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説明員(
關之君)
只今專門員の方から御
説明に
なつたそれに附加えまして、私の方の側から調べたこと、或いは附加うべきこと等数点につきまして申上げておきます。
先ず
大年寺山の山
崩れの問題でありますが、これは
工事を行うにつきましてはやはり
根本的な問題でありますから、十分に
調査いたしまして、東北大学の
教授理学博士半沢さんに
ちよつと聞きましたところが、どうもそれは今の
両方の
崩れがひつつくであろう、併し私の方でやつているところは、
風致地区の三万坪は岩盤でありますからそれは大丈夫である。併し一部が
崩れればこつちも
崩れはせんかという気もいたしますが、山の
崩れた高度が百米の山が八十
米位低くなるのであるし、私の方の
風致地区の三万坪の最高のところが行くわけですから、そこへは
崩れて行かないだろう、こういう
判断をして頂いたわけであります。そこでその問題は先ずそういうふうに
考えて
半沢正四郎博士の
判断を信用いたしまして、私共はそこへ建てると、こういうふうに
考えたわけであります。
次に
法務府との
契約でありますが、
市長の方では何か
文書僞造とか、不可解な
事件があるというような話を
市長自身が言つておるようでありますが、その後、又私の方の調べたところでは現に昨日
伊達家の
未亡人の方が
刑政長官のところに参りまして、残金を
支拂つて下さい、この
契約は間違いないものであるから
支拂つて下さい、というような現に要求、請求に来られておるのでありまして、どうもその点が
仙台市側の言うようなこともないだろうと、現に
未亡人のその方が来て
刑政長官に会いまして、金を貰いたい、是非早くこれは履行して下さいと、こういうふうに言つておるのでありまして、そこにはどうも何ら
未亡人の
意思に反した
各種のことはないだろうと、こういうふうに一応私は
考えておるわけであります。
次に
国見峠の方に移ります。
国見峠の方の
地質の問題でありますが、これまた私もよく見まして、そして又帰つて来まして、私共の方の
專門の
技官との間に
意見もよく闘わせ、その
意見を聞きましたところが、こういうようなことにその
地質を解しなければならんことになるのであります。この
国見峠の一帶、今の道が
泥濘であるということ……そこは
粘土であります。それで大体におきましては
地質は上に
粘土があつて、下に
粘土のない層があると、こういう
土地柄であるからして、上は全体から言えばじくじくしている。そこで
濕地ということではないのであるが、非常にじくじくしている。それで
用排水その他の点で余程考慮しなければならないという問題が出ている。それで一体そうであるならば
建物の持ちとか或いは住居上の衞生問題ということも余程考慮しなければならん問題であると、こういうことに私共の
專門技官の
意見として申しておるのでありますが、次はこの土質の
関係から水の問題でございますが、そうなりますと、その
粘土質の中には幾らかの水があるけれども、下の方には水がない。これは
自分が
法務府の各地の
建物を見てそう
考えざるを得ない。上の方は
粘土だから水は出るが、下の方はそうでない層であるから恐らく水を得るには困難ではないか。成る程じくじくしているから一見して水があるようだけれども、真実深く掘つてみると、二百数十人の者を養うだけの水の量が恐らく困難ではないか、こういう見解であるわけです。
次に
道路の問題でありますが、一見いたしましたところ、
国見峠の
土地の問題は恐らく
道路が致命的な問題ではないかというふうに、私共は
考えざるを得ないのであります。今
專門員の方の御
報告の
通り相当傾斜がある。そうして二年間一台も
トラツクが上らない。現に私共がジープで
上つたが、漸くのことで
上つたような次第でありまして、そういうようなところに現在日本の
トラツクでは不可能ではないかというふうに
考えるのでありまして、その点も篤と
專門の私の方の
技官と
意見を闘わしてみましたところが、やはりどうも現在の
トラツクではあの勾配は
資材を運んで上り切ることが困難であるというのが第一点、第二点としまして、あの
泥濘の六尺の道を歩くと、膝頭までぐつと突こむところが数ケ所ありまして、総じて
粘土で以てずるずるに
なつておる。そうして突こむ、そういうようなところはなかなか
簡單には直らないだろう、仮にどういうふうにしてやるか知らないが、やつてみたところでバラスを
簡單に注ぎ込むだけではなかなかこれは期待できない。そういうことになりますれば、おのずから又
トラツクを仮にや
つたとしても、それは運転できない
状況にある。この
道路の点につきましては、実際に
トラツクを
使つて上に
資材を持つて
行つて、建築するというその実際の面を
考えてみると、どうも
自分としては責任が負えない、こういうふうに
判断いたしているわけであります。そうしまして、次に寒さの問題でありまするが、これも
仙台市とは恐らく百米かそこら、六年寺とはそのくらいの差があるではないかというように私は
考えるのであります。そうすると実は上と下は五度くらいの差があるだろう。その点
專門の
技官と
意見を闘わしましたところが、大体五度くらいの差が出たようであります。そういたしますと、特別な
煖房裝置とかいろいろなことも必要になり、現在
予算その他の問題に
なつて来ると、
相当の困難が起ることになる、そうして電気、水道或いは電信、そういうようなものを長距離に
亘つて全部
施設を設けなければならないという問題が出て来る。こういうことも
予算上可なりのネツクになる。こういうふうに
專門的な技術の
立場から申しているわけであります。そうして次に六年寺の三万坪の
風致地方以外の七万坪の
風致地区の問題でありますが、私共といたしましては、
風致地区内には現在二、三町歩の
農耕地があるのでありますが、これは
風致地区内の三万坪のところを
上つた尾根の続きに
なつておりまして、
仙台市が直接見えるとかいうような
関係はないわけでありまして、そこだけは使いたい、かようなふうに
考えているのであります。これは
土地の
地形を変更するというようなことにならないわけでありますからして、都都
計画法に基く
風致地区指定規則によりましても、何ら
法律上問題はないものである。だからそこだけは使いたい、こういうふうに
考えております。その他の点につきましてはよく市と協議いたしまして、市の
意思に反するようなことはいたさないと、かような方向にいたしたいと
考えているわけであります。そんなような次第でありまして、
国見峠大年寺山はいずれも一長一短でありまして、併しさて実際に
工事を施行することになりますると、すべての
立地條件を総合的に
考えまして、まあどちらがいいか、いろいろな
條件から見て
ベターがということになりますと、今の段階におきましては、やはり
大年寺山の方に軍配を挙げざるを得ない、こういうふうに
考えているわけであります。それでそういうような
考えの下に、今までここで申上げたような方針に
從つてやつて行きたい、かように
考えているわけであります。