○羽生三七君 時間もどうかと思いますので、要点だけお尋ねしたいと思いますが、先程の
板野君の御
質問に対する
農林大臣の
答弁を伺
つて感ずることは、確かに
仮定で
日本農業の将来を論ずることは非常に危險ではありますが、
はつきり分
つておることが二つあるのであります。
一つは、先程
板野君の指摘されましたように、私が先日この
委員会で申上げたように、
アメリカ、濠洲、アルゼンチン、カナダ等の四大
農業国においてすでに戰前を上廻ること四割の
生産増にな
つておる。或いは南方タイ、ビルマ等の諸地域におきましても、戰禍の後の回復が意外に早くて、本年度において約二百四十万トンの輸出可能量を示しておる。こういうことから、
日本へ幾らでも
外国食糧、
食糧が入
つて来るであろうという想定が付くのでありますが、併し
価格の点から言うと、必
ずしも安いか高いかは、これは疑問でありますし、又或いは仮に入
つて来るにいたしましても、これは只貰うわけではない。いずれは
自由貿易になれば買うのでありますから、
日本の財政上から
言つてやはり自給することの方が望ましい、その方が自立が早いという理論が成り立つので、ここで
仮定した
議論は、私は余り申上げないわけであります。そこで分ることは、
日本が敗戰国で、
農民が非常に低い生活をしておるから、豊かな国々等の
農業生産物と不均衡があるわけでありますが、仮にこれが
アメリカを見ましても、非常な最高度の発展した
農業の科学技術を持
つておる。逆に南方の方は、非常な粗笨
農業で、最も遅れた
農業であるが故に、安い低コストの
農業の
生産物を送り出すことができる。その間に入
つて日本農業は実際サンドウイッチみたいになるわけでありますけれども、そういう情勢を
考えて必要なことは、
農業恐慌が来るか来んかは、それは存じませんが、とにかく取敢えず
日本の自立を達成する意味からも、
日本農業の近代化を図らなければならん。そこで、この前の
農業改良局のできたときの費用を申上げますと、実に当初
予算で先年の奴は五億数千万円でありましたが、私はあのときに五十何億でも足りないということを申したと思うのでございますが、而も五億何千万円は殆んど人件費でありまして、実際
農業技術の改善或いは
農業近代化の具体的な
施策は見られない。そうでありますから、私共は
外国との
農業関係と、百
日本がどうなるか、或いは
日本自体の自給
生産から見てどうなるか、それは知りませんが、取敢えず
日本農業を積極的に近代化して、科学化して行かなければ、今までのような最低の生活をしておるならば、それは均衡がとれるでありましようが、多少
日本の
農民が
世界的のレベルの生活をしようと思うならば、それは非常に困難な状況になる、こういう見地から、どうしても
農業の近代化をやらなければならん。併しそれが又同時に
日本の自立を速かに達成する意味でもあると思うのであります。そういう意味で
農業改良費が單に人件費だけでなしに、積極的に民間の
農業の技術の改善なり、或いは、それは官庁でも構いませんが、そういう
施策の上に登用される部分がもつと積極的に殖えなければならない、尚、又経済復興
計画委員会事務局、或いは経済安定本部で、
食糧生産の
計画案、いわゆる五ケ年
計画みたいなものでありますが、案を発表されておりますが、これを見ますると、数年後には相当な増産ができる可能性を持
つておるわけであります。併しそれについてはやはり
一つの條件があ
つて、例えば反当收量を上げる
ために、肥料の問題、或いは病虫害の予防の問題、
農業水利の問題、土地改良の問題、そういう裏付けによ
つて数年後に
日本が高度の自給国家になろうという
計画を立てておるわけでありますけれども農林省が果してそういう、これはまあ経済安定本部の
計画のようでありますが、農林省自体の、そういう
日本農業の
一つの数年後の
見通しを持つような
計画を裏付けるような、何らかの具体的な
施策をお持ちにな
つておるかどうか、これを承わりたいのであります。
一つは、今申上げましたように、
農業改良費を單なる人件費でなしに、具体的の
農村の中の科学技術の指導或いは
経営の合理化に役立つような費用に投下されるお
考えがあるかどうか。今
一つは、安本と同様な
農業生産計画案を農林省自体がお持ちかどうか。お持ちにな
つておるならば、それには当然裏付けになるべき
予算が相当必要になるのでありますが、これを農林省としては、積極的に安本と共に推進される御意思があるかどうか、この二つであります。
最後に、これは非常に抽象的なことでありますけれども、私まあ、先程来
板野君も言われたと同じような意味の、
日本の
農業の将来についてもいろいろな疑問を持
つているわけでありますけれども、この場合、何も官僚的な機構を要求するわけではありませんが、どうしても私はやはり
日本農業の将来を徹底的に研究、討議し、長期のプランを立てるような、何か
農業計画立案、恒久的な
計画の立案をされるような機関を、審議会的なものでありますが、何も役人をずつと並べる必要はありません。民間の有識者或いは事実
農業に経験のある、或いは
農業総合研究所等の
資料等に基いて、長期の
農業計画を立てるような
一つの機関を設置されるような御意思はないかどうか。この三点を承わりたいと思います。