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三木説明員 加賀山総裁は本日
監理委員会を開いておりまして、ただいま開会中でございますので、私かわりまして
数字の
説明を申し上げます。
ただいまお配りしました資料をごらんいただきながらお聞き願いたいと存じます。第一表に示しておりますように、
本年度の
日本国有鉄道の
予算の総額は、
運賃収入において一千三百十九億円もそれに雑
収入二十一億を加えまして、一千三百四十億の
運輸収入を
見込でおります。その
内訳は
旅客か七百五十一億でございまして、先般の
国会で御議決を得ました
補正予算の六百九十三億に比べますと、約五十億円の増に
なつておりますが、これは、二十四
年度の
収入は五月一日から
運賃値上げをいたしまして、四月一箇月が旧
運賃でございました、その差額がおもな原因でございます。
貨物收入が五百六十七億余と
なつております。
補正予算に比べますと約百七十億の増に
なつておりますが、これは言うまでもなく、先般御審議を願いました
貨物運賃の
値上げによる
増収でございます。大体
旅客収入の
輸送人員を約三十一億人、ほとんど
補正予算と同じ
数量を
見込みまして、五月の
運賃値上げが本年の前例になるというので
見込んでございます。
貨物につきましても
補正予算とやや多い
数量を
見込みまして、これだけの
値上げによる
増収額を加えてみたわけでございます。
第二、
支出に参りますと、
経営費が
補正予算では千九十九億の
収入を
見込みまして、それから約十七億の減が
償却費と、百八十二億の特別補充取替費と、
予備費の十五億、利子の三十三億というようなものを差引きました千九十三億を
経営費に充てて、
減価償却費の十七億と特別補充取替費の百八十二億、
合計二百億弱の金を
工事勘定に持
つて参りまして、
工事勘定の
財源とし、さらに
米国対日援助見返
資金特別会計から受入れます四十億を加えまして、二百三十九億九千六百四十万円、約二百四十億という金を
工事勘定の
財源として、同額の
支出を
見込んでおるというのが、来
年度の
日本国有鉄道の
予算の全貌でございます。そのうち
経営費は、ただいま申しました
通り千九十三億五千四百万円でございまして、先般の
補正予算に比べまして約六億の
減少を見ているわけでございます。その
中身は次の紙に書いてあります
通りでございまして、
人件費におきまして、
基本給が二十四
年度査定は三百二十三億でございましたものが三百四十五億に
なつております。この
中身は現在の
給與ベースをすえ置きにいたしまして、それに対して今
年度の
予算定員より一万三百人余りの
減少を
見込み、それに対して一人
当り一箇月間約百六十二円の
昇給を
見込んだ
数字があげてあるのでございます。御
承知の
通り昨年の九月末
定員法の実施によりまして、
国有鉄道の
予算定員というものが五十万三千二十七人と定められたのでございますが、その後自然に減員して参りますものを、
新規採用によ
つて補充しない。
欠員不補充という原則を堅持して進みますために、九月以降来
年度一ぱいかかりまして、月々の減員がございますが、その
予算定員として年額に直した数を一万三百二十二人減ずる。こういうふうに
予定したわけでございます。そのかわりそれによ
つて生ずる
経費の
節約を
昇給にまわすという
考えで、両者とも約十億の金でございますが、一箇月一人
当り百六十二円の
昇給資金というものを
見込でおるわけでございます。その他各種の手当その他につきましては、大体二十四
年度と同様の
支給率に従いまして幾分
基本給の百六十二円の増額による増、
人員の減による減というようなものを差引きまして、計上してあるわけでございます。さらに十番の
動力費という欄がございますが、
動力費の中には
石炭費と
流動燃料費と
薪炭燃料費、
電力費というようなものがございますが、
物件費全体のうちでも非常に大きな
割合を占め、さらに
動力費においてはほとんど非常に大きなウエートを占めております
石炭について申しますと、二十四
年度の
年度当初の
予算は二百六十九億でございましたが、二十五
年度は二百三十五億という金に
なつておりまして、この
金額は六千カロリーの石灰を
塊炭、粉炭の
割合が五〇%で六百十五万トン使う。そうしてその炭価は
取引高税の
廃止であるとか、あるいは公団の
廃止による諸掛の減であるとか、最近の
購入値段というものを考慮しまして、
購入單価を二千八百十九円とし、さらに山元で買います
値段でございますが、それを
需要地に送ります
運賃諸掛というようなものを加算いたしまして、
消費地における
価格が
トン当り三千八百三十円ということで計算しておるのでございます。最近における
鉄道の
石炭購入の
單価というようなものを
考えてみますと、それではやや低過ぎるうらみもあるのでございますが、来
年度夏場に向いまして、どういう形に
なつて行くかということは、非常にわれわれとして、大量の
石炭を使う
鉄道といたしましては、非常な関心と利害とを
考えているのでございますが、この
査定は一応そういうふうに
なつておるわけでございます。
もう
一つ、
人件費、
石炭費と並んで
鉄道の大きな企業の
一つをなします
修繕費は、二十四
年度の当初
予算が三百八十二億でありましたのに対しまして、二十五
年度は三百五億六千万という
金額が計上してございます。御
承知の
通り鉄道は、戰争中並びに戰後、資材の
入手不足あるいは
経費の切詰められた点というようなことのために、非常に
施設、
車両が荒廃いたしておりますので、これだけでは昔の
状態に取返すのには、もちろん十分な金ではございませんが、五年あるいは十年という
計画を立てまして、それぞれの種目につきまして、
年度制に
従つて、昔の形に建て直すべき
修繕の
計画を立てておるわけでございます。一年に要する
修繕費のほかに、そういう長い間怠
つてお
つた修繕の取返しというものも含んでいる金でございますが、十分ではございませんけれども、これを非常に有効に
使つて、少しでもいい汽車にしたいと
考えておる次第でございます。
それから二十二番目の
減価償却費は、昨年は十三億一千八百万円、今年は十七億六千七百万円でございますが、これは
帳簿価格によりまして、
国有財産法に定めてございます
耐用年限に
従つて、
等価償却をいたす必要な
経費でございます。しかしながら御
承知の
通り帳簿価格と申しますのは、非常に
貨幣価値の変動によりまして、それだけの
償却をいたしておりますのでは、
財産の
実体保持に非常に不十分でございますので、さらに特別補充取替費として、百八十二億円を計上してございまして、これによ
つて非常に老朽した
車両の
新造であるとか、あるいは
施設の
新造、橋梁、隧道等の改築というようなものを、や
つて行くために、
工事勘定の
財源に振り当てた次第であります。
三枚目の表は、
工事経費の
内訳でございますが、実はこれにつきましては関係方勢いろいろな指示、サゼスチョン、勧告というようなものがございまして、なお十分検討しなければならぬと思
つておりますが、あいかわらず今年も
主力を
老朽施設のとりかえ、安全な運転をするために必要な
改良ということに
主力を注いで、
新規の
工事といたしましては、釜石線の
建設に四億五千万円と、それから信濃川の山辺の
発電所の
発電を遂行して行くというようなものが、目ぼしいものでございまして、その他につきましては、ほとんど全部が
老朽施設のとりかえ、更新というようなことを主にいたしております。そういう方針に
従つて危険なもの、あるいは非常に
修繕費を食うような
施設を新しくいたしまして
経費の
節約と同時に安全正確な
輸送ができるように、この
予算を使わしていただく。こういうような
考え方で進みたいと
考えております。
はなはだ簡単で恐れ入りましたが、以上大略御
説明申し上げました。