○高橋
説明員 物価統制の最近の
状況と、今後におきまする見通しについて、概略を
説明させていただきます。一月現在におきます物価統制の品目を見ますと、約千八十件ほどあるわけであります。これが今後だんだんはずれて参りますが、大体二十五
年度の上半期ぐらいで、
相当の数が急速度にはずれて参ります。下半期におきましてはそんなに急速にはずれるというものはございません。結局二十五
年度の終りにおきまして、大体二百
程度残るであろうかということを、予想いたしております。これはただ單に統制品目の数だけ拾
つてみた場合でありますが、この品目から見ますと、物価統制の仕事というものは、
年度初めから
年度終りまでには、五分の一に減少するというふうに
考えやすいのでありますが、具体的な品目について見てみますと、現在物価統制の根幹をなしておるやつかいな品物というものは、大体最後まで残るのでありまして、現在におきましてもこういうやつかいな品物は、言わば最も人手間を食
つておる。こういう
状態でございます。それでは品目別にどんなものを統制してお
つて、それが今後どういうふうにはずれて行くのかということを申し上げてみたいと思います。
まず農林水産物
関係について申し上げますと、米、麦、雑穀、飼料、乳製品、それからあじ、さば、いわしなんかの
一般大衆魚約十八品目ほどございます。そのほかの魚ははずれておりますが、こういうものが十八品目ほど残
つております。みそ、しよう油、それから食用油脂、砂糖、こういう副食物、あるいは調味料に類する物が残
つております。
それから木炭、農用薬品、これはD・D・Tとか、B・H・Cとか、あるいは硫酸とかいうようなものであります。
次に鉱工業品
関係でございますが、石油及び石油製品、それから鉄鉱石、硫化鉱、燐鉱石、それから銑鉄、鋼材、自転車、それから金、銀というような貴金属、硫安、過燐酸石灰、石灰窒素等々の
化学肥料、それから硫酸、ソーダ、ソーダ灰、苛性ソーダ、塩、アルコール、セルロイド、ゴム及びゴム製品、皮及び皮製品、また医薬品
関係では、大体はずれて参りましたが、ペニシリン、ストレプトマイシンというようなものが残
つております。それから工業用油脂、ペイントであるとか、せつけん等の油脂、それから新聞巻取り紙、それから纎維
関係では綿製品、羊毛製品、こういうものが残
つております。
その次に、料金
関係がございます。これは電気料金、ガス料金、それから水道料金、
通信料金、
鉄道運賃、自動車運賃、それから船舶運営会の総トン数八百トン以上の船による海上運賃、荷役料金、倉庫保管料金、地代、家賃、保險料金、新聞料金、こういうようなものがおもなものでありまして、これが大体千八十件になるわけでございます。今後これがどういうふうに、はずれて行くかということでございますが、大体今後の需給の見通しによ
つて、あるいははずれるかもしらんし、あるいは存続するかもしれぬ、こういうようなものがかなり多いのでございますが、一見明瞭に残るであろうと思われるものは、米、麦、雑穀、飼料、こういうものは残るであろうと思います。
それから
一般の大衆魚、あじ、さば、いわし等でございますが、これはこの四、五日の市場出まわり
状況、漁獲
状況等によ
つて、もしもそういうものが非常に好転すれば、あるいははずせるであろうというふうにも見通しておるわけでございます。それから、みそ、しよう油でございますが、これは現在なお
相当の逼迫を示しておりまして、やみ価格におきましてもマル公の二倍以上を示しておるという情勢で、なかなか楽観を許さないのでありますが、もしも大豆等の輸入が
相当に好転いたしますれば、あるいははずせるのではないかと思
つております。
それから砂糖、食用油脂につきましても、まだ楽観を許しませんが、
年度の中途におきまして、輸入
状況が著しく好転すれば、はずしてもいいかと思
つておりますが、まだ必ずしも楽観を許さないのではないかと思
つております。それから木炭につきましては、先般薪炭特別会計の廃止に伴いまして、まきは価格統制をやめまして、木炭だけを残したわけであります。木炭につきましても、生産者価格はやめまして、消費者価格だけを残しております。最近ややきゆうくつなような感じもいたしますが、この冬場を越せば、はずせるのではないかというふうに
考えております。それから、農業薬品につきましては、終戰直後
相当きゆうくつでございましたが、最近は緩和いたして参りましたので、これははずせるだろうというふうに
考えております。
石油及び石油製品につきましては、なお
年度を通じて、価格の統制を存続する必要があるように
考えております。硫化鉱、燐鉱石というようなものは、
化学肥料の価格と関連して参りますが、もしも
化学肥料の方がはずせるということであれば、これも同時に、はずしてよいということになるものと思われます。それから銑鉄、鋼材でございますが、銑鉄につきましては、一年間を通じて価格差補給金を支給するというようなことに
なつておりまして、通年マル公を存続する必要があると
考えておりますが、鋼材につきましては、第一・四半期だけ価格差補給金をつけまして、それ以後は補給金をつけないということでありますから、その
機会に需給の
状況ともにらみ合せて、はずせればはずしたいと
考えております。自転車につきましては、部品等は現在マル公をはずしてございますが、完成車につきましてはマル公を存置しております。これも近い将来需給の緩和を確め得る限り、はずして参るというふうに
考えております。それから金、銀の値段は、貴金属特別会計へ買上げるものでありまして、
法律上当然にマル公を置かなければならないという制度に
なつておりますので、たとい物価統制というものが
一般的になく
なつても、これはほとんど半永久的にマル公の存する品物ではないかと思
つております。
それから
化学肥料でございますが、
化学肥料は、硫安、過燐酸石灰、石灰窒素等、一割ないし一割五分
程度の増産を見込まれております。一方価格差補給金につきましては、漸減的に撤廃して行くという
方向に向いますので、單価が若干上
つて来る。それからさつき申しましたように増産になりますので、農家の需要も大体満たされて来るというようなことから、自然に有効需要というような
関係から、
化学肥料のやみというものが自然消滅するのではないか。もしもそういう事情に立ち至つたならば、
化学肥料のマル公もはずして行けるのではないかと思
つておりますが、これはなお
相当の時日の経過を見てみないと、今にわかにこれをはずすということにもならないかと思います。先ほど申し上げましたように、もしこの
化学肥料がはずせるということにでもなりますれば、硫化鉱、燐鉱石等も同様に
考えてよいかと思います。硫酸につきましても、やはりこれは
化学肥料と大体同じ
状態であろうかと思います。
塩につきましては、塩專売法によりまして、物価庁による物価統制がなくなりましても、マル公はこれを存続をするのではないかと思います。アルコールにつきましては、アルコール專売法との
関係がございます。セルロイド、ゴム製品につきましては、近い将来にはずせると思います。皮につきましても大体同じであります。ペニシリン、ストレプトマイシン等につきましても、需給が緩和して参りますれば、特にペニシリンにつきましては、はずせるのではないかと思います。工業用油脂は、食用油脂とプールされて、油糧公団で扱
つておりますが、これも輸入の油脂原料の入荷が順調であれば、はずせると
考えております。それから、新聞巻取り紙は、これは先般来いろいろ問題と
なつておりますが、これも需給が緩和すれば、はずして参りたいと思いますが、
年度の中途におきまして、
相当研究して参りたいと思
つております。それから綿製品につきましては、下半期ぐらいに、はずせるようになるのではないかというような感じを持
つております。羊毛製品につきましては、近くはずして参りたいと思
つております。
次に、電気料金以下の各種の料金運賃等でございますが、こういうものは、電気事業法、ガス事業法、あるいは郵便法、それから国有
鉄道運賃法、その他いろいろ根拠法規に基いてきめられておる料金が、大部分でございまして、たとい物価庁のような物価統制機構がなくなりましても、ほとんど半永久的にマル公的なものが存続するのではないかと
考えております。ただ新聞料金につきまして、先ほど申しました新聞用巻取り紙のマル公が、はずれるということであれば、これは同時にはずしてもさしつかえないと思います。ただいろいろ非常にはずれるように申しましたが、これは一ぺんにはずれるわけではございません。だんだんと二十五
年度の経過の中途におきまして、需給の
状況等とにらみ合せまして、なるべく経済の簡素化、正常化の方へ努力して参りたい、こういうつもりであります。