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1950-03-11 第7回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十一日(土曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 岡崎 勝男君    理事 菊池 義郎君 理事 近藤 鶴代君    理事 仲内 憲治君 理事 福田 昌子君    理事 並木 芳雄君       伊藤 郷一君    坂田 英一君       佐々木秀世君    塩田賀四郎君       中山 マサ君    橋本 龍伍君       小川 半次君    山本 利壽君       今野 武雄君    木村 俊夫君       玉井 祐吉君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席国務大臣        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         賠償庁次長   石黒 四郎君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君 三月十一日  委員野坂參三君辞任につき、その補欠として今  野武雄君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月九日  在外資産補償に関する請願(吉武惠市君紹  介)(第一二六七号)  同(森戸辰男紹介)(第一二六八号)  同(木下榮紹介)(第一二六九号)  同(有田喜一紹介)(第一二七〇号)  同(坂本實紹介)(第一二八九号)  同(前田種男紹介)(第一三八二号) の審査を本委員会に付託された。 同日  未帰還同胞引揚促進に関する陳情書外一件  (第五九〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国が有償で譲渡した物件略奪品として没収さ  れた場合の措置に関する法律案内閣提出第六  一号)(参議院送付)     ―――――――――――――
  2. 岡崎勝男

    岡崎委員長 ただいまより会議を開きます。  国が有償で譲渡した物件略奪品として没収された場合の措置に関する法律案内閣提出、第六一号)を議題といたします。質疑は通告順にこれを許します。並木芳雄君。
  3. 並木芳雄

    並木委員 まずお伺いします。これは三月一日に突然出で来た法案であつて、その後まだ一回も審議しておりません。私たちがいろいろな資料を出すようにお願いしておいたのでありますけれども、その資料も来ておりません。わずか一つ来たのは、払下げ方法に関する説明のようなもので、子供だましのような資料が一部来ただけであります。核心をついたところの、どういうところで、いつどういうものがだれそれに渡つているかというような資料は来ておらないのであります。それでどういうわけで急にこの法案を早く出さなければならないか。一昨日実は急に専門員の方でやつて来て、十一日の委員会にかけて、午後からの本会議でこれを通過させたい、こういう申出があつたのですが、私たちといたしましてはもまだ審議がよく済んでおらないし、わからないところが多いから、資料とともに、十分検討の上やりたい、こういうふうに答えたのであります。まして、理事会を開かなければなりませんから、理事会の方を私たちの方から請求しても昨日理事会を開いたわけなのでありますが、要するにこの法案を急に出して来て、そうして急いで通過させなければないなら理由をお開きしたいと思います。
  4. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 御指摘の通り、どうもこちらの方にも不行届の点があるようでありますが、この払下げの方は旧内務省所管でありまして、現在は建設省の方で取扱われておりますような関係で、なかなか調査及び資料提出等には困難を来し、この点非常に申訳ない次第であります。  それから早くなぜ出さなければならぬかということにつきましては、被害をこうむつた人から返還の要求がひんひんとして参つておりまして、いわゆる代償を支払つてくれというような申出がたくさんあるのであります。なおこれは別個の問題でありますが、こういうふうに略奪品であつたということが明確にされた問題以外にも、たとえば終戦後のどさくさにまぎれ、個人私有物没収されたというような問題も、まだ相当残されておるようなわけでありまして、とりあえず明らかに略奪品であつたというようなことがわかつたものから至急に処理して、なるたけこの人々の損害に対しては政府は親切にしてあげたい、こういう趣旨にほかなりません。
  5. 並木芳雄

    並木委員 今私有物であつたものというお言葉がありましたがも私もそういう点について、非常に公平な見地からやるべきだと考えておつたやさきでありますので、ひとつその点についてお伺いいたします。それはこの法案の第二條において「この法律において「略奪品」とは、略奪品没収及び報告に関する件(昭和二十一年内務省令第二十五号)第一條に規定する物をいう。」こういうふうになつております。そこでその内務省令第二十五号の第一條を見ますと、「本令ハ日本軍隊占領セル地域於テ法令ノ規定ニ依リタルト否トニ拘ラズ昭和十二年七月七日以降強制没収剥奪又ハ掠奪ニ依リ取得セラレタル物ニシテ現ニ内地ニ存在スルー切ノモノヲ調査シ且之政府ニ於テ没収スルヲ以テ其目的トス。」こう書いてあります。そこで日本軍隊の占領せる地域において、日本政府没収した、あるいは個人の場合があるかとも思いますけれども、いずれにしてもこの法令では強制没収剥奪または掠奪というような文字で表わされておるのでありますから、この取得したルートというものは、つまり代金を払わないで現地で、占領地域において政府または個人が取上げたものに限るように思われるのですが、いかがですか。たとえばお金払つて現地から買い上げたような品物でも、この第一條に含まれているのであるかどうか、そういう点をお伺いいたします。
  6. 石黒四郎

    石黒政府委員 お答え申します。ここに書いてあります通りでありまして、実例をあげて申し上げますれば、お金を払いまして——お金と申しますのはその当時におきます軍票であるとか、あるいは現地にあります金であります。その代金を払いまして買いましたものでも略奪品となり得るのでございます。また「法令ノ規定ニ佐リタルト否トニ拘ラズ」と書いてございます。その当時は適法に入手いたしましたものでありましても、敗戦の結果、連合国側の見るところによりまして、返還を命ぜられるに至るわけでございます。
  7. 並木芳雄

    並木委員 そうすると適法に入手した品物でも、個人適法に入手してここにいわゆる略奪品として没収ざれたものに対しては、今度の法案は全然適用がないわけであると理解されますが、その通りでありますか。
  8. 石黒四郎

    石黒政府委員 さようでございます。買いましたときは陸軍も海軍が相当大量に買いました。個人が買いましたものもございます。個人が買いました分はこの法案には関係ございません。
  9. 玉井祐吉

    玉井委員 ちよつと今の点についてお伺いしたいのですが、この返還する理由は、政府不当利得をしておるからという理由でお返しになるのだと思うのですが、その点について後ほど詳しくお伺いしたいのですが、特に今関連してお伺いしたいのは、第一條の中で略奪品の定義を述べておるのであります。その中で「日本軍隊占領セル地域」というのが問題の中心にならなければいかぬわけですが、今大臣お話によると、国内においてもとられた人があるので、これを還付して正当な手続で金を渡すことが必要だと言われたのですが、国内日本軍隊が占領しておる地域と言い得るかどうか。私は言い得ないと思う。国内の場合は入らないで国外において占領した地域の問題に限られるのじやないか、こう思うのでお伺いいたします。
  10. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 私が先ほどつけ加えて申したのは、この法令のカテゴリー以外のもので、国内で私有しておつた、たとえば非鉄金属のようなものが進駐軍によつて全部接收されたというような、被害を受けた方々からの陳情も相当あるので、これをも将来は考慮しなければならぬという親切な解釈を私は申し述べたのでありまして、この問題とは別個であります。「日本軍隊占領セル地域」とは国内を含んでいないと御解釈願いたいと思います。
  11. 玉井祐吉

    玉井委員 今の点はわかりました。そこでお伺いしたいのは、今は親切にやや拡張された意味で言われたように聞えたのですが、法令を今後その部分に拡張されるかどうか。今のお話ではこれは外国略奪品に関するものだけで、進駐軍の方に非鉄金属などを一応接收されたものがあるが、その部分についてはこの法律は適用しない、別に法律をつくるならとにかく、この法律を適用しないのは妥当であると思うのですが、この点について御質問申し上げます。
  12. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 先ほど申し述べました通り、この法案占領地域略奪品に限るものでありまして、国内において接收されたようなものに対しては、将来法律をこしらえるか、あるいは法律をこしらえなくても、現行法の許す範囲において、たとえば大蔵省、通産省、賠償庁が連絡をとりまして、これらの被害者に対しまして適法措置を講じ得られれば、その方法を速急にとるべきであつて、もし得られないで、どうしても法律が必要であるとする場合においては、また御審議を願うようなことに相なるかもわかりません。私もこの点に対しましては、いろいろ陳情を受けますから、目下せつかく研究しておるような次第でございます。
  13. 並木芳雄

    並木委員 その点ですが、要するにこれは戰争を起し、戰争に負けた結果の犠牲の現れである。ですから、山口国務大臣がもし総理大臣であるならば、こういう法案提出するときに、必ずその明哲な頭をもつて、いやこれだけを先走つてやると誤解を受けるぞ、もつと緊急な問題が戰争によつて生じた犠牲としてあるじやないか、たとえば満州とか各地において個人の引揚者がどうしても強制的に引揚げを命ぜられた場合に、向うへ置いて来た資産あるじやないか、そういうものはどうなつているのだ、あるいは戰争の結果、家を燒かれたり子供を失つたりしたような場合、いわゆる戰争犠牲の対策としての一環になるべきものだと思うのであります。こういう見地から考えまして、これだけを特に抜き出されてやるということは、事実私たちに納得が行きますものならば、一刻も早くお金個人に返してやるのですから、けつこうなことだと思いますけれども、その誤解を一掃する必要があるのとともに、これだけが特に優先的に関係方面許可なつ理由、それからいつごろ許可なつたのかという点などについてお伺いします。
  14. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 今、並木委員の言われた満州の問題とか、その他に関連する問題は、おおむね大蔵省、あるいは外務省所管になつておるのでありまして、賠償庁としてはこの法案が一番先に手をつけなければならない問題と考えておるような次第であります。その他の一般論につきましては、先ほど玉井委員お答えした通り、私としては、私の所管事項内においては、できる限りの親切を盡したい、かように考えておるのであります。
  15. 並木芳雄

    並木委員 この法案のアプルーヴァルはいつ来ましたか。
  16. 石黒四郎

    石黒政府委員 国会に提出する直前でございます。  大臣お答えを補足させていただきます。在外資産その他同様なものがほかにあるじやないか、なぜこれを先に手をつけるかということでございますが、いろいろの理由がございます。一、二例示的にお答え申し上げたいと思います。一つは、在外資産大臣も言われますように、大蔵省外務省所管でございますから、その運命、行方はまだ法律的に定まつておらないのでございます。いずれ講和條約において明確に規定される事項でございますと予期されるのであります。こちらの略奪品の方は、すでに個々の場合に司令部から指令がございまして、現実に日本人所有者から沒收いたしまして、司令部を経て現所有者に、すでに返還されてしまつたものであります。その点におきまして、法律的に申し上げまして、一つの差がございます。なおまた法律にございますように、これは政府がかつて拂い下げた品物でありまして、その代金は国庫に収納されておるわけでございます。その代金を、今回この法律でもつて返すというのでありましで、われわれ俗にこれを返金と称しております。損害を受けたものに対する補償とは別個のものであり、財源もさように違うと存ずるのであります。
  17. 並木芳雄

    並木委員 ただいま現所有者返還されてしまつておりますというお話がありましたが、その現所有者というのはどういう所有者ですか、つまり最初にそれを日本政府あるいは軍隊に売つたが、取上げられた人のところにこれを返されるのかどうか、その点をはつきりさせていただきたいと思います。
  18. 石黒四郎

    石黒政府委員 さようでございます。軍隊から買い上げられたその人に対して返るのであります。
  19. 並木芳雄

    並木委員 そういたしますと、本法律案の適用される品物については、全然日本政府の手の中にはないというふうに了解していいわけですか。
  20. 石黒四郎

    石黒政府委員 さようでございます。
  21. 並木芳雄

    並木委員 お金を返すということが、特殊の不当利得である。この精神から来ておるということが、この説明書にも書いてあります。不当利得は返すべきである。これはこの前山口大臣から個人でも政府でも原則でございますという答弁がありましたので、そのとき私は、当然返すべきよりどころが法律か何かにあると思つて聞いたのですが、そのときの御答弁はいわゆる原則論。そういたしますと、不当利得という通念になるわけですが、日本軍隊あるいは政府お金拂おうが、無償であろうが、とにかく入手した品物、それをかりに金を受取つて日本人に拂い下げた、これは自由であります。これだけでは不当利得にならないと思います。拂い下げた品物が再び日本政府の手にもどつて来て、そうしてかれこれさつ引いて、最初に拂い下げた金が政府の手に残るというところに、不当利得観念が生れるのではないかと思います。ただいまの御答弁によりますと、すでに政府の手中にあつた品物は、現所有者に返してしまつたというのですが、政府としては、ただで取上げたか、お金を拂つて買い上げたか、どちらにいたしましても正当な売買ルートで拂い下げた以上は、これは不当利得ではないのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点お聞かせ願います。
  22. 石黒四郎

    石黒政府委員 占領地域で入手いたしました場合には、買入れた場合もございますし、ただでとつた場合もございましようし、いろいろあつたことだろうと思うのであります。御質問の点は、趣旨はわかるのでありますが、御承知のごとく敗戰の結果、先ほど申し上げましたように、当時適法であつたものさえも無効と宣言されて、返還を命ぜられるということでありますので、現在といたしましては国内的の問題と国外的の問題をわけませんければ、処置できないことに相なつておるのでございます。でこの法律はその国内部面関係するところであります。国外すなわち連合国人及び連合国日本国との間の処置につきましては、実は講和條約を待ちませんと、いかに解決されますか、現在見通しがつかない問題でございます。
  23. 玉井祐吉

    玉井委員 あとにしようと思つたのですが、不当利得の問題が出ましたのでお伺いいたしますが、法律的にどこに不当利得があるとお考えになりますか。その点が第一点。たとえば今並木さんからの御質問の点をお答えになつておられないのであります。法律的にお考えただきたいのです。不当、公然に入手したものが、それがずつと渡つて来て最終段階のところまで来て、それをさらに返還されたという事実は、国内法的に考えてみれば、特に民法上的に考えれば考えるほど不当利得というのはどこに、だれが不当利得者であるとお考えになるのか、その点をまずお伺いしたい。それがわかりませんと、返す返さぬということは問題外になると思います。その点をまず最初にお伺いいたしたい。
  24. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 不当利得といつて国内法と比較対照して嚴密に論及されると、その点に非常な困難な面も生ずるのでありますが、結局略奪品つた以上は、国が不当利得をした、その不当利得の延長をさらに元の状態に返すというように解釈することが、穏やかではないかしらんと考えるのであります。
  25. 玉井祐吉

    玉井委員 今のお話は、略奪品は国が不当利得をした、こうおつしやる。略奪品ということに不当の原因がある。それならば、略奪したものだということによつて不当の原因がありますならば、略奪したという証拠のない場合、その場合にはもちろんさつき並木委員からの質問がありましたように、ほかの点からの、戰争に負けたために全部返還させられたというようなことによつて、それだけでは不当利得にならないと思う。そうすると略奪したことによつて生じておる不当利得というものは、現に政府にとどまつておるのでなければならない。あと原状回復損害賠償の問題が残る。不当利得の場合はそういう形になると思う。そういうように考えて来ますと、今問題にしなければいけないのは、政府個人に返そうという場合に、個人に、たとえば私が拂下物資を受ける、そうすると政府が私に返そうというのであれば、私に対して不当利得をしているのでなければならないはずである。これは外国の方に対して略奪品だという理由によつて不当利得を生じておるとするならば、これは外国の方に対してお返しすべきであつて、私との問題ではないはずだ。不当利得という観念からすればそのはずである。しかも略奪品であるという理由であるならば、その理由によつて不当利得だというならば、むしろこちらの方の問題ではなくて、外国の方に対しての問題になつて来るわけであります。そこで、そうでなくて、かりに私はこう思うのですが、不当利得だという事実だと言えるのだとすれば、政府側において一つの不当なる利益を受けて、その利益というものは略奪品であるということ自体で来るのではなく、もう一つ別に、今話があつたように個人品物返還してしまつた、ところが個人政府にかつてつたことがあつた、その意味不当利得だというのじやないんですか。そのものが略奪品であるかないかというのじやなくて、それはもちろん要求されているから原因にはなつて来ておる。しかしながら略奪品であるないということでなくして、略奪品は、最後の国家から拂下げを受けた人が第三国に返すという行動だけが、略奪品関係として起つて来ておるのであつて不当利得は私と政府側との間における問題、政府品物を売つたけれども、実は盗んだものだ、だからそれを返せといつて返さした以上は、自分で拂わなければならない。そういう意味において不当利得なのであつて略奪の問題とは直接関係はないように思う。この点をひとつお伺いしたい。
  26. 石黒四郎

    石黒政府委員 お答え申し上げます。ある意味におきましては今御質問のあつた通りであります。不当利得というのは、法律上の議論をいたしたのではございませんで、大体考え方といたしまして、それを援用しただけでございますが、お話通りこれはいかなる方法によりまして、政府ないしはもとの陸海軍が入手したか知りませんが、それが終戰時に、あるいは戰争最終段階くらいに、日本にございまして、その後拂い下げたわけでございます。従つて拂い下げましたときに、国家代金をとつておるわけであります。その金を返そう、何となれば、拂い下げました後におきまして、これをまた司令部の命令とはいいながら、その個人から、同じ政府が沒收いたしまして、返還の用にあてたわけでございます。先ほど申し上げましたように、その国内部面だけを見ておるわけでございます。
  27. 並木芳雄

    並木委員 どうもそういう点がふに落ちないのです。そういう拂い下げたについては、当然記録が残つているものと、現地の軍や政府筋が拂い下げた場合には、記録を燒き捨てたなどということが、終戰のどさくさまぎれにありましたので、記録が残つていないものと、二つあります。その記録関係はどういうふうになつておりますか。
  28. 石黒四郎

    石黒政府委員 お話のように燒けましたり、その他の理由でない記録もあるのでございます。また残つておる記録もあるのでございます。今回は代金返還を受けたいという申請者の方で、できるだけ拂い下げた当時の証拠書類提出してもらいまして、これと政府の方に残つております記録がありますれば、たいへんけつこうであります。照合いたします。ございませんければ、申請者提出したものだけにたよるほかはありません。それによりまして確認いたしたいと存じております。
  29. 並木芳雄

    並木委員 その辺が、われわれとしては、この法律を通すときに、愼重にやらないとあとから責任を問われるおそれがあると思う点であります。つまり略奪品としていきなり沒收された。その人が、もしうそをつくつもりならば、私はこれは現地で軍から拂い下げて買つて来たものです。こういうことが言えるわけでありますが、その記録現地の軍にあり、今の日本政府の中に残つておるならば照合してわかるけれども、これが残つていない場合には、たとえば泥棒して持つて来て、内地へ置いて、この政令の第一回のときにはごまかして応じなかつたあとから来た政令でふるえ上つて、初めて出して来たような場合に、もしこれに対して不当利益であると言つてお金を渡すようなことがあるならば、どろぼうに追銭をするような場合が出て来る、そういう点について、政府はどうお考えになつておりますか。
  30. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまの並木委員のお考えと、この法案ちよつと食い違つた点があると思います。それはこの法案範囲に属するものは、日本の軍が外地において略奪し、あるいは代価をもつて接收したという品物を、国内において軍が拂い下げたものがこの法律範囲に属するのであつて、直接個人外地において取得した物件をさしてはいないわけなのであります。
  31. 並木芳雄

    並木委員 そうすると国が有償で讓渡した物件というのは、この場合の国というのはどれをさすわけですか。
  32. 石黒四郎

    石黒政府委員 これは大部分陸海軍であつたのです。それが終戰でなくなりまして、陸海軍のものを国が引継ぎまして、そして特殊物件その他として拂い下げました、その主体の国を申します。拂下げ国内で行われたのでございます。拂下げを受けました人たちまつたく善意の人であるわけであります。国外の取引には何ら関係ないわけでございます。
  33. 並木芳雄

    並木委員 その点は私も誤解があつて国外の方にはこれに含まれておらないということはわかりました。そこで国内の分についても主として軍だというお答えでございますので、やはり同じ問題が残つておると思います。特に内地の軍というものは当時証拠物件を燒くということが行われたやに聞いておりますので、おそらくこの受取書をたれに拂い下げたかという記録がないのじやないかと思います。従つて私が先ほど質問いたしました通り善意拂下げということに断定ができないのじやないかと思いますが、この点について御説明をお願いいたします。
  34. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまの御質問でありますが、もし戰争中に軍が拂い下げた物件があれば、それは証拠書類隠滅等によつて、非常に責任の所在が不明確になる点があるのでありますが、大部分終戰後に国が拂い下げたものがほとんどでございますから、それに対してはみなそれぞれ記録が残されておりますので、ただいままでのところ御心配のような不都合は、まだ来してはいないような次第でございます。
  35. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、先のお話と多少食い違いが出て来るわけですが、大部分記録があるということでございますれば、その大部分記録というものを、私たちはこの前資料として提出を求めたわけであります。そうすればおのずからそこに暗い点が一掃されて来る、われわれが疑問に思つておる点が一掃されて来るのじやないかと思うのです。大部分記録が残つておる合計金額というものについてもう一度お尋ねいたしますが、この前山口国務大臣合計三十億といつたような数字を私は聞いたと記憶しております。正確な数字合計何円になりますか、その点をもう一度お尋ねいたします。
  36. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 前会に御説明したときに確かに三十億見当ということを申し上げました。それが今まで集まつて来た記録の集計でございます。大体記録はあるはずでございますが、関係方面との折衝の経過においてまだ許可を受けない面があるのでありまして、われわれ政府当局としては終戰後国が拂い下げたのでありますから、この記録が消えてなくなつたわけでは断じてないと考えておりますが、多少関係方面との折衝が残されておるような次第であります。その点に並木委員の御質問の急所がわれわれにもうなずかれる次第でございます。
  37. 並木芳雄

    並木委員 そうすると総額においては今までの申出を総合すると三十億円見当あるということですか、なかなかこれは私は大問題だろうと思うのです。
  38. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 さように存じております。
  39. 浦口鉄男

    ○浦口委員 今金額の問題が出ましたので関連して質問申し上げます。ただいまのは金及び銀、ダイヤモンド、その他機械類、すべての金額でございますか。
  40. 石黒四郎

    石黒政府委員 ちよつと御説明申し上げなければならぬと存じますところがございます。今大臣が申し上げました三十億見当と申しますのは、国が、すなわち当時は内務省でありますが、特殊物件を拂い下げまして收納いたしました金が三十億見当国に入つておるということでございます。それから金銀の問題をおつしやいましたのは、これは特殊物件とは一応別な略奪品観念のことでございましようと存じます。そこの中には金、銀、その他特殊物件——御報告申し上げましたような種々雑多のものが含まれておる次第でございます。この法案はたまたま特殊物件であつて、その中から略奪品として沒收されたものが出た場合に関連する次第でございます。
  41. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、略奪品に属する金塊と銀塊についての金額をお知らせ願いたい。
  42. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 これは前会に御報告したと思うのですが、金塊が一トン六キロ三百三グラム、銀塊が二百四十七トン、金塊が約五億円、銀塊が約十五億円、こうなつております。
  43. 浦口鉄男

    ○浦口委員 この数字は、実は資料としていただいておりますが、それを金額に換算したものをお聞きしたい。それからそのときの金塊並びに銀塊に対する換算の率でございます。
  44. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 現在の公定価格になつておるようであります。
  45. 浦口鉄男

    ○浦口委員 実は三月六日の予算委員会において、世耕議員の質問に対して、大蔵大臣がこういう答弁をしております。「賠償庁調査によりますと、今お話の件は金塊が約五億、銀が約二十億、それらはともにオランダその他より略奪品と認められ、すでに返還済みだそうでございます。これは賠償庁調査だそうであります。ただいま資料が参りました。このことは外務委員会においても、賠償庁からお話したそうでございます。」こういう答弁がございますが、この答弁は、今のお話と合せますと、ちよつと食い違うようでありますが、その点いかがですか。
  46. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいま私の方で申した金塊の値段は符合しておるようですが、銀塊の方は二十四十七トン、約十五億円というのが正確だと存じます。
  47. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それではこれは、略奪品とわかつて沒收されたものに対して、政府がお支拂いになるときは、第三條にありますように、「当該物件を国から取得し、且つ、沒收された者に対して、国が当該物件の対価として收納した代金」こうふうになつておりますから、この支拂いする金額の算定基準は、今年の三日一日に改訂になりました金並びに銀に対する買入れ値段のレートによつて換算してお返しになる、こういう意味でありますか。
  48. 石黒四郎

    石黒政府委員 実はこの法律で申します略奪品というのは、政府がかつて拂下げをいたしまして、しかも後に略奪品として沒收した場合に限るのでありまして、今の金、銀のごときは金額に見積りまして、略奪品の中では尤なるものであります。ところがこれは拂下げしたものではございません。政府がそのまま所有しておりました際に、返還を命ぜられたのでございます。御質問に応じまして、ただ値踏みいたしただけでございまして、この法案には関係ございません。
  49. 玉井祐吉

    玉井委員 どうもそれがわからなくて困るのですが、沒收を受けた物が略奪品になるというようなお話でございましたが、沒收を受けた物が略奪品であつたというような意味は、どういうことでありましようか。一国の国会の委員会法律をつくるという場合に、常識的に不当利得だとか、殺人だとか言つてはいかぬと思う。この場合不当利得と称して返還させるということならば、ここに不当の原因があるということをやはりはつきり言わなければならぬ。それで今略奪品というものは、沒收を受けたときに略奪品になると言われたが——これはあとで速記を見ていただきますが、そういうような考え方をされますと、略奪行為自体によつてつたものだからいかぬと言つて返すのか。とられてしまつたからこれはしようがない、これは略奪品になるのだということになるのか。これは非常に大きな違いである。これはときによつては、戰争に負けてしまつておるから、略奪品でないものも略奪品と言われておるものもあるかもしれません。だから返済をする場合に、その点を考慮してやらなければならない場合もあるでしよう。しかし、略奪品であるかどうかという観念は全然違う。略奪行為によつてつた物が略奪品であつて略奪品と推定されて沒收されたからといつて、それは略奪品だということは言えないと思う。
  50. 石黒四郎

    石黒政府委員 私の言葉が足りないで、さような誤解を生じたかもしれませんが、お話通りでありまして、略奪品ということがはつきりした場合にのみ沒收されるのであつて、沒收されたから略奪品と言うのではございません。  また不当利得はどこに原因があるかと言われますが、われわれの考え方といたしましては、つまりある品物に例をとつてみますと、その品物占領地域におきまして、軍が何らかの方法によつて取得いたしまして、それを戰争中に内地に運んで軍の目的に使いました残りが終戰のときにございました。それは終戰後国家の手から拂下げをいたされました。それを拂い下げました径路は、御報告申し上げたようにいろいろございますが、重要物資であれば、当時の配給計画に従つて配給されますソースに繰入れられたのであります。そうして需要者が通産省なり商工省なり何なりの、正式の需給割当票をもちまして、これを配給機関から購入いたしたのであります。その間拂下げと申しますか、買い入れました方には、何ら落度はないのであります。ところが他方占領軍が参りましてから、この略奪品返還するという方針がきまりまして、随時日本側に略奪品を探して返還せよという指令が参つた次第であります。その指令に従いまして、われわれが調査し発見いたしました際に、略奪品として沒收いたしましたが、適法善意の国民が買いましたものの中から、略奪品が出て参るわけであります。そこで略奪品となりますと、国家が沒收いたします。対価を拂わずに沒收いたしまして、これを連合国返還いたします。そうしますと、拂下げを受けた個人の立場から見ておりますと、自分は配給切符なり、あるいは自由品であれば自由に購入した際には、適正な対価を拂つて購入いたしたが、同じ政府がやつて来てこれを無償で沒收いたせば、その金は政府がとつてつておるじやないかということに相なるわけであります。政府はさきに物を売り、次いでその物を無償で沒收し、しかも金はかつて受取つて、そのまま国庫に入つておるというところに、大体においてわれわれが申しました不当利得に似ているじやないかというところがある次第でございます。
  51. 玉井祐吉

    玉井委員 今のお話で大体のコースはわかつたのですが、問題にされなければいけない点は、個人に落度があつたかないかという点なんです。これは配給機構などを通じてした場合には、おそらく落度はあるまい。わからないのが普通だと思う。配給機構を通じてした場合には、いわゆる平穏、公然、善意、無過失の経過をとつておりますので、これは当然不当利得として政府が賠償することは意味があると思う。ところがそうでなくて、知つておいて拂下げを受けている場合があり得る。こういう場合に落度があるかないかということは、相当嚴重に審査をしていただかないと、單にごまかしたとか、ごまかさないというだけではなくて、不当利得という少くともこの際当然主張せらるべき法律的な根拠自体もくつがえすことになる。そこで立証の方法について、もう少し愼重なものをつくつてただきたいと思うわけであります。先ほどのお話では、証拠品がない場合には、主張者側の証拠にたよらざるを得ないということでありますが、これは極端な場合は、うそでも何でも、言いさえすれば勝つということになる。そうすれば、全面的にこの法律に賛成するわけには行かないので、むしろ誤りだと思う。その点はよほどよく考えてやらなければいかぬので、特に第四條以下の取扱いに対しては、この点にないて非常に大きな問題が含まれていると思う。今横から発言してしまいましたので、もとの質問者の並木さんにお返しすることとして、落度があつたかなかつたかという点についての立証の問題、これは不当利得ということ自体を合理化するかしないかが、相当大きな問題であると同時に、分配自体の問題に関連して、相当重要なものであるという点をひとつ御記憶いただきたい思う。
  52. 石黒四郎

    石黒政府委員 ごもつともな御質問であります。しかしながらわれわれといたしましては、拂い下げます場合に、配給切符で拂い下げた場合と、そうでない非統制品で自由に購入されました場合とで、差異はないのであります。たまたまそれが統制品でありますから、配給切符によつて売買を統制しただけでございます。売手、買手、売る方はいずれも国家であります。買います方は、それが略奪品であるかどうかは知らない。実は売るときは国家も知らないのであります。そして相手の人も当然知らないのであります。かくして取引されたものでありまして、それを知つて云々ということはないということを申し上げておきます。
  53. 玉井祐吉

    玉井委員 それは違うのです。そういうやせがまんの答えを私は要求しない。そういうような答えをされるならば、もつと意地惡くいじめようがあるのですが、私はそういうことをしないでいる。しかしそれはいかぬのです。どうしてかというと、先ほど言われたように、略奪品であるかないかということは、事実上正確に金を拂つてつても、略奪品としての処分の取扱いを受けたことがあるということ、そこに問題がある。だからはたして一つ一つのものが略奪品かどうかということを、一応全部当るということも、実際は容易なことじやない。ところが金を事実拂つてつて来ておつても、敗戰の結果、あれは略奪品だ、ゴムを何トン持つて来た、何を何トン持つて来たということで、略奪品としての処分を受けているところに問題がある。実際上政府の方で多少金を拂つて来たといつても、実は略奪品を承知して売つてつたという場合があるのです。もし資料ができないというなら、略奪品であると承知して売つてつた場合の資料もありますが、略奪品と承知しておつて、これはうまいもうけ話だというので、配給品であるかないかは別として、統制品だから一応配給のルートを通じてとる人もあるし、またそうでない人もある。ただ法律上で一応不当利得だというためには、少くとも受取る方の人が、かつぱらいの品物、贓品ということを知らないでいるということが條件になるわけだ。知つている場合には贓物故売であるが、そうでないのですから、その点を相当はつきりさせないと、不当利得だという理由損害賠償してやるという気持は、ここでは生れて来ないということを私は言つている。だからその点は、簡單に今言われたように、はたして惡意があつて拂下げを受けたものかどうかわからぬ、ほとんどないものだと思ういうふうに、逆の推定をされることは、むしろ間違いである。こういうようなどさくさの場合には、どいつもこいつも、逆に全部略奪品だということを知つてつてつた者が大半であるのだが、しかしこれらの証拠を持つて来た人の場合には、知らないという証拠があるのだから、不当利得として返そうということの方が、愼重であり、妥当であると思う。ことに多くの人たちが今度の戰争では相当被害を受けている。これで相当の損失を受けて、つぶれたところもあるいはあるかもしれませんが、割合にそういうところは少い。むしろそういう小さなところをめんどうを見ているよりも、今日中山さんもお見えですが、未亡人の問題であるとか、その他の問題がある。戰争被害者をこんなところで救うよりも、ほかに救いようがあるのじやないかということを考えさせられるわけだ。だからこの場合も愼重に扱う意味において、立証の問題をもつと嚴重にしてもらいたいと思う。事実上はつきりした立証がない場合には、戰争のどさくさで、やむを得ずとにかくこういうふうになつてしまつたというので、こんなところで変な道義心を出して返そうということを予想するよりも、予想すべきその金額で、社会保険なりほかの仕事をする方が、戰争に対する責任をとる政府として、やはり妥当な方法だと思う。
  54. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 玉井委員の御説ごもつともでありまして、本法律の実際の施行にあたりましては、十分御趣旨の点をくみいれまして、あやまちなきようにいたしたいと存じます。
  55. 並木芳雄

    並木委員 日本政府が拂い下げたのが終戰後であるということは、今までのお話に関連して、二十一年五月九日に内務省令第二十五号というのが出ております。従つてその前の年の八月十五日が降伏の日ですから八月十五日からおそくとも翌年の五月九日、この省令が出るまでの間に限るものと了解いたしておりますが、いかがですか。どうしてこういうことを聞くかというと、もしそうでなければ、おそくもこれよりあとに拂い下げたものがあるとすれば、これは善意無過失ではなくて、惡意過失なんです。こういう沒收のあれが出ているのですから……。それからまたこういう内務省令が出るについては、その準備期間が相当あつたろうと思う。政府の内部ではわかつてつたろうと思う。だから五月の九日に近いときに拂い下げたようなものについては、そこにかなり情を知つて不正拂下げが行われたということが考えられるので、特にお伺いするのです。
  56. 石黒四郎

    石黒政府委員 これまたごもつともな点でございます。実はそれにつきましては、略奪品の処置につきましてどういうふうに行われて来たかということを、少し申し上げないといけないと思うのであります。実は司令部の方であらかじめ連合国側におきまして、第一條にございますような略奪品とか、それらの戰争中の取引はさかのぼつて無効とすることに打合せがございまして、戰後昭和二十一年の四月に至りまして、具体的にそのことを日本政府の方に言つて参り、それに基きましてこの内務省令をつくつたのでありますが、実はそのとき日本側といたしましては、この定義を與えられただけで、金で買つたものまで略奪品とするのかどうかという点、あるいは略奪品と思われるものを製品化してしまつた場合でも返すのかどうかという点、種々雑多な点におきまして司令部側の意向を聽取し、われわれの希望を申し、現実の問題としてこういうのは略奪品であるということが逐次わかつてつたのであります。それも品物ごとに研究を重ねました次第でありまして、実際問題といたしまして、この省令二十五号が出まして、ただちに一斉に検査し、略奪品調査し、返還したのではございません。まずこれが出ましてから実は現在に至るまで、いまだ調査を継続いたしておるような次第であります。他方拂下げはもちろんお話のごとく、昭和二十年あるいは二十一年の前半ぐらいに、大多数のものが処分されたやに聞いております。しかしその後も全然なかつたわけではございません。拂下げの方もずつと継続してやつておるようであります。われわれの方はまた今し申上げましたように、二十一年五月以来、この内務省令をちましてだんだん仕事が地について行つたのであります。従いまして略奪品には、その品物政府の手にまだある時分に発見されたものもございます。あるいは拂下げの径路であります公団、営団その他一手販売機関の手の中にあつた時分に、略奪品として没収したものもございます。あるいはすでに民間に拂い下げられて、民間の手にあつたものを没收したものもございます。各段階にわたつて没收が行われたような状況になつておるわけであります。
  57. 並木芳雄

    並木委員 これは必ずしも不当利得に基いているものでもない。要するに私たちにはまだ性格がはつきりのみ込めないのですが、拂い下げた品物がそつくりそのまま残つて、つまり拂い下げた当時の数量と同じ数量が残つて没收されたものは、比較的に私たちは理解しやすいと思う。ところが拂い下げたときには、たとえば千ヤールなら千ヤールあつた。ところが没收されたときにはその半分の五百ヤールになつていたという場合には、なかなかむずかしい問題が起ると思うのです。今までの記録によりますと、その点はどんなふうな比率になつておりますかを概略御説明願いたいと思います。
  58. 石黒四郎

    石黒政府委員 お話のような統計は、実はほとんど不可能に近いと思うのであります。先ほど申し上げましたように、略奪品として発見されましたものが、原形を備えておる場合にのみ没収するか、あるいはそれを材料とした製品になつてしまつた場合にまで及ぶかということにつきましては、たいへん問題になつたのでありますが、司令部側の了解を得まして、原形の存する場合ということに限つたのであります。製品になりました場合はまだいいのでありますが、飲んだり食つてしまつた物もたくさんあるわけでありますので、原形を存するときにのみということにいたして、今日に至つておるのであります。従いまして払下げを受けましてから、逐次それを製品化して行つて、その物が略奪品として発見されました際には、その一部を消費し去つてつたどいうことも非常に多くある次第であります。
  59. 並木芳雄

    並木委員 その場合に私たちが心配いたしますのは、その過程において、ざつくばらんな言葉でいうと、相当もうかつておるのではないか、だからこれが嚴格の意味における不当利得ということであれば、また考え直しますけれども、先ほどの来の御説明ですと、不当利得と賠償といつたものを足して、二で割つたような感じがするのです。私たちはそれがはつきりのみ込めておりません。そういう点をよく調査して、慣市にやる。これが必要なので、先ほど山口国務大臣の慎重にやるというお言葉は、確かにわれわれ拝聴しましたが、この法案をどうして今やるかということにおいては、非常に疑惑を招く点があるから、かつて在外公館借上げ調査をしたように、第一段階としてその調査だけをやるような法案に直して、準備された方が万全じやないかと思う。そうしませんと、これは一々受取も発行されておらないのもあるし、ばらばらになつてしまつたものを、ばらばらに申請して来て、その数量が合致しなかつた場合にも、ずいぶん不公平な結果を来すと思います。特にただいま申しましたように、すでに相当利潤を上げておる人が、さらにこれによつて追銭を受取るといつたことが起りますので、もしそういうことが行われますと、先ほど玉井委員が言われたように、犠牲負担の公平の見地から考えて、相当社会問題になるおそれがあるのであります。そこで特殊物件を払い下げて、収納した金額の集計が三十億円である。その中で今度の場合に相当するものが幾らでございますか。
  60. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいままでの集計では、七、八千万円程度になつております。
  61. 並木芳雄

    並木委員 二十四年度予算に何かそれを計上したものがあるでしようか。私ちよつと予算を調べたのですが、わかりにくいのです。もし計上してるとすれば、どういう項目で、その中に幾ら含まれておるか。昨日パスした二十五年度予算に計上されておりますか、おるとすればどういう項目で幾ら計上されておるか。それをお知らせ願います。
  62. 石黒四郎

    石黒政府委員 お答え申し上げます。本年度は大蔵省所管特殊財産処理事業費略奪物件返還費の中にございます。二十五年度におきましてはその所管大蔵省から賠償庁に移つておりますが、同様科目の中にございます。金額は二十四年度におきまして六百万円・二十五年度におきまして千四百七十万円であります。
  63. 並木芳雄

    並木委員 二十四年度の予算に計上されておつたとすれば、一年前のことなんですが、とすると一年前から今日あるを予期して計上しておいたのでありますか。もしそうだとすれば、この法案が一年もたつてようやく日の目を見たということは、ずいぶんそこにわれわれとしてはふしぎな感じを抱くわけです。予算を計上する以上は、相当アプルーヴァルが得られるという見通しがついてこそ予算を計上したのであろうと思いますが、それを今日突如として——われわれから邪推すると、閉会まぎわのどさくさまぎれに、あまり審議などもしないで、ぐうつと通してしまおうという気持かあるのじやないかという節もありますので、その点をクリヤーしていただきたいと思います。
  64. 石黒四郎

    石黒政府委員 この問題は金額的に申し上げますと、大臣が言われるように一億足らずのものでありますけれども、たいへんこまかく多数の件数にわたつておりますし、それが特殊物件関係でありましたり、略奪品関係でありましたので、われわれ事務当局といたしましても、非常に愼重な審議を必要といたしたのであります。現場にも参りまして調査もいたしますし、先ほど申し上げましたような特殊物件に関する完全な資料がございませんし、まずまず大丈夫だろうというところにこぎ着けますまでにたいへん時間を要した次第でございます。
  65. 並木芳雄

    並木委員 将来三十億円に近い数字になるということが予想されますか。つまり払い下げたこの特殊物件合計が三十億円であり、今までの略奪品の科目に入るものが七、八千万円——この七、八千万円の額は、さらに増加する可能性があるものかどうか。あるとすれば何億くらいに上るものであるかどうか。その予想をお知らせ願いたい。
  66. 石黒四郎

    石黒政府委員 われわれの今まであらゆる方面から集めました資料によりましては、一億円以上に上ることはございません。
  67. 並木芳雄

    並木委員 私はまだたくさんありますが、時間を一人でいただいてしまいますから、もう一、二点で一応打切りたいと思います。第三條に、官ではない地方公共団体にも払下げないという項目があります。  第三條に「地方公共団体、法令による公団その他これらに類する者で賠償庁長官の指定するもの又は解散団体である場合においては、前二項の規定は適用しない。」とあつて、それには支払いをしないということになつていますが、説明書を見ますと、官に対しては支払わないのだと書いてあるのです。地方公共団体は官ではないのではないか。われわれから見ると、地方公共団体のものに対しては除外しなくてもいいのではないかという解釈が出るのですが、どうですか。
  68. 石黒四郎

    石黒政府委員 あるいはわれわれの方の文字の使い方が悪かつたのかもしれませんですが、地方公共団体はこの払下げとか略奪品に関しまして、国の事務をお頼みしてやつてただいておるので、その限度において国の機関ということに考えましたものですから、さような文字を使つたかと思うのであります。われわれといたしましてはそれは先ほど申し上げましたような、いろいろな段階におきまして略奪品が発見されております。国の手にある場合、地方公共団体の手あるはい公団の手、営団の手といろいろございましたので、ここに申し上げますように地方公共団体、公団あるいは解散団体というような場合には、その金は支払いません。そういう場合には、大体におきましてそれらの利害関係は、国民各個人には関係ございません場合を予想しておるわけであります。
  69. 今野武雄

    ○今野委員 地方公共団体から払下げを受けたものはどうなりますか。地方公共団体に行つて、それをさらに譲渡されたものは……
  70. 石黒四郎

    石黒政府委員 そういう場合もございます。
  71. 今野武雄

    ○今野委員 そうするとそれは含まれないのでありますか。
  72. 石黒四郎

    石黒政府委員 そうではございません。地方公共団体の手にありますときに没収返還になりました場合であります。
  73. 並木芳雄

    並木委員 やはり地方公共団体を国の機関と一体とみなすことには疑問があると思います。特に地方財政が苦しいときでありますから、こういう金をどろぼうに追銭みたいにやるのだつたらば、むしろ市町村にわけてやつた方が気がきいておると考えるのですが、この点ひとつ御再考を願いたいと思います。地方公共団体でも特にこれに該当するものに対しては、払つてつていいのではないか。これは将来法律ができてからのことですが、その用意は一応言つておきます。  それからもう一つだけ確かめておきますが、お金を現実に払つたものに限つて、物々清算でやつたものを除外しておる。これも何ですかおかしいのです。個人の場合に私が払下げを受けるときに、お金で百万円払つた。こういう場合はよろしい。これに該当する。しかし百万円に該当する物々交換をやつた場合には、このものが何とかだからだめだと説明書に書いてある。これはやはりおかしい。さつきからの説明を聞いておると、そのものを何か国が利用するか、売りとばしておるか何かしておるのですから、どうしていけないないのですか。物々清算の場合、除外した理由
  74. 石黒四郎

    石黒政府委員 今の場合は国庫に入りました命を返還するという建前からいたしまして、金の取引でなかつた場合、いろいろのことがあつたろうと思うのでありますが、それはこの法案から除外いたしましたわけであります。
  75. 並木芳雄

    並木委員 どうもそういう点は数々納得の行かない点があるのです。ですから資料をいただきたいのと、そういう点についての検討を私はなお必要とすると思います。私の質問は大分時間をいただきましたから、一応これをもつて打切ることにいたします。
  76. 玉井祐吉

    玉井委員 ちよつと今の点について関連質問をいたします。この法律をお使いになるのは裁判所でお使いになるのではなくて、各行政庁でお使いになるのだと思いますが、そうでございますか。その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  77. 石黒四郎

    石黒政府委員 ちよつと御質問の御趣旨がわかりませんが、われわれ行政府がこれに従つてやるのでございます。ただ問題がありましたときに、最後の條文にございます裁判所に出訴することができるということを書いてございます。
  78. 玉井祐吉

    玉井委員 そうしますと、それなら特にここでお約束いただければ、直接行政庁が自分で使われる場合のお約束をしていただけるわけなので申し上げておきたいのですが、さつき地方公共団体の手にあるときに没収されたとおつしやつたのですが、これはそうじやなくて、地方公共団体が何といいますか、この金の返還を受ける場合というふうに扱うのが私は正しいのではないかと思うのです。その具体的の状況に応じて扱つてただきたいと思うのです。地方公共団体自体の手にあるときに没収されたという場合には、ほかの個人に一ぺん払い下げたものでも、何らかの関係で地方公共団体にもどしでおいた。あるいは一応返さなければならぬというので納めておいたものもある。たとえば私が地方公共団体から払い下げられた物を持つてつて、地方公共団体に返さなければならぬというので、私から地方公共団体がとりもどしたものがある。中方政府の方のものでなくて、末端で取返したものがある。そういう場合には、この法律が適用されると、私の方からではなくて、地方公共団体から直接没収になる形に事実上はなつておる。そうなると、今の形で適用させて参りますと、直接末端の、これを買いとつた人に償賠してやろうという趣旨から、かなり離れて来ますので、その場合没収を受ける主体は地方公共団体であるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  79. 石黒四郎

    石黒政府委員 御質問趣旨ちよつとわかりませんが、地方団体の手にあると申しましたのは、あるいは地方団体があしたあたりそれを払い下げようと思つてつてつたものもございましよう。あるいは自分で使うために持つてつたものもございましよう。その辺はいろいろあるかと思いますが、とにかくわれわれといたしましては、没収いたしましたために個人損害がある——補償の問題は別でありますけれども、個人が買つて政府に金を払つたものであるという場合にその個人に対して返金いたそうという趣旨ございます。
  80. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 すでに二十四年度の予算で六百万円計上しておりながら、去年この法律案を出さなかつた。本年も千数百万円が計上しておる。いろいろその間に調査をやつてつたから、今この法律案を出すというような御答弁でしたが、その御調査というものはきわめてあいまいであると思いますが、そういうあいまいな基準をもつてこの法律を今お出しになるというようなとこに実にふしぎなものを感ずるのであります。何かその裏にあるのではないかということを感ずるのでありますが、その間の詳細なところを伺いたいと思います。
  81. 石黒四郎

    石黒政府委員 われわれといたしましては、できるだけ愼重に調査を遂げましたために、時間がかかつたのであります。われわれの考えるところによりますと、これ以上調査いたしましても、もはや個々の場合におきまして、申請者証拠書類提出によるほかないという結論に達しましたので、この法律をお願いしたわけでございます。
  82. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 この説明書の先の方を読んでおりますと、この法律不当利得の一種と考え提出するのだということになつておりまして、先の方に括弧をしまして「補償というようなことになりますと、これは略奪品返還という特殊な場合でありますがゆえに、将来たとえば講和條約の締結とも関連し、他の一般的な補償問題とからんで、さらにあらためて考慮されるべきものと考えられます。」ということになつておりまして、この考え方によりますと、講和條約の締結までなぜこれだけが待たれないのかという感じがするのでありますけれども、どうせ今ごろお出しになるのでしたら、もう少し完全な調査の書類を整えていただいて、私どもの納得の行く書類としてお出し願いたいと思うのです。でき得べくんば講和條約の締結前後までお待ち願いたいのでありますが、なぜ待たれないのでございましようか。
  83. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 今の福田さんの御議論でございますが、これは正当だとして拂下げを受けた人が、沒收されたものの返還を命ぜられたということは、その人個人にとつては非常にお気の毒な次第であります。昨年以来賠償庁にしばしばこういう陳情が参つてつたのであります。ただいま玉井委員から贓物故買の問題がありましたが、まつたく国からの拂下げであるから、正当なものとして取得した者が、たまたま略奪品として沒收されたというような損害に対しましては、やはり国がこれを支拂つてやるのが常識であるとわれわれは考えております。昨年以来そういうような陳情が参つておりましたので、六百万円ほどを計上したわけでありまして、今日までの返還の場合において、大蔵省が勅令をもつて処置した問題もあります。そういう次第で、この法律を用いず、まずその実情に照して政府適法に処置するという含みのものとにおいて、六百万円を計上しておつたのであります。今年もまた千数百万円を計上しておるような次第でありますが、どうしてもやはり国会の御審議を得た法律のもとにおいて、これを適法措置するということが妥当であろうというので、この法律案提出したような次第でありまして、決して何かその裏に伏圧するというようなことは断じてございませんから、その点ひとつ御承知を願いたいと思います。
  84. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 大臣のおつしやつた趣旨は、まことに了とするのでございまして、その趣旨においては賛成なのでございます。ただ戰争犠牲者というような点から考えてみました場合に、他との振合においてこの法律がいかにも先走つておるという感じがするのであります。戰争犠牲ということにつきましては、ほかの議員からも御質問がありましたように、この対象になる人たちだけが、あえて戰争犠牲者じやなかろうと思うのであります。そういう意味で、この法律はどうも先走つておるという考えを、私どもはどうしてもぬぐい去ることができないのであります。  それから、次にお尋ね申し上げたいことは、この法律の対象となる物件は、大体どういうものがあるのでございますか、それを概略お教え願いたい。
  85. 石黒四郎

    石黒政府委員 概略お答えいたしますと、いろいろなものがございます。ミシン、自動車、非鉄金属、宝石、綿糸布。羊毛、生糸、ゴム、その他種々のものが、量はあまり多くございませんが、多種多様にわたつております。
  86. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 先ほど、製品となつたものはこの法律の対象にならないというお話でございましたが、羊毛とか、生糸とか、ゴムとかいうものは、製品となつたものに対しましては対象にならなくて、原料だけが対象になつておるのでありますが、そうしますと、そのときの記録と、今度対価を政府が支拂いますときの記録というものの、はつきりしたものがあるのでありましようか。
  87. 石黒四郎

    石黒政府委員 今申し上げましたようなものは原料でありますが、製品もございます。要するに先ほど申し上げましたように、占領地域から略奪いたして来ました際の原形をとどめるものは、略奪品として返還させられておる次第であります。
  88. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 その数量の上におきましても、拂い下げたときの数量と、沒收されたときの現物の数量というものを、十分御調査の上で金額の支拂いをなさるのでございましようか。
  89. 石黒四郎

    石黒政府委員 現物はすでに返還いたしておりますから、証拠書類によつていたすわけでございます。
  90. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 どうもその間に、私は惡く考えたら不正が行われるような気がしてしかたがないのでございますけれども、そういう御懸念はないのでございましようか。
  91. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 福田委員お答えいたしますが、もうすでに略奪品として返還したものなのでございます。だから政府が拂い下げたときの品物を、さらに略奪品としてもう先方に返還された品物で、そのときの代金というものが明確になつておるわけなのですから、何らその間に不正が行われるはずはないと思います。むしろ考えようによつては、返還を命ぜられた人にとつては非常に苦痛である面も出て参るわけなのでありますから、当時の価格によつて政府が支拂いをするというせめてもの政府の親心でありまして、不正等が行われるというようなことは決してないと存じます。
  92. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 たとえば機械とか、あるいは原料でございましたら原料を使つて製品にして、商売してもうけた人もありましようし、機械によつて利潤を上げた人もあると思いますけれども、そういう利潤として、すでに商品として売りさばいておるということに対する、はつきりした証拠がつかめないような気がいたすのでありますが……
  93. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 その機械なり、物を得て、そうして利潤を上げた、こういうところまでは政府としてもタツチすることはとうてい不可能でありまして、そこまで嚴密に公平にということは、とうてい他の場合においても行われぬのではないかしらんと思うのであります。
  94. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、この法律は、この法律自体の範囲内においても、きわめて不公平な処置がとられるのだと解釈してよろしいのでございましようか。
  95. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 この法律自体の範囲においては、断じて不公平はないのでありまして、当時の政府が收納したそのものの代金返還するのでありますから、その点、この法律がゆがめられて利用されるというような点は、いささかも疑念のない問題ではないかと存じます。
  96. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ただいまの大臣の御答弁それ自体よくわかるのでございますけれども、私は大臣のように、この拂い下げられた人がそれほど人格者ばかりとは考えられないのでございます。調査も不十分でありますし、どういたしましてもその間に不公平な、非常にもうかる人と、得をしない人が出て来るような感じがすることはいなめません。もう少し私に理解の行く御調査、拂い下げてから沒收されましたその期間における十分な調査をお願いしたいものだと存じます。  それからもう一つお尋ねいたしたいのでございますが、この沒收はまだ続いておるのでございましようか。
  97. 石黒四郎

    石黒政府委員 続いております。
  98. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 いつごろまで続きますか。これはむずかしい問題でありましようけれども、いかがなものでございましよう。
  99. 石黒四郎

    石黒政府委員 われわれとしましてはちよつと見当はつかないのでありますが、最近いろいろの事情から判断いたしまして、そう長くは続くものではないというふうにわれわれ考えております。
  100. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 この法律によりますと、支拂い順位とかいうことはちつともはつきりわからないのでございます。その支拂いの順位の点におきましても、惡く申せば、きわめて不正なものが起りはしないかと懸念されるのでありますが、支拂いはどういう形式をおとりになるのでございましようか。
  101. 石黒四郎

    石黒政府委員 支拂いは、法案に書いてありますように、まず書類上の審査を県知事がいたします。県知事は、その個人から当該の品物を沒收しましたその県知事であります。その県知事に申請書を出して、そこに一番情報がありますので県知事が審査をいたします。次いで賠償庁長官に送つて参りまして、賠償庁長官が最終的の確認をいたします。その確認がありました上は、その旨を本人に、県知事を通じて通知をいたします。その通知があり次第、申請者から県知事に請求しまして、県知事が支拂うわけでございます。
  102. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 その順序はよく了解させていただきましたが、私はその運営において、どうも悪く考えますと、あまり感心できない事態が起るのではないかということを懸念するのであります。  それからもう一つお尋ねいたしたいと思うのでございますが、この法律の対象になつておる人、いわゆるそういう略奪品としての拂下げを受けておられた方で、今日沒收された人たちの生活の様式は、今日どの程度の生活をしておるか。これは非常に困難な問題でありますし、質問を申し上げるのが間違つておるかもしれませんが、こういう法律の対象になる人の生活状態というものは、大体どのような状態であるか。記録があれば多少おわかりになつている点もあろうかと思いますので、お教え願いたいと思います。
  103. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 これはもう種々雑多でありまして、大会社もありますし、またこの戰争のために未亡人となつたというような方々、特にミシンなどは、そういう方々がせつかく生活のかてにと思つて拂下げを受けられたのを沒收されたというような、実に気の毒な面もあるのでございます。
  104. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私どもといたしましては、戰時中こういつた物件拂下げを受けたような家庭というものは、戰後におきましても、悪い言葉でいえばやみ成金であり、成金階級であるものと考えられるのでございます。従つてそういう人たちは、悪くいえば非常にぼろいもうけをした階級であるということが言えると思うのでありますが、そういつた人たちに一応——今日はどのような生活環境に転落されておるかもしれませんけれども、そういつた非常に政府の恩惠によつてもうけた人たちを、またこういつた形において補償するということになりますと、非常に片寄つた政策がとられるような感じを受けるのでありますが……
  105. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 福田委員の御心配される点は、うなずける点もあります、それは自動車なんかの点につきましては、大会社等が取得したということがありますが、特に非鉄金属なんかは非常に小さな町工場の材料となつたり、あるいは生糸類とか、ただいま申し上げましたミシンとか、そういう面はむしろ貧困の人々に拂下げをしておるのでありまして、そういうふうな人が政府としては一番お気の毒に考えておるような次第であります。それかといつて代金の支拂いに甲乙をつけるというわけにも参りません。十分御意思の深い点はよくわかるのでありますが、やはり法律は万人に公平に適用する建前になつておるのでありまして、特にそういう指摘されるような大企業者、やみ成金などがこれを取得したのだ、そういうことでは今ちよつと当てはまらない点があるのでありまして、むしろ町工場とか来亡人とかいうような人人に、相当多く終戰後各府県を通じて拂い下げられている点が多数あることも、御承知を願いたいと思います。
  106. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私先ほど申し上げましたように、この法律自体の精神というものは、まつたく同感なのでありますが、他の社会的ないろいろな国民生活の今日の実態というものを考えた場合に、また戰争被害者といつたものの立場を考えた場合に、この法律自体が少し先走つておるような感じがすることは、いなめないところであります。それと同時に、この法律の中においても、そういうお金持よりも、今月の生活に困つておるような大衆もあるということになりまして、この法律自体の中におきましても、非常な調査の不行届な点、あるいはまたこの法律の運営にあたつて懸念される点がたくさん残されておるのでありまして、この運営にあたつてはいま少し嚴重な調査の上に立たれまして、他の法律との振合いの上において、しかも国民生活の実態に役に立つような運営をしていただきたいと私は思うのであります。今日未亡人家庭、また非常に貧困な家庭において、こういう法律を適用していただくということは、私は非常に賛成なのでありますけれども、そういう方たちの名前の陰に隠れて、大きな財閥がまた追銭をもらうというようなことになりますと、私は非常に不賛成な気持を持つのであります。この法律自体の中にもう少しすつきりした、そうしてほんとうに他の法律との振合いにおいて、みなが納得の行くような形態を、もう少し御調査の上においてとつてただきたい、こういうふうに私は希望するのであります。
  107. 今野武雄

    ○今野委員 いろいろお聞きしたいことがありますけれども、まずただいまの御質問に関連してお聞きしたい。今山口さんは、どうも非常に貧困な場合がたくさんあるということを言われるのでありますが、政府から出されました説明書によりますと、こういうふうに書いてある。「たとえば略奪シンガー・ミシンのごときは、終戰時において一台百五十円ないし二百五十円くらいにて讓り渡しておるのであります。これらは現在の物価事情から考え、はなはだわずかな額でありますから、略奪品として沒收せられた者はそれが拂下物件であることがわかつていても、申請手続の煩雑なるのをいとい、支拂いを受け得る資格を放棄することも考えられるからであります。」だからこれはそういう者までは支拂わないのだ、申し出た者に対してのみ支拂うのだということが書いてある。そうしてみると、立案者自身そういう者はほとんど申し出ないということを予想しておるように思われるのであります。そうすると山口さんの今の説明では、どうもまるで正反対のことになりますけれども、その点どうでしようか。
  108. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 さようなことは政府としては一向考えてもいないし、また考うべき性質のものではないのでありまして、どうもこの説明が私にも受取れないような……。(「大臣がわからないではだめじやないか」と呼ぶ者あり、笑い声)しかしこの説明の中にも、決して支拂わないと書いてないのであつて、「従つて本條は支拂いを受けようとする者に対してのみ、次の列挙せる」云々と書いてあるのでありまして、支拂いを受けようとする者に対して支拂うのは当然であるのであります。決してこの説明書自体でも矛盾していないと私は思うのですが、今野さんの指摘される点はどういう点でしようか。
  109. 今野武雄

    ○今野委員 私の言いたい点は、説明書趣旨もそうだろうと私は忖度いたすのでありますが、こういういろいろな書類を書いたりすることは、たよりのない未亡人などにとつてはやはり人の手も煩わさなければならない。そうなれば百五十円や二百円のお礼とかいうよなうこともからむ問題になつて来る。だから当然そういうめんどうなことはしても損だから、つまり結局しないことになるだろう、こういうことが含まれておると思うのであります。これは事実においてもやはりそういうことがあり得るわけです。そういう点を考えると、さつきの山口さんの言い方は少しおかしいように思う。
  110. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 今野委員が今読まれたので、私はこの原文を読まずに一応お答えをしておつたのですが、原文によりますと、そういう疑点は出て来ないと思うのです。何かまた手続をするのに礼金がいるとか、そういううがつたようなお話でありますが、そういうことまではどうもこれにも書いてありませんし、少し飛躍し過ぎるかもしれぬと思うのです。
  111. 今野武雄

    ○今野委員 次に先ほど他の委員お答えなつた中に、二十四年度の予算にすでに六百万円計上してあるというお話でありますが、そうすると、考えようによると、この法案の通過を非常に急がれておる、その急がれておる原因は、もう二十四年度も切れるからできるだけ早く支拂いをしてやろう。こういうお気持だろうと思われるのですが、そう考えてさしつかえないですか。
  112. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 もちろんそうであります。
  113. 今野武雄

    ○今野委員 そうだとすると、先ほどもいろいろな返還要求があるということを言われておりますし、相当そういう方面における資料は、そちらでできておるはずだと思います。それをやはり私どもとしては、ぜひとも見せていただかないと、具体的に先ほどのいろいろな内容がわからないわけであります。そういう点について、どうしてもやはり、いくら急ぐにしても、その資料を出していただきたいと思うのですが、法案通過に間に合うように出していただけないものでしようか。
  114. 石黒四郎

    石黒政府委員 たいへんむずかしい点はこういうことなのであります。われわれが司令部返還いたすために沒收いたします際に、それが拂い下げられたものであつたか、どうであるかということを一々調べながらしておらないのであります。種々雑多な場合がございまして、その中からかつて拂下物資であつたものだけを選び出さなければならないのでありますが、拂下物件の方の記録略奪返還の方の記録との照合ということは、はなはだむずかしいことであります、われわれ研究の結果、先ほど申し上げましたように、証拠書類をもちまして、申請者から提出していただくということ以外にはできかねるのでございます。  またすでにわかつておるだろうとおつしやいますが、われわれの方に早く拂つてくれと言われます方々は、ごく一部でありまして、全体は、たいへん多数であるものでありますから、全体の様子は、まだわからないわけであります。
  115. 今野武雄

    ○今野委員 それでは少くとも返還要求は、今まであつたということですが、それは一体どういうところから返還要求があり、また金額が大体最高のものはどのくらいの金額のものであり、品物はどんなものであるか、そのくらいのことは要求があつたわけですから、おわかりになつておるわけでしよう。
  116. 石黒四郎

    石黒政府委員 私の記憶しておる限りで申し上げますが、たとえば新潟におきましては、終戰の際にたくさんのミシンがありまして、これはあの地方の多数の人に拂い下げました。それがごつそりと返還になつておるわけであります。新潟県庁を通じまして、再三申し出て来ております。二百五十台くらいでございます。それから各地の学校等のミシンとかタイプライターとかいうものがございまして、学校からも請求が参つておるような次第でございます。
  117. 小林進

    ○小林(進)委員 まだほかに質問がありますが、ちようど関連事項で新潟県のことが出ましたから、私は御参考までに申し上げておきたいと思うのであります。私も新潟にいてそのミシンの沒收といいますか、一旦拂下げを受けたものを県庁を通じて取上げられたという事情をよく知つておるのでありますが、そのときには業者がはたして欠損を受けておるかというと、私の知つておる範囲においては欠損を受けていないのであります。これを一応御参考までに申し上げておきたいのであります。というのは、やはり県の政治的な力があつたためでもありましようが、一旦拂下げを受けた人がまた取上げられる。そうすると今までのミシン業ができない。何とかしてくれというのは、最近のように品物の出まわつていないときの話であります。ミシンなどというものをなかなか公定や市場においてまだ業者が手に入れるのに困難なときでありますけれども、県の行政的手腕に基いて、その略奪品を取上げられた人たちには、かわりに県のあつせんで、当時公定価格で国産品の優秀な品物が、垂涎おくあたわざる眼の中でちやんと補填しておいてあるわけであります。これを今になつてここで言われる相当額という賠償金——相当額は幾らか知りませんが、そんなものはもらわぬでもいいようにちやんとでき上つておるのであります。そういう今承つたミシンの例から申し上げますと、まさに業者にたいを與えてさらにまぐろを與えるというように、どうも利益を過分に與え過ぎるのではないかという感じを受けましたので、一応参考までに申し上げる次第であります。
  118. 玉井祐吉

    玉井委員 先ほど大臣の方に陳情があつたというようなお話ですが、それは団体ですか個人ですかよくわかりませんが、また今も例をあげられたですが、一応こういう人たち陳情があつたということを明らかにしていただきたいと思います。これはどうこうせんさくしようというのではなくて、公平にやつて行くために、それだけのことは一応お伺いしても何らさしつかえないところじやないかと思います。この点いかがですか。
  119. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 それは昨年私が賠償庁長官に就任以来、しばしば団体個人等から承つたのでありまして、その数とか名前を一々記憶を今ここで呼び起すことは困難でありますが、一般にそういうような陳情をしばしば受けておるのであります。
  120. 山本利壽

    ○山本(利)委員 ちよつと参考に承りたいのですが、この法案によつて支拂われる金額の一口、つまりある個人あるいは一会社が受取る最高金額、それからその最低、さらに大体平均してどのくらい受取る数字が一番多いか、現在まで申出済みのもの及び今申出中のものについて、ちよつと承りたい。
  121. 石黒四郎

    石黒政府委員 たいへんむずかしい御質問でありますが、たとえばミシン一台でしたら百五十円ないし二百五十円というふうに申し上げられます。また現にミシン一台を持つておりましたそのミシンがとられたというような場合には、まさにその金額になると思うのであります。自動車でしたら四、五千円というような値段で当時売られておるようです。非鉄金属はものによつてたいへん違うようでありますが、数千円から一万円以上にも上つておるものもございますようであります。ちよつと一口に平均幾らということは申し上げかねるのであります。
  122. 山本利壽

    ○山本(利)委員 私は非常に簡單なことじやないかと思うのでございますが、帳簿を調べていただけば、ミシン一台が百五十円にいたしまして、場合によつてはある会社が——実際そういうことがあるのかないのかわからないですから質問するのですが、何百台とかあるいは何千台とか持つていたその会社または個人に支拂われた場合は、相当な金額になります。そういうようなこの法案によつて相当多額の金額を受ける人が多いのか、または零細な、百五十円とか二百円ずつ拂いもどしを受ける人が非常に多いのか、そういうことを承ると、この法案の與える影響の社会性ということについて知ることができると思うわけです。
  123. 石黒四郎

    石黒政府委員 よくわかりました。大きな金額はたいへん少いのでございまして、零細なのが多数でございます。というのが大体の概況でございます。
  124. 並木芳雄

    並木委員 先ほどは申し出がわずかだからわからないと言つたじやないですか。
  125. 石黒四郎

    石黒政府委員 全体はたいへん多数口でございます。先ほどもう申し出たから大体どんなところだくらいはわかるだろうとおつしやいましたが、多数ございましたうちの一部が申し出ているのですから、全体の様子はわかりませんと申し上げただけでございます。
  126. 山本利壽

    ○山本(利)委員 この前この委員会で通過しました在外公館等借入金のときもこういうことが起りまして、大体一口二、三千円程度だということがわかつたので、そういうことならいいだろうというので御賛成申し上げたのですが、やはり法案として出る場合には、今私のお尋ねした程度のことはお調べ願つて、この程度だから、こういう人たちだからということを何か示していただけると、みなが非常に賛成しやすい。そうでないと疑惑を持つて、こういう法案が通つたために、総額においては三十億円からですから、何億々々というふうに固まつて一人の人に行くということはどうかという懸念を與えるわけです。
  127. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 よく御趣旨はわかりました。でありますが総額で七、八千万円でありまして、それで三十億というのは略奪した物件の総額ですが、支拂いの対象となるものは七、八千万円でありまして、事務当局に話を聞いてみると相当零細な面が多いようです。しかしそれも御指摘の通り賠償庁として皆さんの御納得の行く資料提出がないということは、非常に私の方も手落ちであつたと思いますから、できる限り精査いたしまして、次の機会にでもお手元に差上げるように督励してみたいと思います。それがいけなければいけない事情はかくかくかようであるということも申し上げて、御了解を得るようにいたしたいと思うのであります。
  128. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私もやはり支拂い金額の問題でございますが、私が考えますと、昨年は六百万円、今年も千四百七十万円の予算を組んである、いろいろ陳情も来ておるというお話でございましたので、そういう金額のマキシマム、ミニマムのお示しがすぐできるのではないかと期待しているのですが、それさえお示しがないというのは何か事務当局でのんびりしていらつしやるという感じがあるのです。それのはつきりした統計をお示し願えなければ、この法案に対する感じというものは、すつかりかわつて参るのでございますから、さつそくそういつた調査を早急に示していただきたいものでございます。
  129. 石黒四郎

    石黒政府委員 先ほど申し上げましたように、略奪品の中には種々雑多なものがございます。それから沒收されました人々というものも種々雑多な人たちでございます。たまたま返還のために沒收をいたしました略奪品の中に、かつて政府が拂い下げたものがあるかどうであるかということは、その一つ一つに当つてみないとわからないことでございます。われわれといたしましては、先ほどのように七、八千万円程度と申し上げる以上に何ら推測し得るものがないのであります。この法律によりまして、申請者からの証拠書類提出を待つて、初めてはつきりわかる次第でございます。
  130. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私、昨年から予算をおとりになつておりながら、このこまかいことが推定でなければわからないというのは、どうもげせないのでございます。そういう陳情もあつているというようなお話大臣から承つたのでございますが、そういうお言葉から察しますと、すぐにでも御明示願えるような気がしてしかたがないのでございますが、この次の機会に、わかつておる範囲けつこうでございますから、ぜひお示しを願いたいと思います。
  131. 今野武雄

    ○今野委員 ただいまのことは非常におかしいので、それならば二十四年度の六百万円なり、昭和二十五年度の予算千四百七十万円というのは、どういう基礎によつて算定したものか、そのことをお教え願いたいと思います。
  132. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 今石黒次長とも相談をしておるのですが、皆さんのおつしやることが私は正当であるように感じますし、また六百万円という数字が出たのは、大体当時の概算であり、今年も千数百万円というものは概算でありますが、この法律が行使されたならば、そこにおいて初めて沒收された、返還を命じられた人々から集まつて来る集計が、七、八千万円あると事務当局が推定をしておる、こう言つておりますが、私どももなお十分事務当局と相談いたしまして、皆さんの納得の行く程度の資料を集めてみたいと思います。またもしこれができなければできない理由を明らかにいたしたいと存じます。
  133. 並木芳雄

    並木委員 非常にけつこうだと思います。それで私たちは何もいやがらせで反対しておるのではないので、納得さえ行けばこの法案は通すのですが、そこで問題はとにかく私が先ほど申しました通り、在外公館借上げの例にならつて、一割も早くそういうものを申し出ろという一つ法律をつくれば、今石黒次長が手元になかなか材料がないという点も解消できるのです。最悪の場合はああいう法案にして一刻も早く真に返すべきものだということがわかれば、早い方がよいのです。ただ疑惑を招くということをおそれるがために、納得の行く法律をつくりたいために、質疑しておるのでありますから、今長官の言われたような趣旨に沿つて、至急政府当局の方において資料をまとめて、われわれの納得行くようにしていただきたいと思います。それで本日はこの程度にして散会せられるよう動議を提出します。
  134. 今野武雄

    ○今野委員 質問は後に保留してもよいのですが、最後に一つつておきたいことは、やはりこういう金額を出すからには、いつでもそうですが、若干の大口というものは必ずあるのです。その若干の大口というのがすでにわかつておるはずですから、それを出してもらいたい。
  135. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 御質問を通じての御気分はよくわかりますが、若干の大口ですね、そういうような大資本家を擁護するというふうにはわれわれは考えていない次第であります。私もやはり議会人でありますから、その点は皆さんの気分に通ずるものがあります。十分了承いたします。
  136. 仲内憲治

    ○仲内委員 議事進行ですが、この間の理事会では大体今日で質問を終つて討論採決まで持つて行くという約束が一応できたのでありますが、今日の質疑応答の経過から行けば、少しむりでなかろうかと思います。但しこの散会直後にひとつあとの問題を協議するために理事会を開いて、そうして至急にこの処置をつけるようにお願いいたします。
  137. 岡崎勝男

    岡崎委員長 仲内君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 岡崎勝男

    岡崎委員長 しからば仲内君の動議の通りにいたしまして、散会後理事会を開くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十六分散会