○木村(武)
政府委員 ただいま私の方の次長からお話がありました問題に大体包攝される問題が多いのでありますが、私どもの見ました鉱工品
貿易公団の問題は、実は御
承知のように特に不正事実をつつ込んで参るというような行き方ではないわけでございますので、そういうことでお聞き取りを願いたいと存じます。ただああいうふうな
事態がいかにも起り得るのではないかと思われるような環境と申しますか、背景と申しますか、雰囲気と申しますか、そういうふうなものが見られた、こういうことが私どもの見ました
公団の端々にあるのであります。第一は
業務部面と
経理部面が、特にこの
公団では
連絡協調ができてない、非常に遊離しておる、こういう問題でございます。その最も典型的な例は、各
商品部ごとに
経理課を持
つておるのであります。
経理部のほかに各
商品部ごとに
経理課を持
つておりまして、その
経理課が業者との間の入金、
支拂い、領收書の発行、こういうようなことをそれぞれの
経理課だけでやられる、こういうような
仕組みに
なつておるのであります。そこでいわゆるインターナル、チエックと申しますか、このような点に不備な点が見られるということになるわけであります。またこのそれぞれの
経理課が別々に取引銀行を持
つておる。これも非常におかしなことなんでありますが、全体で百十五という口座があ
つたのであります。いかにひどい乱雑な状況に
なつておるかということがこの一事でもわかると思うのであります。そこで本部の
経理部は、まさに一種の統計課と申しますか。
経理統計課というかつこうで、各
経理課から出て参ります
数字を統計にまとめるだけだ、こういうふうなかつこうに
なつていたのであります。そういう状況でその辺に非常なぐあいの悪い根源があ
つたのではないか。こういうふうに拜見いたしました。私ども実はただちに口座の
整理という問題につきましては勧告いたしまして、その結果、三月十八日に各
経理課の口座を本部へまとめて
——本部だけで三十口あ
つた、その本部の三十口を九口に
整理した、こういうようなことであります。もう
一つ、
業務、
経理の間の
連絡の不十分なことを申し上げますと、
一つの例をと
つて申し上げますと、機械部の車両課と機械部の
経理課の例でありますが、自転車の
売掛金があるのであります。これは一昨年の八月から十一月ごろにかけてや
つたのでありますが、まだその当時は自転車は国内でほしい時期でありまして、特に官庁
関係、学校の先生でありますとかいう向きにこれを向けたのであります。これが一億二千万円というような大きな
売掛金に
なつて浅
つております。その
売掛金の帳じりが
経理課と車両課でさつぱり突き合わない。こういうような状況が見られました。その原因はどこにあるかと突きとめてみますと、
経理課はさつぱり車両課からの
連絡がないので、ある
程度あてずつぽうで
売掛金を出しておる。この
公団ではいかにも筋だけは通
つておるのでありまして、
一つ一つの
商品のロットごとに損益計算を立てる、こういうようなことに
なつておる。これはまことに理論的には正しいと存ずるのであります。ところが今申し上げるように
連絡がさつぱりつかないものですから、用役費の
関係などはそれぞれの
業務課
所管で、仕入れ原価はわか
つておるけれども、
あとの用役費は
業務課からしつかりしたものが来なければわからぬ。それがさつぱり
連絡が来ないので、一応いいころかげんな、大体こんなところだろうというので計算を出しておると、いよいよ
業務課からほんとうの
売掛金の
連絡が来ると、実は非常に違
つたものである。こういうようなことであります。しつかりした伝票の
連絡がなくて、口頭またはメモだけで拂下げ数量だけを
連絡する、こういうようなことなどが見られたのであります。
もう
一つそれの行き違いの原因は、これなども
一つの大きな忌まわしい問題が起るような温床になるのですが、
経理課は
経理課で受取
つた約束手形を單に簿外で保管しておる。こういうようなことなどがその自転車
関係についてもある。そうすると、
業務課の方ではそれは銀行保証付の約束手形でありますので、純COD扱いにしてその
売掛金を落しておる。ところが
経理課では簿外でそれを單に保管しておるだけであ
つて、それをちやんと帳面につけておりませんので、その両者は突き合わない。こういうことなどが見られたわけであります。その辺にもいかにも
連絡が悪いというような問題があ
つたのであります。それから同じ機械部に造船資材の
売掛金があるのですが、これがやはり両方で突き合わない。われわれが調べました昨年の十月十五日現在で三千万円も違
つておる、こういうようなことであります。それから各部課が、これは
業務課、
経理課を通じてでありますが、今申し上げたのは
連絡の問題でありますが、それぞれ自体の
事務処理面におきましても相当ルーズな状況に
なつておる。先ほど申し上げました、
経理課が約束手形を簿外で保管しておるというのはその例でありますが、しかもその手形は銀行保証付の約束手形でありますから、期日が参りましたら、銀行に取立ての手続をすればよいわけですが、それを怠
つてお
つて、その期日が来てもそれを待
つてやる。二回も待
つてやる。こういうことで、何のための銀行保証付手形かわからない。こういう状況であります。
それからこれは
経理課ではなくて
業務課の方でありますが、
業務課の方で得意先前受金、先ほど次長から申し上げました中にも出て参りましたが、得意先前受金が二十四年の九月の末には五億でありました。それが十二月の試算表面を見ますとさらに十億にふくれておる。これは御
承知のように
整理ができないものを一応仮勘定として入れておるわけですが、こういうようなかつこうに
なつておる。どんどん得意先前受金がふえるということは、
整理か非常に遅滯しておるということを物語るものであります。反面非常に老齢な売掛がある。こんなことでは、ほんとうに真正の
売掛金というものが一体どういうものかさつぱりわからぬ。ほんとうに焦げついておる
売掛金がどんなものがあるかわからぬ。極端にいえば売掛の督促もできない。ほんとうの売掛状況がわからないから督促もできない。こういうような状況などが見られるのであります。
それから
公団は、御
承知のように輸入品は国有でありまして、それを保管しておるという形でありますが、この方面の代理取立未收金額非常に多いのであります。滯貨なども、この方面の昨年の八月末の滯貨から申しますと、二百七十億ぐらいのものを持
つてお
つて、その四〇%にあたる百十五億というようなものは、これはさしあたり売れる見込みがない。こういうものをかかえているのですが、その国有保管品
関係の特別会計につなが
つている代理取立が非常な未收に
なつております。老齢な未收売掛があるのです。二十三年度以前の分が全体の六・七%、約五億四千万円以上もある。こういうような状況であります。特に取立ての困難視されるものは、化学軽工品部
関係の薬品
関係、特殊輸入
関係のものであります。こういうものに相当取立ての困難な状況が見られるのであります。それからこの
公団では各支部、出張所からのつけかえ操作が非常に的確に行
つていない。こういうことのためにまた本部
経理部へ、すでに物は処分しているにかかわらず、正式に通知を送
つておらね、未達のものが十億円にも達しておる。こういう次第であります。
次は
手元資金の運用面の低効率の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように、
預金口座は二十四年九月末には百十五口というようなことに
なつている。金額で申し上げますと二十七億、こういうふうな
厖大なものを持
つているのでありますが、その半分は無利子の当座
預金にまわ
つておる。しかもその反面に常時八十億ぐらいの
貿易特別会計からの借入金をかかえておる。これには利子を拂わなければならぬ。こういう状況であります。そういう非常に
預金口座が多いということから来る結果だと思いますが、この
公団に限
つて私どもの見ました現象といたしまして、ふしぎにたえなか
つたのは、当座
預金の銀行帳じりと
公団帳じりの差が、毎月
公団帳じりの方は三億余円少い。銀行帳じりの方が多いということに
なつておりますし、また普通
預金でも、実に私どもふしぎでならないのでありますが、そういうところに今次の問題の発端があるのではないかと思いますが、十月末で
公団の帳じりで十四億六千万円、これは片方の銀行の帳じりは十九億六千万円、約五億も違
つている、こういうふうないかにもひどい状況に
なつております。私どもこういうふうな状況で銀行の釈明を求めますと、どうせ相手は銀行ですから銀行の帳じりを信頼していればいいじやありませんか、こういうふうなことを言われるのでありますが、ただいちずに銀行の帳じりをたよる、こういうふうなことでありますので、銀行でいろいろな操作が行われるというようなことがありましても、
公団側にイニシァチーブがないのでわからぬ。こういうふうな状況に陷
つているのであります。
それからこれはこの
公団だけに責任を持
つて行くというわけに行かない問題なのでありますが、第一はこの
公団が非常な滯貨をかかえておる。これは先ほど国有保管品の問題について申し上げましたことでありますが、輸出向の保有品の方にもさしあたり売れる見込みのないものが相当あるのであります。昨年の八月末現在でわれわれ相当精密に調査をいたしてみたのでありますが、輸出向の保有品
関係では大体二十八億くらいのものがそういう滯貨に
なつております。それから輸入保管品の中では八十六億くらいのものが滯貨に
なつておる。合計百十五億くらいのものが滯貨に
なつておる。そういうふうな状況で、このうちの輸出向の保有品の方は、これは日本側にある
程度イニシァチーブがありますので、その放出の問題もある
程度進んでおりますが、当時はこれはこちら側にあまり輸入保有品についてはイニシァチーブがないというような状況で、さつぱり放出の手配が進んでおらぬ。こういうふうな状況が見られるのであります。これはごく最近の状況といたしましては、いくらか情勢がかわ
つて来ております。
それから同じくこの
公団に問題を持
つて行くわけには行かない問題でありますが、原材料
貿易公団というのが昨年の三月に解散いたしております。これをこの
公団が物の面、それから
売掛金の面、両面とも家は引継いでおるのでありますが、それが物の面も
売掛金の面も正確に一体幾ら引継いだのか、それが今も
つてはつきりしない。こういうふうなまことにおかしな状況に
なつております。これは今せつかくわれわれの方としても
事態を追究いたしておるので、もう少しいたしましてもつと計数的にはつきり申し上げた方がいいのではないかと思います。そういうふうな状況に
なつております。今の
段階では、たとえば造船の資材の
売掛金などは、造船所側に私の方に一体買掛金が幾らおありですかということを聞いて歩いて、それによ
つてこつちの
売掛金を立てるというような本末転倒のような状態に陷
つているのであります。
それから次は
保管料の
支拂い状況でありますが、この
公団では先ほど次長の申し上げましたように、形式的には昨年の十二月に買取価格を相当に引下げる
措置を講じておりますが、それが末端に徹底いたしておりません。ところが先ほど申し上げましたように、この
公団は非常な
厖大な滯貨をかかえておる。そうしてこの滯貨はほとんど売れる見込みすらないというようなことであるのに、いわゆる
帳簿価格で中間利潤で
保管料どんどんとられる。この面で非常なロスを日々生じておるような状況であります。よほど徹底した
措置を講じませんと、この面で損がかさむこういうふうな面があるのであります。
それから保險料も
支拂いの操作ができない。これは総裁なども新聞で言
つておりましたように、オープン・ポリシーで総裁名義で契約いたしておりますが、その契約は必ず代理店を通じてや
つておる。そうしてその保險料の
支拂い、保險金の受取りというようなことは、これは直接保險会社と
公団がやる。ところが実際の実務というものは、ほとんど代理店がやらないにもかかわらず、その代理店に必ず手数料がプールとしてたまる。こういうふうなかつこうに
なつておるのでありまして、その面でいろいろこの
公団の保險料の
操作面が、あまり明朗でないというような感じがいたすのであります。これは今度の四月一日から、先ほど申し上げましたように、全
公団一斉に自家保險料積立金制度になりましたので、その
意味で拔本的に改善されたということになるのであります。保險
求償率を見ますと、
公団が直接保護をいたしましたもので、代行業者を使
つて、代行業者の中で、手数料が保險に入らない部分は除いておりますが、創始以来の保險の
求償率を見ますと、全
公団の平均は、一五%ということに
なつておりましたが、その
公団は六〇%というような非常に低いものであります。
それから
最後に、保有、保管
物資の出納管理状況でありますが、これは制度としては、実は正直に申し上げまして、この点で私ども若干この
公団にごまかされたと言
つて語弊がありますが、この
公団はがつちりや
つておるのではないかというふうに
考えたのです。
公団自身がデリヴアリー・オーダーを切りまして、ほかの纎維
公団なんかと違
つたやり方をや
つて、がつちりしておりますので、若干そういう点でがつちりしているのではないかと思いますが、実際面では、決してそんなにがつちりしておりませんで、先ほど申し上げましたような前者の場合などでごらんになりますように、インターナル・チェックもさつぱりできておらぬ。こういうようなことで、
公団帳簿面と
公団の実際の数量と、相当違いがあるのではないか、こういうような点が見られるのであります。これは先ほど次長からお話がありましたように、私どもの
物資調査部の方で、せつかくただいまいろいろ調査をいたしておるのであります。そのうちに資料が出て参りますと、その辺が相当はつきりして来るのではないかと思われるのであります。
大体今までの
鉱工品公団の
監査の中間の
所見を申し上げますと、以上のように
なつおります。