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1950-01-31 第7回国会 衆議院 経済安定委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月三十一日(火曜日)     午後二時二十二分開議  出席委員    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 南  好雄君 理事 森   曉君    理事 勝間田清一君 理事 笹山茂太郎君    理事 米原  昶君 理事 金光 義邦君       小川 平二君    福井  勇君       細田 榮藏君    森山 欽司君       田中不破三君    羽田野次郎君       岡田 春夫君    浦口 鉄男君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 久之君         (財政金融局         長)         経済安定事務官 内田 常雄君  委員外出席者         大蔵事務官   大島 寛一君         経済安定事務官 澤田  達君         経済安定事務官 太田 亮一君         経済安定事務官 白石 正雄君         経済安定事務官 高橋 時男君         経済安定技官  芝原 忠夫君         專  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 昭和二十五年一月二十四日  北海道の家庭暖房用炭特別価格設定の請願(  柄澤登志子君外一名紹介)(第三七五号)  同(岡田春夫君外一名紹介)(第三七六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 昭和二十四年十二月二十四日  まぐろ、ぶりの統制撤廃に関する陳情書  (第四四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  対日援助見返資金運用状況に関する説明聽取  統制撤廃状況に関する説明聽取     ―――――――――――――
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいまより会議を開きます。  これより対日見返り資金運用状況を議題とし、西村政務次官より説明を聽取いたします。
  3. 西村久之

    西村(久)政府委員 私の方より、便宜対日援助見返り資金の現況について、運営状況等お話申し上げてみたいと存じます。  御案内通り、この見返り資金予算額は、二十四年度予算で一千五百八億となつておることは御承知通りであります。その予算額のうちに——もつとも日にちを限定して申し上げますが、今月の二十三日までの分であります。その後多少の異同があることを御了承おきを願いたいのであります。二十三日までの状況では、貿易特別会計から見返り資金の座に繰入れられました金の総額が一千百二十四億余万円となつておるのであります。これに運用金利子食糧証券から入りました利子を加えまして、見返り資金の二十三日現在の資金現状は一千百二十九億余万円と相なつておるのであります。これをどういうふうに使われておるかと申しますと、国債償還に四百三億、公企業投資に二百二十二億、私企業投資に、六十億程度のものが使われておるのであります。その合計は六百八十三億となりまして残額剰余金となるわけでございます。残額の四百四十五億程度のもののうちから、食糧証券運用いたしております金が四百三十六億でありまして、現状資金の純剰余金というのは八億内外になつておるのでございます。その運用関係内容を申し上げてみますと、御案内通り復興金融金庫債券予算的措置償還をするというので、六百二十四億余万円組まれてあることも御承知通りであります。公企業投資といたしまして鉄道に百五十億と、電気通信関係に百二十億予算的措置をとつてありますことも御承知通りであるのであります。これは当然関係方面承認を受けたことに相なるのであります。私企業投資として日本政府の方から要求をいたしまして、今日まで計画承認を受けておりまする金が、百六十一億余万円あるのでございます。この百六十一億余万円のうち、貸出しを受けて支出済みのものが、日本窒素自家用発電を含めまして六十一億になるのでありますが、この自家用発電の分を除きますと、五十八億余万円となるのでございます。それで私企業に対する承認済み額の百六十一億から、六十億程度のものを差引きました百億程度のものが承認を受けて今日なおかつ金の支出を済ましてないということに実は相なつているわけでございます。承認を受けておりまする百六十一億の内訳は、石炭鉱業に三億七千万、鉄鋼業に三億六千万、電力に六十四億余万円、海運に八十五億余万円、化学肥料に一億円、ほかに中小企業に対する資金といたしまして三億円、この合計つまり承認を受けているわけでございます。この承認を受けた範囲で、先ほど申し上げました六十億足らず支出を受けている形になるのであります。その支出を受けております企業のうちでおもなものは、電力海運であります。電力の三十五億余万円と、海運の二十億余万円、これが骨子となつているのであります。この関係で今日まで進んで参つているのであります。きようあたり多少支出を受けているやに承知いたしておりまするが、これは大蔵省の関係できようあたり支出をいたしました金は、はつきりまだ私聞き及んでおりませんけれども、それは出ましても承認を受けておりまする百六十一億の範囲内のものが出て参るのでありまして先ほど申し述べました百億前後の金が、承認を受けたので、未拂いになつている金のうちから出て来るものであると御了承置き願えば、間違いないのだと信じているわけであります。こういう状態をたどつているのでありまして、一——三月間の見返り資金は、承認を受けておりまする金が百六十一億でありますから、今後承認を受けることに努力いたさなければ、百六十一億を越えて行くということにはならないのであります。今後の金の放出は、この百六十一億の範囲内において承認を受けた企業の各部門部門が、三億、五億、七億と放出を受けて来るというような段階に入り、一方、それと並行して承認額もふえて来るという段階になりまするので、本年中にどの程度支出額承認を受けるかは、今もつてわからないわけでございます。しかしながら私どもの立て方といたしましては、少くも二百五十億は下るまい、下らしてもらつては困るという線で、折衝を重ねておるわけでございます。そういう点から勘案いたしまして、二十五年度見返り資金関係予算も、組まれておるわけでございます。それで日本政府考えておりまする通り、二百五十億を出してもらわれるといたしましても、ただいままで出ておる金が六十数億でございまするから、今後二十億足らずの金を放出願わなければならない。こういう関係になりまするので、口では二十億は言いやすいのでありますけれども、金を出すときになりましたら、なかなか簡單にそう出にくい関係等も、考慮いたさなければなりませんので、努めて政府関係方面折衝を重ねて、そうして放出のすみやかならんことに努力をいたしておるようなわけでございます。  二十四年度見返り資金は、そういうふうに操作いたしますると、当初の予算が一千五百八億でありまするから、その予算のうちから、先ほど申しました国債償還鉄道通信公企業関係の費用を差引きますると、その合計が大体千億程度になるのでございまするから、五百億程度残る形になるのでございます。そのうち二百五十億程度大体予定いたしまして貸出しが可能なりといたしましても、なおかつ予算額に二百数十億の余裕を生じまするので、これは予算書で御了承通り、二百三十八億だけを二十五年度予算に繰越しの形式をとつておるのであります。予算書説明をごらんになればおわかりの通りに、見返り資金明年度分は一千三百億と踏んでおります。繰越金の二百三十八億が含まれまして、一千五百三十八億という予算総額なつておることを御了承おきを願いたいのであります。  その他の関係につきましては、各会社貸付内容等につきましては、御必要があれば他の政府委員が来た際に、御説明申し上げてもよろしゆうございまするし、なおまた資料としてお上げしてもよかろうと存じます。御了承おきを願います。
  4. 多田勇

    多田委員長代理 対日援助見返り資金運用について、御質問がありましたら御質問願います。
  5. 志田義信

    志田委員 見返り資金のことについてでありますが、この見返り資金増資その他の引当てといたしまして、一部を市中金融機関に限定してこれを貸し出す、あるいはひもつきで出すというような御計画でもあれば承りたいと思います。
  6. 西村久之

    西村(久)政府委員 御質問の点につきましては、大蔵大臣が演説の際でありましたか、お話なつたように、社債あるいは優先株というようなものを発行させて、その発行いたしましたものについて、見返り資金から優先株あるいは社債の引受けをやり、やつた資金お話のように一般産業資金融資をさせようという考え方を持つて政府は現在進みつつあるようなわけであります。
  7. 志田義信

    志田委員 そういう場合に、最近の増資状態——承知通り、最近各会社とも増資を非常にやつて参りまして、最近におきましてはことに企業再建整備等最終段階に入りました関係上、相当に株価も暴落しておる状態なのでありまするが、こういう見返り資金をもつて増資引当てにするというような場合に、地方銀行、すなわち地銀との利害相当異なる場合も起るのではないかと思いまするが、その調整につきましては、どういうふうにお考えなつておりまするかを承りたいと存じます。
  8. 内田常雄

    内田(常)政府委員 その問題につきましては、ただいま関係方面並びに法制局等と、事務的ないろいろ調整をはかつておりますが、大筋はこういうことになることになつております。見返り資金増資株を引受ける、その場合には二十倍の債券が出せる。これはひとり勧銀興銀あるいは拓殖等銀行に限らず、建前からはいかなる地方銀行も、見返り資金をもつて優先株を引受ける場合には、二十倍まで出せる。ところが一つのかんぬきが入つておりまして、それはかような見返り資金優先株を受けた場合に、二十倍出せるけれども、それから預金の現在額を差引く、こういう條項が入る仕組みなつております。そういたしますと、一般市中銀行ないし地方銀行は、すでに今日たいがいの銀行預金資本金の二十倍あるいはそれ以上になつている。そうすると若干の増資株見返り資金でもつて見ても、結局債券発券余力がない、債券発行余力が残るものは、結局預金をとらない興銀であるとか、あるいは今まで他の市中銀行等に比べて、預金がそう伸びていない勧銀であるとかいうようなものだけが、債券発行力が出て来る。こういうようにお考え願つたらけつこうであります。従いまして、今度いずれ国会に提案される法律には、北海道拓殖銀行というようなものは、これは形式上は特に特殊銀行のからが残つておりますから、銀行法によつて免許を受けた銀行及び北海道拓殖銀行というようなものが出て参りますけれども北海道拓殖銀行等は、事実上は地方銀行として相当預金を集めておりますために、今のような法律の適用を受けましても、そう大した新しい債券発行余力はないだろうと思います。これを要するに、今度の措置形式から申しますと、みな機会均等平等である。しかし要するに銀行が信用を受ける預金なり債券というものは、資本金及び積立金の二十倍を越えてはならないということで押えられるために、実体は今申すようになつて来る。かように御了解を願つたらけつこうだと思います。
  9. 志田義信

    志田委員 さような場合に、利害が異なるということが、大体わかるのでありますから、そういう場合にこれを調整する方法を、何か安本としてはお考えなつているかどうか、承りたいと思います。たとえば私は最近の状態から見まして、不動産金融機関というものができなければならぬように思うのでありますけれども、それはどうもできそうもないというようなことも伝えられているのであります。そういう場合に、興銀勧銀だけが、この不動産金融をやり得るというようなことになりますると、勧銀地銀が食われる、金融勢力に食い込まれるおそれが私は多分にあると思うのでありまして、そういう場合に、地銀をどういうぐあいに育成するかという問題が、出て来るのではないかと思います。その抑制の方法見返り資金の問題とくるめて、調整をどういうふうにするかという問題をお尋ねいたしておるのであります。
  10. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私が先ほど申し上げましたところが、実際では調整の働きになつておる。勧銀興銀といえども今度の見返り資金優先株を引受けました際には、債券発行は二十倍でとどまる。その場合にある預金の額は差引くという仕組みになる。一般地銀の方は、かりに債券を出してみても預金が二十倍になつておるから、債券発行余力はない。要するに銀行積立金の現在額に対して二十倍までは預金なり債券なりで行けるということになりました。但し預金の場合は二十倍でなくても、それ以上になつておつても構わぬのでしようが、少くとも債券を出せる以上は、預金として二十倍とれておるものは、債券が出せぬということになりますから、勧銀興銀といえども——特に勧銀は御承知のように今日までは再建整備により、不動産銀行あるいは債券発行銀行としては今後は進まない。債券発行権を実質上放棄して預金を集めるように一昨年なりましてどんどん預金を集めておりますために、今度のような措置をいたしましても、興銀ほど勧銀債券発行余力がない。これは数字的に申しますと、たとえば興銀は現在御承知のように資本金が十億円である。それの二十倍の債券を発行できる。但し預金はとつてはならぬ。例外として貸出し先からの預金だけはとれる、こういうことになつております。そこで二百億の債券発行余力が現在そういう見返り資金と別にいたしましてあるわけでありますが、その二百億の債券発行も、昨年の六月くらいから毎月十八億ないし二十二億くらいの債券を発行いたしておりますために、大体本年度一ぱい、三月ぐらいまでには債券発行余力は一銭もなくなる。そこで大体見返り資金でわれわれの腹積りでは、十億優先株を引受けて資本金を二十億にする。そうなつた場合に二十億の二十倍債券発行ができる。そうすると四百億債券発行ができるわけでありますが、すでに二百億は今までの債券発行がありますから、あと債券発行余力は二百億だけしかない。そのうち預金も、これは大蔵大臣の定める預金を差引くと書いてありますから、今興銀が貸出し先からのみ扱つておる預金を差引くかどうか、安本としてはそこまではつまびらかにいたしませんが、かりにその預金を差引くといたしましても、今おそらく数十億程度しか興銀ではないと思いますから、結局百八、九十億の債券発行余力興銀では出て来る。ところが勧銀は同じく資本金十億円でありまして、この次にさらに十億円を見返り資金で引受けまして、資本金二十億にして同じく二十倍、四百億の債券を発行した場合に、勧銀預金がすでに、二、三百億、おそらく私の観測では勧銀といえども二百五、六十億の預金があると思いますから、それをその四百億から差引かれる。しかも勧銀は昔の特殊銀行時代債券発行をしたものの残りが、まだ残つておりますから、それをも差引くということになりまして、勧銀興銀ほどに債券発行余力がなくなる。その場合勧銀興銀とは利害調整されておる。興銀は今後預金をとらぬ。またとらぬかわりに債券が出せる。勧銀は今までもとつて、今後も預金をとり得るかわりに、債券発行余力はそれほどない。一般市中銀行に至ると預金がうんとあるから、ただかりに見返り資金を出すとしても、預金もとるし、債券もとるということはできないということで、機会均等である。ただ貸出しの内容といたしましては、私ども安定本部といたしまして、勧銀興銀も、市中銀行地方銀行も、みな不動産金融長期金融をやつてくれることは大いに望むところで、ひとり勧銀興銀のみ長期金融をやらして、地方銀行はやらさないということは、決してないのでありまして、むしろ市中銀行地方銀行も大いに不動産金融あるいは長期金融、あるいは株式金融をやつてもらいたいのでありますが、ただいかにしりをひつぱたきましても普通銀行資金預金のみから仰いでおるので、預金の性質から言つて長期貸出しというものはせいぜい三%か五%しか出ないのであります。銀行自身の勘定が短期の預金から出ているから、おのずから押えられる。こういうことにこれを考えます。
  11. 志田義信

    志田委員 今地銀との関係については了承いたしましたが、私は不動産金融の場合に、市中銀行といわず、あるいは特殊銀行といわずやつてくれ、これをむしろ望むのであるというお話でありましたけれども、少くとも地方におきましては不動産対象になるものは土地と家屋、そのうちで土地の問題、つまり農地改革をされましてこのかた、土地農地法によつて所有者といえども自由にこれを処分することはできないような、一定の制限がついておると思うのであります。そういう場合に農地担保力はなくなつている。こういうふうにも私は考えるのでありますが、そういう場合農業に関する見返り資金、あるいは水産に対する見返り資金等に対しまして、無担保貸付の特別の方法を講ずるやにも聞いておりますが、もし特例を講ずる意思ありといたしまするならば、その内容をお知らせ願いたいと思います。
  12. 大島寛一

    大島説明員 ただいまの農林金融に対する見返り資金関係につきまして御説明申し上げます。お話のように農地は自由に売買できなくなつておるのであります。これに対しまして土地改良農地対象とする融資におきまして、常に、必ず土地担保にとるという原則を立てることは、実情に即しない点が多々あるわけでございます。しかしながら半面におきまして、見返り資金といえども融資融資でございますので、担保を徴しまして、その債権の確保をはかるという必要が、一方においてあるわけでございます。この間の事情を最も実際的に調和いたしまして、実行上むりがなく、しかも両方の目的を達し得るような措置をいろいろ研究しておるのでございます。大体の方向といたしまして、まだ関係方面正式承認を得るに至つておりませんけれども、現在私ども事務的に考えておりますところでは、農林中金をいわば事務取扱い機関といたしまして、農林中金見返り資金債権保証をしてもらう。それによりまして見返り資金が一々の融資の場合に、物的な担保をとらずとも済むような方向で、今申し上げましたような解決方法をはかりたい。このようなラインで現在話合いを進めておるところでございます。しかしながら蛇足で恐縮でございますけれども、借主といたしましては、土地ばかりが財産でない場合もございます。また農林金融と申しましても、土地だけを対象とするものでは必ずしもございませんので、それは融資目的なりそのときの使途に応じまして、担保をとるということも、また一方において考えて行かなければならない。かように思つておるわけでございます。概略御説明いたします。
  13. 志田義信

    志田委員 そうしますと、農林中金がこの見返り保証なつて、見返り資金の貸出しをやるんだ。しかも無担保貸付方法でやつて行くんだというようなお話でありましたが、農林中央金庫出資金は今四億円かと思いますが、それをどういうふうに増加して、また債券発行高をどの程度限度を置くつもりであるか。発行限度出資金額の何十倍にするつもりであるか。そういうようなことをひとつお尋ねいたします。
  14. 大島寛一

    大島説明員 ただいまの点でございすが、現在研究を進めております考えといたしましては、先ほど来御質問、御答弁がありましたように、一つ農林中央金庫増資をいたしまして、その優先株見返り資金が引受けて、それによりまして農林中金債券発行限度をふやして、それによりまして、また農林中金農林関係長期金融に活躍することができるようにいたすという考え方——近く法律案を提出いたしまして御審議願うことになると思いますが——進められておるわけでございます。その場合の金額等につきまして御質問でございまするが、なお検討中の点もございまするので、まだ明確に御説明できる時期に至つていないわけでございます。なおそういう措置がとられまする、前の段階といたしましても、私どもとしては農林長期金融の活路を開くことを、一刻もすみやかにやる必要もあると存じまするので、さような農林中金自体の業務として、農林長期金融をやり得る道のほかに、少しでも早く見返り資金が、ちようど中小企業に対する処置についてとられましたとやや似た方法をもちまして、農林中金に直接事務を扱つてもらいまして、融資をして行くということを実現したいと思いまして、かねて交渉中でございます。今私が最初に御説明申し上げました担保等のことも、実はこのあとの方の方式によりまして、御説明申し上げたようなわけでございます。率直に申しましてかなり久しく懸案として進めておるわけでございます。ごく近い機会に着手できるものと期待しておるような状態でございます。
  15. 志田義信

    志田委員 そういう場合にその出資金その他の債券発行限度の増額ということも、まだはつきり申し上げられないという話でありまするから、しばらく留保いたしまするが、長期でしかも低利でやるというお話と承つておるのでありまするが、どのくらいの長期で、どのくらいの利子であるか、ひとつお考えをお漏し願いたいと思います。
  16. 内田常雄

    内田(常)政府委員 今大島説明員からの農林中金増資あるいは債券発行限度について、愼重に考慮中であるということは、その通りでございまするが、これはお互いの委員会でありますから、きまつたことではございませんけれども、私ども考えでは先ほど志田委員からもお話がありましたように、すべて機会均等という趣旨から、農林中金につきましても、債券発行限度は、現在は御承知のように十倍でございまするが、これを二十倍に引上げたいということは、安本当局司令部の方にも押しておりますが、債券発行は純資本金の十倍なんです。なお資本金増加の順序は増資資本金をよけいにして、現在の資本金を八億ぐらいにふやしまして、八億に対して見返り資金から八億を引受ける。そうすると十六億になります。それを二十倍すると三百二十億になる。それは預金なり既発行債券が二、三十億ありますが、それらを引いたものが新しい発行限度で、これが農林中金債券発行額に近いものになるというふうに、やつて参りたいという希望を持つております。これはあとで変更になりましても私の食言ではございません。  その次にどのくらいの期限であるかということになりますと、債券発行は今のところ見返り資金をもつて債券を引受けることは考えておりません。これはたとえば系統の団体である信連なり、あるいは單位農業協同組合というものに債券を持たせることは、また当然考えなければならぬところでしようから、今のところめどはついておりませんけれども皆さんがしばしば御指摘になりますように、本年度と同じように来年度においても、預金部資金は今までのように封鎖されたままであるならば、相当の金が余るわけでありますから、封鎖を解く意味において、これにひとつ持たせるように推進したい。これはわれわれの力だけではなしに、皆さんのお力を借りたいと思つております。こういう場合、さらに債券ということになりますと、要するに債券でありますから、そうべらぼうに長いものはあり得ないので、今日一般社債、あるいは興銀債券等を見ましても、長いもので五年、通常三年というようなものを、標準としておるわけであります。中にも債券の出し方も、割引発行で出すこともわれわれ考えております。割引発行で出す場合には、要するに一年分の利息が天引きされますから、やはり一年ということになると思いますが、今後金融情勢はだんだん安定して参り、長期資金も持たしていいということになりますから、三年とか五年とかいうものを、昔の社債のように延ばすように努力いたしますが、さらに三年とか五年というものを、農林資金、なかんづく森林資金関係では三年五年でなしに、もつと長い方がいい。十年、——十五年木なんか植えた場合には、二十年、三十年という資金が出るかもしれませんが、そういうようにすぐくつつくことにもならぬかもしれませんが、そういうことにつきましては、大島説明員からも御説明がありましたように、これは証券増額、農林債券の発行に続いてでなしに、今後見返り資金等法律を改正して、直接見返り資金から農林中金を通じて、これらのものに資金が出るように、せつかく努力中である。そういうものをもつて間に合せるということに、いたしたいと考えております。
  17. 志田義信

    志田委員 先ほどのお話の中に、特に今度は興銀とか、勧銀とか、農林中金のほかに、化海道拓殖銀行一般債券発行銀行とする考えを持つておるということのお話でありましたが、私は見返り資金増資引受け方法というものは、やはり今の内田金融局長がおつしやいましたように、長期金融で特に不動産金融の打開にねらいを置いておかなければならぬと思いまするので、これらの銀行のほかに——興銀勧銀農林中金あるいは北海道拓殖銀行等のほかに、発行銀行としての適用をする考えのものがあるか、これだけの銀行で十分だとお考えなつておるかどうか、お尋ね申し上げます。
  18. 内田常雄

    内田(常)政府委員 それは当初に申し上げましたように、形としては北海道拓殖銀行なり、勧銀興銀農林中金、商工中金に限らず、およそ銀行法で免許を受けた銀行、すなわち地方銀行市中銀行がすべて債券を発行し得る建前をとるということで進みつつありますが、しかもとつてみたところで、それらの銀行預金が、すでに自己資金の自己積立金の二十倍に達しておるときは、現実の問題として債券発行余力がない、こういうことになるわけであります。それはどういうことかと申しますと、つまり銀行は自分の資本金の二十倍でも、五十倍でも、百倍でも、預金もとれば債券もとるというわけには行かぬ。債券発行の場合は、預金と合せて、自己資本の二十倍止まりだつたらさしつかえない。銀行がいかに受信機関であつても、それは非常に銀行のあり方として、不適当であるという思想が織込まれており、これは当然のことであろうと私は思います。
  19. 志田義信

    志田委員 そういう場合に、増資新株の引受けの適用につきましては、これだけの條件で十分だと思つておりますが、なおこれに相当の彈力性を持たして行きたいというお考えですか、承りたいと思います。債券発行銀行等の債券だけでやれるかどうか、そういういろいろ條件がありましようが、その條件以外に何かまれ特別なことを考えておられますか。
  20. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私は一政府委員でありますから——先般本会議等で大臣方の話を聞きましても、本年は財政の形は困まつておる。本年こそ金融の運営に全力を用うるということも、大蔵大臣はおつしやつておられるので、おそらく今後金融のあり方に対しては、何か新しい知惠なり、方法論が出されるか、ぜひまた出したいものだと存じております。また関係方面状況を見ましても、非常におもしろくなかつたものが、ただいま御議論の増資新株の引受けというようなことにもなり、また預金部の問題につきましてもびた一文も一般の産業界に資金を出さなかつたものが、昨年年末百億円を一般金融機関に預託いたしまして、それを産業界に放出するというような措置をとられて、かなり緩和して来ておる面もあるのでありますから、今後いろいろやつてみいたと思います。しかし銀行の金を使わせる方法としましては、まず第一に銀行預金をフル・パーセントに運営せしめる。それから今の増資見返り資金を引受けることによつて債券発行限度を拡張し、その債券を通じて長期金融をやらせる。さらにもう一つこれは本年からやつて来ておるわけでありますが、来年は財政上千二、三百億円の国債償還が行われる。この国債償還は当然日本銀行の持つている国債償還もあるわけでありますが、その場合日本銀行国債を返してもらつて金をしまい込んだだけでは、デフレーションになりますから、それを金融機関にもどす方法、言いかえるとマーケット・オペレーションを今年以上に積極化する方法を講じて、日銀から資金金融機関を通して流す、こういう方法がまた非常に大きな課題になつて参ります。そこで現在のところでは、それだけが三拍子そろつて、八十点ずつ取つてつても、二百四十点になるということで、その上の方法はまたいろいろ情勢によつてつて参りたいと思つております。
  21. 志田義信

    志田委員 どうでしようか、大銀行筋と、あるいは先ほど私が申し上げまた中金との立場におきましては、利害が必ずしも一致しないと思うのでありますが、大体銀行筋は預金業務の制限があるということで、採算上の不利益から、この見返り資金に対して関心が薄いというようなことが、できはしないかということを憂慮するのでありますが、見返り資金で引受けた資本額につきましてどの程度の優先配当をお考えなつておるか、あるいはその他毎年の利益金のうちの一定割合をもつてこれを償却するというようなことをお考えなつておるかどうか、それをちよつと伺いたいと思います。
  22. 内田常雄

    内田(常)政府委員 この問題につきましては、いずれたとえば銀行等の増資株見返り資金による引受け等に関する法律といつたようなことで、不日本国会に提案されるのでありまして、未定の分が多うございますから、私から今申し上げることは不確実でありますので、差控えたいと存じますが、一般から推察いたしましても、今日見返り資金の金利として一番安いものを出しているのは七分五厘であります。従いまして見返り資金銀行等の優先株を持ちます場合には、やはり七分五厘の配当というものが自由になることを考えることが、一般の常識ではあるまいかと思います。なおこの見返り資金で持たれた優先株は、配当等の優先株ばかりでなしに、それの償還と言いますか、拂いもどしについても優先する性質を持つことに相なるたろうと思います。そうなつた場合は、結局銀行は自力で増資をして、見返り資金増資の部分を返す、一ぺん増資の部分を返す、一ぺん増資して、見返り資金優先株を返すというかつこうをとるか、あるいは毎年の利益のうちの一定割合をもつて見返り資金による引受け拂込み分を償還すると申しますか、償却すると申しますか、そういう形を取るということが、常識的には考えられるのでありまして、それがどうなるかもわかりませんが、そういう方向ではなかろうかと思います。
  23. 志田義信

    志田委員 安本政務次官が御出席のようでありますから、ちよつとお尋ね申し上げますが、きのう、きようあたりの新聞に、不動産金融機関は設置しないというようなことか、政府筋から新聞に報道されておるようでありますが、安本としては不動産金融機関を必要とするか必要としないか、その点についてひとつお教え願いたいと思います。
  24. 西村久之

    西村(久)政府委員 大蔵大臣のお言葉は、どういう点に基いたか存じませんが、不動産金融をいたさなければならないものであるという点につきましては、安本の私も同感であります。その線に沿うて進みたいと実は存じております。ただ今日の金融機関不動産金融の道を開かせるということは、好ましくないのではないかと思つております。従前の特殊銀行が、いずれもみな普通銀行にかわつた今日でありますから、別個の不動産金融機関をこしらえて、その機関より不動産融資の道を開いてやるということは、まつたくお考えと同一であります。この線に沿うて考えて行きたい、かように考えております。
  25. 志田義信

    志田委員 先ほど私は数分遅れて参りましたので、せつかく御説明くださいました次官のお話を中途から拜聽したのでありますが、公企業が二百二十二億で私企業が六十億、これだけを見返り資金でまかなつたという話でありますが、公企業二百二十二億と私企業の六十億との間には大分差があると思います。また承認を受けた分がそのほかに百億あるそうでありますが、私企業の百六十億承認の分も入れて出しましても、公企業私企業との比率におきまして、私は非常に私企業の方への見返り資金の出し方が少いのではないかと思いますが、この点についてひとつ御説明願えれば仕合せに思います。
  26. 西村久之

    西村(久)政府委員 いわゆる公企業に二百二十二億の金が出ていると申し上げましたのは、鉄道、建設公債を引当てとして百五十億を予算に組んであります金と、通信関係の公債の百二十億を予算的措置をとつてあります金の合計が二百七十億、その中に二百二十二億の金が出ている、こういうことでありまして、私企業関係の問題は、御案内通り企業内容を検討いたいまして、そして資金の貸出しをやつて行く等の関係上、非常に手間取つて遅れておるのでありますが、先ほど申し上げました通り、出してあります書類の中で、向うさんで御承認を受けましたのが百六十一億余万円あるのであります。そのうち日本窒素の自家発電の分を加えますと、六十一億は一月二十三日現在で出ている。従つて百億程度まだこれから出してもらえる。承認を受けたところの金が残つている、こういうことを申し上げたのであります。それで済むというわけに参りませんので、先ほど申しました通り、二百五十億程度まで三月までの間に承認額をふやしてもらうべく努力をしつつあるということを、付言して申し上げておいたわけであります。
  27. 志田義信

    志田委員 先ほどの、来年度の公共事業に対する見返り資金の御説明は、まだ承つていないと思いますけれども、公共事業に対しては、どういう内容のものを考えておられるか、御説明いただけば仕合せに思います。
  28. 西村久之

    西村(久)政府委員 来年見返り資金から公共事業に投資をしよう、融資をしようという金は、実はまだはつきりきまつていないのであります。予算上の数字の上から申しますと、百十億程度の予定の金が実はあるわけであります。それと、住宅公社と申しますか、予算的措置をとりました五十億のほかに、見返り資金で百億を予定してあるのでありますが、この見返り資金の配分並びにこの使途につきましては、まだはつきりいたしておりません。従つて百十億が公共事業費的の建設資金として、事業にどの程度、どういう内訳で使われるというようなことは、今後の関係方面との折衝に待つて、具体化して行くものだと、御了承おきを願います。
  29. 志田義信

    志田委員 これから関係方面折衝なさるので、その場合にはなかなか御困難もあると思うので、御苦心のほどはお察し申し上げますが、港湾の方面に対して、特に明二十五年度において、公共事業の融資計画があるかどうか、お伺いいたします。
  30. 西村久之

    西村(久)政府委員 港湾、漁港等に対しましても、公共事業費的金も、先ほど申しました百十億の中で案を立てまして、そしてこの融資を願う心構えで、今後出資をいたすつもりでありますけれども、今日いまもつて折衝の過程でありますので、どの程度できるという見当はつかないわけであります。その心持をもつておることだけは、はつきり申し上げておきたいと思います。
  31. 内田常雄

    内田(常)政府委員 ただいま志田委員の公共事業の関係でありますが、政務次官のお答えに補足を申し上げておきます。私ども事務的にやつておりますので、今日若干の資料はございますが、公共事業に見返り資金が出るということが伝えられておりますために、全国の各地方あるいは地方の各所からやたらに見返り資金を出せということで、要求額を持つて来ております。これは一般財政の方の公共事業で、本年の九百七十億をきめる際にも、三千億以上の要求があつたのであります。それがあの額に縮められたのでありますが、今回私の手元に集まつて来ておるだけを、かりに集計いたしましても、総事業費で八百八十三億、今年度の分だけで四百二十億ぐらいが、手にひつかがるだけで出ておるのであります。これからまだ何ぼ出て来るかわかりませんが、百十億かりに全部出るといたしましても、何分の一かに縮めなければならないような状況でありまして従つてこれをみなに少しづつ配つてみましても意味がないことであつて、ほんとうに日本経済復興のために、どういうことを、この際思い切つてやるのがいいかということからきめなければなりません。ことに見返り資金というものは、いつまでもあるわけではなくて、アメリカの援助額が減るに従つてここ一両年の間にはがくんと落ちて、それを三年も五年も継続をする事業にやつていてはとてもしりがぬぐわれないと考えます。この点は上司の指令をまつて善処したい。また司令部の方にも、今日現在ではわれわれも見通しがつきませんために、確定案としてもまだ提出いたしておりません。
  32. 志田義信

    志田委員 最後にお尋ね申し上げます。内田金融局長からのお答えでけつこうでありますが、二十五年度の産業資金をどの程度考えておられるかを、ちよつとお尋ね申し上げたいと思います。
  33. 内田常雄

    内田(常)政府委員 ただいまのお尋ねですが、これはいろいろな点からその数字を出し得ると思うのですが、たとえば来年の生産は、大臣の御演説にございましたように二〇%ふやす、また貿易もふやすということになると、おのずからそこに産業資金ないし設備資金がよけいにいる面が出て参ると思います。運転資金等につきましては、新しく物価の値上りがありませんから、運転資金を新しく必要とすることはないと思います。増加運転資金というものは、昨年よりも私は減つでしかるべきだと思います。その反面、もつとも貿易が民間に移されたこと等のために、政府がかついでおつた輸入資金を民間がかつがなければならぬということから考えましで、輸入資金は昨年よりもふえるべきだと思いますが、運転資金全体としては減るべきだ。設備資金は本年も非常に苦しんで来ておるし、来年は情勢に応じてよけいつけたいし、またそうしなければ有効需要の喚起ができないという関係で、多々ますます弁ずるわけであります。ところか他面から見ますと、政府の方針といたしまして、インフレでもない、デフレでもないラインをとつて、言いかえると物価がはなはだしく動かない、通貫の量あるいは日銀券の発行高等も、そうはなはだしくフラクチュエートしないということから割出して参りますと、来年は一体どのくらいの資金を新しい産業資金として、供給し得るかという限度がおのずから出て来るわけでありますが、これも計算の仕方、見方によつて他省でやつてみても、安本でやつてみても、若干違つたものが出て参るのであります。私どもがかりに第一次推計として計算をいたしたところによりますと、見返り資金等関係も含めまして来年の産業資金は、生のままの数字をそのまま申し上げますと、四千九百五十七億という新しい産業資金が出されておる。もつともこの上にさつき政務次官からも、ちよつとお話が出ました住宅金融のために、政府の財政から五十億出る。また見返り資金からも百億出る。これも政府の家を建てるわけじやなしに、国民の家を建てるわけでありまして、一種の産業資金になるわけでありますから、そういうものであるとか、あるいは開拓者資金融通特別会計という、政府の特別会計がございまして、一般会計からこれに金を入れまして、この特別会計を通して開拓者の営農資金等に出す金も、十数億円ございます。さらにまた国民金融公庫、これの増資を、予算案で御承知のように来年度十二億円でございましたか増資をいたしましてこの国民金融公庫を通じて生業資金を出す。これも財政から参る産業資金になるわけでありまして、こういうものが私どもの計算では、八十億ばりになるわけでありますが、今の数字を加えますと、五千百三十七億というものが産業資金に出て参る。こういうことに見積つております。これはディス・インフレのラインぎりぎり一ぱい、インフレにするつもりならこれより余計出ます。デフレにするというならこれより内というわけでありますが、これは理論のわれわれの計数であります。そのうち設備資金でありますが、設備資金になり得るものが理論計算からは二十五年度は千二百四十億、これくらいにはどうしてもなるはずであります。またそういうふうにさせたいと思います。これに今申す財政からの住宅資金であるとか、開拓者融通資金、こういうものを加えますと、八十億くらいまたふえる計算になります。二十四年度は、はなはだ設備資金には苦しんだのでありますが、それでもわれわれが三月末までの見通しを入れて見ますと、百十億くらいの設備資金なつておりますから、それよりもある程度設備資金の方はディス・インフレでもふえるはずだ。これが出なければ金融政策が惡い。こういうことになるわけであります。
  34. 志田義信

    志田委員 復金の貸出しが停止になりましたし、あるいは積極的なこれの回收が行われたにかかわらず、前年の二十四年度における産業資金相当増加されまして、これに株式の拂込みなども加わつたために多くなつたことと、私たちは同様に考えておりますが、二十五年度における問題といたしましては、滯貨の増大が二十四年度よりも、相当上昇するものと考えておるのでありますが、滯貨の増大と、同じく滯貨資本に対してのお考えを承りたいと思うのですが……
  35. 内田常雄

    内田(常)政府委員 これは人の考え方でありますが、私どもは二十四年度よりも二十五年度の方が、滯貨が多くなるとは考えておりません。むしろ政府機関あるいは民間を通じても、滯貨は減ると考えております。またそのための若干の証拠と申しましようか、財政のうちの資本財の購買支出であるとか、あるいは今申します設備資金がふえるとかいうようなことを考えましても、あるいは輸出の増大とかいうことを考えましても、今年よりは余ほど状態がよくなると考えております。従つて今年あたりがやまではなかろうかと思います。その上なお存在いたします滯貨あるいは生じます滯貨につきましては、はなはだ言葉は抽象的になりますが、できるだけの金融上の手を打つと申しますか、それらがさばけるような金融の情勢を馴致して参るように、努力して参りたいと存じます。
  36. 志田義信

    志田委員 安本では一体昨年の滯貨をどのくらいと見ておりますか。御調査がございますか。
  37. 内田常雄

    内田(常)政府委員 きようは生産局の政府委員がおられませんから、つまびらかにいたしませんが、昨年度の滯貨と申しますか、たとえば三箇月おき等に、ある期間とある期間とを比べて、滯貨と売掛けがどういうぐあいに変化したか、従つて情勢が好転しておるかどうかという若干の勉強が、昨年十二月までの間に行われておるはずでございます。この委員会の今後の継続の過程におきまして、漸次つまびらかにして参るように、関係の委員にも申し伝えて参りたいと思います。
  38. 志田義信

    志田委員 どうでしようか、シャウプ勧告案によつて減税ができるのでありますが、こういう場合どの程度の減税を見込んで、産業資金需要計画をお立てになるつもりでありますか、お尋ねいたします。
  39. 内田常雄

    内田(常)政府委員 すでに配付された予算資料で御承知のように、国税の関係では全体の数字を申し上げますと、二十四年度の五千百五十九億円の租税收入に対して二十五年度は四千四百四十六億円で、従つて七百億あまり国税が減る。しかしすでに御承知のように一月から取引高税、物品税、織物税等の減税をいたしておる。これは昭和二十四年度のしまいから減税したわけでありますが、これは他方におきまして、二十五年度においては、この減税は継続するわけでありますから、これらを入れれば来年度、二十五年度は二十四年度に比して国税関係では九百億円の減税になる数字でございます。もつとも地方税の関係では、しばしば一般からも指摘がありますように、附加価値税とか、あるいは固定資産税というような関係相当負担の変化があり、また金額的にも二十四年度の推計千五百億円に対し、千九百億円の地方税收入になる。すなわち四百億円ぐらいの負担増加になる。従つて国税、地方税を一切合せると三百億ないし五百億の減税ということになるわけであります。但しこれは絶対額だけの数字はわからないのでありまして国民所得全体は、これは国民の貨幣所得ということになりますが、これはあまりふえませんでしたが、昨年よりは一割弱ぐらいはふえる計算になりますために、一方国民所得、つまり分母の方は若干ではあるけれどもふえる。税金の方——分子の方は若干ではあるけれども減る。そこで数字の絶対値は、言いかえると明年の負担関係は全体を達観してみると、本年よりもよほど楽になる、こういう関係で個々の企業に対しましては、でこぼこがあるわけでありますけれども、全体としてはそういうふうに見てよかろうかと思います。  なおこのほかただいま御引用になりましたシャウプ勧告にございますように、従来の地方における一種の税金、すなわち寄付金が三百億でしたか来年度はなくなる計算になり、六・三制等の寄附金を初めとしまして、それらを加えますと公課の負担というものは、一応二十五年度相当程度軽くなる、こういうことが言えるかとも思います     —————————————
  40. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それでは引続いて石油事情について、経済安定本部の石油課長芝原さんから説明を聽取いたします。
  41. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 石油に関する最近の事情を御報告申し上げます。  御承知通り現在わが国で消費いたしておりまする各種製品の約九割は、アメリカの援助物資として、日本政府放出に相なつておるものでございます。残りの約一割が国産原油からの石油製品、その他数量はきわめて微量ではありますが、特殊物件、あるいは隠匿物資等の供給源から繰入れられるものという構成に相なつております。従いましてほとんど大部分が援助物資であります関係上、その使用につきましては、各需要部門、用途別にそれぞれ関係方面承認を得まして、初めて使用ができるという現状に置かれておるわけでございます。手続といたしましては毎月、月別に各用途別に需要の明細を記載いたしました資料を添付いたしまして、関係方面にその月々の石油製品放出許可申請を提出いたしまして、これを関係方面で審査の上で、放出を許可するということに相なつております。ただこの場合全数量の約一割程度の国産資源につきましても、放出製品と合せてこまかく用途別に、指示を受けるということに相なつております。放出の條件といたしましては、日本の経済再建に必要なる最低限度の数量ということが、第一の條件に相なつております。第二の條件といたしましては、ただいま申し上げました日本経済再建上必要なる用途であつても、他に国産資源で代替し得るものがあれば、石油を使用してはいけないということに相なつております。一例を申し上げますと、自動車につきましては、木炭あるいは薪その他の代用燃料で使用し得る場合については、石油製品を使用してはいけないということに相なつております。さようなわけで現在消費しておりまする石油製品は、こまかく用途別に、それぞれ関係方面放出を得た上で使用しておるのでありまして、その使用に当りましても、地方の末端に至るまで、指導と監督とを受けておるという状態のもとに置かれておるわけでございます。  そこで問題になりますのは、幸いにして本年一月から、終戰以来禁止になつておりました太平洋岸の石油精製工場の操業再開が許可になりまして、着着原油が輸入されておるわけでありますが、この原油は一部は民間貿易で入り、一部はなおガリオア資金で入つております。この原油からできました製品についても、消費の実態とにらみ合せて、従来通り関係方面の用途別の使用許可を要するということに現在もなつております。われわれが聞かされております範囲で申し上げますれば、ガリオアあるいはその他の援助資金の製品が入つでおります限りにおいては、たとい民間貿易による原油輸入が増加しても、従来通り各用途別の使用許可を要することに相なつておるのでございます。  なお需給関係を申し上げますと、昨二十三年度は石油全製品を通じまして、約百八十四万キロ・リーターの放出許可を得ておりまして、本二十四年度におきましては、まだ三月分がございますので、はつきりしたことは申し上げられませんが、大体前年度の数字と比較いたしまして、十万キロ程度増加の百九十四万キロ程度に相なると予想をいたしております。  なお二十五年度におけるわれわれが考えております需要の数字は、純消費が約二百七十万キロ、それにランニング・ストックを合せまして、約三百万キロの放出申請をいたす予定に相なつております。このうち原油の形で入りますものが、これはこちらの会計年度と、アメリカの会計年度の違いがありますので、恐縮でありますが、暦年の本年の一月から六月までの原油輸入を約六十万キロ、リーターと予定いたしております。七月以降一箇年間の輸入予定量を、約三十万と予想いたしております。従いましてそれぞれの原油からとれます製品と、先ほど申し上げました需要の差額は、依然として大部分を製品輸入に仰がなければならぬということに相なります。もつとも国産原油の生産につきましても、資源庁でいろいろ増産計画を樹立しておりますので、若干の国産製品の増産も期待できるのでありますが、製品として收得し得るものは大体二十三万キロ、リーター程度考えております。従いまして需要が百八十万から百九十万、さらに三百万と増加するに連れて、国産と輸入との比率の開きがますます大きくなる。言いかえますれば、輸入に依存する度合いが非常に大きくなるということに相なるわけであります。それでわれわれ事務当局といたしまして、いろいろ石油の需給の推算をいたします上において、不確定な要素が非常に多いという点でございます。輸入につきましては、いろいろ国際情勢の関係もございますし、あるいは国際的な石油市場の動きというものも考慮に入れなければならないのでありまするが、遺憾ながら海外における石油市場の詳細なる資材を得ることが非常に困難でありますので、一応先ほど申し上げました需給のバランス三百万トンという数字も、各需要あるいは用途別に見ました希望数字を集めたということに相なりまして、はたしてその通りの供給力を得るかどうかという点につきましては、まつたく未確定な要素を多分に含んでおるということを御了承を願いたいと思います。
  42. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明で、アメリカの会計年度と日本の会計年度の食い違いで、はつきりしない点があるのですが、三百万キロ・リーターというのは、日本の会計年度の二十五年度か、アメリカの会計年度の二十五年度か。それといま一つは、二十五年の一月から六月まで六十万キロ・リーターの原油が輸入され、なお七月から百三十万という数字は、これはアメリカの会計年度の一箇年の数字か、あるいは暦年の数字か、この点いま一応御説明願いたい。
  43. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 七月以降の百三十万の原油輸入と申し上げましたのは、七月以降一箇年間換算量でございます。それから消費量のランニング・ストックを含めた三百万と申し上げましたのは、日本の二十五会計年度の数字でございます。
  44. 多田勇

    多田委員 先ほどの御説明でガリオアとコンマーシャルと両方で入つて来ておるというお話でございますが、大体どの程度の比率で入つて来ておるか。なおガリオアによつて援助される数量に対する、今後の見通しについて御説明願いたい。
  45. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 実はこれから入りますもののガリオアと、コンマーシャル・アカウントの比率でありますが、これは今のところわれわれは残念ながらはつきりと存じておりません。ただ漠然とした情報によりますと、本年の六月以降は約二〇%程度がガリオアで、あとは民間輸入というようなことは情報を受けております。さしあたつてただいまの状況を御報告申し上げますと、すでに配船のきまりました原油の資金別の数量は、ガリオアが二箇月分として九十六万バーレルでございます。これを六で割つていただきますとキロ・リーターに換算ができます。それから民間貿易ですでに配船の決定いたしましたのは、三十六万バーレルでございます。現在のところではガリオア資金の方が多いということに相なつております。
  46. 多田勇

    多田委員 二十五年度の消費量を、純消費二百七十万、ランニング・ストック三十万、合計三百万という見通しを立てておるようでございますが、申し上げるまでもなく、油の産業界に及ぼす影響というものは、非常に大きなものでありまして、現在の需給を見ますと、非常に悲しむべき状態にあるのでございますが、大体二十五年度計画からしまして、石油の絶対必要量の何パーセントくらいになる見通しであるか。また三十万という数字が、どういうような方面からの需要量に基いて生れた数字であるか、この点について御説明願いたいと思います。
  47. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 二十三年度の需給バランスにつきましてはつきりした数字がございますので、それをまず申し上げたいと存じます。  用途をごく大別いたしまして進駐軍用、自動車用、船舶用、農林川、水産用、鉱工業川、炭鉱需要にわけて、これらの需要に対して放出許可、すなわち供給が幾らになつておつたかという数字を申し上げますと、昭和二十三年度におきまして、まず進駐軍用が九七%充足いたしておりました。それから自動車用はガソリンを使うことを承認いたしました、いわゆる燃料登録をいたしました車の需要に対しては七五%、これは全部トラック、乗用車、バス等の平均した数字でございます。代燃車を含めますと五二%の充足率ということに相なります。それから船舶用につきましては八〇%、農林用は同じく八〇%、水産用は九一%、鉱工業用は八〇%、炭鉱需要は七五%、こういうことに相なつております。ただここでつけ加えて申し上げたいことは、いわゆる需要に対する供給の、その需要でありまするが、これははたしてほんとうの有効需要を示しておるかということについては、われわれといたしても自信がございません。と申しますのは、各用途別にこまかい法規を定めまして、需要者の申請いたす際には嚴格なる用途制限をいたしておりますので、需要そのものが真の需要を反映していない。すなわち内輪に出ておるという点と、さらに各主務官庁の出先機関が相当の査定を加える。さらに各主務官庁の中央官庁で査定を加え、さらに関係方面の各部局が査定を加えるというような関係で、三段にも四段にも査定が入つております数字に対して、安本の方から日本政府の案として関係方面へ提出されまする放出申請に対する割合でございますので、真の需給率というものはもつと惡いと考えております。二十四年度につきましても、大体同じような傾向に需給率の分布がなると思います。二十五年度の需要量の算定につきましては、たとえば鉱工用につきましては各産業別の生産契約、さらに自動車あるいは船舶用につきましては、水陸の貨物輸送量というものを、それぞれの主務官庁から資料をとりまして、それに一定の單位をかけまして計算いたしたものでございます。御参考までにつけ加えて申し上げますと、戰前昭和十二年におきましては、軍で使用いたしました石油は全然われわれ存じませんが、純民需として消費いたしましたのは約三百五十万キロ・リーター程度であります。それと二十五年度の需要見込み数字と比較御検討願いますれば、相当程度需給が楽になるという一応の結論は出ると思います。  なお一番問題になるわれわれの一番関心の深いのは自動車の石油でございますが、これは昨年の八月は月間二万四千キロ・リーターでバス等に使つております。ディーゼル機関用の軽油が約二千キロ・リーターでございまして、自動車燃料としては二万六千というのがベースでございます。ところが九月以来毎月放出量は減少いたしました。その理由は不用不急の用途に相当量使用されているという関係方面の見解によりまして、さらに消費規正が可能だということで、いろいろ困難な折衝をいたしましたにもかかわらず、遺憾ながら毎月放出量は減りまして、遂には十二月には一万九千キロ・リーターに落ちたのでございますが、その後幸いにして本年の二月分はすでに決定になりましたが、これが二万に回復いたしまして、三月分として数日前関係方面よりの指示がありましたが、ガソリンが三月分として二万六千で大幅の増加放出であります。そのほかに軽油三千四百、合せて二万九千四百という大幅の増加放出をみましたので、非常にきゆうくつでありました自動車燃料も三月以降は、相当明るい見通しになつているわけであります。
  48. 多田勇

    多田委員 ただいまの御説明を聞きますと、非常に実情から離れた基礎の上に、安本当局が石油の需給計画を立てられているということで、驚くべき御意見のように拜聽したのであります。たとえば自動車の燃料といたしましても、われわれが配給を受けている自動車の燃料では、一箇月の消費量の十五分の一にも達しないような現状であります。これを各出先機関がいろいろな見解から、いろいろな制限のもとに査定した結果が、安本当局に集つて来、その数字を基礎にして、その筋にいろいろ交渉されているようでありますが、大体日本の自動車の車輛数等から計算すれば、どの程度のガソリンが必要であるかという数字は、おのずから出ると思います。現在ガソリン燃料の使用許可を受けている自動車の車輛数から計算しましても、ただいま御説明がありましたように昭和二十三年度に七五%程度の需要を満たしているということは、非常に実情から離れた見解のように私どもは聞くので、むしろ驚いているような次第でございます。油の産業界に及ぼす影響、産業交通に及ぼす影響というものは、非常に大きなものでありまして、日本の産業を再建するためにも、油の及ぼす影響というものが非常に大きいということは、十分御承知のことだろうと思います。いま少しく実情に即した需要量を算出していただきたい。十分とまではわれわれは要求いたしませんけれども、少くとも日本の経済を運営するような面に必要な量の輸入を、なるべく早い機会に充足するような方法を講じていただきたい。その点を特にお願い申し上げて、私の質問を打切ります。
  49. 志田義信

    志田委員 今大本的なことをお伺いしましたので、少し内容についてお伺いしたいと思うのでありまするが、輸入原油の価格を国内原油の価格に、相当の開きがあるのでありまするが、これに対してどういう対策をお持ちになつておるのですか、お伺いしたいと思います。
  50. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 実は輸入原油の価格につきましては、本説明員の所管以外のことでありまして、物価庁の所管でございますので、本説明員からお答えすることを遠慮申し上げたいと思います。
  51. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 それではちようど物価庁の高橋説明員がおいでになつておりますから、お答えできますればお願いいたしたいと思います。
  52. 高橋時男

    ○高橋説明員 私直接担当いたしておりませんので、少し記憶がしつかりしておりませんが、昨年の五月ごろでございましたか、石油の価格を改訂いたしました際には、国内原油は、入つて来る精製油の価格から、内地で精製するに要する経費を差引いた価格が、原油の価格であるということに計算し直しまして、原油の価格を、端数は忘れましたが、大体六千円べースから九千円ベースに引上げたのでございます。その後精製油の輸入引取り価格が非常に下つて参りましたので、それからわれわれが考えておりました内地の精製に要する価格を引きますと、この九千円よりもつと下げねばならない、こういう情勢になつておりますが、それを下げることは、国内の原油業者を圧迫して、非常に苦境に陷れるという状態になりますので、さしあたつてはこれをどうするというほど、具体的なことは考えておらないのであります。なお詳細は後ほど書面をもつて回答いたしたいと思つております。
  53. 志田義信

    志田委員 書面で御回答くださるというのでありますから、いずれその書面を拜見いたしますが、原油の輸入の再開が、本格化されて来ているのでありますから、国内採取業は国際競争を予想しなければならない段階に来ていると思います。その際における国内採取業の育成の具体案があるかないか、それをお伺いしたいと思います。
  54. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 資源庁の説明員がおりませんから、これは留保していただきましよう。
  55. 志田義信

    志田委員 私の質問は留保いたします。
  56. 浦口鉄男

    ○浦口委員 わが国の現在の製油工場の年間製油能力、それから現在の運転率をちよつとお知らせ願います。
  57. 芝原忠夫

    ○芝原説明員 大きくわけまして国産原油地帶の新潟、秋田地区と、それから今度再開を許可されました太平洋沿岸地区の精製地区と二つにわけて申し上げます。前者の国産原油地帶の公称能率は四十万キロ・リーターないし五十万キロリーターほどと言われます。それに対して実際処理をいたしておりますのは、二十三年度は約十八万、本年度は約二十二万の予定でございます。それから太平洋岸地区、最近再開を許可されました精製工場の能力は、現状のままで年間六十万キロ・リーターであります。それで今度許可をされました補修あるいは戰災復旧が完成いたしますれば、これはいろいろ時期を区切つておりますが、本年の六月一日までに完成いたします能力が、合わせまして約百三十万キロ・リーター、こういうことになつております。
  58. 多田勇

    多田委員 ただいまの石油の問題は非常に大きな問題で、今お話を聞いても、急速に解決をしなければならぬ問題だろうと思いますから、この次の委員会には通産省、資源庁、運輸省、農林省、これらの関係政府委員の出席を要求したいと思います。
  59. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 承知しました。石油に関して、ほかに質問ございませんか——なければ、石油問題はこの程度にいたします。     —————————————
  60. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 引続き統制撤廃の現況に対し、物価庁の総務課長、高橋時男君より説明を聽取いたします。——高橋説明員。
  61. 高橋時男

    ○高橋説明員 物価統制の最近の状況と、今後におきまする見通しについて、概略を説明させていただきます。一月現在におきます物価統制の品目を見ますと、約千八十件ほどあるわけであります。これが今後だんだんはずれて参りますが、大体二十五年度の上半期ぐらいで、相当の数が急速度にはずれて参ります。下半期におきましてはそんなに急速にはずれるというものはございません。結局二十五年度の終りにおきまして、大体二百程度残るであろうかということを、予想いたしております。これはただ單に統制品目の数だけ拾つてみた場合でありますが、この品目から見ますと、物価統制の仕事というものは、年度初めから年度終りまでには、五分の一に減少するというふうに考えやすいのでありますが、具体的な品目について見てみますと、現在物価統制の根幹をなしておるやつかいな品物というものは、大体最後まで残るのでありまして、現在におきましてもこういうやつかいな品物は、言わば最も人手間を食つておる。こういう状態でございます。それでは品目別にどんなものを統制しておつて、それが今後どういうふうにはずれて行くのかということを申し上げてみたいと思います。  まず農林水産物関係について申し上げますと、米、麦、雑穀、飼料、乳製品、それからあじ、さば、いわしなんかの一般大衆魚約十八品目ほどございます。そのほかの魚ははずれておりますが、こういうものが十八品目ほど残つております。みそ、しよう油、それから食用油脂、砂糖、こういう副食物、あるいは調味料に類する物が残つております。  それから木炭、農用薬品、これはD・D・Tとか、B・H・Cとか、あるいは硫酸とかいうようなものであります。  次に鉱工業品関係でございますが、石油及び石油製品、それから鉄鉱石、硫化鉱、燐鉱石、それから銑鉄、鋼材、自転車、それから金、銀というような貴金属、硫安、過燐酸石灰、石灰窒素等々の化学肥料、それから硫酸、ソーダ、ソーダ灰、苛性ソーダ、塩、アルコール、セルロイド、ゴム及びゴム製品、皮及び皮製品、また医薬品関係では、大体はずれて参りましたが、ペニシリン、ストレプトマイシンというようなものが残つております。それから工業用油脂、ペイントであるとか、せつけん等の油脂、それから新聞巻取り紙、それから纎維関係では綿製品、羊毛製品、こういうものが残つております。  その次に、料金関係がございます。これは電気料金、ガス料金、それから水道料金、通信料金、鉄道運賃、自動車運賃、それから船舶運営会の総トン数八百トン以上の船による海上運賃、荷役料金、倉庫保管料金、地代、家賃、保險料金、新聞料金、こういうようなものがおもなものでありまして、これが大体千八十件になるわけでございます。今後これがどういうふうに、はずれて行くかということでございますが、大体今後の需給の見通しによつて、あるいははずれるかもしらんし、あるいは存続するかもしれぬ、こういうようなものがかなり多いのでございますが、一見明瞭に残るであろうと思われるものは、米、麦、雑穀、飼料、こういうものは残るであろうと思います。  それから一般の大衆魚、あじ、さば、いわし等でございますが、これはこの四、五日の市場出まわり状況、漁獲状況等によつて、もしもそういうものが非常に好転すれば、あるいははずせるであろうというふうにも見通しておるわけでございます。それから、みそ、しよう油でございますが、これは現在なお相当の逼迫を示しておりまして、やみ価格におきましてもマル公の二倍以上を示しておるという情勢で、なかなか楽観を許さないのでありますが、もしも大豆等の輸入が相当に好転いたしますれば、あるいははずせるのではないかと思つております。  それから砂糖、食用油脂につきましても、まだ楽観を許しませんが、年度の中途におきまして、輸入状況が著しく好転すれば、はずしてもいいかと思つておりますが、まだ必ずしも楽観を許さないのではないかと思つております。それから木炭につきましては、先般薪炭特別会計の廃止に伴いまして、まきは価格統制をやめまして、木炭だけを残したわけであります。木炭につきましても、生産者価格はやめまして、消費者価格だけを残しております。最近ややきゆうくつなような感じもいたしますが、この冬場を越せば、はずせるのではないかというふうに考えております。それから、農業薬品につきましては、終戰直後相当きゆうくつでございましたが、最近は緩和いたして参りましたので、これははずせるだろうというふうに考えております。  石油及び石油製品につきましては、なお年度を通じて、価格の統制を存続する必要があるように考えております。硫化鉱、燐鉱石というようなものは、化学肥料の価格と関連して参りますが、もしも化学肥料の方がはずせるということであれば、これも同時に、はずしてよいということになるものと思われます。それから銑鉄、鋼材でございますが、銑鉄につきましては、一年間を通じて価格差補給金を支給するというようなことになつておりまして、通年マル公を存続する必要があると考えておりますが、鋼材につきましては、第一・四半期だけ価格差補給金をつけまして、それ以後は補給金をつけないということでありますから、その機会に需給の状況ともにらみ合せて、はずせればはずしたいと考えております。自転車につきましては、部品等は現在マル公をはずしてございますが、完成車につきましてはマル公を存置しております。これも近い将来需給の緩和を確め得る限り、はずして参るというふうに考えております。それから金、銀の値段は、貴金属特別会計へ買上げるものでありまして、法律上当然にマル公を置かなければならないという制度になつておりますので、たとい物価統制というものが一般的になくなつても、これはほとんど半永久的にマル公の存する品物ではないかと思つております。  それから化学肥料でございますが、化学肥料は、硫安、過燐酸石灰、石灰窒素等、一割ないし一割五分程度の増産を見込まれております。一方価格差補給金につきましては、漸減的に撤廃して行くという方向に向いますので、單価が若干上つて来る。それからさつき申しましたように増産になりますので、農家の需要も大体満たされて来るというようなことから、自然に有効需要というような関係から、化学肥料のやみというものが自然消滅するのではないか。もしもそういう事情に立ち至つたならば、化学肥料のマル公もはずして行けるのではないかと思つておりますが、これはなお相当の時日の経過を見てみないと、今にわかにこれをはずすということにもならないかと思います。先ほど申し上げましたように、もしこの化学肥料がはずせるということにでもなりますれば、硫化鉱、燐鉱石等も同様に考えてよいかと思います。硫酸につきましても、やはりこれは化学肥料と大体同じ状態であろうかと思います。  塩につきましては、塩專売法によりまして、物価庁による物価統制がなくなりましても、マル公はこれを存続をするのではないかと思います。アルコールにつきましては、アルコール專売法との関係がございます。セルロイド、ゴム製品につきましては、近い将来にはずせると思います。皮につきましても大体同じであります。ペニシリン、ストレプトマイシン等につきましても、需給が緩和して参りますれば、特にペニシリンにつきましては、はずせるのではないかと思います。工業用油脂は、食用油脂とプールされて、油糧公団で扱つておりますが、これも輸入の油脂原料の入荷が順調であれば、はずせると考えております。それから、新聞巻取り紙は、これは先般来いろいろ問題となつておりますが、これも需給が緩和すれば、はずして参りたいと思いますが、年度の中途におきまして、相当研究して参りたいと思つております。それから綿製品につきましては、下半期ぐらいに、はずせるようになるのではないかというような感じを持つております。羊毛製品につきましては、近くはずして参りたいと思つております。  次に、電気料金以下の各種の料金運賃等でございますが、こういうものは、電気事業法、ガス事業法、あるいは郵便法、それから国有鉄道運賃法、その他いろいろ根拠法規に基いてきめられておる料金が、大部分でございまして、たとい物価庁のような物価統制機構がなくなりましても、ほとんど半永久的にマル公的なものが存続するのではないかと考えております。ただ新聞料金につきまして、先ほど申しました新聞用巻取り紙のマル公が、はずれるということであれば、これは同時にはずしてもさしつかえないと思います。ただいろいろ非常にはずれるように申しましたが、これは一ぺんにはずれるわけではございません。だんだんと二十五年度の経過の中途におきまして、需給の状況等とにらみ合せまして、なるべく経済の簡素化、正常化の方へ努力して参りたい、こういうつもりであります。
  62. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 ただいま物価庁の高橋時男君から、いろいろ御説明があつたのですが、何か物価統制撤廃に関して質問があれば、御質問を願います。——ありませんね。  それでは本日はこの程度で散会いたすことにいたしまして、次会は大体七日、火曜日と予定しておきたいと思います。なおあらためて公報をもつてお知らせいたしますけれども、念のため申し上げておきます。  それではこれにて散会いたします。     午後四時十二分散会