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1949-11-17 第6回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十七日(木曜日)    午前十時二十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十二号   昭和二十四年十一月十七日    午前十時開議  第一 外国為替管理委員会委員の任命に関する件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  去る十四日逝去されるました故議長松平恒雄君の葬儀については、議長議院運営委員会に諮り、本十七日午後、参議院葬を以てこれを行うことといたしました。この際、故議長松平恒雄君に対し、院議を以て弔詞を贈ることにいたしたいと存じます。尚、その文案は議長に一任せられたいと存じます。只今の議長の発議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、木檜三四郎君より発言を求められております。これより許可いたします。木檜三四郎君。    〔木檜三四郎登壇拍手
  6. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 本日ここに諸君を代表いたしまして、前議長松平恒雄君の追悼の辞を述べなければならぬことは、私の最も悲しみとするところであります。  顧みますれば、松平議長は、我が参議院開設と同時に、衆望を荷つて初代議長に当選せられました。爾来、同君は、国家艱難のうちに全力を国会の正しき運営に傾倒されまして、嚴正公平に議事を主宰され、ために参議院は今日まで国民の信託、連合国の期待を裏切ることなく、その任務を全うすることができたのであります。私は新生民主日本の歴史に、初代参議院議長松平恒雄の名は長く長く残ることを疑いません。  併しながら、この日夜を分たぬ御精励が禍いしたのでありましようか、去んぬる十四日午前は、音吐朗々、常と変らぬ議長のお姿に接し得ましたのに拘わらず、同日夕刻には俄かに御逝去の報に接したのでありまして、私共はただただ愕然として悲痛の念に打ちひしがれたのでございます。  前議長の生涯の大半は、出でては国家を代表して諸国に使いし、入つては宮中に奉仕して献替の誠をいたしたのでありまして、その豊かな御経験に加えて、円熟せるお人柄と、広い視野は、新憲法に基く日本の新らしい歩みの最も大切な先達の一人となるに、誠にふさわしい方であると思うのでございます。このことは、ただに日夕親しく公私の御交際を賜わつた私共の見るところだけでなく、同君の御人格、御力量の程は、連合国側、否、全世界の心ある人々の挙つて認めるところでございます。同君の御逝去の後、直ちに発表されましたマツカーサー元帥の御弔詞、続いては一昨日、本会議で御報告のありましたホイツトニー民政局長のお言葉、更には同君の御逝去の報が一度国外に伝わりまするや、世界各地より続々と寄せられました弔電の明らかに示すところであります。私共は、同君のごとき国の内外亘つて信望を集めておられました方を、私共の初代議長と戴いたことは最も誇りとするところであります。同時に、国民の待望が久しかつた講和條約の締結、国際社会への復帰が漸く近からんとすること時、同君の御逝去を見ましたことは、ひとり一参議院の損失であるに止まらず、国民全体の一大不幸、否、平和を念願する国際社会全体の不幸であることを思わざるを得ないのであります。  謹んで拜察いたしまするのに、同君最後の志は、参議院が真に参議院たるにふさわしき運営をなすことにあつたのではありますまいか。同君生前の御功績に対する私供の感謝を表明するため、参議院葬の執り行われまする今日、私共は今後ますます純理と愛国心の上に立ちまして、冷靜に国政を検討し、愼重に議案を審査すべき本院本来の面目を発揮するよう、新議長を中心として努力を続けることを誓いますことが、同君英霊をお慰めする最上の方法の信ずるものであります。  在天の英霊、よくこの私共の誓いを享けられんことをお祈りしつつ、謹んで追悼の辞を述べまして終る次第であります。(拍手)      ——————————
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 先程の決議に基き、議長において起草いたしました弔詞案文を朗読して、お諮りいたします。   参議院議長従一位勲一等松平恒雄君ハ多年外交及ビ宮内ニ於テキヲナシ初代参議院議長ニ推サレ議宰シ力ヲ憲政ノ済美ニ致ス其績甚ダナリ参議院ハ其ノ急逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞呈ス   昭和二十四年十一月十七日  只今朗読いたしました 弔文案に賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて弔詞案文全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、吉田内閣総理大臣より発言を求められております。これを許可いたします。吉田内閣総理大臣。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私はこの参議院議長松平恒雄君の逝去に対しまして、ここに政府を代表して敬弔の誠を捧げたいと存じます。  君は参議院議長として我が国会のために盡瘁せられ、逝去直前までその職務を全うせられましたことは、誠に我々の深く感銘するところであります。私は昔を回想いたしまして、松平恒性行経歴等について少しく述べさして頂きたいと思います。  私が外務省に入りましたのは丁度日露戰争直後でありまして、当時松平君はすでに外務省に入られて英国に駐在しておられましたが、その当時から松平君は、やがて将来外交界に、日本外交に盡さるる人物として、外務省内外においてすでに嘱目せられた人物であつたのであります。又私がたまたま英国ロンドンに参ることになりまして、親しく松平君の謦咳に接しまして以来、約四十年以上でありますが、その間、私は先輩として常に敬愛し尊敬をした人の一人であつたのであります。又たまたま私は、私の外交官としての後半においては、常に偶然にも松平君の後を追うて転々各地参つてつたのでありますが、先ず天津を初めとして、松平君が外務次官になられました後に私も外務次官になり、アメリカ大使になられて、たまたま私もアメリカ大使に任命されることになつたこともあるのでありますが、当時偶然のと申しますか、実は申しますと、当時の外務大臣国際連盟等に対する意見に対して、私が多少違つた意見を持つておりましたために、遂にアメリカ赴任のことは拜辞いたしましたが、やがてその後イギリスに参ることになり、松平君の後を受けて赴任し、イギリス大使なつたり、又その他、国際連盟等において、常に松平君の指導の下に、国際連盟等に関係いたしておりましたが、その四十年の間に公私共に非常に懇篤な指導を受けた一人であります。又その懇切な指導振りに対しては、私は終身忘るることのできない敬愛の念を持つておるのであります。この間、松平逝去後間もなく、参議院の一人の方から、松平君は私に対して平生非常に心配をして、いろいろどういう評判があるとか、いろいろ心配して下さつておるという事実を書面で承知いたしたのでありますが、これは私に対して直接始終いろいろな訓戒なり指導なりという気持で、誠に浅からざる心添えを受けておつた私としては、その手紙を見て誠に感概に堪えなかつたのであります。  御承知の通り松平君は名門に生れて、而も学生時代から政界の間に頭角を現わし、外務省に入り、或いは各地外交官として行かれても、その人格、その高い識見等に打たれない者がなくて、イギリスにおいてもアメリカにおいても、松平君の声名は噴々たるものがあつたのであります。従つて私がその後を受けて参りましても、常に松平君のことを外国人イギリス人その他が口にするのみならず、松平君の紹介によつて、私はイギリスアメリカ松平君の知友の多くの人に紹介をされて、私としては、国家のために、大使として非常に便宜を得ましたのであります。これも松平君の国に対する愛国心並びに友人に対する友情の然らしむるところと考えて、私において感概甚だ深いものがあるのであります。  今や講和問題も段々近付きつつある際であり、又日本民主政治の基礎を確立せしめるために、松平君のような人柄の方が参議院議長として国会におられたならば、将来の日本のためにもどのくらいよかつたろうと、今において更にその感じを新たにいたすものであります。私として四十年来兄事した松平君が一朝にして急逝せられて、今日私がここに政府を代表して参議院弔詞を述ぶるというがごときは、実に私において悲しむべき意外なことであります。  ただ仕合せなことに、松平君の最も親友であつた佐藤尚武君がその後を襲われて、新議長として松平君の後事を能くするという任に当られたことは、松平君においても地下において最も喜ばしく考えられるところであろうと想像いたします。ここに私は謹んで政府を代表いたしまして哀悼の意を表します。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本日は故松平議長参議院葬が行われますので、特に哀悼の意を表するため、これにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、故議長松平恒雄君に対する弔詞贈呈の件  一、故議長松平恒雄君に対する追悼の辞  一、弔詞案文に関する件  一、故議長松平恒雄君に対する哀悼の辞