○伊原
政府委員 北海道拓殖
銀行の預金につきましては、
玉置委員ほか
国会の御鞭撻もございまして、大蔵省としましては特殊の事例といたしまして一部でもぜひ支拂いたいということで
司令部へ交渉いたしました結果、昨年の末に至りまして一部の支拂いが認められることになりましたことは、大蔵省といたしましても、非常に喜ばしく思
つておるところでございます。その
金額につきましては、実はこういうふうな計算に相な
つております。樺太の支店の取扱いの預金というものが昭和二十年十一月十五日現在で推定いたしますと、件数にして五万三千九百四十九件、
金額にして一億九千七百七十六万七千九十六円三十銭、こういう
金額に推定いたされるのであります。これは樺太から
引揚げて来られました行員の方のメモとか記憶によりましたもので、もとよりきわめて正確なものとは言いがたいのでありますが、大体役所で入手し得る
資料といたしまして一億九千七百万円の預金が当時あ
つたであろうということを私ども推定の
根拠にいたしたわけであります。それだけの預金があ
つたろうと推定いたされるのでありますが、樺太の預金につきまして、
内地で支拂いを開始いたしました特殊事情といたしましては、御存じの通り樺太の支店の預金が大体北海道の本店の方にほとんどみんな回金にな
つてお
つたという点に
根拠を求めておるのでありまして、北海道の本店が樺太の支店に対して持
つております債権と申しますか、
金額はこういう計算をいたしました。本店の樺太支店に対する為替じりは、借方の残高、すなわち債権の方が四千百二十八万八千八百八十六円五十銭それか借りに
なつおります貸方残高一億二千四百八十三万三千二百四十八円七十八銭、差引いたしまして八千三百五十四万四千三百六十二円二十八銭、こういうものが北海道の本店が樺太支店に対して負
つております債務すなわち樺太の預金が本店に回金にな
つておる残高ということに考えられたわけであります。すなわちこの残高の範囲内におきましてお支拂いをするということが一応の推定に
なつたわけでございます。しかるに御存じのように一般の
銀行につきまして金融
機関再建整備法というものがございまして、一般の預金者が債権を打切られましたことは御存じの通りでございます。それが北海道拓殖
銀行につきましては三三%の打切り率にな
つております。従いましてただいま申し上げました八千三百五十四万何がしの六七%という
金額、すなわち五千五百九十七万四千七百二十二円七十二銭というものがお支拂いをいたし得る
限度であるという計算に相なります。この五千五百万円を樺太の推定せられます預金残高一億九千七百七十六万七千円から見ますと、大体四分の一に当るものでありまするから、一般の預金者に対しまして、原則として昭和二十年十月三十一日現在の預回残高を基準といたしまして、その四分の一を
限度といたしましてお支拂いをするということにきめたわけでございます。もとより預金者からいろいろの申出を受けまして、それを集計いたしたりしました結果、五千五百九十七万四千円に満たない場合におきましては、第二回の
措置としてこの
限度までは
——何も四分の一で打切るというのが
趣旨ではございませんので、五千五百九十七万四千七百二十二円七十二銭のところまではお支拂いをいたしたい、こういうふうに考えております。
それから第二段の御
質問で、推定せられまする一億九千七百万円のうち、ただいま申し上げました五千五百万円が支拂われますが、その残余につきましては、日本の一般の預金者と同じように三三%の打切りはがまんしていただかなければならないと思います。その残りにつきましては、一般のいわゆる
在外債権債務の問題といたしまして、ただいますぐには
措置がつかない問題である、こう考えております。