はたくさん修正するところがありますが、それをせずにそのまま差上げてありますので、ちよつと私が申し上げることと違う点があるかもしれませんが、いろいろと研究してみますと、なかなか行政官庁との
関係がむずかしいものでございますので、
飯沼さんの御
説明に
なつた案におきましては、
地方計画なり、
国土計画というものが決定になりますと、国なり
地方行政
機関は、これと違
つた施策をやる場合には、もう一ぺん
審議会に意見を開け、こういうことに
なつております。その意味ではある程度拘束するわけで、野放しではないわけであります。それに対してわれわれの今研究途上にあるところでは、とにかくできたものは県知事の所で決定し、また
内閣総理大臣で決定したものだから、
各省、各庁もろもろの
機関は、これを
あとう限り尊重して行かなければならぬという程度にとどめて、これと異なる場合には、もう一ぺん
審議会に意見を聞かなければならぬという拘束は、一応この行政の運用の妙にまかせた方がよいのではないかというような意味で、今修正研究をしつつございます。この点がかなりデリケートでございますが、むずかしい点なのであろうかと思います。つまり
審議会の決定版に対しては、行政官庁は大体において一応拘束を受けるのだぞという形に持
つて行くよりは、極力これを尊重して行くのだという程度にとどめて、
あとは運用の妙で行くというのも
一つの行き方ではないか。ことに今日の
各省が分立しておりまするところにおいて、一挙にそれをそのところに持
つて行くのもいかがなものか。ここは遠慮しいしい
考えて研究しておるようなわけでございます。その他の点につきましては、あまりかわりはございませんので、一応省略させていただきたいと思います。