○佐々木(盛)
委員 私は本日時間も迫
つて参りましたので、特にただいま私が非常に驚きの中において受取りました中
ソ同盟條約締結をめぐる
日本政府の見解について、一、二点だけ五分間くらい簡単に御
質問いたしたいと思います。ただいま
新聞の報道によりまして、中
ソ同盟條約の内容というものの全貌が明らかにされたわけでありますが、これによりますとこの條約は明らかに
日本の帝国主義の復活ということを想定し、並びにそれと結びついた他国というものを想定して、中ソ両国間に共同防衛の軍事的と
りきめを行
つたものであります。われわれは新
憲法によりまして一切の軍備を放棄いたしまして、身に寸鉄を帯びざるところの非武装の国家として、かおり高い文化国家として国際社会の仲間入りをいたしたいと
考えております際に、中ソ両国におきまして、当然
日本が侵略国として帝国主義的な再起をするであろうということを予想されまして、かような同盟が結ばれておることは、
国民を代表するそして外務
委員の一人として、
国会を通じて私はきわめて遺憾の意を表明したいと思います。さらにこの
協定の第三條によりますと「双方は相手国を対象とするいかなる同盟も締結せず、またいかなる集団、行動にも参加しない」ということを明記しております。ここで相手国と申しますのはもとより
日本と結びつく国であります。これを私たちが推測いたしまするに、この條約は当然
日本のみならず反共産主義の国家群、端的に申しまするならば米英等によ
つて代表される近代民主主義国家というものを対象といたしまして、これと共産主義国家との対決を迫
つたものであると私は
考えるのであります。
従つて現下の息詰まるような国際環境の中にありまして、かような事態が発生をいたしましたことは、世界平和に貢献しないのみか、冷い戰争にさらに大きな拍車をかけるものである。
従つて国際平和を祈念する者にとりましては、まことに遺憾なことと
考えられるわけであります。
日本政府におかれましては今度の中
ソ同盟條約締結の情報に接して、いかなる御見解を持
つておられるか。私の
考えまするような見解に同意されますかどうか。遺憾であるとお
考えであるかどうか。この点を明らかにしていただきたいと
考えます。私は今度の中
ソ同盟條約の出現によりまして、国際政局の上に大きな画期的、歴史的な段階を画したものと
考える。
従つて国際環境の中に浮んでおります
日本の国際的政治的立場におきまして、ここに新しい局面に際会いたしたものとして、
政府のとるべき態度にも、あるいは大きな変化が必然的にもたらされたのではなかろうかと
考えるのであります。いずれにいたしましても、きわめて重大な段階が生まれて参
つたわけであります。以上私が申しましたことに対する
政府の見解を承りたいと思います。
さらにもう
一つ、同盟條約の付属
協定として規定されております中に、第一條におきまして、中ソ両国はソ連
政府が共同
管理しておる長春鉄道の一切の権利、及びその付属全資産を無償で中国に返還することに同意すると明記してあります。ところが長春鉄道並びにそれの持
つております付属資産というものは、当然賠償物件の対象となるべきものではなかろうかと私は
考えるのであります。
従つてこれは
講和会議をま
つて決定さるべきものでなかろうかと
考えるわけでありますが、これに対する見解はどうか。また返還は対日
講和締結後即時実行すると書いてあります。もとより対日
講和條約によりまして、これがソ連の領有に帰せられますときには問題はないでありましようけれども、この但書の中に書いてありますように、但し一九五二年以降とはならない。つまり長春鉄道の権利並びに付属資産の中国への返還は、対日
講和の締結の後に行うわけであるけれども、一九五二年より遅れはしないと書いてあるわけであります。もし不幸にして現在の対日
講和というものが、一九五二年までに実現を見ない場合におきましても、このような付属
協定がはたしてできるものであろうかどうか。これらの点につきまして條約上の立場から当該
局長の御説明を承りたいと
考えます。