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1949-10-28 第6回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月二十八日(金曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三号   昭和二十四年十月二十八日    午前十時開議  第一 食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第二 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。荒井八郎君より病気のため会期中請暇の申出がございました。許可することに御異議がございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第一、食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案日程第二、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律等の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎登壇拍手
  7. 櫻内辰郎

    櫻内辰郎君 只今議題となりました食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本案提案理由及び内容について申上げます。現下の食糧事情に鑑み、本年限り免税されております米麦等主要食糧輸入税の免除を、昭和二十五年十二月末日まで更に一ケ年延長すること、又現在免税されております茶及び重炭酸曹達は、その必要を認められないため、別表より削除せんとするものであります。さて本案は、十月二十七日、愼重審議し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律等の一部を改正する法律案審議経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、失業保險法改正により、日雇労働保險者にかかる保險料失業保險印紙により納付することとなつたのに伴い、関係法律に所要の改正を加え、又厚生保險特別会計健康勘定積立金を、当分の間、健康保險事業経営上の財源に充てるため、同勘定歳入に繰入れることができるようにしようとするものであります。  さて本案は、十月二十七日、愼重審議し、各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————    〔木下源吾発言の許可を求む〕
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 木下源吾君。
  11. 木下源吾

    木下源吾君 本員は、この際、寒冷地手当等に関する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  12. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 本員は只今木下君の動議賛成をいたします。
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 木下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。木下源吾君。    〔議長退席、副議長著席〕    〔木下源吾登壇拍手
  15. 木下源吾

    木下源吾君 私はこの機会に、国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当等に関する質問をいたしたいと思うのでありますが、この質問を通じて政府に速かにこれらの支給実現せられるることを要望するものであります。  御案内の通り、第五国会において、寒冷地手当石炭手当支給に関する法律は、両院満場一致を以て通過しておるのでありまして、而もこの法律は、実質的にも議員提出といたしまして誠に民主的な形の上において通過したことに対しましては、このことは国民全体の輿論であると言うても過言ではないと思うのでありまして、從つて国民責任を負うところの政府は、即ち民主政府は、このことの重大性を特に考えなければならないと思うのでありまして、私はこの法律の定めましたことが具体的にその実行が非常に遅れておることに対して甚だ遺憾に考えるのであります。すでに政府においては鋭意予算措置等を講ぜられておることを承知をしておりまするけれども、尚、現在においては、これらの給與が全く一日もゆるがせにできない程に実際には必要に迫られておるのであります。すでに石炭手当支給の地域においては、例年よりも二週間も早く降雪を見ております。尚、寒冷地手当におきましても、これらに勤務するところの職員は、石炭こそ用いておらなくても、薪炭その他越冬出の野菜その他の準備、最も卑近に言うならば、障子の張替から冬囲いに至るまで、今のうちにこれをやつて置かなければならない時期に迫つておるのでありまして、このようなことはすでに毎年行われておるのに、本年法律ができておつた尚且つこれが実現を見ないということについては、これに関係する凡そ五十万人の公務員、その家族を合せて恐らく二百万人になんなんとする国民の非常に心配をしておることは想像するに余りあるものがあろうと思うのであります。そこで私は、すでに政府においては、八月の末と十月の末に石炭手当は出す、それから寒冷地手当は十月末と一月末にこれを支給するということをお決めになつて新聞にすでに発表になつておるのでありますが、この新聞を見ておる側では政府を信用いたしまして、心待ちに待つて、又家庭の経済の上においても、そのつもりでやりくりをしておる者もある。然るにこの政府の決定が八月の末にも実行できないし、尚その後、我々は政府に交渉いたしまして、官房長官から九月末には間違いないというようなことを言われておつたのが、尚九月の末もこれが実現を見ない。更に今十月もまさになくなろうとしておるときに、これが実現を見ないということは、誠に私共遺憾とするところであるばかりではなく、政府のこれに対する誠意すらもここに至つては疑わざるを得ないという実情にある。人事院においては、これら給與に関する問題といたしまして、法律の定めるところによつて、すでに七月の九日の日に具体的な事項を総理大臣勧告しておるのであります。このことを見ましても、如何にこの給與の面、公務員を保護するという面に立つ人事院が忠実に、そうしてこれを実行しなければならないかということを考えておる。勿論人事院も又政府の一部であるからして、私共はこれらの処置に対しては非常に敬意を表しておつたのでありまするが、ところが政府においては、只今申上げる通りである。ここで一体法律では予算範囲内ということを謳つてあるのでありますが、その予算範囲ということについて、政府は、特に大蔵大臣は、この予算範囲ということを人事に関する既定予算というように考えておるのかどうか。私共はすでに本年度予算において、当初から二千数百億の剰余金があることを承知して決議しておるのであります。私共の予算範囲ということは、国全体の予算の上においてかように考えておるのでありまして、この点についての見解一つ明らかにして頂くと同時に、実際的にも又既定予算の中でやりくりをしておるのか。或いはそれをやりくりすることができる部分はどのくらいあるのか。若しも又補正予算で新財源を求めて、これを処置しなければならないとするならば、補正予算の中に、どういうようにこれを織込んで出そうとしておられるのか。こういう点を一つ承わりたいと思うのであります。  尚、只今申上げたように、人事院凡そ国家公務員に関するすべてのことをやつておるのでありますが、一方においては、公務員にふさわしい行動を、或いは仕事をやらせようとしていろいろのことをやつておる。一面から見れば、私共の誠に不可解な程の制肘を加えておる。例えば百二條の適用によるところの政治活動の禁止であるとか、そういうことをやつておる半面において、公務員を保護するのであるというこの建前に立つて、経済的な事情をいろいろ立案して政府勧告する場合に、予算というものについて何ら考慮をしないのかどうか。予算的考慮をするならば、同時に政府全体としての政治的な面にやはり人事院が関與しなければならないと、かように考えるのでありますが、この点は一体どういうようになつておるのかをこの際明らかにして置きたいと思うのであります。今後給與ベースの問題もあります。内閣の当事者の中では、給與は据置だというようなことを言つておるし、一方においては、公務員法二十八條によつて当然これを改訂しなければならないということが言われておるのでありまして、これらについても、人事院政府全体の政治的な見解をこの際一つ明らかにして置いて頂きたいと、かように考えます。  尚、郵政並びに只今では国家公務員でありませんけれどもいわゆる鉄道関係所管大臣諸君は、現業であるだけに、これらの職員給與の面において、只今申上げるような、この寒冷地手当或いは石炭手当というような給與の面において、すでに法律が通過しており、これを実施しなければならない。それが遅れておるために、非常に公務員が不安を感じて、尚その結果として業務上に支障を來すのではないか。凡そ国家公務員の半数を占めておる者は鉄道関係郵政関係であるのでありますが、この点について所管大臣においては、今日まで法律が制定せられて以來、どのように一体閣内において、この問題実現のためにいろいろ行動せられたか、この点を一つ承わりたいのと、政府全体といたしましては、いつになつたならば確実にこれを実行し得るのか、この点を関係大臣からお伺いしたい。  で、私がこのようなことをお尋ねするゆえんのものは、すでに地方公務員の場合においては国家公務員のこの法律に準じまして、自治庁の非常に努力によつて地方公務員の場合はすでに支給せられておるのであります。或いは全部ではありませんけれども、寒冷地手当並びに石炭手当支給せられておる。然るにその根本をなすところの国家公務員において未だこれが支給されておらない。そうして非常に前途が暗いということ、この点については私は一日も早くやはり公務員の全体としての利益を確保するように政府一つ努力をして貰いたいと、かように考えます。どうも聞くところによりまするというと、政府努力しておるのだけれども関係方面了解が得られないというようなことを噂に聞くのでありますが、かかることは私はこの機会において、総理大臣から、国民全体の輿論であり、そうして民主政治であるというために、みずからの力において、責任において、このことを完全に実施する、若し実施できない場合におけることも予めやはり決意を以ておやりにならなければならないと考えますが、徒らに全国民に対して、当然やらなければならない全国民輿論、これが行われないというような印象を與えておる今日において、総理大臣からこの際明確に責任政治の所在を明らかにし、みずからの決意を表明して貰いたいと考える次第であります。  尚、附加えまして、私はやはり石炭手当と多少関連がありますがために申上げますが、北海道煖房用炭に関することをしばしば政府並びに與党議員諸君が、現地において、これが補給金の点について必ず実現するものであるということを、演説会或いはその他、新聞等に宣伝せられておる。然るに今日この煖房用炭補給金の問題が解決せられておらない。而も現地においては滯貨が駅頭に山になつておる。そうして自然発火をしておる。でもやはり今まで通り何らかの形において煖房用炭値引或い補給金があるものと考えて、この寒さに向つても道民が石炭購入に躊躇しておるような状態にあるのであります。この問題につきましても、この機会において政府から、駄目なら駄目である、やらないのならやらないのだということをはつきり一つここに御答弁を願いたい。  以上が私の政府に対するお願いの要点でございます。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  16. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 木下君にお答えをいたします。寒冷地手当についての御意見は、私としても政府としても御同感であります。まだ支給するに至つておりませんが、政府としては応急措置なり、或いは補正予算措置なり、折角講じて、その実現努力しております。その結果については、又如何なる処置をいつするかというようなことについては、関係大臣からお聽取りを願いたいと思います。  それからこの際、内村清次君の御質問に対して一応のお答えを私からいたします。  内村君の御質問は、政府職員の六千三百円のベース政府としてはこれを改訂する意思がないかというお尋ねのように承知いたしますが、只今のところ政府といたしては、このベースを変える考えはいたしておりません。というのは各いろいろな関係がありまして、物価にも影響し、或いは民間にもいろいろ影響を生じまするから、政府としてはこのベースを動かす考えはないのであります。併しながら同時に職員生活その他に関しては、政府といたしても非常に関心を持つておりますのでありまするから、その住宅とか或いはその他の厚生設備等において、成るべく政府職員生活が安定するように努力する考えでおります。  それから内村君の第二の御質問は、行政機関職員定員法について、これを改める考えがないかという御質問のように承知いたしまするが、政府としては職員定員法は無論これを嚴守いたしますが、同時に更に定員の増加はいたさないように、又行政合理化は一層進めたい、目下行政審議会等において鋭意検討いたしておりますので、その結果を待つて更に考えたいと思います。一応のお答えをいたして置きます。(拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  17. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木下さんの寒冷地手当支給についての御質問お答え申上げます。御承知のごとく石炭手当につきましては、政府といたしましては、先般応急措置を講じましたから、あの金額を以てすれば凡そ來年一月までの石炭は確保できると、こう考えておる次第でございます。  それから北海道並びに各府県における寒冷地手当でございまするが、これは御承知かと存じまするが、一般会計並び国鉄を除いた特別会計におきましては、予算範囲内において支給し得る運びに相成つております。御承知通り皆様の御提案にかかる寒冷地手当に関する特別法律は、その中に予算範囲内においてと、こう書かれておるのでございまして、その見地から観察いたしますと、国鉄特別会計予ざの範囲内において支給し得るや否やまだ見当が付いていない状況でございまして、率直に申上げて予算範囲内においては支給することが相当困難な事情にありますために、他の特別会計並びに一般会計に属する職員諸君に未だ寒冷地手当支給し得ない状況にあるのでありまして、政府といたしましては遺憾に存じておる点は木下参議院議員と全然御同感でございます。そこで国鉄関係については節約或いはその他の方法を構じまして、何といたしましても至急に寒冷地手当支給することが必要であることは、木下君の御所見と同樣でございますから、今鋭意研究中でございます。場合によりますれば節約で捻出し得るかも知れませんし、できない場合は予算措置構ずる。ともかくも、できるだけ早く支給いたしたいという方向に向つて極力善処いたしておりますから、さよう御了承を願いたいと存じます。(拍手)    〔政府委員淺井清登壇
  18. 淺井清

    政府委員淺井清君) 木下さんの御質疑は誠に御尤もの次第と存じております。お示しのごとく、この法律案議員野案法律案でございまして、殊に両院満場一致を以て通過いたしました法律でございまするからして、我が憲法の建前から申しましても最も尊重すべきことは申すまでもないと存じます。故に人事院といたしましては、最も誠実に且つ迅速に、この法律において命ぜられましたる勧告を、すでに夏暑い時分に内閣総理大臣に対していたしました次第でございます。然るに今日雪を見ようとするようになりまして尚且つ現実にその手当支給されないということは、誠に遺憾の次第と存じております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)故に勧告をいたしました後におきましても、人事院といたしましては、この勧告責任上しばしば内閣に対しましてその実施方をお願いいたして参つて次第でございます。ただ御承知のごとく人事院は実際この給與支給するところの立場にはないのでございまするから、この点は内閣隔財政当局のこの上ともの御盡力をお願いするより外はないと存じております。尚、予算範囲というお言葉がございましたが、この議員発案法律案におきましては、議員みずから如何なる予算を指すかをお決めになつて差支えないかと存ずる次第でございまして、(拍手人事院といたしましては、この予算が如何なる予算を意味するかということに対して解釈を加える権限は持たないのでございます。  尚、給與ベースのことについてお示しがごごいましたが、この点につきましては、先日上野人事官からお答えを申しましたのと少しも相違はないのでございます。ただ人事院給與ベース勧告をいたしますることは、何が適切なる給與ベースであるかということを内閣及び国会に対して勧告するに止まるのでございまして、これを政治問題として或いは財政問題として御解決になりまするのは、内閣及び国会、殊に最終的な解決国会にあるという建前を変更する必要はないものと存じております。(拍手)    〔国務大臣大屋晋三君登壇
  19. 大屋晋三

    国務大臣大屋晋三君) お答えいたします。  国鉄職員に対しまする石炭手当の件は、只今官房長官の御答弁にもございました通り、一応の貸金を北海道の分に対しましてはいたしまして、当座困る人々に金融の途を付けております。尚、寒冷地手当の件につきましては、国鉄に関しまする限り、経費節約を以て支弁することが可能であると国鉄では考えておりまするが、この点につきまして、大蔵省又は関係方面の多少の見解が熟しておりません関係で、今日まで解決が延引になつておる。從いまして一般政府公務員に対しましてまだ実施が遷延されておる。こういうような実情に相成つております。そういたしまして、国鉄の分は、寒冷地手当石炭手当を合算いたしまして大体金額は十億円見当でございます。尚、寒冷地手当支給を受ける人員は約十八万七千人、石炭手当を受けまする人員が約五万五千人、こういうことになつておりますので、国鉄といたしましては、……再び繰返しまするが、経費の中から捻出ができると思つておりまするので、諸般の手続が完了いたしました上は直ちに実施をいたすつもりをいたしております。(拍手)    〔国務大臣小澤佐重喜登壇
  20. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) お答え申します。寒冷地手当並びに石炭手当につきましての政府の全般的な方針は、只今総理大臣並びに官房長官運輸大臣からのお答え通りであります。ただ特殊な郵政並びに電気通信関係についてのお言葉がございましたが、お話のように、寒冷地手当並びに石炭手当が非常に遅れたために、從業員が非常な不安を抱いて業務支障があるのではないかというようなお話がございましたけれども、そういう点につきましては、我々の努力しておる姿を刻々局長会議なり、その他の方法從業員に徹底するようにいたしております。現に過日行われました地方局長会議におきましても、寒冷地手当はこういう事情になつて遅れておるので、政府は必ず努力をするつもりであるから、その点了承して呉れといういうように、刻々知らせながら了解を得てやつておりますので、その点御了承を願いたいと存じます。(拍手)    〔木下源吾君「煖房用炭答弁がまだ落ちておるのです」と述ぶ〕
  21. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) ちよつとお待ち下さい。……内村君の登壇を願います。    〔内村清次登壇拍手
  22. 内村清次

    内村清次君 先程の吉田総理大臣の御答弁の中に、私が質問いたしました最も重要な点に対しての御答弁が外れております。この点は只今国鉄労働組合がいわゆる給與ベースの問題につきまして調停委員会にかけておりまするが、これは公労法從つて調停委員会にかけております。調停委員会のいわゆるその調停に対しまして、労働組合はこれを不満ながら受諾しておる。当局はこれを拒否しておる。そうして見ますると、この公労法によりまして当然これは仲裁委員会にかかつておる。仲裁委員会はこれは二十六條によりまして、この構成の、即ち委員の方は総理大臣自身が委嘱して三名の委員の方にこの仲裁をさせられるわけでありまするが、この総理大臣みずからの委嘱にかかるところの仲裁委員会の裁定に対して、政府は如何なる態度を示されるかということを私は聞いた筈です。    〔「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり、拍手〕 これに対しては何らお答えがない。而も只今の御答弁におきましては、物価その他に影響があるから、いわゆる賃金ベースに対しては改訂意思はない。ただその中に含みのあることは、私は含みがあると……これは総理大臣の気持がここにあれば非常に結構だと思いまするが、只今ではその改訂考えは持たない、「只今では」というところに含みがあると私は解しまするが、併しながら今のお言葉では、どうしても改訂意思というものが少いようであります。そうして見ますると、これは五十万の組合員は愕然といたします。同時に又合法的にやつて來ましたこの国鉄労働組合の即ち合法的な考え方というものにも、これは大きな影響をいたしますでしよう。同時に又国家公務員、即ち一百万の国家公務員も、又地方公務員も、これは相当な影響があると私は存じます。かかるが故に、こういうような重大な問題につきまして、総理大臣はどういう態度を、今現在においてそういうような、即ち調停中のものに対して事前に給與改訂はしないというような断定的な言葉をされるということは、我々はどうしても納得行かないのでありまして、物価の問題につきましては、これを検討いたしましても、実効価格は相当上つておることは、これは人事院も当然認めるべき筈であると私は思つておる。即ち七月の月におきましては、もうすでに三〇%五だけは上つておるのです。こういうような点につきましての総理大臣の御答弁がなかつた。この点につきましては実に残念ですが、ここで一つつ明確なる御答弁をお願いしたいのであります。  それから人事院総裁との関係におきまして、私は人事院はこの七月頃に当然国家公務員法の二十八條で以て政府勧告しなければならん義務がある筈、これはもう七月頃に発生しておる。いわゆる六千三百円ベースというものは、昨年の七月に物価の問題において行わるべきものが、十二月からベース改訂されておることはこの前言つた通りです。そうして見ますると、もう当然本年の七月にはこの勧告がなさるベきである。もうなさるるものだとして当時の新聞にもちよつと出た。これが闇から闇に葬られておる事実がある。こういうような事実があるから先般お尋ねしたのでありまするが、こういうような事実は内閣といたしましても、即ちこれは二十八條違反行為であろうと私は思うのでありまするが、この点につきまして、やはり吉田総理大臣に対しましても質問をしておるのですが、この点に対しての御答弁が何らなかつたのです。この点も一つ併せて答弁をお願いしたい。これは淺井人事院総裁一つこの点の経緯につきまして御答弁をお願いしたいと思います。同時に私は若しこの点につきまして曖昧な御答弁がありましたならば、私は事実その他を存じておりますからして、皆さん方の前にこの点は御被露をいたしたいと存じまするから、明確なる御答弁一つお願いしたいのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  23. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 内村君にお答えをいたします。国鉄賃金ベースに関する仲裁委員会の裁定は将來に属することであつて、今その裁定は承知いたしておりません。裁定があつて場合には、法律の定めるところに從つて政府としては善処いたします。又先程賃金ベース改訂につきまして更に御議論がありましたが、御議論は御議論として伺つて置きますが、政府といたしましては、只今のところこれは改訂する意思はないのであります。(拍手)    〔政府委員淺井清登壇拍手
  24. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私からも一言お答えをさせて頂きたいと存じます。お示しのごとく、国家公務員法二十八條によりまして、人事院は或る條件が備わりましたときには、国会及び内閣給與改訂について勧告をいたすべき義務を持つことは勿論のことでございます。故に人事院といたしましては、絶えずこの義務を誠実に履行するように研究をし続けておるわけでございまするが、ただ如何なる時期においてこれをなすべきかということは、法律は少しもこれを制限をしていないのでございます。但し制限をしていないということは、この義務を怠つてよいということでは決してございません。故に人事院といたしましては常にこの勧告の準備を進めておる次第でありまして、ただ本日までのところ未だ勧告をしていない。それだけのことでございまして、決して義務を怠つておるのでないということを御了承願いたいと存じます。(「めい論」「つまらん答弁だ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇
  25. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木下さんの御質問のうち、北海道の道民の諸君の使われる煖房用の石炭の価格について特別措置を講じては如何という御質問と拜承いたしましてお答え申上げます。御承知のごとく昨年度におきましては、北海道民用の煖房炭については特別価格の措置を講じましたが、本年におきましては、予算関係その他に鑑みまして支給することが困難な事情にあるのでございます。又御承知のごとく、石炭は配給統制におきましても、価格統制におきましても、すべて完全に撤廃されたのでございまして、段々炭価も安くなりつつある状況でございます。でございまするから、昨年に比べて比較的容易に入手し易いという関係もございまするから、そういう関係も御考慮下さいまして、只今のところ北海道民用の煖房石炭について、特別価格措置を講じないという点はどうぞ御了承願いたいと存ずる次第でございます。      ——————————    〔河野正夫君発言の許可を求む〕
  26. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 河野正夫君。
  27. 河野正夫

    ○河野正夫君 本員はこの際、公務員政治活動制限に関する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  28. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 河野君の只今動議に対し賛成いたします。
  29. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 河野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。河野正夫君。    〔河野正夫君登壇拍手
  31. 河野正夫

    ○河野正夫君 終戰以來、解放せられました我が日本国民は、新らしい憲法の下に個人の自由と人格の尊嚴とを基調とするところの民主主義社会の建設に向つて公私共に努力し來つたのであります。一部保守的な人々からは或いは喜ばれなかつたかも存じませんけれども、労働組合運動が異常な速度を以て急激に発達したということは、我が国の民主化にとつて極めて大きな貢献をしたものと思うのであります。特に知識的な勤労者であるところの官公吏、即ち国家並びに地方公務員が、これらの民主化の運動の先駆者となつて、官公庁労働組合一般労働組合運動の中核的な働きをして來たということは、種々行き過ぎその他のことがあつたではあるかも知れませんけれども、少くとも從來の我が国情から考えまして、これは自然の勢いであつたと思うのであります。然るに今や国家公務員も又地方公務員も、ただに労働組合運動という面ばかりではなく、政治活動の上におきましても、或いは言論思想の活動の面におきましても、甚だしくその自由を制限せられ、又これから制限をせられようとしつつあるのであります。その結果は我が国民生活の全般を通じまして、自由進取の気風というものが衰え、若しくは保守退嬰の気風というものが起りつつあるのではないかと憂えるのであります。少くとも正義を愛し真理を把持して動かないという民主主義的な勇気を持つていなければならぬと思うのでありますが、この点において国民の風潮は後退の勢を示しておると思うのであります。成る程官公庁労働組合の一部分の分子が党派的偏向を持つてつたとか、或いは行き過ぎがあつたとかいうことは事実でもありましよう。併し一方においては、いわゆる労働組合の民主化を叫んで、その合法的な運動に苦心惨澹しておつた多くの人々がいるのであります。この際この公務員政治活動について特段の制限を加える規則が発布せられ、又は何らの合法的根拠のない辞職強要というようなことが一方においてとられるというようなことは、学問の自由を阻害し、更に又日本民主主義のためには角を矯めて牛を殺すというような憂いを感ずるものであります。のみならず我が国民の民主化を遅らせ、更に憲法精神に反する結果を來すのではないか、こう思うのであります。右のような趣旨に基きまして、公務員政治活動、特に教職員の教壇追放とか言論封鎖というような一連の事実について、総理大臣、文部大臣並びに人事院総裁に対して二三の質問を試みたいと思うのであります。  先ず最初に、大学教授並びに地方教員の辞職強要乃至は処分ということについてお伺いいたしたいと思うのであります。一体我が国の教育の再建のために、この物質的乃至は財政的な面と桑に人的な面が重要であることは申すまでもないのであります。然るに現内閣は本年度予算におきまして、或いは新制大学の創設に当り、費用を極めて少額、三億しか見積らないとか、或いは又いわゆる六三建築とも称せられるところの義務教育の校舎建築についても、公共事業費がないために、これを本年度は全く見ることはできないとか、或いは更に義務教育の国庫負担費を極めて少額に削つた結果といたしまして、定員定額制という難問題が生じ、それによつて地方教育当事者は勿論、地方の自治体の関係者をして極めて困難な立場に追いやつたことは、御承知通りであります。このように物的な基礎において培うことができないのならば、せめてものこと、人的な面において、例えばその素質の向上とか、数の充実とか、乃至はその教授或いは教員諸君の職場における喜んで安んじて働き得るような教育の場の整備、並びに教員諸君生活の安定というふうな点について何らかの努力をしなければならなかつた筈であります。ところが事実は如何でありましよう。事の勢いは政府のみの責任であるかどうかは論でないといたしましても、今日追込まれているところの大学教授諸君から幼稚園の先生に至る中央地方の教職員の方には、一つの大きな不安、地位の不安定という嵐が襲つて來ておるのであります。教員に整理がない、こういうことは文部大臣のしばしば声明せられたところであります。にも拘わらず、地方教員については、公式な統計によつてさえも一万人の予算定員よりの超過がありまするから、これを何とかして補わなければならぬ。地方当局が非常に努力したにも拘わらず、地方自治庁は通達を発して、いわゆる裸予算による地方費負担によつてこのオーバーした分を賄うということを、地方財政法第二條違反ということによつて禁止したのであります。又從いまして教員は、何らかの形で地方教員は整理しなければならぬというので、地方の数府県におきましては、いわゆる定数條例なるものを出して首切りを合法化しておるのであります。ところが、これに関連いたしまして、昨年以來教員の政治活動ということが教育基本法第八條違反であるかどうかということに伴つて問題になつて参りました。最近ここ数ケ月間におきましては、この教員整理と関連いたしまして、或る政党に属しているとか、そのシンパサイザーであるとか、乃至は当局に協力しない者である、能率の上らない者であるという名目の下に、殆んど一定の方向を持つておる人々のみを整理しようという傾向があるのであります。更に又国立大学におきましても同じようなことが起つて來ておるのであります。文部大臣の管轄下にありますけれども、これはもとより文部大臣直接の指揮下においては大学の自治は許されておりましようけれども、一大学に限らず、全国的に、全般的に、こういう問題が起りつつあるのであります。形は辞表提出という形において言われておる場合もあれば、ときに地方教官の場合は教育委員会、大学の場合においては大学管理機関であるところの評議員会なり教授会というような手を経ておる場合もありますけれども、殆んど大部分は何らか名目だけは三百代言的に立てるけれども、気に入らぬ人間を掃除してしまえという極めて簡單なフアツシヨ的な考えに基いていると私は思うのであります。これらの一連の出來事を総合して考えて見ると、これは明らかに政府が関知していないとは考えることができないのであります。こういうことが全般的、全国的に行われているということについて、国民は事実はとにもかくにも、国民の全体はこれを吉田政府の反動的な政策の現われである、こういうふうに批判していると思うのであります。(「ノーノー」「おかしいよ」「その通り」と呼ぶ者あり)一体、民主主義は申すまでもなく納得の行く政治でなければなりません。然るに教員の整理が、第三者はもとより本人さえも、どういうわけで辞職をしなければならないのであるか、整理されなければならないのであるか、そのわけの分らない口実によつて強制されるということは、これは民主政治下において正しいことでありましようか。大学における正式な管理機関にもかけない、或いは地方においては教育委員会さえ承知しない間に整理が行われておるという例も一二に止まらないのであります。私は特定の政党の党員であろうとなかろうと、現実の行動が現在の法規に照して不当である者を処断することに対して決して異議を申立てる者ではありません。併しながらその処断は、当然やはり合法的に、而も親切な手続によつて、納得の行く方法によつて進められて行かなければならないのであります(「その通り」と呼ぶ者あり)然るにその間違つた不当な現実行動のあつた者であるという理由によつて、その理由を本当は持つておるにも拘わらず、表面は如何にも定数の関係であるとか、ただ不適格と思うとか、いろいろな理由によつて口実を構えて追出そうとする、こういう誠実性のない処分というものが行われていることに対して、私は教育の立場から非常に痛心しておるものであります。問題は、その理由が薄弱なものを、而も不備な手続によつて、不親切な方法によつて行おうというところにあるのであります。その上に最も大事なことは、これらの処分を行うことは恰もその当局者の意思ではなくして、もつと外の外的な権威の下、止むを得ず行うのであるというふうな態度をとつておることにあるのであります。(拍手)而も文部当局はこれに対して関知しないというのである。こういうやり方が教育の面で行われることは、真理を追究し、正義を愛し、合法性を尊び、誠実を重んじなければならない教育の場において、如何にもその反対のことが行われておるということになるのであります。  そこで総理大臣にお尋ねいたしたい第一点は、このような不合理が今教育界に起りつつあることを民主主義政治の立場からどうお考えになられるのであるか、その御所見を承わりたいのであります。つまり真理を把持して如何なる権力にも恐れないというのが教育者や学者の節操でなければならぬのであります。然るに今日の実相は、このような教育者や学者の立場を無視いたしまして、而も権力によつて言論を思想を徹底的に克服するというのでなくしても、弱めようというような考え方が行われておるのであります。現実の行動は法規で取締ることができますけれども、思想を退治しなければならぬというのならば、これは思想を以てするより外に仕方がない筈であります。思想は思想との対決によつてのみ克服せられる。それを国家権力、その他の外的権力によつてこれを一掃しようとするふうな考え方は、一つのフアシズムであると断ぜざるを得ないのでありますが、この点についての総理の御所見を承わりたいのであります。  第二にお尋ねいたしたいのは、先般人事院規則の発布を見まして、これによつて一般国家公務員政治活動は制限をせられた。それが更に大学教授諸君について言うならば、不当な学問の自由に対する彈圧を伴うのではないかと憂えられておるのであります。このような制限を行うということは、先程の他の質問者の意見にもありましたけれども、一方において生活を保護して行く、その身分を保障して行くという半面があつてこそ、その制限が公共の福祉のために止むを得ないものであるならば、而も合法的に行われるならば、承認し得るところであります。教育の場について申上げますならば、先程も申しましたように、物的な基礎を整備する半面を持つていなければならない。それは学校の設備についても、教職員の待遇についても……。ところが総理は公務員給與の値上げは行わないというようなお考えでありましたけれども、一方において政治活動の制限が今のように行われておるとするならば、この半面の給與について、給與のみならず今言つたような物的な基礎を培う点についてどうお考えになるのであるか。極めて片手落ちに政治活動だけを制限するということが不当ではないか。要するに公務員の、特に教員諸君の積極的保護ということについては、如何なる方針をお持ちになつておられるかということを承わりたいのであります。  次に……
  32. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 河野君、時間が経過いたしました。
  33. 河野正夫

    ○河野正夫君(続) 文部大臣に質問の要点を申上げまするが、文部大臣は以上の事情を、辞職強要等については関知していないかどうか。関知していないとすれば、今のような不当な教員整理が全般的に行われておることについて、何らかの忠告を大学や地方に通達する用意があるかどうか。又第三に、この際教員の生活擁護に特段の処置を講ずる意思がないかどうか承わりたい。  次に人事院総裁に一二の点を伺いたいのであります。人事院規則は、その内容については事前に国会の常任委員会等に相談をするか、輿論に尋ねるという点が必要ではなかつたか。更に特段の解説を要する不明瞭さを持つておりますが、この点について、現在のような、どうも先程から申しましたように、公務員の活動制限が不当に行われておるときに当つて、非常に人事院責任は重大であろうと思うのであるが、それについて如何にお考えになつていらつしやるか。特に身分の保障ということは人事院一つ責任であろうかと思いますが、大学教授諸君の辞職強要等について、人事院としては何らかの見解を発表する必要があるのではないか。給與の面においても、若し内閣がこの給與勧告を断わつたときに、断わつたきりであるというさつきのお話でありましたけれども、そうでなく、そこに一方に政治活動の制限をみずから規則として発表するのであるが故に、人事院としては何らかの責任を感じなければいけないと思う。その点については人事院の所見を伺いたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇
  34. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 河野君にお答えをいたします。公務員の政治的活動を制限するということは不法である、そういうことでないかというようなお尋ねのようでありますけれども、私は不法ではないと思うのであります。何となれば、民主政治の下においても如何なる政治の下においても、各個人は少くとも民主政治の名においてすべての自由が許される筈はないのであります。或いは各職員の職務において、又その地位において、或い法制の制限を受くるということは当り前の話でありまして、殊に教育家がその教育を、子供、青少年に対して教育をなすに当つて、在る種の教育をなす、或る種の宣伝をなすというがごときは、これは許すべからざることであつて、この制限をするということは当り前の話であります。併しながらその研究をどうしよう、その研究を束縛する、思想を束縛する、言論の自由を奪うというのではなく、教員たる地位において或る制限を受くるということは、これはいたし方ないことであると私は信ずるのであります。又この(「抽象論だ」と呼ぶ者あり)教職員について私は始終考えておりますことは、日本の教育において、又日本の教育ばかりでなしに、どこの国の教育においても、青少年の教育には先ず常識を與える、常識の教育をするということが肝腎であつて、或る特殊の政治思想を養うとかいうようなことになりますと、これはやはり教育の目的に副わぬのみならず、その結果が甚だ面白くない結果を生ずるものであつて、得べくんば日本の教育においても、或るべく一般的の常識、健全なる常識を備え、與える、常識教育を與えるということに努客したい、そういうようにいたしたいものと私は考うるのであります。從つて、又、私個人としても、公務員及び殊に教育者が青少年を教育するに当つては、純真なる青少年に対してはその常識を養うということに力を置いて、或る種の或る常識、或る種の宣伝をそういう若い頭に吹つ込むようなことがあるということは、国家全体としても面白くないことである、又日本の現在における教職員においても特に注意いたして行きたいものだと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣大瀬荘太郎君登壇
  35. 大瀬荘太郎

    国務大臣(大瀬荘太郎君) 学問の自由、大学の自由ということは、河野さんのおつしやられた通り、飽くまで尊重されなければならないと考えております。併し学園の政治的中立性を固く守り、又学園の秩序を保持するということも、学問及び教育の府としての学園にとりましても大切なことであります。(拍手)從いまして、学園におきまして、一党一派に偏するような言動を以て学園の政治的中立性を破壞いたしましたり、或いは学生を煽動して学園の秩序を攪線するような破壞的な言動に対しましては、嚴重な措置を講ずることも当然であります。(拍手)文部省は各大学に対しまして、この点を強力に要望しておるのであります。最近における各大学の措置は、このような方針の下に愼重公正に且つ合法的に行われておるものと私は信じております。このような言動はすでに教育基本法その他の法令におきました明らかに禁止されているところでありまして、何ら非合法的な措置が講ぜられておるとは考えておりません。  次に地方の公務員についての御質問もありましたが、これに対する措置も今述べたところと全く同樣でありまして、本人の言動、勤務の実績、執務の状況その他に照しまして、嚴正公平な措置が講ぜられておると信じております。このような見解を持つておりますので、お尋ねのありましたような忠告を文部省が出そうという考えは現在持つておりません。教職員の待遇とか厚生の問題はお説の通り極めて大切なことでありまして、今後も十分文部省としては考え努力いたして行きたいと考えております。(「六三制は崩壞している」「認識不足だ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔政府委員淺井清登壇拍手
  36. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私からもお答えをさして頂きたいと存じます。お示しのごとく基本的人権としての自由の尊重すべきことは申すまでもございませんが、公務員が全体の奉仕者であつて一部の奉仕者でないということも又憲法の嚴かに規定しておるところでございます。終戰後、官庁の民主化ということが唱えられておりました。その極は、官庁の内部に特定の政党の活動がほしいままになり、或いは官庁の職員が特定の内閣の打倒を叫ぶと、こういうふうな状態でございまするならば、全体の奉仕者としての性質と相容れないものと存じております。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)その意味におきまして、公務員政治活動に一定の限界を持ちますることは、これは当然のことであろうかと存じます。すべて基本的人権といたしましても、これは濫用を戒められており、公共の福祉のために利用する責任を負べきことは、憲法第十二條の明文によつて明らかなところでございます。この意味におきまして公務員政治活動の制限に関する人事院規則を制定いたしました次第でございます。  私に対する御質疑の第一といたしましては、なぜこの規則を国会委員会に予め相談しなかつたかとのお尋ねでございまする。一体、百二條の改正国会で行われましたるときに、この政治活動国会みずから法律でお決めになりまするか、或いは人事院規則に委任せられまするかは、これは国会御自身のお経めになつたことでございまして、若しもこの人事院規則を事前に国会に諮れということでございまするならば、附帶経議その他の方法によりまして議院の御意思を明らかにして頂きたかつたと存じます。(拍手)ただ私の記憶によりまするならば、この人事院規則の第一番初めの試案は、その当時すでに議員各位の御要望に応えまして、両院人事委員会へ提出して、種々御意見を承わつたと記憶いたしております。  第二の御質疑といたしましては、この人事院規則に更に解説が付いて煩わしいのではないかとの仰せでございますが、凡そ如何なる立法技術を以ちましても、法文は抽象的であり、起り來る事件は千差万別でございまするから、その間どういたしましても疑義を生ずる虞れは、如何なる法規におきましても止むを得ないことかと存じます。人事院といたしまして解説を附しましたのは、一番恐ろしいのは、この規則が濫用せられ、惡用せられることでございます。故に人事院といたしましては、そのようなことがないように註釈を付けたものでございまして、又他意のあるところではございません。(拍手)  第三といたしまして、国立大学教授その他についてこの規則が濫用せられた場合の人事院責任如何ということでございますが、誠に御尤もの御質疑でございまして、人事院としてはその点につきまして、すでにあの規則の一番最後の方に、違反行為人事院に通告しなければならないことを命じておりまするのは、人事院がこの責任を果す所存であることを御了解願いたいと存じます。(「名答々々」と呼ぶ者あり、拍手
  37. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律等の一部を改正する法律案  一、寒冷地手当に関する緊急質問  一、公務員政治活動制限に関する緊急質問