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1949-11-30 第6回国会 参議院 文部委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)   —————————————   委員の異動 本日委員高良とみ君辞任につき、その 補欠として岩本月洲君を議長において 指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○私立学校法案(内閣提出衆議院送  付)   —————————————    午前十一時五十九分開会
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) これより本日の委員会を開会いたします。議案の第一、私立学校法案につきまして、前回に引続いて審議を継続いたします。前回一応私立学校法案の各條に亘りまして審議を済ませたわけでありますが、尚質疑で残つておる御発言がありますれば……………。
  3. 河野正夫

    河野正夫君 條章はちよつと見当りませんけれども、私立大学審議会若しくは私立学校審議会構成員の中で、私立学校団体私学振興を目的とする団体規定がございましたが、その学校数の三分の二、或いは生徒数の三分の二を持つ団体があるときは、ということがあつたのでありますけれども、こういう団体が、形の上では成程この法文通りに出来ておりましても、運営が極めて民主的でないというようなときにも、尚この法文通りに、一種委員推薦権を認めるということは、やや不合理じやないかと思います。この意味で、この民主的に組織されていなければならないと思うのですけれども、その点について何らの規定がないのは、どういう気持からそうなつているのかということを承りたいのであります。と申しますのは、今立派な私学総連という団体がございますけれども、この私学総連運営について私は詳しくも存じておりませんし、批評する力もないわけでありますが、世上ちよつと取沙汰されておるところによると、その役員が民主的に、その属している大衆の投票によつて選ばれて来ていない。多くの場合に推薦というような形で役員が選ばれているということを聞いております。尤もあらゆる団体が必ずしも一般投票によつて役員を選出しなければならぬという論議は成立たないし、又そうでない場合でも立派に民主的な運営ができるということは、私も認めるのですけれども、世上そういう論議もある折から、そういう点についてできるだけ民主的な構成運営ができている団体が認められる方が望ましいと思うのであります。その点について、御配慮如何であるか、承つて置きたいと思います。
  4. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御指摘の点、誠に御尤もなことでございますが、私共としましては、この法案の期しております大前提に、先ず私立学校自体を大きく信用して掛かつているということ、それから先ず最初に出来上るであろう、その審議会に多くのものを期待しておりまして、そこらの運営の上から、只今指摘のような点に満足の行くような形を、是非見出して頂きたいと念願しているのでありまして、現在の私学団体連合会についての問題につきましては、こうしたものが出来上ると同時に、只今指摘のような個々の問題について十分な検討もできようし、又そうしたことができるであろうことを期待しておるのでございます。
  5. 河野正夫

    河野正夫君 例えば、昨日も話がありましたが、助成金等の交付の際に、仮にそういう団体の議を経る、或いはもとよりこれは審議会の議を経るというお話でありましたが、団体の手を何らかの意味で煩わすということがある場合、又団体がそれを望むような場合には、その団体構成運営が民主的でないからどうも困る。もう少し民主的にして貰いたいというような條件は当局の方でもできると思いますが、そういうような面においても、本当に民主的な構成運営ができるように配慮をする用意があるかどうか、一応承つて置きたい。
  6. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今お答えいたしました趣旨によりまして、できるだけこの審議会を通して、そうした意味のことをやつて頂けるような配慮になつて行きたいと考えている次第であります。
  7. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 第三十條の第三項でありますが、法人解散の場合の残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、学校法人その他教育事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならないということになつているが、この教育事業ということは、学校その他の教育施設を行う者の意味でありますか。或いは学校教育関係する、例えば教師のような者でも含まれますか。
  8. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) ここに申します教育意味は、いわゆる学校教育という程狹くはない、或程度拡張した意味教育と申したいのでありますが、その教育に従う者を排除すると又一方解釈するような意味でもありません。
  9. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 それじや教師という者も含まれますか。
  10. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 教師という個人は含まれません。
  11. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 含まれない………。そうすると、その法人関係のない、他の法人関係しているような人でもよろしいのでありますか。
  12. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 成るだけ教育関係、帰属させます財産教育関係の者に広く含ませるという意味は持つておるのでありますから、教育事業の主体にしている、そうした意味合の者は含み得るものと解釈いたしております。
  13. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 こういうような場合に………一つの例でありますが、個人が全財産を抛つて教育施設を行い、それを設立するという場合に、何らかの事情によつて、その法人解散しなければならないというような場合に、個人が全財産を抛つたというような場合、その人には入る途がないのでありますか。帰属するようなことはできないのでありますか。
  14. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 特にこういうことを規定しました精神は、そうした場合も一応その人に帰属させないということを建前にした規定でございます。
  15. 河野正夫

    河野正夫君 今逐條審議質問段階ですが、今一応打切つて、その衆議院から送付されている本審議とすれば、衆議院における修正部分について検討しなければならんかと思う。その上に一応して頂きたいと思います。
  16. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 河野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは衆議院送付修正諸点を問題にいたします。
  18. 河野正夫

    河野正夫君 これは衆議院から送付されておるので衆議院修正ですから、政府委員説明というのもおかしなものでありますけれども、衆議院の方での論議も聞いておられたのでありましようし、一応衆議院はどういう意思修正したかということを、政府委員の方からも御説明願いたいと思います。乃至は專門員でもよろしうございます。
  19. 小野光洋

    小野光洋君 その問題については、政府はこれを衆議院修正を承認したのでございますか。承認したとすれば、政府が答弁することは差支ないと思います。
  20. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) この修正の全体の考え方を御説明申上げたいと思いますが、私共が最初原案のままで通して頂くつもりで、第二條なり第三條なり修正について一応申して置きました筋を御了解して頂きたいと思うのでありますが、この第二條は私共の解釈でも行けないことはない。併しながらむしろこの第二條を削除して、第二條から出て来る疑問点を明確にした方がよくはないかということ、もう一つはその第二條が削除された場合に起る必然的な混乱があるわけでありまして、それをどういうふうに補つたら、その部分が補充できるかということであります。只今申しましたこの二つの点で全部が包括されるのでありまして、第二條はこのまま置いておいたのでは、私共の程度説明では多少明瞭を欠く点があるように思われるから第二條を一応落そう。併し第二條を單に落しただけでは、全体としての混乱があるから、その部分を必要なだけ充足して取りまとめよう、こういうのでございます、その内容を申しますと、この第二條に「法律に別段の定がある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」とあつて教育行政及び学校法人についての、法律的な規定優先が非常に曖昧に見えるということが第一点でございます。第二点は、この第二條を削除しました場合に、この場五條に挙げております事項と、生校教育法に挙げておりますそれぞれの事項との関係が曖昧になるから、その部分を明瞭にして置きたい。從つて学校教育法第四條及び第十三條の規定に拘わらず、こうこうだというような表し方をしよう。その次に第二項といたしまして、学校教育法の第十四條の規定私立学校の場合には適用がないのだということを明白にしよう。こういうのが第二点でございまして、これから條文の後は整理をして頂いたというのでございます。
  21. 小野光洋

    小野光洋君 この第二條を削除して、そのために第五條を次のように改めるということで改めてありますが、原案によりますと、第五條は「所轄庁学校教育法規定に基き私立学校について有する権限は、左の各号に揚げるものとする。」その意味私立学校について所轄庁の有する権限をこの第一項第二項の、この二項に限定したのだ。左の事項については権限がないのだ。こういう説明をせられたのでありまするが、この後正案によると第四條及び第十三條、その次に第二項に「学校教育法第十四條は私立学校に適用しない」ということに修正してあるのであります。そうするとこれだけに絞つたということが、事実上はこの修正案によると、所轄庁私立学校について有する権根の及ぶ部分が広くなつて来ると思うのでありますが、その点について政府の所信とこの修正名と聊か食違つて来るのではないかと思うのでありますが、その点を伺いたいと思います。
  22. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 第五條修正前の原案説明をいたしましたときに申上げたことと、この改正によつて内容的に変更があるのかないのかという御質問であると思うのでありますが、原案を御説明いたしました当時、私立学校について有するこの権限という言葉について、直接的な処分を伴うような権限にこれを限つて申しておりますということを申しておつた次第であります。その言葉内容を受けますものがこの第四條及び第十三條の関係、それから第二項を入れまして第十四條の規定内容でありまして、その内容的な関係におきましては全然矛盾はないのでございます。
  23. 小野光洋

    小野光洋君 直接の処分に関するものが権限だ。その外のものは権限と解さないということになるのですか。併し第五條の第二項には「法令規定に基く所轄庁命令に違反したとき」は「閉鎖を命ずる」ということになつておるのですが、この「法令規定に基く所轄庁命令に違反」というようなことは、この第五條の第二項がなければ、他の部分にどういう法令があつてどういうことをするかということを規定されておると思う。その規定そのものは直接影響はなく、第五條第二項が適用されるとすれば、結局それは実質的には閉鎖命令という権限が発動することになると思う。これは最も影響がある。
  24. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今指摘の「法令規定に基く所轄庁命令に違反した」という関係の事犯は、第六條の報告義務といつたことに関係したもの以外は、只今のところは先ずないのでありまして、実質的には直接援用しておると御了解頂いて、それ以外のものは一応ございません。
  25. 河野正夫

    河野正夫君 第五條修正の文章が私によく分らないのですが、御説明願いたい。「学校教育法第四條及び第十三條の規定にかかわらず」というのは、規定があるけれどもそれを無視して、という意味に取るのでありますか。
  26. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 同じような規定が両方にあつて紛らわしい。むしろこちらの新らしい法案の方に出ております方が優先するという意味でございます。
  27. 河野正夫

    河野正夫君 優先ということは、結局重複する部分についてこちらの規定通りやる。学校教育法規定は用いない。こういうことに解してよろしいのですか。
  28. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 御解釈通りでございます。
  29. 河野正夫

    河野正夫君 そうしますと、もう一つ修正の中で、第四條は適用しないということが明かにされておりますので、第四條と第十三條及び第十四條の規定は直ちに適用しない。他のものは一切適用するということに解釈して………。尤もそれは私立学校に関する限りですが……。
  30. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) これも御説の通りでございます。
  31. 小野光洋

    小野光洋君 そうしますと、この学校教育法第四條及び第十三條、第十四條以外で、特に権限を有する事項が外にあつたら、漏れなく列挙して頂いて、これ以外はないということをはつきりして頂きたい。
  32. 河野正夫

    河野正夫君 ついでに私も同時にお答え願いたいのですが、それは今の小野委員質問は、要するにこういうふうにして学校教育法で絞つて来たために、この三箇條について私立学校がいわゆる自主性を回復しておるというのか、或いはまだ他に私立学校自主性にとつて堪えがたき一般的な学校教育法による統制があるのかという点が、小野委員質問によつて明らかにされるだろうと思うので、そういう意味でお答えを願います。
  33. 小野光洋

    小野光洋君 それについて申し添えて置きたいことは、私は速記録を調べたのではありませんが、衆議院文部委員会でこの修正案が提出されたときに、これは私立学校について第五條修正については、所轄庁私立学校については、学校教育法規定に拘わらず左の各号の権限を有するものとする。その他は全然ないのだ、こういうふうにするということで修正案が提出されたのを可決されたと聞いております。こうしてただ法制的な処置を専門員に一任したのだ、こういう決議であつたのが、そういうことになつたのはどうもそこに少し解しかねる点があると私は思う。そこで特にお尋ねをするわけです。
  34. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 先程説明しましたように、只今小野先生から御指摘のような関係は全然この修正の中には考えられておりません。ただその結果残りますものを指摘しろということでありますが、一応学校教育法だけから拾い出して見ますと、例えば第十一條小野光洋君「例えばでは困る。例えばですと、後であれは例示したのだということになりますから。」と述ぶ)例えば第十一條で申しますと、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生生徒及び兒童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。」第十二條身体検査及び衛生養護施設ということで、「学校においては、学生生徒兒童及び幼兒並びに職員健康増進を図るため、身体検査を行い、及び適当な衛生養護施設を設けなければならない。身体検査及び衛生養護施設に関する事項は、監督庁が、これを定める。」こういつた性格のものが残るのでありまして、これを全部拾い出すことは、できないことはありませんが、ここに申しております処分的な関係でございませんので、この第五條私立学校自主性云々に関して考えられる問題では、問題にならんものが残るのだと了解いたしておるのであります。
  35. 小野光洋

    小野光洋君 併しそれはその條項自体としては問題にならないのですけれども、第五條の第二号に「法令規定に基く所轄庁命令に違反したとき」という閉鎖命令の前提があるから、結局それは極めて重要になるのです。それでお伺いをするわけなのです。例示ではちよつと承知いたしかねることになるのです。
  36. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 第五條によつてその自主性がどうなるかといつたような点を論点にして、この権限の問題があるべきだと思うのでありますが、その結果残つて来ます関係のものは、只今例示申上げましたような種類の性質のもので、学校自体自主性を害なうとか、そのために特別な措置を考えなければならんといつたような種類規定が残るものではございませんので、所轄庁命令に違反したといつたようなことによつて、直ちに云々といつたような措置を考えなければならん問題ではないと考えておるのでございます。
  37. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 別に衆議院送付修正案につきまして御発言ございませんか。ございませんければ、尚一般的問題につきまして御発言があれば、この際お願いします。
  38. 河野正夫

    河野正夫君 この法案は、内容を今申上げるのじやないのですけれども、可なりに立法技術的に考えても不完全な点が多々あると思うのですけれども、これらについては、成るべく早い機会に、部分的修正を施す意思があるかどうか、もとよりこの法案が成立したと仮定して、その後の機会修正を施す用意があるかどうかを承つて置きたいのであります。昨日来いろいろ問題にしましたのですけれども、例えば委員長が提示された第三十七條の問題。第三十七條の「寄附行為をもつてその代表権を制限することができる。」ということは、御説明によると内部に対するものだというようなお話でしたが、「理事は、すべて学校法人の業務について、学校法人を代表する。」というのは、内部にじやなくて対外的な意味を持つておると思う。その後にこういうものを附加して、理事が外部に対して包括的な代表権を持つておることに対して、却つて制限することができるという不可能事を書いてあるように見えるのですが、これは本来言うならば、時間があるならば、当然修正をしなければならん点だと思つております。  それから第六十二條学校法人解散命令の点でありまするが、すでに寄附行為認可を以て始めるということになつておりまする以上は、当然認可取消ということを以て解散條件とすることができるのでありますから、これは認可取消すことができると当然ならなければ法律的におかしい、こう思うのであります。そういう点について、その他細かい点についても多々あるのでありますが、そういう点を立法技術的に今後可及的速やかに修正する用意があるかどうか、承りたいのであります。昨日も話がありましたが、戰後派の法律は極めて法文的におかしいものが多い。從つて誤解を生み易い。それから他の法律との関連において整調を欠くもの、そういう点があるのであります。特に文部省国語審議会を以て、日本国語のよりよき発展ということを考えておる筈であります。法律用語は、これはやはり新聞に謳われ、人々の議論上つて、相当に国語の美しさ、純粋さというものに影響を與えて来ると思います。概念の明確さという意味から言えば、学校教育の面から言うと、非常に重要な問題を持つておる、そういう点についてもつと法律をよく勉強して、今後明瞭な法律を作る用意があるかどうか承つて置きたいと思います。
  39. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 第三十七條代表権の制限の問題、第六十二條認可取消の形でなくて、解散の形で行なつております部分について、これはこの立法をいたしますについての過程としての論議は、申せば幾らでもこの議論の仕方があると考えまするけれども、むしろ明瞭を欠き、却つて又疑義があるといつたようなこと、只今指摘日本語としての、国語としての建前から、検討がもつと十分に全体としてなされたらどうかという御説明は全く同感でありまして、できるだけ早い機会に御趣旨に副いますように、特に只今の二点につきまして、そうした意味研究を十分にいたしたいと考えております。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 その点を確認して置きたいのですが、そうすると何ですか、文部省法律的な不完全なところを自分で認めておいても、どうしても早く通さなければならん、こういうことになるわけですが、こういう点は確認して置きたい。立法措置に対して重要な問題ですから……。そういう不完全だと認めるようなものを通すことは、そういう情勢もあるかも知れないけれども、その点今後、文部省ならず、諸官庁において、そういう態度立法府が……、つまり真に徹底的に我々が現在の段階において正しいと確信するものでなくちや通せないと我々は考えておる、どうですかその点。今の点に食違いがあると思うので、今後のため念のために承つて置きたいと思います。
  41. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 只今指摘の点は、我々がこの法案は誠に不完全でございますというのを確認したかということだと伺つたのでありますが、私共としましては、一応この成案が議会を通して頂くのには十分であるという程度の確信で以て参つております。たまたま特別のことについて特殊の御意見を伺つて、(「特殊じやないよ」と呼ぶ者あり)成程という意味で、私共が研究をお約束申上げたいというように御了解頂きたいと思います。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく現在において不完全だということを指摘されて、それを文部省は認めた。速記録を見れば分るのだが、認めたでしよう。認めた形において通す、こういうことがいいかどうかという問題なんです。これはとうしても文部省は認めないと頑張れは、文部省の立場ははつきりするけれども、一応認めて、而もそのうちに御期待に副いたいと言いながら通す態度。この点については單に文部委員会だけではなくて、あらゆる法律措置について大きな問題を決定すると思う。この点はどうなんですか。はつきりした態度を承つて置きたい。
  43. 久保田藤麿

    政府委員久保田藤麿君) 飽くまで私共はこの法案が不完全でございますということを申したつもりはございません、一応私共は通すということについて、これは十分であると考えて来たのでありますが、只今いろいろな意味で御指摘を頂いたことについて研究をしろ、そういう用意があるかとおつしやつたと了解いたしまして、仮に不完全なる場合を研究の結果認めました場合には、早急に修正の手配をいたしますとお答えしたつもりであります。
  44. 若木勝藏

    若木勝藏君 もう十二時も半を過ぎておりますし、衆議院修正の点も承つたのでありますから、この辺で一旦休憩して盡飯にしたらどうか、こういうふうに思います。
  45. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 先日の教育委員会審議の際の証人喚問のことがまだ報告になつておりませんが、あれはどうなりましたでしようか、それが一つ。  もう一つは、前国会から今国会の間に、引続き休会中に継続審査をやつておりました際に、非常に大きな問題となりました尾瀬沼のダムの件でありますが、あれが最近非常な勢で進行しておるように聞くのであります。こういうように国会が非常に土壇場に入つて来た際に、厚生省や文部省、安本或いは通産省、日本発送電、建設省というようなものが組みまして、一挙にこれをやつてしまおうという気配があるがごとくに感ぜられるのであります。そういう際に、我々は世界的な文化財としての尾瀬沼の問題を何とかここでしなければならん。休会中までわざわざ取上げてこの委員会がやつた問題を、こういう際に一言の文句も入れずに、うやむやに葬られて地下に沈められてしまうということは一大問題だと私は考える。でありますから、幸い会期も延長しましたので、この辺で何か適当の措置を講すべく、文部委員会は手を打つ必要があるのではないかということを私は痛感いたしますので、皆さんにお諮りする次第であります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  46. 河野正夫

    河野正夫君 鈴木君の動議と言いますか、結構だと思いまするが、若木君がお話しになつた時間が来たということでなく、この私立学校法案質疑はこれで一応終結をしたものとして、次に討論段階に入つたときに、恐らく或る種の修正乃至は一種の決議的な何かをしたいというふうな意向の委員もあります。それ故にそういう成案を作る必要もありますので、ここで私立学校法は一応質疑を終結して頂いて、休憩時間中にそういう今の問題などを用意する。それから今鈴木君の動議を、一応討論を終結した上で、二点だけについてお諮りを願うことは結構だと思います。
  47. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 如何でございますか。
  48. 左藤義詮

    左藤義詮君 若木河野両者動議賛成をいたしますが、よく運営委員会で言つているのですが、速記が廻らないために、よく時間を空費いたしますので、この点を委員部で再開の時間を決めて、必ずそのときの速記を廻せるようにして、そうして随時討論するように。そうして今の鈴木君の重大な問題等についても十分に審議の時間を空費しないように、その点を御配慮頂くことにしまして、その点に賛成いたします。
  49. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 鈴木君の動議は如何でございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  50. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 何かの形で、この会期中に取上げて頂きたいと思います。
  51. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それから北沢新次郎君の証人喚問の件は、差支があつて出て来られないということですから御了承願いたいと思います。  それでは委員会はこの程度で休憩いたしまして……。
  52. 小野光洋

    小野光洋君 実は今のは質疑を終了して次は討論に入るということを前提として、そういう動議を出されたのですが。
  53. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは質疑はこれで以て終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それでは質疑は終了いたしました。  それでは午後一時半から再会いたします。    午後零時四十一分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  55. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは休憩前に引続きまして会議を続行いたします。私立学校法案審議につきまして質疑を終了いたしましたので、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 丁度この法案審議が始まりましたとき、予算の審議が非常に強行されておりまして、これと並行しておつたものでありますから、私は残念ながらこの法案審議に参加することができなかつたのでございまするので、今日そういうような立場から少し時間を頂きまして、我々の態度を明らかにいたしたいと思うのであります。  先ず総括的に申上げますと、日本共産党はこの法案に対しましてこれは反対します。我が国の長い文部行政、学校行政の中、振返つて見ますというと、今まで私学の果した来た任務というものは、これは非常に重要なものがあつたということが言えます。私学はその特色を飽くまで明らかにして、そうして自主的に運営し、そこに官学で見られなかつたところの幾多の功績は、これを認めなければならないと思うのでありまして、併し終戰後の樣子を見ますと、これらの日本一つ教育体系の中にありますところの私学の任務が十分果されないような段階に来ておる。それは言うまでもなく終戰後物凄く我が国を襲いましたところのインフレであります。この経済的な條件がいろいろな面からしまして、十分にその機能を発揮させることができない。又戰災によつて受けた校舎の損害、こういうようなことの償いのために、非常に多くの苦しみを嘗めて来たということができると思うのであります。現在我々の情報として手にしますものを見ますというと、全国私学総連の大体の調査のようでありますが、中小学校の中の約二割が、殆んどこれは企業倒れになつておる。又地方においても、もうこれ以上学校を継続することができないというので、生徒共身売をしているという学校も出ておる。廃校した学校も相当ある。例えば靜岡県では、二十九校のうち六校がすでに廃校になつておる。福岡では四十三校のうち五校、東京では二百六十校のうち四校、鹿兒島県では十二校のうち七校、こういうような全国至るところに例が出ておるのであります。又杉並区の敷島高校では、二月初旬から日本第二学院へ校舎、敷地、学生二百五十五名も同時に、二百万円で身売したというような痛ましい樣子も出ておるのであります。結局こういうようなところに陥つておる。又一方から言いますというと、学生生活はどうかと言いますと、学生の生活はこれは非常な困難に遭遇しておるということは言えます。昔の学生の層と現在の学生の層を対比して考えて見ると、今昔の感に堪えないということができると思います。殆んど現在におきましては、学生の全体の七〇%ぐらいの者がアルバイト生活に追込まれておるのであります。而も最近の状勢下におきましてはもつとその率が増加して、中には九〇%ぐらいがアルバイト生活に追込まれておるという状態であります。その一、二の例を挙げますと、早稻田大学でありますが、九月十五日で第二学期が始まつたのですが、授業料の三千円がなかなか納められないで、そのために三割ぐらいの、今年になつてから退学者が出ておるというようなことがあります。日本大学におきましては現在四割ぐらいの滯納学生がある。紅陵大学では十一月二十五日現在で滯納者が八百九十六人、これは全学生二千四百名に対して約四割近くでありまして、これらの者を除籍せざるを得ないという現況に陥つておる。又授業料は学園経営の面から考えまして、どうしても私立においては増加せざるを得ない。大体最高が年額一万七千円であります。こういうような状態でありますから、これを国立大学の三千六百円と比べると、その負担の強化というものは著しいものがあるのであります。こういうようなふうに、いろいろな実相が示しておりますように、私学の機能というものが、十分に果されない、その大きな原因というものは経済的な原因なのであります。こういうところにこの度私学法案というものが提出されるのであります。この法案を我々今まで検討して参つたのでありますが、何と言いましても、この法案の最も中心的な性格は、こういうような苦しい経済的な現実のうちで、私学に対するところの貸付金を與える、或いはこれに対する免税の処置を取る。これらの法的の措置をする。こういうことが、表面の建前になつておりますけれども、併しそれはそれだけで終らないで、その後には大きな拘束規定がある。つまり今後これに対する文部大臣並びに都道府県知事の私学に対するところの支配権というものが強化されて来る。そうして命令に違反した場合には、閉鎖或いは解散を命ずる、この條項はこれは非常に重大な意味を持つものであるということに、我々は考えざるを得ないのであります。例えば苦しくて一本の藁にも縋るというような状態に陥つておるところの、この私学に対して、今年度の補正予算において一億二千万円程度の貸付金をする、来年度におきまして二億七千万円程度の貸付金をする、これは全体の私学の数から見ますときには、実に寥々たるところの金額と言わなければならん。こんなもので私学は絶対復興されるとは思わない。併しながら、而も私学におきましては、そういうような金をさえ期待しなければならないというような窮境に追込まれておる。そこへ持つて来て今申しました貸付金は、未だ目の前にぶら下つた餌のような感じがするのであります。この餌を元にしまして、その後からは官僚的な文部行政の大きな支配権をここで復活させようという意図を、我々は読まざるを得ない。ここにこの法案の大きな性格があるということを、我々は残念乍ら指摘せざるを得ないのであります。而もこれがこのような案が、この時代の反動的な空気の中で、殊に吉田内閣によつて現在強行されておりますところの勤労者の生活圧迫、更に貿易政策、これらとの連関におきまして、人民の自由が非常に奪われようとしておる。このような中に本法案が出されるということは、大きな特徴的なものであるということを、我々は指摘せざるを得ないのであります。私はこれを体験を以て今まで感じて来た。日本のいろいろなこの学校の動きの中に、教育界の動きの中に、私達は二十何年間生きて参りました。殊にもあの満洲事変、昭和七年に満洲事変に持つて行かれますときの、あの前世紀的の学園に対するところの圧迫ということを、私達は忘れることはできない。そう申しておる私自身もその一人の犠牲者である。当時は学園の自治性というものが、それ以前におきましては相当重んじられ、学園は学園の自己責任において、それ機能を発揮して来たのでありますけれども、あのフアツシズムのさ中におきしては、いろいろな形において学園の自由が彈圧され、思想が圧迫され、京大の瀧川事件のごときは到底忘れることはできない。あの事件の直後におきまする成城学園におきますところの、あの自由教育に対するところの大彈圧のごときは、私自身もその一人の犠牲者として、あの中で自由を獲るための闘いを続けたために、中で真先に馘首されるという体験を持つておりますので、非常に時代の空気が反動に流れておるさ中におきまして、このような法案が提出されるということの性格を私は忘れることができない。何故にこの雀の涙程の助成金によつて、最も学園の根幹的な使命をなすところのこの自由が、このような形で文部大臣或いは知事によつて強化されなければならないかという理由の発見に私は苦しむのであります。そういうような意味から考えまして、どうしても私はこの法案賛成することはできないのであります。  政府は十分ここで考えて見なくちやならない。私が冒頭に申述べましたような、学園の経済的ないろいろな困難並びに学生生活の崩壊的な事実、ここまで落としたのは何であるか、この根源について我々は振返つて見なければならない。つまり文部省を代表機関とするところの政府の文教政策が極めて貧困であつたということ、そうして單に私学は自分の責任においてやるのだという形式的な名目におきまして、全面的に終戰後の経済政策の悪化の波に煽られておつた。これに対して援助の手を差向けなかつた。差向けたとしても実にそれは寥々たる形で、問題にならないという形で進められて来た。ここに今までの文部政策の無能を私達は指摘せざるを得ないのであります。だからして先程も申しましたように、今私学は溺れる者は藁をも掴むという状態に来ておるのであります。そうしてこの問題を徹底的に解決する方向に努力するのは当然の任務であるのに対しまして、それを表面のそれに対する補助助成ということを一つの理由に掲げまして、その後から大きな支配強化の手を延ばそうとしておる。この政策は私達はここではつきり銘記して置かなければならないと思うのであります、だから私は日本の長いと申しましても、或いは時代の反動の中では直に実現するかも知れないところの、こういうような危險性を持つておるところの、このやり方に対しまして、もつと見通しのある基本的な立場に立つて、この問題を我々ははつきり今から肚を据えて処置して置かなければならない。恐らくこの支配権というものが、監督権というものがどのように使われるかという、私学の自主性がこれによつてどのようにこれは圧迫されるか。又先程も申しましたような、こういう思想反動の時代におきまして、この法案はどのようにでも悪用することができる。そうしてそのために学問の自由、生徒達の民主化に対する一つの情熱、自主性、こういうものが奪われるとしたら、実にこれは重大なる問題と私は言わなければならないのであります。その例は單に教育法案の狭い枠内だけで我々はものを考えることはできない。もつと少くとも日本の政治に関與しておる者の立場から考えましたならば、もつと大きな問題とも関連して、視野を拡大して考えなければならない。と言いますのは、例えば労働基準法は世界でも法律そのものとしては優秀だということを言われておる。併しながらその結果はどのような形で実施されておるかということを考えて見れば明らかであります。又人事院を作つて、人事院におきましては、これは当然公務員のいろいろな、公務員であるが故に、いろいろな拘束規定を與えておる。併しながら人事院そのものは同時に公務員の待遇を完全にこれと併行させるということを前提としなければ存在しないわけであります。然るに今日あの人事院そのものも、どのようにこれは運営されているかということを我々は見れば分るのであります。つまり何ら現在の窮迫した労働者の生活を本当に支えて、保証するに足るだけの措置をしない。政府は人事院の勧告が仮にあつたとしても、財源的に措置がないからこれは出来ないということを言つておる。而も一方においては公務員のいろいろな労働運動の制限をやつておる。つまりその法案の、或る一部分だけを自分に都合のいいだけ、支配階級の都合のいい部面だけ取上げて、他のこれと当然並行しなければならん部面においては、これを等閑に付すというやり方をしておる。この私学法案はそういう意味において、私学というものは正にこれに相似た面があります。私学の助成の面、経済的な面に関連する面を持つて、それと並行して当然それとの連関において、法的な拘束規定、監督権、命令権を持つというようなことを言つておるのでありますが、併し若しもそのような監督権を本当に認めるならば、当然これは私学に対してもつともつと大きな、本当に裏付けするに足るところの、実のある援助をなさなければならない筈であります。然るに先程申しましたように、実にこれは二階から目薬程度の補助しかしていない。ここに私は先程申しました労働基準法並びに人事院の現在の運動状態と連関して、この私学法を論ぜざるを得ない、残念ながら論ぜざるを得ない。こういうのが日本の現状であります。こういう点を我々ははつきり見なければならない。子供が今苦しい、餓えているから物が欲しい。併しその物を與えることによつて、それは子供の将来の健康に大きな影響があるという場合においては、先の見通しのある親は子供にその物を與えない。そのような意味におきまして、この私学法案そのものの持つております性格を、私達は非常にこれは危險であると思う。この点から私達はむしろ私学そのものの発展のために、これに反対せざるを得ないのであります。  若し貸付をやるとか、免税をするとかということならば、何もこの法案を我々は煩わす必要がない。別な法的措置で十分やることができる。できるにも拘らず、監督権並びに官僚支配権をこれを並行させて、のつぴきならないところの追込んでしまつた。そうしてそのような形において、このような法案を飽くまでも押付けて来たというところの文部行政に対して、我々は飽くまでも反対せざるを得ないのであります。  これは今までの過程を見れば分る。この法案が作られ、そうして今国会に提出されるまでの経緯を見れば余りにも明らかである。この点については私は余り詳しく触れませんけれども、ここにいられる方々は、この事情については十分にこれは御了承なさるところだと思うのです。私学協会が決して本心からこの法案に対して賛成されているのでない。このような一つの拘束規定、このような支配権に対しては、飽くまでも私学の本質としては反対するだろうと思う。併しそれを十分に採入れなかつた。採入れなかつたところに文部省一つのトリツクがある。ここに我々は文部省そのものの態度、そうしてこのような最近の傾向、これは外の法案なんかとも連関しまして、著しく出て来ておりますところの文部行政に対して、やはり断乎として反対せざるを得ないのであります。これは私学総連などの責任じやなくて、文部省自体の、文部大臣自身の一つの高い見識、日本の将来、日本の文教の在り方、そういうものから当然現在におきましては、飽くまでもそれを守り抜くというところの、高い決意に係つて来なくちやならない。従つてこの事実は歴史がはつきり証明するということになると思う。我々はこのような歴史の方向に逆に歯車を廻すようなやり方に対しては、賛成することができないのであります。  またいろいろな問題については、私立大学の審議会とか、私立学校審議会がある。ここで十分に諮られるではないかという説明もあり得るかと思います。併しこの審議会そのものを見ますと、これは諮問機関に過ぎない。決議機関じやない。このような決議権を持たないところの機関、こういうものがどのような役割を実際の運用上においてなされるかということは、教育委員会そのものはまあ決議権を持つておるのでありますが、もつとあれがはつきりした形で財政権まで持つておれば、もつともつとこれは機能を果すことができるのでありますけれども、それと丁度似たような関係になると思うのでありますが、どうしてもこういうようなものは浮かされてしまう。そうして現実に対しまして大きな力を持ち得ない。或る場合には申訳的な機関になり、或る場合には刺身のつまのような役割を果すというようなことが考えられるのであります。  更にこの法案審議過程を考えますときに、私はもつともつと民主的な手が打たれるべきじやなかつたかというふうに考えます。一審大きな問題はやはり教職員、更に学生、こういう人達の意見が十分に反映するというような形で、この法案審議されて欲しかつたというふうに考えます。何故ならば新らしい教育を我々は口にするだけではなく、それを本当に打立てよう、実のあるものにしようと考えるならば、当然これは教員、学生という者は学園構成の大きな要素であります。三大要素のうちの二大要素をなしている者であります。従つてこれらの人の意見が今後の学園の運営の中に十分民主的に反映されるということは、絶対に望ましいことである。ところがこれに対するところのいろいろな意見、反対意見のようなものがあつたのであります。賛成意見もあつたかも知れない。併しいずれにしましても、これらの意見というものを、十分にこの法案成立までの過程においてこれを取上げて、そうしてその意見を反映さして、これについて我々委員の見識によつてこれを取捨選択するということが十分できたのであるにも拘わらず、これは本委員会なんかでは時間の関係もあつたでしよう。こういう関係からして、これが十分になされなかつた。こういう点につきまして、つまり立法措置としまして一公聽会が持たれたのでありますけれども、十分にこれを運営するところの時間がなかつたという点もあろうと思われますけれども、こういう措置的に不完全なところを私は考えざるを得ない。今日この法案に対しましては相当反対の意見が強まつている。これに対するいろいろな運動も起つておることを私達は知つておるのであります。例えば全学連、私立学校法対策全国協業会、関東私立大学教授協議会、全国大学教授連合、日本学術会議、これらの団体におきましては、この法案はやはり現在の状態においてはむしろ拘束する面が多くて得るところが少いという点から、これに対して全面的に反対しておるのであります。このような意見が今後とも十分に採入れられて、そうしてこれらの意見に対して十分に我々は耳を籍すならば、そうして又日本の今後の文教政策というものを本当に人民のものにし、そうして立派なものに位置付けるという覚悟を有するならば、このような法案に対して私は賛成できないのじやないかというふうに思うのであります。以上申述べまして私並びに日本共産党の私立学校法案に対する反対意見といたします。
  57. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 別に御発言はございませんか。
  58. 小野光洋

    小野光洋君 私は本案に賛成の意を表するものであります。  私立学校は元来私人が抱懐する教育的な理想を実現するためにこれを設置経営し、又その理想に同調する父兄或いは学徒、兒童がその学校に入学して、その理想の下に教育を受ける、こういうことが私立学校としての正しい在り方であります。従つて私人がその持つところの理想のために、飽くまでも奮闘努力して、その教育的理想を実現するために或いは財的な支出もするだろうし、労力的な行為もこれに伴うだろうし、或いは又これに賛成する多くの人達が同様の苦心もその学校経営に捧げて行くということは当然であります。従つて公立学校が一般国民の負担によつて、国家或いは公共団体意思に従つて行うところの教育とは、全くその趣を異にするのであります。従つてかような立場から考えまするならば、私立学校は元来国家或いは地方公共団体からは、全くノー・タツチ、ノー・コントロールの建前で行かなければならんことは明らかであります。併し日本私立学校は終戰前におきましては、遺憾ながらいわゆる官僚統制の極めて嚴格な枠の中に、むしろ国家或いは公共団体が公費を以て支出し、又みずからの意思によつて設置経営する学校より以上に、私立学校の方が嚴格に監督され、統制せられておつた筋もあつたのであります。従つてさような時代におきましては、私立学校が十分に本来の独自の使命を果し、且つ又英米各国等において手られるように、本当の教育は私学においてなされる、立派な設備と立派な人材を集めて教育を推進するという機関は公立よりもむしろ私立学校にあるというような、そういう国々の状態とは全く異なつた様相を呈しておつたということは、日本教育のために誠に遺憾であつたのであります。然るに終戰後におきまして、かような統制の枠が外されたとは言いながら、尚教育基本法はこれは教育の根本的な理念として、特に教育の自由を尊重いたしたものでありまするから問題外といたしましても、私立学校においては学校教育法の中におきまして、無用と思われる統制の法規が、監督の法規が相当沢山盛られておつたのでありまするが、併し終戰前に比べますると、遥かに自由になつたことは言うまでもないのであります。従つて私立学校は終戰後において、教育基本法及び学校教育法の枠内において、或る程度終戰前よりもその運営が自由になつたということは明らかでありますが、併しかように自由に相成りましても、尚戰前と戰後におきましての私立学校の置かれたところの社会的な環境は非常に悪くなつておるのであります。即ち悪性のインフレーシヨン或いは又戰災によつて私立学校の約三割は、その設備その他を滅失しておるのであります。終戰後教育刷新の重大なる使命を果すに最もふさわしい性格を持つたところの私立学校が、かような面において非常に苦境に陥つてつた。従つて新憲法による第一国会以来と申しまするよりも、旧憲法による最後の国会におきましても、私学振興という問題が国家又は公共団体から財的の支援をなされなければならぬではないかという叫びが相当強く起つてつたのであります。従つて国会におきましても、私学振興決議案とか、或いは又私立学校に対する金融機関の設置の決議案とか、或いは又そういつた決議案に相成りませんでも、文部委員会、或いは本会議或いは予算委員会等を通じまして、私立学校に対する助成の必要は相当力説せられて参つたのでありまするが、併しただ新憲法におきましては、第八十九條におきまして、特に公の支配を受けておらない教育団体或いは宗教団体、慈善団体等に対しては、財的の支援をしてはならぬというような規定解釈が、私立学校にも及ぶか及ばないが明確な断定の下されたわけではありませんが、その点が極めて曖昧であつたために、文部当局はいつもこの問題を具体化する上において、この解釈が重大な支障になつてつたことは明らかな事実であります。私立学校は先程申しましたように、元来ノー・タツチ、ノー・コントロールということを標榜するものでありますけれども、併し現実の極めて苦難な環境におきましては、何らかの支援をこれに與えなかつたならば、戰災した私学は復興することができず、その他の私学においても経営難に陷つて、六三三というような新らしい教育刷新の制度が行われるといたしても、これに則るところの充足した教育を行うことができないのみならず、積極的にさような措置が講ぜられないだけでなく、消極的には現状の維持も困難であります。すでに中学、高等学校等の中におきましては、二割以上の私学の線から脱落した学校があるというような状態になつてつたのであります。そこで全国の私立学校は一面におきましては、その自主性を飽くまでも阻害しない程度において、この憲法解釈の問題を極めて合理的に解決しなければならぬという立場に立つたのであります。本問題に関しましては、特に田中委員長は当時新憲法が審議せらるる過程において、明らかに私立学校教育一般法規において相当のコントロールを受けておる。從つて助成の対象になり得る。憲法第八十九條の私立学校に助成することは、何らこれら阻却するものではないという意見を持ち、又さような意味において憲法が制定さられたのでありまするが、併しそれから後の解釈がとかく曖昧になり、この問題についての帰着点が今まで與えられなかつたのであります。從つて全国の私立学校はかような点において明確な解釈を下し、私学の窮状を打開するような方法を採るべきだということを要望いたして参つたのであります。それが先程述べましたいわゆる私学の振興決議案となり、或いは教育振興法の設定の運動となり、或いは又その他の金融措置が、本院におきましても決議案としてこれが採択されるというようなことにも相成つたのでありました。そこで私立学校私学総連合会及び文部当局は、この問題についての解決に苦心いたしまして、すでに過去二ヶ年間、いわゆる私立学校の根本法規、ノー・タツチ、ノーコントロールの線と、他の一面におきましては、憲法第八十九條の解釈とをどうマツチせしめ、どこに線を引くかということについて研究努力をいたして参つたのであります。かような観点から見ますと、本私立学校法は、ノー・タツチ、ノー・コントロールの線から考えますと聊か私学の監督事項が全く拂拭せられて、その独自性を十分発揮するに足るものだとは言えないかも知れません。併し本法案におきましては、主としてこの問題を第五十九條に集め、その他の一般法におきましては、独自性を尊ぶと同時に、他の一面においては私学も国民教育の、又国家刷新の重大な文化の母体となるという意味において、その公共性を保持する、この二つの点が第五十九條以外の部分において規定せられておるのであります。私共は私立学校の立場から、敢えて第五十九條というような條項をもなくして、その上で国家の助成も要求いたしたかつたのであります。又その他の部分におきましても、監督がましいような條項は全部拂拭いたすことを衷心希望いたすのでありまするが、併し現在の日本の現状におきましては、そこまで私立学校運営を完全自主に委ねてしまうということにおきましては、皆さん方も相当議論の存するところであろうと思うのであります。從つてかような程度の、本法案に定められた程度における国家行政面との接触の調節ということは、実に止むを得ないことではないかと思うのであります。從つて法案が思学永遠の法規として動かすべからざるものだなどということを私共は思つておりません。絶対理想の案であるとも思つておりません。併し現状におきましては止むを得ない案である、この程度で満足すべきであると思つておるのであります。併しながら本法案が当委員会において審議せられておる過程におきましても明らかにせられておりますように、法文の整理、或いは又個々の解釈の問題、その他において遺憾の点が相当あります。又私学の自主性と行政機関との接触面において、諮問機関としての私学審議会或いは又私立大学審議会等を置き、その性格が諮問機関たるの性格を持ちながら、これの運用面において決定機関である、或いは決定機関に等しいような力強いものにするという点に曖昧の点があることは事実であります。併し文部当局のしばしばの言明によつて、我々の憂うるような事実は今後絶対に起らないだろうと私は確信するものであります。又さようなことを来たすようなことは絶対にないだろうど、文部当局を信頼する次第であります。從つて諮問機関と決定機関との間におけるところの法文上の表現が多少遺憾だということは事実であります。併し只今申しましたように、しばしばの文部当局の言明も私共は信じ、本法案賛成するものであります。私立学校が多年要望しておりました本法案の成立によつて、一面においてはその独自性を保持し、多面においてはその公共性を確保し、而も又国家公共団体助成ということが、明白な法文的な解釈の上において可能になるということは、誠に慶賀すべきことであると思うのであります。併し尚教育界の現状は、それが民主化され刷新される過程にあるのでありますから、将来より一層国民全体或いは国家行政機関その他が徹底的に民主化されて行く、或いは又その過程が進むにつれて本法案も又改正をしなければならんと思うのであります。さような場合におきましては、文部当局は本法案に固執することなく、虚心坦懷、さような情勢に応じた修正を施すことを望んで止まない次第であります。又私立学校におきましても、その自主性がわがままになつたり、非公共的になつたりして、そのためにより一層私学に対する取締規定とか、監督規定を強化しなければならんなどというような輿論が起らないように、十分戒心すべきだと思うのであります。苟くも第五十九條において国家公共団体からの公費助成を可能ならしめた限りは、その点から考えましても、私立学校が将来立派にこの重責を果すと同時に、国家公共団体が公費を支弁しても聊かも惜しくない、同時により一層これを強化すべきであるというような議論が、国民各位の間から澎湃として起るように相成らねばならんと思うのであります。私は本法案が成立実施の運びに相成りましたならば、私学はこの線に沿つて、より一層拡充徹底に努力をすると同時に、又国民の代表といたしましての国会におきましても、本年度の追加予算に僅か一億二千数百万円というような、而も戰災復興の助成金を貸付けるのだというようなけちな考でなく、私立学校の財的支援を徹底的に行うと同時に、私立学校の本法案に盛られた程度における自主性を十分確保して、それが発達助成に協力して頂きたいと思う次第であります。從つて從来昭和二十一年度の追加予算から引続いて貸付金として、或いは経営費の補助であるとか、戰災復興の助成であるとかということで計上せられておつた事実に鑑みまして、政府当局におきましても、かような態度を本法案はよつて完全に拂拭して頂きたい。本来経営費の助成を貸付金という名目で出すなどということは、全く私学の実情を無視した態度でありまして、経営費の不足が将来私学の負債を増大し、やがてはその政府貸付金の負債によつて私立学校運営が不可能になるというようなことも予想できないわけでもありません。從いまして私は先程述べましたような事情から、止むを得ず貸付金というような処置をとつてつた政府態度を、本法案の成立によつて完全にこれを一擲して、これらのものも交付金にする、将来に亘つても又交付金を増額する、かように相成りましたならば、私立学校の今後の発展も非常に期待せられるものにおると思うのであります。私はかような希望を、要望を以ちまして、本法案の成立に賛成する次第であります。
  59. 河野正夫

    河野正夫君 社会党を代表しまして本法案討論をいたします。結論を申しますると、種々の欠陥があるには拘わらず、又一部の学生諸君の反対運動もあることも了承しておりますけれども、現在の状態においては必要なるものである、こういう認定の下に、本法案賛成をするものであります。但し最後に述べまする四ヶ條の要望事項を持つているものであります。  最初に申述べて置きたいのは、この法案の立案過程に対して、聊が不当なものがあつたということであります。大学法と称せられ、今日においては、大学管理法か、行政法と言われる国立大学の法案は、多くの論議を巻起した末に、今民主的な立案過程中にあると存じますが、これと同じように、私立学校法につきましても、十分に論議を盡し、民主的な立案過程を経ることができたならば、不当な、或いは不要な騷ぎは起らなかつたのではないかと、こう思うのであります。一体に法案国会審議せられ、民主的に決定せられるから、立案は秘密裡に行なつてもよいということは、民主主義の原則に反するものでありまして、丁度文部省が大学法の悪試案と言われる第一次試案を、教育刷新委員会に試案として提出して、世論のこれに対する喚起を俟つたということは、結果から見れば極めて賢明な方法であつたのであります。ああいう方法を私学法についても採るべきではなかつたかとこう思うのであります。  この私立学校法の今日上程されておる内容を見まするというと、一般的意図についてはこれは十分に了解できるところでありまして、その私立学校自主性を高め、公共性を昂揚し、更に助成についての現実的な困難な途を打開しようと努力した点については、その趣旨を了承するに吝がでないものでありますが。今立入つて内容について点検いたして見ますると、所轄庁権限というようなものについて、尚監督行政的な臭いが残つておる。いわゆる私学の自主性を高める点については、尚不満があることは事実であります。例えば第五條の第一項の第二号における閉鎖命令のごときは、これはむしろ削除する方が妥当であつたと思うのであります。がこの際一言して置きたいと思うのは、世上この私立学校法案に反対する方々が、この点にも触れ、更に後に述べるいろいろな統制的な面等に触れて、これは却つて私立学校の統制監督を強化するものであると反対している点は、これは法律そのものの御研究が足りないのであろうと、私は思うのであります。すでに学校教育法によつて、十分に私立学校はいわゆる監督庁によつて監督せらるるだけの法的基礎が置いてあるのであります。それとこの私立学校法における統制監督の規定とを較べてみれば、それは少しくではありまするけれども、縮小されておるという点において、自主性を高めたということは言い得るのではないかと思うのでありますけれども、我々の見解とすれば、これを以て私立学校自主性が高まつたのだと、こう主張するということについては極めて貧弱である、こう思わざるを得ないのであります。例えば学校教育法の第四條の一部分監督庁の定める事項といつたようなものを削つたとか、乃至は学校教育法の第十四條の不適用を決めたという程度のことであつては、これは真実自主性を高めたと言い得ないかと思うのであります。その他の学校法人の場合におきましても、所轄庁権限が問題にされるところは、例えば只今小野委員からもお話がありました助成を受ける学校に対する……、第五十九條の規定でありまするが、これも国民の税金の使い方ということについて、国民が相当に関心を持つという立場から言うならば、最小限度の監督ということはこれは止むを得ないのみならず、必要であるということも言い得るのでありますけれども、第五十九條を詳細に点検しますると、政治的にも、又立法技術的にも種々の問題が存して、これでは十分だとは言いかねる。更にこういうことによつて、今までなかつた特殊な監督が強化されるのではないかというふうな誤解を生むことがありはしないかということを恐れるのであります。  更に内容について次の点について申しますると、私立学校審議会、又は大学審議会というものの性格が明瞭を欠いております。第八條、第十四條、第二十一條等を比較検討しますると、それが議決機関であるか、諮問機関であるかということが、当局は諮問機関というような説明であるにも拘わらず、尚不明瞭であるのであります。更にその審議会構成に至つては、推薦団体規定が第十一條にございまするけれども、この推薦団体そのものの民主的な構成運営とが、何らかの意味において考えられない以上は、徒らに形式的に総数の三分の二以上を占むる団体というような規定では、真実の意味審議会委員推薦するに足る団体であるかどうかということは、時と場合では疑わしい場合も生ずるであろうと思うのであります。特にこの委員のうちに理事者だけで……、あの学識経験者を除いては、理事者だけで占められても止むを得ないようになつてつて理事以外の教員というような者の発言権が極めて少いということは、推薦団体そのものの構成運用の面と相俟つて検討を要する点ではないかと思うのであります。  内容の点の第三は、学校法人の性格でありまするが、これが会社法的な面があるのか、或いは公益法人的な性格を持つているのかという点が、いろいろな條文から照らして見て不明瞭であります。更にこの学校法人の中に規定されておる評議員という者の構成につきましても、次官の説明か大臣の説明かによりますると、広く同窓生、学校の職員というような者をも含むように考えられておつたのでありまするけれども、併しその法人の職員がどの程度に入り得るか、職員がどの程度に入り得るかということは、寄附行為の中に自主的に決定すべきことであると決めてあるために、日本の民主化の現段階において古い伝統というか、大きな学校はとにもかくにも、小さな学校においては可なりに非民主的な寄附行為規定がなされておる。評議員の構成において、公正な選出というか、任命ができないようになるのではないか、こう思うのであります。又評議員会の権限につきましても、意見を聞くというような第四十二條であつたかと思いまするが、こういうことであつて、議決機関でない点があります。寄附行為によつてこれを議決機関とすることができるというふうに規定がございまするが、とにかく評議員会というものの権限がやはり明確を欠いております。更に又学校法人解散規定においては、解散命令をすることができるという、最近の立法例によるというのでありまするけれども、成程その後の調査によると、いろいろ協同組合などにおいても、認可によつて設立したものが、解散命令によつて解散をするということもあるのでありまするけれども、これも最初に申上げたいろいろな法的性格の上から疑問があるのでありまして、むしろこれは解散命令というような強い言葉を以てするよりも、認可取消をすることができるとなるべきであると、我々は考えておるのであります。  内容の第四点といたしまして、助成でございまするが、この助成について審議会の議を経るのか経ないのか、こういう点について法人の上で明らかになつておりません。当局の御説明によれば、審議会に諮るということでありましたけれども、併しながらもつと親切な法文規定をして置いた方が正しかつたのではないか、こう思うのであります。特に第五十九條の問題がこの助成と関連するのでありますけれども、恰かも助成を受ける者は監督するぞというのであつて、これが大学教授連合の声明等を見ましても、助成を前提とするところの統制ということは、十分に考えなければならない問題であり、でき得べくんばもつとこの点を軽くすべきものであつたと思うのであります。  内容の点について意見を申上げましたが、第四に法文の点について申上げますると、法文の点では、第三十七條理事代表権の問題、第六十二條只今申しました解散命令の問題、第六十五條の名称の禁止の問題等につきましても、もう少しく明瞭な的確な表現が望ましかつたと、こう思うのでありまして、その他至るところに、幾つにもに解釈さるべきような点が見出されまして、結局速記録によつてその意味を探し当てるというような点も多々出て来ておる。立案者の不用意というものが窺えるのであります。  最後に他の法律との関係から考えて見ますると、この私立学校法と合せ論ぜられるところのものに、只今触れました国立大学に関する大学行政法というようなものがあるのでありますが、この大学行政法は国立大学の行政に関する規定でございましよう。まだ海のものとも山のものとも分つておりませんけれども、大体推測されるところは、大学の行政についての中央機関ばかりでなく、各大学の機関もこれを定め、その民主的な運営について規定するところがあるということであります。本法案中の私立学校の、特に大学については、その学内の運営については何ら規定するところがないのであります。学校法人としては評議員会等について規定がありまするけれども、大学自体の運営については規定がないのでありまするけれども、国立大学の運用が若しも来るべき法案において極めて理想的に、民主的に決定せられるという段階があつたときに、この私立学校法案のみでは、私立大学の民主的な運営について不十分であるという機会が招来されるのではないかと思うのであります。それらに関連いたしまして、本法案はその際に再検討を要するものと我々は考えております。  以上で種々検討した結果を申述べたのでありまするが、本法案の企図するところのものは、幾ばくの効果を挙げておるであろううかという点について振返つて見ますると、自主性を高めるという意味については、先程も触れましたが、僅かに学校教育法の二箇條について、不適用乃至は一部不適用を見るに過ぎないのであります。他は言葉の違いがあつても、この法案中に採用されておるのであります。ただ学校法人を民法上の財団法人として、やかましい許可や監督というようなことから拔いて、特殊な法人規定して監督権限を縮小したという点については、これは自主性を尊重する点で一つの進歩であると思うのであります。公共性の高揚という目的について申しますると、学校法人の民主化ということについて先程触れたようにまだ十分ではないのであります。更に又私立学校審議会又は私立大学審議会等の構成等についても、まだ真実の公共性を発揮するのには不十分であると思うのであります。又この法案の目的の第三の点であるところの助成を行い、免税をする途を聞くという点についてでございますが、一体我々は先程小野委員も触れられましたが、憲法第八十九條の解釈の下に、学校教育法或いは教育基本法等等のコントロールを受けておるのであるが故に、私立学校は当然に国庫の助成を受ける資格があると解釈しておるのであります。この観点から言えば、私立学校法とその意味において作るということは必要がないというのが根本的な態度であります。けれども、如何せん現実の動きがそれで動かないということに相成りまするならば、例えば小野委員が触れられたように、経営費の貸付金というような名目で、僅かにしか出せなかつたときもあり、本年当初においては、文部当局が意図したにも拘らず貸付金が全然計上せられなかつたというようなことの事情を参酌する場合には、当然この私立学校法案規定する方向において、何らかの途を開かなければならないということは、止むを得ず賛成を表するものであります。  以上種々検討いたしましたが、結論といたしまして、いろいろの欠陷があり改正すべき点があるにも拘らず、その必要性は十分存在するが故に、本法案に対して賛成するものでありますけれども、我々は次の五点について要望を申上げて置きたいのであります。  第一点は、第二章において規定せられるがごさく私立大学に関する事項は、将来大学行政法の審議せられる場合に改善するか、乃至は單行法として提出せらるべきものである。そのように取計らつて頂きたいということであります。  第二に私立学校審議会私立大学審議会の性格や構成が更に民主化され、その権限が明確にされることを将来において企画されんことを希望するものであります。  第三点として、学校法の役員や評議員の構成の、もつと民主的な権限のもつと明瞭になることを、将来の機会において改正せられんことを要望するものであります。  第四点といたしまして助成金に関してでございますが、先ずその助成金支給の方法について、審議会の議を経るとか、諮問する必要はありましようけれども、文部当局から直接に各学校にこれが交付せられ、その間において不当な事務費、その他の費用が流れないように、十分に目的を達するがごとき方法を以て支給せられるような運用を望むそのであります。更にその金額におきましても、将来に亘つては、現実の必要を顧慮して、十分に増額を試みる必要があることを痛感するとそのでありまするから、当尾においても、この点篤と御配慮を願いたいと思うのであります。  次に第五十九條の運用につきましても、法文の規定はとにもかくにも、実際には私立学校法人の自主性を害しない、所轄庁権限を徒らに提廻さないというふうな、円満な運用を希望するものであります。  第五に所轄庁の問題でございまするが、所轄庁私立学校に関しては、学校教育法の第三十四條、又は第六十四條によつて、大学においては文部大臣、高等学校以下及び特殊学校においては都道府県知事ということが明瞭になつておると思うのでありますが、併しながら教育委員会法というものが出来た理由を考えて見ると、今までのいわゆる知事の官僚的な教育行政を排除しようという点に、その一つの目的があつたと思うので、この観点を拡めて行きまするならば、これは公立の学校のみならず、私立学校についてもやはり、知事の官僚的な統制の枠を外して行くという方向に、教育行政の一般が向つて行かなければならないと思うのであります。而も教育委員会が若し理想通りに行われるとするならば、これは民選されたところの人々でありまして、公立に関するのみならず、その他域の住民の子弟が行くところの学校について言うならば、私立学校についても多大の関心を持つておる筈であります。それ故にこれを何故所轄庁私立学校法案において、高等学校以下については教育委員会としなかつたかというところに一つの問題点があるのであります。もとより今日の現状を以てするならば、特に財政権を持たない教育委員会の今日における弱体を以てするならば、助成を受けようというような考え方に立つならば、当然これは所轄庁を都道府県知事とすることが有利でありましようけれども、一方教育委員会の本当の民主化と、その強化とを図る考えがあるならば、教育委員会の下に私立学校を所属せしめることは、何ら理論的にも実際的にも問題はないという考え方が成立ち得るのであります。もとより私学の特殊性ということは考えまするが、それは丁度都道府県知事の所轄に属して、審議会その他の方法によつて、私学の特性を活かしながら運営ができると同じであつて教育委員会の下にあつて私立学校審議会等を以て、民主的な運営ができるわけであります。何らそこに相違はないのであります。大学につきましても、これは将来の問題ですけれども、大学行政法等ができて、中央に公立大学に関する大学審議会ができるならば、公立大学ばかりでなくして、私立大学も含めて、これを大学審議会の下に統轄することは何ら差支ないところであります。現に大学設置委員会というようなものは、そういう方向に働いておる、こう考えるものであります。公立の大学の設置についても、私立大学の委員の諸君がこれに干興しておる現状から言つても、特に最近においては大学設置委員会の手を経ずして、私立大学審議会に委せる点がこの法案において認められておるくらいでありまするが故に、むしろこれは将来の大学審議会というような中央のものに所轄庁を委せてもいいのではないか。或いは大学審議会というのが所轄庁としての権限で工合が悪ければ、それは執行機関として何らかの形を取るにいたしましても、公立も国立も文部大臣が所轄庁で結構ですが、その運営においては大学審議会に一本建にする。私立大学審議会というものを必要としない。こういうように考えられるのであります。この点については、これは将来の研究を十分に重ねられて、次の改正の時期に結論をお出し下さることを要望する次第であります。以上五ヶ條の要望を附して本法案賛成をいたします。
  60. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 私も簡單に意見を述べさせて頂きます。  結論から申上げますと、私もこの法案が成立することを希望するものでございます。ただ全幅の賛成というわけには参らないのでありまして、時間的余裕がなかつたために、我々の手によつて我々の希望通り修正ができなかつたことは遺憾でございますけれども、一方においてその必要性も多くあるという点から考えまして、臨時的な応急的な立法として、私は賛成をするわけであります。  尚いろいろの改正すべき種々の問題については、只今河野委員から詳細な御意見があつたわけでありまして、私共も大体それに全幅的に賛成をしておるわけでありますが、細かい点については、私は敢えて重ねて申上げることを避けたいと思います。  ただ一つ、これも河野委員がすでに触れられた点ではありますけれども、私立大学の特殊性という問題を一応ここで取上げて見たいと思うのであります。私立学校一般に申して勿論そうでありますけれども、私立大学が特に日本の民主化におきまして果しました功績というものは、非常に大きいものがあると私は信じております。それは慶応、早稻田の歴史をここで持出すまでもなく、一方において官立大学が官僚の牙城として官僚勢力の根源地となつて来たのに対しまして、私立大学はその成立の初めから、官僚政治と闘うといつたような形において発達して来たわけでありまして、民主々義というものが少くとも官僚政治を打破して行くという一つの大きな課題を担つていると考えます以上、日本の民主化におきまして、私立大学の果した役割は非常に大きかつたのでありまして、又今後においても非常に大きいものがあると、私は信じて疑わないのであります。でありますから、この私立大学の問題につきましては、この法案におきましても、愼重にこれを考慮すべきであつたと、私は思うのであります。ところが私が考えておる限りにおきましては、私立大学とそれから高等学校以下、中学、小学、幼稚園といつたようなものは、本質的にその性質が違うのではないかと、私は思うのでございます。これはそれ詳細について申上げるわけではありませんけれども、そうした性質の違うものを一つ法案の中に混同して扱うということに対して、私は非常な疑問を持つておるのでございます。法律技術的には、一本にお扱いになることが非常に便利だとは考えられますけれども、これは飽くまで法律技術的な些細な問題でありまして、この私立大学というものの独自な精神とか、学風というものを考えて参ります場合において、そう簡單に法律技術的に一本に扱うのがよいから一本に扱つて行くといつたような態度は、甚だ面白くないと私は信じております。でありますから、この私立大学の問題について、我々としても是非この国会において、何らか修正の方法を考えたいと思つておりましたけれども、先程申上げましたように、時間的な関係でできなかつたことを、非常に遺憾とするわけでありまして、通常国会において私共の手において、これの改正というものを是非やりたいと考えておるわけでありますが、文部当局としまして、是非その点を十分考慮されまして、私立大学の独立の精神とその特殊な学風というものをもつともつと認識されまして、一方において国立大学の管理法、或いは行政法というものが考えられております関係上、それを睨み合せまして、私立大学というものを單行法で扱つて行くと、全然別個のものとしてその特殊性を認めつつ扱つて行く、こういう方向に文部当局としても努力されんことを希望するのでございます。  尚この法案について、いろいろ先程河野委員からの疑問の点があつたわけでありまして、これが発布の暁には、そういつたような疑問というものが、そのまま裏に隱されたままで発布されるということは、非常にこの運営の万全を期す上に面白くないと私は考えるのでありまして、文部当局において、十分国会における質疑応当、そういうものを資料とせられて、これが運営の万全を期するために、十分な解説書といつたようなものをこれに付けられて、各府県にそういうものを配付されるということが、この私立学校法が十分にその目的を達するために必要ではないかと私は思うのでございます。尚これも先程河野委員が述べられた問題でありますけれども、この私立学校法ができます立案の過程において、これは私が最初質問のときにいろいろ質問をいたしたのでありますけれども、当局から滿足な答弁が得られなかつたことを、非常に今でも遺憾に思つておるのでありますけれども、その過程においていろいろ問題がありまして、そのために、文部省がそう考えられていたとは思わないのでありますけれども、如何にも文部省私立学校というものの独自性或いはその学風というものを、何か非常に軽く扱つているようす感じを世間に印象ずけたということは、非常に面白くないことであつて、これから文部省がその文部行政を行なつて行く上に、非常に大きな障害になるのではないかと思うのであります。それでありますから、この法案が採決された後でよろしいのでありますけれども、幸い文部大臣が出席されておられますので、そういう点についても明確なる文部大臣の御意見というものを、我々は伺いたいと思つておるのであります。  尚、これは蛇足になりますけれども、この法案が出来ました暁において、若し私立学校というものがこの法案を頼りにして、みずから独立の気風と独自の精神というものの発揚を怠るようなことがあつては、これは私立学校のために甚だ悲しむべきことでありますので、この点は勿論私立学校において、かかることはないと思うのでありますが、十分に反省すべき問題ではないかと思うのであります。私は特に私立大学の特殊性という点を尊重いたしまして、それに基くところの新らしい法案の作成ということを強く主張して、それを希望として私はこの法案の通過に賛成する者であります。
  61. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 私も簡單に二、三の意見を述べまして本案に賛成する者であります。  私立学校が戰災に打ちのめされた上に、インフレの波に漂わされて、その復興に非常に難儀を感じており、経営にも非常な困難を感じておる際に、何か国として国家的な打開の方策を立てるべきだという要望が、各方面に直劍に叫ばれておつたことは、誰でも認めるのであります。このままで放置して置いたならば、その大半が閉鎖したり廃校したりするような運命に陷るのであろうという心配が大いになつたのであります。これは国としても、その公共性から考えて棄てて置けない重大な問題であります。尚、四千近くの私学の運命の問題にも係わつておりまするので、そういう立場、そういう直接的な私学の運命の下にこの法案が生れたのであつて、この法律はやはり国における私学の地位を法的に確立してやろうというものであつて、本法が私学の自主性を重ずると共に、その公共性を確認しつつ、而も憲法第八十九條の規定に制約されない、国や公共団体が財政的に、又その他の助成可能の線を、この法案によつて打出してやろうという観点は、私は賛成をする点なのであります。飜つて私学の実情を見まするというと、現在正に瀕死の状態にあるのでありまして、そういう立場にありまする私学でありまするから、非常に八方から弱体化しておるわけなのであります。この弱体化が影響をして、私はこの私学審議会監督庁との力の釣合というようなものが、今後非常に問題を起すもとになるのじやないか、その運営に当つて非常に関心が持たれる点なのであります。例えば財政的援助を受けることが建前となつておる本法案に、ややもすれば監督庁の力が必要以上に振われる虞れが多い。この点最大のまあ私達の心配事なのであります。この点からしまして、国並びに地方公共団体は、飽くまでも私学の助成ということだけに力をするのであつて、而もその私学の助成と言いましても、今回のように雀の涙程にも足りないような、情ない補助では非常に困るのですが、今後大いに沢山出るということを期待しているのでありますが、ただ私学を助成してやればよいのだ、その外のことには一切関與せん、財政的援助に名を藉りて、官僚が私学を支、配するという結果を来たさないようにしなければならんということが、私の強く感じておる点なのであります。財政援助の代償が監督権であるという考え方をなしたならば、私学の自主独立というものは実に危險に陷るのであります。而も初めに述べましたように、私学が非常に弱体化して、一本の藁でも掴みたいというときでありますればこそ、尚更この点が心配になるのであります。この点強く当局に注意を喚起して置きたいと思うのであります。本来私学は止むなく国家の財政的補助を仰がなければならないのであつて、そういう現状に打込まれたために、止むなくそういう要望が出ておるのであつて、本来は自主独立の精神を沒却すべきものでないことは明らかなことでありまして、そういう特別な状況下に置かれておるのでありまするから、その点を誤ると、今後この法案が悪用されるという虞れが非常にあるので、篤志家の寄附金や、授業料の收入というものが、もうすでに限界点にまで達している今日だからこそ、こういう補助、助成というようなことも必要になつて来るので、その姿をそのまま助成によつて伸ばして行くのだというような考えは、私学においても、私学当事者においても、監督庁においても、両者こういう気持は、なされなければならない。根本的には早く補助金や貸付金、国有財産の有利な拂下げとか、或いは收益事業とか、免税とかというような、こういう本法によつて開かれた門というものが一切不必要になる。こういう門がまあ閉鎖されて、将来民主的国家の上から私学本来の独自の面目が一日も早く発揮されるように、私は深くその点を念願しつつ、本案に賛成をいたすものであります。
  62. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 私からも二、三條件を附して賛意を表したいと思います。  先程来各委員から述べられましたので、詳しいことは重複いたしますので、省略いたします。私立学校の本来の姿は、それぞれの自主性を持ち、それぞれの特徴を持つておるところにあるのでありますから、この私立学校法案で一番憂慮されますことは、何かこうした助成とか交付金とかいうような事柄と絡み合せて、それに対する官僚の干渉とでも申しますか、或いは自主性を損ずるような事柄になりはしないかということが、一番怖れる問題なんであります。それで先程来言われておりますことですから、その点をよく行政の面に当られる方は考慮されて、この法案を生かして使つて頂きたいと思うのであります。要するに私立学校を殺すことのないように、本来の姿をより発揮さして行くことが最も必要だと思う。殊にこの法案を作ります動機におきまして、先程来やはりお話のありましたように、何らかこの助成なり補助なりを與えなければ成立つて行かないと言われる私立学校が相当多数あるので、それを公然と助成し、補助して行く道をこの法案において開こうとしている点、非常に賛成なんでありますが、併しながらこうした形の法案でなくてもできたのではないかと思いますけれども、併しもうそうした修正をやる時間を持ちませんので、その意味からこの法案は賛意を表するのでありますが、そういうことを考慮に入れるときに、先程申上げましたように、そういう補助とか、助成とかの連関において、自主性を損うことのないようにして頂きたいということが一つ、それからその次に私立の大学は、大学の管理法とでも申しますか、或いは行政法とでも申しますか、そうしたものが出来ましたときには、ここでもう一度考え直さねばならないのじやないか。殊に私立学校と申しましても、この高等学校以下の学校と、私立大学とは全然考え方を変えて見なければならん点があるのじやないか。そういう点が、将来この点を大学管理法の出来ますときに考慮する必要がある。  それから第三点といたしまして、特に強調いたしたいことは、折角こうして助成の交付金なり、貸付金なり、或いは補助金なりの途を開いたのでありますから、できるだけ沢山の予算を獲得いたしまして、本当にそれの実が挙がるように、たた名目的に、申訳的な形で過すことのないように、この法案の狙うところを本当に生かしてやつて頂きたい。そういう條件を付けまして賛意を表したいと思います。
  63. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 緑風会もこの法案賛成いたします。  私学が我が国の文化の振展に多大な貢献をして来たことは、これはよく見受けられることでありまするが、これは私学の創立者とか、その経営に当られた方の、多大な艱難を克服して来られた努力によるのでありまするが、その自主性に待つことが非常に多いと思うのであります。併し私学と雖も、我が国教育の一面を担当する以上、当然公共性というものが認められなければならない関係上、この法案の生まれて来ることは必然の途であろうと思うのであります。又そのために行政庁とのタツチのできるのはこれは当然であり、その点から法案が出来て、從前文部当局が非常に熱意を以て私学の助成を考えておられたに拘わらず、憲法第八十九條によつていろいろの支障があつた。それを打開することができるようになつたことは、私学の助成、興隆の上に非常に喜ばしいことであろうと思うのであります。この点を特にお考えになつて、文部当局が我が国の教育に対して非常な貢献をし、又将来非常に大きな寄與をされる、私学に十分な力を伸べられんことを切に希望して、本案に賛成するのでありまするが、又一面私学の自主性を失うような監督権の濫用というようなことのないよう、努めてこの運用に留意せられんことを希望いたしまして、本案に賛意を表する次第であります。
  64. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に御発言はございませんか。御意見は盡きたようであります。討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。私立学校法案を議題といたします。本案を可決することに賛成の方の起立を乞います。    〔起立者多数〕
  66. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 多数と認めます。それでは本案は多数を以て可決することに決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告内容その他を、例によりまして処置いたしますことに、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) さよう取計らうことにいたします。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可決することに賛成された方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     松野 喜内  左藤 義詮     三島 通陽  木内キヤウ     大隈 信幸  鈴木 憲一     藤田 芳雄  河崎 ナツ     岩本 月洲  梅原 眞隆     堀越 儀郎  河野 正夫     山本 勇造  西田 天香     小野 光洋  若木 勝藏
  68. 高瀬荘太郎

    ○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今提案いたしました私立学校法案が可決せられましたことは、文部省の意図しております私立学校発展のために、甚だ喜ばしいことと存じております。つきましては、本委員会におきまして、私立学校行政一般の問題、又本法案運用に関する問題、又将来における必要なる本法案に対する修正の問題、特に私立大学に対する特殊の措置を考慮するという問題、それらについての御意見及び要望がありました。これらにつきましては文部省として今後十分愼重に考慮いたしまして、誤りなきよう善処いたしたいと考えております。
  69. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            松野 喜内君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河崎 ナツ君            河野 正夫君            左藤 義詮君            小野 光洋君            大隈 信幸君            梅原 眞隆君            岩本 月洲君            西田 天香君            堀越 儀郎君            三島 通陽君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   国務大臣    文 部 大 臣 高瀬荘太郎君   政府委員    文部事務官    (管理局長)  久保田藤麿君   説明員    文部事務官    (監理局庶務課    長)      福田  繁君