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1950-03-14 第7回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十四日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 稻田 直道君   理事 岡村利右衞門君 理事 關谷 勝利君    理事 前田  郁君 理事 米窪 滿亮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    黒澤富次郎君       坪内 八郎君    畠山 鶴吉君       滿尾 君亮君    松井 政吉君       上村  進君    飯田 義茂君  出席政府委員         海上保安官         (海上保安庁水         路部長)    須田 皖次君  委員外出席者         議     員 塚田十一郎君         運輸事務官   丸尾 和夫君         運輸技官鉄道監         督局         (国有鉄道部施         設課長)    宮澤 吉弘君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月十日  委員上村進辞任につき、その補欠として加藤  充君が議長指名委員に選出された。 同月十四日  委員加藤充辞任につき、その補欠として上村  進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十三日  山川、枕崎両駅間に鉄道敷設請願滿尾君亮  君紹介)(第一三八九号)  豊後中川駅から野矢駅に至る区間を鳥栖管理部  に移管の請願村上勇紹介)(第一三九号)  丹波大山乗降場待合室設置請願(佐々木  盛雄君紹介)(第一四一三号)  日光、足尾間鉄道敷設請願尾関義一君外六  名紹介)(第一四三六号)  瀬戸内海海区の機雷掃海に関する請願塩田賀  四郎紹介)(第一四三七号)  瀬戸内海沿岸観光港及びヨツトハーバー整備  に関する請願塩田賀四郎紹介)(第一四三  八号)  瀬戸内海沿岸観光ホテル設置請願塩田賀  四郎紹介)(第一四三九号)  音戸の瀬戸開さくに関する請願塩田賀四郎君  紹介)(第一四四〇号)  石炭、鉄屑及び砂利の貨物運賃軽減に関する請  願(中村幸八君紹介)(第一四五二号)  掛塚燈台五島海岸に移設の請願中村幸八君  紹介)(第一四五五号)  堀川運河しゆんせつ工事施行に関する請願(佐  藤栄作紹介)(第一四六三号)  阿久根駅に急行列車停車請願尾崎末吉君紹  介)(第一四六八号)  浜松、米原間鉄道電化促進請願辻寛一君外  三十二名紹介)(第一四七四号)  道路運送審議会委員の定員に関する請願畠山  鶴吉紹介)(第一四七七号)  肥料用石灰貨物運賃軽減に関する請願(田中  堯平君外一名紹介)(第一四八一号)  岩国、日原両駅間に鉄道敷設請願木村榮君  外二名紹介)(第一四八二号)  松山駅復旧に関する請願關谷勝利紹介)(  第一五〇五号)  二俣横須賀両町間、佐久間村・磐田市間及び  二俣町・気多村間に国営自動車運輸開始請願  (金原舜二君紹介)(第一五一二号)  飯田線の一部払下げ反対に関する請願金原舜  二君紹介)(第一五一三号)  飯田線急行列車運転請願金原舜二君外一  名紹介)(第一五一四号)  会津若松駅構内喜多方街道踏切を地下道に切替  の請願江花靜紹介)(第一五一九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及小委員長選任に関する件  水路業務法案内閣提出第九五号)  請 願  一 築別、遠別間鉄道敷設促進請願玉置信    一君外一名紹介)(第四四五号)  二 長崎から茂木を経て喜々津に至る間に鉄道    敷設促進請願坪内八郎紹介)(第四    五五号)  三 大牟田駅、三池港間に臨港鉄道敷設請願    (甲木保紹介)(第五〇二号)  四 士別から苫前及び瀧の上に至る間に鉄道敷    設促進の請願河口陽一紹介)(第五〇    四号)  五 北陸線中津幡高岡間複線工事再開請願    (南好雄紹介)(第五五二号)  六 西尾、岡崎間鉄道復旧に関する請願(千賀    康治君紹介)(第五八六号)  七 片上鉄道延長請願若林義孝君外五名紹    介)(第六〇二号)  八 福山線延長並びに松前線敷設促進請願(    冨永格五郎君外二名紹介)(第七一七号)  九 山陽本線宇部市通過に関する請願吉武恵    市君外五名紹介)(第七二二号) 一〇 山田線復旧促進請願山本猛夫紹介)    (第七七二号) 一一 雫石、生保内両駅間に鉄道敷設請願(山    本猛夫紹介)(第七七三号) 一二 三陸沿岸鉄道敷設促進請願山本猛夫君    紹介)(第七七七号) 一三 同(千葉三郎君外四名紹介)(第九七一    号) 一四 三江線三次、浜原間鉄道敷設促進請願    (山本利壽君外一名紹介)(第七八〇号) 一五 直江津、六日町間鉄道敷設促進請願(塚    田十一郎紹介)(第八九一号) 一六 赤穂線敷設工事再開請願(逢澤寛君紹    介)(第九七〇号) 一七 釧美線敷設促進請願松田鐵藏紹介)    (第一〇三五号) 一八 長倉、大子間鉄道敷設促進請願尾関義    一君外二名紹介)(第一〇六七号) 一九 佐世保相浦間鉄道路線変更並び佐世保    駅拡張請願北村徳太郎君外一名紹介)    (第一一〇四号) 二〇 沼宮内、一戸間鉄道路線切換促進に関する    請願山本猛夫紹介)(第八七五号) 二一 大間大畑間鉄道敷設並び大間港修築の    請願小笠原八十美紹介)(第一一三三    号) 二二 日の影、豊後竹田両駅間に鉄道敷設請願    (羽田野次郎君外三名紹介)(第一一一一    号) 二三 小本線延長工事促進請願淺利三朗君外    五名紹介)(第一二一七号)     —————————————
  2. 稻田直道

    ○稻田委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  水路業務法案を議題といたし質疑を行います。上村君。
  3. 上村進

    上村委員 水路業務法案の二、三について質問いたしたいと思います。  最初提案理由の際に、「海上保安庁水路部は、その筋の許可を得て近くモナコ国際水路局加盟予定であります。従つて加盟各国国際水路会議の決議によつて、国内における水路に関する資料及び情報提供交換し、もつて海面航海の安全に協力をしなければならない」と述べておるのでありますが、このうちで私の質問したいのは、国際モナコ水路局というものは、一体参加国はどういうふうになつているか。それからこれに参加するとすれば、いかなる権利義務が生ずるか。従つてこのモナコ国際水路局なるものの国際的な約款、協定といいますか、そういうものは一体どんな内容になつておるか。お調べになつているかどうか。そういうことをまずお尋ねしたいのであります。
  4. 須田皖次

    須田政府委員 モナコ国際水路会議に入つている国々は、現在連合国を組織している国は、ほとんど入つておると思います。国際連合に入つている国々は、全部その方の関係じやないかと思います。それからこれに入りますと、水路関係情報お互い提供交換するという義務がある。そのほか費用は、大体その国の所有船舶のトン数に応じて出すことになつておりますが、それは今のところ日本では一万二千金フラン程度であります。規約については、条約とは違いまして、この国際水路局の中に一定規約がありまして、その規約従つてやることになつております。最近の規約は今向うから取寄せをお願いしているところであります。
  5. 上村進

    上村委員 「その筋の許可を得て」という言葉がございますが、これは具体的にはどういう資格の人をさすのですか。その点を明瞭にしていただきたいと思います。
  6. 須田皖次

    須田政府委員 日本は現在において、連合軍司令官の隷下にありますので、占領軍司令官許可を受ける必要があります。
  7. 上村進

    上村委員 そうすると、これは占領軍最高司令官資格をさすということになるわけですか。
  8. 須田皖次

    須田政府委員 「許可を得て」という点に対しましては、占領軍の総司令官許可を受ける必要があるという意味でありまして、日本で希望しても、単独では入ることができません。
  9. 上村進

    上村委員 具体的には、最高司令官マツカーサー元帥許可を得なければ、これに参加することはできないことになるわけですね。
  10. 須田皖次

    須田政府委員 お説の通りであります。
  11. 上村進

    上村委員 これは一つの外交的な問題であると思いますが、もしそういうことを講和前には許されないといつた場合には、この法律にどういうふうに影響することになるのでしようか。
  12. 須田皖次

    須田政府委員 もし不幸にしてそれを許されなければ、この法律において第一条の「国際間における水路に関する情報交換」という条項を削るよりほかはあるまいと思つております。但しほかの条項におきましては、水路業務を完遂する上においては、正確な資料はぜひ必要でありますから、大してかえる必要はないと考えております。
  13. 上村進

    上村委員 この条文には、むろん国際モナコ水路局ということはないけれども、結局その取締り、もしくは基本となつておる国際機関は、モナコ水路局であるということになると、それの許可がなければこの第一条の目的は達せられない。従つてこの法律根本目的が失われるというあやふやな立案ではないかと思うのですが、その点はどういうお見通しでございますか。
  14. 須田皖次

    須田政府委員 実はモナコ水路局のデイレクテイブ・コミテイーというのがありますが、そのコミテイのデイレクターは案は私のよく知り合つた友人関係の人でありますので、現在私的にいろいろなことを諮問して来ている状況にあります。で私自身としては、必ず加入の許可を得るものと判断しております。
  15. 上村進

    上村委員 さらに伺いますが、この法律ができますれば、講和前にも着々と進行して、その事実を完成する。一言でいえば、最高司令官許可も得られるというお考えでございますね。
  16. 須田皖次

    須田政府委員 そうでございます。
  17. 上村進

    上村委員 私はりくつを言うわけではありませんが、さらにお尋ねしたい。こういう法律は結局外交的なものであつて、そう一日を争うような。国民生活の上に影響するものではないと思います。講和が今日本では政治の中心問題であり、国際外交の中心問題になつているときに、この法律だけを、先にそういう見通しをつけましても、講和なしくずしという形でこれをやるということは、一体その急ぐ提案理由はどこにあるわけですか。
  18. 須田皖次

    須田政府委員 この法律を急いだ理由といたしましては、まだよくわかりませんが、近く日本船舶外航につき得るような措置が講ぜられはせぬかという見通しがあるやに聞いております。それで外国港湾状況や何かを知りませんと、日本船舶は行きたくとも、計画が立たぬために、非常に危険なことが起り得るのであります。従つて国際水路局に入りまして、先方の港湾状況や、水路状況を明瞭に日本で把握するということは、非常に大事なことであります。国力の進展上からいたしましても、ぜひ急いでやつていただきたいと思います。
  19. 上村進

    上村委員 私ども国民立場から、全面講和を主張しておるのでございます。こういうふうに、今現在外航航路というような関係が、日本に非常に不利益に展開されておつて、ある一国の利益外航関係になりつつあるということは、政府も御案内の通りでありますが、そういうときに、情報提供や何かをするということは、単独講和なしくずしではないかということを考えるのですが、そういう考え政府は持つておりませんか。その点を確かめておきます。
  20. 須田皖次

    須田政府委員 今の御説はごもつともなのでありますが、大体講和条約が結ばれるのがいつか、見通しがつかない状況下にあります。それでわれわれとしましては、実は第一条にあります「国際間における水路に関する情報交換」ということは、つまり科学的な基礎資料水路に関する正確な資料を得るということが第一の目的でありまして、しかもそれによつて正確な資料国際水路局提供いたし、また各国の正確な資料をいただいて、全海面航海保安を期そうという考えで出したわけでございます。
  21. 上村進

    上村委員 その点はそれで打切ります。  第二問としまして、第二条でございますが、種々の「測量並びにその成果を航海に利用させるため」とうたつてあるが、これはもちろん日本も入つておることとは思いますが、具体的に言うと、いかなる国に利用させるかということを、私はここで確かめておきたいと思うのです。
  22. 須田皖次

    須田政府委員 これは国際水路局に加入しておる国は、どこの国でも交換を希望する国には、お互い交換をすることになつておりますので、それは一つ義務になつております。ある特定国にだけ日本海図提供するということはありません。早い話が、もしソビエト関係の方面から海図交換を願い出た場合には、やはりそれをこちらでは供給しなければならぬ義務を負うことになります。ある特定国というものは、決して目ざしていないのでございます。
  23. 上村進

    上村委員 これはしつこいようですが、現在の日本は、非常に外国船舶外国資本によつて圧迫されて、ほとんど外航というものは日本がどうにもできないところまで追い詰められると思うのですが、そのときに海面を非常に金をかけて——むろんそういうことは大事ではあるが、その直した海面というものが、結局外国資本船の利用になるということは明らかだと思うのですが、それでもなお、そういうことを見つつも、それを急いでやるということは、政府としてはどこに意図があるかということを伺いたいのであります。こんなものはそう急がなくてもいいと思うのですが、それらの点をはつきりしていただきたいと思います。
  24. 須田皖次

    須田政府委員 大体水路業務の本質的な性質と申しますと、私は全海面における安全、ないし海運関係、の方におきまして、常に安全にして愉快な航海ができる。必ずそれによつて双方においてお互い利益を得る。こういう性質のものだと解釈するのであります。決してわれわれはある特定国に向つて便宜を与えるということを念願に置いて仕事をやつておりません。
  25. 上村進

    上村委員 根本趣旨がそこにあるならばけつこうでございますが、結果において、今これを急速にやつて国民の負担で修繕したりして行くことは、結局ある一国の利益のためにこの法律を急ぐということになるから、その点を今確かめたわけでありますが、その点はこれで打切ります。  次いで第十三条についてお伺いしたいのですが、障害物除去について「あらかじめ所有者又は占有者承諾を得て、」となつておりますが、これも簡単なことじやないと思うのです。日本の島の周囲、もしくは小さな島の周囲、あらゆるところに海産、水産場があるわけです。そうしてそこには所有者が必ずあつて、それによつて飯を食つて生きておるわけです。そこでこの障害物除去のために生産の妨げとなり、あるいは使用者使用権の侵害となることが間々あるのではないかと思うのです。そこでこの所有者占有者は、これを承諾しないというようなことができるかどうか。どういう形で承諾を求めて来るか。つまり拒否権がふるかどうか。承諾することができないときにはそれは承諾できないと言うことができるかどうかということを、はつきりしていただきたい。
  26. 須田皖次

    須田政府委員 今までの経験によりますと、水路測量なり、海象観測をやるために、所有者承諾を得ずにものを処理したようなことは、ほとんどないのでございます。今後ともそういうことはめつたにないと思いますが、むろん拒否権はあることになつております。但しどうしても水路測量をやる上において、それは取除かなければならぬという場合におきましては、土地収用法を利用するほかに方法がないのじやないかと思つております。但し今まで八十年間の歴史において、そういう例は一件もありません。
  27. 上村進

    上村委員 そうすると、どうしてもこうしても拒否するということになれば、土地収用法を発動するというお考えだと承つておいてよろしゆうございますね。
  28. 須田皖次

    須田政府委員 そうでございます。
  29. 上村進

    上村委員 それではそう承つておきます。  次は第十四条ですが、十四条には「離島又はこれに類する場所」とありますが、これは一体どの程度のところまで来れば離島といい、またはこれに類する場所というのか。その範囲の決定とか何かについて争いがあつた場合に、一体これをどういうふうにしてきめるか。これらが争いの種になると思うので、この際離島あるいはそれに類する場所とは、どの程度の距離、範囲のものか。実際の事情の関係がどんなるかということを伺いたい。
  30. 須田皖次

    須田政府委員 「離島又はそれに類する場所」という点につきましては、水路測量には一定測量期間があるのであります。大体二箇月であるとか、三箇月かかるので、その予定計画が非常に狂つて来るような場合におきましては、どうしても第十四条に示してあるような処置をとらぬと、仕事の進行ができませんので、そういうことが考慮に入れてあるのであります。これに類する場所というのは、所有者占有者がそこにおらないで、その人に会つていろいろ交渉する場合には、二週間も三週間もかかるような場合を意味しております。
  31. 上村進

    上村委員 認定は結局は一応水路局でやるということになるわけですか。
  32. 須田皖次

    須田政府委員 認定はこれを実施するところの海上保安庁においてやることになると思います。なおこの場合において非常に問題が紛糾するおそれがあるときは、次善策として、実際の場合においては、その土地を使用しないで、ほかのところにかえようという考え方もできると思います。
  33. 上村進

    上村委員 くどいようですが、先の障害物除去の問題と関係するわけですが、業者の方ではこれは離島範囲外だ、ずつと離島してしまつておるじやないかというようなことを言い、水路局ではそうではないということになると、結局その場合、それだけの問題でそういう争いをした場合に、どちらが勝つことになるのですか。そうしてその場所争いについて、それじやここは離島外のところだから、その障害物はとらないというふうにして、業者の方が勝つて水路局が負けるか。それともそうじやないというようなことで、結局水路局できめるとおつしやるわけですか。そうしてむりにそこを除去してしまうわけになるのですか。
  34. 須田皖次

    須田政府委員 われわれはその占有者なり所有者の持つておる植物またはさくを伐除する場合に、さつきも申しましたように非常に問題が紛糾し、手数がかかる。そういう場合におきましては次善策をとり、できるだけ民間のものに対する圧迫は加えたくないとい口考えで進めてみたいと思つております。
  35. 上村進

    上村委員 まだ要領を得ませんが、その点はちよつと中止しまして、第十四条へ移ります。第十四条に現状を著しく損害しないときは、前条の規定にかかわらず承諾を得ないで、障害物を取除くことができるとあります。この「著しく」とかいうことは非常にむずかしい言葉ですが、この認定は一体どこでやるわけですか。
  36. 須田皖次

    須田政府委員 その認定は、水路測量なり海象観測を実施するところの官庁、すなわち海上保安庁でやることになると存じます。
  37. 上村進

    上村委員 そうするとその著しく損害しないで除去するということは、水路局の方で認定しただけでいいとおつしやるわけですか。
  38. 須田皖次

    須田政府委員 この場合の現状を著しく損傷しないというときには、われわれの方としましては、たとえばここに一本立木がある。その立木一本は切らない。しかし枝を落せば水路測量をやるのに非常に好都名だ。そういう程度のものと解釈しております。
  39. 上村進

    上村委員 その著しくということが、非常に問題になつて来る。いづれにしても憲法には二十九条に、国民財産権は侵してはならぬと書いてあります。それですから著しくこわそうが、著しくこわすまいが、とにかく著しくなつても、国民財産権をいためるということを、財産的な設備をこわすということを、水路局だけでやるということは、私ども法律をもつてしてもいけないと思うのです。著しくないからこれはかつてにこわしていいというようなことであれば、この法文は憲法二十九条を侵しておるのだと思うのですが、その見解はいかがですか。
  40. 須田皖次

    須田政府委員 この著しく損傷したいという、その著しくということは、これはやはりここでもつて詳しく説明するわけに行きませんし、一々条項を掲げることも困難だと思います。要するに社会的通念に基いて判断するほかはないと思います。それでその場合に非常な損失が起つたときには、第十五条にありますように、その損失を補償することになつております。
  41. 上村進

    上村委員 そういう政府考え方が、私は民主的でないと思うのです。賠償するからといつて、人のものをこわしていいということはないのです。ですから著しくあればむろんのことですが、著しくなくても、所有者承諾なしにそれをとるという根拠の御説明を願いたい。
  42. 須田皖次

    須田政府委員 お答え申し上げます。大体水路測量なり海象観測という性質のものは、その目的とするところは公共利益をはかり、福祉を増進させるということにあるのであります。それでごく些細な、木の枝を払うというようなことに対しましては、ある程度まで所有者にその点をよく了解していただきまして、御理解いただくよりほかに方法がないのではないかと考えております。
  43. 上村進

    上村委員 そこですよ。ですからこれは著しく毀損しなくても、とにかく承諾を求めてやるということでなければ、公共の安全ということもそうですが、そこで生産をしておる生産者所有者基本的人権というものも、また尊重されなければならぬと思うのです。でありますからして私はその点をついておきたいと思うのですが、そうすると結局政府といたしましては、公共福祉の場合は、一切承諾なしでも少しくらいはこわしてもいい、そういうお考えですか。
  44. 須田皖次

    須田政府委員 この問題に対しまては、われわれとしては、実行の場合においてそういう不都合のないように、できるだけ努力して、所有者承諾を得るように努めて行きたいと思います。
  45. 上村進

    上村委員 もう一点お聞きいたします。第十六条、何人も正当な理由がない限り、水路測量標及び測量船の保全の義務がある、こういうのですが、これはぼうつとしておりますが、この場合の何人もというのはどういう意味でございましようか。
  46. 須田皖次

    須田政府委員 この何人もということは、実際は水路測量標を設けますと、船のもやい綱をかけるところに利用してみたり、またその辺で土木工事などが起りますと、それを埋めてしまつたり、あるいは、ごみ捨場式ごみを捨ててどこに水路測量標があるかないかわからないというような事態ができるのであります。そういう意味において、だれでもそれを毀損し得る機会があり得るものですから、特にだれでもとしたのです。
  47. 上村進

    上村委員 わかりました。それから二十四条におきまして、「刊行物を発行しようとするときは、海上保安庁長官の承認を受けなければならない。」という言葉があります。それから二十五条にも同じような文句で、「類似の刊行物を発行しようとする者は、海上保安庁長官許可を受けなければならない。」とあります。これはやはり公益の立場からこうされたものと思うのですが、憲法の言論、出版の自由、発行の自由がある場合に、これだけの刊行物を出すのに、一々その官庁許可を得るということは、憲法に抵触しておるかに思うのですが、この点はどうお考えでございますか。
  48. 須田皖次

    須田政府委員 この点に関しましては、われわれは憲法に抵触しはしないかということを十分考慮して、立案したものであります。水路図誌とか、そういつた種類のものは、十分信用の置ける正確なものでなければならぬ。ところがもし不幸にして正確でない海図が出るというようなことがありとすると、そのために海難が起り、非常な損害が起る。非常に困るわけです。そこで特に海上の交通の安全を懸念するために、こういう条項を設けた次第であります。
  49. 上村進

    上村委員 そうすると、憲法には表面的には反しているが、海上の治安ということで、こういうことを制限を付したということになるわけですね。
  50. 須田皖次

    須田政府委員 水路部といたしましては、これは一般国民福祉を増進させるやむを得ない方法なのでありまして決して憲法を無視してかかるという考えではなかつたのであります。
  51. 上村進

    上村委員 よろしゆうございます。     —————————————
  52. 稻田直道

    ○稻田委員長 第三回の委員会におきまして、運輸委員会の観光小委員会を設置すること、及びこの小委員の選任につきましては、委員長において御指名をすることに決定いたしておりましたので、この機会に次の通り観光小委員指名いたします。   大西 禎夫君  岡村利右衞門君   黒澤富次郎君  坪内 八郎君   松本 一郎君  岡田 五郎君   尾関 義一君  關谷 勝利君   畠山 鶴吉君  滿尾 君亮君   米窪 滿亮君  清藤 唯七君   上村  進君  木下  榮君  本日は以上の十四名を指名いたしまして、あと一名は次会に御指名することにいたします。それではこの観光小委員会の小委員長の選任について、お諮りいたします。
  53. 關谷勝利

    關谷委員 小委員長の選任につきましては、選挙の手続を省略して、畠山鶴吉君を小委員長に選任せられんことを希望いたします。
  54. 稻田直道

    ○稻田委員長 ただいまの関谷君の御意見に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 稻田直道

    ○稻田委員長 それでは御異議なしと認めまして、畠山鶴吉君を観光小委員長に選任することにいたしました。     —————————————
  56. 稻田直道

    ○稻田委員長 これより請願の審査に入ります。     〔委員長退席、前田(郁)委員長代理着席〕
  57. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 日程第一は、紹介議員があとから見えるそうですから、あとまわしにいたしまして、日程第二を議題に供します。長崎から茂木を経て喜々津に至る間に鉄道敷設促進の請願坪内八郷君紹介、第四五五号。
  58. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、運輸省は長崎から茂木を経由して喜々津に至る新路線を計画しているが、同計画は長崎市を中心とする南方貿易、観光事業及び附近町村の交通、産業開発上、大きい利便を与えるから、緊急に実現ざれたい。特に茂木港は長崎港の外港としてきわめて重要なる地点であるから、同計画実施にあたつては茂木町を経由するようにされたいというのであります。
  59. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 本請願に対しまして、政府側の御意見を承りたいと存じます。
  60. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 本請願は、本線の敷設によりまして同地方の資源の開発とか、茂木港の活用のために観光ルートを設けられたいという趣旨と存じますが、本線の経過地は大部分橘湾に面しておりまして、地形は非常に凹凸が多い海岸地帯でございますから、途中相当長大なトンネルとか橋梁等ができまして、工事費も多額に上る見込みでございます。現在の事情といたしましては、当局といたしましてこの建設線を急速に実施するということは困難でなかろうかと存じますが、長崎本線の改良線といたしましても、十分考慮される点もございますので、将来といたしましては十分研究したい、かように存じております。     —————————————
  61. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 第三、大牟田駅、三池港間に臨港鉄道敷設請願甲木保紹介、第五〇二号を議題に供します。尾関君。
  62. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、島原半島の中枢都市である島原市と大牟田市とを結ぶ航路は、北九州以東の地域から島原に至る最短経路であり、国立公園雲仙観光ルートの一環として重要な使命を持つている。しかるに同航路の大牟田側発着所は三池港にあるため、国鉄大牟田駅から約二キロ、西鉄電車停留所から約一キロ離れ、交通不便なため、船車連絡上多大の不便をこうむつている。ついては大牟田駅から三池港に至る臨港鉄道を敷設して、対岸島原との交通の利便をはかられたいというのであります。
  63. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 本請願に対しまして、政府側の説明を聴取いたします。
  64. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 三池の港は御承知のように私営の感の深い港でございまして本港には専用線も多々入つております。そういうような実情にございますので、国有鉄道としてはこれに対しまして計画したことはございませんけれども、もしここに鉄道を入れるといたしますと、そういつた専用鉄道との交叉関係、あるいは道路との交叉関係も非常に多くなるような関係で、本線を敷くということは相当困難でなかろうか、かように存ぜられます。     —————————————
  65. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 第四、士別から苫前及び滝の上に至る間に鉄道敷設促進の請願河口陽一紹介、第五〇四号を議題に供します。尾関君。
  66. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、宗谷本線天塩国士別駅を中心として、西は根別村、幌加内村、添牛内を経て苫前駅に至り、東は士別村を経て滝の上駅に連絡して、紋別駅に至る間に鉄道を敷設すれば、沿線の広大な農耕地と豊富な鉱産資源が開発され、また東西両海岸を貫通して、日本海、オーツク海の漁獲物の集散は活発となり、焼尻、天売両島の魚田開発を促進する等、地方の福祉を増進することは多大である。ついてはすみやかに右区間に横断鉄道を敷設されたいというのであります。
  67. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 これより政府側の御意見を聴取いたします。
  68. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 本線は天塩、石狩、北見の三国にまたがる約百五十キロの長い鉄道でありまして、この間一部は敷設法の予定線となつておりますけれども、士別、添牛内間及び士別、似峡間は、昭和四年におきまして追加予定線といたしまして提案いたしましたけれども、審議未了となつた路線でございます。沿線には、お説の通り広大な農耕適地と森林のほか、鉱産資源も多少あるようでありますが、現下の情勢におきましては、やはり本線路は相当の工事費と相当な工事量を持つておりますので、早急実施することはやや困難ではなかろうかと存ぜられます。     —————————————
  69. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 第五、北陸線中津幡高岡間複線工事再開請願南好雄紹介、第五五二号を議題に供します。尾関君。
  70. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、戦争によつて工事を中止されている国鉄北陸線中津幡、高岡間の複線工事を再開されて昭和十五年以来用地を買収され、むなしく複線列車の運行を空想している沿線住民の要望をいれられたい。また倶利加羅駅の位置が不便で採算がとれない由であるが、同駅を今千八百キロ津幡寄りの平坦に移転されて、同駅の利潤増収をはかられたいというのであります。
  71. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 これに対して政府側の意見を聴取いたします。
  72. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 この北陸線の複線工事は、御承知のように戦時中、北陸線の輸送を増強するということで着工した路線でございますが、昭和十九年募れに至りまして諸種の事情から工事を中止せざるを得ないような状態に陥つたのでありますが、いまだこの路線の工事に再着手する段階には入つておりません。なお倶利加羅駅移転問題につきましても、この工事を再開する時期に至りましたときに、十分研究いたしたい、かように存じております。     —————————————
  73. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 六、西尾、岡崎間鉄道復旧に関する請願、千賀康治君紹介、第五八六号、右を議題に供します。尾関君。
  74. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、名古屋鉄道株式経営の元西尾、岡崎線は、同地方の交通運輸と産業の開発に資するため、地元民の犠牲的な協力によつて明治四十四年十月開通されて以来、地方鉄道としての重要性はますます加わつていたのであるが、戦時中、国策の名のもとに撤去廃止され、その資材は他に転用されてしまつた。終戦後はすみやかに復旧されるものと期待していたが、いまだその曙光さえ見えず、不利不便ははかり知れないものがある。ついてはすみやかに同鉄道復旧開通をはかられたいというのであります。
  75. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 これより政府側の意見を聴取いたします。
  76. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 首題の名古屋鉄道西尾線は、戦時中企業整備の趣旨に基いて名古屋鉄道が自主的に常業休止を行つた路線であり、終戦直後は資材難のため、現在においては主として資金難のために復旧が困難な現状であります。運輸省としては十分会社の実情をも調査し、なるべくその実現をはかりたいと存じております。     —————————————
  77. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 七、片上鉄道延長請願若林義孝君外五名紹介、第六〇二号を議題に供します。尾関君。
  78. 尾関義一

    尾関委員 請願の要旨は、片上鉄道は岡山県和気郡片山町から、山陽本線和気に接続し、勝田郡飯岡村に至る地方鉄道で、現在柵原まで開通しているが飯岡駅から分岐して勝田郡飯岡村、英田郡福本村及び巨勢村、勝田郡公文村及び湯郷村を経て、姫新線に結ぶように延長されたいというのである。この延長によつて、従来鉄道の恩恵に乏しかつた美作地方の町村民の福祉と地、方産業開発を増進し、山陰方面との物資の交流も開ける等、再建日本に寄与すること多大であるというのであります。
  79. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 政府側の意見を聴取いたします。
  80. 丸尾和夫

    ○丸尾説明員 請願鉄道延長につきましては、片上鉄道株式会社から現在のところまでにおいては申請がございませんので、申請がありましたならば、運輸審議会に諮問いたしました上、善処いたしたいと存じております。     —————————————
  81. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 八、福山線延長並びに松前線敷設促進請願冨永格五郎君外二名紹介、第七一七号を議題に供します。尾関君。
  82. 尾関義一

    尾関委員 本請願の要旨は、戦時中北海道福山線並びに松前線の敷設が計画され、工事の大部分も完成し、福山線は大沢町まで開通したが、社会情勢の変化とともに同計画は中止されている。同地方は、するめ、いわし、ほつけ等の主要生産地として有名であり、また地下資源を無尽蔵であるから、これら生産物の輸送並びに地下資源の開発のためにも福山線の未開通箇所並びに松前線の開通を促進されたいというのであります。
  83. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 政府側の意見を聴取いたします。
  84. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 福山線太古内、福山間は約五十一キロございますが、このうち木古内、渡島大沢間約四十六キロは現在開業いたしております。残余の渡島大沢、福山間の五キロは、路盤工事はできておりますけれども、戦争の影響を受けまして工事を中止したまま、現在に至つたのであります。また松前線につきましても福山、大島間の二十四キロでございますが、結局福山線の延長というような線路でございまして両線をあわせまして資源の開発を目的といたしまして、全線工事に着手いたした区間でございますが、福山線と同様の運命になつて現在に及んでおるわけでございますが、この線路は御請願にもございましたように、資源の豊富な地帯でございますので、経済情勢が好転いたしましたならば、できるだけ早い機会に御趣旨に沿うよう努力いたしたい、かように存じております。     —————————————
  85. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 次に九を省略いたしまして、一五を繰上げまして議題に供します。一五、直江津、六日町間鉄道敷設促進請願塚田十一郎紹介、第八九一号を議題に供します。
  86. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 この請願は、新潟県の東頸城郡を縦貫いたしまする直江津、六日町間の鉄道を建設願いたいという請願であります。請願理由は、この地帯は一つは石油、亜炭、農産物などの豊富な資源が相当ある。これを開発していただきたいということ、それから現在信越線が碓氷峠がああいうぐあいでありますために、北陸方面に行きます急行がずつと長岡までまわつてつておるわけであります。それでこの線を通しますと、ずつと六十キロ以上の距離短縮になり、そうして裏日本と表日本の連絡が非常にぐあいよいよなるということ、それからもう一つは、この地帯は御承知のように非常な豪雪地帯でありまして、冬季になりますとまつたく交通機関が何もないのであります。私などは毎回選挙をいたしますときには、わらじばきでこの地帯を歩かなければならぬ。しかも今申し上げました東頸城郡は、これは郡内いずれの土地にも国有鉄道が入つておらないという、まつたく鉄道のない郡なのでありまして、そういう非常に恵まれない地帯でありますために、その恵まれない地帯の者をいくらかでも文化の恩恵に浴させていただくという意味もあわせましてぜひこれは早急に御建設願いたい。この請願は実は近年始められたのではないのでありまして、最初に始めましてから十数年になつておるのであります。幾たびか測量はしていただいておるのでありますが、その後戦争などの関係でいまだに成就しておりませんので、住民のそれに対する熱望はここ十数年来まことに熾烈なものがあるのであります。当初からこの建設の請願に当つておられた柳という人は、実は昨年亡くなられたのでありますが、私はこの人が生前にしよつちう、私の生きておる間にひとつ郡内を汽車が走るのを見せてもらいたいという、切なる願いを聞いておつたのでありますけれども、遂にそのことができなかつたのでありますが、遺言として必ずこれは私が政治家として出ておる間に、御意思を体して成就いたしますからというように申し上げてあるくらい、私も非常に熱心に関心を持つておる線なのでありまして、どうかそういういろいろな事情をおくみとり願つて、一日も早くこの線の御建設をぜひお願いしたい、こういうように考えておるわけであります。
  87. 上村進

    上村委員 塚田さんの御紹介の敷設鉄道の起点の六日町は、私の出身地でございます。ちようど六日町から高田へ通ずると長岡へ出て柏崎へ出て直江津に出る三角形の間が、これによつてまつすぐに行くのであります。そうして東頸城という今まで文化に浴していないところがこの線に入るわけで、この鉄道の敷設は私も極力賛成して開設を願いたい、こう思うのであります。
  88. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 それでは政府側の意見をお聞きいたします。
  89. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 本区間は六日町と直江津とを結びます約七十九キロの路線でございまして、敷設法予定線にはなつておりませんが、昭和十二年から調査をいたした区間でございます。経過地は今お話がございましたように、油田地帯を通つておりまして、石油や亜炭が相当埋蔵されておるように調査されております。しかしながら地形は相当複雑いたしておりまして、相当の工事量があるように調査されておりますし、数十線に上る路線が中止のやむなき事情にありますような現在におきまして、この路線を早急に敷設するということはやや困難ではなかろうか、かように存ぜられる次第でございます。
  90. 塚田十一郎

    塚田十一郎君 この機会に政府委員にお尋ねいたしておきたいのでありますが、ただいまの御答弁の中に数十線にのぼる路線がまだやりかけで中止になつておる。だからこういう新しいものは早急に取入れられないという御答弁であつたのであります。そこで私は、政府は今新線を建設される順位というものをどういうぐあいにお考えになつておられるか。私どもは過去に予定線というものがいろいろあつてこういう線から順にやつて行こうという、応の御考慮があつたことはよく承知しておるのでありますが、日本の戦争前と終戦後の状態というものは、これは国の建て方が基本的にかわつて来ておるのですから、前から順位がこうであつたということをどこまでも強くお考えになるのか。それとも新しい事態に応じてもう一度そういう順位というものを考え直し、新しい考え方に従つで順位をつけてやつて行く。そういうお考えになつておるのではないかと私ども考えておるわけであります。その辺は今日の日本の建設全体の情勢がこういうふうでありますから、すぐにできると私どもも思わないのでありますけれども、少くとも建設が相当大量に取上げられる段階になれば、こういうものは相当優先順位をもつてお取上げ願えるのじやないか。こういうふうに私ども案は考えておるのでありますが、その点について……
  91. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 ただいま現在の政府側におきましての、建設線の順位の決定をどうされておるかというお話でありましたが、現在の段階といたしましては、もちろん国有鉄道公共企業体になりまして、また非常に現在は経営に苦しんでおるときでございますから、収益性というものを相当高く見ておるような次第でございます。ただ将来におきましては、もちろん公益性をも十分考慮いたしまして、地方開発とか、あるいは資源開発とかいうような、面、あるいは公共の御利便をはかるというような点にも、十分考慮しなければならないかと、かように存じておりまして、ただいま申されたように従来やつておつたからということでは、順位は決定いたすつもりはございません。
  92. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 それでは前に返りまして、第一の築別、遠別間鉄道敷設促進請願玉置信一君外一名紹介、第四四五号を議題に供します。
  93. 尾関義一

    尾関委員 この請願の要旨は、北海道西北部開発上の重要線たる天塩沿岸鉄道は、昭和十六年末羽幌町より築別まで延長されたが、築別より遠別までの四十四キロの予定線は、昭和十三年度より五箇年計画をもつて着手されたが、途中三箇年の延期となり、さらに戦争により全面的に中絶されている。同線の開通によつて北海道輪週線が完成するのであり、沿線には森林、石炭、石油資源等が宝蔵されているから、同鉄道の完通を促進されたいというのが、本請願の要旨であります。
  94. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 政府側の説明を聴取いたします。
  95. 宮澤吉弘

    ○宮澤説明員 この遠別線は昭和十一年におきまして運輸系絡の立場から、また拓殖上の必要性ということを考えまして、建設線予算に計上せられまして、そのうち羽幌、築別間約七キロは昭和十六年の暮れに開通させたようなところでございます。残りの築別、北築別間の五キロは、実は設計も済んでおりますが、それから遠別までは設計も未済のまま残つておるような状況でございます。この建設線については、前にも申し上げましたような理由で、実は早急に着手することは困難な情勢にありますので、その点さようお考え願いたい、かように存ずる次第でございます。     —————————————
  96. 前田郁

    ○前田(郁)委員長代理 日程第二二及び二三は、すでに前会において説明を聴取した請願と同一趣旨でありますので、説明を聴取することは省略いたします。  次に本日審査をいたした各請願につきましては、なお慎重に本委員会におきまして検討を加えることにいたしたいと思いますので、採否の決定は後の機会に譲ることにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。なお次会は公報をもつて御通知いたします。     午後零時六分散会