○
政府委員(
高橋一郎君)
刑事補償法案につきまして
簡單に御
説明いたします。
この
法案は、第
一條から第
五條までが
実体的規定、第六條から第二十三條までが
手続規定、第二十四條が
補償公示に関する
規定であります。尚附則にも重要な
規定を含んでおります。
第
一條関係、これは
本案中最も基本的な
規定であります。新
憲法が
抑留又は
拘禁後
無罪の
裁判を受けたときには、すべて
補償の
請求ができるて定めておりますので、
現行法第
一條のように
未決勾留と刑の
執行のみを
補償の
対象にするだけでは不十分で、逮捕、勾引は勿論、刑の
執行に伴う
抑留拘置まで、すべて
補償の
対象とする必要があり、旧案でも
少年法、
経済調査庁法、
犯罪者予防更正法による
抑留、
拘禁が
補償の
対象とな
つておりませんでした。
本案はこれらの点を補正いたしたものであります。これによ
つて刑事手続上のあらゆる
抑留、
拘禁及び刑の
執行を受けた者が
無罪と
なつた場合には、
補償の
請求をすることができることとなるのであります。ただ第三條に
例外のあることは、第三條につきまして申上げる
通りであります。
第
二條、
現行法では
補償請求権の
相続を認めず、
本人が
死亡し、又は
死亡した者について
無罪の
裁判がありますれば、一定の範囲の遺族が大体
家督相続の
順位によりまして
受償主体となることにな
つており、旧案はその
考え方を踏襲してお
つたのでありますが、
刑事補償は
現行法制定当時の
考え方、つ
まり損害の
補填ではなく、
国家が
補償金を交付することにより遺憾の意を表するという
考え方によるべきものではなくて、
国家賠償法による
賠償とは同一ではございませんが、ややそれと似た
損害の
補填と考えるのが、新
憲法に国民の基本的な権利として
刑事補償請求権の認められるに
至つたことからして適当ではないか、そうなれば
民法の原則の適用を特に否定する
理由に乏しいので、
現行法及び旧案のような
特別規定を置かず、
相続の
対象とすることといたしました。ただ
相続の
対象とすると申しましても、
本人が一度も
請求をしないで
死亡した場合にも
相続の
対象となるかどうかにつきましては、
民法上のいわゆる
慰藉料請求権に関する判例と学説との間に争いがあるように思われますので、特に
本條第一項を設け、
相続されるものであることを明らかにいたしたのであります。
更に
死亡した者につきまして
無罪の
裁判があ
つた場合には、特別の
規定がない限り
相続の問題を生じませんので、特に
本條第二項を設け、第一項と相
俟つて、この場合にもやりは
相続されるものとして、統一的な解決を
図つたのであります。
第三條、これも又重要な
規定でありまして、いわば第
一條の
例外をなす
規定ということができます。
現行法四條ではこの
例外が極めて広範囲で、心身の故障による
無罪の場合及び
起訴された行為が
犯罪にはならないが、公序良俗に反する場合には
補償をせず、
本人の
故意又は重大な
過失が
起訴勾留、
有罪判決の
原因と
なつたものと認められる場合にも
補償しないこととな
つてお
つたのでありますが、新
憲法第四十條との
関係上、かような広範囲の
例外は許されないものと思われます。旧案の四條では、
現行法の
規定を大幅に整理いたしたのでありますが、尚多少明確を欠く点がありましたので、
本案は旧案の
規定を
修正し、
趣旨の明確を期したものなのであります。
本條程度の
例外は、
憲法第四十條と第十
二條とを併せ考えれば許されるものと考えておるのであります。
第四條、これは
補償の
内容、つ
まり如何なる
内容の
補償をするかを定めた
規定でありまして、
一般には最も
利害関係の多い
規定であると思います。
現行法の
五條では、
身体を拘束した場合には、一日五円以内の
補償金、
死刑の
執行の場合には
裁判所の適当と認める額の
補償金、
財産刑の場合には徴收した
金額に相当する
補償金、
没收の場合には、
没收物、その
売却代価、又は追徴金に相当する
補償金を交付することにな
つております。旧案ではこれを大幅に拡張いたしたのでありますが、
本案は旧案を踏襲しつつ、そのうち、
死刑執行の場合の
補償金一万円以内を、五十万円以内に引き上げ、
財産刑及び
没收の
執行による
補償の場合の利息に相当する加算額の算出基礎を明確にいたしました。一日二百円以上四百円以内とした
理由は、
現行法の一日五円以内という額の基礎が明確でありませんので、その五円が現在幾らに相当するかの算定に困難を生じたのでありますが、旧案作成当時物価指数、賃金指数などを考慮し、特殊な事例ではございまするが、刑事訴訟費用法に定める
証人の日当の引上率の引き上げを考えまして、まあこの程度で相当であるということにな
つたのであります。
第
五條、
刑事補償と
損害賠償との
関係に関する
規定でありますが、
現行法には勿論かような
規定はありませんで、旧案におきまして初めて生じた問題であります。旧案では、
刑事補償は
損害賠償ではないという考えを推し進め、仮に全額の
損害賠償を受けましても、尚百円以内で名目上の
補償をするということにいたしてお
つたのでありますが、このような
考え方につきましては、旧案審議の際にも批判を加えられたところであり、理論付けに困難な点もありますので、
本案では
現行法以来旧案に至るまでの
考え方を一擲し、
刑事補償も
損害賠償と同様、
損害の
補填であると観念いたしました。その結果全額の
損害賠償を受ければ、
損害は
補填されておりますので、更に
刑事補償をする必要はないということになります。
本條前段が旧案と異りますのは、かような
理由によるのであります。
本條の他の
法律と申しますのは、現在では
国家賠償法と
民法でありまして、他にはございません。
以下
手続規定に入ります。
第六條は、
補償請求事件の管轄機関を定めた
規定であります。
現行法六條及び旧案の六條とその
内容を同じくしております。
第七條、
補償請求の出訴期間を定めた
規定であります。
現行法九條及び旧案七條では、六十日とな
つておりますのを、
本案では三年といたしました。その
理由は
補償請求権者が
現行法及び旧案では容易に確定することにな
つてお
つたのでありますが、
本案では
相続人が
補償請求権者となる
関係から、
相続人の確定に相当日時を要する場合も想像されるのであります。三年といたしましたのは、
民法の不法行為による
損害賠償請求権の消減時効期間が三年であるのを参酌したのであります。尚時効期間としなか
つたのは、時効中断によ
つて迅速な
手続の完了を期し得ないからであ
つて、時効期間としないことによりまして、格別不都合は生ずることはないと考えるのであります。
第八條、
本條中、
本人との続柄を疎明する点は、
現行法第六條第二項にも同
趣旨の
規定がありまして、特に
説明を要しないと思います。同
順位の
相続人の有無を疎明する点は、第十條第十
一條との
関係で必要な
規定であります。旧案では、
本條のような
規定は、
裁判所の規則に讓る意味で設けられておりません。
第九條、これは
現行法八條及び旧案十條と同一の
規定でありまして、特に
説明を要しないと思います。
第十條、
刑事補償は
無罪の
裁判け受けた者即ち
本人について
補償請求権の存否及び
補償の範囲が定められるのでありまして、
本人が
死亡した場合に、おける
相続人の数、その
相続分の如何には何ら
関係がございません。
従つて数人の同
順位の
相続人があります場合にも、その一人から
補償の
請求がありましても、
本人に対する
関係で
補償すべきかどうか、
補償するとすれば
補償金の範囲はどうなるかが
決定せらるべく、
相続人一人々々の受ける
補償金が幾ばくであるかは、その後の問題になるのであります。一方、
補償決定確定前の
補償請求権は、その存否及び範囲が未確定の状態にあるのでありますから、それが
相続された場合にも、当然分割されるのではなく、一個の債権の共有
関係を生ずるものと解せられるのであります。
従つて特別の
規定がなければ、民事訴訟法に
規定する必要的共同訴訟的形態によ
つて請求が行われなければならないと考えられるのであります。これらの
関係を考慮し、且つ
刑事補償の性質上、簡明迅速な
手続が望ましいということも併せ考えまして、
本條を設けることにしたのであります。旧案八條と同
趣旨の
規定でありますが、
刑事補償の性質を旧案と異り、
損害の填補と考えながら、尚旧案と同様な
本條を設けた点にその意味があるのであります。
本條において全員のため全部につき
請求があ
つたものとみなされる結果、
請求人以外の者も、みずから
請求した場合と同一の利益を受け、且つ
請求人は、その
相続人に拘わらず、全額の
請求をしたものとみなされるのであります。これに反する
請求は許されないのであります。併し、
請求をした者以外の者は、
請求の利益に与り得るだけで、当然
手続上も
請求人として取扱われるわけではないのであります。一方、全員のため
請求したものとみなされる以上、別に独立の
請求をすることは認められないのであります。そこで、
本條第二項において、共同
請求人としての
手続参加を認め、その権利保全の途を開くこととしたのであります。
現行法では
補償請求権者が数人あることは考えられないので、
本條のような
規定はないのであります。
第十
一條は、第八條において御
説明いたしました
通り、第十條との
関係において同
順位の
相続人の権利保全を図
つた規定であります。
第十
二條は、
補償の
請求をすることができる同
順位の
相続人が数人あります場合には、その一人のした
補償の
請求は、全員のためその全部につきしたものとみなされるのでありますから、
請求人單独の意見による
請求の取消を認めることは妥当でないので、
本條が設けられたものであります。
現行法及び旧案には、このような
規定はございません。
第十三條は、これは当然のことを
規定したものでありますが、
現行法七條では、取消をした効果は、その後
順位者にも及ぶことにな
つておりました。
本條では、これに反して、取消をした者が
死亡し、尚第七條に定める期間内であれば、その
相続人は
請求をすることを妨げないのであります。
尚第十
二條の
規定によ
つて他の者の取消に同意しても、自己の
請求権は失わないのであります。
従つて同意をした者が新たに
請求をすれば、先に取消をした者も第十條によ
つてその利益にすることができるわけになる。ただ取消をした者と、同意をした者との間に内部
関係として問題が残るに過ぎないのであります。旧案第九條は、
本條と同じであります。
第十四條は、
補償の
請求があ
つたときの
裁判の形式が
決定であること、
決定をするについては、検査官及び
請求人の意見を聞くべきこと並びに
決定告知の方式を定めたもので、
現行法第十條第一項及び旧安第十
一條第一項と同様の
規定であります。
第十
五條は、
補償の
請求を却下する
裁判に関する
規定で、
現行法第十條第二項では、
請求の方式が違法である場合にも、
請求が実質的に
理由のない場合と同樣、
請求を棄却する
裁判をすることにな
つており、旧案第十
一條第二項でも、
現行法と同樣であ
つたのでありますが、第十七條の
関係から、形式的
裁判と実質的
裁判との区別する必要がありますので、特に大條を設けたのであります。
第十六條、
現行法第十條第二項及び旧案第十
一條第二項と同
趣旨の
規定で、第十
五條で述べたこと以外に附加して
説明すべき事項はないと思います。
第十七條は、第十條に対応する
規定でありまして、同條とは不即不離の
関係に立つものであります。
第十八條、
補償請求手続の受継に関する
規定であります。
補償の
請求をすることのできる同
順位の
相続人が数人あります場合に、そのうちの二人以上の者が
請求をしておるならば、うち一人が
死亡したり、
相続人たる身分を失いましても、他の
請求人がおりますので
補償手続を進めることができます。
死亡した者の
相続人は、第十條第二項によ
つて改めて共同
請求人として
手続に参加することが可能であり、その参加は、第七條の出訴期間の制限を受けませんから、何時でもできるのであります。ところが
請求人が一人であります場合、つ
まり共同
請求人もない場合には、その者が
死亡いたしますと、適法な
請求がないことによ
つて、
請求却下の
裁判を受けることになります。その場合にも出訴期間中であれば、
死亡した者の
相続人から改めて
補償の
請求をうることもできるのではありますけれども、出訴期間を過ぎておる場合には救済の方法がないことになるばかりではなく、出訴期間中であ
つても、改めて
請求の
手続をするのは繁雑なので、
本條を設けた次第であります。
第十九條は、
補償の
決定及び
補償の
請求を棄却する
決定に対する不服申立を認めた
規定であります。旧案の第十四條と同
趣旨の
規定でありますが、旧案に比し準用
規定を
整備しております。
現行法第十
一條は、
補償の
請求を棄却する
決定に対してのみ即時抗告を認めてお
つたのでありますが、
本案は、それを
補償の
決定につきましても拡充いたしました。
補償金額の多寡についても争う途を開くためであります。
検察官には不服の申立権はありません。
第二十條
補償拂渡の管轄
裁判所、拂渡
請求の効果、
請求を受けた
裁判所の通知義務に関する
規定で、
補償請求に関する
規定とほぼ同
趣旨のものであります。
補償金額が確定した後の拂渡につきましては、数人の拂渡を受けることができる者の各自の
相続分に応じて拂渡すことも考えられますが、
相続分について争のある場合もありますので、その確定を待
つて拂渡をするよりも、むしろ拂渡は急速に行い、
相続人間の分配は
相続人等に一任するのが相当であるという考えに基いて
本條を設けたのであります。
尚
補償拂渡
請求権は、
一般の国に対する債権の例に従い、金銭の給付を目的とするときは五年、物の給付を目的とするときは十年であります。
現行法の十三條二項では、拂渡
請求の期間を一年とし、旧案の十六條二項でも同様であ
つたのでありますが、かく限定する
理由に乏しいので、
本案ではかような
規定を削除することにいたしました。
第二十
一條、
補償決定の効力に関する第十七條と同
趣旨の
規定であり、
本條を設けた
理由は、第二十條の御
説明の際述べたところと同様であります。
第二十
二條、
補償請求権及び
補償拂渡
請求権の讓渡禁止に関する
規定で、
現行法十四條及び旧案十八條は、拂渡
請求権についてのみ讓渡禁止の
規定があ
つたのでありますが、
補償請求権の方は当然その性質上讓渡できないものとせられていたのであります。
本案では、
補償請求権自身も
損害賠償請求権とその
本質において異らないものと観念するに至りましたので、特別の
規定のない限り讓渡は禁止されないことになります。併しながら
刑事補償の
請求権は、その確定前であると否とを問わず、讓渡を許すことは妥当ではありませんので、
本案においても特に明文を設けてそのことを明らかにいたしたのであります。讓渡禁止は差押の禁止を含むこと勿論であります。
第二十三條、
刑事補償請求に関する
手続が原則として
刑事訴訟法の
決定手続に準じて行われるべきことを明らかにした
規定でありまして、
現行法十八條、旧案十九條にも同
趣旨の
規定があります。
刑事補償の性質を
損害賠償と異らないものと考えても、民事訴訟のような複雑
愼重な
手続によることの必要はなく、
刑事手続の一環としての簡明な
手続による方が適当であると考えます。
第二十四條、
補償決定のあ
つた場合の公示に関する
規定であります。
現行法十九條及び旧案二十條にもすでに同
趣旨の
規定がありますが、
本案は、第一、官報以上に新聞紙にも公示すべきこと、第二に、公示を求める申立の期間を二箇月に制限したこと、第三、公示の
内容を
補償決定の
要旨としたこと、第四、全額の
損害賠償を受けたという
理由で
補償をしない場合にも申立があれば公示だけはすることとしたことにおいて旧案と違いまして、第一の点は、官報に公示することは
国家が公に名誉回復を図るという意味ではよいのであるが、広く知らせるという意味では不十分でありますから、新聞紙を加えることといたしたのであります。如何なる新聞紙に公示するかは具体的事情に応じ、申立人の希望をも参酌して
裁判所が定めるのであります。第二の点は、期限を定めないのは適当でないからであり、第三の点は、
補償決定のうちに
裁判の主文及び
要旨は明示されているので、
刑事補償の公示としては
現行法及び旧案のごとく、
裁判の主文及び
要旨と
補償をした旨のみよりも、
補償決定の
要旨の方が妥当であるからであります。第四の点は、旧案では全額の
損害賠償を受けた場合にも百円以内の名目的
補償をすることにな
つておりますので、この
規定がいらなか
つたのであります。
次は附則でありますが、第二項は、施行期日を定めた
規定でありますが、
補償決定の
要旨を新聞紙にも公示することは、
本案の初めて採用した制度でありまして、予算の
関係を考慮いたしまして、明年四月一日以後
決定の確定した
事件にのみ適用することといたしました。
第二項、旧案では
現行法を
改正する形式によ
つてお
つたのでありますが、
現行法を主面的に
改正することと、
現行法を廃止して新たに
法律を
制定することの間に実際上の差異はなく、むしろ廃止
制定の形式を採る方が常識的でもありますので、
本案ではこの廃止
制定の形式を採ることといたしました。本項はその意味の
規定でございます。
第三項は、経過
規定の原則でありまして、特に
説明を要しないと思います。要するに
新法を遡及して適用することを示しているのであります。
第四項は、
昭和二十二年五月三日、日本国
憲法施行と同時に
刑事補償法も
本案とほぼ同様の
内容に改められなければならなか
つたのであります。特に
補償すべき場合、
補償請求権者の範囲、
補償金額等につきましてもそうであります。併しながらそれが諸般の事情によりまして今日まで遅延したため、
本案を
憲法施行の日まで遡及して適用し、その間に
無罪の
裁判を受けた者を救済する必要があるのであります。現に
請求中の者、又はまだ
請求をしておりませんが、
現行法によ
つても尚
請求権を喪失していない者は、附則第三項によりまして
本案による
補償を受けることができるが、すでに
現行法による
請求期間を徒過した者、又は
現行法では
請求権を有しなか
つた者、例えば
現行法第四條第一項に該当する者、逮捕されて七十二時間留置せられたが、勾留はされなか
つた者等であります、このような
現行法では
請求権を有しなか
つた者、或いは
現行法により一日五円以内という僅少な
補償しか受け得なか
つた者は、特別の
規定のない限り
本案による救済を受け得ないこととなるのであります。そこでこれらの者もすべて
本案による
補償を受けることができるよう、この第四項を設けたのであります。
第五項は、第四項によ
つて、
現行法により一日五円以内の
補償金を受けた者も、
本案による
補償の
請求をすることができるので、重複を避けるため前の
補償金を差引くべきことを定めたものでありまして、当然の
規定と考えるのであります。
第六項は、
補償決定の官報公示も又第四項の
事件につきましては、特別の
規定のない限り重複して行われることとなりますので、これを避けるために設けられた
規定であります。
第七項は、新
刑事訴訟法を前提として立案されておりますので、第四項において旧
刑事訴訟法及び
刑事訴訟法応急措置法当時の
無罪事件にも、
本案を適用することとすれば、旧
刑事訴訟法に
規定する事項と新
刑事訴訟法に
規定する事項との
関係を明らかにする必要があります。
本案はそのための
規定であります。
第八項、
刑事訴訟法応急措置法はすでに効力を失
つておるのでありますが、同法に
規定されていたいわゆる特別上告は、新
刑事訴訟法に取入れられていないので、これを
本案による
刑事補償の
対象とするため本項を設けたのであります。
第九項は、第七項と同
趣旨の
規定でありますが、第七項の方は
本案施行前に
無罪の
裁判の確定した
事件に関するものであります。旧
刑事訴訟法及び応急措置法の適用のある
事件は、
刑事訴訟法施行法により尚当分続きますので、本項はかような
事件に関する
規定であります。
以上を以て一応の御
説明を終ります。