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1949-11-30 第6回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)    午前十一時十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十一号   昭和二十四年十一月三十日    午前十時開議  第一 在外胞引揚促進に関する決議案千田正君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 外国為替特別会計法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 日本通運株式会社法を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 通運事業法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 図書館運営委員長報告  第八 失業対策確立に関する請願委員長報告)  第九 土建労働に関し労働基準法特例設置等請願委員長報告)  第一〇 賃金遅拂および分割拂解消対策に関する請願委員長報告)  第一一 建設省職員特殊作業従事職員特殊勤務手当支給請願委員長報告)  第一二 国際無線通信士待遇是正に関する請願委員長報告)  第一三 佐賀県有田東有田両町官公吏地域給引上げに関する請願委員長報告)  第一四 鹿兒島市営電車軌道敷設費起債許可に関する請願委員長報告)  第一五 警察法改正等に関する請願委員長報告)  第一六 警察制度改革強化に関する請願委員長報告)  第一七 国会議員選挙報行費全額国庫負担に関する請願委員長報告)  第十八 起債大幅許可償還期限延長等に関する請願委員長報告)  第一九 住民税賦課期日変更および賦課方法簡素化に関する請願委員長報告)  第二〇 法定外独立税行為税としての養ほう税廃止に関する請願委員長報告)  第二一 需給調整規則により交付する登録票交付手数料免除等請願委員長報告)  第二二 府県に対する国庫支出金の算定基準適正の請願委員長報告)  第二三 接收土地家屋の地租、家屋税減免に関する請願委員長報告)  第二四 原始産業事業税撤廃に関する請願委員長報告)  第二五 福井県三国町に簡易裁判所および区検察庁設置請願委員長報告)  第二六 広島県吉田町に簡易裁判所設置請願委員長報告)  第二七 岐阜中津簡易裁判所岐阜地方裁判所家庭裁判所支部併置請願委員長報告)  第二八 岐阜地方裁判所大垣支部甲号支部昇格等請願委員長報告)  第二九 静岡市に東京高等裁判所支部設置請願委員長報告)  第三〇 戸籍法中一部改正に関する請願委員長報告)  第三一 金十丸返還に関する請願委員長報告)  第三二 在外公館等借入金支拂促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第三三 機帆船積貨物海上保險料率引下げに関する請願委員長報告)  第三四 超過供出に対する課税および桑園の二重課税撤廃請願委員長報告)  第三五 所得税調査委員制度設定に関する請願委員長報告)  第三六 豪風雨被害者に対する税全減免請願委員長報告)  第三七 国民金融公庫拡充に関する請願(二件)(委員長報告)  第三八 所得税同居家族合算申告制廃止に関する請願委員長報告)  第三九 大阪高速鉄道工事促進に関する請願委員長報告)  第四〇 国民金融公庫宮崎支所設置に関する請願委員長報告)  第四一 福岡県添田町二又トンネル爆発り災者救済更生に関する請願委員長報告)  第四二 織物消費税引下げによる交付金算定請願委員長報告)  第四三 自動車産業に対する月賦販売資金融資請願委員長報告)  第四四 六・三制整備予算復活に関する請願委員長報告)  第四五 暦法審議会設置に関する請願委員長報告)  第四六 六・三制建築予算増額および定員定額制廃止に関する請願(四十件)(委員長報告)  第四七 六・三制建築費国庫補助に関する請願(二件)(委員長報告)  第四八 義務教育費国庫負担法に伴う定員定額制廃止請願(五件)(委員長報告)  第四九 科学研究等に必要な経費増額に関する請願委員長報告)  第五〇 旧大村海軍航空隊跡国立学校設置請願(二件)(委員長報告)  第五一 六・三制建築予算増額に関する請願(三件)(委員長報告)  第五二 山口県下積雪地方の学生および教職員にゴム長靴を配給する請願委員長報告)  第五三 福島営競輪場建設に伴う史せき一部現状変更請願委員長報告)  第五四 六・三制教育予算増額に関する請願(八件)(委員長報告)  第五五 教員定額引上げに関する請願委員長報告)  第五六 義務教育費国庫負担金の配分に関する請願委員長報告)  第五七 六・三制建築費国庫補助復活に関する請願(二件)(委員長報告)  第五八 私学戰災復興国庫貸付金復活に関する請願委員長報告)  第五九 六・三制教育費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第六〇 新制中学校建築費国庫補助および起債継続助成に関する請願委員長報告)  第六一 六・三制教育予算復活に関する請願(二件)(委員長報告)  第六二 不良出版物紙芝居等取締励行に関する請願委員長報告)  第六三 鹿兒島県下豪風雨による被害学校等復旧工事費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第六四 六・三制教育整備予算復活および増額に関する請願委員長報告)  第六五 国宝嚴島神社大鳥居修理費国庫補助に関する請願委員長報告)  第六六 奈良市に国立美術研究所設置請願委員長報告)  第六七 姫路城の補修、保護施設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第六八 大日本育英会奬学金に関する請願委員長報告)  第六九 六・三制教育予算増額等に関する請願委員長報告)  第七〇 国民健康保險に対する国庫補助増額等請願委員長報告)  第七一 国民健康保險法中一部改正に関する請願(三件)(委員長報告)  第七二 国民健康保險事業費全額国庫補助に関する請願(三件)(委員長報告)  第七三 国民健康保險事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第七四 国民健康保險直営診療所施設費特別国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第七五 国民健康保險等政府支拂促進に関する請願委員長報告)  第七六 国民健康保險事業費および保健婦施設費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第七七 国立療養所患者賄費予算増額に関する請願委員長報告)  第七八 看護婦休養所設置に関する請願委員長報告)  第七九 国立看護教員養成所設置に関する請願委員長報告)  第八〇 助産婦等業務用必需品配給に関する請願委員長報告)  第八一 助産婦等の再教育費国庫補助に関する請願委員長報告)  第八二 国立宮崎療養所再建に関する請願委員長報告)  第八三 桜島、指宿、開聞、屋久島一帶を国立公園指定請願委員長報告)  第八四 妙高高原一帶を国立公園指定請願委員長報告)  第八五 上野公園忍池埋立反対に関する請願委員長報告)  第八六 上野公園忍池野球場建設反対請願委員長報告)  第八七 高知県須崎町の上水道増補改良工事費国庫補助等に関する請願委員長報告)  第八八 消費生活協同組合法改正に関する請願委員長報告)  第八九 未亡人母子保護に関する請願委員長報告)  第九〇 長期入院者に対する生活扶助基準引上げ請願委員長報告)  第九一 社会事業基本法制定等に関する請願委員長報告)  第九二 授産事業法制定に関する請願委員長報告)  第九三 傷い者福祉法制定および予算増額に関する請願(十一件)(委員長報告)  第九四 身体障害者福祉法制定に関する請願(四件)(委員長報告)  第九五 身体障害者福祉法制定促進に関する請願委員長報告)  第九六 製めん機械取扱法改正に関する請願委員長報告)  第九七 開拓行政充実拡大に関する請願委員長報告)  第九八 奈良十津川開発電化事業費国庫補助に関する請願委員長報告)  第九九 奈良県内稻熱病被害対策に関する請願委員長報告)  第一〇〇 奈良十津川花瀬地区開拓事業促進に関する請願委員長報告)  第一〇一 開拓者新規入植継続実施等に関する請願委員長報告)  第一〇二 千葉県東葛飾利根遊水地堤防工事等に関する請願委員長報告)  第一〇三 松炭買上げ停止反対等に関する請願委員長報告)  第一〇四 開拓地電気導入施設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一〇五 土地改良および災害耕地復旧事業費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第一〇六 兒島湾第七区干拓事業促進に関する請願委員長報告)  第一〇七 富山県下の農村経済救済に関する請願委員長報告)  第一〇八 ヘスター台風による滋賀下耕地災害復旧費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一〇九 干拓営農に対する国庫補助請願委員長報告)  第一一〇 耐雪耐寒性げんげ種子増産施設確立に関する請願委員長報告)  第一一一 北海道てんさい耕作業振興に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一二 京都府真紀槇木島巨椋池耕地整理組合排水場排水ポンプ増設請願委員長報告)  第一一三 食糧事務所出張所職員増員に関する請願委員長報告)  第一一四 福島県中野村池内のかんがい用水路工事施設に関する請願委員長報告)  第一一五 農業災害補償法改正に関する請願委員長報告)  第一一六 農業災害補償事業強化に関する請願委員長報告)  第一一七 土地改良事業費災害復旧事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第一一八 香川県の農業水利改良事業費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第一一九 土地改良事業費耕地災害復旧事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第一二〇 山梨県下の土地改良事業費災害復旧事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第一二一 山梨県下の耕地災害復旧事業費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第一二二 長崎県新御厨町営郭公尾ため池設工事促進に関する請願委員長報告)  第一二三 食糧管理費国庫補助ならびに農業調整委員会に対する補助金増額請願委員長報告)  第一二四 主食持込配給完全実施等に関する請願委員長報告)  第一二五 市営競馬存続に関する請願委員長報告)  第一二六 滋賀県下の耕地災害復旧費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一二七 食糧事務所職員整理反対に関する請願委員長報告)  第一二八 鹿兒島県昭和二十四年度農業計画変更に関する請願委員長報告)  第一二九 鹿兒島県開墾事業風水害予防に関する請願委員長報告)  第一三〇 鹿兒島県耕地整理費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一三一 鹿兒島県北薩一帶国営開拓地区指定請願委員長報告)  第一三二 出水干拓事業促進に関する請願委員長報告)  第一三三 福島県相馬郡内干拓地排水施設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一三四 災害耕地復旧事業費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第一三五 米の供出補正割当に関する請願委員長報告)  第一三六 農業共済団体事業費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第一三七 土地改良および災害耕地復旧事業費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第一三八 供出さつまいも全量政府買上げ等に関する請願委員長報告)  第一三九 主食供出に関し公約履行請願委員長報告)  第一四〇 主食作物病虫害防除薬国庫補助に関する請願委員長報告)  第一四一 農地改革による売渡登記事務費国庫補助増額請願委員長報告)  第一四二 落花生の統制解除促進に関する請願委員長報告)  第一四三 鵠戸沼干拓事業促進に関する請願委員長報告)  第一四四 土地改良事業費災害耕地復旧事業費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第一四五 災害耕地復旧事業費国庫補助復活に関する請願委員長報告)  第一四六 一ノ谷沼干拓地排水機場用水機設置費国庫補助に関する請願委員長報告)  第一四七 農地改革打切り反対に関する請願委員長報告)  第一四八 農業災害補償法改正に関する請願委員長報告)  第一四九 国営宮崎競馬再開に関する請願委員長報告)  第一五〇 山形塩ケ沢貯水池完成に関する請願委員長報告)  第一五一 樽石川防水ため池新設に関する請願委員長報告)  第一五二 丹生川防水ため池新設に関する請願委員長報告)  第一五三 東北鉱山鉱業政策確立に関する請願委員長報告)  第一五四 中小企業に対する融資促進請願委員長報告)  第一五五 天然ガス開発事業に対する融資請願委員長報告)  第一五六 上椎葉水力発電所建設工事促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第一五七 寒冷地衣料等特配請願委員長報告)  第一五八 広畑製鉄所早期再開促進に関する請願委員長報告)  第一五九 自動車輸出促進に関する請願委員長報告)  第一六〇 小名浜海上保安署保安部昇格請願委員長報告)  第一六一 郡山駅舎改築促進に関する請願委員長報告)  第一六二 吹田駅北出口地下道掘さく工事促進に関する請願委員長報告)  第一六三 網代岬観音島燈台新設に関する請願委員長報告)  第一六四 紀伊東線始発駅を松坂駅まで延長請願委員長報告)  第一六五 郡山市に測候所設置請願委員長報告)  第一六六 松阪港改修工事施行に関する請願委員長報告)  第一六七 塩釜港の第一種重要港湾認定等に関する請願委員長報告)  第一六八 様似、広尾両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第一六九 遠別、築別両駅間に鉄道敷設促進請願(二件)(委員長報告)  第一七〇 国有鉄道用品購買制度改正に関する請願(二件)(委員長報告)  第一七一 大越駅名呼称訂正に関する請願委員長報告)  第一七二 野沢、萩野両駅間に新駅設置請願委員長報告)  第一七三 草軽電気鉄道株式会社営業線路縮反対に関する請願委員長報告)  第一七四 陸中黒崎燈台設置請願委員長報告)  第一七五 湯の元駅に急行列車停車請願委員長報告)  第一七六 久之浜駅にこ線橋架設請願委員長報告)  第一七七 板橋駅旅客ホーム改造に関する請願委員長報告)  第一七八 要田駅確認に関する請願委員長報告)  第一七九 相生、西大寺両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第一八〇 中村、新地両駅間に駒ケ嶺駅設置請願委員長報告)  第一八一 大垣駅、樽見間鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一八二 福岡県脇田、中久原間に国営バス運輸開始請願委員長報告)  第一八三 朱鞠内、羽幌両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第一八四 大橋、足ケ瀬両駅間に上有住駅設置請願委員長報告)  第一八五 岐阜改築工事促進に関する請願委員長報告)  第一八六 北陸線増設工事完成に関する請願委員長報告)  第一八七 浜松、米原両駅間および米原、姫路両駅間鉄道電化促進に関する請願委員長報告)  第一八八 機帆船燃料割当増加等に関する請願委員長報告)  第一八九 堺港臨港線完成促進に関する請願委員長報告)  第一九〇 観光事業振興緊急対策に関する請願委員長報告)  第一九一 陶磁器の貨物運賃通算制実施に関する請願委員長報告)  第一九二 酒田港の国有鉄道用石炭陸上輸送切替に関する請願委員長報告)  第一九三 奈良県大淀町下渕郵便局昇格等に関する請願委員長報告)  第一九四 広島県大林村に簡易郵便局設置請願委員長報告)  第一九五 大阪市此花区に二等郵便局設置請願委員長報告)  第一九六 須賀川町有須賀川郵便局舎等敷地買上げに関する請願委員長報告)  第一九七 福島県大里村に無集配郵便局新設請願委員長報告)  第一九八 福島県滝根町菅谷に無集配特定郵便局新設請願委員長報告)  第一九九 新庄市金沢に郵便局設置請願委員長報告)  第二〇〇 南海大地震に伴う地盤沈下および隆起対策事業費国庫補助請願委員長報告)  第二〇一 亀崎、高浜町間に衣ケ浦橋架設請願委員長報告)  第二〇二 旭川改修合同用水工事費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第二〇三 接收土地家屋上料増額に関する請願委員長報告)  第二〇四 滋賀県愛知川総合開発に関する請願委員長報告)  第二〇五 女鳥羽川附近の治山治水対策に関する請願委員長報告)  第二〇六 宮崎県の治山治水事業費国庫補助に関する請願委員長報告)  第二〇七 宮崎県の災害復旧事業費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第二〇八 和歌山県の災害復旧事業費国庫補助に関する請願委員長報告)  第二〇九 潤川治水事業促進に関する請願委員長報告)  第二一〇 四国中央産業道路改修に関する請願委員長報告)  第二一一 広島県下の砂防事業促進に関する請願委員長報告)  第二一二 東京西部地区各か川改修工事施行に関する請願委員長報告)  第二一三 キテイ台風による東京都葛飾区災害復旧費国庫補助に関する請願委員長報告)  第二一四 山形最上地域総合開発促進に関する請願委員長報告)  第二一五 千曲、犀両川根本的治水工事施行に関する請願委員長報告)  第二一六 愛媛県西條、高知両市間連絡道路改修促進に関する請願委員長報告)  第二一七 失業救済事業実施に関する陳情委員長報告)  第二一八 官公吏勤務地手当支給区域より島根県除外反対陳情委員長報告)  第二一九 復興都市計画事業地元負担金起債認可に関する陳情委員長報告)  第二二〇 自治体消防機構強化および経費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第二二一 飮食営業臨時規正法中一部改正に関する陳情委員長報告)  第二二二 住民登録法制定に関する陳情委員長報告)  第二二三 戰災都市の火災保險料率変更に関する陳情委員長報告)  第二二四 六・三制建築予算増額および定員定額制廃止に関する陳情(三件)(委員長報告)  第二二五 新制中学校建築費国庫補助復活に関する陳情委員長報告)  第二二六 国民健康保險法中一部改正に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二二七 広島県の治山事業費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第二二八 農用造林費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第二二九 農地委員会経費全額国庫補助に関する陳情委員長報告)  第二三〇 福島井田川浦干拓耕地災害復旧事業費等国庫補助に関する陳情委員長報告)  第二三一 早期供出奬励金制度改正等に関する陳情委員長報告)  第二三二 甘しよ沖繩百号の二等格上げに関する陳情委員長報告)  第二三三 そば、あずき等統制撤廃に関する陳情委員長報告)  第二三四 上水道供給電力割当制度改正に関する陳情委員長報告)  第二三五 度量衡法中一部改正に関する陳情委員長報告)  第二三六 松尾鉱山鉱毒対策費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第二三七 中小企業金融難打開に関する陳情委員長報告)  第二三八 山形、北山形駅間府県道大曾根街道山形停車場踏切こ線橋架設陳情委員長報告)  第二三九 多治見、名古屋駅間鉄道電化に関する陳情委員長報告)  第二四〇 宮津港湾修築に関する陳情委員長報告)  第二四一 浜原、備後十日市両駅間鉄道敷設予定路線中一部変更等に関する陳情委員長報告)  第二四二 小野田市内道路補裝補修工事等に関する陳情委員長報告)  第二四三 府県道大田小野田線中御釈迦堂とうげ改修工事施行に関する陳情委員長報告)  第二四四 府県道小郡吉部線改修工事促進に関する陳情委員長報告)  第二四五 府県道俵山古市停車場線改修工事継続に関する陳情委員長報告)  第二四六 下関市内道路補裝補修工事等に関する陳情委員長報告)  第二四七 名古屋新潟両市間国道改修工事施行に関する陳情委員長報告)  第二四八 田手川改修工事施行に関する陳情委員長報告)  第二四九 嘉瀬川改修工事施行に関する陳情委員長報告)  第二五〇 城原川改修工事施行に関する陳情委員長報告)  第二五一 文教地区整備に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  昨日在外同胞引揚問題に関する特別委員会から、在外同胞引揚問題に関する調査報告として、中共地区在留同胞実情に関する調査報告書が提出せられました。本件に関しまして、この際、委員長報告を求めたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長千田正君。     —————————————    〔千田正君登壇、拍手〕
  5. 千田正

    千田正君 只今より、議題となりましたいわゆる中共地区在留同胞実情に関する報告を申上げます。  ここに中共地区と申しまするのは、いわゆる満洲地区及び旅大地区を指すものと御了承願います。在外同胞引揚問題に関する特別委員会は、第一回国会以来、引続き今日まで海外残留同胞引揚促進並びに引揚者の援護につきまして、委員各位の非常なる熱意の下に不断の努力を重ねて参つた次第であります。然るに、現在尚中共地区におりまするところの我が残留同胞の引揚は未だ完了を見ない実情であります。帰国の一日も速かならんことを念願しておりまするところの留守家族心情を思いをいたしますと、誠に心痛の至りでございます。本特別委員会といたしましては、留守家族心情を体しまして、これが実現化のためあらゆる方面に折衝して参つたのでありますが、今まで何らの手がかりが得られなかつたのであります。幸いにもこのたび山澄丸にて一千七百三十四名、高砂丸にて一千百二十七名、合計いたしまして二千八百六十一名の同胞が母国に帰つて参りました。本特別委員会におきましては、この帰られました中から七名の方を証人に選定いたしまして、去る十一月の十六日国会に御出頭を願いまして、委員会において中共地区在留同胞実情を聽取いたした次第であります。以上七名の証人報告によりまして明らかにされました中共地区在留同胞の最近の実情を簡明且つ率直に申上げまして、一つには留守家族の方方が抱かれております不要の不安を除去いたしますと共に、他方におきましては、特別委員会としての今後の引揚促進に関する貴重な資料ともいたしたいと存ずる次第であります。  留年家族方々はもとよりのこと、国民の知らんとしておりますることは、先ず第一にいわゆる中共地区には何人ぐらいの同胞が今尚残留しておるかということと、次にこれらの残留同胞は一体どのような生活を送つておるかということと、更に残留同胞は一体何を最も我々に希望しておるかということになろうかと思います。ここにおいて、私は証人の証言を素材といたしまして、先ず第一に残留同胞の数、第二にその生活様式について、第三にその方々の要望について、即ち以上の三つの点につきまして御報告申上げることにいたします。  先ず未帰還同胞の数の点でありますが、証人の言葉によりまして、旧買州地区においては延吉六十名、渾春六百四十名、和龍二十名、汪精三十名、圖們四十名、嫩江三十名、龍井六十名、開山屯三十名、朝陽川十名、明月溝三名、瀋陽五千九百二十三名、撫順四百三十名、本渓湖五名、鞍山七百名、遼陽十名、長春千二百七十名、吉林千二百名、蛟河百五十名、佳木斯三百名、鶴岡千名、大連千六十名、旅順一名、安東千五十名、牡丹江七百名、穆稜七十名、仙洞五十名、東安千五十名、鶏西千三十名、通化百五名、二通溝百二十五名、林口八十名、大栗溝百名、鉄廠子三十名、ハルピン三千三百七十二名、五常五十名、賓州五十名、石硯七十名、その他千八百名、以上を合計いたしますると約二万六千名でございます。この外に全く概残でありまするが、中国人の家庭に入つている婦人、中国人に養われているところの孤兒、及び農村地方に生活しておりまする方々を合せて、ほぼ約二万名程度と推定いたして、いわゆる中共地区残留同胞は凡そ四万六千名程度と想豫されるのであります。もとよりこの数字は完全なものではありませんけれども、これか何らかの目安になることは又疑う余地のないところであります。  然らばこれらの人々は現存どのような生活を過しているであろうかと申しますると、最近におけるこれらの人々の生活様式に関し明らかにされました点を申上げますと、先ずこれらの人々は第一に中共軍及び政府機関留用者、第二には自由労働者、第三には婦人及び孤兒、第四は炭鉱労働者に分けて御説明申上げます。一の中共軍及び政府機関の留用者でありますが、このうち政府機関の留用者と申しますのは主として生産部門に留用されております者であります。軍留用者は前線の戰闘員として、飛行隊、機関銃隊、自動車修理或いは運転手或いは看護婦等々でありまして、給與も必ずしも良好とは申せませんけれども、軍属として一応の身分は保障されております。生産部門に留用されておりますところの技術者、労働者も一応その身分は保障されておりまして、技術者の給與は最高で月六万六千円、最低の者で二万四千円程度であります。この金額は凡そ日本の現在の物価から申しますると約十分の一くらいに相当するものと相豫されるのであります。労働者の給與は、その五〇%の者は平均月一万一千円程度であり、本人並びに家族の生活はどうやら維持されているという程度でありまして、殊に大連地区におきましては二回に亘る平価の切下げ及び公有化された企業体の生産回復に伴いまして、物価も漸落の傾向を辿りつつありますので、食生活はどうやら安定の緒に着いたと見受けられまするが、娯楽の面はこれに比べまして概して低調であるという実情でございます。医療関係留用者は一般的に申しまして比較的厚遇を受けておりまして、生活は一応安定しておるような状態でございます。併しながらこれらの医療関係留用者、軍並びに政府機関留用者に対しましては、労働保險或いは失業保險等の職業安定方策が確立されておりませんので。食生活に関しては一応安定は得ておるとはいうものの、生活上の一抹の不安を拭い去ることはできないというのが現状でございます。二の自由労働者でありますが、東北満地区の都市には、失業群として、いわゆる難民化しておるところの同胞が多数散在しておることが証人の証言によりまして明らかとなりました。ハルピン地区の日本人移民会がこれらの人々を收容しておりますけれども、これらの同胞は複雑な生活を送つている模様であり、その救済は極めて困難の状況に置かれておるという実情でございます。第三の婦人及び孤兒についてでございまするが、敗戰の混乱から満州地区全土に亘つて至るところに日本人孤兒が散在しておりまして、彼らはすでに日本語も忘れておるという全く悲惨な状態でありますが、原住民の態度は比較的良好で、中国人でこの日本人孤兒を養つておる者もありまするが、これは必ずしも惡い意味からではなく、日本人種の優秀性を見込んで養育しておると考えられるのであります。併しながら中には、農業地区におります孤兒は概ね農業の手伝いをいたしておりまして、悲惨な生活を余儀なくされておるという状況であります。私達の若き同胞の救済には更に一段と考慮されなければならないと痛感される次第であります。地方、婦人の生活でありまするが、総じて悲惨な状態に置かれておりまして、中国人と生活をした者等の中には、四年間養つた食費を拂わなければ還してやらないと、食費を請求されておるような状態で、事実上帰還できないという人もあります。結婚している人も豊かな家庭に嫁しておるという人は殆んど稀で、その多くは普通生活以下の農民に嫁しておる状態であります。この人々の生活は極めて惡いと率直に申上げねばなりません。次に四の炭鉱労働者でありますが、炭鉱には病弱者として捕虜になつた者が殆んど大部分炭鉱に向けられまして、現在重労働に従事しておりますけれども、元来が弱兵であつた者が重労働を課せられましたために、大部分胸部疾患に罹つておりまして、非常に困難な境遇に置かれておるという現状であります。  我が同胞は現在中共地区において大略右のような生活を送つておりますが、これらの同胞のうち母国に帰還を希つておる人は一体どの位の割合でありましようか。証人の証言を総合して判断いたしますと、大連地区におきましてはみずから進んで残留を希望している人も相当ございます。又生活の安定化に伴いまして、帰国したいが、さて帰国してみても果して生活の安定が得られるかどうかという危惧に駆られまして、しばし残留を希望する人も増加して参つておるのであります。併しながらどうしても帰国したい熱望に駆られておる人々もこれ又相当の数に上つておる実情であります。大連地区以外においては概して皆一日も早く帰国を熱望している実情でございます。併しながら残留者が早く還りたいと念願する一番大きな原因は何かと申しますと、内地におりますところの親戚や故郷の人人がどういう生活を営んでおるか、又この人達が自分達の身の上をどのように案じておるか、即ちお互いの意思の疏通ができなかつたことにその原因が由来しておりますということは、多くの証人によりまして明らかになつたところでございますが、この点は極めて重要な点であるかと存じます。即ち日本との交通が解決されましたならば、或る程度この引揚の問題も解決されるのではなかろうかとも思われるのでございます。中共地区においては最近に至りまして品物を贈つたり贈られたりすることは禁止されておりまするが、葉書及び手紙等による通信は行われるようになりましたので、この点残留者の生活に何分の潤いを與えましたであろうということは疑う余地はございません。  以上が中共地区残留同胞の最近の実情でございまするが、最後に残留者の今希望しておるというものはどういうことかという点につきましては、全証人盡く通信の強化を訴えておりますことから考えましても、如何にこの通信が引揚問題に重要性を有するかを改めて認識させられるわけでございます。このことについては一証人が「牡丹江、ハルピン地区において、今年二月頃から漸くラジオが聽けるようになりまして、特に三月、四月に行われました東京引揚促進大会、並びに断食の放送、それから尋ね人によるところの放送というもので、残つております日本人はラジオに噛りついて涙を流しながら聽いたという状態です。それ以来希望を少しずつ持つて来るようになりました」という証言を思い合せまするときに、いよいよますますこの通信、なかんずくラジオの重大性及びその必要性を痛感する次第でございます。又でき得れば中国側へ促進に関する代表を派遣して頂きたいという要請もありました。  尚この度の証人喚問によりまして、山澄、高砂の両船によつて二千八百余名の方々が帰国を見ましたことは、その蔭にソ連側の厚意と努力のありましたことも明らかになりましたことも、この際御報告申上げて置きます。  特別委員会といたしましては、以上の証人喚問によりまして得られました貴重な資料を無認することなく、留守家族方々はもとより、全国民の御期待に副うべく、今後も引揚促進問題に全力を捧げますることをお誓いいたしますと共に、簡單でございますが、私の拙ない御報告を終ります。      —————・—————
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、在外胞引揚促進に関する決議案千田正君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本決議案につきましては千田正君外十八名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を託します。千田正君。     —————————————    〔千田正君登壇、拍手〕
  8. 千田正

    千田正君 只今議題となりました在外胞引揚促進に関する決議案につきまして、その趣旨を弁明いたします。先ずその案文を朗読いたします。    在外胞引揚促進に関する決議   既往四ケ年に亘つて、在外同胞の引揚実施につき、連合国の好意を衷心より感謝する。   ポツダム宣言受諾以来、われわれが誠実にその実行に努めたことは、本年五月二日、連合軍最高司令官マツカーサー元帥の声明によつて明らかなところである。   然るに、ポツダム宣言第九條に宣明された捕虜並びに一般抑留同胞の本国送還の一部が未完了であり、抑留中における死亡者の氏名並びに戰犯関係抑留者の氏名のうちに、未発表の部分があることは、誠に遺憾にたえない。このため、その家族はもとより全国民の焦慮は今や絶頂に達している。われわれはここに四度、更めて連合国にこれら未完了部分の速かなる発表と、生存者の本国送還を懇請すると共に、国内における可能且最大限の調査及び遺族留守家族に対する援護を徹底させることを期する。   政府はこれがため愼重且果断なる措置をとることを躊躇してはならない。   右決議する。  終戰時の在外同胞約六百六十万のうち、今日までに帰還いたしておりまするものは六百二十万、これは四ケ年有余に亘る連合諸国の努力の賜でありますことは、何人もこれを疑うことの出来ない事実でありまして、これにつきましては国民と共に満腔の感謝を捧げるところであります。併し今日尚、連合国軍最高司令部の発表によれば、三十八万人の同胞が未帰還となつております事実は、留守家族のみならず、私共国民を徒に不安ならしめておるのであります。ここに改めて申上げるまでもなく、ポツダム宣言第九條には、日本国軍隊は武裝解除の後、速かに故郷に帰らしめ、平和の業に就かしむべき旨が述べてあるのであります。然るにも拘わらず、帰るべき故郷に未だ帰り得ざるのみか、その消息すら家族に伝えられざる人々のかくも多数ありますることは、殊に留守家族心情を痛ましめておるのでありまして、最も遺憾に存ずるところであります。留守家族といたしましては、残留者の一日も速かなる帰還がその最大の熱意でありますることは勿論でありますけれども、せめては残留者の確実なる消息をと切実に希望いたしておるのであります。これら家族が待つ残留者の消息と申しましても、抑留国よりの通報がなければ、もとよりその完璧を期することは不可能であります。それ故に、政府としても、その関係国に誠意を披瀝して、迅速なる残留者の還送を懇請するの途を講ずると共に、引揚問題について一つの時期を画せんとしつつある今日、現在における残留者の状況を最も速やかに伝えられんことを、この上とも條理を盡して希望を開陳し、関係国の同情により、実現の一日も速かなるごとく努力する必要は誠に切なるものがあるのであります。これと同時に政府においては、国内についての各種の調査によつても或る程度までの残留者の状況把握が可能な筈であります。この面についても従来の努力を倍加し、その結果を速かに整理して、引揚問題に関する国民の関心に応ずうるところがなければなりません。これは今日の状況において政府に対して特に強く要望いたしたい点であります。  以上申述べましたるごとく、四ケ年という長い期間を暗い心情のうちに過して参つた留守家族に対し、国として行う援護といたしましては、未復員者給與法、特別未帰還者給與法の規定による扶養親族に対する扶養手当のみであります。これに該当する世帶数は、私共が提案者となつておりますところの未復員者給與法、特別未帰還者給與法の改正法律案が両院を通過成立いたしましたる曉におきましても、差当り七万乃至八万に止まるのであります。更に又特に注目すべきは死歿者の遺族でありまして、これに対しましては極めて少額の遺骨引取経費及び埋葬料が支給されるに過ぎぬ有様でありまして、この外には、何ら国としていたすところがないという実情であります。これらの点につきましては私共といたしましても更に力を盡すことを覚悟しておるのでありまするが、政府においても一段と施策の完からんことを期すべきことを要望いたす次第であります。  以上が在外胞引揚促進に関する決議の趣旨でありますが、皆さん御承知のごとく、この種の決議はすでに回を重ぬること四度、先にも申上げましたるごとく、引揚問題に関し一つの時期を画すると考えられまする今日、今回の決議は、なし得れば最後の決議とならんことを切に念願いたしまして、この決議案を提案いたしたのであります。私共といたしましても、今尚、引揚げ得ざる多数の人々を故国に迎うるため、更に覚悟を新たにいたして事に当らんことをここに誓うものであります。政府もこの際、従来とは格段の努力を私が以上申上げましたる諸点に関しまして拂われんことを特に要望いたしまして、趣旨の弁明を終る次第でございます。(拍手)
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。姫井伊介君。    〔姫井伊介君登壇、拍手〕
  10. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 社会党を代表いたしまして、只今の決議案に賛意を表するものでございます。  戰さに負けまして、私共国民は聖戰と宣伝されましたあの戰争が正しい聖なる戰争でなかつたということを知りました。戰争はもう絶対にしない、文化的な平和国家を建設するという信念と決意とは憲法によつて宣言し、天地に誓い、世界に声明をしたのでございます。敗戰後四ケ年、戰いによる苦しさとみじめさをしみじみと、深刻に我我国民は体験いたしました。まだ体験しつつあるのであります。その国民のうち、先程も御報告がありましたように、未だ帰つて来ない同胞の数が三十幾数万あると言われますが、その消息の大部分は杳として雲を掴むがごとき有様であります。敗戰の国民と申しましても、尊い人間に違いはございません。世界の哲学は、人類の安栄と幸福の探求であると申しております。人類は国を持ち、社会を持ち、家を持ち、親をもち、子を持ち、兄弟を持ち、友達を持つております。そこに人道は興り、国民感情、民族愛情、家族愛情は生れて来ます。今国内におりまする親は、妻は、子は兄弟は、友達は、国民は、未だ帰らざる外におる我が親、我が夫、我が子、我が兄弟、我が友達、我が国民が、どこにどうしておるか、明け暮れ口にその名を唱え、噂を続け、耳にそれらの声を聞かんとし、眼に姿のまぼろしを描き、心に行方を探し求めております。ただ生きていて呉れるだろうという一縷の綱に縋りまして、その帰りを日夜祈り続け、待ちこがれております。残留者の生活、中にも病弱者の問題、婦人の貞操問題、子女の教育問題、誠に重大なものがあります。捨子はないか、孤兒はないか、餓死者はないか、それを思い、これを考えますれば、内の者も外の者も、生活苦の上に精神上むごたらしい虐げの重石を背負うて、もがき悩んでおります。名のない者はございません。その名が知りたいのです。本当の数が知りたいのです。生きておる者を一日も早く帰して欲しい。死んだ者はその名と共にその魂を帰して欲しい。せめて生きていることが分りますれば希望が繋がれます。死んだことが明らかになれば弔いもできます。諦めもできます。然るにそうした望みはまだ達しられません。すべてが迷つている。余りにもみじめだ。これをいつまで続けなければならない我我国民の運命でしようか。人道の上、国際道義の上から、はた又悔い改めましたこの国民に対する同情の上から、連合軍の一層深き御好意と温かい御配慮の下に、一日も早く残留同胞の正しき発表と、通信の許可と、そうしてその送還とを、八千万の国民は魂をこめ、血涙を絞つて懇請やまないものでございます。政府はこの点にあらん限りを盡すべきことは申すまでもございません。一昨年以来、この問題につきまして幾度かこの壇上から叫ばれたる悲痛なる国民の声、この切なる心、この願い、この祈り、天かけて世界に響け、大地を搖つて人の心を打てと私は唱えまして、賛成の言葉といたします。(拍手)
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中川以良君。    〔中川以良君登壇、拍手〕
  12. 中川以良

    ○中川以良君 私は民主自由党を代表いたしまして、只今上程になりました在外胞引揚促進に関する決議案に対しまして、限りなき感激を以ちまして心からなる賛意を表する次第でございます。(拍手)  幸いに終戰以来連合国の尊き数々の好意によりまして、今日まで六百有余万に上る我が在外同胞が懐しい祖国に帰り、祖国再建のためにいそしみつつありますることは、国民と共々誠に感謝に堪えない次第であります。併しながら今や終戰後すでに満四ケ年余を経過いたしておりまするにも拘わらず、残された在外同胞の引揚げが完了を見ないのみならず、多数の人々の消息が今以て明らかにされておらないのであります。而して今日国会が未だにかかる決議案を上程をせねばならぬ程にこの引揚問題が深刻化しておりますることは、私の最も憂慮措く能わざるところでございます。只今の決議文にもございます通り、私共はポツダム宣言を受諾以来、これが履行に誠心誠意あらゆる努力を傾注して参つたことは、去る五月二日発表をせられましてところの連合軍最高司令官マツカーサー元帥の声明によりましても明らかなるところであります。  そもそもポツダム宣言の第九條には、俘虜並びに一般抑留せられておる人々は送還の上各自の家庭に帰還し、平和的且つ生産的の生活を営むの機会を得しめらるべしと明示されておるのでございます。然るに今日におきましても未だ実に三十有余万に上る多くの同胞がソ連地区に、中共地区に、又北鮮地区に、祖国の山河を瞼に画きながら五度目の冬を迎えんといたしておるのであります。あの私共の想像もいたし得ぬ酷寒の只中に苦難と忍従の茨の道を辿りつつありまするこれら不幸なる人人の身の上に思いせ寄せ、且つ又国内における数十万の留守家族方々が、頼みとする子を、最愛なる夫を、懐しの父を、今日帰るか、明日帰るかと待ちわびながらも、雄々しく耐乏忍苦の生活を敢然として踏み越えておられまするところの悲惨なる姿を眺めまするときに、真に断腸の思い切々なるものがあるのであります。(拍手)そして私共は国会議員といたしましての大きなる責務を痛感せざるを得ないのであります。現在行われておりまする引揚船は来る十二月三日舞鶴に入港を予想されておりまするところの信洋丸を以ちまして本年はこれが最終の船と思われるのでございまするが、一体残りの同胞は如何なる運命になるのでありましようか。今や私共の気持は居ても立つてもいられないのであります。私共は八千万人の国民と共々血の叫びを以て国際の信義と世界の人道に訴え、本決議案の趣旨が一刻も速かに達せられんことはひたすら念願して止まざるところであります。(拍手)  私はここに人類の福祉と世界平和の確立のために、我らの正しき主張を全世界に堂々と絶叫しつつ、本決議案に衷心より賛意を表する次第であります。(拍手)
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 鈴木順一君。    〔鈴木順一君登壇、拍手〕
  14. 鈴木順一

    ○鈴木順一君 私は民主党を代表いたしまして、本決議案に対し賛成の意を表するものであります。  終戰以来四年間、異郷の空で故郷を偲びながら未だ帰れない人々の心境は如何でございましようか。又この異郷の地にある人々を待つておりまする留守家族の心境も想像に余りあるのであります。生死の程も分らず待つておりますが、たとえ速かに帰らなくとも、消息だけなりとも知りたいと遺族家の人々は念願しておるのであります。政府は国内の状況の調査やその他の方面からの情報によつてこの情報を得つつありますけれども、審かなるところの情報は関係国の通報がなければ判明しないのであります。たとえ戰争に負けたと雖も、人道上から考えまして、我々日本国は大きく関係国に対し帰還の促進と共に情報の提供を要求することができるのであります。留守家族の人々に、国家におきまして援護の手が差延べられておりますけれども、微々たるものであまりす。又遺族の人々に対しましても同様であります。遺骨引取料であるとか埋葬料にいたしましても、ほんの葬式の費用の一部分にも足りないような微々たるものであります。自分の愛兒と夫の遺骨を抱いて呆然自失する未亡人、いとしの我が子の遺骨を抱いて将来のことを考え深く打ち沈む老父母のことを考えましたときに、ただこれらの法律によるところの瑣細なる弔慰、慰問だけでなく、大きなる愛の手が差延べられなければならないと思うのであります。終戰直後におきましては、政府も国会国民も大きなる力を持ち、期待を持ち、運動を展開しておりましたが、ともすれば忘れがちになつて来ております今日において、五月二日のマツカーサー元帥の声明にもありますように、忠実に我が国はポツダム宣言を履行しております。この際このポツダム宣言の忠実なる履行者である我が日本国並びに人道上から考えましても強く関係国に要請することの政府の大なる決心を促しまして、私はここに賛意を表するものであります(拍手)
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中野重治君。    〔中野重治君登壇、拍手〕
  16. 中野重治

    ○中野重治君 日本共産党はこの案の趣旨に賛成であります。  そこで院の諸君並びに全国民に分つて貰いたいことがあります。それは我々の目的は引揚が実地に進むということである。このことであります。それだから、留守家族の心配を餌にして外套をくすねたり、何か政治目的に利用しようとするような輩に、この問題を惡用させてはならぬということであります。そこで、ここにも書かれてありますが、「国内における可能且最大限の調査及び遺族留守家族に対する援護」ということが書いてありますが、これをやらずに人に向つてのみ求めんとすれば、それが道理に合わぬということひどなたにも分つて頂けると思う。では、どういうことをやつているかというと、引揚そのものに対しては船の船長が責任を負う。收容所では援護庁が、輸送では運輸省が、駅頭から家までは都道府県知事が責任を持つて届けるから、人民の出迎え見送りは一切禁止するというのが、これがいわゆるポ政令である。然るに十一月五日舞鶴に上陸した者のうち十人余りの人が行方不明になつているために、我々が非常に心配をして、衆議院でもこれを問題にし、参議院でも質問書を出しておる。この質問書に対する答弁はまだ来ておりませんが、こうやつて政府を糺明した結果、その行方不明者の数は十一名であつて、これは舞鶴において援護庁が外国軍に渡し、而もそのことを国民にも当事者の家族にも隠して来たということが判明した。これは昨日のことであつて、上陸以来二十五日目であります。こういうことをやつておる。援護の方はどうかと言えば、他の諸君がすでに言われた通りであつて、非常に困難な、非常にみすぼらしい有様であつて、これは現に引揚者が引揚げて来たものの、生計に困つて親子心中をしておるという事実からも分る。こういう状態をそのままにしながら、「ポツダム宣言受諾以来、われわれが誠実にその実行に努めたことは、本年五月二日、連合軍最高司令官マツカーサー元帥の声明によつて明らかなところである。」というようなことをどうして言うことができるか。仮にもマツカーサー司令官の言葉をかくのごとく惡用するような邪しまの心を捨てなければならぬ。そうして本当に調査に努め、援護に努める。このことを実行してこそ初めて本当の滑らかなる進行を我々は望むことができる。日本共産党は、そのことをよく諸君と共に理解して、これを具体的に運ぶ用意のあることをここで声明して、この案の趣旨に賛成するものである。(拍手)
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 奥むめお君。    〔奥むめお君登壇、拍手〕
  18. 奥むめお

    ○奥むめお君 緑風会を代表いたしまして、只今の海外同胞引揚促進に関する決議に賛成を表明したいと思いますのでございます。  幾遍も幾遍もこの問題に関しましてはこの議場におきましても決議が繰返されておりますし、国民の血を吐くような世論はもう全く天までも届き、海外の隅々までも響いておる筈と私共は信じて止まないのでございますけれども、今講和会議近しと伝えられております今日、尚、帰ることを許されない、待つ人々の家庭にどんなに暗い、どんなに悲しい気持を與えておるか分らない、三十八万以上の同胞が故国を思うて、そうして帰る日の一日も早いことを願い求めておるということを考えるにつけましても、もう一度私共はこの決議案を上程することによりまして世論を高め、又政府のもう一段の熱心を骨折りを期待して止まないのでございます。(拍手)  街には、「愛の手を帰つた人に待つ家に」というポスターが貼られておりまして、この頃は特に身にしみるような気持で眺められるのでございます。これは今年こそ最後の一人まで引揚げて帰つて来るのだと言われたその気持が強かつただけに、その喜びが厚かつただけに、待つていた家族にとりまして到頭今年ももう帰らないのか、帰されないのかというこの落胆失望というものは、実に涙にもたとえようのない悲しい苦しいものがあるのでございます。又帰つた人々、許されて家族の者と一緒に働いて暮しております人々の姿が隣にある、向いにある、道で出会う、そうして自分の待つている人はまだ帰らないという、この人々にとりましては、もつと切実な悲しみと、もつと胸を裂くような、訴えるような気持が湧かざるを得ない今日なのでございます。この意味におきまして、私共は終戰以来四年幾ケ月の間、本当にポツダム宣言の忠実な履行を心を盡してやつて来ましたこの日本人といたしましては、たとえ侵略戰争を巻き起した国だといたしましても、戰製に敗れた国だといたしましても、占領下にある日本人だといたしましても、私共は何故未だに帰らない、残留されていつ帰るか分らないような我々の同胞を持たねばならないのかということを、世界の正義に向つて声を大きくして題い質さなければ止まない気持があるのでございます。(拍手)この意味におきまして、私共は力を盡して、国の力を盡して‥‥又世界は今本当に第三次戰製の暗い影に慄えております。今日、人々は心の底から平和を求めておりまして、平和を願う声、平和国家、平和世界の建設ということは、勝つた国も負けた国も一つの気持になつて求めております。この際に、尚、捕虜同様の立場で沢山の日本人が海外に引止められておりますということは、これは世界の人々が平和を口にする資格があると言えるのかどうかということについて、反問せずにいられないのでございます。(拍手)私共はこの意味におきまして、海外に残されております同胞が一日も早く帰られますように、もつと世論を高めなければならないと思う。政府は更に更に力を盡さなければならないと思う。ときによりますと、政府は占領下にあるということを口実にして、なすべき責任をなさないことがあると、私共は非常に不満を持つものでございます。(拍手)これを私共は世論の力で、又日本のこの占領下に置かれます特殊の事情を考えまして、政府と共に一日も早く最後の一人まで引揚げて来ますことを努力しなければならないと思うのでございます。尚、残留者の家庭の、待つ人々の今日の苦しい状態というものは、幾たびも未帰還者の保護の法律を作りまして、又予算を計上いたしまして、いろいろに手を盡しましたとは申しますものの、まだまだ不十分で、まだまだ保護の手は至らないのでございます。この意味におきまして、私共の最も悲しみといたしますところは、非常に窮乏を極めております国家財政の中におきましても、戰争犠牲者として第一に指を折らなければならないこの留守家族の援護、又帰つた人々の苦しい生活を明るく導くというための予算と施策というものは、第一にこれに力を盡さなければならないのでございますから、この意味におきまして、又私共の国会において最善の努力をいたしますことを誓わなければなりません。政府におきましても、格段の力をここに割いて頂くように特にお願いいたしますものでございます。  以上を以ちまして、緑風会を代表いたします私の賛成演説といたします。(拍手)
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。(拍手)よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し内閣総理大臣より発言を求められました。吉田内閣総理大臣。    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
  21. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 在外胞引揚促進に関する決議の御趣意は、政府においても十分に了承いたします。この問題はお話の通りに既往四ケ年に亘る問題であり、又政府としても、又一外務大臣としても、私は終戰以来常に脳裡に往来しておつた問題でありまして、その成り行きについては誠に懸念憂慮に堪えないのであります。又総司令部においても非常な同情を以て日本政府の係官と始終密接な関係連絡を保つて、そうして在留同胞の情報消息等については、努めてその消息を蒐集するに努め、又政府の係官の方にも連絡をとつておりますが、尚、相当多数の同胞が残留いたしていることは、諸君と共に誠に遺憾に堪えないところであります。政府はこれまでもでき得るだけのことをいたしておつたのでありまするが、更に今後においても十分善後措置について手を盡し、又在留同胞の家族その他の救護についても十分努力をいたしたいと考えております。一応政府の所見を申述べます。(拍手)      —————・—————
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、議事の都合により日程第二を後に廻し、日程第三、日本通運株式会社法を廃止する法律案、日程第四、通運事業法案、及び日程第五、日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。尚、通運事業法案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長板谷順助君。    〔板谷順助君登壇、拍手〕
  24. 板谷順助

    ○板谷順助君 只今上程となりましたる通運事業法案日本通運株式会社法を廃止する法律案日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。  先ず通運事業法案日本通運株式会社法を廃止する法律案とを便宜一括して申上げる。  通運事業法案において規律せんとする通運事業については、先に昭和十二年小運送業法を制定して免許事業とし、通運事業の秩序の確立を図ると共に、同年日本通運株式会社法を制定し、日本通運株式会社を設立し、通運事業の統合強化を策して現在に及んでいるのであるが、今回日本通運株式会社法を廃止し、日通の特殊会社としての性格を拂拭し、これを商法の規定による一般の株式会社にすると共に、通運事業法を制定して小運送業法の全面的改正を行い、何人と雖も免許基準に適合する以上、免許を受け、通運事業を営み得ることとし、公正なる競争により、通運事業の健全なる発達と鉄道による物品運送の効率の向上を図ろうとするものである。通運事業法案が現行の小運送業に比し異なる主なる点は次の諸点であります。  第一は、この法案において、免許、許可、認可をする場合には、基準を設け、この基準に適合する場合には何人と雖も免許、許可、認可をしなくてはならないということである。第二は、通運の公益性に鑑み、通運約款を認可事項とする外、通運の引受、通運の順序、運賃、料金、引渡し不能の物品の措置等、利用関係を法律で明確したことである。次に、貨物自動車の使用について、その法律関係を明らかにし、道路運送法との、調整を図つた点であります。次は通運計算事業を新たにこの法案中に規定し、これを認可事業としたことであります。  又日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案とは、日本国有鉄道の構内にある通運事業者の荷役機械等の施設、これを日本国有鉄道に讓り受けさせる等の措置を講じて、これらの施設を一般通運事業の公正な利用に供せしめようとするのを主眼とする。この場合、日本国有鉄道は、日本通運に対しては、対等額の範囲内においてその持株を交換することになつておるのであります。  かようにこの三つの法律案は、日本通運の独占的性質を取り去り、他方、新たに免許される通運事業者と同等の地位に立つて、公正な競争により、公共の福祉を増進せんとするもので、通運事業界における民主化とも称すべきものであります。  運輸委員会におきましては、予備審査に付託されてより数回に亘り熱心に審査を続けたが、その詳細は速記録に讓りまして、主なる質疑応答について申上げますれば、  先ず通運事業法案について、小泉委員より、港湾における海陸一貫作業は必要と思うが、海上は自由営業であるので、この調整は如何にするか、港湾における荷役作業も免許事業とするかにつき、政府委員に質し、又板谷委員よりも、日通の海上進出の傾向につき政府の所見を質したに対し、政府委員より、港湾荷役作業の免許制については目下研究中であるが、少くとも海陸接触点においてその調整を図る用意のある旨の答弁がありました。又、小泉委員、早川委員より、農業協同組合が通運事業の免許申請をなした場合の行政方針について政府に質しましたところ、政府委員の答弁としては、免許基準に適合していると認めるときは免許しなくてはならぬが、農業協同組合の性質上、限定免許の申請が多いと思われるという答弁であつた。又、板谷委員より、通運計算事業を事業者団体法より除外する要なきやとの質疑に対しては、政府委員は、事業者団体法改正の際考慮する旨の答弁があつた。その他、村上委員より、貨物引換証の整理保証につき、早川委員より、貨物自動車運送事業者に対する附随運送免許の基準等につき、又内村委員より、通運事業の免許方針及び認可許可等について、逐條に亘つて質疑応答がありました。  次に日本通運株式会社法を廃止する法律案及び日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案については、各委員より質疑が重ねられましたが、主として條文の解釈に亘るものであつて、その詳細は速記録に讓ることといたします。又国有鉄道が讓受くべき日通の施設の範囲、その価格決定の方法、予算との関係等につきまして質問があつたのであります。  以上を以て質疑は終了したのでありまするが、討論に入るに先立ち内村委員より、この法案の審査に当り公聽会を開くべしとの意見の開陳があつたが、採決の結果、少数で否決をされました。次いで内村委員より、この法案に対する修正案の提議がありましたが、修正個所の主なる点は次の通りであります。  第一は、免許及び事業計画変更認可の基準は輸送の混乱を防止する効果に乏しいので改正すること。  第二は、自動車運送事業に関する道路運送法との調整の規定は不当な競争を惹起する虞れがあるから削るべきであること。  第三は、通運計算事業の濫立を阻止すべき方途を講ずること。  第四は、改善命令や事業の検査等数項目につき手続改正の要ありとの点でありました。  討論においては、鈴木委員より、この三つの法案は現在我が国の経済事情の下において急速施行の効果薄きものであるからという反対意見の開陳があり、又小泉委員よりも、この法案の施行は日通を現状のまま保護する以上のことを期待ができないという反対意見があつたのであります。  これにて討論は終局したので、先ず内村委員の修正案について採決いたしましたところ、少数にて否決となりました。よつて各法律案一件ごとに原案について採決をいたしましたところ、いずれも多数を以て可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 少数意見者から報告することを求められております。報告所間は十分間に制限いたします。内村清次君。    〔内村清次君登壇、拍手〕
  26. 内村清次

    ○内村清次君 私は日本社会党を、代表いたしまして、只今議題となつておりまする通運事業法案に対しまして反対の意見を申述べたいのであります。  日本社会党は、本来日本通運株式会社といたしましての独占企業体を解体して民主化することには賛成するものでありまするが、併しそれには三つの條件を基礎とするものでなければなりません。即ち第一には、通運事業の社会化を強化することであります。  第二には、日通の運営に全国的な計画性を持たせることであります。第三には、航去の運送事業にありましたごとき濫立や、混乱や、又腐敗不正を今後絶対に起すようなことのないような組織に編成することであります。  以上の三点を必要條件といたしまして、この度の通運事業法名の内容をよく検討いたして見ますると、幾多の不備な点があることを認められまするのでありまするが、  即ちその第一は免許基準についてでありますが、第六條の第一項におきまして、「運輸大臣は、前條に規定する申請書を受理したときは、左の基準によつて、これを審査しなければならない。」一といたしまして、当該事業の開始が一般の需要に適合するものであること、二といたしましては、公衆の利便を増進するものであること、三といたしまして、事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること、四といたしまして、鉄道による物品運送の効率の向上に資するものであること、この免許基準が而も運輸大臣の権限におきまして、通運事業の免許をこういう基準に合した者は免許をしなければならない。而もこれの適格制限事項といたしましては、免許を受けようとする者は、一年以上の懲役の刑に処せられた者や又は執行を受けた者が、二年以上を経過しておらなくてはならない。こういうような制限を附してありまするが、こういうような即ち免許基準の状態におきましては、これは曾ての輸送混乱時代を再現することは必然に状態であります。  第二といたしまして、事業計画の変更についてでありますが、運輸大臣のすべて絶対的な権限の下に置かれております関係で、どうしてもこれは官僚独善的に流れ易いような規定があるのでありまして、これは広く利用者及び関係者の意見を取入れて民主的に行なつて行かなければならない点が、すべての條項において運輸大臣だけの強い権限でこれを規定してあるということが、この点の第二点で反対の理由であります。  第三には、以上のみならずに、この讓渡、相続、名義、貸借、管理、休廃止、自動車の新規使用、事業の亭止及び免許の取消、料金、約款、計算等あらゆる点におきまして、一方的に運輸大臣の権限に任せてありまして、少しも民主化されておらない点であります。  第四には、全体といたしまして運輸審議会の権限を停止しておるものでありまして、特に第三十三條の免許、許可、認可、その他の処分につきまして運輸審議会が軽微な事項と認めたものは、運輸大臣の独断的処置に認せておりまして、運輸大臣の免許、許可、認可については軽微な事項というものはあるのではないのでありまするが、これを認めて運輸大臣がこれを処理するというような條項がありまするからして、こういうような点は、やはりこの本文から削除すべきが当然であると思つているのであります。  第五点は、第三十七條の報告、検査の中に、即ち第二項以降の検査に関する規定は、これは「運輸大臣は、第一條の目的を達成するため必要があると認めるときは、通運事業者又は通運計算事業者の事務所その他の事業場にその職員を派遣して、帳簿書類その他の物件を検査させることができる」。こう規定してありまして、こういうような規定はやはり民主的であるべきところの即ち業者の企業に対しまして官僚支配がますます濃厚となる虞れのあるものでありまして、これはその間におきまして鉄道公務員に対するところの贈賄事件などを再び誘発せしめはしないかというような即ち虞れもあるのでありまして、この点につきましては削除しなければならないと思うのであります。  かような今回の法案によりましては通運事業の社会化や又は民主化が到底望まれない、又今後におきましての濫立を防止することはできないと、かような点を考えまして我が党は修正案を提出したのでありまするが、この修正案を検討する余裕も與えて貰われずに直ちに採決になりましたことは、誠に遺憾とするところであります。  尚、本法案が昭和十二年に小運送業法制定以来、独占的な営業形態を持続しておりました日本通運株式会社法をも廃止しまして、更に日本国有鉄道所有地内にあるところの巨額なる日本通運会社の施設の処理、この処理がいわゆる第二條にありまする荷役機械、貨車の入換に使用する動力車、倉庫、上屋、労務員詰所、荷役所その他作業用の建物、貨物の積卸及び保管に使用する構築物、こういうような厖大なこの施設が、これは第三條におきまして日本国有鉄道と日本通運会社及びこれらの者が協議して定めたところの第三者、この三者関係で処理されて行くというところに、この点におきまして本案の非常なる不備な点がありまするからして、こういうような点につきましては運輸審議会が或いは民主的な構成をしたところの即ち一つの機関を設けて、この讓渡関係を決裁して行くという方法をも主張したのでありますが、いわゆるこういうような昭和十二年以来からの大きなこの小運送法の改正でありまする点からしまして、これは公衆に対するところの関係も非常に大きいと存じまして、公聽会の要求もいたしたのでありまするが、この要求も否決されまして認められなかつたのでありまするが、要するにこの法案が、この画期的な法案が短時日の間に一気に押し切られようとするところの政府、與党の態度に対しまして、極めて遺憾の意を表明いたしまして、我が党は反対を表明するものであります。(拍手)
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 三案に対し討論の通告がございます。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇、拍手〕
  28. 板野勝次

    ○板野勝次君 三法案に対して反対いたします。この三つの法案は互いに絡み合つて、三つの独占体をますます強化させようという狙いで、巧みにこの三つを絡み合せておりまするが故に反対いたすのであります。最近の諸立法の計画は、いずれも民主的なように見えながら、大資本の利益を守るように非常に利巧に作られておりますので、我々はこの性格をここで明らかにしたいと思うのであります。通運事業法の内容にいたしましても、日通の独占性を排除して通運事業の民主化を期するんだというふうに謳われておりますけれども、問題は逆なのであります。  それは、理由の第一点は、日通の資本力と組織力というものをそのま温存して置いて、そうして出荷は減退しておる現在の情勢下におきまして、経営規模の弱小なトラックの業界ではすでに首切りや賃下げや倒産が各地において起つておるのであります。こういう情勢の中に日通が進出いたしますことは、小運送業者の倒賃の上に日通の制覇を強化して行く、確固たらしめる、こういうことになるのであります。  理由の第二は通運計算事業の免許制でありますが、これは通運事業における交互計算業務が業者の死命を制するものであり、これの掌握によつて通運事業の統制権が事実上獲得されるので、現在日通のみが計算事務を経営しており、全国にその組織を持つ巨大独占体に対抗し得るところの業者はないのであります。従つて事実上日通の独占性が強化されることになるのであります。  理由の第三点は、免許権について運輸大臣が免許権を持つということは、これは極めて非民主的なやり方であります。現に昨年十一月閣議におきまして独断的に決定した小運送複数制をめぐつて、運輸大臣の諮問機関である運輸審議会委員の中にボスや利権屋や保守的な議員が策動しておるということは、公然の秘密であると言われておるのであります。即ち九月一日函館、仙台、新潟三地区に新規免許者を決定いたしましたが、新潟地区においては一店主義をみずから破りまして二店を新規に免許して、すでにこういうところから破綻を示しておるので、運輸審議会に諮問し運輸大臣が免許する制度が如何に民主的に僞装されておるかということは明らかでありまして、これはどうしても労働組合や小運送業者、一般荷主から、民主的に選ばれた組織に免許権が與えられて行く、こういうことでなければならないと思うのであります。こういう点から見まして、通運事業法自体が通運の力を弱める、尚、却つて逆に通運会社を強化して行く、そうして中小の運輸業者というものを圧迫する内容を持つておるのでありまして、尚この通運会社の施設の処理につきましても、一億円に及びます資産処理につきましてこの間に不正を助長し得るがごとき機構によつてやろうとしておるのでありまして、我が党は断じてかかる不正腐敗を温存しながら処理しようとする疑いを持たれるような処理方法に対しましては、断じて賛成することができないのであります。このような画期的な法律を制定いたしますためには、どうしても現下の情勢からいたしまして、この重大なる運輸事業を国営に移して、国民全体のまめに運営し得る機構を作り、且つ中小の小運送業者を保護し得る体制を作ることなくしては、何らの改革にはならず、徒らに日通の独占を強化させるということに終るのでありまするから、我が党は断じて反対するものであります。(拍手)
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。  先ず日本通運株式会社法を廃止する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。     —————————————    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  34. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず改正法律案の内容について申上げます。御承知のように、現行の農業災害補償法におきましては、共済保險事業の対象として、農作物共済、蚕繭共済及び家畜共済の三種類があるわけでございますが、このうち農作物共済即ち米麦類等の主要食糧農作物につきましては、農家の支拂うべき共済掛金額の約半額に近い金額は現在国庫において負担することになつており、又蚕繭共済につきましては養蚕農家の支拂うべき共済掛金額の約半額は製糸業者及び蚕陣製造業者がそれぞれ繭又は種繭の取扱数量に応じて負担し、この負担額は政府が生糸又は普通蚕種の販売統制価格を決定する際に公定価格の中に織り込む措置により、最終的には消費者に転嫁する建前になつておる現状であります。尚、家畜共済については、右に述べましたような国庫の一部負担或いは消費者転嫁等の制度はございません。以上のような建前で進んで参りました農業災害補償法も、本年五月蚕糸に関する諸統制が撤廃せられましたため、従来のごとく共済掛金額の一部を統制の過程を通じて消費者に転嫁する仕組は困難になりましたので、この機会に農業災害についての国家補償制度の一歩前進のため、且つは又国家財政の将来をも勘案して、取敢えず本改正法案におきましては、昭和二十四年度及び同二十五年度において従来の製糸業者等の負担金と同額を国庫において負担せんといたしておるのであります。又今回の改正案におきましては、家畜共済の中で牛馬の死亡廃用共済について、共済組合の定款で定める最低共済掛金の二分の一に相当する金額を国庫において負担することといたしておるのであります。而してこの趣旨は、蚕繭共済と同様、国家的な補償の一歩前進と、畜産振起の見地から、競馬益金の一部を見合いの財源として、取敢えず昭和二十四年度及び同二十五年度において国庫負担を行わんとするものであります。  改正法律案の内容は以上の通りでございまして、その趣旨とするところは別に異議のないところでありますので、委員会といたしましては、共済保險の今後の運営改善、国家的補償制度の拡充等二三の問題につきまして質疑を行いましたる後、討論に入り、羽生委員より、災害が起きてからの補償もさることながら、国家としては災害を未然に防ぐ諸対策に対ついて万全の措置を講すべきであるとの希望意見を付して、本案に賛成の意思を表明せられ、次いで採決の結果、本法律案は全会一致を以て衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手)
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  議事の都合により午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後七時五十六分開議
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。    〔根本参事朗読〕 本日衆議院から左の議案を提出した。よつて議長は即日これを議院運営委員会に付託した。  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案 本日委員長から左の報告書を提出した。  外国為替及び外国貿易管理法案可決報告書  外国為替管理委員会設置法案可決報告書  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書      —————・—————
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、会期延長の件についてお諮りいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。議長は衆議院議長と協議の結果、国会の会期を十二月三日まで三日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて会期は十二月三日まで三日間延長することに決定いたしました。      —————・—————
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、外国為替及び外国貿易管理法案及び外国為替管理委員会設置法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。     —————————————    〔佐々木良作君登壇、拍手〕
  43. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今議題となりました外国為替及び外国貿易管理法案、並びに外国為替管理委員会設置法案の委員会における審議の経過と結果とを御報告いたします。  先ず外国為替及び外国貿易管理法案は、従来各部門に分れておりました対外取引関係の諸法規を整理統合して一つの基本法を作り、輸出貿易を原則として自由とし、又輸入を民間貿易に切換えるなど、貿易の伸長を図ると共に、国際慣行に合致した外国為替管理制度を確立することを提案理由としたものでありまして、  その内容は、第一章におきまして、内閣に閣僚審議会を設置し、外国為替予算を作成し、外貨資金の使用はこの予算に基いて許されるものとし、すべての対外取引は大蔵大臣の指定する基準為替相場及び通貨によるものとしておること、第二章におきまして、外国為替業務を営もうとする銀行は大蔵大臣の認可を受けることとし、又為替銀行が外国にある銀行その他金融機関と業務上の契約をするには、外国為替管理委員会の承認を受けなければならぬことを定め、更に輸出為替等の集中を行なつたり又外貨の流出又はその原因となる行為を嚴格に禁止して、広く完全な管理の網を張つているのであります。三番目に輸出につきましては特定の場合にのみ通産大臣の承認を要し、ダンピングなどの譏りを受けないため仕向国の法令に考慮を拂うことを要求し、緊急な場合一ケ月以内の期間を限つて船積みを差止め得ることになつております。次に輸入に関しては、外国為替予算の範囲内で最も有利な且つ有効な輸入を図るという建前でありまして、又輸入しようとする者に対し担保の提供義務を課することができることになつております。以上内容説明は省略いたしますが、要するに為替と貿易の基本法でありまして、今後の我が国経済の基礎に極めて重要な影響を與える法案であります。従いまして会期切迫の際ではありましたが、本委員会といたしましては、大蔵、通産の各委員会と前後四回の連合委員会を開き、又参考人の意見をも聽取いたしまして、審議に可能な最善を盡した次第であります。併しながら時間の制約から或いは審議に不十分な点があつたかも知れないということを附け加えて置きます。  質疑におきましては各委員から熱心な質疑が続々と出たわけでありますが、その主なるものを整理して申上げますと、第一に外国為替予算は閣僚審議会で作成されるのであるが、その作成の方法はどうか。又物資需給計画との関係、国内経済の復興計画なくしてどうしてこういう予算が作成できるのかというような点、更に現果の外国為替予算の内容を先ず明らかにここに出して呉れというような要求及び質問がありました。それから第二番目には、貿易統制の枠の外して、輸出を増大するために輸入を増加することとなると、不急不要の品物も輸入されることになつて、そのために国内産業の保護上相当な対策が必要であると思うけれども、この対策はどうなつておるのであろうかというような点、それから第三番目に、資金的にも組織の点においても圧倒的に有利な立場にある外国銀行、それから外人商社と、日本側の銀行商社が果して対等な立場において競争ができるかどうか。或いは又銀行と特別の関係がある商社が有利な地位に立つのではなかろうかというような点、更にダンピング防止の規定に関しまして、ダンピングはどういうふうにして認知されるのか。誰が決定するのかというような点、それから第四番目には、我が国は国際通貨基金協定に入るのか。又伝えられるようなアジア・マーシヤル・プランというようなものについて政府はどういうふうに考えておるかというような点、それから更には、それと関連しながら、本法の通貨の規定及び輸出許可制度ということが大陸貿易の促進を阻害するというような結果になるのではなかろうかというような点、又輸入に際して相当な保証金或いは担保等が要求されておるのでありますが、これに対する政府の具体的な措置はどうなつておるかというような点でありまして、その他種々広範囲な質問がありましたけれども、大体大きな点を総括いたしますと以上のような点にあつたのではなかろうか。こういうふうに考えます。  これらの質問に対しましておのおのその度ごとに政府からの答弁があつたわけでありますが、断片的にその答弁の要旨を申上げて見ますると、外国為替予算は国内の必要な商品の輸入及び輸出計画を作成するものであつて、在庫量、生産量、それから消費等を各商品別に調べて、これと外貨とを見合せて年間計画を立て、又四半期予算を毎月の輸出実績と睨み合せて組むというような方針でこの予算を組むこと、それから又差当つて今使用し得るドル現金というのが大体八千万ドル程度だというような点、それから国内産業の保護に関しては、国内産業が立ち行くか行かぬかということは、むしろ原則として物価の機能をどう決めるかということによつて決まると考えられるというような点、それから外国銀行及び外国商社からの圧迫は、そう考えられる程大したものではないというふうに考えておるというようなこと、それからダンピング防止の規定につきましては、これは道徳的な性格を持つておる規定であつて、おのおのの事件ごとにその事件について愼重に調査した上で、処罰等もそう軽々しくやらないというような方針であること、それからこの法案は国際通貨基金協定に加入するということを前提として作られておるということ、更に又輸入担保の問題については適当な方法を目下研究中であるというような点が、大体答弁の中にあつたかと思います。  討論におきましては、和田委員から、この法案は次にような五点、即ち日本経済復興に関する基本構想がこれに伴つていないということ、二番目に、運用面において各官庁間の調和統制が非常に欠けておるという点、三番目に、閣僚審議会に民間意見が反映されないこと、四番目には、裏付けとなる金融対策がないこと、五番目には、中小企業に非常に大きな打撃を與える結果になるというようなこと等、この五つぐらいな理由を中心として反対意見の開陳がありました。特にこの際におきましては、もつとゆつくりと時間があるならば、こういう規定を補う修正をすることを考えたいと思つたのであるが、そういう時間がないので、そういう以上のような理由で反対するということを述べられました。更に藤井、安達、西川等の各委員から、本法案田従来の管理貿易から自主貿易へ転換して、国際経済への参加体制を促進するものであるから賛成であるが、ただ法案の内容からして、その運用が非常に重要であるから、特に委任性が強い点等を考え合せて、その点を十分留意して運用に当つて貰いたいという希望を付けて賛成の討論がありましたが、採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に外国為替管理委員会設置法案について御説明申上げます。  現在の外国為替管理委員会は、いわゆるポツダム政令であるところの外国為替管理委員会令を以て設置されたものでありますが、只今申上げました外国為替及び外国貿易管理法の制定に伴つて所要の改正をする必要が生じたというのが政府の提案理由であります。  この法案の大体の要点を申上げますと、全部で二十二ケ條と附則から成つておりますが、その体裁は既存の各省設置法に倣つており、その内容は大体現行の政令とほぼ同様でありますが、特に注目すべき点は次のような諸点であります。第一に、三條、四條において、所掌事務及び権限を従来よりも具体的且つ明瞭にして、同委員会が外国為替特別会計の運営を主管し、外国為替予算がその限度及び條件に従つて運用されるようにし、又外国為替及び外国貿易に関して、記録の保持、報告及び勧告をすることを任務とし、このために同委員会に、外国為替取引の手続、外貨資金集中の手続、それから対外取引の條件等を定め、外貨資金の取得及び使用に関して外国為替銀行を監督する等の権限を與える規定を加えておること。それから二番目には、五條におきまして委員の数を一人加えて四人としました。この委員長及び委員の任命が国会の同意を要するということは從前通りであります。三番目は、十二條におきまして外国為替管理委員会規則を作り得るようにし、又十四條、十五條におきまして事務局に管理部及び関西事務所を設けて、それぞれ外国為替特別会計の運営及び貿易の中心地たる関西地方との連絡事務を掌らせることが定めてあります。尚、現行政令における立入検査の規定は外国為替及び外国貿易管理法に讓りまして、相法案からは削除してあります。  法案の内容は大体以上のようなものでありまして、本法案の審議は本来ならば内閣委員会で行わるべき性質のものであつたのでありますが、本法案が外国為替及び外国貿易管理法案と密接な関係にあり、且つ会期も切迫しているからというわけで、経済安定委員会に付託されたのであります。従いましてこの事情を考えまして、内閣委員会とも連合委員会を開いた審議を行なつたのであります。  この法案に関しての連合委員会及び本委員会におきまする主な質疑は、第一点、本法の施行によつて定員法改正の必要はないかどうか、それから第二点としては、貿易統計について大蔵省、通商産業省と外国為替管理委員会の事務が重複しないかどうかということ、三番目には、委員会で作成する報告や調査をどういうふうにして民間に利用させるかということ等であります。これらの対しましてそれぞれ一番目の問題については、通常国会に定員法改正を提案して事務の増加に対処するということ、二番目の問題につきましては、同委員会では為替資金面からの貿易統計を作成するから他省と重複しない、三番目の問題につきましては、弘報係を設けて各種の資料を民間の利用に供するということ、こういうような答弁があつた次第であります。  討論におきましては、藤井委員から、委員の人選及び委員会の運営を適切にせられたいという希望意見を付して賛成、それから和田委員から外国為替及び外国貿易管理法案と同様な理由で反対という意見が述べられて、採決に入りましたが、採決の結果は多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。以上でこの二つの法案の委員会における審議の経過と結果を御報告した次第でありますが、特に附加して置きたいと思いますのは、質疑応答特に政府答弁につきましては、時間の関係もあり、又ここに簡單にまとめて御報告しますと却つて誤解を招くような状態があるのではないかということも考えまして、ほんのアウト・ラインだけを御報告した次第であります。むしろこの詳細は具体的に一つ速記録から生のままで御承知を願いたいと特にお願いしまして、御報告を終る次第であります。(拍手)
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 両案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇、拍手〕
  45. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は以下の五点によつて本法案に反対するものであります。  先ず第一は、この法案の狙いは貿易、為替の操作を通じまして、我が国経済の指導権を、外国の銀行、外国の商社に結び付けて行くところの法律案であるということであります。例えば輸出入には莫大な資金を要しますが、小麦一万トンの輸入にいたしましても三十五億円を要し、而もこれには五〇%の輸入保証金を必要といたします。このような莫大な金額が調達できますものは、恐らく外国の銀行、外国の商社、或いはこれに結び付いておりますところの国内の極く少数の独占的な大資本家以外には、非常に困難であります。従つて、我が国の経済は徐々に彼らの手によつて支配され、これに結び付きのない国内の資本家、諸企業は漸次に犠牲になつて行くということであります。  第二の理由は、吉田総理が自立経済の確立ということを言葉では申しておりますが、その言葉を裏付ける本当の計画を持つていないということであります。政府は、この法律によりまして、日本の国内経済を国際経済に結び付け、他方この協定貿易という形で輸入の義務付けを行なつて行くのであります。そして輸出の権利はなくて、輸入の義務付けだけがこれに結び付いて参るのであります。この結果、外国にとつて過剩な商品であるとか、贅沢品であるとか、不急不要な商品であるとかいうようなものが輸入されて来ることは明らかでございまして、このことは政府委員の驚くべき次の答弁で一層明らかであります。一政府委員は委員会において外国が我が国に対しダンピングすることを希望しておると述べております。すでに事実が証明いたしております通り。例えば日本とフランスとの協定貿易によりましても、日本から生糸を輸出いたします。これに対しましてフランスから塩素酸カリ、赤燐などを輸入いたしておりますが、これは盡くこの日本国内の生産品であり、むしろ日本が従来輸出していたものであり、而も国内には滯貨があるところの商品であります。而もこれが国内価格の四倍、五倍という高い値段で輸入され、滯貨が更に激増して行くということになるのでありますが、これは敢てフランスだけの問題ではなく、西独或いは日英協定等におきましても同様の方針が一貫しておるのであります。而もこのような協定貿易を中心といたします輸入優先というこの貿易方針は、いわゆるアジア・マーシヤル・プランと呼ばれておりますところの構想として我が国を東南アジアのための單なる加工貿易の基地というようなものに変更しようとしているということ、これは先般私が反対討論をいたしました日本製鉄の広畑製鉄所に外資を導入する準備をしようとしている、そういうことの中に端的に現われておるのであります。(「共産党はいつも外資導入に反対じやないか」「默つて聞いて居給え」と呼ぶ者あり)このようなことは、日本の産業、殊に日本の再建にとつて徹底的に重要な基礎産業を崩壞させ、日本の産業を下請的なものにして行くということになる。この結果は輸出品は非常に飢餓輸出という形で強化され、いわゆる企業の合理化、資本家的の企業の合理化が促進され、首切り、労働強化、低賃金というようなものが勤労人民に押付けられるということになるのであります。  第三の理由は、この法律案は輸出の自由というようなことを言つており、又法律の面だけを見ると、そういうふうに見えるのでありますが、併しながら特定の商品、どういう支払方法というようなことになると、通産大臣の許可制ということになつておつて、協定貿易が優先的に取扱われ、我が国経済の特定国への依存ということがいよいよ強化されて来るのであります。その結果は、全国民が熱望し、我々も大きなそれに期待をかけておりますところの中日貿易とか、或いは日ソ貿易とか、そういつたようなものが、事実上これが抑えられて行く、非常に困難になつて行くということに現われて来るのであります。稻垣通産大臣は、委員会の席上におきまして、我が党の板野議員の質問に答えて、中国向の輸出は結構だけれども、戰略的な物質は出せないということを明言せられております。戰略的物資、鉄製品にたいしましても、機械類にいたしましても、電気器具類或いは石油類にいたしましても、これは戰略物資であるという商品、どれが戰略物資であるということを言うことは、いと容易なことであります。(「間違えるな」と呼ぶ者あり)従つてそういう戰略物資であるという言葉、そういう言葉によつて中日貿易その他が阻害されて行くということ、これが反対の第三点であります。(「何を言つているか分らん」「靜かに聞け」と呼ぶ者あり)  第四点は、我が国経済に決定に重要でありますところの為替予算が、一般予算と切離されて閣僚審議会というところで決定されまして、国会の審議にはかけられない、そうして外国為替管理委員会で思うように運営されて行くということであります。(「しつかり読め」「誰に書いて貰つた」と呼ぶ者あり)それのみではない。実際の輸出入に当りましては、多くを政令に讓つております。(「書いた通り読め」と呼ぶ者あり)このことは一部の独占的な大資本家及び特権官僚が指導権を握つて、日本経済を自由に自分の思うままに持つて行くということになるのであります。(「共産党と民自党はうるさい」と呼ぶ者あり)  第五に、最後に、この法律案は全国民の熱望いたしますところの全面講和の妨げになるということであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)我々は全面講和による共存共栄の自主的な貿易を前提とし、これを基礎にして我が国の平和産業を無限に発達させて行こうとするところの意思と政策を持つているのであります。(拍手、「誰が持つているのだ」と呼ぶ者あり)これによつて我我は国内市場を豊かに育て、育成し、そうして自主的に日本を再建しようということを考えているのであります。併しながらこの法律はこれを妨害して、(「大したものだ」と呼ぶ者あり)我我の最も熱望しない單独講和、そうして自由、独立、平和の道を閉ざし、我が国の独立を危うくする(「おかしいね」と呼ぶ者あり)という、それに導く以外のものではないということ、日本共産党は以上の五点によつて、この法律案反対するものであります。(拍手、「勉強し給え」と呼ぶ者あり)
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 藤井丙午君。    〔藤井丙午君登壇、拍手〕
  47. 藤井丙午

    ○藤井丙午君 私は只今上程されました両法案に賛成するものであります。  以下簡單に理由を申述べます。申上げるまでもなく、ドツジ・プリンシプルの構想は、均衡予算の確立、復金融資の廃止等による放慢な産業融資の引締め等によりまして、インフレの急速なる收束を図ると共に、物価、賃金の安定、或いは産業合理化等によりまして、国民経済力を專ら輸出貿易に集中いたしまして、ここに自立経済の血路を開かんという構想であつたのでありまするが、併しながらインフレの收束は概ねその目的を達成いたしましたけれども、肝腎の輸出貿易は、アメリカにおける一般的景気の後退、或いは又国際ドル不足に基く需要の減退乃至は最近におけるポンドの切下げ等によりまして、これらの外側的な惡條件の累加によつてその進路を阻まれておると同時に、又国内的には、金融の過度の梗塞等による有効需要の減退、或いは産業合理化の澁滯等によりまして、我が国民経済は窮迫の一途を辿りつつある現状でありまして、経済的自立はおろか、正に経済危機の様相を呈さんとしつつあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この重大危機に、転換期に際しまして、先般フリール・ミツシヨンの勧告並びにローガン構想によりまして、終戰後今日まで高度の管理下に置かれておりました我が国輸出入貿易が全面的に改正されまして、先程佐々木委員長から御報告のありましたごとく、輸出につきましては明十二月一日から自由貿易となり、又輸入につきましては明年一月一日から、ガリオア或いはイロア・フアンド等により援助物資は別といたしまして、物資の輸入を民間貿易に移行されるということになつたのであります。従来嚴格な統制管理の下に、殆んど民間業者の創意或いは自主的活動を制約されておりました我が国貿易が、いずれも自主的な活動に移行せんとし、待望の国際経済への参加の体制を確立し得る段階に立至りましたことは、誠に諸君と共に喜びに堪えぬ次第であります。(拍手、「そうだ」「気に入つた」と呼ぶ者あり)本法案はこれらの客観情勢の好転に応えまして、従来各部門に分れておりましたところの対外取引に関する諸法規を整備統合いたしまして、一つの基本法を作りまして、貿易の飛躍的な伸張を図ると共に、国際慣行に合致した国際為替制度を確立いたしまして、これを中外に、つまり日本の為替管理方式を中外に宣明せんとするものであります。(「総動員法の戰後版だ」「やかましい」と呼ぶ者あり)本案は特殊事情から先程委員長報告のごとく極めて短時日に作成されました関係から、その内容は必ずしも十全を期していないのみならず、再検討を要する点もなきにしもあらずでありますけれども、本法案は第二條におきまして、今後情勢の推移により統制的な規定を逐次緩和、廃止することを明記しているのでありまして、今後貿易市場の進展或いは運営経過等によりまして漸次これに改正を加えられることになつておるのであります。ところで本法の長所といたしますところは、先程兼岩君の反対意見と私は全く別の角度からこれを申上げるのでありますが、本法の長所は、先ず第一に外国為替管理について、従来の国際慣行に従い、特に重要な條項等につきましては国際通貨基金協定に準拠しておるのでありまして、これによりまして日本の為替管理制度が国際的な信用をかち得る條件を備えておるということであります。  第二は、本法案はいわゆる属地主義をとつておるのでありまして、外国商社と雖も日本において営業する限りにおいては、日本の業者と全く同一に法の適用を受けることになつておるのであります。我々の憂慮しておりましたところのいわゆる外商、外国商人の経済的治外法権的な條件がすべて排除せられておるのであります。(「そうでないということは委員会で明らかじや」と呼ぶ者あり)即ち本法の第四章におきましては、外国人と雖も、我が国内における外貨或いは貴金属等を、大蔵大臣の定める価格で、外国為替特別会計或いは日本銀行、外国為替銀行等に売却する義務を負わせておるのであります。又第五章に外貨資金の集中的活用を図るために外国に対する支拂の制限或いは禁止等の規定を設けまして、外貨の国外流出を防止する等、管理の網を張りめぐらしておるのであります。  以上申しました通り、本法案は、占領治下の現下の情勢におきましては誠に画期的な長所を持つておるのでありまするが、併しながらその運用如何によりましては、我が国産業構造にも重大な変革をもたらすがごとき結果を招来する虞れなしとしないのであります。(「短所はどこだ」と呼ぶ者あり)なぜならローガン構想は輸入先行主義、即ち先ず輸出するために相手国から輸入する、それによつて貿易量を拡大して行くという、それによつて我が国民経済を復興せんとするのでありまするけれども、これはすでに西ドイルにおきましては、僅かに二ケ年の間に貿易量が七倍という飛躍的驚異的な成果を收めたということは皆様御承知の通りでありまするが、併しながら御承知のごとく、我が国民経済は、その復興度において、その産業合理化の程度において、又その技術水準等におきまして、欧米諸国より立ち遅れているということは皆様御承知の通りであります。又産業合理化も意のごとく進んでおりません。かような状況でありまするので、今後内閣における閣僚審議会等におきまして物資の輸入計画乃至は為替予算等を編成されるに当りまして、十分我が国経済の現状及び将来に対して的確な見通しの下に、我が国民経済をして危殆に陷らしむることのないよう、十全を期さなければならない点は勿論であります。又同時にこの為替予算等の作成につきましては、無論その年度においては、生産計画或いは物資の需給計画、或いは又外貨資金等を考慮して作成されるのでありますけれども、これは今申しましたように、日本の産業構造にも運用の如何によつては変革を及ぼすような重要な仕事でありますので、(「それが重要だ」「お靜かに願います」と呼ぶ者あり)まあ聞きなさい。特にその年度計画のみならず、相当長期に亘る我が国経済の復興計画等も、その背景として、その基盤として、十分考えなければならないのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)この点につきましては、先般吉田総理大臣は、経済復興五ケ年計画等を一応見合せると言われましたけれども、政府におかれても、五ケ年はともかくとしても少くとも二年、三年、相当長期に亘る経済計画がこの裏付けにならなければならないと思うのであります。又本法案は、先程委員長報告にありましたように、相当政令に委任されている点が多いのでありまして、特にこれは今後の運用に愼重を要する点であります。或る意味におきましては、この委任立法的な性格は、非常に法の彈力性があり、機動性があるという見方もできるのでありますけれども、又その運用によりましては、各官庁のセクシヨナリズムに禍いされまして、或いは手続の煩瑣等によりまして、民間業者の創意或いは自主的活動を制約する虞れなしとは言えないのであります。この点におきましては運用に留意されると同時に、官僚諸君もこの貿易の自主体制の確立を契機として従来の頭の根本的切替えを私は要請するのであります。又先程申しましたように、輸出増強の前提となるものは国内産業の確立であり、特に国内産業の合理化、高能率化であるのであります。これに対しましては今国会においてもしばしば各委員から論及されましたけれども、産業合理化は單なる首切りでは駄目であります。飽くまでも産業設備の改善、或いは又技術水準の国際水準への引上げ等によつて、真に高能率の体制を確立しなければならないのであります。この意味におきましては、設備資金等の長期資金につきましても、金融につきましても、今後政府は特段の努力を要するのであります。又貿易金融にいたしましても、外国商社は御承知のように豊富なる資金を持ち、且つ極めて低廉なる金融力を持つておるのでありまして、これに対処する我が国貿易体制の特に金融的な裏付けが十分なされない限りは、この外国資本に圧倒される虞れなしと言えないのであります。これらの点につきましては、政府は今後特に貿易金融等につきましては特段の配慮をさるべきであります。又折角国際貿易参加体制が法的に確立いたしましても、貿易の実施に当りましては、先般来論及されましたような輸出のCIF、或いは輸入のFOB制度、或いは海外航路の日本船の就航、或いは又通商官の派遣、日本商社の海外進出等につきまして、特に関係方面とも重ねて再三一つ御交渉を頂きまして、これらの(「賛成の理由は何だね」「君は相当頭がいいが分らないよ」「謹聽々々」と呼ぶ者あり、笑声)諸制度が一日も早く実現されるということを私は希望いたしまして、私は本案に賛成するものであります。(拍手、「分らないのは共産党だけだ」「困つたねえ、分らんというのは」「君らは頭が惡いよ、少し勉強し給え」「日本の中小企業者が泣いてしまう」と呼ぶ者あり)
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 川上嘉君。    〔川上嘉君登壇、拍手)
  49. 川上嘉

    ○川上嘉君 只今上程されております外国為替及び外国貿易管理法案に対しまして、次の八点の理由によりまして私は反対いたします。(「よし」「頑張れ」と呼ぶ者あり)  前議員は随分長々と威勢よくしやべつたのでありまするが、私は反対理由を個條書に極めて簡明に申上げることにいたします。先ず反対理由の第一点は、本法案は国民経済の復興と発展に寄與すると言つておるが、現経済事情の下におきましては、無條件に貿易統制の枠を外し、輸出を増進するために輸入を拡大することは、不要不急品、贅沢品等の流入を自由にし、国内産業を破壞し、中小企業の倒壞、失業の増大、恐慌激化を来たす虞れがあるのであります。本法と同時に考慮さるべき国内産業保護政策、関税政策は何ら考慮されていないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)理由の第二点は、外国為替予算作成の裏付けとなるべき経済復興計画は何ら存在していない。予算の立てようがなく、全く無計画であるのであります。(「そこそこ」と呼ぶ者あり)第三点は、外国為替予算作成に当る閣僚審議会の構成は非民主的の最たるものでありまして、国民の世論の反映が全くないのであります。(「世論を恐れておる」と呼ぶ者あり)理由の第四点は、豊富低利な資金、組織等を有する外国銀行、外国商社に対しまして、日本側銀行、商社は平等の立場で競争することができず、圧倒されることになるのであります。理由の第五点は、輸出ダンピングに対する外国の非難は激烈を極める虞れが十分にあると思われます。更に理由の第六点は、輸入に際しまして、巨額の保証金や担保等を要することになつておりますが、業者にはその資力がないことは明らかであるにも拘わらず、有効な金融措置が考慮されていないことは誠に遺憾であります。理由の第七点、重要部分の具体的措置は盡く政令に任されておる広汎な委任立法でありまして、極めて非民主的であるのみならず、十二月一日実施を目標として僅々数日間に国会通過を強行したことは、甚だ遺憾とするところであります。最後に第八点でありますが、要するに本法案は、日本経済の防壁を撤去し、全く無防備のまま世界恐慌にさらし、現在の安定恐慌をますます激化し、貿易経済の自主性を全く喪失し、重大な経済危機を惹起する虞れがあると信じられるのであります。  以上の八点から本案に反対するものであります。以上。(拍手)
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。(拍手)      —————・—————
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、外国為替特別会計法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
  53. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました外国為替特別会計法案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、現在貿易特別会計に設置されている外国為替資金の運用に基く外国為替等の売買及びこれに伴う取引について、その経理を明確にするために、外国為替資金を廃止し、新たに外国為替特別会計を設置せんとするものであります。本案は十一月二十一日より十一月二十九日まで愼重に審議し、討論、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手)
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      —————・—————
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。(笑声)先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長高田寛君。     —————————————    〔高田寛君登壇、拍手〕
  58. 高田寛

    ○高田寛君 只今議題となりました国会議員の歳費、旅費(笑声)及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について、議院運営委員会の審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、各議院の役員及び特別委員長に対しまして、その職務遂行上必要な雑費を予算の範囲内において支給する途を開き、又現下の経済事情に鑑み、各議院の議員の秘書の給料を十一月分から月額七千円を九千円に増額し、更に衆議院議長から人事官彈刻の訴追に関する訴訟を行うことを指定された議員の職務遂行に必要な実費を支給する等の措置を講ずるため、衆議院より提出されたものでありまして、衆議院は本日これを可決して本院に送付して参つたものであります。本議院運営委員会におきましては、本法案の提出前からその内容についてしばしば協議を重ねて参つたのでありまして、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。以上御報告申上げます。(拍手)
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際お諮りして決定いたしたいことがございます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長より、引揚者の実情を調査し、今後の在外胞引揚促進の審議に資するために、舞鶴市に千田正君、北條秀一君及び淺岡信夫君を十二月一日より三日間の日程を以てそれぞれ派遣したいとの要求がございました。それら三名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午後一時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十八分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、果外同胞引揚問題に関する調査の中間報告  一、日程第一 在外胞引揚促進に関する決議案  一、日程第三 日本通運株式会社法を廃止する法律案  一、日程第四 通運事業法案  一、日程第五 日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社施設処理等に関する法律案  一、日程第六 農業災害補償法の一部を改正する法律案  一、会期延長の件  一、外国為替及び外国貿易管理法案  一、外国為替管理委員会設置法案  一、日程第二 外国為替特別会計法案  一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案  一、実地調査のため議員派遣の件