○深澤
委員 ただいま
議題とな
つております
昭和二十二年度
一般会計歳入歳出決算並びに
昭和二十二年度
特別会計歳入歳出決算に関しまして、日本共産党を代表いたしまして不
承認の意を表明するものであります。
二十二年度
予算がはなはだしいインフレ
予算であるということは明らかでありまして、しかも前後十三回にわた
つて追加
予算を計上しておるという、まことに複雑怪奇の
予算であります。
一般会計だけ
收支の均衡をと
つておるという形でありますが、その赤字はすべて特別会計にしわ寄せをいたしまして、特別会計においては五百二十五億の公債、二百六億の借入れ金を計上しておるというような状態であります。この特別会計の赤字と復金の放漫融資が、インフレの最大原因となりまして、日本経済再建を阻害したということがあるのであります。またこれに加えまして各方面の不正腐敗をもたらしたということも、何人も否定することのできない事実でございます。特に
一般会計歳出二千五十八億の中に
終戰処理費がその三〇%以上を占め、
価格調整費はその二〇%以上を占めてお
つたのでありますが、この両者で、合計すれば五〇%以上を
一般会計の中で占めてお
つたのであります。この二つがいかに国民大衆の税を收奪して大独占企業者を太らせたかという点については、すでにこれは周知の事実であります。たとえば
終戰処理費のごときは概算拂いによ
つて一体金がどういうぐあいに流用され、どう整理されているかということがま
つたくわからないような状態であります。会計検査院もその弊害を認めざるを得ない乱脈ぶりをきわめてお
つたのであります。補給金に至
つては大企業資本の利潤を国家権力によ
つて保証する政策でありまして、それが独占資本との結合によ
つて苛酷なる大衆の收奪が行われたのであります。さらに戰後インフレの重大要因でありますところの
特殊物件についても、会計検査院の指摘せられているところはま
つたくほんの一部分でありまして、氷山の一角にすぎないのであります。これをめぐる不正腐敗、混乱についてはま
つたく明らかにされていない。この点について会計検査院の活動あるい監査というものは、はなはだ不十分であるという意味においてわれわれは不満の意を表するものであります。
また税金問題等につきましても、十分にこれが会計検査院としては監査が行われていないということをわれわれは指摘せざるを得ないのであります。
さらに会計検査院は
昭和電工の事件を取上げておるのでありますが、この取上げ方もきわめて不十分である。国会としてはこれら事件の政治的核心を徹底的に追究しなければならなか
つたわけであります。一
昭和電工にとどまらず、前復金融資関係の問題は、ま
つたく旧財閥等の大会社でありまして、これらの監査監督についてま
つたくずさんだ
つたということをわれわれは指摘しなければならないのであります。その及ぼした影響は実に大きいものであ
つて、ま
つたくこの責任追究はゆるめてはならない、こういう考えを持
つております。
これらの反面に
歳入におきましてはいよいよ税の加重が目立
つております。二十二年度におきまして、
一般会計におきましては税中心の方式が立てられました。しかも大衆課税が中心とな
つてお
つたのであります。他方におきましては、悪質税務官吏と結託したところの大会社の大きな脱税が半ば公然と行われまして、大衆に対する徴税は非常に苛酷をきわめるというような、反人民的な税收奪が行われたのであります。最近やや大会社の脱税等が摘発されているのでありますが、いずれもこれは二十二年度ごろから起
つた問題でありまして、実際の脱税高に至
つては、もつともつと想像もつかないほどの多額のものがあるということをわれわれは考えております。こういう点についても会計検査院の指摘はまことに不十分であ
つたということを言わざるを得ないのであります。
以上のような
昭和二十二年度の財政の紊乱、混乱はこの
決算の中にも現われているのであります。
歳入歳出とも多額の数字が符合していないという事実は、ただいまも民主自由党からも指摘されている通りであります。なお
收納未済額が前年度よりも激増しておるというような事実、臨時軍事費の結末がまだついていないという事実、
終戰処理費の整理が遅延しているという事実、それらの不当事実、
特殊物件の未解決等あらゆる面で国の財政は收拾がつかないという状況にあるのであります。こうして一遂にインフレをあお
つて人民大衆の窮乏化と、一部大独占資本の繁栄をはか
つて来たというのが、この二十二年度
予算であります。
従つてこの二十二年度
予算についてはま
つたく徹底的な追究と監査が行われなければならないにもかかわらず、はなはだ不十分であ
つたという意味において、われわれはこの二十二年度の二つの
決算に対しましては、
承認できないという意見を申し述べるものであります。