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1950-04-15 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十五日(土曜日)     午後二時四十分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 小川 平二君 理事 金光 義邦君    理事 多田  勇君 理事 永井 英修君    理事 森   曉君 理事 勝間田清一君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君    理事 高倉 定助君       田中不破三君    森山 欽司君       竹山祐太郎君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 久之君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   安田善一郎君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  事業者団体法に関する件   請 願  一 北海道家庭暖房用炭特別価格設定の請    願(柄澤登志子君外一名紹介)(第三七五    号)  二 同(岡田春夫君外一名紹介)(第三七六    号)  三 旅館宿泊料金に対する統制撤廃請願(畠    山鶴吉君外二名紹介)(第五五五号)  四 旅館における主食取扱に関する請願(小笠    原八十美君外二名紹介)(第五五七号)  五 塗料の統制撤廃に関する請願佐藤榮作君    紹令)(第九四一号)  六 国産油脂統制撤廃に関する請願佐藤榮    佃君紹介)(第一〇七〇号)  七 生鮮水産物統制撤廃に関する請願(小松    勇次君外二名紹介)(第一一四一号)  八 旅館における主食取扱に関する請願小川    半次君紹介)(第一一五八号)  九 労務者用配給物資特別価格設定請願(    田島ひで紹介)(第一三二一号) 一〇 労務用物資配給に関する請願春日正一君    外一名紹介)(第一六三六号) 一一 労務用配給物資特別価格設定請願(門    司亮紹介)(第一八九五号) 一二 家賃値上げ反対に関する請願砂聞一良君    外二名紹介)(第二一六八号) 一三 発電用布油類増配に関する請願外一件(佐    々木秀世紹介)(第二九一号)   陳情書  一 まぐろ、ぶりの統制撤廃に関する陳情書    (第四四号)  二 新聞用紙統制撤廃反対陳情書    (第五七七号)  三 同外二件(    第五八九号)  四 新聞用紙統制撤廃反対陳情書外三件    (第六二〇号)  五 新聞用紙統制撤廃反対陳情書    (第六八二号)  六 新聞用紙統制撤廃反対陳情書外七十二件    (第    七五四号)     ―――――――――――――
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  これより本委員会に付託せられました請願審査に入ります。本日審査予定請願は十三件でありますが日程第一より第一〇までの請願については、すでに前回の委員会において紹介議員紹介説明政府意見を聽取いたしておりますので、本日は日程第一一より第一三の三件について審査することといたします。  まず日程第一二、家賃値上げ反対に関する請願について紹介議員説明を求めます。
  3. 米原昶

    米原委員 紹介議員が欠席しておりますから、かわつて請願趣旨を申し上げます。紹介議員砂間一良君、立花敏男君、池田峯雄君の三名で、請願者全日本借家人組合中央本部平岡平吉君外九千七百四十八名の請願であります。  請願趣旨は、最近家賃値上げする案が計画されていて、これは物価庁長官委任條項になつておる。しかしながら現在の社会情勢賃金の遅欠佛い、重税、金詰まり等で、非常に人民が苦しんでいる状態なので、社会実情に適応しないような値上げが行われる場合には、非常に困るから、これをそういう社会実情に適応しない値上げを阻止されるように請願するこういう簡單な趣旨であります。     ―――――――――――――
  4. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 次に日程第一一、労務用配給物資特別価格設定請願日程第一三、発電用石油類増配に関する請願について紹介議員紹介説明を求めます。
  5. 永井英修

    永井(英)委員 紹介議員門司亮君がおられませんので、私がかわつて説明申し上げます。請願者は横浜市の高木武三郎君外四名であります。  請願要旨は、労働者に対する生活物資配給は、昭和二十三年五月二十一日経済安定本部訓令第三十一号に基き、これに示されている生産増強勤労意欲向上及び勤労生活の安定に資する目的のもとに実施されているのであるが、現下の経済情勢のもとにおいては、労働者にとつて実質賃金の裏づけとして切実な影響を持つものとなつております。ところがこの配給価格は、数次の改訂によつて次第にやみ物価に接近した高いものとなり、労働者にとつて非常な過重負担となつておりますごとに衣料品においてはなはだしく、必要だが高いので買えないという状態で、やむを得ず配給を辞退する者の数も増加している現状でありますごの高価格実質賃金の低下であり、勤労生活の安定に資するという労務用物資配給目的を満たすことができないのみでなく、労働者に惡感情、不満を抱かせることとなつて、かえつてその目的に反するものであります。生産をなすための必需物資であること、勤労生活の安定によつて生産意欲向上するための配給であること、実質賃金向上、これらの点からして良質品を低廉な価格配給することは、当然考慮されなければならないものと考えられますごとに賃金の遅欠佛い等の増加らつある現在の社会情勢のもとにおいては一層にその必要を強く感ずるものであります。酒、タバコは、一般公定価以下の特別価格をもつて配給されているのであるから、衣料品その他についても、生産配給径路方法改善等あらゆる面から検討して、右の物資同様特別価格設定されんことを切望する次第であります。  それから日程第一三の発電用石油類増配に関する請願であります。紹介議員佐々木秀世君でありますが、おりませんので、私がかわつて説明申し上げます。請願人焼尻電気協同組合長武田幸吉君であります。  請願趣旨は、北海道西北部沖合漁業振興並びに交通の完備に伴い、日本再建の一端として、本島の文化施設産業増産目的として、去る昭和二十三年三月に電化施設村民の熱意により完成を見るに至りました。同年三月より送電いたしましたが、離島なるがゆえ、内燃機による発電のため重油の必要は申すに及ばないところであります。しかるに重油は必要量申請いたしても、その三分の一にも満たざる割当にて、終夜運転ほもとより、現在は夜間五時間の点燈だけで産業増産文化施設村民に満足を與えられず、種々の影響を来しておるような状態でありますので、事情御賢察の上、爾今別紙使用量増配方何分の御高配願いたいのであります。増配重別紙にありますので略します。
  6. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいま紹介説明されました請願について政府参考意見を求めます。
  7. 西村久之

    西村(久)政府委員 まず日程第一二の家賃値上げ反対に関する請願について政府の所見を申し述べてみたいと思います。請願者の御趣旨政府といたしましても了承するのでありますが、御承知の通り地方税制改正に伴いまして、固定資産税等税増牧等関係をも考慮に入れますならば、現在の家賃をそのままに存置することは、適当でなかろうと存ずるので、適正なるところまでは家賃値上げしなければならないではないか考えておるわけであります。ただ請願者の御趣旨通り、不当な値上げに対しましては、請願趣旨に沿うように極力これを避ける方針をとりたい、かように考えております。  日程第一一の労務用配給物資特別価格設定をしてもらいたいという請願の御趣意でありますが、今日の段階におきましては、労務者用配給物資特定価格を設けるということは、政府として考えておらないのであります。配給統制を撤廃いたします関係上、だんだん労務用物資もおのずから自然価格において労務者がすきに買われる段階に入りつつある今日、特別価格設定することは好ましくない、かように考えておるからであります。  日程第一三の発電用石油類増配に関する請願でありますが、この請願の御趣意はもつともだと考えますが、石油類に関する件は、その内容がすこぶる複雑でありますので、政府といたしましては、つとめて石油類増配をいたしまして、請願趣意に沿うように努力いたしたい、かように考えております。
  8. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまの政府当局意見に対し、質疑があればこれを許します。
  9. 多田勇

    多田委員 委員長請願取扱いについて動議を提出いたします。本日の請願日程中、第三ないし第六、第八ないし第一三の各請願は、いずれもその趣旨において至当と認められ、政府において適当にその処置を講ずべきものと思われますので、いずれも議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決し、日程第一、第二及び第七の請願は、議院会議に付するを要しないものと議決せられんことを望みます。  なお陳情書取扱いについては、委員長に御一任されんことを望みます。
  10. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまの多田委員動議に御異議ありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御異議なしと認め、それでは本日の請願日程中、第三ないし第六、第八ないし第二二の各請願は、いずれも議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決し、日程第一、第二及び第七の請願は、議院会議に付するを要しないものと決定いたします。  なお陳情書は、いずれも委員会において了承ということに決定いたします。  さらに請願に関する報告書の作成その他については、委員長に御一任願いたいと存じます。
  12. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それではこれより引続き、事業者団体法に関する小委員長報告を聽取いたします。多田委員
  13. 多田勇

    多田委員 事業者国体法に関する小委員会経過を御報告申し上げます。  去る三月十四日の経済安定委員会において、事業者団体法に関する小委員会の設置が決定されましたが、小委員会のその後の経過について御報告申し上げます。  事業者国体法に関する小委員会は、三月十四日に第一回の懇談会を開きまして、団体法改正に関する方針を協議いたしました。その結果、一、公正取引委員会から今日まで同委員会が努力して参りました改正案に対する経過を聽取すること。二、関係企業者より事情を聽取することを決定いたしましたので、三月十六日には、まず公正取引委員会より実情を聽取いたしました。引続き三月二十三日には、参考人として日本商工会議所常務理事細野孝一氏、経済団体連合会産業部長仲矢虎夫氏を、三月二十八日には中小企業連盟常務理事稲川宮雄氏を、三月三十日には経済同友会野田信夫氏を招き、それぞれ事業毒団体法に関する関係業界意見を聽取いたしました。これら各参考人の申し述べました意見要旨は、大体次の通りであります。  まず公正取引委員会意見要旨を申し上げます。事業者団体法改正については、独禁法の一部改正もあり、二十四年四月以来、数回にわたつて関係筋と折衝し、十月に最終意見をとりまとめて提出しましたが、遂に未解決のまま今日に至つております。改正案の要点は、団体法の  一、禁止行為を明確にすること。  二、適用除外を認める事業を明らかにすること。の二点でありますが、これに対する関係筋見解はおおむね次の諸点であります。  一、団体法を弱体化することはいけない。  二、団体法を弱めても、独禁法を強めるならよい。  三、団体法の形式をかえることは避けたい。  四、団体法適用範囲を狭めることはよくない。  五、私的団体統制行為はよくない。  六、適用除外は認めない。  七、結合による弱体企業を保護するとはいけない。  八、外国貿易業者の結合は禁止されている。 以上の考え方に基きまして、恒久立法としての団体法の変更は好ましくないが、臨時立法として取扱つたらとの意見でありましたが、その後の正式回答では、「改正は好ましくない」と示され、「公正取引委員会は法の実施機関であるから、改正案に關與することは賛成しがたい」「他の機関がやることはかまわない」との意向が明らかにされましたので、公正取引委員会としま、ては、その後団体法改正については、見送りのまま今日に及んでいるというのであります。  次に、日本商工会議所常務理事細野孝一氏の意見要旨を申し上げます。  第一に、事業者団体法一般については  一、第二條定義規定は、事業者団体対象範囲が必要以上に広汎に過ぎるため、企業合理化及び生産の増強に消極的影響を及ぼすから自由企業自由競争下経済秩序に対する法益侵害の必然性ある事業者団体のみを対象とするよう最小限度に改めること。  二、第四條の許容活動規定は全面的にこれを削除し、禁止行為以外はすべて適法活動とすること。  三、第四條規定全面削除が困難な場合は、第八條から「第四條第一項各号に掲げる許容活動範囲を越える行為または」の事項を削ること。  四、第五條第一項禁止行為規定中、左記各号を次のように改めること。   イ、第九号後段で、株式及び社債所有禁止されているが、資産保全等のため、他を支配ぜざる範囲内で株式及び社債所有することは、これを認めること。   ロ、第十号で、自然科学研究施設所有及び経営禁止されているが、独禁並びに不当な取引制限を伴わない場合は、これを認めること。   ハ、第十号で特許権所有支配等禁止されているが、日本経済の自立を早めるため、本規定を緩和すること。   ニ、第十二号により、融資行為禁止されているが、融資並びに連帯債務保証をなし得るように緩和すること。   ホ、第十四号で取引代理行為禁止されてるが、代理人となり、または契約をすること養強制的または半強制的にわたらざる場合は、これを認めるようにすること。   へ、第十五号で集金行為禁止されているが、任意に委託を受けてなす集金行為はこれを認めること。  第二に事業者団体法上、商工会議所特例については、会議所公共的性格にかんがみ、次の特例を認められたいこと。  (一) 第五條禁止行為)第一項中   イ、第六号で特定の事業者に対する利益または不利益供與行為禁止されているが、公正な手段で調査、選定、推奨等をする場合は、これを認めるよう改められたいこと。   ロ、第九号前段で、営業施設所有経営禁止されているが、商工会議所附帯事業として、営利を目的とせずに、商工業振興並びに一般市民の利便のためにする施設所有及び経営する場合は認められたいこと。   ハ、第十六号で、紛争の仲裁もしくは解決の行為禁止されているが、商工会議所が長く仲裁機関として業界の信頼により、公正な取引の運営に寄與した歴史的使命等にかんがみても商工会議所をして本行為をなし得るように特例を認められたいこと。  (ニ) 第六條(適用除外団体)第一項第四号中に、社団法人たる商工会議所を追加されたいこと、以上が商工会議所意見でありました。  さらに、経済団体連合会産業部長仲矢虎夫氏の意見要旨について申し上げます。同氏は二つの場合にわけて意見を述べられました。その第一は、団体法の廃止が可能な場合であり、その場合には次の処置を望みたい。  (一) 団体法は全面的に廃止すること。  (二) 独禁法第四條(共同行為禁止事項)、第五條独禁団体禁止事項)及び第六條(国際協定禁止事項)のそれぞれに「但し、公正取引委員会国民経済的見地から必要ありと認める場合はこの限りではない」との但書を加えること  (三) 第六條については、但書を加えるよりも、「輸出業法」のごとき特別法を制定した方がもつと適切であること  第二は団体法の廃止が不可能な場合であり、その場合の要望は、  (一) 輸出ダンピングの防止、品質検査等のため輸出業法を制定すること。  (二) 国内ダンピング防止のため、政府が認めた最低価格以下に販売しないことの協定を認めること  (三) 事業者団体法第四條の許容活動規定を削ること。  (四) 事業者団体法五條第一項の禁止行為のうち第九号(営業用施設所有経営または株式社債所有)、第十一号(特許権所有、支配又は特許発明実施許諾共同利用の斡旋など)、第十二号(構成事業費その他の者に融資すること)、第十四号(構成事業者その他の者のため、取引代理人となり、取引契約をすること)、第十五号(同集会を行うと)に、それに関し、公正取引委員会の認可を受けて行う場合はこの限りではない」との但書を加えること  というのであります。  さらに中小企業連盟常務理事稻川宮雄氏の意見要旨は次の通りであります。すなわち事業者団体法の適用について、中小企業者に対し特に考慮願いたい点は、  一、団体法には第四條の許容活動條項と、第五條禁止行為條項とがあるが、これは第五條だけで十分であるから、第四條は残すとしても例示にとどめること  二、第五條禁止條項はきびし過ぎるから改正を望みたい。たとえば営業用施設所有、資材のあつせん、集金等は許すように改正してほしいこと  三、第二條が定義で会社を取締つているが、どの程度の会社がいけないのか、独禁法で取締れるのだから、団体法会社もしばることはやめてほしいこと、  四、中小企業連合体事業が行えぬごとになつているが、連合体にも経済活動を認めてほしいこと  五、団体法独禁法補完立法だが、デフレ期の濫売は独禁法でも取締れるが、団体で協定してダンピングを防止する必要があるから、中小企業者団体にはある程度協定させるようにしてほしいこと。  六、団体法第六條第一項第一号の規定を第二号に移してほしい。すなわち中小企業協同組合法農業協同組合法とともに第二号に移すことが適当であるからである。というのであります。  最後に経済同友会野田信夫氏の意見要旨を申し上げますと、同氏は二つの面から事業者団体法を問題にしたい。すなわち、一、日本経済の立て直し、振興の面からと二、日本産業の更生の面からであると前提して、次のように申し述べられました。  事業者団体法禁止行為許容活動とを並べているが、独禁法があれば、この法律は大体においてなくともよい。具体的に例示して禁止行為許容活動とを並べて行くことは、日本産業に惡い影響を伴う。すなわち、禁止の時も、許容の時も全面的にやられることになりおもしろくない。むしろ必要がある場合は部分的にとめればよい。  第五條禁止行為中一号から四号までは、独禁法があれば当然のことであり、九号から十二号までは不当な制限であると思う。  活動行為は自由にさせておいて、結果を見た上で、公正取引委員会が処置すべきものと思うごとに中小企業に公正な競争條件を整えてやるため、不当な制限條項はとりやめる必要があろ。現在の單位はあまりに小さ過ぎるし、中小企業の中堅どころは除外例に入つていない点に問題がある。  さらに第二條の定義で、事業毒団体の意味を非常に広くとつている点に支障があり、これは営利を目的とするものに限りてよいと思う。  以上が小委員会において聽取いたしました各参考人意見要旨であります。  本委員会は以上申し述べました参考意見を参酌するとともに小委員会独自の見解に基いて、数次にわたり検討を重ね、その間事業者団体法はこれを廃止して、独禁法一本によるべきこと、あるいは事業輩団体法は全面的に改正すべしなどの論議も行われましたが、結局次のごとき結論に達しました。  すなわち現行事業者団体法日本経済民主化の一環として、統制団体の転換に伴う措置を明らかにする必要から、一面また独禁法を裏づける役割もになつて、共通の利益の増進を目的に含む事業者のあらゆる結合形態に対する活動基準法たる性格を持つものでありますが、第二国会において制定されました当時から、すでに団体活動制限を加えるものであるとの批判を受けていたものであります。加うるにその後本法の施行以来、日本経済民主化段階の進行と、日本経済インフレ收束に伴う経済活動上の諸困難は、各種事業者、ことに中小企業形態をとる事業者をして、独力による正しい事業活動の送行能力を阻害するの状況に立ち至らしめ、事業者が生きるために相協力して共同の措置をとることの必要をはげしく要請されるに至つておるのであります。  このときにあたりまして、事業者団体の正当な活動範囲を定める事業者団体法の諸條項は、これら事業者の希望と意欲と必要とにこたえられない事情にあるのであります。さきに第五回国会においで独禁法改正されましたときにおいても、それに関連しまして団体法改正を要する條項もあつたのでありますが、これもそのままになつておるのが現状であります。このことは正しい中小企業者共同事業活動を抑制する結果を生み出すばかりでなく、逆に独禁法において禁止している私的独占を容易にする事態を引起す素地を培養しているという結果をも生んでいるのであります。これは日本経済民主化のためにも好ましいことでないばかりでなく、独禁法制定精神をよりよく生かし、日本経済民主化をさらに意義あらしめるためにも望ましくないことなのであります。小委員会はかかる見解に基き、独禁法制定精神をよりよく生かすとともに、日本経済民主化に新たなる意義を加えるために、事業者団体法改正を行うべしとの結論に達したのであります。  次に以上の見解に基いて、事業者団体法改正するにあたりましては、その改正方針を次点に置いたのであります。すなわち全面的な改正はしばらく他の機会に譲ることとし、この際は当面必要な部分的、実際的改正を行い、日本経済民主化のために独禁法精神を生かすことに努め、そのための事業者活動障害除却に役立てることといたしたのであります。従つて改正案の重点は、事業者団体法具体的内容規定する第四條の許容活動條項と第五條禁止行為條項と第六條の適用除外団体とに置いたのであります。すなわち  一、第四條の許容活動條項例示條項に改め、これによつて従来ややともすれば禁止的規定であると批判されがちな同條の許容性格を例示的に明らかにしたこと。  二、第五條禁止行為條項は、整備の上緩和することとし、予防的、準備的段階にある行為は、これを禁止行為から除外したこと。  三、第六條の適用除外団体條項のほかに、新たに第六條の二を新設して、小規模な適用除外会社を認めることとしたこと。  以上三点に改正の重点を置いたのでありますごのほか本條項改正に伴う必要な條項の整備を行つたのであります。  次に改正草案について申し上げます。お手元に配つてあります草案を朗読いたします。     事業者団体法の一部を改正する草案   事業者団体法昭和二十三年法律百九十一号)の一部を次のように改正する。   第四條第一項中「に限り、これ」を削り、同項第三号中「第五條第三項の規定により、自然科学研究を実施するための施設所有し、又は経営することの認可を受けた場合において、当該」を「自然科学研究を実施するための」に同項第四中「のみによつて、行うこと」を「によつて、行うこと」に、同項第十号中「公正取引委員会の認可した」を「当該事業者団体目的を達成するために必要な」に改める。   同條第二項及び第三項を削る。   第五條第一項第二号中「第四條第一項各号の一に該当する」を「第四條の規定により禁止される」に、「第六條第一項各号の一に該当する事項内容とする」を「第六條の規定により禁止される」に改め、同項第三号中若しくは拘束する虞があり、」を削り、「統制する虞がある契約」を「統制する契約」に、同項第四号中「決定し、その他対価に影響を與えるための行為をすること」を「決定すること」に、同項第五号及び第八号中「若しくは」を「又は」に、「制限し、又はその制限に着手すること」を「不当に制限すること」に、同項第六号中「事業者利益」を「事業者に不当に利益」に改め、同項第九号を次のように改める。   九 資金の貸付、集金、特許権若しくは特許に関する権利の所有若しくは支配営業用の施設所有若しくは経営又は株式(社員の持分を含む。以下同じ。)の所有により構成事業者その他の者の事業活動を不当に拘束すること。   同項第十号から第十二号までを削り、同項第十三号中配分その他」を配分、取引の代理その他」に改め、同号を第十号とし、同項第十四号から第十六号までを削る。   同項第十七号中「不当に」を「不当な手段により」に改め、同号を第十一号とし、同項第十八号を第十二号とする。   同條第三項から第五項までを削る。   第六條の次に次の二條を加える。  (適用除外会社)  第六條の二 この法律の規定は、事業者団体である会社であつて、左の各号に掲げる要件を備えているものに対しては、これを適用しない。但し、第六條の三の規定は、この限りではない。   一 構成事業者である株主又は社員が小規模の事業者であること。   二 商業、工業、金融業その他の事業を営むことにより構成事業者事業経営合理化目的とするものであること。   三 当該会社活動が一定の取引分野における競争を実質的に制限する虞がないこと。   四 当該会社の成立によつて私的独占禁止法第二條第五項に規定する不当な事業能力の較差が生ずることとなる虞がないこと。   五 当該会社の成立が私的独占禁止法第二條第六項に規定する不公正な競争方法によるものでないこと、  2 左の各号の一に該当する事業者は、前項の規定の適用については、これを小規模の事業者とみなす。   一 商業又はサービス業を主たる事業とする事業者であつて、常時使用する従業員の数が二十人を越えないもの。   二 前号に掲げる事業以外の事業を主たる事業とする事業者であつて、常時使用する従業員の数が百人を越えないもの。  3 事業者団体である会社であつて、左の各号に掲げる要件を備えているものは、第一項第三号及び第四号に掲げる要件を備えているものとみなす。   一 当該会社の供給する商品又は役務の数量が国内において供給される同種又は類似の商品又は役務の総量の十分の一を越えないこと。   二 当該会社の供給する商品又は役務の数量が、当該会社が当該商品又は役務を供給している地方的市場において供給される同種又は類似の商品又は役務の総量の三分の一を越えないこと。  (適用除外会社の届出)  第六條の三 前條第一項に掲げる会社は、その成立の日又は同項に掲げろ会社に該当するに至つた日から三十日以内に、公正取引委員会規則の定めるところにより、文書をもつてその旨を公正取引委員会に届け出なければたらない。  2 前條第一項に掲げる会社が解散し、又は当該会社若しくは構成事業者事業に関する事項に重要な変更を生じたときは、その解散又は変更の日から三十日以内に、公正取引委員会規則の定めるところにより、文書をもつてその旨を公正取引委員会に届け出なければならない。   第八條中「第四條第一項各号に掲げる許容活動範囲を越える行為又は」を削る。   第九條第一項中「第四條第一項各号に掲げる許容活動範囲を越えると認める場合又は」及び「第四條第一項各号に掲げる許容活動範囲を越える疑のある行為又は」を削り、同條第二項及び第三項を削る。   第十一條中「犯罪」を「事件」に改める。   第十三條第一項中「、自然科学に関する研究を実施するための施設」を削り、「社債であつて」を「社債のうち」に、「特許権は、」を「特許権であつて、これらのものを所有経営することにより、構成事業者その他の者の事業活動を不当に拘束するものは、」に改め、同條第三項から第五項までを削る。   同條第六項中「及び第三項の規定による届出があつた場合」及び「又は届出」を削り、同項を第三項とし、第七項を第四項とし、第八項中第三項及び」を創り、同項を第五項とする。   第十四條第一項中「三万円」を「三十万円」に、「ニ万円」を「二十万円」にそれぞれ改め、同項第二号中「第四十八條第三項」の下に、「第五十三條の三」を、同項第三号中「第三條」の下に「又は第六條の三」を加え、同項第四号中「第六項」を「第三項」に、「第七項」を「第四項」に改め、「科学に関する研究を実施するための施設、」を削り、同條第六項中「第九十七條、第九十八條及び第九十九條」を「第九十四條の二、第九十七條及び第九十八條」に改め、「第四十八條第三項」の下に「第五十三條の三」を加え、「第六十六條第一項」を削り、同項を第七項とし、同條第五項の次に次の一項を加える。  6 第九條第一項において準用する私的独占禁止法第五十三條の二の規定により宣誓した参考人又は鑑定人が虚偽の陳述又は鑑定をしたときは、三箇月以上十年以下の懲役に処する。    附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。  3 この法律施行の際現に事業者団体法第六條の二第一項の規定に掲げる会社であるもの(清算中の会社を除く。)は、この法律施行の日から三十日以内に同法第六條の三第一項の規定による届出をしなければならない。  4 事業者団体法第十四條第一項第三号及び第二項から第五項まで並びに第十六條の規定は、前項の規定に違反し、届出を怠り、又は虚偽の届出をした者につき準用する。  以上が小委員会において到達した結論とも言うべき改正草案でありますが、これに対して各委員から特に強調されました一、二の問題点を申し上げますと、次の通りであります。  一、団体法改正にあたり、特に第六條に適用除外会社を設けたことは、従来の中小企業協同組合法によろ組合育成方針と異なり、会社形態をも承認する二本建の方針がとられるようにも考えられるが、これは従来の政策の転換を意味するのかどうかの問題。  第二に協同会社適用除外規定に入れる問題。  一については中小企業の今日窮乏の現状よりいたしまして、当面の困窮打開のためにも、会社形態により企業の運営を容易にしてやることが必要であり、それがまた企業独占を制約するためにも必要でおるとの結論に達しました。  第二の問題につきましては、協同会社会社として規定されるのでありますが、協同会社団体法から適用除外されるためには、その性格を明瞭にすることがまず必要であります。そのためにばむしろ協同組合法のごとき法律を制定することが、協同会社を救済するための先決問題であるとの結論に達したのであります。  本改正案に対する各委員の要望は大体以上のごときものであります。以上小委員会経過を御報告申し上げます。     ―――――――――――――
  14. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 事業者団体法の一部を改正する法律案に対する質疑は次会に譲りまして、ただいまより飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案に対する修正案について、農林省の企画課長から説明を聽取したいと思います。  本日はこれから懇談会に入りますので、散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時十三分散会