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木檜三四郎君 本日ここに
諸君を代表いたしまして、前
議長松平恒雄君の
追悼の辞を述べなければならぬことは、私の最も悲しみとするところであります。
顧みますれば、
松平前
議長は、我が
参議院開設と同時に、衆望を
荷つて初代の
議長に当選せられました。爾来、
同君は、
国家艱難のうちに全力を
国会の正しき
運営に傾倒されまして、嚴正公平に
議事を主宰され、ために
参議院は今日まで
国民の信託、
連合国の期待を裏切ることなく、その任務を全うすることができたのであります。私は
新生民主日本の歴史に、
初代参議院議長松平恒雄の名は長く長く残ることを疑いません。
併しながら、この日夜を分たぬ御精励が禍いしたのでありましようか、去んぬる十四日午前は、
音吐朗々、常と変らぬ
議長のお姿に接し得ましたのに拘わらず、同日夕刻には俄かに御
逝去の報に接したのでありまして、私共はただただ愕然として悲痛の念に打ちひしがれたのでございます。
前
議長の生涯の大半は、出でては
国家を代表して諸国に使いし、入
つては宮中に奉仕して献替の誠をいたしたのでありまして、その豊かな御経験に加えて、円熟せるお
人柄と、広い視野は、新憲法に基く
日本の新らしい歩みの最も大切な先達の一人となるに、誠にふさわしい方であると思うのでございます。このことは、ただに日夕親しく
公私の御交際を賜わ
つた私共の見るところだけでなく、
同君の御
人格、御力量の程は、
連合国側、否、全
世界の心ある人々の挙
つて認めるところでございます。
同君の御
逝去の後、直ちに発表されました
マツカーサー元帥の御
弔詞、続いては一昨日、本
会議で御
報告のありました
ホイツトニー民政局長のお言葉、更には
同君の御
逝去の報が一度国外に伝わりまするや、
世界の
各地より続々と寄せられました弔電の明らかに示すところであります。私共は、
同君のごとき国の
内外に
亘つて信望を集めておられました方を、私共の
初代議長と戴いたことは最も誇りとするところであります。同時に、
国民の待望が久しか
つた講和條約の締結、
国際社会への復帰が漸く近からんとすること時、
同君の御
逝去を見ましたことは、ひとり一
参議院の損失であるに止まらず、
国民全体の一大不幸、否、平和を念願する
国際社会全体の不幸であることを思わざるを得ないのであります。
謹んで拜察いたしまするのに、
同君最後の志は、
参議院が真に
参議院たるにふさわしき
運営をなすことにあ
つたのではありますまいか。
同君生前の御功績に対する私供の感謝を表明するため、
参議院葬の執り行われまする今日、私共は今後ますます純理と
愛国心の上に立ちまして、
冷靜に国政を検討し、愼重に議案を審査すべき本院本来の面目を発揮するよう、新
議長を中心として努力を続けることを誓いますことが、
同君の
英霊をお慰めする最上の方法の信ずるものであります。
在天の
英霊、よくこの私共の誓いを享けられんことをお祈りしつつ、謹んで
追悼の辞を述べまして終る次第であります。(
拍手)
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