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1949-11-16 第6回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月十六日(水曜日)    午前十時十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十一号   昭和二十四年十一月十六日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第七日)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、國務大臣演説に関する件。一昨日に引続き内閣総理大臣演説に対する質疑を順次許します。星野芳樹君。    〔星野芳樹登壇拍手
  4. 星野芳樹

    星野芳樹君 講和問題について、すでにいろいろな討論が繰返されましたが、その度に吉田首相答え曖昧糢糊として、国民一般は、吉田首相という人は国民を迷わせるのを本懷としているかとさあ考える傾きがありますので、私はここに機会を提供いたしますから、七点について明確なる答えをして頂いて、この国民の疑いを晴らして頂きたいと思うのであります。  先ず第一に、吉田首相は十一日の本院における答弁において、單独講和全面講和への道ならば喜ぶべきだということを言つておりますが、これは先ず第一に、吉田首相は再三、仮定に基いたことは言わぬと言われているに拘わらず、仮定に基いております。而もその仮定たるや誤まつた仮定であり、少しく外交常識を持つておる者は、單独講和が結ばれたならば、むしろ全面講和却つて道遠くなると考えているが、それだけの外交知識首相は持つていられないのかどうか。この点を先ず第一に伺います。  第二に、全面講和が困難なるがごときことを幾度も言われておりますが、併しイタリーとか東欧の諸国講和も結局は全面講和が行われました。あのときも世界の二大勢力の対立というようなものがあつて甚だ困難なような情勢があつたが、結局は全面講和になつている。これに比べて日本のこれからの講和が、国際情勢として一層全面講和が困難だという具体的な如何なる事情がおありになるか。これを第二点に伺います。  第三、首相は無軍備こそが最良の国民幸福の道であると、結論においては甚だ好いことを言つておられますが、我々の考えでは、無軍備とは、日本国土に如何なる国の軍隊も、軍事基地も、兵器の生産工場も置かないものと解するのに、首相波多野議員質問答えて、ただ日本国としては軍備を置かないとのみ言われたが、それでは他国軍備があつて差支ないと考えるのか。これを追究すると、首相仮定に関しては返答しないと言われるだろうが、講和会議後、特定国軍事基地を要求するかも知れないということは、すでに新聞紙上報道されて、国民が多大の危惧を持つているということは、客観的な事実であり、これが危惧を積極的に取除く発言をなさらないならば、首相の無軍備とは、他国軍備の下の日本国民の無軍備、即ち人間よりも家畜の方が幸福であるという考え方であると断定しても差支なきや否や。これが第三点であります。  第四点、戰争放棄に関しては、衆議院外務委員会において西村條約局長がこういうことを言つております。「併し急迫した不正の妨害が現に起つている場合、かような火急な場合、止むを得ずこれを実力を以て排除することをも否定したものとは解しない」と言つておりますが、これは日本戰争を放棄したが、火急の場合には竹槍を持つて立つという考え方で、こうしたことが起つたならば国民には最も悲惨な結果を招くことは明かであります。これは一面そういう無統制な戰鬪では結果が悲惨だから、系統的な準備を行おう、つまり再軍備化というような思想をも誘発するものであり、又一面これは暴力革命思想と裏表であります。向きが反対なだけで、暴力革命根本的に否定する根拠がこれではなくなります。首相はこれについて如何なる意見を持つておられるか。これが第四点であります。  我々としては、衆議院において私の所属する労農党党首黒田出壽男氏が強く叫んだごとく、日本の絶対的戰争放棄永世中立を主張するものでありますが、我々が無軍備であり、而して独立自主を侵害された場合には、暴力を絶対に使わず、組織的にして徹底的に頑強に侵略者に協力しない鬪争を展開すべきものと考えておるのであります。具体的に言えば、八千万人のハンガー・ストライキということも考えられるのであります。こうした明確な暴力によらざる自衞の方法を明示すれば、こうした竹槍的非劇を防ぐことができると信ずるものであります。そこまでお考えにならないでも、当面武器のない民族が、その自主独立を守るためには、広汎な勤労大衆の民主的にして而も統制ある強固なる団結こそが唯一の頼みであると考えるのであります。然るに政府定員法を惡用して、労働組合幹部を狙い打ちして、労働組合を全く去勢し破壞せんとして来た。これは非武装民族として正に自殺行為にひとしいと考えますが、首想の見解はこれに対してはどう考えるか。これが第五点。  永世中立に対する国民の希求の情は熾烈なものがあり、これは必ずしも十九世紀の法理論を再現しようとするものではなく、実質的に戰争に絶対に捲き込まれまいとする意思を表明する合言葉であります。従つて現在の国連規約永世中立国の加入を妨げるならば、国連規約の改訂を要望するという意味も含まれておるのであつて国連参加希望理由に、永世中立に対立する集団保障という言葉を持ち出すごときは、徒らに上述のごとき国民の平和に対する切望の念を混乱せしめる以外の何ものでもないと考えてよいと思うのであります。政府は先に集団保障を言い、今国会では、首相言葉を濁しておりますが、国民は滔々として永世中立国を支持しており、八月十五日の読売新聞の世論調査の結果でも、永世中立支持は七三%を以て集団保障一〇%を圧倒している。このごとく国の根本的方針政府国民世論とが背馳しておる。而も講和会議まで居坐つておるということが、民主主義の道義として許されるものかどうか。この点を首相に伺います。  世論調査など当てにならぬと言われるならば、この問題を国民投票に問う用意はないのかどうか。それとも民衆の愚論など耳を傾ける必要はないという指導者原理首相は奉じておられるのかどうか。この点が第六点の質問であります。  首相事ごと政府発言影響が微妙だからと言つて、明確な答弁を避けて来ました。たまたま立ち入つた答弁をしても取消したりしております。政府発言が重大な影響を持つことは自明でありますが、凡そ言行には効果と逆効果は付きものであり、そのプラス、マイナスを判断して正しき道を明確に示すことが、政治家としての要諦だと思いますが、それを影響が大きいと言つて何も言わぬならロボットに等しいのである。首相はしばしば「政府は言えぬが国民は大いに議論をしろ」と言つておりますが、吉田さんのごとく豊富な経験と識見を持つておられる人を、ものの言えぬ首相、即ちロボットにして置くのは、誠に人材経済上不得策であります。又吉田さんとしてもいつそ野に下つて思う存分識見を述べられる方が生き甲斐あると考えられそうなものですが、この点は如何ですか。勲爵を追わず軍閥に抗して信念に生きられたと伝えられる昔の吉田首相の行き方から考えると、これは当然そうあるべきで、若しそうでないとすると、いつ心境の変化をされたのか。或いは伝えられるそうしたことが誤まりで、單にその時代には未だ所を得られなかつたというだけか。これが第七点。以上講和会議について七点伺います。(拍手)  残された時間を私は引揚問題について質問いたします。  先ず首相は、「外交相手国を尊重することが肝要だ」ということを言つておりますが、引揚問題一つ外交問題である。相手国をも尊重してかからなければならぬ。この要諦を心得てソ連及び中共引揚問題に当つておられるかどうかが先ず第一点。  その次に中国政権下同胞引揚については、二つの新らしい條件が生れております。第一に、従来中共政権とは何ら交渉ルートがなかつたが、現在ではまだアメリカその他によつて政権が承認されるに至つてないとは言え、一部の国からは承認され、又米英領事館員も残留しており、従つて交渉ルートは開けておる。第二に、先方事情にしても、今までは看護婦その他のいわゆる技術要員は手放し難い事情にあつたようですが、最近は四ケ年の間に相当中国人看護婦も養成されて、特別な高級技術者以外、先方も送還し得る事情になつておる。以上の二点を考えると、この際、政府は積極的にこの問題の解決の手を打つべきだと思いますが、この点は如何ですか。それから又残留同胞の或る者については、むしろ、こちらから家族を渡航させることが問題の合理的解決になる場合もあるのであります。(拍手)この場合には、むしろその交渉の鍵は、総司令部から渡航許可を得ることが問題であつて交渉相手は遠くにあらずして近きにあり、今日にでも始められることなんですが、これを直ちに始められる用意がありや否や。  最近ソ連領域内の同胞については、政府は従来入ソ推定数から帰還者を差引いて、これを残留者として発表しておりますが、こうした推定数より起算した数では、何ら交渉根拠にならず、その解決には……。
  5. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 星野君、五分前です。予告して置きます。
  6. 星野芳樹

    星野芳樹君(続) 精細な資料が最も必要であることは、多年外交に関係された吉田首相はよくお分りのことと思います。それでありますから、むしろこれは補慮通信先方から来たもの、或いは帰還者から確定的な生存の報告のあつたもの、即ち有消息帰還者の正確なる名簿を作るべきであり、これによつて問題が相当明らかになると考えられます。伝えられるところによれば、厚生次官は二十日頃これを発表すると言われましたが、果してはつきりこの有消息帰還者の確定的な名簿を、誰が見ても確実な名簿を作られる用意があるかどうか伺つていないので、この点を伺います。復員局には数千人も役人がおりますので、これはできない筈はないと思うのであります。  最後引揚者生活対策について一言だけ触れますが、多くの引揚者については、特に本年のソ連からの帰還者については、就職が甚だ困難な事情になつております。従来の引揚者に対しては生業資金等の措置が講じられましたが、これは引揚者相当有効な手段であつて、従来の家族ごと引揚者は向うで生産をやつていた関係上、こうした生業資金貰つて事業を興すという能力があつたわけですが、最近の引揚者は多く帰還者復員者でありますので、むしろそうした事業能力より、旺盛な勤労意欲を持つておる人であつて、これについて緊要なことは就業対策である。これは單に口頭だけの就業対策だの愛の運動だのという宣伝ではなく、具体的にこれらの人を採用する、各省諸官庁をして具体的に、積極的に採用せしめざるを得ないような方策を講じなければ解決しないと思いますが、これに対する具体的の方策を、厚生大臣は如何なるものをお持ちになつておるか。これを最後質問いたす次第であります。これを以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  7. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  講和問題については、新聞情報以外に私は何も正確なることは政府としては入手いたしておらないのであります。正式なる交渉は未だ開かれておりませんから、従つて特に曖昧にいたすわけではないが、資料がないから、ないと申すだけであります。殊に講和問題は御承知のごとく、日本国民にとつて重大な問題でありまして、この取扱い方は、政府としても、国民としても、非常に愼重用意を以て臨むべきであるのでありますから、私は仮定の問題とか何とかいうので逃れるわけでありませんが、現実の問題を問題として取扱う以上に、この際、連合国その他に誤解を與えるような事柄を生じては甚だ国家のためによろしくないと考えますから、言葉を愼んでおるだけの話で、特に愼重にいたす、或いは曖昧にいたすというようなことは決してないのであります。又全面講和とか單独講和とかいうようなことは、現に我々として、現実の問題として政府交渉があるのではないのでありますから、従つてこの問題については申述べることを差控えます。  イタリア云々ということがありますが、これはイタリア事情に対しては、私は今日、日本とどう違うかというようなことも、ここに申述べることは差控えたいと思います。又軍備云々ということでありますが、これは戰争を放棄し軍備の防禦をなくした、私の施政方針において申述べた通り日本軍備を撤し戰争を放棄して、これによつて世界文明国の同情を得、了解を得て、日本が再び軍備を持つて世界の平和を脅かすというようなことは断じていたさない、この趣意が、国民趣意、憲法の趣意が徹底してこそ、日本の危險が除かれるのであつて軍備を持つがいいというような……苟くも片言隻語と雖もこれは誤解を與えますから、かくのごとき問題は、議会において、殊に参議院等において取上げて頂きたくないと申したことは、施政方針において申した通りであります。要するに日本安全保障或いは幸福は何によつて保障せられるか。世界日本に対する了解日本が曾つて平和を破壞したというこの問題に対して、或いは世界が、或いは殊に連合国が、日本国民の如何なるところに……平和を如何に愛好するかという精神がよく了解せられて、ここに日本安全保障が打立て得ると、こう私は確信いたすのであります。参議院等において軽々しく軍備というような問題或いは戰争というような問題を論議せられるということは、私は国家のために甚だ遺憾に考えるのであります。(「その通りだ」「何が軽々しいのだ」「いつ軽々しく論議した」と呼ぶ者あり)  それから永世中立国の問題につきましても、永世中立国ということは、現在具体的の問題になつておりませんから、従つて私はこの問題を取上げて論議いたしたくないと思います。(「方針がないのか」と呼ぶ者あり)  又中国の問題につきましては、これは今日、日本外交を、且つ外交問題を取上げる国としてのまだ資格が認められておらないのであります。外交は中止されておるのであります。従つて中国との国交回復は我々としては最も希望するところでありますが、併しながら今日こういう手段を用うる、ああいう手段をとつて具体的に交渉を開始するとか、或いはひそかに手段をとるというようなことは、国家としてできない立場にあることを御了承を願いたいと思います(「国の希望を表明できるよ」と呼ぶ者あり)  それからシベリア地方における未帰還者の数についてのお尋ねがありましたが、これは政府としても成るべく正確なる数を知りたいと考えて、総司令部を通じてその正確なる数を得たいと考えて、いろいろ絶えず交渉をし依頼もいたしておるのでありますが、何分ソヴイエトとの間に直接の交渉もなし、又機関もないものでありますから、正確なる数字只今では総司令部においても得難いのではないかと思いますが、詳細なる数字を得次第に、ここに御報告することについては決して躊躇いたしません。その他、私に対していろいろの御議論がありますが、一身上の弁明はいたしません。(拍手)、「時間があるよ」と呼ぶ者あり)、    〔星野芳樹君「時間を二分残しております。只今の……」と呼ぶ〕
  8. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) あとでお願いいたします。    〔国務大臣鈴木正文登壇
  9. 鈴木正文

    国務大臣鈴木正文君) 引揚者就職の問題についてお答え申上げます。大体において、今日までの政府のでき得る限りの調査の結果によりますと、引揚者の中の五割前後は就職しており、或いは自営の事業の中に戻つておる。それから残りの五割のうち、いわゆる非労働力というものに属する人達を除きますると、就職希望を持つて未だに就職せずにおられる人というものは、大体全引揚者の三割強ぐらいまでに現状においてはなつておるように思います。政府といたしましては、引揚げて来た府県において先ず集団的な就職相談に応ずると同時に、又帰着地においても職業安定所を動員いたしまして優先的にこの問題を処理して行きたい。厚生省とも十分連絡をとつて処理して行きたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣林讓治登壇拍手
  10. 林讓治

    国務大臣林讓治君) 海外在留者状況を明らかにいたしまするがためには、政府としてはあらゆる手段をとりましてこれを明らかにいたしたいと存じておりますが、現地からの通信などがその大きな資料となつておることは勿論であります。昭和二十一年のソ連地域からの通信が許されまして以来、今年十月末までに百十四万九千九百通の郵便物が到着をいたしております。そのうち本年中に到着いたしましたものは二十二万七千通程ございます。従つてそういうようなものを参考といたしまして、この数を明らかにすべく努力をいたしております。それから未帰還状況調査につきましては、只今申上げた通り、最終の決定を見まするがためにあらゆる手段をとつておりますが、尚この数などの問題につきましては目下調査中でありまして、まだ発表するだけに立至つておらぬことを申上げて置きます。
  11. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 時間がありませんから、自席から簡單にお願いします。
  12. 星野芳樹

    星野芳樹君 只今首相答弁には、参議院において軽々しく軍備その他を論議してはならないというようなことを言つておりますが、これは本院の言論に対して政府は干渉されるつもりかどうか。それから国民の最も重要なこういう問題であり、そして吉田首相自身国民が大いに論議をして呉れと言いながら、我々を国民代表とは認められないのかどうか。我々は国民代表として言つておるのであり、これに対して我々に軽々しく言うなというのは、国民言論を封殺されるつもりかどうか。更に、これを軽々しく言うなと言うならば、どうして施政演説の冒頭に講和問題を提起したのか。そうして御自身相当軽々しい言動をされたのはどういうわけか。これを伺いたいと思います。(「そうだ」「笑わせるな」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  13. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。私は軽々しく論じて貰いたくないと申上げたので、決して干渉をいたしたり参議院言論を封ずるというような意思はないのでありますから、どうか軽々しくないように御議論を願いたいと思います。(「了解」「速記を調べよう」と呼ぶ者あり)     —————————————
  14. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 松井道夫君。    〔松井道夫登壇拍手
  15. 松井道夫

    松井道夫君 十一月に入りまして、二つの大きな朗報が我々にもたらされたのであります。一つは言うまでもなく湯川博士ノーベル賞受賞報道であります。この報道程我々日本国民の将来行くべき方向を指示し、我々を勇気付け、又国民自覚を促したものはないと信ずるのであります。次の一つは対日講和朗報であります。我々は新らしい勇気自覚を以てこの問題にも対処しなければならないと存ずるのであります。我々が全面講和を要望するということは、これは論議の余地のないことであります。我々の第一の希望なのであります。併しながら、全面和平連合国すべてがこれを欲していると考えられるのに拘わらず、尚且つ單独講和を聞きますことは、これは世界情勢冷嚴現実から出ておることでありまして、我々の力を以てしては如何ともなし難いことであるのであります。対日講和が今日問題となつておりますることは、我々の民主的努力が認められまして、すでに戰争状態に終止符を打つべき時期に達したものと連合国によつて認められたからに外なりません。講和條約の草案の方式といつたような問題から長く日本戰争状態の下に置きますることは日本に対し公正を欠くと認められたことが、單独講和止むなしという議論の起きて来る根本理由であると存ずるのであります。我々は連合国の或る国から單独講和が提議された場合には、感謝して、喜んで、これが世界平和に向い一歩前進するものとして歓迎しなければならないと存ずるのであります。  我々が講和問題について最大の関心を持つていることは、安全保障の問題にあることは申すまでもないのでありまするが、安全保障については、我々は安全保障方法が本当に効果のあるものであるかということが一つ、又その方法第三国を脅威して世界情勢を更に惡化するというようなことがないということを、もう一つの大切なこととして考えなければならないと存ずるのであります。即ち日本中立性というものを傷けるというようなことのないことを確保しなければならぬと存ずるのであります。講和條約が、安全保障に実効があるという点から申しますれば、国際連合による安全保障は理想でありまするけれども、未だ国際連合の方においてその用意が十分でないかと危惧せられるのでありまして、即ち原子力についての管理権がないこと、又拒否権の問題があるのでありまして、残る途は、安全保障実力のありまする国家安全保障に関する條約を締結すること、安全保障を依頼するということ以外にないのであります。安全保障実力ある国家は米国とソ連が挙げられるのでありまするが、併しながら対日戰の経過、それから日本占領の実績に徴しまするときは、アメリカが最もその適任者でありますることは、恐らく世界の輿論の認めるところであると存ずるのであります。効果ある安全保障のためには、アメリカ日本軍隊を駐屯せしめるということも止むを得ないでございましよう。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)駐屯する以上は基地も勿論必要なのであります。  次に、その方法第三国を脅威するようなことがあるかないかということを検討しなければならません。この点について私の強調したいと思いますることは、アメリカ日本軍隊を駐屯せしめるということは安全保障の目的に出ずることであります。即ちアメリカ駐屯軍第三国に対する作戰に使用しないということ、それから日本の如何なる部分をも第三国に対する軍事基地として利用しないということであります。この保障にして得られるならば、第三国を脅威することなく、従つて第三国日本国土に対し攻撃を加えるような愚挙は決していたす筈がないのであります。マツカーサー元帥日本を東洋のスイスといたしたいと申されたことは、現在におきましても、すでにこの保障を與えられる趣旨であると私は解しているのであります。私が首相にお尋ぬいたしたいことは、首相は曾て講和会議終了後もアメリカ軍隊日本に残るべきだという意見を吐露されたことがあるように、新聞紙上で承知いたしておるのでありまするが、その趣旨は私の申す趣旨と一致するのかどうか。即ちアメリカは、日本に駐屯する軍隊第三国に対する作戰に使用しない、又日本の如何なる部分をも第三国に対する軍事基地として利用せぬということに一致するかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。  最後に附け加えたいことは、單独講和を提議される国は、必ずや日本平和国家文化国家たる地位を認めて呉れまして、その地位と両立しないような方法を提議することが絶対にないものと、私は確信いたしておることでございます。  次に講和に関連いたしまして、私の最も関心を持つている問題について一、二申上げて見たいと思うのであります。  その一つは、連合国日本移民について好意ある配慮をなされたいということであります。日本は年々百数十万人の人口が増加いたしまして、それが日本社会に対し重大な圧力となつているということは、これは識者の認めているところであります。移民人口問題解決に直接の効果があるということは申しませんが、併しながらそれが人口問題緩和のために或る程度の効果があることは申すまでもありません。最近濠洲におきまして、東亜民族のため白濠主義をやや緩和いたすことについて討論がなされたと伝えられているのでありまするが、私は甚だ心強く感ずるのであります。  移民の件につきまして二つのことが考えられるのであります。その一つは、曾て東亜、南洋の諸地域諸国に平和的に移住をしておりまして、各種の職業に従事しておつた、そういう方々が敗戰のために引揚の止むなきに至つた、こういう人達であります。そういう人達の中には、曾ての第二の故郷に再び移住したいと考える人があると存ずるのでありまするが、かかる人々の移住については、移住地の住民の対日感情が好転するに従い、連合国によつて喜んで認めて頂けるのではないかと、さよう考えるのであります。  次に集団の移民でありまするが、例えば、ニユーギニアのような未開発の広大な地域に日本移民を認めて頂きまして、日本人の労力と技術を以て未開発地域を開発することになれば仕合せであると存ずるのであります。トルーマン大統領の世界の未開発地域の開発計画、これは将来における人類の平和と繁栄に重要な意義があると信ずるのでありまするが、その計画の一環として日本人の移民が認められるということになりまするならば、幸いこれに越したことはないと存じます。総理大臣に対し、移民に関する御意見を伺いたいと存ずるのであります。新聞の伝うるところによりますと、移民の問題は講和会議後の問題だから敢て答えないというようなことを首相が言われたように出ておりまするが、私は移民の問題はすでに現在の問題であると存ずるのであります。現在講和條約なき講和を提唱せられておりまするが、移民の問題も、外の国際交通の問題がすでに解決しておりまする現状等を考え合せまするならば、すでに日本国民によつて強い希望を申述べることの許される時期に達していると私は考えるのであります。又首相は一政治家として、政府の纒まつた考えはできておりませんでも、政治家である吉田首相個人の意見でも結構でありますから、この際お伺いいたしたい。  次に講話に関連いたしましての問題といたしまして、朝鮮人の処遇の問題であるのでありますが、朝鮮人は敗戰前、日本国民であつたのでありまして、敗戰後朝鮮の独立が既定の事実となつております関係上、外国人と認められているのでありまするが、併しながら嚴密の意味におきましては、すでに朝鮮に帰国した人達乃至大韓民国人として大韓民国の在日代表部にすでに申入れまして登録せられているといつた人達は別といたしまして、結局朝鮮人の国籍が講話條約によつて終局的に解決されると私は考えておるのであります。この際、日本人として留まりたいと考えておる朝鮮人に対しましては、無條件日本国民として留まり得る途を開くべきであると私は考えておるのであります。在日朝鮮人の中には日本で生れたる者あり、幼少の頃父母と共に日本に渡来した者がありまして、すでに日本人と同様の教育を受け、同様の生活様式、生活感情を持つておる者が多々あるのであります。終戰の結果、公民権を失いまして、自己の代表を国会に送り乃至は地方議会に送るということもできず、敗戰後の、これは朝鮮人側に大いに責任があるのでございますが、敗戰後の日本人の朝鮮人に対する一種の反感も伴いまして、甚だしい不利益の立場にそれらの人が追い込まれておるのであります。当局も又何ら彼らに対しては温かい思い遣りある処遇をいたしておりません。税金は取立てられておりまするが、職業安定所は彼らを相手にいたしません。又生活保護も受けられません。国民健康保險のような社会的制度も彼らは利用することができないのであります。彼らが生活のために罪に陷りまして、その彼らを罪することを以て能事終れりとする状態であつたのであります。日本は平和文化国家といたしまして、他民族に対し極めて公正且つ親愛なる態度を以て臨まねばならぬことは申すまでもありません。最近の朝鮮人に対する不快ないろいろの事件の責任の一半は、当局のこの公正乃至は親愛を欠いた態度に帰せらるべきものがあるやに信ぜられるのは遺憾極まりないことであります。朝鮮人問題は少数民族問題といたしまして、その対策について宜しきを得ざれば悔を百年の後に残すといつた重要な問題であります。講和会議を遠からざる将来に控えまして、在日朝鮮人の処遇に対し如何お考えになつておりまするか。総理大臣に対して伺いたい。  尚、国籍法は現在に至るも新憲法に即応した改正がなされておりません。この際、早急にこの改正を企図すべきものであると存じておるのでありまするが、法務総裁の見解を伺いたいのであります。  次に政党の再編成について首相にお尋ねしたい。政党は二大政党の対立を理想といたしまして、いわゆる保守合同の構想を繰返されることがすでに久しいのであります。然るに現実は一向に進展いたしません。首相の二大政党論は現実に即しない空想にあらずやと疑われるのであります。私も政党の再編成は日本政治の効率的運営に関しまして極めて緊要な問題であると存ずるのであります。併しながら二大政党の対立ということにつきましては疑問を持つております。資本主義と社会主義の二大政党の対立は、階級的対立感情を激化する虞れがある。又或る内閣において炭鉱の国管をやる、次の内閣においてこれを廃止する、又次の内閣においてこれを復活するというようなごときでありましては、迷惑するのは国民だけなのであります。政党の性格は、その経済政策のよつて立つ主義によつて特徴付けられております。由来、経済民主主義二つの型がございまして、資本主義的経済民主主義アメリカの採用するところであります。生産手段を私有といたしまして、独占禁止を一つの枠といたし、以て自由公正な競争を確保して経営の効率を高める。他方、労働組合一つの枠といたしまして、資本家と対等の地位における団体交渉によつて分配の公正ということも企図いたしておるのであります。社会主義的経済民主主義ソ連の採用するところでありまして、これは生産手段を社会化いたしまして分配の公正を企図しておるのであります。確保いたしておるのであります。併しながら日本の経済諸條件の下におきましては、そのいずれの一つにも徹底することはできないのでありまして、いわば両主義を総合いたしましたところの総合経済民主主義というものが必要であると考えるのでありまして、その基礎に立ちまする政党の存在理由が認められると存ずるのであります。即ち三大政党鼎立ということが考えられるのでありまするが、この点における首相のお考えを承わりたい。二大政党の対立、保守合同、その他責任を持つていろいろ仰せられておることが実現いたさぬのであります、その点の首相の見解を承わりたい。  次に電源開発について通産相にお尋ねしたいのであります。私はこの際、只見川の問題を提起いたしたいのであります。只見川は日本に残された最大の電力資源でありまして、現在御承知の通り新潟、福島等において論議されております。先ず私は総合開発の立場に立ちまして、その調査を急速にいたさなければならぬということを主張いたしたいのであります。関係各省、即ち通産、建設、運輸、農林各省、それから学界、技術界等を網羅いたしました総合的調査機関を設置いたしまして、組織的に急速に調査を進める必要がある。それから調査計画の策定、それからその実施については、米国の技術的援助を、技術家の援助を必要とするということであります。勿論その実施につきまして、進歩した米国の土木機械の輸入が望まれるのであります。これはその資金が厖大でありまして、見返資金を使わなければならない。又外資の導入も必要なのであります。最も効率的にそれらの資金を使用するということは我我の義務なのでありますが、米国の技術者が見て十分ではないと認められるようなものでは、外資の導入も見返資金に関する義務も果すことができないのであります。この点を伺いたいのであります。  それから積雪寒冷地の税の軽減についてお尋ねいたしたいのであります。積雪寒冷地はその生活條件が劣惡でありまして、從つて富の程度も貧困でありまして、低い生活程度に甘んじておるのであります。一国の或る地域の住民が、その地域特有の自然の猛威の下で、著るしき劣惡な條件の下に低い生活程度に甘んじていなければならないということは、一国の立場から言いまして決して公正なこととは申されないのであります。この不公正は何らかの方法で是正されなければならないのでありますが、これは税の面において考慮するより外ないと存ずるのであります。先ず平衡交付金にその点を考慮いたしまして、標準財政需要を勘案いたしまするときに、十分に積雪寒冷地の諸費用をそこに盛るということが必要なのであります。又所得税の基礎控除も特別の積雪寒冷地控除を設ける必要があると存ずるのであります。この辺につきまして大蔵大臣の御答弁を煩わしたい。又早出し米の奬励金につきましては、これがそう言つた意味合いがあるということを言われておるのでありますが、これを徹底いたしまして、免税乃至減税をいたす必要があると存ずるものでありますが、この点につきましては農林大臣の御答弁を煩わしたい。又平衡交付金につきましては自治庁の御答弁を煩わしたいのであります。  時間が参りましたので、この程度に質疑を打切ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  16. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。安全保障の問題についての御意見は御意見として伺つて置きますが、これに対しては私が批評若しくは意見を述べるということは差控えたいと考えます。又駐兵問題についてお尋ねがありましたが、私の申すことは、講和條約後において、條約実施を監視するために駐兵という問題が起るということは、これは国際の慣例でありまするから、講和條約ができ上つた後に自然駐兵という問題が起るだろう。これは国際の慣例から申しても、私が駐兵ということは自然起る問題であるということを申したのであります。  又移民問題については御尤もであります。我々も移民世界の至る所に歓迎せられるようになり、又自由に行けるようになりたいものであるということを切望して止まないのであります。又米国等における日本移民に対する気持は大分最近において変化しまして、日本国民に與えられた割合数が、最近においてすでに緩和されたと言い、又緩和される法律が考案されておるというようなことを聞いて喜んでおるのであります。又南米その他においては日本移民を歓迎するという空気も出ておるやに承知いたして、これ又喜んでおるのでありますが、一面オーストラリアその他においては日本に対する危險という考えが今尚去らないのであります。この移民問題を軽々しく取上げますと、オーストラリアその他においては更に警戒をするというような事情もあるのではないかと思います。戰争以来、或いはシドニーを攻撃したとか、或いはニユーギニア附近において戰争が長く行われておつたとか、南洋における軍事行動その他のために、濠洲その他の国が日本に対して相当脅威を感ずる、恐怖の念が今尚去らないということは、しばしば聞くところであり、新聞等においても常に報道されているのであります。故に日本移民が真に平和的移民であり、日本の国情が民主的になり、又平和的になり、平和を愛好する国民なりという善解、善き了解が打ち立てられて、日本移民を歓迎するという気持にならない限りは、移民の問題は日本として甚だ困難な問題になりますのでありますから、先ず日本の国情を連合国その他が十分に了解をして、日本移民が歓迎せられるような事態を打ち立てることが第一であると思います。このような事態ができれば移民は自然歓迎せられ、又日本移民の成績から申して、その勤勉であり、又その移住した国の国情に適合するというような性格はすでに認められているのでありますから、実情が分りましたならば自然歓迎することになるであろうと思います。その状態が成るべく早く打ち立てられるようにいたしたいと思いますが、これも講和條約後においての話でございます。  朝鮮人の問題につきましては、いろいろ問題があります。密輸入とか、密造とか、或いは治安を乱したとか、いろいろ不幸な事件があるものでありますから、恰かも政府が朝鮮人を圧迫しているような感じを與えておるかも知れませんが、政府の気持といたしましては、決してそういう気持はないのであります。ただ治安の維持或いは法律の維持ということに專念するだけであつて、特に朝鮮人であるが故に圧迫するとか、或いは少数民族の問題とかいうような観念を以て朝鮮人に対しておるのではなくて、日鮮人が従来のごとく融合するということは政府としても考えておるところであつて、決して圧迫というような気持はないことと御了承願いたいと思います。  政党の編成について、二大政党が可なりや、三大政党が可なりやということは暫らく措きまして、私としては従来志を同じうする政党が相寄り相待つて、そうして政治をするということが、政治の安定を期するゆえんである、政治が安定し、経済が安定し、ここに講和條約という問題が自然取上げらるるのでありますから、日本が安定しておるという事態を明示する、内外に向つて明示する事態を早く惹起したいと考えますから、二大政党と言いますか、少くとも志を同じうしておる保守が協同して、同合し得るなら合同をして、そうして政界の安定、政治の安定を図りたい。こういう趣意であります。二党、三党という議論につきては、ここは私は申し述べないのでありますが、併し保守合同ができないじやないかというお話もあります。私はその成立するように希望をいたしておりますが、無理をいたしたくないのであります。政治でありますからして、自然の状態ができて、無理をせずに自然の状態において合同なり、協同なり、連合なりということができるということが最も望ましいことであつて、無理に不自然に或る合同をなし、或る政党を打ち立てるということは、これは却つて将来よくないと考えて、自然に任して時機の至るを持つて、志を同じうする者と共に政治行動をいたしたいと、こういう考えであります。(拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇拍手
  17. 殖田俊吉

    国務大臣(殖田俊吉君) 朝鮮人の国籍のお話でありましたが、朝鮮人は講和條約の締結されますまでは、従前の通りの取扱を受けますのでありまして、やはり日本国籍を持つておることになつておるのであります。併しながら外国人登録令におきましては、これを外国人とみなして登録をいたしております。外国人登録令の対象は殆んど全部が朝鮮人でございます。さようなわけでありまして、只今朝鮮人は何となく甚だ不確定な状態にあるのであります。併しながらこれは講和條約の決まりますまでは止むを得ざることでありますので、講和條約の決まりません前に、朝鮮人の国籍をどうするかということは、でき難いことと考えております。尤も講和條約締結後に朝鮮人をどうするかという問題につきましては、只今松井さんの御質問の中にもありましたような御趣旨は、十分に考慮をいたしまして決定をいたしたいと考えております。朝鮮人につきまして、従来政府が同情がない、或いは親切が足りないというお話もございましたが、只今総理の答弁いたしました通り、決してさような訳合いではないのでありまするが、いろいろな事情からさように見えるような結果になつておるのであります。先般、朝鮮人連盟を解散いたしまして、その財産を政府に接收いたしたのでありますが、この接收財産は貿易資金に繰入れるという、すでに制度ができ上つておるのでありまするが、朝鮮人連盟の財産だけはどうもこの従来の規則に当嵌めるのはどうかと考えまして、その財産だけは別に扱いまして、成るべくならば朝鮮人の福祉厚生のために使いたいという方針だけは決定いたしたのであります。いずれ具体的に案を樹立いたしましたならば、法律改正等によりまして御相談を申上げることがあろうかと思います。(拍手)    〔政府委員小野哲君登壇拍手
  18. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 松井さんの御質問は、寒冷積雪地帶における惡條件下においては、税の関係において特別な考慮をすべきではないか、又一般平衡交付金については如何ような考えを持つておるか。かような点であつたろうと存ずるのでございます。私の所管事項について御答弁を申上げたいと存じます。  地方税の軽減につきましては、地方団体がその條例によつて当該地方の実情に即するよう適宜軽減又は免税できることと相成つておりますので、特別に税率を軽減することは法律に規定する必要はないのでございます。問題は、松井さんも御指摘になりましたように、寒冷積雪地帶における特殊の財政需要に対して如何なる措置をとるかという問題であろうと存じます。この点につきましては、現行の地方配付税配付基準等におきましても、或いは割増人口の加算であるとか、或いは又特別配付税の増額等によりまして措置されて参つたのでございまするが、御承知のごとく昭和二十五年度におきましては、新たに地方財政平衡交付金制度が設けられることに相成つておりますので、この地方財政平衡交付金の運用に当りましては何らか適当な法制的の措置を講ずる必要があろうと、かように存じております。従いまして、この平衡交付金に関する法律の際におきまして、松井さんの御指摘になりましたような諸般の点を考慮いたしまして十分に研究いたしたい。かように考えております。(拍手
  19. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 大蔵大臣、農林大臣及び通商産業大臣の答弁は、止むを得ない事情のため他日に留保されております。山崎恒君。     —————————————    〔山崎恒君登壇拍手
  20. 山崎恒

    ○山崎恒君 緑風会を代表いたしまして二三質疑を行います。  過ぐる九月十八日ポンド切下げが突如として発表せられたところ、我が国の対米為替レート三百六十円も、当然にこれに従いまして改訂せらるべきであるという論議相当に熾烈になつたようであります。過日の本院におけるところの総理大臣の政策方針によりまして、円レートの切下げは断じて行わないという旨の発表をせられたので、一応は納得をいたしたのでありまするが、我が国の現状から輸入が輸出の二倍にも達しておる、この際に、従来の貿易と異なりまして自主的の貿易が活溌に再開せられようとする際、我が国の主要貿易のお得意先が主としてポンド地域であり、政府の高唱するところの企業合理化によるところのコストの切下げには限度があり、すでに三百六十円レート設定の際にその合理化が強制せられたので、その余地がないのではないかと思われるのでありまするが、コストの切下げや貿易條件の改善には一定の時間を要すると思われるのであります。その間に割安の外国製品に、そのいわゆる得意先の市場を侵蝕される虞れはないかどうかという点を、現状以上の企業の合理化を強制する場合に、失業者を現在より増大する虞れはないかどうか、又レート切下げの好機を逸しまして、却つて我が国の経済安定を妨げる結果とならないかどうかというような諸点につきまして、総理の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  次に食糧政策でありまするが、「いも」類の統制を撤廃するとか、或いはその統制方式を大幅に変更するとかいう問題が論議され始めましてから、すでに二ケ月有余になります。その間、農林大臣その他の閣僚諸公の私見と思われるものが各方面からいろいろと流布されておりましたが、二十四年産「いも」類につきましても、二十五年度以降のものにつきましても、政府としての決定的な態度は先般までは何ら表明されていなかつたように思うのであります。この点は次年度の種「いも」の確保の上からも政府の重大なる怠慢と申さねばなりません。今や「いも」類の統制撤廃の風説は、農村全体に対しまして極めて深刻なるところの影響を與えております。これまでの政府の一元的の買入制度によりまして、低価格ながらともかくも安心して「いも」類を作つてつた農家は、来年からは作つても売れない、或いは売れても価格は暴落するであろうというような不安に襲われまして、今後どうすればいいか全くその方途に迷つておる現状であります。而もその結果、「いも」類に対するところの生産意欲を失い、慌てて作付の転換を考え、減産の方法によつて損失を回避しようとしている現状であります。このことは、例えば目下進行中の本年産の種馬鈴薯の各農家の配給辞退に端的に現われておるのであります。この配給辞退の点については農林大臣も定めし御承知のことと存じております。併しながらこの影響は單に「いも」類の減産ということに止まるのものでありません。「いも」類の作付と関連いたしまして、輪作関係にあるところの表類の作付は直接にその影響を受け、又一般に主要食糧農産物全体に対するところの増産意欲を冷却せしめつつあることは明白であります。而して食糧増産の努力について疑問を抱くに至つたばかりではなく、政府の一方的な都合によりまして、勝手にその統制を強めたり弱めたり、撤廃したりすることのできるところの供出制度はとは、一体如何なる意味を持つておるものであろうか、供出制度そのものに対するところの不信と疑惑も又急速に深まりつつあるのであります。御承知のごとく本年産の米及び甘藷の供出状況は、昨年に比べましても本年の計画数字に比較いたしましても極めて惡いのであります。その原因といたしましては天候関係や作柄等が考えられるにいたしましても、私は供出制度そのものに対するところの不信と熱意の喪失も又相当影響しておるのではないかということを恐れるものであります。誠に寒心に堪えない事態と言う外はないのであります。これらの責任は当然政府の負うべきものでありまして、政府の反省を求めざるを得ないのであります。私は目下の農村におけるところの想像以上の混乱、或いは不安、疑惑を一掃するためには、正しい方向におきまして政府方針が決定せられ、これが一日も早く天下に公表されることの必要を痛感するものであります。(拍手)先ず本年産の甘藷に関しまして、森農林大臣は去る十月三十一日の衆議院の本会議におきまして、本年産の甘藷の統制撤廃は行わない、現状のままの買上制を実施する旨を答弁せられ、又去る十一月十二日本院におきましても、三好君の質問に対しまして同様の答弁をなされておりますので、我々は確認はいたしましたが、二十五年産のいわゆる次年度の「いも」類の生産計画並びに処置につきまして如何なる方法をとらんとするものであるか、又現に種馬鈴薯の価格の未決定の点や、二十四年産の甘藷の超過供出の数量或いは期間というような点について、農相の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  最近の世論の動きを見ますると、食糧事情の好転に伴いまして、とかく「いも」類を邪魔物扱いにするような傾向があるのでありまして、政府も又これに同調いたしておるような観があるのは誠に遺憾であります。最近の食糧事情の好転振りは、あの悲惨な終戰直後の状態を知る者にとりましては殆んど隔世の感がありますことは御同慶に堪えない次第でありますが、昨年から本年にかけまして、この食糧事情の好転は果して何によつてもたらされたかということは、私は主として昨年産の米、本年産の麦の豊作と、一方輸入食糧の増加とによるものと考えます。併しながら米麦等の作柄は毎年これを期待することはできないのであります。これに反しまして、外国食糧の輸入は、輸入資金、それがガリオア等の援助資金であれ、商業資金であれ、その資金の許す限度におきまして増加を期待することは、今後必ずしも困難ではありません。むしろ外国食糧に依存いたしまして、当面の食糧問題を彌縫し、又米価を低価格に抑えようとすることは最も安易な途であろうと思うのであります。そして、又伝えられるような一挙に「いも」類の統制を撤廃しようとすることは、好むと好まざるとに拘わらず結果におきまして、この途を選ぼうとするものでありまして、数日前の新聞紙の報ずるところによりますと、政府は本年当初におきまして二百二十九万トンの輸入食糧を懇請して置きましたが、低米価政策の持続のために更に七十七万トン、計三百六万トン輸入を懇請するとの記事があつたのであります。問題はこの輸入食糧の依存によつて我が国の食糧問題を解決しようとすることが、我が国の食糧政策として妥当なるものであろうかどうかということに発展して参るのであります。政府は将来における我が国食糧政策の基本方針を如何ように考えておられるかということであります。現在主食の一般配給基準は二合七勺でありまして、輸入食糧を大体現状通りと見まして、甘藷だけについて見ましても三十日前後を必要とするのであります。これに要する量は四億五千万貫になります。このほか工業用澱粉、アルコール、酒等に要する量も三億貫を超え、農家の自家保有のための所要量も七億貫に達します。これに加うるに一般消費者が二合七勺の配給量の不足を補充するために闇買いするところのものも無視することはできないのであります。これらの需要を賄うためには十五億貫程度の甘藷の現在生産量は最低線といたしまして絶対に維持しなければならないと信ずるものであります。若しこれが現状に比し三割も減産されることになるといたしますると、食糧需給に及ぼすところの影響は極めて重大となりまして、又それだけ輸入食糧の依存の度合が強化されることになるのであります。「いも」類の統制問題に関連いたしまして、我が国食糧政策の基本方針が直ちに農業政策自体の方向を決定するものであることは言うまでもありません。私はドツジ・ラインの指向する我が国経済の自立化の基礎は、食糧自給の強化にありと考えるのであります。(拍手)従いまして、この方針を貫徹するに必要なる農業助長策が強力に総合的に実施せられることを主張するものでありますが、総理大臣の説明せられました農業の基礎を確立するための適切なる各種の政策とは如何なるものであるか。いま少しく具体的なその施策と実行方法をお示し願いたいと思うのであります。  次に私は「いも」類の急激なる統制撤廃によりまして農家経済の蒙むる打撃について申上げなければなりません。現状のままの生産で、而も何らの経過的対策を講ずることなくして「いも」類の統制を撤廃した場合には、たとえ跛行的にせよ、そこに一種の生産過剩恐慌の状態を現わし、価格の下落することは必至の情勢にあります。然るに農家がこれまで無理をしてまで作つて参りましたのは、政府の強制的なる作付割当と供出制度に忠実に順応したことによるのでありまするが、若し誰かが「いも」類増産上の責任を負わねばならないとするならば、その責任は当然政府にあると考えられるのであります。その結果「いも」類は農業経営上極めて重要なる位置を占むるに至つたのでありますが油に、その価格の下落することによる農家経営の打撃も又それだけ大きいものであります。伝えられるころによりますと、「いも」類の統制を撤廃しなければならないところの最大の理由は、「いも」類の統制によりまして農林省の食糧管理特別会計が百億円余の赤字を出しておるということがその原因だと伝えられておりまするが、若しもさようなことがあるとしたならば、明らかに政府の負うべき責任を農民に転嫁し、農民の一方的犠牲において政府の配給操作の不手際等に基因するところの会計上の赤字を解決しようとするものでありまして、本末を転倒した暴挙であると申す外はありません。(拍手)農林大臣にその真相をお伺いいたしたいと思うのであります。  総理大臣は、「国民の熱望するところは平和條約締結の一日も早からんことである」と述べられましたが、全く私も同感であります。而して比較的近いうちに平和條約が締結されるような機運が大分動いて来た今日、平和條約締結に対する国内情勢の整備万遺憾なきを期する必要があると思うが、政府は如何なる施策を実行し、又実行せんとするものであるか。これを農村に見まするに、農民解放令の指令に基きまして、農村の民主化と農業の近代化は漸くにその緒に着かんとしつつあるのでありますが、最近その傾向を強めて参りましたところの農産物価格の割安状態と課税の重圧等により農業経営は逐次惡化の傾向を辿り、農家経済は窮迫の度を加えつつあるのでありまして、農村の民主化と農業近代化も又誠に寒心に堪えないのでありますが、農家経済の維持安定、農業の将来に対する如何なる対策を講ぜられんとするものであるか。総理大臣に御所見をお伺いいたしたいのであります。  最後に薪炭関係でありますが、薪炭関係については、政府は薪炭需給調整規則実施中に、薪炭の政府以外への売渡を禁止し、又強力なるところの生産割当と共に、政府への供出を義務として置きながら、特別会計の無責任となる運営によりましてその資金を枯渇せしめ、遂に本年二月頃より一方的に買上げを停止し又は制限をいたしたのでありまして、而して四月以降は資金操作の改善と買上げの再開、或いは制限解除をするということを言明しながら、殆んど見るべき成果を上げなかつたのであります。依然として極度の買上げ制限を継続し、遂に本年八月一日に買上げを停止したのであります。誠にその暴挙も甚だしいと言わねばなりません。而してこれによりまして、薪炭代金並びに買上げ輸送代行機関の手数料及び運賃の不拂等に基くところの、生産者及び代行機関たる農業協同組合の受けたる物心両面の損害は誠に甚大なるものがあります。政府は如何なる方法によりましてこの官営事業の不手際を償おうとするのであるか。而してかくのごとき状態から、支拂証票を発給し代金未拂のもの、受入調書を発給しながら代金未拂のもの、生産者に対し立替拂をしておるところの農業協同組合に対する支拂、並びに代行手数料、輸送費等、合計約十八億五千万円余と、これが利子等に関しましては、急速なるところの精算をすべきだと思いますが、又その責任があると存じますが、その時期等について農相の御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  又政府がかくのごとく一方的に買上げを停止し、加うるに政府なるが故にその買上げ代金の支拂を怠つているという点につきまして、法務総裁の法律的な御所見をお伺いいたしたいのであります。  以上を以ちまして私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  21. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 為替のレート問題につきましては、施政方針でも、又通産大臣からも一応説明をいたしておりますが、とにかく今日、日本の貿易相手国は主としてアメリカであります。米国からして食糧とか或いは工業原料とかいうものを相当輸入いたしておるので、このレートを下げれば自然食糧及び工業原料のコストが高くなるということであつて従つて又輸出品の生産コストに関係もいたしますから、今日においては三百六十円の為替レートを堅持するがいい、又堅持することによつて輸出が自然増進せられるので、或いは下げるかも知れないという不安の下に一時輸出が阻害されたのでありますが、通産大臣が過日説明いたした通りに、為替レートを堅持するという方針が明らかになると共に、輸出は動きつつあるということであります。又国民の食糧は無論重要な問題でありまして、先ず国民の食糧を確保するということが大事であります。そのために自然今日においても尚輸入食糧を相当仰がなければ、日本国民の食糧は不十分でありますから、当分の間は輸入食糧ということはいたし方ないものと思います。戰前においても千五百万石内外常に輸入されて、これによつて国民食糧の需要を充たしておつたのであります。又現在においても尚千万石内外は輸入しなければ国民食糧が足りなくなるのでありますから、食糧の輸入は免かるべからざるところでありますが、得べくんば食糧は自給いたしたい。これは御説の通りであります。又自立するために、食糧を国内において賄うためには、どうしても現在の農業生産なら農業生産を高度にするということによる外ないのでありますが、現にアメリカにおいては戰後における治水、利水その他の灌漑方法によつて、曾ては砂漠に等しい不毛な土地が今日は相当の沃地になつてアメリカの農業の生産は戰前の四倍若しくは五倍になつているというのが現状であるそうであります。即ち灌漑その他の方法によつて土地の改良を行えば、現在以上に農産物の産出は高まり得るということは、これは明瞭であるのではないかと思います。従つて政府は治水なり利水なり、開拓地等において十分力を用いるためにすでに予算において計上いたしておりますから、予算の御研究を願いたいと思います。  その他「いも」の問題とか供出とかいうような問題については主管大臣からお答えをいたさせます。(拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇拍手
  22. 殖田俊吉

    国務大臣(殖田俊吉君) 只今の御質問の中にありました業者に與えました政府の責任についてのお話でありましたが、これは政府と業者との関係におきまして、民事上の損害を業者に與えたということでありますれば、勿論その損害は政府がその責に任ずべきものと考えます。併しながらこれは一々具体的の場合に当りまして調査をした上でなければ結論は出ないと思います。多くは裁判の結果に待つことであろうと考えております。(「裁判の費用を誰が負担するのか」と呼ぶ者あり、拍手、笑声、「農林大臣は何故出席しないのだ」と呼ぶ者あり)
  23. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 先程申しましたように、止むを得ない事情でよそへ行つておりますから……。    〔政府委員坂本實君登壇拍手〕    〔「しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕
  24. 坂本實

    政府委員(坂本實君) 農林大臣に代つて答えを申上げます。只今の御質問の要点は、先ず「いも」の統制に関連をいたしまして今後の輸入食糧の関係或いは又農林政策等についてのお尋ねであつたかと存じます。本年度の甘藷の統制整理に関しましては、生産事情、配給事情及び食管特別会計の操作能力等を考慮いたしまして、いろいろ研究を続けて参つたのでありまして、昭和二十四年産の甘藷につきましては、既定の方針通り割当をいたしましたものは一応買上げ、更に又一割程度の超過供出はこれを買入れることにいたしているのであります。但し供出を完了いたしたものにつきましては自由販売をしたらということで、各関係方面にも交渉をいたしておるのであります。たまたま御承知のように連合軍最高司令部の九月九日附のメモランダムは、穀類の供給事情から考慮いたしまして、一九五〇年には「いも」類の価格及び配給統制を撤廃して支障ない旨を明らかにされておるのであります。従いまして二十五年産の甘藷の対策につきましては、目下研究をいたしておるのでありまするが、只今お話がございました通り、このために種々農家の経営の上にも混乱を来たすかと存じまして、その対策を一日も早く確立しなければならないと考えております。で、食糧の需給の確保、及び農業経営の安定、確立の観点から、とらるべき適切なる農業生産の対策を調査研究することにいたしておるようなわけであります。(「実行しなくちや駄目だ」「撤廃せよ」「それを聞いてるんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)只今関係方面とも折衝をいたしておりまするので、近くその結論を見ると思うのでありまするが、今いろいろ食糧需給につきましてのお尋ねがありましたが、最近におきまして我が国の食糧事情は、著しく改善を見て参つたのでありまして、二合八勺の生食の配給ベースは何らの不安なく維持されておるのでありまするが、(「それを聞いておるのじやない」と呼ぶ者あり)これが国内農業生産力の回復と世界の食糧事情の好転によりまして、食糧輸入の増加に負つておりますることは御承知の通りであります。で、現在我が国が戰前、朝鮮、台湾を含めまして、食糧の自給自足をなしておりました当時と異なりまして、相当量の食糧を海外から輸入しなければ需給の均衡を保持し得ない実情にあるのでありまして、終戰後の食糧輸入額はすでに累計七百万トンにも上つております。本年におきましても二百万トンを超えておるような次第でありまして、(「腐つておる芋はどうする」「進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)今後におきまする「いも」の統制撤廃と睨み合せましての農業政策につきましては、先程申しまする通り十分研究もいたす所存であります。  更に又薪炭特別会計につきましてのお尋ねでございますが、昭和二十四年八月一日を以ちまして、薪炭特別会計は薪炭の新規買入を停止いたしまして、專ら清算事務に專念することに相成つたのであります。で、薪炭特別会計の整理事務の主要なる内容を申上げて見ますならば、先ず政府手持の薪炭を売拂うこと、政府の債権の回收及び債務の支拂をすること、数量不足、銘柄違い等によりまする事故のあつた薪炭につきまして責任を追及をいたしますこと、更に特別会計の所属資産、即ち建物でありますとか船舶、自動車等の売拂をいたしまして、その換価処分をいたしますこと、更に特別会計の従來の決算内容を再検討をいたしておるのでありまして、特別会計の従來の決算内容につきましては、いろいろ疑問の点もありまするから、過去から現在に亘りまする経理内容を詳細に分析いたしまして、赤字の真の原因と特別会計の功罪を、国民の前に明らかにしなければならないと存じておる次第であります。(「質問を読まなくてもいいのだよ」「默つてお聽きなさい」と呼ぶ者あり)尚、債務の支拂についての御質問であつたのでありますが、特別会計の業務の取扱方法が今年に入りましていろいろ極く短期の間に数回変つたのでありまして、超過支拂をなさないように、取扱方法変更の接続点におきまする審査が最も重要な点であろうかと思うのであります。事務的にもいろいろさような点を愼重に取扱います関係上、聊か遅れておると思いまするが、これは整理の付き次第逐次支拂をいたして行きたいと考えておるような次第であります。(「了承」と呼ぶ者あり、拍手)    〔山崎恒君発言の許可を求む〕
  25. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 自席から簡單にお願いいたします。
  26. 山崎恒

    ○山崎恒君 私の質問に対しまして、只今政務次官の御答弁があつたのでありますが、尚、政務次官の御答弁では満足しない点があるので(拍手)保留を願いまして、農林大臣から又再び御答弁を得たいと思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  27. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これにて内閣総理大臣演説に対する質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。内閣総理大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。尚、昨日の大蔵大臣の演説に対して質疑の通告がございますが、議事の都合によりこれは明後日に讓り、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、国務大臣演説に関する件(第七日)