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1949-11-29 第6回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和二十四年十一月二十九日    午前十時開議  第一 未復員者給與法の一部を改正する法律案千田正君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案千田正君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)  第三 政府契約支拂遅延防止等に関する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第四 郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 少年法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 地方行政調査委員会議設置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 国有財産法第四十五條の規定による国有財産類別表衆議院送付)(委員長報告)  第一二 宮城県白石町に国立こうぞ総合研究所設置請願(二件)(委員長報告)  第一三 刻たばこ製造工場設置に関する請願委員長報告)  第一四 綿・スフ織機復元のための復金借入金返済期限延長等に関する請願委員長報告)  第一五 預金部資金利率引下げおよび償還期間延長に関する請願委員長報告)  第一六 陶磁器の物品免税点引上げおよび取引高税撤廃に関する請願委員長報告)  第一七 きせるの物品税免税点引上げに関する請願委員長報告)  第一八 清酒増石に関する請願委員長報告)  第一九 国家公務員共済組合法中一部改正に関する請願(三件)(委員長報告)  第二〇 昭和二十四年政令第二百六十四号中一部改正に関する請願(二件)(委員長報告)  第二一 電報配達通数きん少局の電報配達要員廃止反対に関する請願委員長報告)  第二二 川崎市内電話交換方式変更に関する請願委員長報告)  第二三 私設電話に関する請願委員長報告)  第二四 都城、宮崎両市間に電話地下ケーブル線布設請願委員長報告)  第二五 失業対策確立に関する請願委員長報告)  第二六 土建労働に関し労働基準法特例設置等請願  第二七 賃金遅拂および分割拂解消対策に関する請願委員長報告)  第二八 天塩川口改修工事施行に関する請願委員長報告)  第二九 宮崎県下の災害復旧工事促進に関する請願委員長報告)  第三〇 天塩町内産業道路改修工事施行に関する請願委員長報告)  第三一 地方費道札幌稚内線天塩川架橋に関する請願委員長報告)  第三二 十津、紀の両川総合開発事業施行に関する請願委員長報告)  第三三 生駒山腹地すべり防止対策に関する請願委員長報告)  第三四 名古屋、大阪両市間産業道路建設に関する請願委員長報告)  第三五 岡山県下の各川砂防工事施行に関する請願委員長報告)  第三六 矢作川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第三七 矢作橋改築工事に関する請願委員長報告)  第三八 南会津街道開通促進に関する請願委員長報告)  第三九 日野川えん堤築設に関する請願委員長報告)  第四〇 市川改修工事施行に関する請願委員長報告)  第四一 国道第二号線中夢前橋架設に関する請願委員長報告)  第四二 国道第二号線中一部改良工事施行に関する請願委員長報告)  第四三 国道第五号線中一部改良工事促進に関する請願委員長報告)  第四四 地方法務局およびその支局の独立庁舎建築に関する請願委員長報告)  第四五 杉田川改修工事施行に関する請願委員長報告)  第四六 治山治水事業促進に関する請願委員長報告)  第四七 猪名川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第四八 国道第九号線三国街道改修工事促進に関する請願委員長報告)  第四九 宮崎県下の砂防工事施行に関する請願委員長報告)  第五〇 北上川上流治水工事促進に関する請願委員長報告)  第五一 淀川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第五二 四国西南地域内大幹線道路国道編入および改修工事施行に関する請願委員長報告)  第五三 吉井川下流改修工事促進に関する請願委員長報告)  第五四 起、竹ケ鼻両町間木曾川に濃尾大橋架設請願委員長報告)  第五五 災害復旧費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第五六 ジユデイス台風災害対策に関する請願委員長報告)  第五七 裾花川および犀川、千曲川の治山治水工事施行に関する請願委員長報告)  第五八 国道城白線開通工事促進に関する請願委員長報告)  第五九 災害復旧費増額に関する請願委員長報告)  第六〇 住宅組合に対する長期低利資金融通等に関する請願委員長報告)  第六一 安倍川堤防増築に関する請願委員長報告)  第六二 キテイ台風による茨城県下の災害復旧費国庫補助請願委員長報告)  第六三 盛岡市青山町引揚、戰災者仮住宅設備改善費国庫補助に関する請願委員長報告)  第六四 鹿兒島県下豪風雨による被害道路、川の復旧工事促進等請願委員長報告)  第六五 国道第十三号線中加納町、岐阜市間直通連絡地下道開さくに関する請願委員長報告)  第六六 神之川改修工事施行に関する請願委員長報告)  第六七 大戸川砂防工事施行に関する請願委員長報告)  第六八 東山沢川砂防工事促進に関する請願委員長報告)  第六九 北上川上流砂防工事施行に関する請願委員長報告)  第七〇 大淀川上流部支川の直轄か川編入等に関する請願委員長報告)  第七一 大淀川上流支川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第七二 大淀川大淀えん堤の調査に関する請願委員長報告)  第七三 牧田川ダム建設工事施行に関する請願委員長報告)  第七四 災害復旧事業費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第七五 公共事業実施に関する請願委員長報告)  第七六 節句飾物類物品税改正に関する陳情委員長報告)  第七七 失業救済事業実施に関する陳情委員長報告)  第七八 戰災都市の戰災復興五箇年計画遂行に関する陳情委員長報告)  第七九 キテイ台風による茨城県下の災害復旧費国庫補助陳情委員長報告)  第八〇 女鳥羽川附近の治山治水対策に関する陳情委員長報告)  第八一 神流川堤防修築に関する陳情委員長報告)  第八二 災害復旧費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第八三 非常災害応急復旧費等国庫補助に関する陳情委員長報告)  第八四 愛知県碧南地区地震災害復興費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第八五 上水道整備事業費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第八六 庶民住宅建設費国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)  第八七 賃貸庶民住宅処分に関する陳情委員長報告)  第八八 埼玉県男沼、妻沼両村地内の利根川護岸工事施行に関する陳情委員長報告)  第八九 埼玉県仁手村備前きよ用水路第三ひ門外二箇所の堤防修築工事施行に関する陳情委員長報告)  第九〇 周布川砂防工事施行に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りをいたすことがございます。議員原口忠次郎君より辞表が提出されております。参事をして朗読いたさせます。    〔河野参事朗読〕     辞職願               私儀  今般神戸市長に当選し就任受諾いたしたいから議員辞任を御許可願います   昭和二十四年十一月二十八日      参議院議員 原口忠次郎    参議院議長佐藤尚武殿     —————————————
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 原口忠次郎君の辞職を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて原口忠次郎君の辞職は許可することに決しました。      ——————————
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 議員橋上保君は本月二十六日逝去せられました。誠に痛惜哀悼至りに堪えません。つきましては同君に対し院議を以て弔詞を贈ることにいたしたいと存じます。尚その弔詞議員に一任せられたいと存じます。只今議長発議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、小串清一君より発言を求められております。これより許可いたします。小串清一君。    〔小串清一登壇拍手
  9. 小串清一

    小串清一君 只今議長から御報告のありました通り、本院議員橋上保君は去る十一月二十六日遂に永眠せられました。誠に痛惜至りに堪えません。ここに一言同君の生前を回顧し、追悼の意を捧げたいと存ずるものであります。  橋上君は明治二十二年七月福岡県京都郡に生れられ、明治三十七年高等小学校を卒業せられて以来、終生石炭鉱業に一身を托され、努力力行、遂に昭和六年一月橋上鉱業株式会社を創設してその社長に就任せられたのであります。爾来昭和十二年には日本炭業株式会社社長、同十五年には宝珠山鉱業株式会社社長北九州石炭株式会社顧問を兼任せられ、又北九州石炭統制組合評議員九州石炭鉱業会理事九州石炭鉱業連盟理事等の役員を歴任せられ、石炭鉱業の経営に全力をいたされたのであります。かく昭和二十二年五月参議院議員に当選され、死去せられるまでその任にあられたのであります。  橋上君の真面目は、以上の御経歴が示しますように石炭鉱業の舞台に見られたのでありまして、その血の滲むような御経験は、一片の学歴に比ぶべくもなく、そこに培われた有能な識見と相持ちまして常に傾聽に値する御意見を持しておられました。殊に戰後の石炭生産の必要に応えての御努力及び困難な労働問題に処しての御行動には、私共常に敬服いたしておつたのでありまして、参議院議員としての同君の御活躍には期して待つべきものがあつたのであります。然るに昭和二十二年七月鉱工業委員として、当時問題となつておりました石炭国家管理問題について実地視察のための御出張中に、不幸にも病魔の冒すところとなられまして、遂に再起せらるることなく御永眠なされましたことは、誠に本院のためにも又国家のためにも、惜しみても余りあることと申さねばなりません。  石炭鉱業の問題は資源の貧困な我が国にとりまして常に新たなる問題であります。かくのごときに当りまして、最も働き盛りであるところの有能有為橋上君を俄かに失いましたことは、余りにも意外なことであり、余りにも残念なことであります。ここに謹んで橋上君の安らかなる御冥福を心からお祈りいたしますると共に、すでに同君が白玉楼中の人となられました今日におきましては、私共は同君の遺志を生かし、ますます我が国経済の再建に力を致すことこそ、同君の霊を慰め得るゆえんであると私は信ずる次第であります。これを以ちまして橋上追悼の言葉といたしたいと存じます。(拍手)      ——————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 先程の決議に基き議長において起草いたしました弔詞朗読いたします。   参議院ハ議員橋上保君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞呈ス      ——————————
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第一、未復員者給與法の一部を改正する法律案及び日程第二、特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案(いずれも千田正君外十九名発議)(委員会審査省略要求事件)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。両案につきましては、いずれも千田正君外十九名より委員会審査省略要求書提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに両案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。岡元義人君。     —————————————    〔岡元義人登壇拍手
  14. 岡元義人

    岡元義人君 只今議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申上げます。  本年六月ソ連関係地域からの引揚が再開されまして以来、十月末までに約八万五千人の同胞を迎えたのでありますが、再開当初、引揚者の一部におきましては、多少の紛争を起しまして、世人の眉をひそめさせたこともございましたけれども、引揚者秩序保持に関しましては世の要望に応えまして政令が公布実施されて以来、この種事故は跡を絶つたのでありますが、これら引揚者心情を察しまするに、引揚後の生活に対する不安の念が殊に顯著でありまして、紛擾を起しましたゆえんも、かような不安を心情乘ずる一部の策動に基くものでありましたことも明らかであります。私共といたしましては、引揚者に対しまする衷心からの同情より、取締るべき面はこれを取締る一方、何とかいたしまして、これら引揚者に関する方策を講じ、四ケ年に亘るその労苦に報いんものと従来からいろいろと心を碎いて参つたのであります。然るに未復員者関係給與増額案といたして去る二十日本院を通過いたしました政府提出の未復員者給與法の一部を改正する法律案は、未復員者扶養親族に対しまする手当一般公務員並みに改めたものでありまして、その限りにおいては至当であると考えられるのでありますが、併しその後、在外同胞引揚問題に関する特別委員会におきましては、最近の引揚者の証言その他全国から寄せられましたる陳情請願の数は厖大なる件数に上りまして、その授護強化を求めておる状況に即応して、今日未復員者給與法に規定する各種給與額引上げを内容といたしました本改正法律案を重ねて提出するの必要を痛感するに至つたのであります。  御承知の通り復員者給與法に規定せられてあります給與の種類は、未復員者本人俸給、その留守宅への扶養手当引揚時帰郷旅費遺骨引取経費及び埋葬費現地における傷病に対する災害手当でありますが、先の政府提出改正法律案は、これらの諸給與中の扶養手当のみにつきまして些かの改善を加うるに止まつておるのであります。そこで、この扶養手当以外の給與、即ち未復員者俸給現行月額百円を三百円に、帰郷旅費現行千円を距離に応じ千円乃至三千円に、遺骨引取経費現行千五百円を千七百円にそれぞれ増額すると共に、引揚前の收容所における労働のごとき、本人の責に帰し得ない事由の基く疾病又は傷害についての療養期間をば二年から三年に延長せんといるものであります。以上の増額改正は、例えば鉄道運賃値上げ等各種の情勢の変化に適応せしめんと考え、提案理由としておるのでありますが、今次の増額を以ていたしましても勿論満足には尚程遠きものがあるのでありますが、併しながら私共が研究折衝いたしまして最も確実なる財源として確保できますものと見合せ、実行可能の限度としてまとめたものが本改正案であります、併しこれでも未復員者引揚者及びその家族に対しまして、永年に労苦に報いるための一端になり得ることと信じておるのであります。尚、本法はいわゆる未復員者即ち旧軍人軍属給與にかかる法律案でありますが、一般邦人中、ソ連地域残留中の人々に関しましては、特別未帰還者給與法が制定されてありまして、本法案が成立いたしますれば、一般邦人該当者にも自動的に適用されるよう相成つておりますことを、ここに附け加えて申上げます。  さてナホトカから引場のための十一月配船分の第一船高砂丸は去る十一月二十四日舞鶴に入港いたし、次々と入港中の状況であります。この改正法律案による給與増額をこれら引揚者にも均霑させたく、本改正法律案施行は十一月一日からといたしたいのであります。  以上本改正案提出いたしました経過を御報告申上げた次第であります。  尚、議題となつておりますところの特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  元来特別未帰還者給與法は、ソ連地域関係残留して、いわゆる未復員者即ち旧軍人軍属と同様の境遇に置かれた一般邦人に対し、未復員者と同様の給與をなすため、第四国会において本院の発議によつて成立いたした法律であります。併しながら爾後判明して参りました諸状況から判定いたしまするに、満州その他いわゆる中共地区千島樺太北鮮地域間にも、ソ連地域の旧軍人軍属と同様の事情にある一般邦人が相当数あることは確実であります。そこで私共は以上申述べました諸地域残留者該当者にもこの際特別未帰還者給與法を適用いたすことが最も妥当であると考え、法案の立案、その実施上必要なる財源につきましても、それぞれ研究折衝いたしました結果、本日ここに議員発議として本改正法律案提出するに至つた次第であります。  かように特別未帰還者給與法ソ連地域間の一般邦人のみに止めずに同一事情にある他の地域一般邦人にも適用し得るよう法律を改むべしとの論議、家族からの同趣旨の切々たる請願等は多数殺到して参つてつたのでありますが、この際、本提案のごとくに法律改正し、いわゆる中共地区千島樺太北鮮残留同胞該当者にも、未復員者給與法に規定いたしてあります給與、即ち本人俸給留守家族に対する扶養手当引揚時帰郷旅費遺骨引取経費現地における災害に応ずる災害手当を與えますことができますならば、永年に亘る残留者労苦留守家族の苦痛に対しても、たとい十分とは言えないといたしましても、若干の報いをすることができると信ずるのであります。  本改正案実施は、改正法案による給與実施いたしますための財源関係その他の事情から、その施行を遡つて本年十一月一日といたすことが至当かと思うのであります。但し今回新らしく追加いたそうとする地域から本年一月以降十月までの間に帰還した一般邦人中の該当者で、自己の責に帰することのできない事由によつて病気に罹つたり負傷した人で療養を要すると認めた場合には、この法律適用の日から三年間必要な療養を行い得る途を開くことといたしたのであります、尚、この療養中不幸にして死亡された場合には、埋葬に要する経費を支給し、又は治癒しないまま三年間を経過したときは、その経過したときの障害の程度によつて障害一時金を支給することといたしたのであります。  本改正法律案施行によりまして、多数残留者及びその留守宅の切実なる要望一端に副い得ることとなり、引揚者対策の重要な一環を改善する好結果と相成るものと確信いたす次第であります。  以上本院とは特に縁りの深い特別未帰還者給與法改正案提出に至る経過を申上げた次第であります。御賛同の程お願いいたす次第であります。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 両案に対し討論通告がございます。塚本重藏君。    〔「大臣を呼んで下さい」と呼ぶあり〕    〔塚本重藏君壇、拍手
  16. 塚本重藏

    塚本重藏君 只今上程せられました未復員者給與法の一部を改正する法律案、特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案の両案に対しまして、本員はここに賛成の意を表するものであります。これら引揚者の問題並びに引揚げました後におきまする人々援護問題等は、本来から申しまするならば、我々厚生委員会がなすべき重要な仕事であるのであります。併しながら厚生委員会憲法改正後、新らしい憲法の二十五條によりまする一般国民生活保障の問題と関連いたしまして、非常に重要な多くの問題を控えております。殊にこの引揚問題に関連いたしまする仕事は非常に大いなる仕事であり、多忙を極める仕事でありまするので、これを厚生委員会で受持つておりましてはその万全を期することができない関係からいたしまして、この仕事在外同胞引揚に関する特別委員会というものを設けて、この方々に御一任することにいたしたのであります。こういう立場からいたしまして、我々厚生委員といたしましても多大の関心を拂つて参つたものでありまして、この援護につきましては日夜努力をいたした次第でありますが、今回幸いにも在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員方々の絶大なる御努力によりまして、提案趣旨説明に述べられましたごとく、種々の改善を加えられましたことに対しましては、我々厚生委員といたしましても、又未だ外地残留されておりまする方及びその留守家族方々にとりましても、真に御同慶に堪えないところであります。ここに深甚な敬意を表する次第であります。  未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、不幸病魔に犯されまして帰還いたされました方のに対しまする療養期間が、従来二年間でありましたものを一年延長いたしまして三年となり、又扶養手当一般公務員と同様の取扱となりました。従来この手当を受けておられました六万五千家族、十六万人の方々にとりましても、若干の福音と存ずるのであります。又俸給及び帰還旅費等改善せられることになりましたが、ただ一点遺憾に存ずるものは、不幸現地において亡くなられました人達の遺骨を迎えまするための経費といたしましては、鉄道運賃の値上りに対します分といたしまして僅かに二百円増額せられまして、ここにその総計三千二百円となりましたが、これは東京都におきまする葬儀費用公定価格を見ましても五千五百円であります。その及ばざること甚だ遠いのであります。ましてや本法案のこの手当遺骨引取のための鉄道運賃をも含めての僅か三千二百円であります。この点につきましては将来尚考うべき問題でありますと共に、別途弔慰金等特別給與の措置が将来に望ましいと私は考えておる次第であります。(拍手)この点につきましては今後十分なる改善を加えられるように強く要望いたす次第であります。  次に特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案によりますると、従来ソ連地域にある一般邦人方々及びその留守家族に限られておりましたものを、今回ソ連地域の外に朝鮮、樺太千島及びいわゆる中共地区にその範囲を拡張されますと共に、各種手当につきましても未だ満足すべきものではありませんが、未復員者と同様に改善せられましたことは、それらの方面に今尚残留せられております一般邦人とその留守家族方々にとりましても若干の喜びであると存じ、御同慶に堪えないところであります。最後に、今尚外地残留せられております中共地区六万を初めといたしまする三十八万の多数の方々の一日も速かに無事帰還されますことを念願いたしますと共に、それら多数の留守家族方々の御健康を祈念し、在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員各位の御努力に感謝の意を表しまして、両案に賛成いたす次第であります。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際お諮りいたします。只今可決せられました未復員者給與法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案については、衆議院に対して委員会審査省略要求をいたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて両案は衆議院に対し委員会の審査省略を要求することに決定いたしました。      ——————————
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、政府契約支拂遅延防止等に関する法律案、(衆議院提出)、日程第四、郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案及び日程第五、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、(何れも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇拍手
  23. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました政府契約支拂遅延防止等に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の内容について申上げます。本案は国に対し工事の完成、作業その他の役務の給付又は物件の納入をする政府契約は、双方対等の立場における合意に基いて締結し、信義に従つて誠実に履行すべきものとし、契約締結に際しては、給付の内容、対価の額、給付完了の時期、その他必要事項の外に、給付の完了の確認又は検査の時期、対価の支拂の時期、履行の遅滯、その他債務不履行の場合における遅延利息等を書面により明らかにせしめると共に、国の会計事務を処理する職員が故意又は過失により国の支拂を著しく遅延させたときは、これを懲戒処分すべきものとしようとするものであります。尚この法律の規定は、日本專売公社、日本国有鉄道及び地方公共団体のなす契約にも準用せらるることとなつておるのであります。  さて本案審議に当り各委員より熱心なる質疑がありましたが、その主なるものを申上げますと、一委員より、政府契約の中には健康保險医に対する診療代の支拂、供米代金の支拂等をも含むかとの質疑に対して、岡野衆議院政府支拂促進に関する特別委員長より、政府契約の中にはこれらの支拂をも含むとの答弁があり、更に又この法律施行によつて本年度予算的措置を必要とするかとの質疑に対し、政府委員より、差当り予算的措置を必要としないとの答弁がありました。その他詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、十一月二十八日討論に入り、小川友三委員より賛成、森下政一、油井賢太郎、川上嘉の各委員より希望條件を付して賛成の意見を述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の提案理由並びに内容について申上げます。本年度は、郵政事業特別会計の郵政事業收入は、郵便料金の値上げに伴う利用減等の理由により四億一千二百七十一万七千円の收入不足額が予想されておりますが、総合的均衡予算を堅持する建前から、昭和二十四年度におけるこの不足額を借入金によらず、一般会計からの繰入金によつて補填しようとするものであります。尚、この繰入金については、郵政事業特別会計の健全財政が確立せられた際は、予算の定めるところによりその繰入金に相当する金額を一般会計へ繰入れることといたしているのであります。さて、本案は十一月二十五日より二十八日まで愼重に審議し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  国民金融公庫は本年六月発足以来鋭意その目的完遂に努力しておつたのでありまするが、資金不足のため、国民大衆の生活再建資金の需要に応じ切れない事情にありますので、その資本金を十三億円から十八億円に増加すると共に、予算に定むる範囲内において政府より借入金をなし得るように改正せんとするものであります。尚、公庫の役職員の給與については、公庫の特殊事情に鑑み、一般職の国家公務員に対する給與の外、その俸給総額の百分の一に相当する金額の範囲内において特別手当を支給し得る等の改正をなさんとするものであります。本案審議の経過を申上げますと、去る十一月二十五日より十一月二十八日まで愼重に審議し、各委員より熱心なる質疑がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。十一月二十八日質疑を終局し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。     —————————————    〔中井光次君登壇拍手
  27. 中井光次

    ○中井光次君 只今議題となりました政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案について、人事委員会の審議の経過及び結果を御報告いたします。  本案は政府各機関に在職する職員の給與についてこれを統制的に調整する機関として昨年五月設置せられました新給與実施本部を今回廃止いたしまして、その事務を人事院に移すことにいたしました結果、これに関係のある規定を改正するものであります。人事院はその機構が整備するに伴いまして、国家公務員法に規定せられた給與に関する人事院本造の職務権限を行い得るに至りましたので、本改正案によつてこれを実現することに相成つた次第であります。本案は十月二十七日予備審査のため付託されまして以来、委員会は政府委員の説明を聽取し、質疑応答を重ね、愼重審議を行いまして結果、全会一致を以て政府原案通りこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第七、少年法の一部を改正する法律案日程第八、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案日程第九、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員長理事宮城タマヨ君。     —————————————    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  32. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今上程されました少年法の一部を改正する法律案の委員会におきます審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず簡單に本法案の内容について御説明いたします。新少年法が第二国会を通過いたしまして、本年一月一日よりその施行を見ることになつたのでございますが、同法によりますれば、従来は満十八歳未満の者が少年として少年法の適用を受けておりました。これを満二十歳まで引上げまして、満二十歳未満の者に対して新少年法を適用することになつたのでございます。その結果少年法の適用範囲が拡張したのでありますが、戰後社会情勢の一般的傾向として青少年層の犯罪行為が激増しておりますので、そのため同法の適用を受けるべき犯罪少年、虞犯少年などが甚だしく多くなり、地方これを受入れるべき施設及び裁判所、法務府関係職員の拡充がこれに伴いませず、従つて所期の目的を達することが不可能となりましたので、新少年法施行後一ケ年間に限り従前通り満十八歳未満の者のみに同法を適用し、政府ではその間に急速に諸準備を整えるということを同法の附則によつた認めたのでございます。然るにこの期間は本年十二月末日を以て切れるのでございますが、政府側では受入れ体制、即ち物的、人的の諸準備が未だ整わず、右期限までに整う見込がございませんので、更に一ケ年間この期限を延長するというのが本法案趣旨でございます。委員会におきましては各委員より熱心な質疑が行われましたが、特に一年間の期限を延長することによつて政府は受入れ体制を完備する見込があるだろうか、どうだろうか。更に又延長することになるのではないかという点にその重点が置かれたのでございます。政府委員はこれに対して、予算措置もとつてあるし、昭和二十五年中には人的、物的共に準備が完了する見込である。それで更に期限を再延長することはないとの答弁がございました。本委員会では愼重に審議いたし、討論は省略いたしまして、採決しましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。  次に裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  裁判官及び検察官の給與については、一般政府職員給與とは別個の法律で相当優遇せられた額で定められておりますのでございますが、その基準のベースは同等という建前になつております。そこで昨年十二月、第四国会において一般政府職員給與は六千三百七円ベースに改正されて、本年一月一日以降これを適用し、今日に至つているのでございますが、裁判官の報酬、検察官の俸給は、その前に五千三百三十円ベースで改正公布されて今日に至つており、その基準は政府職員並みに改められなければならないわけでございまして、今度判事補、簡易裁判所判事、及び下級の検察官につきましてこれを六千三百七円ベースに引上げまして、その均衡を保とうといたしますのが本法案趣旨でございます。尚、判事及び上級の検事については、特別職の職員の給與との関係もありますので、今度は据置となつております。委員会におきましては伊藤、鬼丸各委員より熱心な質疑があり、政府委員、最高裁判所説明員よりそれぞれ答弁がございましたが、その要旨は速記録を御参照願うことにいたしまして、討論は省略の上、採決の結果、二法案いずれも全会一致可決すべきものと決定いたした次第でございます。(拍手
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十、地方行政調査委員会議設置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐君登壇拍手
  36. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今議題となりました地方行政調査委員会議設置法案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず政府提案の要旨及び法律案の内容を御説明申上げます。  先般来朝したシヤウプ使節団は、我が国の民主化を促進するためには強力な地方公共団体を作る必要があること、そのために地方公共団体の財政力を強化する方策と並んで、国と地方公共団体の事務の配分を再検討し、先ず市長村に、次に都道府県に優先権を置き、国は地方公共団体では有効に処理することができない事務のみを引受けるように事務の再配分を行うべきこと、そうして、この目的のために五人の委員から成る特別委員会を即刻設置すべきことを勧告しているのでありますが、政府はこの勧告の趣旨に基き、地方行政調査委員会議を設置することとし、この法律案提出したのでありまして、その内容について申上げますと、  地方行政調査委員会議国家行政組織法第八條第一項の規定について総理府の機関として臨時に設置するものでありますが、その任務の重要性に鑑みて、総理府に置かれる各種の審議会のごとき従属的性格を帯びる総理府の附属機関とすることなく、日本学術会議と並んで相当独自的の性格を持つ機関としたのであります。会議は地方分権の本旨に則り、地方自治を拡充強化して、国政の民主化を推進するため、地方自治を基底とする市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整、地方公共団体の機関に委任して行う事務の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣に勧告し、及び内閣を経由して国会に勧告することを以てその任務とするものであります。而して内閣は直接これを具体化する法律案を作成し、国会に提出するという場合には、会議の勧告を尊重しなければならないのであります。  次に会議の組織でありますが、会議は内閣総理大臣が両院の同意を経て任命する委員五人で組織し、委員の中から互選して議長を置きますが、五人の委員のうち三人は、シヤウプ勧告書に従い、全国の知事、市長及び町村長の各連合組織の代表者がそれぞれ推薦する者でなければならないといたしております。尚この会議に專門的事項を調査させるため二十人以内の專門調査員を置き、及び事務局を設置し、関係行行機関又は地方公共団体との間に連絡員を置く等、必要な規定を設けております。  地方行政委員会におきましてはこの法案の重要性に鑑みまして、主管の木村国務大臣を初め、殖田法務総裁、本多行政管理庁長官等の出席を求め愼重審議をいたしましたが、その応答の重要なものについて御報告申上げます。  第一に、政府案によれば、本委員会議は「総理府の機関として」設置することになつており、日本学術会議の方は「総理大臣の所轄の下」に置くこととなつており、両者法文の形式を異にしておるが、両者の間に如何なる差異があるかという質問に対しては、法務総裁から、結論としては両者は同一である。従来は所轄という言葉を用いていたものもあるが、将来はこの文字を使用しないもりのである。いずれにしても内閣総理大臣とこの機関との関係が最も薄く、この機関の独立性が強いのであるという答弁がありました。尚、会議の存続期間の予定如何との質問に対し、一年半乃至二年ぐらいであるとの答弁がありました。  次に、この会議調査立案する計画の範囲について承わりましたところ、府県市町村の廃置分合についても研究を進めることになるであろうとの答弁がありました。次に、本法案によれば調査委員会議はその調査立案の結果を内閣及び内閣を経由して国会に勧告することになつておるが、「内閣を経由して」国会に勧告するという意味如何、並びに勧告は国会に対し何か拘束力を持つものであるかどうかという質問に対して、経由してということは内閣を文字通り通すだけであり、勧告は国会に対して法律上も政治上も何らの拘束力を持つものでないという答弁がありました。  次に、本法による委員の任命は必ず国会の同意を要することになつておるが、国会閉会中又は衆議院解散の場合に欠員を生じたときの処置についての規定を必要としないかという質問に対しては、本委員会の任務の性質上、欠員の生じたときは、国会の開会を持つて補充する方が適当であり、この方法によつても本委員会の任務達成には支障なき見込であるという答弁がありました。  次に、会議は委員四人が出席することを要し、議事は出席委員の過半数を以て決するとあるが、この場合、委員たる議長に表決権があるかという質問に対しては、議長は一方で委員として常に表決権を持つものであり、可否同数の場合においては更に議長がこれを決することができるものであるという答弁がありました。次に、この委員会が五人の委員を以て組織することになつておるが、中央及び地方の行政組織の根本方針を決する重要な委員会としては余りに委員の数が少な過ぎるではないかという質問に対しては、政府は、委員会の構成はシヤウプ勧告の趣旨を尊重したものであり、各部門に亘る專門調査員の設置と相待つて万全を期したいという趣旨の答弁がありました。  次に、法案によれば專門調査員は非常勤となすことができるということになつておるが、本年度補正予算では全部が非常勤となつている。然るに專門調査員を指揮監督する五人の委員は常勤の委員である。これは委員会の活動上遺憾の点がありはしないかという質問に対しては、本年度は予算の都合上全部非常勤としたが、委員会が本格的に活動を開始する明年度においては、できるだけ常勤の專門調査員を置く方針を以て、目下大蔵省と予算の折衝中であるという趣旨の答弁がありました。その他委員会における質疑応答の詳細は速記録に讓りたいと存じます。  かくて十一月二十八日討論に入り、西郷委員、岡田委員、柏木委員、三木委員、林屋委員よりそれぞれ原案賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付案の通り原案を可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案の対し討論通告がございます。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇
  38. 板野勝次

    ○板野勝次君 本法案は、地方自治を充実強化して国政の民主化を推進するという美名の下に、地方財政の破綻による地方行政の行詰りを蔽い隱すものでありまして、更にこの会議の組織、性格からいたしまして、一層これを強行するものであります。吉田内閣は国家財政の行詰りを地方財政の負担によつて切り拔けようとしております。これは一方においては、来年度予算において見せかけの減税を地方税四百億円の増徴ですり換えようとしており、他方においては、通産局分室、陸運局分室等のごとく、政府出先機関が次々と財政的裏付けなしに地方庁に委讓されようとしている点よりいたしましても、明らかに証明されるのであります。このことは、吉田内閣の低賃金、低米価、重税による大衆收奪と相待ちまして、地方財政を圧迫することになり、これによつて又地方公務員に低賃金と労働強化と首切りを押し付け、一方では公安條例とか広告條例であるとか地方公務員法の制定によりまして、彈圧政策となつて現われて来、又地方自治法の改惡によるリコール制の実質上の禁止となつて現われているのであります。このような政治的意図を容易にするために本法に基き設置されんとする地方行政調査委員会議の内容は、総理府の機関として国家行政組織の中に置かれる。その委員五名は両院の同意を経るとはいえ、二名は総理が任命する。残り三名は、シヤウプ勧告では知事、市長、町村長の連合組織の代表が選出した者各一名となつていましたものを、推薦した各一名を総理が任命する、このように変更し、委員会の勧告は、シヤウプ案では直接国会にできることとなつていたのを、内閣を経て国会に勧告できるというふうに変更しており、これでは学術会議と同様の独自性どころか、政府の附属機関とならざるを得ないのであります。又委員に対して地方人民の意思を反映するためのリコール制が設けられていない。地方財政に重大関係のある都道府県市町村の統廃合のような問題をも二十六年度頃にやろうとしている。これでは地方行政調査委員会議設置目的である地方自治の充実強化、地方分権の確立どころか、逆に地方自治を圧迫する結果となるのであります。(「独断」と呼ぶ者あり)従つて我が日本共産党といたしましては、政府の内部機関として作るのではなくして、国会の中に、各党が選んだ超党派的な、地方住民の十分な意思を反映するような、真に民主的な特別の委員会設置を主張いたしまするが故に、本案には反対であります。(拍手
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。  討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十一、国有財産法第四十五條の規定による国有財産類別表衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長奧主一郎君。     —————————————    〔奧主一郎君登壇拍手
  42. 奧主一郎

    ○奧主一郎君 只今議題になりました国有財産法第四十五條の規定による国有財産類別表について、審議の経過及び結果を御報告いたします。  昭和二十三年七月、新らしい国有財産法施行されました結果、国有財産の分類方法が変更されまして、即ち旧法では一、公共用財産、二、公用財産、三、営林財産、四、雑種財産の四種に分けておりましたものを、新法では、これを先ず行政財産と普通財産との二つに分類し、このうち行政財産は更に一、公用財産、二、公共福祉用財産、三、皇室用財産、四、企業用財産の四種に細分することになつたのであります。ここに議題となりました国有財産類別表は、この新らしい国有財産法によりまして国有財産全体を新らしく類別したのでありまして、これが将来における国有財産管理の出発点となるものであります。  この国有財産類別表には、道路、港湾、河川、堤等の公共物につきましては、これを計上してないのであります。これは国有財産法第三十八條の規定によりまして、国有財産台帳を調製しなくてもよいことになつておりますので、この総類別表にも計上してないのであります。又神社、寺院、教会の用地、及び地方公共団体の公園用財産につきましては、国有財産法施行細則第七條の規定によりまして、その面積のみを掲げ、価格は計上しておらないのであります。  この国有財産類別表は、大蔵大臣が国有財産調整審議会に諮問して審議せしめた上で国会に提出されたものであります。元来この総類別表は、内閣から前国会に提出せられ、衆議院の議決を経て本院に回付されまして、当決算委員会において審議中、いろいろ不備な点があるのを認めましたので、当局に説明を求めたり、或いは注意を與えたりしておりました。その間に会期が終了となり、審議未了となつたのであります。それで今回改めて内閣から提出になり、衆議院から回付されましたものは、曾て当委員会から政府当局に與えました注意に基いて、不備な点はそれぞれ訂正の上で再提出されたものでありますから、それで完全な国有財産の総目録になつてつたのであります。  けれども尚審議に際していろいろの質問が出たのでありまして、先ず第一に、前回提出のものに比べまして甚だしく数字が異なつている理由につきましては、自作農創設特別会計に属する国有財産に関し、当時整理未済であつた四十二億円以上の財産を計上していなかつたとか、或いは又公共福祉用財産及び皇室用財産について集計を誤まつておつたとか、その外、尚いろいろの誤まりがあつたのを今回訂正したという答弁でありました。  次に参考書類として提出されました公共福祉用財産の明細書によりますと、例えば山梨県の名勝地の猿橋が僅か五円四十銭と評価されていたり、或いは又歴史上有名な京都府の笠置山が僅か七十三円と評価されておるというがごときは、国民感情の上からも甚だ面白くないと思われますが、これらの評価を適当に改めることは如何であるかとの質問に対しまして、当局の答弁は、国有財産法施行令によりますれば、台帳価格は取得価格などによつて登録すべきこととなつております。併し五年ごとに総合評価することになつておりますから、その際に適当に考慮したいと思うという答弁でありました。次に国有財産の評価額が何銭何厘まで計上されておりますが、今日の時勢から見て将来は單位を円で打切つてはどうか、こういう質問に対して当局の答えは、将来は円で打切つても別段差支はないと思うということでありました。  質問が終りまして討議に入りましたとき、政府は決算その他の計算書類の作成に当り一層愼重なる注意を加え、今回のごとき数字の誤まりを犯さないよう注意すべしということ、及び将来は国有財産の評価額を円單位で打切ること、こういうことの二点について委員一同の賛成がありました上で、この国有財産類別表を承認することについて異議はないと全会一致で決議いたしました次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件は委員長の報告通り承認することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて、本件は承認することに決定いたしました。      ——————————
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十二、宮城県白石町に国立こうぞ総合研究所設置に関する請願(二件)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇拍手
  46. 河井彌八

    ○河井彌八君 議題となりました宮城県白石町に国立のこうぞ総合研究所を開設せられたいという請願であります。請願の内容は、議員諸君が請願文書表を精読しておられると思いまするから、その内容には触れません。併し要するに、楮は昔から日本では衣料として非常に貴重な材料であつたものが、段々それが使用せられなくなりまして、殊に明治以来外国から綿の入つて来まする関係上、この仕事がすつかり衰えてしまつたのであります。ところがこれは全国に亘つて沢山の原料があり、これを衣料として使うならば極めて有望であるのであるから、この仕事に三百年来の歴史を持つておりまする宮城県の白石町に、この仕事を十分に発達させまするために、これまでのごとく個人研究所とか何とかいうようなものでなしに、国家で以て研究所を作つて頂きたいという請願であります。そして、その費用は凡そ設立費といたしまして約五千万円かかるということであります。これは衣料の原料が極めて少い今日において、又この仕事を全国に普及させるために最も必要な見地におきまして、内閣委員会は全会一致を以てこれを採択いたしまして、院議を以て内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。この段御報告を申上げます。(拍手
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立を認めます。よつて請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十三より第二十までの請願及び日程第七十六の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なり」と呼ぶ者あり〕
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事黒田英雄君。     —————————————    〔黒田英雄君登壇拍手
  51. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今議題となりました大蔵委員会における請願陳情十二件について御報告いたします。  請願第三十二号刻たばこ製造工場設置に関する請願、本請願は刻たばこの主産地である鹿兒島県に刻たばこ工場を設置されたいというのであります。戰前、工場も存在しておりましたし、需要も多い点等を考慮いたしまして採択いたしました。  請願第五百号、綿、スフ織機復元のための復金借入金返済期限延長等に関する請願、本請願は、経済情勢の変化によりまして、復金借入條件が苛酷に感ぜられ、復興を妨げておりますので、金利の引下げ、返済期限の延長を図られたいというのであります。経済情勢の変化に適応するために適切な趣旨と認めて採択いたしました。  請願第百十四号預金部資金利率引下げ及び償還期限延長に関する請願、本請願は、地方公共団体の財政逼迫の状況に鑑み、預金部資金の貸出條件を緩和されたいという趣旨であります。預金部資金も大分余裕がある状況でありますので、適切なものと認め採択いたしました。  請願第百六十号清酒増石に関する請願、本請願趣旨は、清酒の不足に悩む北海道に原料米を送り、清酒の増石を図られたいというのであります。北海道における清酒の需給状況より見まして妥当なものと認め、採択いたしました。  請願二百九号陶磁器の物品免税点引上げ及び取引高税撤廃に関する請願、本請願は、陶磁器の物品税免税点を引上げ、且つ取引高税を廃止されたいというのでありますが、取引高税につきましては政府も改正をいたすことになつておるので保留いたしまして、免税点は低きに失するので、適当と認め、採択いたしました。  請願第二百四十一号、きせるの物品税免税点引上げに関する請願、本請願は、きせるの免税点は低きに失するので引上げられたいというので、現行免税点は有名無実になつておるので採択いたしました。  次は、請願第四百六十六号、同五百九十六号、同じく六百四十二号国家公務員共済組合法中一部改正に関する請願、この請願は、国家公務員共済組合の内容、実質に幾多の不合理の点があるので、改正せられたいというのであります。国家公務員の福利厚生を充実するため適切な趣旨であると認め、採択いたしました。  請願第四百六十七号、同じく五百九十六号、昭和二十四年政令第二百六十四号中一部改正に関する請願、本請願は、昭和二十四年政令第二百六十四号は、手当支給の算出方法の不合理のため、退職者の利益が十分に保護されていないので、一部改正を行われたいというのであります。退職者の適当なる保護が必要であると認めまして採択いたしました。  陳情第十九号節句飾物類物品税改正に関する陳情、この陳情趣旨は、節句飾物類は、その製造過程の特質上、小売課税に改められたいというのでありまして、現行税法によりますと業界に課税の不公平を生ずるので、本趣旨は妥当なものと認め、採択いたしました。  以上請願十一件、陳情一件は採択に決定し、内閣に送付を要するものと決定いたしました。
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言なければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二十一より第二十四までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事小林勝馬君。     —————————————    〔小林勝馬君登壇拍手
  56. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 只今議題となりました請願について、電気通信委員会の審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず電報配達通数きん少局の電報配達要員廃止反対に関する請願の願意としますところは、電報通数月百五十通以下の局の電報配達要員は全面的に廃止され、臨時雇者に配達させることになつたが、これでは迅速性と通信の秘密保持上寒心に堪えないから、この制度を取消されたいとの趣旨であります。  次に、川崎市内電話交換方式変更に関する請願の願意としますところは、川崎市内にある川崎、中原、溝ノ口及び登戸の各局は、それぞれ交換方式を異にし、且つ同一市内でありながら市外通話の取扱を受け、利用者は極度に不便を感じているから、その通話を市内扱にすると共に、同一方式に変更せられたいとの趣旨であります。  次に私設電話に関する請願の願意としますところは、私設電話のように特定の者の利用する施設は、利用者当人の負担によつて再建拡張し、施工に当つては官営を廃し、又独占会社を退け、広く開放して、競争の下に迅速な普及及び発達を図るべきであるから、電気通信省においては、加入電話の改善と復旧に注力を注ぎ、私設電話に対しては統轄的な指導の立場を以て臨まれたいとの趣旨であります。  次に、都城、宮崎両市間に電話地下ケーブル線布設請願の願意としますところは、電話線が裸線路であるため、毎年数回の風水害に断線され、非常対策等に支障を来たしているから、線路を地下に布設せられたいとの趣旨であります。  委員会は以上の請願につきまして愼重審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認めて、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。以上御報告申上げます。
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 議事の都合により日程第二十五より日程第二十七までの請願及び日程第七十七の陳情を後に廻したいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議なしと認めます。      ——————————
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二十八より第七十五までの請願及び日程第七十八より第九十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議なしと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員会理事仲子隆君。     —————————————    〔仲子隆君登壇拍手
  63. 仲子隆

    ○仲子隆君 只今議題となりました請願四十八件及び陳情十三件につきまして、建設委員会の審議の結果を御報告いたします。  請願陳情のうち河川改修に関するもの十三件、即ち北海道天塩川川口、愛知県矢作川、兵庫県市川、猪名川、福島県杉田川、岡山県吉井川下流、宮崎大淀川上流支川、大阪府淀川、鹿兒島県神ノ川、埼玉県利根川、神流川、靜岡県安倍川であり、堰堤築造に関するもの四件、鳥取県日野川、岐阜県牧田川、岩手県北上川上流五ケ所の施工及び宮城県大淀川大淀堰堤の調査であります。又宮崎大淀川上流部の本支川については直轄河川編入を請願しております。  砂防に関するもの七件、即ち奈良県生駒町内、生駒山腹地辷り防止工事、靜岡県東山沢川、滋賀県大戸川、岩手県膽沢川上流、島根県周布川、岡山県下各河川、宮崎県下各河川であり、根本的治山治水方策として砂防工事は最も強力なる遂行を要するところであります。尚、治山治水事業についても三件あり、根本的治山治水事業の急速なる断行を要請するもの、及び地方的なものとしては、長野県下の犀川、千曲川、裾花川及び同県女鳥羽川附近の施工であります。  災害復旧事業に関するものは十件、宮崎、長野三件、福岡、茨城、鹿兒島の諸県及び愛知県一ノ宮市碧南地区の地震災害、福岡県宇美町、又戰災復興が終戰以来四ケ年を経て今尚遅々として進まない状況に対して速かなる本事業の完遂を要請しております。  治山、治水、災害復旧、戰災復興に関する諸件は、現下最も緊急なるものでありまして、積極適切なる施策を講ずるよう特に要望する次第であります。  次に道路に関しては八件、国道第二号線中、兵庫県姫路市以西県境までの区間、国道第五号線山形県雄勝、主寝坂の両峠、富山県城端、岐阜県白鳥間の城白線、北海道天塩町内の産業道路、福島県南会津街道の改修の外、四国西南地域幹線道路国道編入と改修、名古屋大阪間産業道路建設路線の請願であり、橋梁につきましては四件、愛知県矢作橋、兵庫県夢前橋の架換及び岐阜県竹ケ鼻と愛知県起町間木曾川架橋、北海道天塩川の架橋に関するものであります。道路橋梁に関する諸件は、地方交通の利便、産業の発達上その必要を認め、国道の編入、路線の決定は将来実施を要するものと認め、これを採択したものであります。  次に十津川、紀の川総合開発事業の速かなる実施住宅組合に対する長期低利の融資、庶民住宅建設助成及びその処分、上水道整備事業の国庫補助増額、島根県の公共事業の実施、盛岡市所在の戰災者、引揚者收容所の設備改善、靜岡県下、雄踏町所在地方法務局支局庁舎建築の要請は、いずれもその必要を認めました。  以上当委員会においては愼重審議の上、国土の保全、開発、民生の安定、経済再建の基盤を造成するために、これを院議に付し、内閣に送付すべきものと決定した次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により午後一時半まで半憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ——————————    午後四時二十七分開議
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。参事をして報告いたさせます。    〔河野参事朗読〕 本日議員徳川頼貞君外二十四名から、委員会の審査省略の要求書を附し左の議案を提出した。  ユネスコ運動に関する決議案(徳川頼貞君外二十四名発議) 本日委員長から左の報告書を提出した。  漁業法案可決報告書  漁業法施行法案可決報告書  日本專売公社法の一部を改正する法律案可決報告書  大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  外国為替特別会計法案可決報告書  地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案可決報告書  国際観光事業の助成に関する法律案可決報告書 本日水産委員青山正一君から左の少数意見報告書を提出した。  漁業法案及び漁業法施行法案に対する少数意見報告書      ——————————
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、ユネスコ運動に関する決議案(徳川頼貞君外二十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては徳川頼貞君外二十四名より委員会審査省略要求書提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。徳川頼貞君。     —————————————    〔徳川頼貞君登壇拍手
  70. 徳川頼貞

    ○徳川頼貞君 只今上程されましたユネスコ運動に関する決議案の提案理由を説明いたします。  ユネスコ即ち国際連合教育科学文化機関は、皆様も御承知のように国際連合の有力なる專門機関でありまして、教育、科学及び文化の領域を通じての国際的協力によりまして、世界平和に貢献せんとするものであります。すでに参加国三十四と、外にオブザーバーを派遣するもの九ケ国を数えておるのであります。新憲法の下、平和的にして文化的なる国家の建設を全世界に約束し、国家の名誉にかけて全力を挙げてこの崇高なる理想の達成を誓つて参りました我々といたしまして、ユネスコ精神を国内に普及徹底せしむることは、現下の最も必要のことと思うのであります。我々国会議員は、すでに新憲法施行に伴いまして、新国会の発足と同時にユネスコの研究を始め、全国的推進運動に協力を続けて参つたのでありまするが、各地の協力会もすでに六十八を数えまして、活溌に活動をしておるようになつたのであります。この現状はユネスコ本部の認めるところとなりまして、本年五月我が国に駐日代表を派遣し事務所を開設されるまでになつたのであります。又九月パリにおきまして開催されましたところの第四回ユネスコ総会におきましては、日本におけるユネスコ活動を拡大すること、ユネスコの專門家技術家会議には日本代表の参加を認めること、ユネスコの諸会議には日本人オブザーバーの参加を許可すること等を決議しましたのであります。即ち日本におきまするユネスコ活動は、すでに諸国家の支持するところとなつたのでありまして、誠に喜びに堪えぬ次第なのであります。そこで我々はこれを一契機といたしまして、ここに国会の分野におけるユネスコ運動を起しまして、全国的活動に更に拍車をかけ、我が国の正式参加促進の一助ともしたいと思うのであります。以上が本決議案の提案理由であります。これより決議案を朗読いたします。    ユネスコ運動に関する決議案   憲法第九條によつて永久に戰争を放棄した日本国民こそ、人間の心によつて永遠の平和を築き上げることを目的とするユネスコの精神と運動に最大の関心をもつべき義務がある。   われらは我国に駐日代表を派遣し、我国の平和運動に多大の支援を與えているユネスコの本部の厚意に感謝すると共に、一刻も速かに正式参加を許容されんことを希望する。政府は盛り上りつつある民間ユネスコ運動に相応じ、速かにこれを一層促進する措置を講ずべきである。   右決議する。  何とぞこの決議案に御賛成の程を切に希望いたす次第であります。(拍手
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対して討論通告がございます。順次発言を許します。久松定武君。    〔久松定武君登壇拍手
  72. 久松定武

    ○久松定武君 私は只今上程になりましたユネスコ運動に関する決議案に対して賛成をいたすものでございます。  私は憲法第九條の規定を特に重大なるものと考えておるものでございます。併しながら單に憲法の條文で戰争放棄を宣言しただけでは何にもなりません。何故戰争が起きるか、どうしたら戰争が起きるのを防ぐことができるかという問題を真劍に考えなければならないと存じます。戰争の具体的原因は種々さまざまでありましようが、戰争の根本的原因として、戰争は人間の心の中から起きるとユネスコが宣言したのでありますが、問題の核心を衝いたものであると私共は考えるのであります。戰争の原因を人間の心に求める思想は、余りに素朴簡單な思想と批判する者もあるかも知れません。併しながら真理というものは常に單純明白なものであります。あらゆる戰争の究極的原因を突き詰めますと、結局それは人間の心に帰着するのであります。経済的や、政治的や、又軍事的な事情国家を戰争へ駆り立てるが、実際はこれらはむしろ戰争への條件に過ぎないと存じます。戰争を起すか起さないかは実に飽くまでも人間の心にあるものであると信じます。ユネスコがこの簡單にして明白な原理を極めて率直な言葉で言い切つておることに対して、私は深く敬意を表せざるを得ないのでございます。(「同感」と呼ぶ者あり)ユネスコは、戰争は人間の心の中から起きるという動かすべからざる前提から出発しております。それではどうすれば人間の心から戰争の原因を取り去ることができるかという問題を考えますと、それには、風土が違い、言語が異なり、歴史や習慣が異なるいろいろな国民が、お互いによりよく相手を理解し合うことが最も必要だとの結論に達したのでございます。而して各国民の間の相互の理解を深める手段として、教育、学術、文化の促進と、その国際的交流を取り上げたのでございます。日本の新憲法は、すでに戰争の放棄を宣言しているものであります。この新らしい憲法を作つた日本の人として、ユネスコの精神と運動に誠心誠意協力すべきことは当然であると共に、平和運動に最善を盡すことは、過去において恐るべき戰争を起した責任のある日本人の義務であります。我が国は未だ正式にユネスコ竜に参加を許されておりませんが、ユネスコ本部は、我が国にすでに代表を派遣し、我が国のユネスコ運動に多大の援助を與えられております。我が国としては、この厚意に対し心から感謝の意を表すると同時に、この厚意に対し最大の努力を以て酬いなければなりません。聞くところによりますると、我が国におけるユネスコ運動の盛んなことは、アメリカに次ぐものがあると言われております。この際、政府はユネスコ本部の厚意と国民の間に盛り上りつつあるユネスコ運動への熱意に応えて、一層これを促進するために適当な措置を速かに講ずべきであると信ずるものでございます。  以上の理由によりまして、私は本決議案に賛成の意を表するものでございます。(拍手
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 金子洋文君。    〔「金子先生頼むよ」「どうも暫らくでした」「余計なことを言うな」と呼ぶ者あり、笑声〕    〔金子洋文君登壇拍手
  74. 金子洋文

    ○金子洋文君 私は日本社会党を代表いたしまして本決議案に賛意を表するものであります。  国際連合教育科学文化機関即ちユネスコは、過去の歴史に見られない独特の機構であり運動とされているのでありますが、この運動が終戰後、期せずして多くの支持を得て発足したゆえんのものは、申すまでもなく第二次世界大戰の結果でありますが、同時に終戰の間際において二個の原子爆彈が使用されたことも大いなる原因をなしているのであります。二個の原子爆彈が広島と長崎に投下されたとき、世界の人々は思いも寄らない衝撃を受けたのでありますが、バートランド・ラツセルの表現を借りますと、世界に巻き起つた反響は一種茫然とした驚きがあつたと言われております。そうして誰しも考えたことは、双方原子爆彈による大規模の原子戰争が始まつたならば、人類はみずから発見創造した科学のために滅亡するだろうという考えであつたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こうした人間に対する不信と絶望の念を抱きながら、人々は戰禍の未だ生々しいロンドンのユネスコ大会に参集したのでありますが、このときの議長なつた英国代表の文部大臣エレン・ウイルキン女史も同じ危惧の念を述べておるのであります。「今日、我々は、科学者がこの次に何をしでかすか、非常な危惧の念で疑つておる。科学者がヒユーマニズムと密接に結び合い、彼らの研究の成果に対して人類に責任を感じるようにすることが必要である。ユネスコの表題中に科学の言語を是非入れて欲しいと主張したのは科学者自身であつたことは欣快に堪えない。」正にその通りでありまして、物質科学が人間科学即ち広い大きな意味のヒユーマニズムと手を握ろうとしなかつたならば、次の戰争は人類滅亡の端緒をなすであろうことは言うまでもないことだろうと思います。  「戰争は人間の心の中で始まるものであるから、人間の心の中で平和の防衛が建設されなければならない。」この言葉はユネスコ憲章の冒頭にある有名な一節であつて、すでに皆さんも御承知のことと思います。この憲章の草案者は、アメリカ国務省の文化局長であり左翼詩人のマツクレーン氏と聞いておりますが、そう聞くと、詩人らしい風格があつて、肌ざわりがよく、幾分甘さもあつて、一般に快く玩味されるゆえんでありますが、それだけに、ありきたりの精神的な平和運動に誤解される懸念もないではありません。併しユネスコ運動が従来の平和運動と異なる点は、政治、経済等の物資面を担当する国際連合と表裏一体の運動であることでありまして、人類の知的及び徳性的結合によつて平和を守ろうとするのであります。現在日本においては、全国に六十八の協力会があり、その外にユネスコ議員連盟や、世界にないところの学生ユネスコ・クラブ等があつて、活動しているのでありますが、この運動は官僚に指導される運動であつてはならないし、特定の団体や活動しない有名人を首脳部に戴く運動であつてはならないのでありまして、それは飽くまでも主権在民に即応したところの民官一致の運動でなければならないのであります。然るに今回ユネスコ運動の実情調査のためにアメリカへ派遣された人々の顔ぶれを見ますと、外務関係一名、文部関係二名、民間協力会関係一名となつておりまして、戰前と変りない人選となつておるのであります。この人選に対しては民間においてもごうごうたる非難がありまして、将来のユネスコ運動に対して禍根を残す虞れがありますので、この点については政府はどのような考えを持つてこの運動に臨もうとしておるのか、その所見を伺うことができましたら幸いと存じます。以上を述べて私は本決議案に賛意を表するものであります。
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し文部大臣より発言を求められました。高瀬文部大臣。    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇拍手
  77. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今の御決議に対しまして、政府の所見を申上げたいと思います。  教育、科学及び文化の国際的な協力を促進し、世界の恒久的平和に貢献しようとするユネスコ運動と、平和を基調とする文化国家建設を目指しております我が国の高遠な理想とは、極めて深い関係のありますことは明らかであります。政府は従来におきましても我が国内のユネスコ運動の発展を促進いたしますために相当の努力をして参つたのでありますが、今回の御決議によりまして更に決意を固めまして、御決議の趣旨に副うよう一層の努力をいたしたいと考えております。(拍手)      ——————————
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程追加して、漁案法案及び漁業法施行法案、(いずれも第五回国会内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。尚、両案については少何意見の報告書が提出せられております。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。     —————————————    〔木下辰雄君登壇拍手
  80. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今議題となりました漁業法案並びに漁業法施行法案に関しまして、水産委員会におきまする審議の経過並びにその結果について御報告いたします。  先ずこの両法案提案理由を申上げます。御承知の通り我が国の当面する最大の問題は、国民の各分野における民主化を達成し、その基盤の上に生産力を発展させ、日本経済の再建とその自主化を図ることであります。我が国産業構成の基盤をなす漁業におきましても、速かに民主化を達成し、その基盤の上に生産力を発展させる必要のあることは勿論であります。然るに現行の漁業法は古い法律でありまして、明治三十四年に制定せられまして、三十六年に実施せられたものでありまして、その間数回の改正を経て今日に至つたのであります。その内容の根本的欠陥といたしましては、個々の漁法権を中心に漁場の秩序が組み立てられているために、漁業生産に欠くべからざる事項、即ち第一、相当広い水面を單位とした総合的な計画性を持ち得ないこと、その第二、適当なる調整機構がなく、漁業権を物権とみなし、権利者に強力なる権力が與えられて、漁場の秩序が漁民の総意によつて民主的に運営せられておらぬ。これらのことであります。これらの事柄が漁業生産力の発展を阻害し、又漁村の封建制の基礎をなしているのであります。従つて漁業生産力を発展させ、漁法の民主化を図るためには、この行詰つた漁場関係を全面的に整理して、新たに漁業生産に関する基本制度を確立する必要があるのであります。この漁業制度改革を実施するために、新たに漁業法及び漁業法施行法を制定する必要があります。以上が政府の本法案提案理由となつております。  次に法案の重要なる内容について申上げます。  その第一は、沿岸漁場の全面的整理であります。即ち現行法による漁業権は二年以内に全部消滅させて、新たに計画的に新漁業権法免許を行うことになつております。而して消滅する漁業権には漁業権補償委員会の計画に基きまして、補償をすることになつております。その補償金額の算定方法は概る財産税の場合の評価方法に倣つて定めた額で、その総額は大凡百七十億円を要するのであります。  第二は新漁業権の内容であります。即ち新漁業権は、共同漁業権、定置漁業権及び区画漁業権の三種に区分せられまして、又存続期間を短縮し、漁場の固定化を防ぎ、事情の変化に応じまして最も合理的に漁場を利用し得るようになつております。  第三は漁業権の免許方法であります。即ち漁業権の免許は、都道府県知事が漁業調整委員会の意見を聞いて、水面の総合的高度利用の見地から事前に免許の内容を決めまして、法律で定めた適格性と優先順位に従つて免許することになつております。そうして従来のように行政庁が独断的に決定することを避けて、法律の定めた基準に従つて民主的に決定することとなつております。  第四は漁業権の免許は誰にするかという問題であります。これは原則としてみずから漁業を営む者でありまして、漁業権の賃貸は禁止してあります。但し漁業権の性質上その行使に団体的規制が必要であるものは、自営でなくても一定の條件を備えた漁法協同組合に免許して、組合員各自が漁業を営み得るように措置されております。  第五は漁業調整委員会の制度を設けたことであります。漁場の総合的高度利用及び漁業に関する紛争の調整を図るために、民主的な機構として新たに漁業調整委員会を設けまして、行政庁が漁業の免許等重要な行政処分をなす場合には、この委員会の意見を聞かなければならぬことにいたし、更に漁業調整上必要な指示をするという広汎な権限を與えております。この調整委員会は海区漁業調整委員会、連合海区漁業調整委員会及び中央漁業調整審議会の三段階になつております。又瀬戸内海に関しましては、漁業の複雑性に鑑みまして、瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を置くことに相成り、又瀬戸内海の資源維持と漁業調整のために瀬戸内海漁業調整事務局を設置することになつております。而して河川におきましては、漁業調整委員会の代りに内水面漁業管理委員会を置くことに相成つております。  以上がこの法案の重要なる内容であります。  元来この法律案は水産業協同組合法と同時に制定せらるべき性質のものであります。むしろそれに先んじて制定せらるべき性質のものでありますが、非常に遅れまして、漸く前第五国会の末期、即ち本年の五月七日に政府から提案せられまして、衆議院先議、参議院は予備審査と相成りましたが、会期が短かく、到底この重要法案を会期中に審議終了することが困難でありましたので、両院とも院議を以て継続審議をいたすことに相成つたのであります。  この漁業法案は十章、百七十五條、又漁業法施行法案は二十六條より成つておりまして、以上述べました通り、現行法とは根本的に相違いたしておりまするので、委員会といたしましては、第五国会から本日まで引続き委員会を開くこと三十四回、打合会及び懇談会を開くこと六回に及び、その間各委員は地方に出張いたしまして実情を調査し、或いは漁業者の意見を聽取して、法案審議に資したのであります。更に、本月の十四、十五の両日に本案の公聽会を開きまして、二十二人の公述人から法案の各般に亘る意見を聞きました上、愼重審議の結果、六十項目の亘る修正條項を決定いたしたのであります。これは現在の状態として改正し得る最大限度であると私共信じております、これを直ちに関係筋の了解をも得まして、参議院水産委員会としての態度を決定いたして、そうして衆議院から法案の回付されるのを待機しておつたのであります。ところが衆議院におきましては、これまでの行きがかりを一掃して、参議院水産委員会の修正案に全面的に同調することに相成つたのであります。私共衆議院の水産委員会に対しまして心から敬意を表するのであります。そうして昨日この修正案を可決いたしまして本院に回付されましたのであります。よつて委員会といたしましては、本日本案に対する最後の委員会を開きまして、直ちに討論、採決の結果、多数を以て衆議院から回付されました修正案をそのまま可決いたしたのであります。  本案に対する委員と政府当局との質疑応答、その他委員会の経過、或いは公聽会における公述人の述べられました事柄につきましては、速記録によつて御了承願いたいと思います。又本法案の修正は、目下設立されつつありまする漁業協同組合の育成強化に主眼を置いて修正いたしたのでありまして、六十項目に及んであります。この外に各委員から切実なる修正要望も沢山ありましたが、これらは他日に考慮することといたしたのであります。この修正項目を一々ここで御説明申上げることは省略さして頂きまして、議員各位に配付いたされました書類によつて御承知をお願いいたしたいと存じます。  以上御報告いたします。(拍手
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十分間に制限いたします。青山正一君。    〔青山正一君登壇拍手
  82. 青山正一

    ○青山正一君 私は社会党を代表いたしまして、漁業法、同施行法の原案並びに修正案に対しまして反対し、少数意見を開陳するものであります。  本法案は、申すまでもなく日本漁業の再建、漁村の民主化、延いては沿岸漁民大衆の運命にもかかわる重大法案であります。第五国会に本法案提出され、継続審議に付せられ、その後休会中なり、或いは本国会にかけまして愼重に検討いたし、その結果、只今委員長の報告のような修正案がでつち上げられたのでありますが、この内容のままで果してよく漁業制度改革の目的を達成し得るかに多くの疑問のあることを誠に遺憾とする次第であります。御承知のように農地改革は、大地主とか或いは不在地主とかいうものがなくなりまして、みずから耕す農民に対しましてそれぞれ一定の面積の耕地が與えられることになり、その結果といたしまして、農民の社会的、経済的地位が安定するようになつたのであります。然るに本法案の目的といたしております漁業制度の改革は、農地改革に比較いたしまして反対の結果になりはしないかとさえ私は心配するのであります。(拍手)本法案では、現存の漁業権を一応御破算にいたしまして、いわゆる不在地主的な漁業権者を排除いたしまして、漁業を実際に経営する人々に、一定の基準の下に新らしい漁業権を分配することを骨子としておるのであります。ところで、現存の漁業ではどういうことになつておるかと申しますと、專用漁業権では約九割以上、その他の漁業権では約六割五分以上を沿岸漁民の団体、即ち零細な漁民や中小漁民の寄り集まりであるところの漁業会……漁業協同組合が持つておるのであります。大掴みに見まして、漁業権全体の半数以上が漁民団体の手にあること、零細漁民、中小漁業者の寄り集まりであるところの団体の手にあつたことを見逃してはならないのであります。今回の改革案では、これまでの專用漁業権、新漁業法では共同漁業権と申しておりますが、その共同漁業権を漁業協同組合に対して特権として與えられるということには変りはないのでありますが、それ以外の漁業権でこれまで組合の手にあつたものはこれを取上げて、漁業を実際に営む者に與えるという名分の下に、海に出て働く経営者では決してなく、陸上について「いろり」のそばに坐り込んでおるいわゆる羽織ゴロ的な資本家的個人業者に與えられることになるのであります。(拍手)折角零細な漁民、二百人なり三百人なりの中小漁業者が協同で持つておるところのものを取上げまして、そのうちのただ一人の特定の資本家的個人業者に分配するがごときことは、農地改革と比較いたしまして逆の行き方であり、誠に納得の行かぬところであります。(拍手)それだけではなく、漁業協同組合に與えられることになつております共同漁業権も、その内容が非常に狹められたものになるのであります。即ちその漁場というものは磯近い所に限られ、その目的物の種類も海草とか或いは貝類などのようなものに限られ、いわゆる浮魚類、海に泳いでおる魚を除くのでありますから、これまでに比べまして遥かに不利益なことになることは明白であります。かくのようにして共同漁業権の内容が制約されただけ、資本家的特定の個人業者に與えられます漁業権の方が遥かに有利になりますことは、これは私がここで申上げるまでもないことであります。  又本法案では、漁業権はこれまでの通り物権の一種になつておりますけれども、その存続期間を従来二十年以内とあつたものを十年又は五年と短縮いたし、而も期間の更新ということが認められないのであります。従いましてその期間の切れ目ごとに新たに免許を受ける面倒や或いは不安は免れないのであります。(「よく読んで呉れ」と呼ぶ者あり)農地改革では一度その地位が安定すれば殆んど永久に心配はないのでありますが、漁業権の場合は現在より短かい期間になつたばかりでなく、常に漁業免許の大騷ぎをしなくてはならないのであります。それだけではなく、新漁業権は讓渡も貸付もできないのであります。成る程自分で漁業を経営する人々にとりましては、余り必要のないことでありましようが、漁業権そのものの価値とか効用とかはそれだけ弱められ、有名無実の物権であることだけは明瞭であります。従来、漁業会或いは漁業協同組合などのような団体が漁業権を有しましても、みずから漁業を営むわけではなく、他人に賃貸していたような場合が少くなかつたことは、これは事実であります。併しこれは、漁業を自営することを制限したり或いは禁止したりしていた上に、歴代の政府が漁民に対する政策に甚だ無定見であつたために外ならないのであります。決して漁民や漁民団体の罪ではないのであります。このような制度と政策の犠牲に過ぎない事実から、働く漁民の団体である漁業協同組合などをいわゆる不在地主的漁業権者と同一視するならば、これは誠に惨酷な措置と言わなければならないのであります。(拍手)更に本法案は漁業権制度の改革に重きを置いたためか、漁業許可制度につきましては余り鑑みていないようであります。中央及び地方におきまして漁業の許可を受けている件数は十数万件にも達するであろうと言われておるのであります。で、これは漁業生産上決して軽視することのできないものであります。殊に漁業権の漁場と、これらの許可漁業の漁場とは、互いに入り込んでおり、両者を一括しなくては漁場利用の綜合計画など立てられそうに思われないのであります。然るに本法案では許可漁業の一部たる指定遠洋漁業だけに比較的はつきりしたことを規定していながら、一般の許可漁業に関しましては余り触れていないことを見逃してはならないのであります。  以上の通り、本法案は漁業制度の改革案といたしまして多くの問題を残していることは、これは否定し難いところでありますけれども、漁村民主化の他の一翼でありますところの水産業協同組合法がすでに一足先に実施され、現に漁業協同組合が著々として成立している今日、本法案の成立が遷延いたしますことは大局の上から誠に忍び得ないのであります。そこで先程委員長より報告のあつた修正案に、更に只今申上げたような重要な修正点を加えまして、これを成立させることが、この際とるべき適当の措置と考えましたが、不幸にいたしまして我々社会党の熱意が報いられなかつたのであります。而も我々の修正いたしたいと主張しました事柄は、零細な漁民、中小漁業者の団体でありますところの漁業協同組合にとりまして、極めて重要な点のみを挙げたのであります。これら沿岸漁民大衆の利害を深く考えますと、このような最少限度の修正もせず、本法案並びに委員長報告の修正案に無條件に賛成することは、零細漁民並びに中小漁民の代表たる社会党といたしましても、(笑声)又一個人といたしましても良心が許さないのであります。  以上の理由を以て私は社会党を代表し少数意見を提出して本修正案に反対するものであります。終り。(拍手
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 両案に対し討論通告がございます。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇
  84. 板野勝次

    ○板野勝次君 漁業法案、同施行法案に対して反対であります。太平洋戰争以前におきましては日本の大資本漁業は北洋や東南支那海において、取れるだけの魚を取るという掠奪漁業を続けて来、そのために農村漁村の労働者は奴隷のように酷い扱いを受けながら出稼ぎ人夫に狩り出されたのであります。敗戰になると日本の漁区は戰前の三分の一に縮められ、外に向つて侵略を続けて来た大資本漁業は、今度は狹い漁区の中で沿岸を荒し始めておるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)輸入資材の油も網も彼らのために優先的に與えられております。官僚は彼らと結託して、彼らだけに引合う独占価格で取れた魚を統制しております。(笑声)輸出用魚類だけはマル公を外して軍需用罐詰として外国に持出されようとしております。そのために一日少くとも八十グラムの蛋白を必要とする日本人一人にとつて、都市では僅かに六・七グラムの魚しかその手に入らない。かくして一九三四年には世界十七ケ国の四四・五%の魚獲高を占めて第一位にあつた日本は、一九四六年には総額八百五十三万トンの僅かに一八・五%にその魚獲高は下り、全経営数の八九・七%を占める沿岸岸零細漁業者は、税金の重圧と資材の不足と生産原価を遥かに下廻る低漁価のために、加配米さえもとることができずに、船を売り網を手離して、失業者となるか、大資本漁業の出稼ぎ人夫に狩り立てられるか、或いは首を吊るより外はしようがないと考えております。かようにして徳川時代以来封建領主のお墨附で與えられました沿岸漁業権の内容は、実質的に全く無きに等しいものになろうとしておるときに、政府は本漁業法案提出して、大資本漁業の隸属の下に四万三千九百二十五件に上る沿岸漁業権全部を漁民の手から取上げ、これを漁業資本家の手に委ねようとしておる。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)かくして取上げられる漁業権に対する補償費約百六十億は、三十年拂いの紙切に等しい政府証券であり、只同様で取上げられた上に、これが今度は誰に與えられようとしておるか。本法案においては第一優先順位として協同組合に與えられることになつておりますが、十月十四日水産団体法定解散日における漁業協同組合設立数は、漁村ボスに妨げられて僅かに六〇%にしか達せず、その出資額は平均二十万円以下であります。定置漁業の一網を張るためにも数百万円を必要とする現在において、資金も資材もない組合がどうしてやつて行けるでありましよう。法案によれば、過半数の出資を個人から受けている組合においても漁業権は與えられることになつておりますが、これは実質上協同組合の経営権が資力ある経営者に委ねられる以外の何ものでもないのであります。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)まして新組合長のうちの四割一分までが旧漁業会長に占められておる現在、協同組合は漁業会の曾てのボスに全く牛耳られてしまつておる現状において、たとえ組合に漁業権が與えられたといたしましても、その結果はどうなるか、金詰りと重税に苦しむ漁村、更に三%より五%に及ぶ許可料を税金の外に巻き上げられる仕組になつており、而も漁業権調整を図る漁業調整委員会は、何らの決定権をも持たせられず、官僚の支配に任せられておるのであります。かようにして法案においては沿岸漁業の大資本漁業による支配を詳細に規定しながら、沖合、遠洋漁業に対しては実にルーズに放りつぱなしにして、官僚の抜ける途を與えておるのであります。農地改革と共に日本民主化の二つの柱とも言うべき漁業権改革を、かかる杜撰極まめ法律で果して解決できるでありましようか。衆議院におきましては、三百万漁民の命の綱とも言うべき法案を第五国会以来半歳を費しながら、全く漁村封建勢力の温存のための極めて反動的修正にのみ日を費しまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)三百万漁民の渇望と期待を踏みにじる反漁民的な修正案をでつち上げたのであります。(「もつと研究しろ」と呼ぶ者あり)これに対しましては、十月二十六日より二十七日に亘る日本タイムスによつて衆議院の水産委員の一名を除く全員が日本漁業制度改革をサボるボスであると酷評されております。(拍手)そうして国際的な輿論にまでなつておるにも拘わりませず、民自党は、かかる漁民の意思を無視する修正案を小委員会において共産党の砂間委員の撤回要求にさえも耳をかさずに強引に採決したのであります。然るに会期の切迫しておる本月二十六日忠告に会うたのであります。突如として半歳を費してでつち上げた修正案を急遽引込めた、このことは民自党諸君も御存じであろうと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今まで反対していた参院の水産委員会の修正案を一人に三分の審議の余裕しか與えずに採決してしまつておる。漁民の死活を決する本法案が僅か三回の審議で片付けられてしまつたという無暴極まる衆議院修正案には、衆院の水産委員長さえも昨日の本会議における経過報告におきまして、かかる意に満たない法案を止むなく通してしまつたことを全国の漁民諸君に陳謝すると弁明し、これに関連しまして、議長不信任案が本日衆議院に上程されようとさえしているのであります。民自党の諸君すら全国漁民の反対を恐れながら、おつかなびつくりで苦しまぎれの賛成をした。かかる杜撰極まる衆議院案は、参議院としてはよろしく反対すべきが当然であると思うのであります。(拍手)  日本共産党は、国家による漁業権の無償収用により、一切の漁業権を協同組合に與え、これを働く漁民に管理させる。漁業に対する一切の官寮支配の廃止、協同組合に対して資金資材を国家によつて保証する。指定遠洋漁業の独占排他的な特権の排除、大規模漁業を国営に移して、人民のために運用し得る管理機構とする。漁業協同組合、漁民組合の国家による強化育成、許可漁業に関する制限規定の表示、漁業調整委員会、中央漁業審議会を漁民の民主的選挙により、これに決定権を與える。こういうふうな趣旨を根幹とする法案に根本的に修正して、漁業の徹底的な民主化を図る。その地盤に立つてのみ漁業生産者の無制限的な発展を期することができるのでありまして、民自党の諸君も眞に漁民の将来を考えて、真劍にこの法案通過阻止のために御健闘あらんことを希望するものであります。(「やらんぞ」と呼ぶ者あり、拍手
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  86. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。(拍手)      ——————————
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐君登壇拍手
  89. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今議題になりました地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず政府提案理由について御説明いたします。今年度の地方財政は、国、地方を通ずる総合予算の均衡を徹底するために、極端に圧縮を余儀なくせられ、なかんずく地方配付税は地方配付税法の特例に関する法律によつて法定率を大幅に切下げられたことは御承知の通りであります。よつて地方公共団体としては止むを得ず経費の支出に極度の切詰めを行なつたにも拘わらず、各地に災害が相次いで起り、これに伴う財政支出を余儀なくされるに及んで、到底地方財政の均衡を保持することができなくなりましたので、今回補正予算において九十億円の地方配付税の増額をすることとし、これに伴い、この地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案提出したのであります。その内容は、昭和二十四年度に限り、配付税の額が所得税及び法人税の徴収額の百分の一六・二九とあるのを、当該徴収額の中、六百六十六億八千七百五十一万八千円と改め、結局九十億円増額したのであります。尚、これを定率によらずして定額といたしましたのは、明年度以降は御承知のごとく地方配付税を廃止して新たに地方財政平衡交付金制度を創設することになりましたので、全面的にこれに切り替える必要があり、定率制をとるときは地方配付税の額に増減を来たすこととなり、不適当であるという理由に基くものであります。  次に委員会における質疑応答の主なるものを御報告申上げます。  第一に、従来全国町村から強く要望されていた町村吏員の恩給増額については政府は如何なる方針で解決せんとするかという質問に対しては、政府委員より、地方配付税は本来財政調整的に地方公共団体の一般財源として配付するものであるから、補助金とは異なり、その費途を特定するものではないが、この度の配付税の増額によつて、町村吏員の恩給は官吏とほぼ同率に増額実施される見込であるという答弁がありました。尚、都道府県共済組合の長期給付に伴う負担増加についても、国家公務員と同様の措置が講ぜられる見込であるという答弁がありました。  次に自治体警察職員の退職給與金の処置について政府の所見を質したのに対し、差当り国庫予算に計上してある警察費連帯支弁金の余裕を使枝して善処したいという答弁がありました。  次に本年度災害復旧費として地方公共団体の要求額とこれに対する政府の財源対策如何という質問に対しては、地方要求総額は八百億円であつて、これに対し国庫負担八十五億円、地方負担三十九億円、計百二十四億円を以て実施する見込であるという答弁がありました。  次に配付税を増額する半面に、政府は今回の補正予算において歳入に十八億余円の地方公共団体からの返還金を計上しておるが、今回増額される配付税と相殺するようなことはないかという質問に対しては、相殺したり天引きしたりするような措置はしないという答弁がありました。  次に六・三制実施に要する経費は、この配付税の額の中にどれ程包含されておるかという質問に対しては、六・三制実施に伴う校舎の建築費は公共事業費として地方債で支弁する計画であるから、配付税の中には含まれていないが、本年度三十億円、明年度九十億円、合計百二十億円を以て国と地方とが各半額を負担して、緊急差し措き難き校舎の建築をなす計画であるという趣旨の答弁がありました。  最後に地方財政の経理については最近とかく放漫に流れるという非難がある。地方公共団体はその財政支出を嚴正にし、苟くも社会の批判を受けるようなことは愼しまなければならぬ旨の発言があり、財政経理の公正を保つことについては、地方団体の自制と監査機関の活動と相待つて効果を収めたい旨の答弁がありました。  尚、本法案による配付税の増額に連関して、本年度当初の地方財政計画に及ぼす影響について申上げますと、本年度の地方財政総額は三千八百億円であつたのでありますが、この度の補正予算に伴い公共事業費、災害復旧費等の追加を見込まれ、これが財源として配付税、地方債及び国庫支出金の増加等と合せ、その歳出総額は二百九十五億円を増加して三千七百九十五億円となる計画でありまして、本年度地方財政計画策定後の地方財政の状況を概観いたしますと、相当程度にその窮乏が緩和され、財源が増強されたことを認められるのであります。その他委員会における質疑応答の詳細は速記録に讓りたいと存じます。  かくて質問を終了し、十四月二十九日討論に入り、西郷委員より原案賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致衆議院送付の案の通り原案を可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  90. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本專売公社法の一部を改正する法律案及び大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。      ——————————    〔櫻内辰郎君登壇拍手
  94. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました日本專売公社法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案の提案理由並びに内容について申上げます。現行の日本專売公社法においては、公社の会計に関しては、原則として日本專売公社を国の行政機関とみなして、従前の專売局の事業の会計に関し適用された法令の規定の例によることになつておりますので、公法人である公社がその事業の能率的な運営を図る上に種々の支障があつたのであります。従つて企業の能率的な運営を図るためには、財政法及び会計法等、国の会計に関する法令の規定に関係なく、公社の実体に即した合理的且つ能率的な会計制度に改める必要がありますので、会計に関する規定の全面的な改正を行おうとするものであります。  その改正の要点は、資本金の増加又は減少について規定したこと。予算に或る程度の彈力性を與えたこと。損益計算は煙草、塩及び樟腦の三勘定に区分してその損益を明かにしたこと。決算において固定資産、無計資産及び棚卸資産の額の合計額が増加したときは、その額は積立金として留保することとしたこと。業務にかかる現金は国庫に預託しなければならないこととしたこと。重要な財産の讓渡又は交換について国会の議決を要することとしたこと。役員及び職員に対して支給する給與についての給與準則を定めることを要することとしたこと等であります。  本案審議の経過を申上げますと、十月二十九日より十一月二十九日まで愼重審議して、質疑応答の後、十一月二十九日討論に入り、波多野鼎委員より、この法律は公社の職員の福利保護の点で不十分であるから、政府はこの法律の運用に当り、公社をよく指導せられたいとの希望を付して賛成の意見が述べられ、討論を終局し、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。右御報告いたします。  次に大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一般を改正する法律案の審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、農業共済再保險特別会計の農業勘定において、産麦の災害発生による再保險金支拂の増加に伴う四億四千六十六万四千円の不足分を補填するため、昭和二十四年度一般会計からする繰入金の限度額八億五千六十八万八千円を十二億九千百三十五万二千円に引上げようとするものであります。さて、本案は十一月二五日より十一月二十九日まで愼重に審議し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  右御報告いたします。(拍手
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず、日本專売公社法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  99. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国際観光事業の助成に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長板谷順助君。     —————————————    〔板谷順助君登壇拍手
  101. 板谷順助

    ○板谷順助君 只今上程になりましたる国際観光事業の助成に関する法律案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  この法律案の要点を申上げますと、戰後における我が国の経済的復興と国際親善の増進を図るためには、国際観光事業の振興に待つところが極めて大なるものがあります。従つて我が国における観光に関する事業を行う公益的観光機関の活動はこれをいよいよ活溌ならしむる必要を痛感するものであるが故に、その所要経費を民間にのみ負担せしむることは、我が国現下の経済事情より見ても、又国際観光事業の我が国の文化、経済、産業に対する効果より見ましても、一部を国において負担すべきことは諸外国の例に徴しても当然のことでありまするので、かかる公益的観光機関に対し補助金を交付し得る法的措置を講ぜんとするものであります。而して本年度補正予算においては全日本観光連盟に対しまして一千万円の補助金を計上しておるのであります。  運輸委員会におきましては、毎国会観光小委員会を設けまして、観光事業の振興については熱心に研究調査を続けて来たのでありますが、この法律案の審査に当つては各委員より活溌な質疑が行われたのであります。その主な事項といたしましては、観光事業の振興助成は積極的にこれを行う必要がある。それがためには観光事業に対する総合的行政機構の育成、観光事業審議会の活用について政府の意向を質した。これに対して政府は関係部局緊密な連絡の下に観光事業の振興に努めているとの答弁があつたのであります。その他この法案に基いて補助金を交付すべき団体の範囲、補助金の使途等について政府の所見を質したる後、質疑を終了いたしまして、討論に入りましたところが、高田委員より、この法律案は観光事業を振興すべき現下我が国の国情より見て必要な措置であるとの賛成意見を開陳されまして、採決の結果、全会一致本案を可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手
  102. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  103. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員原口忠次郎君辞任の件  一、故議員橋上保君に対し弔詞贈呈の件  一、故議員橋上保君に対する追悼の辞  一、弔詞案文に関する件  一、日程第一 未復員者給與法の一部を改正する法律案  一、日程第二 特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案  一、衆議院に対し委員会審査省略要求するの件  一、日程第三 政府契約支拂遅延防止等に関する法律案  一、日程第四 郵政事業特別会計昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、日程第五 国民金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第六 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 少年法の一部を改正する法律案  一、日程第八 裁判官の報酬等に関する法律案  一、日程第九 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十 地方行政調査委員会議設置法案  一、日程第十一 国有財産法第四十五條の規定による国有財産類別表  一、日程第十二の請願  一、日程第十三乃至第二十の請願  一、日程第七十六の陳情  一、日程第二十一乃至第二十四の請願  一、日程第二十八乃至第七十五の請願  一、日程第七十八乃至第九十の陳情  一、ユネスコ運動に関する決議案  一、漁業法案  一、漁業法施行法案  一、地方配付税法の特例に関する法律の一部を改正する法律案  一、日本專売公社法の一部を改正する法律案  一、大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案  一、国際観光事業の助成に関する法律案