○安孫子
政府委員 新聞等に出ておりますように、会談あるいは秘密
協定でありますとか、あるいは最終的な結論を得たというようなことはございません。いろいろ今後の
食糧行政を考えて参ります上に、いろいろ意見の交換をしておることは事実でございます。またいろいろな事情からいたしまして、この際日米側の
政策の転換についてのまとま
つた意見を、至急にとりまとめなければならぬような
状況もあるわけであります。そのためにトピックといたしまして、いろいろな点についての論議をいたしたのであります。もちろん非常にむずかしい問題でありまして、早急に最終的な結論等は、私どもは持ち得ないのであります。
従つてただいまお尋ねがありましたような、ここでこういう結論を得た、あるいはこういうような
内容で行こうというような点はございませんことを、御了承願いたいと思います。
ただ問題といたしまして、どういう点が論議されておるかという点を、御
参考までに申し上げておくことが適当と存じますので、それを申し上げてみたいと思います。御
承知のように、
食糧確保臨時措置法が来年の三月をも
つて失効いたします。現在までの
食糧確保臨時措置法の運用に当
つて参りますと、食確法自体に運用上非常に困難な点が多々ございます。それから理論といたしましては、まさしくその
通りでありましても、現状からいたしましてその
通りに、なかなか運用のできない問題も生じて来ておるのであります。
従つて食糧確保臨時措置法を、そのままの形において来手三月以降も持
つて行くということは、なかなか困難でもありますし、適当ではなかろうと思
つております。この点についてはもう少し従来の運用の
状況も参酌いたしまして、別途な方策を考えて参らなければならないのじやないか、かように考えておる次第であります。それから現在の
食糧管理形態を考えて参りますと、昨今において
相当配給辞退が出ておるということであります。今年の麦については
相当そういう問題も大きくな
つて来るのではないか。要するに全国のプール
計算方式による統制方式というものは、いろいろ矛盾のあるものであります。産地におきましては
生産者価格よりも高く、消費者
価格よりも安く物が流れる。
従つて統制がなかなかその
通りには行われない、
計画的に行われにくいという実情が、ぼつぼつできて来ておるのであります。この矛盾は、今年の
麦類の収穫以降においては、
相当顕著にな
つて来るのではないか。そういう点からも
食糧管理制度自体の検討を必要とする面も出て来ておるのであります。しかしながら何と申しましても、
日本といたしましては三割五分ないし三刷
程度の
食糧輸入をやらなければや
つて行けないような
状況にありますので、
外国食糧を将来にわた
つても
政府が一手に掌握いたしましてや
つて行くことが、生産者のためでもあり、また消費者のためにもなるという
政策樹立の基本になるのではなかろうかというふうに、一応考えられるのであります。そうした場合に、内地の
食糧についてもやはりいろいろな矛盾が出て来るにせよ、ある
程度の統制は継続して行く必要があるのではないか、その辺はどのような限界をとるべきであるか、またそれと並行いたしまして今後の
外国の穀物
価格が、どういうふうに変動いたして行くものか、あるいは内地の
パリティー指数にどういうふうな変化があるだろうかというような点もにらみ合せまして、問題を処理して参らなければならないというふうに存じておるのであります。そうした点についていろいろ意見を交換いたしたのでありまして、新聞等にも出ておりますような秘密
協定でありますとか、あそこで一つの結論を出したということはございません。この点は御了承願いたいと思います。これは非常にむずかしい問題でありますので、今後各方面の御意見を十分に承りまして、当局としては一つの成案を得て参らなければならないと思
つておる次第でございます。