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岡田(修)
政府委員 これは資料のとり方によ
つているく違うのでございます。資料のとり方と申しますのは、対象になる
貨物、あるいは航路によ
つて違うわけでございまするが、今私の手元に持
つておりまするシャトルからばら小麦を積んで横浜に持
つて来まする場合、かりに
運賃が六ドルというふうにいたしまして、在来船と新
造船とのコスト計算をしたものがございます。在来船では有馬山丸、これは一番
優秀船でございまするが、これで持
つて来まする場合に、大体これは非常に専門的な言葉になりまするが、有馬山丸で六ドルで小麦を持
つて来る場合に、
運賃の中から傭船料として出し得る限界があります。それが一箇月一
重量トン当り八百十七円、これをわれわれの方ではチヤーター・ベースと
言つておりますが、それに対して有馬山丸の傭船料として見た場合のコスト、これをバイヤー・ベースと
言つておりますが、これが三百四十円です。そうすると、一
重量トン当りで四百七十七円もうかる。ところが新
造船で参りますと、そのチヤーターベースすなわち
運賃の中に含まれておる傭船料を出し得る限度でありますが、これが先ほど言いました有馬山丸では八百十七円であるのに対して、新
造船では八百十円、その傭船料原価が千二百六十円、そうしますと四百五十円という赤字になる。ですから新透船を就航させまする場合には赤字になる。しかしこれは片荷の場合であります。これに往航の
貨物が幾らかでもある場合には、
採算かとれる。新
造船か
採算がとれないとれないと
言つておりますのは、現在
日本の船に積んでおりますのが、大体鉄鉱石とかその他のばら積み、不定期積みの
貨物でございます。新
造船等の高性能の船は、定期航路を開設して定期船として使うのが最も有利なわけでございます。今後そういう方向に持
つて行かなければならぬ。そういたしました場合には、新
造船といえ
ども赤字を出さずにやれるのではないか。ただその定期航路を開設する場所がどの
程度にあるかということが、これから問題でございます。それでそのコストの内訳でございまするが、新
造船の運航コストのうちで、一番痛いのは金利でございます。御承知の
通り今度六千総
トン、
重量トン九千
トンの船をつくりますとその建造資金が五億六千万円それに要する金利というものか年に五千四百万円払わなければならぬ。ただいま申しましたシャトル、横浜間の一
航海における全体の運航コストのうちで、金利が二八%を占めておる。だから耳本船か
外国船と
競争いたしますために一番不利な点は、この金利が高い点であります。これを先ほどの有馬山丸について見ますると、これはうんと償却しておりまするから、まあ現在ではほとんど金利というものはない。全体のコストのうちで三・二%しか占めていない。そこに非常に大きな差がある。もう一つはたき料でございます。船の使う油、あるいは石炭、これが
外国船に比して
相当高い。少くとも油において十五百円から二千円ぐらい高い。このたき料が、今申しました航路の一
航海において占める割合が二八%でございますから、これが二割なりあるいはそれ以上に下りますと、その点において経費の節約も
相当できるわけでございます。船を直接運航いたします場合に、
外国船に比して不利な点は金利、それからたき料、すなわちバンカー等の点であります。さらに元に返
つて新
造船の場合には船の
船価のことであります。船の
船価は、小型の船においては
日本船は非常に安いのでありますが、大型のディーゼルの場合においてはポンド切下げ後の
英国の
船価と比べますと、幾分か高い。その高い原因は何かと申しますと、たびたび新聞その他、あるいはこちらでも御説明したかと思います。鋼材の価格が
相当高くなる。あるいは現在まで安くても品質が悪いとか、あるいはくずが出るとかいうような、実質的に高くなるということに原因しておるわけであります。