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1950-04-04 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月四日(火曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 稻田 直道君    理事 大西 禎夫君 理事 關谷 勝利君    理事 前田  郁君 理事 米窪 滿亮君    理事 木下  榮君       岡田 五郎君    尾関 義一君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    河本 敏夫君       清藤 唯七君    上村  進君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席政府委員         運輸政務次官  原 健三郎君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 四月一日  特急つばめ又は急行銀河を神戸まで延長請願  (吉田吉太郎紹介)(第二〇一六号)  水郡線にガソリンカー運転請願塚原俊郎君  紹介)(第二〇二二号)  岩国、日原両駅間に鉄道敷設請願山本利壽  君外二名紹介)(第二〇二四号)  長崎、佐世保間及び長崎、喜々津間新鉄道路線  敷設促進請願岡西明貞紹介)(第二〇六  七号)  秋田、山形両県を仙台陸運局管轄編入請願  (庄司一郎紹介)(第二〇六八号)  日南市油津港に公共船員職業安定所設置請願  (田中不破三君紹介)(第二〇六九号)  九州海運局油津出張所昇格に関する請願田中  不破三君紹介)(第二〇七〇号)  長野原、太子間に旅客列車運転請願小淵光  平君紹介)(第二〇七四号)  加古川線及び高砂線下げ反対に関する請願(  川西清紹介)(第二〇八六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任に関する件  造船法案内閣提出第一四〇号)  船舶の新運航体制に関する件  国際観光ホテル整備法主務大臣に関する件     —————————————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長代理 委員長がお見えになりませんので、私がかわつて委員長の職務を行います。  これより運輸委員会を開会いたします。  この機会にお諮りいたします。去る三月三十一日尾関義一君の委員辞任に伴い、観光小委員が一名欠員になつておりますが、四月一日同君は再び運輸委員選任になりましたので、この際尾関義一君を観光小委員補欠選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關谷勝利

    關谷委員長代理 御異議なしと認めさよう決しました。
  4. 關谷勝利

    關谷委員長代理 去る三月二十九日本委員会に付託になりました航船法案を議題といたし審査に入ります。まず本案の趣旨につきまして政府説明を求めます。原政務次官
  5. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 造船法案提案理由を御説明申し上げます。  わが国通船技術は、戰時中の低質大量生産に災いされまして、今日におきましては世界の水準に及ばないことはもちろん、わが国戰前のそれにさえ達しない状態であります。この点につきましては第二国会における参議院の決議の御趣旨からも、速やかに何分の適切な措置を講じ、もつて麺船技術のすみやかな川復向上をはからなければならないのであります。前国会におきましても、運輸省設置法中に造船技術審議会を設けることを規定いたしまして、目下その運用により具体的審議が行われつつあります。  本法案におきましては、さらに船舶推進性能試験機関性能試験を行うことのほか、造船技術向上に関して、以上申しました流船技術審議会の議を経まして、各造船所に対し、適切な指導勧告を行うことを規定いたしております。  なお、わが国造船所施設は、有効需要に比し能力としては余裕があるにかかわらず、目下のところ大いに近代化の立遅れている現状にかんがみまして、その施設新設拡充等は、適切なる事前指導を行うことが必要でありますが、その危険と責任は各企業の負担とすることが最も合理的であるとも考えられますので、関係方面とも協議いたしまして、従来の通牒による統制の趣旨緩和いたしまして、事前届出の制とし、不適当な工事につきましては、工事着手前に適切な指導を行うことをもつてとどめることといたしました。  また流船業は、海運業とともに直接苛烈なる世界競争場裡にあることは御承知の通りであり、技術的方面向上とともに、経常合理化企業原価の引下げは刻下喫緊の急務であります。これらの点にかんがみまして、船舶造修関係事業現状を的確に把握するために報告を徴し、随時適切な指導を行い得るため、運輸大臣意見を述べ、勧告をする旨の規定を設けておるのであります。本法案趣旨は以上申述べた通りであります。  何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたします。
  6. 關谷勝利

    關谷委員長代理 本法案に対しまする質疑は、次会にいたすことといたします。     —————————————
  7. 關谷勝利

    關谷委員長代理 なお石野君より船舶の新運航体制について質疑をいたしたいとの申出がありますが、これに先だちまして、去る四月一日より施行になりました船舶運航令、及び国家総動員法及び戰時緊急措置法を廃止する法律の一部を改正する等の政令につきまして、政府より御説明をいたしたいとの申出がありますので、これを許します。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 四月一日から政令第三十八條によりまして、国家総動員法の一部延長実施していただくことはなつたのでありますが、その内容は、国家総動員法のうち、戰時海運管理令に関するものを六箇月ごとに延長さして来ておつたのでございますが、三月三十一日をもつてその期限が切れましたので、これをさらに六箇月延長していただくことになつたわけであります。しかして戰時海運管理令では、船舶運航を行う機関として、船舶運営会の設立が規定してあつたのでございますが、この総動員法期間延長政令の中に、船舶運営会を四月一日以降商船管理委員会にする、こういう規定を入れたわけであります、従いまして、従来お願いしておりました船舶運営会期間延長、四月一日以降商船管理委員会をして、さらに六箇月間その衣続存延長する。こういう内容規定でございます。それからもう一つ、政令第四十八号によりまして、四月一日から船舶運航令というものを実施することになつたのでございますが、これは先般御説明申し上げました三月三日付のスキヤツプ・インに基いてこれを政令化したものでございます。その内容といたしましては、外航船舶に関する規定、それから国内を運航する内航船舶に関する規定、さらにそれらの内航船舶に対する繋船補助金の支給の方法、こういうものが内容になつておるのでございまして、まつたスキヤツプ・インで指令されております通りを、政令に写しかえたわけでございます。スキヤツプ・イン内容につきましては、先般御説明申し上げた通りでございまして、特に政令内容をここに詳しく御説明申し上げる必要もないかと存じますが、御質問を受けましてその詳細について申し上げたいと思います。
  9. 關谷勝利

    關谷委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。石野久男君。
  10. 石野久男

    石野委員 ただいま海運局長から政令第四十八号の船舶運航令というものについての御説明をいただいたわけでございますが、その内容とするところは去る三月三日に発せられましたスキヤツプ・イン内容と、ほとんど相違がないのだというお話であります。前々々回でございましたか、当委員会におきまして運輸大臣は、このスキヤツプ・イン内容が、わが国海運界にもたらす影響の大なることをお認めになりまして、この件につきましては、その筋とも折衝の上、でき得る限りわが国海運の将来に対して、その民営が自主的に将来性を確保し得ちように持つて行きたい。こういうような御意向でありまして、なお四月一日までの間に、補助金の問題その他等にいつて、いろいろ折衝するのだということの言明があつたわけでございますが、ただいまの政令の御説明を承りますとも運航令の中にはスキヤツプ・インそのままをここに写しかえたという御説明でありますと、さきに大臣から言われておりました御努力の跡は、どういうような形で現われておるかということについて、まだ詳細政令を読んでおりませんのでわかりませんが、この際海運局長から、その後の折衝の過料において、どういうような成果が政府としてはかち得られたものであるかということについて、御説明をいただきたいと思います。
  11. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今度のスキヤツプ・インの実行につきまして、一番問題になつておりました点は、要約いたしますと、外航就航の場合の各種の制約緩和ということ、内航におきましては繋船補加金をどういうように織り込むか。この二点でございます。外航就航に対する制約緩和でございますが、これは現在までのところ、相当の面において当初考えていたよりも改善されている事項があるわけでございます。たとえば日本船会社外国代理店を指定する。この点は従来においては認められていなかつたのでございますが、今後においては代理店の指定を、直接日本船会社がすることができる。こういうことに相なつております。それから外国バンカーのオイルを積むとか、あるいはバンカー・コールを積み込むとかいうようなことも、従来は認められていなかつたのでございますが、これも日本外貨資金の許す限りにおいては、自由にとつてさしつかえない、こういうことにも相なります。さらに定期航路の開設も、今後日本船会社の計画に従つて、何ら制約することなしに認めよう、こういうことであります。ただ定期航路を開設いたしました場合に、外国船会社等が形成しております航路同盟に、日本航路が入り得るかどうかという問題があるわけでございますが、この航路同盟の加入につきましても、積極的なる援助を期待し得るわけでございます。但し入り得るかどうかということには、その同盟構成員の了解を得るわけでございますが、関係方面においては、積極的に努力したい、こういう意向があるわけであります。さらに運賃等事前審査を必要とするわけでありますが、その審査につきましても、従来とよほどやり方をかえて行きたいということでございますので、そのやり方に対して信頼をしておるわけでございます。なお各般が発航いたしますごとに、相手国のクリアランスを要するという点につきましても、目下関係方面努力によりまして、漸次その緩和を見ておるわけでございます。現に二、三の国々におきましては、実質上制約がないような状態が実現しているところもあるわけであります。さようにして“まだ十分とは言えませんが、われわれの希望するところは相当程度達成されておるわけでございます。それから内航路に対する繋船補助金の点でありますが、これは目下関係方面折衝中でございまして、私どもとしては、四月一日までにこれが確定を願いたい。かような希望を持つて、鋭意折衝を続けたわけでございますが、何分にもこの繋船補助金関係におきましては、関係方面におきましても、各方面にわたつている関係上、まだ最終的な結論に達していないのであります。従いましてこの点につきましては、ここでこういうふうになるということをはつきりと申し上げることができないのを、たいへん残念に存ずる次第であります。
  12. 石野久男

    石野委員 いろいろと先に発表されましたスキヤツプ・イン内容が、海運局長説明によりますと、相当程度緩和されて、わが国外航就航につきましても、非常に明るい見通しが得られるようなお言葉でありますけれども、しかしここでなおまだ基本的な問題として残されておる問題が、たくさんあるように思われるのであります。たとえば外航グループから内航グループへの編入の問題、それをどういうふうに取扱うかという問題については、スキヤツプ・インに非常に厳格な規定があるわけでございますし、この点はおそらく日本海運の将来の問題についても、大きな問題であると思うのでありますが、そういう点についての折衝はどういうふうになつておるのでありましようか。
  13. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいま御指摘になりました点は、当初スキヤツプ・インを受取りましたときに、最も私どもの驚いた点でございまするが、この点はその後の折衝によりまして、外航船グループに入つたものは、その後において内航船グループに入つて補助金を受けるということはできないけれども外航船グループに入つた船が、外航から内地に帰つて来て、さらに何航海か内航の航海をする乙いう点におきましては、関係万両におきましても事情をよく了解いたしまして、何ら制限を加えない。こういうことに相なりました次第でございます。
  14. 石野久男

    石野委員 いま一つお尋ねいたしたいのでありますが、それはわが国世界海運に進出する問題につきまして、特に今度のスキヤツプ・インでは、ガリオア物交輸送等については、きびしく制限されておるのは事実でございまして、邦船はこれに参加されないようにわれわれ受取つておるのでございます。東亜海域におけるところの就航と、それから対米就航という問題の関連性は、やはりわが国海運としても非常に大きな問題であります。この点については、どういうようになつておりますか。
  15. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今後日本外航適格船が漸次増加いたしますにつれまして、それらの船舶消化いたしますがためには、どうしても対米配船ということの実現がなければ、その消化もなかなかむずかしい点があるのではないか。かような考えで、私どもとしては、ガリオア物資とはいわずに、ともかくアメリカ方面べの配船が認められるようにということを、強く要望しておるわけでございますけれどもも、これにはいろいろの事情もあるようなわけでありましで、この点につきましては、いまだ何ら具体的な結論には達しておりません。
  16. 石野久男

    石野委員 対米航路就航するという問題は、今後のわが国海運にとりまして、やはり非常に大きな問題であろうと思う。ことにガリオア物資等の、わが国輸出入の額において占める量の非常に大きい点とからみ合せても、これは非常に大きな問題でありますので、今後この点については政府当局の非常な御努力が必要であると思うのでございます。今まだその点について、十分な見通しを持つていないということについては、非常に遺憾でありますけれども、この点について政府の今後の御努力を、ひとつ積極的にお願いしたいというふうに思つております。  なお三月二十七日の新聞で見たのでありますが、内外船を問わず、四月から物資輸送については、入札制度実施されるということでありますけれども、この入札制度によりまして、日本海運界が受ける影響等について、見通しについて御説明を承りたいと思います。
  17. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 政府買付物資につきまして、その輪逸機関を選ぶ方法として、通産省の方で入札制度をとるということを声明し、かつそれを実行しつつあるのでございまするが、これにつきましては、私どもとしては相当考慮を要する点があるというので、目下通産省の方とも協議中でございます。私ども船の行政に関與しておる者といたしましては、もちろん外国の船を差別的に取扱うということはできませんけれども、今日の日本海運の置かれている現状からして、もう少し日本海運立場を考えて行う方法があるのではないか、かように考えるのでございます。申し上げるまでもなく、日本船会社は戰争によつて蓄積資本というものを全然なくしております。またその保有船舶をほどんどなくしております。今持つておる船は、新造船あるいは改造船で、コストの高い、経営内容から言いますと、非常にかたわになつた状態にあるわけであります。しかもこれらの会社が、先ほど外航は漸次緩和されたとは青いましたが、なお相当制約があつて、手足を縛られている状態にある。こういうふうな日本海運会社外国船会社——これは戰争中並びに終戰後海運の好況が続きましたから、相当蓄積資本があり、経常内容が充実しておるわけであります。しかもその保有船は、償却も済んだ非常に安い船であり、かつ自由に荷物のあるところに動き得る。こういうものとほんとうの裸の競争をした場合に、どういうふうな立場日本海運が追い込まれるかということは、ここでいろいろと申し上げる必要もないかと思います。そういう点を考えまして、何らかそこにもう少し方法があるのではないか。かように考えまして、目下通産省とも打合せ中でございます。
  18. 石野久男

    石野委員 ただいま入札制度実施の問題の及ぼす影響が非常に大きいということについては、海運局長からの御答弁もありましたように、その通りであると思うのであります。しかもまだ確定された取扱い規定というものがあるわけではありませんでしようけれども、報ぜられるような事実内容であるといたしますならば、非常に入札制度の及ぼす影響が大きい。     〔關谷委員長代理退席大西(禎)委員長代理着席〕  これの趣旨が、わが国船舶航行範囲を広めるということや、それからまた国際的にわが国海運を開放するという趣旨はけつこうですけれども、その裸傭船の及ぼす影響が非常に大きい。ことに報道によりますと、このようなことが書かれております。「また海上運賃ダンピングを防ぐための日本船入札運賃が不当に低いと見られるときは外国船最低運賃を基準として入札者をきめることができるようにする。」このようなことが報ぜられております。これはただ新聞報道でありますから、その真偽のほどはわかりませんが、もしこのような形になつて参りまして、しかも他面においてはスキヤツプ・イン、その他において制約を受けるようになつては、日本海運の将来は非常に危惧されるものがあるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。こういう点について通産省との間に折衝相当に続けられておるのでしようが、この入札制度は近い将来実施されるのでありましようか。その点についてお伺いしたい。
  19. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この入札は、すでに朝鮮米輸送と、タイから買いつけます米の輸送に、実施しておるわけであります。その新聞の、外国運賃よりも安い場合にダンピングしておるというのは、あるいは記事の書き方がまずいのではないかど思うのですが、私もその点はつきりと確めておりませんが、おそらく一般の世界海運マーケツトから見て非常に安い場合には、ダンピングとして、あまり安い運賃ではやらせない。こういう趣旨だろうと思うのでございます。外国船会社より安いというのではなくて、世界海運市場から見て非常に安い、こういう意味だろうと思います。
  20. 石野久男

    石野委員 ダンピングを私どもは決じて好むものではありませんし、それによつて起るいろいろな海上労働者に及ぼす影響、その他のわが国産業に及ぼす影響等も考えられますので、ダンピングは決して喜ばしいことではありませんけれどももその経営の内部において採算のとれ得るダンピング規定が、どのようになされるかということは、非常に重大であります。この点については——新聞記事内容が誤つておれば別でありますけれども世界海上運賃との比較において、高い低いの規定仕方等も、非常に問題があるわけであります。こういう点についての問題は、運輸当局といたしまして、相当通産省等との折衝を嚴にしなければならぬのじやないか。ことに朝鮮米タイ米については、すでに実施されていると言われるのでありますけれども、その実施されている内容等は、ここに私が質問しておりますような内容において、どういうような形で行われているのかということを伺いたい。     〔大西委員長代理退席委員長着席
  21. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 朝鮮米の方はたしかこれは非常に分割いたしまして、三千八百トンか四千トンくらいのものを入札したようでございますが、これは中国の招商局が釜山、横浜揚げのものを落したようでございます。それからタイ米の方は、入札されたばかりでございます。まだその結果はわかつておりません。入札の結果相当意見が出、将来のやり方について考慮しなければならぬ点が出て来るのじやないか。かように考えておりますので、実は私ども通産省の方と十分緊密な連絡をとつて、このタイ米入札の結果について、できるだけの善処をしたい趣いうので、目下折衝しておるわけであります。まだ昨日実施されたばかりでございまして、ここで具体的にどうこうということを申し上げる段階ではないと思います。ただ日本海運として申し上げますことは、先ほど御質問がありましたように、今日本の船を外航グループに入れるか、内航グループに入れるかということで、船会社が非常に迷つておるのであります。私どもとしては、日本海運の目的は外航にある。従つて少々の危険を冒しても、できるだけ船を外航に出す。こういうところにあるのです。ところが外航に出すにしても、はたして荷物があるかどうか。内航ならば、よそと競争してむりでもやれば荷物がある。ところが船を外航グループに入れても、荷物目途というものが全然ないのでは、せつかく運賃合つても、外航グループに入れない。そこで日本で買いつげる物資のうち、大体どの程度のものが日本の方に来るという目途でもあれば、それを中心にして外航グループに入れて、船の量をきめるわけですが、それも外国船ほんとう競争になつて競争に打勝つてみないとわからないということで、船会社も非常に躊躇しておる点があるわけです。そういう点において、ただいま問題にされております入札制度というものについて、相当考えなければならぬ。こういうので、今話合いをしておるわけでございます。
  22. 石野久男

    石野委員 ただいま海運局長の言われた通りに、わが国海運は、外航にその大部分が就航するようにならなければ、目途はつきにくいということははつきりしておる。そのような意味において、東亜海域における就航の度合いと、対米海域その他における就航の問題は、非常に重要であります。この点特に東亜海域は、わが国輸出入の額の中におきましても、従来非常に大きなパーセンテージを占めておつた。最近における状況と、近い将来においてこのスキヤツプ・イン実施によつて起る非常な不況の中で、東亜海域の受持つこの苦難な海運界を打開する目途について、どういう見通しがつくか。これについて一応の御見解を承りたい。
  23. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 まことにごもつともな御質問であり、私ども常にそういう御質問は受けるわけでございますが、たいへんむずかしい問題でございます。結局海運というのは、物の動きにくつついておる事業でございまして、ことに今日本海運の置かれておる立場からいたしまして、厳密に日本中心とした荷動き状況に左右される、こういうことでございます。従つて日本中心とした荷動きがさまでふえないということでありますと、日本海運は今後相当長く悲観な状態に置かれなければならない。しかも日本中心とした荷動きの中で、最も重要なのは東亜地域荷動きでございます。アメリカ方面からの物資も、漸次東亜地域に切りかえられつつあるという状況でございますし、今後においては相当量ふえるのじやないか。かような希望を持つておるわけであります。しかし今日本の持つております船腹量からいたしまして、これを完全に消化し得るという状況は、よほどの事態が来ない限り困難じやないかということを考えるのでございます。いつかも申しましたが、大体日本船腹東亜地域に動いておりました量は山戦前におきましては朝鮮満州中国、それから香港、台湾方面で百二、三十万重量トン内地で五十万重量トン、こういう状況であります。ところが現在では内用を除いて、朝鮮満州中国台湾方面、合せて約十万トンから十五万重量トンぐらいしか動いていない。あとは全部内地に躊躇しているような状態であります。従いまして満州中国方面は困難にいたしましても、東南アジア地域輸送相当ふえませんと、との船腹消化は困難でございます。海運自体としての対策というより、そういう荷動き状況に依存しておるので、その荷動き状況が好転しない限り、この日本海運の過剰船腹をいかに処理するかという問題になつて来るわけでございますが、この過剰船腹の処理ということは、今回におきましては繋船ということで、一応その目前を糊塗するということになるわけでありますけれども、今後におきましては相当真劍に考えなければならない事項であると存じます。
  24. 石野久男

    石野委員 さきに政府当局から、スキヤツプ・イン実施によりまして起る繋船総トン数というものが、七、八十万トンということをしばしば繰返しておつたのであります。しかし一般に新聞等のニユース解説等を見ますと、特にまた海運関係のいろいろなニユースの伝える点から見ますと、その繋船総トン数というものが九十万トンぐらいになるということが、しばしば伝えられております。これは政府当局との間に約十万トンくらいの差が出て来るわけであります。十万トンの差というものは、非常に大きな差になつて来るのでありますが、この点について、繋船総トン数の見通しの問題についての当局の御見解と、それから本年度における内航の荷動き総トンの見通し、そういうものがどういうふうになつておりますか、お聞きしたいと思います。
  25. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 民間側で言つております繋船量と、私どもの方で言つております繋船量の間には、常にある程度の煙いがあるわけであります。それは民間側では、一箇月に何航海するという船の稼行率を、相当高く見ているわけでございます。私どもは大体月二航海余り、こういうふうに見ているのであります。民間側では二・五航海というような見方を大体しているようでございます。そういうところから、ただいま御指摘のありましたような、十万トンあるいは二十万トンの差が出て来るのであります。私どもが二航海というように見ましたのは、大体今の船の平均速力から見て、また各港の横上げ能力から見て、平均を出した数字でございます。実際船会社がそれをやりますと、非常に勉強いたしますから、あるいは民間でやつておりますように、みな能率を上げるかと思つております。一応政府側としては、平面的な観点から言つておるの。であります。  本年度の荷動き見通しでございますが、これはいろいろの考え方があるわけでございますけれども、私どもとしては大体、国内航路で月面二十万トンくらいは出る。こういう計画でいるわけでございますが、現実の荷動きは、国内航路で八十万トンから九十万トンであります。あるいは実際運賃の引下げその他によつて増加をいたしますから、百万トン前後というのがほんとうのところじやないかと思いますが、計画としては百二十万トンくらいというような計画で進んでいるのであります。対外航路におきましては、一応百二十五万トンというふうなものを見込んでおります。
  26. 石野久男

    石野委員 ただいまの御説明によりましても、荷動きの量の見通しは非常に困難であると同時に、その量は決して多いものではないのであります。それとの関連性を考えまして、特にこのスキヤツプ・インによつて起るであろう繋船、そしてまたその繋船に対する補助金の問題、こういう問題を総合的に観察いたして参りますと、本年度における日本海運界の受ける打撃というものは、非常にわれわれの予測し得ないような状態に追い込まれて行くように考えられるのであります。特にただいま問題といたしまして考えなければならぬものは、内航船繋船補助金の問題が、まだ政府当局、または業者諸君の考えておるような線にまで来ていないということであり、その折衝が未解決のままにあるということでございます。この点について近い将来において、それの最終的結論が得られるだろうというようなお言葉もあつたのでありますが、その近い将来というのはどういう時期であるかということを、まず第一にお伺いしたい。それからその内容相当程度、日本の繋船に対する経営者の事情緩和する内容になる可能性があるかどうかということ、それから第三には、そのことによつて海上労働者のいわゆる大量失業というものを、どのように食いとめて行く見通しを持つておられるかということ、それから最後に、私はこういうような事情のもとにおいて、日本海運を将来に対して確固たる地盤の上に築き上げようとするのに、何らかのはつきりした海運政策というものを、ここに打ち出さなければならぬというように考える。これは海運局長にお伺いするのはごむりかとも思うのでありまして、あるいは次官からでもお聞きしたいのでありますが、こうしたスキヤツプ・インによつてつて来ておる海運界の実情、それから日本の国内的な経済事情において、影響される荷動き事情等を勘案しまして、海運政策というものの再検討ということを、政府は今日行つておられるかどうか。その見通しはどうでございますか。これらの点をお伺いいたしまして、私の質問を終ります。
  27. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 繋船補助金がいつごろ見通しがつくかという問題でございますが、これはほとんど毎日、関係方面とひざをつき合せて折衝しておるのでありますが、先ほど申し上げましたようになかなかむずかしい事項もあり、また関係方面も多いのであります。私どもとしては、今週はちよつと見通しが立ちませんが、少くとも来週中には何とかはつきりしてもらわなければ困るというので、やかましく折衝しているのであります。そうでありませんと、実際問題として非常に船会社が苦しい目にあうわけでございますから、そういう意気込みでやつておりますから、その点御了承を願いたいと思います。  それからその補助金は、日本海運業者として満足すべきものであるかどうかという点につきましては、これはいろいろ見方がありまして、業者の方としてはおそらく不服で、非常につらいものであろうかと思います。ただその繋船補助金の考え方として、あまり厚いものでありますと、この繋船補助金にたよつて、先ほど言いましたような、外航に損をしてでも出て行こうという意気込みをそこなうことに相なりまするので、そういう海運業者を甘やかすことなく、かつ業者がある程度繋船に甘んじるというところにおちつかせなければならぬというので、苦心をしておるのではございますが、そこらが考えの違つているものを折衝するわけでございますので、そこで相当の時日を食つておるわけであります。ただ多いだけでよいというわけに参らないかと思つております。  それから予備員——船員の失業者を出さないかどうかという点につきましては、これは先般大臣が繰返し申し述べましたように、私どもとしては背水の陣をしいて、どうしてもこれだけは確保したいというのでやつておるような次第であります。ここで、その点は大丈夫だというまでには、まだ申し上げることはできませんが、そういう気持でやつておりまするから、いましばらくひとつ折衝にまかせていただきたいと存ずるのでございます。  根本的な海運政策につきましては、今海運の一大転機に来ておるときでございまして、今何らかの手を打たないと、日本海運が立直るか、あるいは相当長い期間沈倫するかという立場にあるわけでございます。これは非常に大きな問題でございまするし、私どもといたしましてはいろいろ案を策しておるわけでございますが、まだ私の口からここで申し上げるまでには至つていない。かつていろいろ関係するところも多く、ここで具体的にどういう方策を持つているということを申し述べることはできない次第であります。
  28. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいま石野委員からいろいろ御質問がございまして、根本的に申し上げますと、石野委員と全然同感でございまして、日本の再建はやはり海運の発展にまたなければならぬ。このくらいに申し上げても、あえて過言でないと思つておりますので、政府といたしましても、鋭意この方面に留意し、当りたい決意でございます。さつき海運局長から話しましたが、船はやはり物の動きと関係がございますので、第一にはどうしても産業の発展に影響されますので、政府のいろいろな施策によりまして、日本の産業の発展に伴いまして、同時にまた日本海運も相対的に発展を期したい。こういうことも考えられております。  それからまたさつき石野委員から御説明がありましたが、外航就航するように、この上ともわれわれとしては盡力いたしたいと思つております。これは関係方面とも折衝がございますが、誠心誠意きわめて積極的にこの面に交渉を今後いたして、御期待に沿いたいと思つております。御了承願います。
  29. 石野久男

    石野委員 今の海運政策の問題でありまするが、これはただいま鋭意その点に努力中だということを聞くだけでは、非常に不満なのであります。しかしその点は非常に重要であるから、これは御努力願いたい。海運局長も次官も御説明ありましたように、海運界の将来を期するためには、どうしても産業の点を重点に考えなければならない。荷動きの点に考えを及ぼさなければいけないと言われておるのでありますが、その荷動きの点は、一にかかつて今の吉田内閣の経済政策の中から来ておるのでありまして、もはや海運行政の上から言つても、荷動きはこういう政策の中から期待することはできないということがはつきりしている。海運当局または運輸当局といたしまして、政府に産業政策に対する転換を進言するだけの御意図があられるかどうかということを、特にこれは次官にお聞きしたい。
  30. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 御説の点は決して反対ではないのでございますが、積極的にこれを吉田総理及び閣議に持ち出すかどうかということは、運輸大臣とも相談いたしまして、省議をまとめて行きたいと思つておりますから、御了承願いたいと思います。     —————————————
  31. 稻田直道

    ○稻田委員長 次に、先ほど政府より趣旨説明を伺いました造船法案を再び議題として、質疑を行います。質疑の通告があります。關谷勝利君。
  32. 關谷勝利

    關谷委員 造船法案につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。ときによりますと、二つ三つ何時にお尋ねするかもわかりませんので、メモでもしながら御回答を願いたいと思います。  この法案を通覧いたしますと、施設、設備に関する許可事項のみ規定しておるのでありまして、造船に関しますところの許可事項を、ことごとく省略をしているというようなことになつているのであります。なぜこれを省略したのか、まずその点を伺いたいと思います。
  33. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 従来造船施設の拡充その他につきましては、メモによつてつておりましたし、また造船の許可制については、造船事業法がありますときにはそれでやつてつたのでありますが、その後それが廃止になりましたために、その後は臨時船舶管理法によつてつております。また終戰後は関係方面からのメモをもらいまして、それによつて今の臨時船舶管理法を活用いたしまして、許可制をしいておつたのでございまして、われわれもこの制度が、占領期間中は相当続くのじやないかと考えておりますが、しかし新しい憲法下におきまして、各種の産業が自由競争の基盤に立つて復興しつつある際に、造船事業は非常に重要な事業でありますが、やはりこの線に沿うて進むべきであるというふうな点から、この新しい法案に盛ることは遠慮いたしましたが、しかし従来通り臨時船舶管理法によつて、当分の間は許可制をしくというふうにいたしております。
  34. 關谷勝利

    關谷委員 私はまことにその点が心外なのでありまして、今水産委員におきまして漁船法案が提案せられるというふうなことで、すでにこれに対しては了解が来ているということを聞いているのであります。近く出ると思いますが、水産庁並びに水産委員会におきましては、全力をあげて漁船というものを別個のむのにする。運輸省から切り離して、水産庁においてすべての行政をやるというようなことで、この方面に進んでいるのでありますが、この造船法をやります場合に、運輸省といたしましても、以前に計画をせられておつた通りのもので出してもらいますと、そこに漁船法との間に、両方が競争するといいますか、摩擦をするところができて来るので、そこらでいろいろまた折衝もできると思うのでありますが、この法案の中からこういうような事柄を削除いたしておきますと、今度漁船法というものが出て来ますと、完全に漁船というものが造船法の中から取除かれまして、別個のものになつて行く。そういうことになりますと、監督その他に対しまして非常な不便が起つて来る。まことに私たちは見ておりますと、運輸当局が弱い。そのために割込まれるのだ。もちろんその責任は運輸当局のみでなくて、運輸委員会にもあるわけでありますが、その意非常に弱い。そのために漁船というものが分離せられて来るのだ。その結果非常な不便が起きて来る。こういうふうに考えるのでありますが、これはもし漁船法というものが分離した場合に、非常に不便になる。そういうふうな事柄に対しまして、水産庁あたりとどのような折衝をたどつて来て、どういうふうな経過になつておるかということを、簡單に御説明願いたいと思います。
  35. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 先ほど關谷委員のおつしやいますことは、まことにわれわれ同感でありまして、従来ともわれわれは造船行政は、漁船、貨物船に限らず、一本でやるべきだという趣旨で進んで参りましたし、現在におきましてもその趣旨を堅持いたしておりますが、先般の国会において、先ほどお話がありました漁船法との関係で、この造船法が握りつぶしになりましたために、われわれとして臨時国会においても、これ々提出する気持でおりましたが、その後漁船方面との調整がうまく、つきませんでしたので、臨時国会においてはこれを提出いたしませんでした。しかしこの中には、造船の許認可以外に七技術の向上に関するいろいろな條項が盛つてありますので、現在の情勢におきまして一刻も早くこの法案を通しまして、造船技術の振興をはかりたいというふうに考えましたので、許認可事項だけをあとにまわしまして、この法案を提出したわけであります。しかしたびたび申し上げますように、造船行政の一元化ということは従来通り堅持いたしておりますし、現に関係方面におきましても、漁船と一般の造船とを切り離すことについては、不賛成の意を表しておりますので、われわれもできるだけ早い機会に、造船の許認可制をこの法案に盛りたいというふうに、相がわらず考えております。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 漁船法にはすでに了解が来ておるというふうに聞いておるのでありますが、そういたしますと、それが提案せられて可決せられますと、われわれが期待する造船行政の一元化ということが望み得ない。こういう結果になると思うのであります。この漁船法というものが、お話によりますと関係方面においても反対であるというにもかかわりませず、その漁船法に対しては了解が来ておるらしい。こういうふうなことでありますが、そこらの辺をはつきり伺つておきたいと思います。
  37. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 こちらの方に了解が来ておるというお話は、まだはつきり聞いておりませんが、昨日もその問題で関係方面に呼ばれまして折衝をいたしましたので、おそらくまだ関係方面から正式にこちらの方に了解は来ておらない、こういうふうに考えております。
  38. 關谷勝利

    關谷委員 その点を明確にその筋に交渉いたしまして、その結果を次の委員会の際に御報告を願いたいと思います。  次にお尋ねをいたしたいのは、この提案理由説明にありますごとく、目下日本造船施設の能力は、有効需要を上まわつておるのであります。そういたしますと、この施設の新設許可の條文があつても、現在では大体調整ということに持つて行くから、新設は許可をしないという方針であるのかどうか。その点を伺つておきたいと思います。
  39. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 根本といたしましては、すでに造船能力が有効需要に比して過剰でありますので、特に近代化された設備とか、あるいは特殊の設備であればともかく、新しく造船所をつくるというふうなことは、一応許可しない方針に考えておりますが、しかし既設の造船所近代化、あるいは設備の改善ということにつきましては、今後とも積極的に協力いたしまして、奨励するつもりでおります。
  40. 關谷勝利

    關谷委員 近代化された施設、あるいはこれを近代化するために努力をする。こういうふうなことはまことにけつこうでありまして、近代化された施設あるいは設備を許可するということに対しましては賛成なのでありますが、との能率的でないものに対しましては、将来どういうふうな措置をとられようとするのか。政府において非能率的な施設に対しましては、この設備を買い上げて調整をはかつてやるというふうなことをするのか。あるいはそういうふうなものに対しましては、閉鎖をせしめるような方法をとるのか。あるいはまたこの非能率的な、近代化していないものに対しましては、金融的な措置とか何とかいうようなことを考えて、これを近代化せしめるように、具体的な措置を講ずるつもりであるのか。その点を伺つておきたいと思います。
  41. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 先ほど關谷委員のお話の点につきましては、できれば各造船所とも、設備の改善についての費用を、国からある程度補助金的に出しましてやつて行きたいのでありますが、現下の情勢におきましては財政上とうてい許しませんので、画一的にやることはわれわれもしたくないと思いますし、特にある程度は政府の見返り資金等を利用し、大部分は自己資金でやるというふうなものについで、しかもその造船所の技術経営の面から見まして、適当であるというものについては、積極的にそれを援助し、しからざるものについては一般の産業と同様に、自由競争にまかせるよりしかたがない、こういうふうに考えております。
  42. 關谷勝利

    關谷委員 提案理由説明の中にもありましたが、技術の向上経営合理化企業原価の引下げ、こういうことが喫緊の急務であるということは、私たちも同感でありますが、これを実際にそういうふうな理論のみに終らせずして、理論だけ、條文だけでは政治にはならないのでありましで、真剣に考えて、適切なる方途を講じていただきたいと思いますが、お尋ねいたしたいのは、この技術向上のために研究奨励金、試作奨励金等を出すことになつておるのでありますが、これに対しましては、予算を見ましても、私たちどうもこれらの予算の裏づけがないというふうに今のところ考えておるのであります。これらに対しましてはどういうふうな努力をせられるのか。場合によりましては、法律ができていないのだから、それができてから後に予算的な措置を講ずるのだ。こういうふうな言い方もあるかと思いますが、大体予算を組む際には、こういうふうな法律ができることを予期して、予算に組んでおる事例がたくさんあるのでありまして、こういうふうな点に対しましては、どれだけの努力が拂われておるのか。その点をまず第一に伺いたいと思います。  次にお伺いいたしたいのは、経営合理化に関して、いかなる指導をなして来たかどうか。こういうことを具体的にお示しを願いたいと思います。  第三番目に、この企業原価の引下げが、国際競争場裡において、諸外国に対抗し得る方法があるのかどうか。そういうふうに引下げができ得るのかどうか。たとえて申し上げますと、鉄鋼が日本においては、この補助金と申しますか、補給金と申しますか、これが打切られますと、トン当りが四万二千円になつて来る。外国ではこれが二万一千円である。日本造船費用の六割を占めるところの鉄鋼代金だけで、すでに諸外国にはならないというふうなことになつて来るのであります。私ある造船所で聞いてみますと、三千トン以下の船であれば、工賃その他が安くなりますために、競争入札をやつて外国船あたりの入札の場合にとることができるが、それ以上の大型船になつて来ると、資材高のためにどうしても競争ができぬ。こういうふうなことを言つておるのでありますが、これらに対しましてはどういうふうな措置を考えておるのか。この三つの点につきまして簡單に御答弁を願いたいと思います。
  43. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 まず一番初めの試験研究費の補助金でありますが、これにつきましては、この法案にも最初盛つてつたのでありますが、関係方面から、これは一種のサブシデイであるというような議論が出ましたので、先ほど申しましたように、この法案を急いでおつた関係上、一応これから削除いたしておりますが、しかしその後関係方面といろいろ折衝いたしました結果、関係方面の大部分において、これはサブシデイではない。どの省においても技術の向上のために、研究費であるとか、あるいは試作奨励金というものを出しておるのであるから、造船業に対して、それを出してはいけないということは言えないということで、関係方面も大部分の方は、そういう趣旨に賛同してもらつておりますので、私たちもできるだけそういうふうにして行きたいと考えております。  次に造船のいろいろな合理化近代化の問題でありますが、これにつきましては、先般の運輸省設置法に出ておりました造船技術審議会を活用いたしまして、現に活発にこの企業合理化の問題について審議をいたしておりますので、この審議会の答申を待ちまして、積極的にこれを行いたいというふうに考えております。  次に船価の引下げの問題でありますが、これにつきましては關谷委員のおつしやる通り、船価の大部分を占めますところの鉄鋼価格が、漸次高くなつて来ますので、その面において造船業者は非常に困難を来し、一方、運賃の採算の面から、運賃が漸次下つて参りましたために、これまたそちらの方から船価の引下げを要求され、板ばさみになつて非常に困つておる状況でありますが、われわれといたしましては、運賃の方は国際性のあるものでありますので、できるだけこの運賃で採算をとれるような船価に下げたいというふうに考えております。そのためには、一つには造船所合理化をやりまして、船価を切り下げる。一つには鉄鋼の価格の引下げ、あるいは国際価格並にとどめ得る科度、あるいは基本的に申しますと、鉄鋼も国際価格程度にとどめてもらつて、それ以上に上げないようにしてもらいたいということを、特に強調しておる次第であります。鉄鋼の価格につきましては、先ほど關谷委員のおつしやいました通り、現在におきましては欧州の鉄鋼の価格に比べて、わずか上まわつておりますが、これは全部の補給金がはずれた後においては、相当上まわつて参りますので、この上まわりました鉄鋼の価格をもつて、船価を現在より切り下げるということは、いかに造船所合理化いたしましても不可能でありますので、われわれは鉄鋼価格は国際価格並にとどめておいてもらいたい。その範囲において、造船所合理化して船価を切り下げて行くということで、目下いろいろ対策を練つておりますし、具体的に一部のものは進んでおります。われわれが特にここで要望いたしますのは、鉄鋼の価格について、特に国際並にとどめておくために何らかの手段を、あるいは鉄鋼業者に対する奨励金であるとか、あるいは石炭業者に対する補助金であるとか、そういうものを鉄鋼の合理化ができるまでは、暫定的につけていただきまして、この急場を切抜けたい、こういうふうに考えております。
  44. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、鉄鋼を国際価格にとどめるというようなことは、具体的に実現の可能性がある見通しでありますかどうか。この点をお伺いいたしたい。
  45. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 これは私の担当の事項ではありませんが、私通産省の鉄鋼局あるいは関係方面といろいろ折衝いたしました結果におきましては、鉄鋼の現状における価格を維持すること、あるいは国際価格まで下げるということは、非常に困難のようでありますが、結局は鉄鋼の合理化の第一として取上げられるものは、石炭の価格が非常に高いというのが第一の理由でありますので一製鉄川の石炭の価格を国際並に下げるということが、先決條件ではないかというふうに考えますので、鉄鋼に対して補助金を出すよりは、むしろその基礎をなすところの石炭の価格を合理的に下げる。あるいはそれに何らかの補助金を出しまして、国際価格と大体同程度のものにするということが、最も必要なことだろうと思いますので、この方面において当国会におきましても、何分の御援助をお願いしたい。こういうふうに考えております。
  46. 關谷勝利

    關谷委員 現在のこの造船の原価高、あるいは運賃の採算割れというような点で、船主の第六次造船に対します建造意欲と申しますか、申込み等が、ほとんどないというふうに聞いております。この状況を簡單に御説明願いたい。
  47. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 廻船に対する建造要望でありますが、これはまだ具体的に希望者を募つておりませんので、はたしてどの程度の希望があるかどうかということは、ここで断言できませんが、先般造船の見返り資金のわくをきめる点において、はたしてどの程度の希望者があるかということを、いろいろの條件をつけまして募集したのでありますが、その際の申込みが約五十六万トンありました。この條件と申しますのは、見返り資金を七〇%、スクラツプ・アンド・ビルドする場合には九〇%つけるという條件で、金利その他の條件においては、大体第五次造船の場合と同様の條件で募集したのであります。これから見ますと、おそらく具体的の場合には相当減るにいたしましても、やはり船会社といたしましても、当面の問題はともかく、将来を考えまして、やはり相当の優秀船をつくらなければ、将来の海運業として立つて行けないというような見地から、新造船に対する要望は相当たくさんあるのじやないかというふうに考えております。最少限われわれは二十万トン程度の要望はある、こういうふうに確信いたしておる次第であります。
  48. 關谷勝利

    關谷委員 提案理由説明にもありますように、船舶造修関係の各事業現状を把握して、随時適切なる指導を行い得るようにする。こういうふうになつておりまするが、このような法案にある届出事項のみを把握して、造船界の実態をつかみ得るものとは、私たち思えないのであります。目下造船界で最も必要なのは、金融ということになつておるのでありまして、こういうふうな法案を審議いたしますこともけつこうでありまするが、この金融を具体的に推し進めて行つて造船界の発展、海運界の発展をはからなければならないのでありますが、この造船関係に対しましては、ただいまお話がありましたように、見返り資金七〇%、あるいはスクラツプ・アンド・ビルに九〇%ということになつておりますが、昨年あたりの第五次造船でも、非常に金融関係が遅れたために、これが長引いたということになつておるのでありまするが、どの第六次あたりの場合の見返り資金関係その他の金融関係につきましては、申込みを受けた場合にただちにこれが借入れができるような準備が整つておるかどうか。この点を承つておきたいのであります。
  49. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 来年二十五年度の見返り資金と申しますか、一九五〇年から五一年の見返り資金でありますが、これは昨年同様、おそらくアメリカの来年度会計と申しますか、七月以降になればはつきりするのではないかと思いますが、われわれといたしましては、昨年の轍をふみたくないと思いまして、早急に一応のわくだけをきめましたならば、たとえば昨年資金関係は十分審査に通つておりながら、トン数のわくの関係で落ちた船主であるとか、そういう特殊な人たちに対しましては、早急にこの実現をはかりたいと考えておりまして、第五次造船でも六月ごろに船台にまわりまして、大部分は十月ごろに船台があきますので、船台があかないように、逐次二十五年度の新造船をそれに押し込めたいというふうに考えておりますので、見返り資金の決定をいち早くしたいというふうに考えて、いろいろ努力いたしております。また一応安本としての案はできましたが、閣議決定に至つておりませんので、われわれもこの方面を促進いたしまして、できるだけ早急に、しかも季節的に集中することなく、適宜これが出し得るように措置したいと考えております。大体今のところでは、二十五年度といたしましては百六十億の見返り資金によつて、新造約十五万トンないし二十万トン、タンカーの改造約十二隻、二A型改造約六隻を予定いたしております。
  50. 關谷勝利

    關谷委員 次にお尋ねいたしたいのは、この性能試験は、技術の向上に資する点がまことに多いのでありまして、蛇の点はまことに私けつこうなことであると思いまするが、その手数料等を、予算の定める範囲内においてでも、国費負担とするというような考えはないのかどうか。この研究奨励金あるいは試作奨励金あたりも、現在においては名目だけでありまして、一向支給をされていない。それで手数料等を取る方はまことに便利なようにしてあるのでありますが、現在のような造船界の非常に不況な時代、非常に困つておる時代におきましては、一定の予算を組んで、これによつて補助してやるという、海運に対する補助政策を諸外国がおそれておりまするので、こういうふうな面において幾分なりとも便宜をはかるということが、政府ほんとうの助長行政の基礎であると思うのでありますが、この点につきまして、将来そういうことを、この條文ではとるようになつておりまするが、予算の定める範囲内でこれを国庫負担とする。——もちろんこれは強制的なものではないのであるからという意味もあるのでありましようが、それにいたしましても、こういうふうなことで助長してもらいたいというのが、海運界希望でありまするが、この点に対しましてどのようなお考えを持つておりますか、伺つておきたいと思います。
  51. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 先ほどお話のいろいろな性能試験に対する手数料でありますが、これは政府当局といたしましても、本来それは希望によつてやるにしても、一種の奨励金、あるいは研究資金でありますので、こういうものは実はとりたくないと思いまするが、しかし財政の苦しい折から、ほとんど実費に近いものをようやくいただくというようにやつておりますが、将来試験研究費、あるいは試作研究費というものが応分にとれるような機会がありましたならば、またそのように努力はいたしますが、そういう機会においては、むしろその中から一部これにさく。あるいは手数料はとるが、わずかの手数料をとつて、しかも試作研究費の方を非常に多くするというようなことにおいて、手数料の負担を片方において補いたいと考えております。
  52. 關谷勝利

    關谷委員 私まだ七、八点お尋ねをいたしたいのでありますが、本日は相当時間も参つておりますし、あとで電通の委員会が使用することになつておるそうでありますので、この辺で一応打ち切りまして、次の委員会の際に、残りの質問を継続いたしたいと思います。     —————————————
  53. 稻田直道

    ○稻田委員長 この際、観光小委員長より発言を求められておりますので、これを許します。畠山観光小委員長。
  54. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 国際観光ホテル整備法主務大臣の件でございますが、これは第六国会にこの法案が成立いたしまして、整理中におきましても、委員会においては主務大臣を運輸大声といたしたいという決議をいたしたのであります。その後第六国会中これが決定に至りませんで、第七国会におきまして、観光小委員会が発足して以来、三月二十三日の第一回の小委員会におきまして、間嶋観光部長よりその後の経過の御報告、また詳細なる報告を受けまして、この主務大臣運輸大臣とすることが当然であるということになつたのであります。委員会はその日はそれでとじまして、次の委員会にこれをお諮りしたいということになつていたのでありますが、その後各方面状況等を聞いてみましたところ、在来の関係からいたしましても、ホテルの整備法案につきましては、運輸大臣が担当するのが妥当である。また運輸大臣以外のことにつきましてはその都度関係大臣と協議の上、これを運行することが妥当であるということで、三月三十日の第二回の小委員会におきまして、この主務大臣は一応運輸大臣とすることに、満場一致をもつて決定いたした次第でありますので、この際運輸委員会に報告を申し上げ三ぜひこの主務大臣の御決定を願いたいと思うのであります。  続いてもう一つ緊急のお願いといたしまして申し上げたいことは、昨日新聞で御承知の通りでありますが、熱海の駅前、俗にいう仲見世でありますが、みやげもの店とそれの両側に面しましたところが戸数七十戸、それに世帯を持つている数は、まだ判然いたしませんが、約八十世帯というものが昨夜まる焼けになつたのであります。このまる焼けになつたことでありますが、熱海駅は御承知の通り、現在交通が頻繁なために、あの現在の広場に百数十台の自動車を置き、身動きもできないような状態になつております。私どもしばしば熱海駅関係の人から聞きますに、熱海駅はどうしても現在の倍か三倍に拡張しなければ、今後の運営ができないということを聞いておりましたので、この際に委員長にお諮りを願つて、このことにつきまして、国鉄総裁及び関係者に、運輸政務次官よりお話を願いまして、すみやかにこの善後策をとつていただきたいことを、この機会にお願い申し上げる次第でありますが、もし御意見を伺えるなら、運輸政務次官よりこれらについて御答弁を伺いたいと思います。
  55. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいま観光小委員長から、熱海の昨日の火災に伴う善後処置についての御質問でございました。御承知のように熱海は、観光都市として非常に隆盛をしておることは、みな認めておるところでございます。しかもその駅前の広場が非常に狭隘であるということも、多年問題になつてつたところであります。この際、その駅前の広場を広くして、観光都市としての熱海の交通の便に資したいという御希望のようにお聞きしましたが、さつそく国鉄とも連絡いたしまして、実地調査を早急にいたしまして、その調査に基いて御希望に沿うよう善処いたしたいと思います。
  56. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 ただいま政務次官より御親切なるお答えをいただきまして、感謝いたしますが、この土地問題につきましては、運輸省ばかりの問題ではないと思います。もちろん熱海市の都市計画の線にも沿うて、両者協議の上でこれを決定することが当然と思うのでありますが、この際ひとつお伺いしてみたいのは、現在新宿駅の拡張、あるいは池袋駅の拡張では、土地の収用をして、大々的に拡張政策をやつているようでありますが、この点について運輸省あるいは国鉄といたしまして、どういう方針をとられておりますかもしこれがおわかりでありましたならば、この機会に承つておきたいと思います。
  57. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 たとえば駅の建物とか、あるいは駅前の広場を拡張するとか、いろいろ駅の拡張問題はあるのでありますが、国鉄といたしましても、独立採算制の建前から、国鉄自身が多額の費用を投じて駅の建物を改築したり、あるいは駅前の広場を拡大したり、土地を買収したりすることは、目下のところほとんどいたしておりません。大体において、地元においていろいろな方法によらまして費用を捻出して、駅の建物を建てかえるとか、あるいは駅前の広場をかえるとか。そういう地元の犠牲、地元の負担においてやるという場合に主として応じて、その相談に乗つて駅の改築なり、駅前の広場の拡大ということをいたしている次第でありますから、御了承願いたいと存じます。
  58. 畠山鶴吉

    ○畠山(鶴)委員 私はけつこうです。
  59. 稻田直道

    ○稻田委員長 ちよつとお諮りをいたします。ただいまの観光小委員長より報告のありました事項、すなわち主務大臣を早くきめろという事項は、まことにその通りであると存じますので、これを本委員会の決議として決定して、関係大臣に参考送付をいたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 稻田直道

    ○稻田委員長 御異議なしと認めて、さようはからいます。つきましては、関係大臣に申し入れるにつきまして、多少文書等をしたためる必要があるかとも思います。それらのことは委員長に御一任が願いたいと思いますが、いかがでありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 稻田直道

    ○稻田委員長 それではさよう決定いたしました。  本日はこれをもつて散会し、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時二分散会