○若木勝藏君 私は北海道地区の視察の
状況を
報告いたします。私達三人、即ち岩間
委員、河野
委員、私、この三人は六月の二十四日から七月九日まで、十六日間に亘
つて北海道地区を視察したのであります。その大要を私から申述べたいと思うのでありますが、不備な点は河野君から
補足御
説明を願いたいと思います。大体日程に従いまして、初めに当
つて概要を述べ、それから主要な問題二、三を簡潔に述べまして、私の御
報告を終りたいと思います。
それでは大体北海道の特殊性に従いまして、その外貌を申上げて見たいと思います。北海道は御
承知の通り誠に広い土地でありまして、広袤正に八万九千平方キロメートル、東北六県、新潟を併せただけの広さがあるのであります。そのために、私達は十六日間の長きに亘
つて視察をしたのでありますけれども、その全
地域に亘
つては到底視察し得なかつたのであります。道南、東北海道、そういうふうな域に止ま
つてしまつた次第であります。この問の如何に広いかというようなことにつきましては、誠にその消息を直截に現わしておるものは、二月の東北
地方の視察に関連いたしまして、岩間
委員の所感といたしましては、いわゆる北海道の特殊事情は、東北
地方が顯微鏡的に拡大されておるという、そういう観察であります。又河野
委員の、いわゆる北海道の中に北海道がある、こういう感想であろうかと思うのであります。最初帶廣市の視察を終えて十勝支庁に入りました。殆んど道なき道をトラツクで、奧地、下音更村の單級
学校を視察したのであります。ここでは生従達にいろいろな希望を聞いて見たところが、一様に長靴が欲しい、或いは雨具が欲しい、こういうことであつたのであります。又校長さんのお話を聞くというと、普通では
教員を得ることができないので、止むを得ず養女を迎えて、これを
補助教員にしておる、こういうふうな
実情であつたのであります。我々はここで非常に悲しくも、又珍らしいところの事実を見たのでありますが、それは單級
中学校というようなものであるのでありまして、異様な感じを持
つて見ました。こういうふうな單級複式
小学校或いは單級複式
中学校というような数は、どれだけ北海道にあるかというようなことを考えて見ますと、丁度單級複式
小学校は、全道
学校数の六七%を占めております。それから小、
中学校を併せましても全道の五六%を占めておる。そうして
日本全国に比較しますと、北海道はどういう割合に
なつておるかというと、全国の約八五%が北海道で占めておる、こういうふうな恰好に
なつておる。尚、小、
中学校併せても全国の六五%を占めておる、こういう
実情であります。我々はそこを終えまして根室に着いたのでありますが、これが七月の一日でありました。併し駅に着くというと寒くてどうにもなりません。いきなり駅の中に焚いてあるところのストーブにかじりついた、これが七月の一日の
状態であります。更に
学校視察に行きましても、全部我々にストーブを焚いて迎えて呉れたという
実情に
なつております。こういう根室や釧路の原野におきましては、この單級
小学校の事情というものは、一層いわゆる北海道の中にも北海道があるように拡大されて来るわけであります。ここに来て見ますというと、定員定額制或いは
建築予算という、こういうふうな
方面が如何に画一的であ
つて、事情に即さないかということが、我々は看取することができたのであります。その詳細については、後程述べることにいたしたいと思うのであります。
根室を終えまして、更に我々は根釧原野の……根釧原野というのは、根室、釧路の原野であります。その中心であるところの中標津という村に入りますと、そこから又トラツクで奧地に入りました。そこは開陽、保落或いは當幌、こういうような開拓地があるのでありまして、ここの
教育の
状況を視察しました。ここでは全く文化から置去られてしま
つて、気の毒な気持がいたしました。この辺の第一の
要望は、石油を與えろということであります。年に二斗くらい要るところの石油が僅か三升くらいしか渡
つておらん。それで我々の生先は全く鶏の生活であるというのが、あの辺の人の感想であつたのであります。一方又、この生徒達は、学習するところの
参考書が手に入らん、新聞は三日くらい遅れなければ来ない。全く文化から置去られておる。従いまして
青年は、この土地に土着するというふうなことが、なかなか気持が出て来ない。直ぐ他に転出してしまうという
状態であつたのであります。こういうふうな感想を我々は聞きました。
ここを終えまして上川支庁管内に入つたのでありますが、ここでは又二里、三里の山道を提灯を持
つて、犬を連れて峠を越して通学する、こういう兒童がある。更に冬に備えるために、夏素足のままで通学して、そうして靴を大事にしなければならんという、誠に涙ぐましい情景がここで見られる。ここは特に地形的に特殊な事情がありまして、丁度地脈が手の指のように混
つておるのであります。渓谷のために、その間の
連絡が取れない。従いまして、ここでは
学校の
設置というふうなことが、極めて部落的の小さな
学校け建てなければならんという
実情にあるのであります。こういうところにも、いわゆる
建築予算なり、定員定額というふうなものの不合理性が発見されるのであります。
以上大体そういうふうな特殊事情に従いまして、主要な問題の二、三を御
報告申上げて見たいと思うのであります。北海道は広いので沢山あるのでありますけれども、時間の
関係上省略いたしまして、極く主要な点だけに止めて見たいと思うのであります。
先ず第一、北海道の
教育行政事情、こういうことについて申上げて見たいと思うのでありますが、
教育委員会は、
教育者出身が三人と、それから農民が三人、議会から一人というふうな
委員が出まして構成されておるのであります。よく問題にされるところの
教育委員会と
教育長との
関係につきましては、これは北海道においては問題がなく、極めて順調に進んでおるようであります。ただです、この
教育行政全般から見まして、
教育委員会の
事務局と
市町村との
連絡が緊密を欠いておる。これは北海道ばかりでなしに、ここに制度の
欠陷があるのじやなかろうか、こういうことが考えられるのであります。つまり
地方事務局までは陣容なり、そういうものが整備されておりますけれども、それから先の
町村というふうなところに行きますと、僅かに一人くらいの
教育係がお
つて、それを繋いで行くという形になりますから、そこに非常に、つまり
地方委員会ができない場合においての、行政上の
連絡が緊密を欠いておる、こういう形になるのであります。
それからもう
一つは、都道府県の
委員会と、それから
市町村との
教育事務の中において
一つの繋がりが欠けておる点は、
市町村教育事務は二本建に
なつておるということになるのであ
つて、一方においては都道府県
委員会の
方面との系統があ
つて、それから在来持
つておつたところの
市町村長の
権限、そういうふうな
方面の二本建に置かれておる。そういうところから非常にこの事務は円滑に行かない
関係が考えられるのです。これはどの府県でも同じではないかということが考えられるのであります。この問題につきまして将来、今
地方委員会ができたとしましても、その
地方委員会と都道府県
委員会との間に、十分この條文に示されておるところの
連絡協議会という
方面から考えられなければ、将来においてやはりこの間に行政事務の緊密が欠かれてしまうのではなかろうか、この点についても、今後の
研究が大事ではないかということを考えておるものであります。
次には、定員定額制の問題でありますが、先程北海道のこの特殊事情でも申述べました通り、北海道は
地域が非常に広大な割に、人口の密度があらいのであります。交通も不便だし、冬季が長くて而も寒気が嚴しい。而も本日あたり猛吹雪に
なつておるというようなことが言われておるのであります。積雪が非常に多い。そういうふうな條件を持
つておると同時に、又拓殖の途上にあるのであります。従いまして新設されるところの
学校は極めて小さいものが多いということであります。以上の
関係で通学が非常に不便であるから、勢い單級複式
学校が多く、全道
学校数の六七%を占めるという工合になるのです。それらの
学校につきましては、学級の整理統合ということは、先程も上川支庁管内で申述べた通りできないのであります。不可能なのです、
地域的に従
つて一学級の
生徒数は極めて少数である。一例を挙げて見ますというと、根室、釧路管内では二十人以下で一学級を編制するところがこれが十二もあるのであります。釧路管内だけでも相当な数に上
つておるのであります。これを釧路管内の例で申上げて見ますと、
小学校で五十人未満の学級が三百八十三ある。それから五十人を超えておるところのものが七十四ある。合計四百五十七ある。これをいわゆる
文部省の理論学級というふうなものに直しますというと、四百五十七が三百八十八、正に六十九減少するということになる。これは
小学校、それから
中学校では五十人未満の
学級数というものは、百七十八学級ある。五十人以上のものは二十四、合計二百二に
なつております。これを理論学級の割に直しますというと、三十九減
つてしまう。ここに非常にこの定員定額制の不合理が考えられるのであります。そこでこれを北海道全体の問題といたしまして、統計的に挙げて見ますというと、大体こんなことです。
小学校では十人以下の
学級数が七つあるのです。それから十一人から二十人の学級が四十三学級ある。二十一人から三十人までが三百六十五、三十一人から四十人までが千五百八十一、四十一人から五十人までが三千五百六十一、五十人以上は七千百十二というような数字になるのであります。その比率は二十一人以下が七・四二%になる。それから三十一人以上のものは一二・四六%になる。四十一人以上は二八・〇六%、五十人以上は五六・二八%
中学校では三十人未満のものは一一・二三%になる。それから三十一人から四十人までのものは二一・八%、四十一人から五十人までのものが四〇・三%、五十人以上は三〇%、ですから五十人に満たないものは、七〇%を
中学校においては占めておる。こういうふうな
実情に
なつておるのであります。そこでいわゆる五十人を一学級とするところの理論学級というものは、極めて北海道の実体に合
つておらない。こういうことが証明されるのであります。そこで
昭和二十四年度の四月現在で調べたのでありますが、定員の方においては国庫負担法の基準即ち
小学校一・三五に対しまして、北海道は一・一一になる。それを実態に合せて行きますと、実態に合せるというのは、單級
小学校当りに校長さんの外に一名置くということ、そういうことを進めて行きますと、正に一・〇五になる。
中学校は一・七に対しまして一・五二になろ。実態に合せまして一・三六というふうに低下して来るのであります。こういうことが、一方
地方において小さな学級を以て
一つの
学校を構成しなければならない半面におきまして、都市では
教員配置が非常にその
影響を受けて、一学級七十人以上になるというふうな、正に
教育が停止される方向に進められておると、こういう
状態にあるのであります。
次に、六三
建築の
状況について御
報告申上げたいと思いますが、
新制中学校の
建築費が当初
予算に計上されなかつたということに対する北海道の
関心というものは極めて深刻なものがありまして、これは気候の
関係から内地と違いまして、青空教室とか、粗雑な仮教室だけで以て学習ができないということなのです。あらゆる懇談会では、この問題についての質問、陳情が行われました。河野君もここにお出でですから、事情をよく御
承知のことであろうと思うのです。殊にいわゆる
町村長、理事者の
方面では、深刻な悩みを持つた話が出ておるのであります。現在北海道で
建築するに必要なところの量は二部授業、仮授業に改修を要するだけで二千二十六教室になるのであります。ところがこれがために誠に悲惨な学習が行われておるのでありますが、先程述べたように提燈を持
つて、犬を連れて四里の遠きを通学する、こういうふうなことや、或いは當幌というところの開拓地の
学校を視察したときでありますが、丁度視察した日の午後に中
学生の二部教授が行われておつたのであります。それらの子供はあの山坂、人のいないところを六時頃でなければ家に帰れない。こういうような
実情にあるのであります。誠にこれは我々もその
実情を見まして、無量の感に打たれたのであります。北海道は先程述べた
地域が広いとか、通学距離が大きいとかいうようなこと、或いは入植者の開拓の途上にある、或いは引揚者が多い、こういう特殊事情の外に寒冷、積雪のために、実際校舎を建てる上において非常に内地と違つた事情がある。つまり
文部省で定めておるところの一人について〇・七坪というふうな基準が北海道には当てはまらない。これは内地だけの話であります。というのは、北海道の
学校の
建築においては、廊下の中を広くしなければならない。これは積雪とか、寒冷、雨具の置場というようなものを考えるので、それから渡り廊下は本
建築に直さなければならない。内地は屋根も横もありません。全部北海道はそういう
建築にしなければならん。その外に燃料を入れるところの小屋を特に建てなければならない。こういうような條件から、北海道は内地に比べまして二〇%を一人の基準に多く見なければならない。即ち〇・八四坪と見なければならないような
実情になるのであります。そういうところから見まして、従来のこの
国庫補助の配分は極めて北海道にと
つては不適切である、こういうふうなことが考えられるのであります。そういうことから非常に
建築状況が今北海道は遅れておることになるのでありますが、そのためにどういう事実が行われておるか。旭川市の
学校を視察したときに、一学級に百四十二人收容されておるのであります。それが一学級であります。全く
教育というふうなものを超えておる。今度はそれと対蹠的なものは、函館市におきましては、これは
学校の学級の五六%というものは小
中学校を併せて二部教授をや
つておるというふうな
実情にあるのであります。そういうことがまあ事実として発生しておるのであります。
次に、この行政のセクシヨナリヅムから、如何に
教育が阻害されておるかというようなことが考えられるのであります。これは先程申上げた通り開拓地に行
つて見ますと、
一つの
状況を見ることができる。これは開拓行政の
方面から見ますと、そこの入植者が五十戸なり或いは百戸に満たなければ、
学校を建てたり、道路を造つたりしないという方針で進んでおる。ところが入植者は先ず入
つて見まして、
学校が建たなければ子供の
教育ができないと、こういうふうなことを先ず深刻に考える。これは親として私は当然だと思うのでありますが、そういうことのために、
学校が建たないならということで、そこから転出してしまう。そういう
実情が考えられる。そこでこの問題はやはり農林行政とか、拓植行政とか、或いは
教育行政、そういうふうな面、お互いがここに関連を持
つて進めなければ解決が付かない問題であろうと思うのであります。そういうところに非常にこの行政のセクト化ということが考えられて来たのであります。次に、もう
一つの例は、旭川の引揚者の
学校である春光という
小学校を訪れたのでありますが、このときには、これは旭川市でも
つて元の第七師団の兵舎を借りて、この引揚者の兒童を收容する
学校に当てているのであります。ところがここでは管財の方がやかましくて、
学校長が
教育の上からちよつと物を除けたり、或いは柱のようなものを抜いたりするというと、お叱りを受けなければならない。これは私は実際……、私が行つたときに、ここだと言
つて場所を示しておりましたのは、何か兵舎当時の物干場の柱のようなもので、これをいじつたために、いたく叱られたという形に
なつておるのであります。そういうようなことのために
教育が阻害されておる。もう少し
日本の行政府というものは、お互いにそういう点を
連絡を取
つて進めて行かなければならんのじやないか。こういうふうな感じを持
つて参つたのであります。
次は、
社会教育について。我々は
社会教育法が制定されたので、それが一体如何なる
影響があるか、どういう
実情にあるかということに対して、特に目を向けて視察をしたのであります。これはこの北海道におきましては、道の
教育委員会事務局では、相当
社会教育というものに対して従来から力を入れて来たのでありまして、いろいろなパンフレットなどが出まして、貴重な
資料などを整えておられます。この点については非常に私は敬服したのでありますが、併し従来の
社会教育というふうなものは、如何に
社会教育を指導するかという立場を採
つておつたのであります。それがいわゆる
社会教育法ができまして、指導というよりも、一般国民が自分らのこの生活に即したところの文化的
教育を高めようとする環境を釀成するところに根本があるのだというように
なつたものでありますから、その間に、具体的にどのようにして行くのが
社会教育法の精神に適うかということに対して、相当の悩みを持
つておつたようであります。殊にこの
公民館の
運営であるとか、
社会教育団体の
関係方面では、如何にしたならば従来の指導体系というふうなものが、この精神に適うかということについての技術的な
方面などについても相当
研究しておつたようであります。一方それでは
公民館経営という
方面の実際がどう
なつておるかということを見るために、帶広市において我々は
公民館を視察したのであります。これはこの間も表彰されたようでありますが、相当この間から一生懸命に
なつて、この
公民館を中心にして、
社会教育が熱心に行われておるわけでありまして、行
つて見ましても整備されておる点がありました。ここで懇談会を開いたのでありますが、その席上先ずそれらの社会
教育委員なり或いは
公民館の当事者の言うことは、我々は従来から自由な気持で以て
社会教育の
方面をや
つて来たけれども、今度は
社会教育法ができまして、何だか
一つの枠に入れられて、統一規制されたような気持がして、甚だどうもそういう点がぎごちないと思うところがあると、むしろ不満の意を表する点が多かつたのであります。これは御
承知の通り、
社会教育法が上程された場合に、我々は最も
関心を寄せて、遂にこれに相当な修正をしたのでありますけれども、その結果相当進歩的なものには
なつたけれども、まだまだそういう点において十全でないというふうなことについての事実は、皆さんも御
承知の通りであります。この点については将来も相当
研究を要するところでなかろうか、こういうふうに考えるのであります。
大体主要な点をその辺に止めまして、あと結論として申上げて終りたいと思うのでございますが、以上この北海道におけるところの定員定額の
実情とか、或いは六三制とか、そういうふうな
方面から見まして、如何にこの
教育行政が、
予算の
不足をめぐ
つて、いろいろ
教育の阻害されておるところの点があるというようなことが考えられるのであります。これが北海道におきましては、單に定員定額とか、六三
建築費に止まらないのであります。引揚者の兒童は相当の数に上
つておるのでありますが、これに対する文部
予算というふうなものは、東北、北海道を併せて確か当初
予算は、
文部省の要求は七千万円であつたと思うのであります。それが四分の一の一千七百万円に減らされておる。ところが北海道においては、引揚者の子供のために今年度大体八十三学級を要するのであります。殊に札幌の近郊の月寒
小学校というところがありますが、そこなどは在来そこに居住しておつたところの子供の数よりも、遥かに引揚げて来たところの子供の数が多いのであります。そのためにもうあらゆる、裁縫室とか、特別教室を潰して、そうして漸くこの
教育を繋いでおるという
実情にある。又函館市におきましては、正に二十学級の
一つの
学校を建てなければならん。そういう
実情に迫られておるに拘わらず、
予算がそういうふうなことに
なつておるのであります。その他この旅費が
不足のために、この頃は特に北海道でも、
文部省あたりではいろいろな
講習会、
研究会を開いておるのでありますが、そういう
方面に出席することができない。無理に出席しようとすれば、自費を以てするか、或いは
PTAに過重な負担をかけなければ出られない、こういうふうな
実情があるのであります。そこでこの
予算の
不足ということは、何が原因に
なつて現われておるか、この点について私は
一つ視察の面から考えて見たい。これは定員定額にせよ、六三
建築の事情にせよ、先程申述べた通りの北海道の
実情に合わない点がある。これは北海道ばかりでなしに、全国的な問題だろうと思うのでありますが、要するに
教育予算の立て方が極めて実態に即さない。又非科学的である。特に私は定員定額のあの政令の定め方などについては、相当これは科学的に根拠のない、極めて当時の財政の事情によ
つて左右されたような
建前で立てられておると思うのであります。そういうことが大きな原因をしておる。もつと
教育予算を立てる場合には、少しこの実態なり、科学的な立場に立
つて行つたならば、相当これは
関係方面をも納得させて、
教育予算を増して行くことができるのではなかろうか。こういうことが考えられるのであります。そういうことについて、この視察から今後
文部省においても十分
研究せられて、
教育予算の獲得ということを考えて欲しい。
大体以上を以ちまして私の
報告を終りたいと思うのでありますが、尚、河野君において
補足されんことを希望いたします。