○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。正確なる数を掴むことは非常に困難なんでありますが、これは
司令部の
趣旨に基きまして、統計局というものを昨年まで持
つてお
つたのでありますが、行政整理の結果農地改革部に併合いたしたのであります。併し事務はこれは世界的な統計調査と繋りを持
つておりまして、一定の方式によ
つてすべての調査をや
つております。これは土地なり
生産額なり或いは人口なり経済調査等も
一つの或る
科学的なやり方によ
つてや
つておるのであります。で現在までや
つておりましたのは、郡單位までに調査をいたして、それから町村というものを推定いたしてお
つたのでございます。今回人員を少し増加いたしまして町村まで、これを及ぼそうという組織に変えたのであります。反別につきましては、これは御
承知下さるかと存じますが、土地台帳というものが殆んど成
つておらないと言うてもいい程に混乱いたしておるのであります。殊に戰災等によりまして町荷役場が燒けたりなんかしますと、裁判所も燒けている。登記所も燒けているというような場合に税務所も燒けて分らなくな
つているというようなものもありますので、このまま土地台帳だけでもいけませんし、これは確か明治二十二年かの地券改めの時できたのが、漸次改正してや
つて来たのが田舎の土地台帳であります。でその台帳面積で行きますと、又いろいろの不毛地を開墾いたしました土地の増加等もありますので、この土地の面積すらはつきり掴み得ないのであります。併し作報事務所といたしましては、できるだけ
科学調査と一筆調査によ
つて、この土地台帳の一筆がどうな
つておるかということを、できるだけ少い手間で調査をいたしておるのであります。それでもこの反別には非常な狂いがありまして、殊に供出制度ができるようになりまして以来、この反別と収獲量というものは、非常まちまちにな
つて来るのであります。私共は昔畑三百万町歩、水田三百万町歩というものを
考えて、六百万町歩というものを大体ずつと
考えておりましたので、この三百万町歩の水田が供出制度をやりまして、二百九十万なり、二百八十万なり、二百八十五万というふうに、だんだん年々減
つて来るのであります。勿論土地の潰れるのと或いは土地の開墾或いは干拓等によりまして殖えるのもありますが、これはプラス・マイナス僅かなものとしても、如何にも減りようが多いのです。併し又肥料を一反歩当り七貫目ずつ配給するというと、反別は殖えて来る。こういう珍現象が各府県から出て来る統計にあるのであります。それでありますから、こういう條件の下に、例えば米の収量を予想することは困難であります。併しあらゆる難関を凌ぎまして作報はよく戦
つております。供出をや
つておりますから、或る地方に、おきまして、これは全部とは申しません、或る地方によりましては、作報事務所から本当の反別を言
つては困る、本当の収量を言
つては困るという圧力が加わ
つておる所もあります。併し作報事務所の末端の者は、勇敢に自分の職責を完うしております。この成績によりまして、九月二十五日の現在が六千五百余万石という
数字が出て、これは発表いたしました。これは固より粒数計算であります。一株を平均して幾粒ある。そうすると一升の米が何粒であるから、この田は凡そ何石取れるという粒数計算に基いたのが六千五百万石であ
つたのであります。ところがその当時
司令部の天然資源局で調査したのは、六千九百二十万石というものがはつきり示されておるのです。これは天然資源局として各府県に民政部を持
つておりますが、民政部はどういう手足を持
つているか知れませんが、天然資源局として責任ある
数字は六千九百二十万石、
日本では六千五百余万石と言
つたのでありますが、これには政治的圧力が加わ
つているのじやないかということまで、想像を逞しうしたお叱りを受けたのであります。それがその後稻熱が発生して、これでは、いけないというので各府県に調査させると、驚くなかれ府県知事の報告を見ると、減収一千二百万石という大きな
数字が出て来たのであります。更に地方事務所、作報事務所で坪刈検査をやりましたところ、約六千二百万石ぐらいの
数字が現れて来るのであります。併しまだまだこれは中間の統計でありますので、十二月の末に実収穫を調査することにな
つておりますから、その実収穫によ
つてほぼ収量の見当はつくと思います。併し補正割当が早く決めませんと、供出の
関係があるので、取敢えず二十八日に知事
会議を開きまして、そうして
司令部の指令いたしました三千二百余万石の事前割当から二百四十五万石を補正しまして、それを知事諸君にお願いして、末端までの割当をお願いしたわけでありますが、統計がどれが正しいかということをお尋ね下さると、これもこれも正確である。併しその中でまだ農林省の責任のある作報事務所の統計が、先ず農林省としては自分の責任である役所で作
つたのですから、これを信用せざるを得ない。併しこれも完全なものとは
考えておりません。いろいろ四囲の
状況によ
つてこれは修正するものもありますが、大体作報事務所のまとま
つたものが正鵠に近き
数字として、基礎といたしておるようなわけであります。