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1949-11-22 第6回国会 参議院 農林委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十二日(火曜 日)    午後二時一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員濱田寅藏君辞任につき、その 補欠として小川久義君を議長において 指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○家畜伝染病予防法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○食糧需給に関する件   —————————————
  2. 石川準吉

    ○理事(石川準吉君) それではこれから委員会を開きます。  本日はこの前に御審議を願いました家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして御審議を願います。    〔理事石川準吉君退席、委員長着席
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 我が国農業維持発達を図るためには、家畜の導入が先決問題であると考えるのであります。然るに家畜価格は昂騰いたしまして、家畜を導入することが非常に困難な状態になつておるのであります。若し不幸にして伝染病によつて家畜を失うようなことがあつたならば、家畜を再入手することは非常に困難であるのであります。こういうふうな状態であるのでありますから、今回家畜伝染病予防法の一部を改正されて、手当金を増額せられたということは喜びに堪えないのであります。ただ、増額せられたところの金額が、私などが考えておつたよりも少額であるということは遺憾に堪えないのであります。その増額せられたところの手当金と、家畜共済金との関係について検討いたしましたならば、手当金が増額せられた割合に農家手取金が少いということは、これは伝染病予防法家畜共済との関係に、何らか計算方法を改める余地があると認めるのであります。私は従来の三万円であつたのを九万円まで上げたのでありますから、これに正比例して、農家手取が多くなるように政府の方で考慮せられたいと思うのでありますが、この点について政府意見を承りたいと思うのであります。
  4. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それじや一応計算上の問題もありますから、説明員説明させますから御了承下さい。じや保險課長の方から……。
  5. 庄野五一朗

    説明員(庄野五一朗君) ちよつと御指名によりましてお答えいたします。今藤野委員から御質問がありましたように、従来の保險の方で共済金支拂います場合は、従来は殺手当の分を残存価格計算の中にそのまま入れまして控除して、それに共済金支拂割合を掛けて共済金支拂うということになりまして、殺手当の分だけ農家共済金支拂う場合に少く貰うというような関係がありまして、今御質問のようなことがあつたようなわけでありますが、それに方法を改めることにしようと思つております。それは只今のところでは、農業災害補償法施行規則の第三十一條によりまして、法令の規定によつて交付を受ける手当金補償金等の全部又は一部を差引いた残額を、残存価格とすることができるということになつておりまして、従来までは全部を差引いておつたわけでありますが、今後は一部を差引いて農家にこの殺手当が増額された利益を均霑させたい、こう考えておるわけであります。それで、例えばここに牛馬の、価格九万円の牛馬が殺処分を受けたといたしますと、手当金は九万円の三分の一の三万円ということになるわけであります。これでこの九万円の牛馬保險最高範囲で入つてつたといたしますと、丁度最高範囲は十分の八、いわゆる八割まで、七万二千円まで保險が入ることができるわけでありまして、七万二千円の共済金額が支給されるわけでありますが、従来の方法で行きますと、九万円の価格から殺手当の三万円をそのまま引いて、それの十分の八という支拂割合を掛けて、四万八千円を共済金額として農家支拂関係になるわけでありますが、今後はその差引きます殺処分手当の三万円の一部を差引いて、農家共済金額支拂うということにいたしたいと思います。そうしてその限度は、保險といたしましては、機能といたしましては、農家牛馬によつて実際蒙つた損害を補填するということが目的でありまして、実損害以上に保險金支拂うということは保險の原則に反しますので、保險金共済金にプラス殺処分が九万円を越さないようにいたしたい、こういう関係で、従来四万八千円を拂つてつたのを今後はそういう場合には、共済金としては六万円を支拂つて手当三万円、合計九万円が農家の方に行くようにいたしたいと思います。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今説明によつて大体了承したのでありますが、今御説明通りに、直ちに実行ができるように、政府の方において適当の措置を講じて、その結果を本委員会に御報告をお願いしたいと思うのであります。  次に私は、牛馬が不時の災害のために、殺処分をせなくちやできないような場合が起つた際の、農家損害が非常に大であるのでありますから、これについてお伺いしたいのであります。それは病気でなくして、或る事情のために牛馬が負傷をし、殺処分をせなくちやできないというようなことになつた場合には、その肉も皮も相当価格に販売ができるのであります。然るに現在においては、こういうふうな場合の農家手取というものは、殆んど運賃にも及ばない価格取引をされておるのであります。それで皮及び肉が相当に売れるにも拘わらず、現在のようなやり方でやるということは、これは中間におる者に利益を壟断せられてしまうのでありますから、これが救済策を講ずるのは、政府が当然執らなくちやできないところの措置考えるのであります。こういうふうな場合の救済策について、政府が考があつたならばその意見を承りたいと思うのであります。  又現在の原皮値段皮革製品価格と比較したならば、非常に安いのであるが、この原皮価格は現在よりも値段を上げる方法政府考えておられるかどうか、又現在原皮値段は適当であると考えておられるかどうか、これをお伺いしたいのであります。  次に馬匹去勢法廃止の結果、去勢頭数が従来と変化があつたかどうか、若し減少しているというようなことであつたらば、その去勢頭数の減少したところの理由はどこにあるか。馬匹去勢法が実施されておつた場合には、去勢によつて死亡したところの馬匹に対しては政府損害を負担しておつたのであるが、去勢法廃止と同時にその損害政府が負担せないようになつたために、去勢頭数減つたのではないか、若しそういうふうなことであつたらば、馬匹改良上非常に障害を来たすと思うのであるが、去勢法廃止後において去勢したところの馬匹が死んだ場合において、これを救済するどころの策を政府考えておるかどうか、考えていなかつたならば速やかにその方策を研究して貰いたいと思うのであります。
  7. 山根東明

    政府委員山根東明君) 只今の御質問に私からお答えいたします。第一の、測らざる事故によつて家畜を屠殺しなければならなかつた場合の肉や皮の利用の問題でありますが、現状におきましては、お話のように多くの場合、肉商なり皮商なりにいわゆるたたかれまして、非常に畜生としては不利な取引をせざるを得ないような実情であると、私共認めておるのであります。これを改善することは、お話のように非常に必要なことだと実は考えておるわけでありまして、実は遺憾ながら、屠場の関係所管が私共の手許にないのでありまして、これは厚生省所管になつております関係上、厚生省にもこの問題につきましては、常に善処方を私共の方から要望しておつたところでありますが、厚生省といたしましては、実は遺憾ながら法制その他を以て強制的なそういう取引改善措置を講ずることはなかなかむずかしい、困難であるというようなことを言つております。そこで私共としましても、こうした現状畜主に対して非常に経済上不利でありまして、延いては畜産振興上も面白くないわけでありますので、これらの点につきましては、畜主の、何といいますか、その面における畜主の力を強くするような指導啓蒙という点で、私共のできるだけの力を注いで行きたい。具体的に申しますならば、協同組合等の共同の力で以て、そういう問題も或る程度改善できるのではないか、こういうようなふうな実は考え方をいたしておるのでありまして、現在のところこの取引を何らかの法的な強制措置で以て改善して行くことにつきましては、現在のところ具体的な考え方を持つていないような事情でございます。  第二に、原皮価格皮革製品に対して非常に割安であるというお話は、実は私共も認めておるのであります。実は私共がいろいろな物資統制いたしております中で、皮革関係統制は最も困難なものの一つであるというふうな感じがするのでありまして、いろいろ手を代え、品を代えまして手段を考え、この統制をやつてつておるのでありますが、なかなか実は統制がうまく行かない実情であります。そういう意味で皮革製品も御承知のように、すべてが統制によらないで闇に流れて、製品が市場に氾濫しておる。それらのものから較べますと、如何にも原皮価格は不当に安過ぎるという、こういう実情になりまして、これはこの際きつぱり統制を止めるか、或いは更にもつと進んだ、皮革製品につきましても、こうした現状でないように統制を強化するかということにつきまして、国内の関係各方面と、先頃来実はいろいろ相談をいたしておるのでありますが、なかなか結論を得るのがむずかしいような、それ程実は困難な統制であるのであります。そういうようなわけでありまして、現在闇の皮革製品と較べて原皮価格が安過ぎることは、私共も認めておるところでありますが、仮に統制が我々の所期する如く参りますならば、原皮価格皮革製品価格も、一つの釣合の下に定められておるわけであります。更にそれが他の物資に較べましても、私共としましては、定められた公定価格は、一応他の物資との均衡も取れておるというふうに実は考えておるわけでありまして、必らずしも他の物資に較べて現在安過ぎるが故に、これを直ちに改正するというような考え方はいたしていないのであります。  次に最後に、去勢法廃止後の去勢がどうなつておるかというお尋ねでありますが、実は廃止されましてから後の正確な統計は、私共の手許にないのでありますが、従来より若干減つておるようであります。そのために馬の改良上非常な支障があるのではないかという点につきましては、必ずしもそのために特別な支障を来してはいないと考えております。法律廃止になりましてから、去勢に関連しまして、そうしたいろいろな間違つた問題が起るであろうということは、私共としても懸念するところでありまして、この問題につきましては、開業獣医師を十分機会ある毎に教育いたしまして、弊害のないように計らつて行きたい、かような考えで今日進んでおるわけであります。お話のように去勢によつて斃死いたしましたものに対する手当は、お話通り、従来の法律では、この手当が規定されておつたのでありますが、法律廃止後今日では、これに対する手当は渡していないのであります。ただ保險共済金の支給は、これには当然に入れるわけでありまして、私共としましては、去勢による斃死手当を今後復活することにつきましては、現在のところ考えておらんのであります。   —————————————
  8. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと申し上げますが、農林大臣衆議院の本会議、或いは予算委員会等からの出席要求中を、こちらに出席頂いておりますが、あちら、こちらの委員会でお忙がしいようでありますから、三十分程この委員会でいろいろの質問にお答えして頂く予定にしておりますから、従つてこの畜産関係以外のことでございましても、この時間を有効に御利用頂けば、大変仕合せと思つております。
  9. 羽生三七

    ○羽生三七君 本法案に直接関係がありませんが、農林大臣の出席された機会に、一つお尋ねしたいと思います。それは、先般来食糧需給関係でしばしば明らかにされたことでありますが、明年度から約三百七十五万トンの小麦等輸入されることになるわけでありますけれども、これは今迄の過去の輸入量に比べて、百数十万トンを越す非常な大量なもので、私共日本人としては、戰争以後不足食糧外国食糧によつて助けられて来たことは、勿論これに対しては感謝しておりますが、又今後と雖も、不足食糧輸入されることを拒むべき理由は聊かもないわけであります。併しながら、最近の統計を見まするというと、アメリカ濠洲、アルゼンチン、カナダ等が、例えば昨年度において、小麦生産額戰前の十四、五億ブツシエルに対して、約二十億ブツシエル生産額を挙げ、約四割の生産増になつており、且つタイ国あたりにおきましては、本年度約百十数万トン、又ビルマにおいては約百二十万トンの輸出が可能になつておるという現状であります。それにより日本への米の割当が、本年度約十六万トンと予定されておりますけれども、これらが将来自由貿易になつて日本へどんどん入つて来るというような事態が起つた場合を想像いたします場合に、日本農業の将来について非常に大きな問題が起ると思うのであります。一説には、日本を徹底的な高度工業国家にして、外国から入つてくる食糧は、いくらでも歓迎していくという考え方もありまづけれども、大体輸入食糧が、日本貿易の中で最も大きな幅を占めておるということを考えます際に、出来得る限り自給をすべきである、しなければならん、そういうふうに考えられるわけであります。こういう際に、先般私が緊急質問の際に、農林大臣にお尋ねした農地制度改革の問題の将来についても関連するわけでありますけれども、私共は單に農地改革が、所有権の移動問題をめぐつて、それで解決されるとは考えておらないので、むしろ農業生産の増強の面に、積極的に政府国家資本をむしろ投下して、農地改良、或いは農業技術改善等に徹底的な施策を講じなかつたならば、現在ではもとより外国輸入食糧価格の方が高くありますけれども、恐らくこれが自由貿易の時代になり、食糧割当制廃止されて、更に自由な状態が来ました際に、日本農業に加えられる圧迫というものは、相当顯著なるものがあると考えるのであります。こういうことを考えますときに、どうも農林予算において見られる、そういう積極的なる施策というものは極めて乏しいように考えられるので、むしろ今日から将来のそれらの点を予見して、昭和二十五年度予算においては、徹底的に農業生産の推進に要する費目を増額すべきであるというように考えられるのであります。この問題について、大体日本自給態勢で行くのか、或いは、それとも高度工業国家にして、食糧輸入外国から、どつから入つて来ようとも自由であるという、そういう考え方で行くのかということについては、先呈来しばしば本会議場で論議されたところでありますが、どうもその辺はつきりしない点があると思うのでありますが、これに対しては農林大臣はどういうようにお考えになつておるか、もう一度更に詳細に御意見を承りたいと思います。
  10. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。この問題は、誠に日本農業が、日本の国の将来に重大な問題でありまして、現在のような、申しますれば、変則的な食糧自給状況によつて考えることはできないのであります。日本食糧自給度を高めるということは、それは勿論でありまするが、日本の現在の食糧米麦主体食糧となつておりまして、この米麦が今後どの程度増加されるかという問題であります。まだ耕地の拡張、今お話耕地改善或いは科学技術滲透等によりまして、或る程度の増産は予期できるのでありまするが、到底年々増加するところの人口を養つて行くことは、なかなか容易ならざるものと思うのであります。将来におきまして、日本食糧自給度を高めることは勿論でありまするけれども、この増加する人口に処しては、やはりできるだけの食糧輸入しなければならんと思うのであります。今日では関税政策も意の如く許されない場合でありまするが、将来におきましては、日本食糧不足分に対しましては、この過剩労力と申しますか、労力の潤沢なる我が国といたしましては、この労力によつて工業化いたしまして、そうして貿易によつて食糧を確保するということによつて日本食糧というものを解決しなければならんと思うのであります。こういう段階におきまして、現在の日本におきましては、まだまだ耕地改良土地改良技術滲透等余地が残されてあるのでありますから、この点に対して、現段階といたしましては、極力施策を以て臨むということでなければならんと思うのであります。この問題を解決するにつきましては、日本の国土が年々歳々災害に見舞われまして、折角作つた耕土を失い、生産力をすぼめておるような状態でありまするので、恒久的には、治山治水によりまして、この危険の率を少くし、又電源開発によりまして、農村の電化というものを考え、そうして一部には、農村工業を復活振興いたしまして、そうしてこの食糧生産力を強めて行きたい、かように考えるわけであります。予算の面におきましても、何分本年は思わざる天災が再々参りまして、補正予算等におきましても、土地改良等において、十分なる予期の予算を獲得することが不可能であつたのでありまするが、今後この土地改良等につきましては、何分今日農村担保力失つて金融面も非常に梗塞しておりまするので、特別会計によりまして、土地改良に対する相当の長期な、長い間の融資をいたしまして、そうして土地改良に資したい、かように考えておるわけであります。又技術滲透につきましても、全国の農事試験場農業研究所を動員いたしまして、そうして全国的に隠れておるところの農業技術を取入れまして、これの普及に努力いたしたい。又農業指導員につきましても、又できるだけこれを増設いたしまして、そうして農業者生産者との密接なる連絡を努めて行きたいと、かように考えておるわけであります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今農林大臣から今後の施策について一般的な御説明があつたのでありますが、私は今後の輸入食糧増加につきまして、至急政府として採らなければならん処置についてお伺いしたいと思います。本年度から見ますというと、約百万トンの増加が見込まれるわけでありますが、この百万トンの食糧輸入増加せられました場合におきましては、現在の供出制度並びに配給制度というものはどういうふうに変化して行くか。これは重要な問題だろうと思うのでありますが、更に日本人口に対するところの食糧供給量が殖えて来ましたことに対することから来ますところの配給量増加、その点につきましてお伺いしたいと思います。
  12. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 本年度特別会計で百七十億万円の予算を見ておりますことは、三百十一万トンが輸入を予想されておるのであります。併しこれは一つの計画でありまして、必ずしもこれが全部完全に来年の、アメリカ会計年度までに決議されておる予算範囲において輸入されるかということも、これは一つ予定でありまするが、大体世界の食糧事情から申しましても、三百十一万トンの食糧輸入されるのではないかと、かように考えているのであります。ところで食糧事情が非常によくなつて参りましたが、先般も司令部より、芋類主要食糧よりこれを外してもいいのではないかという覚書が発せられましたのでありますが、それと同じ覚書の末尾には、米麦食糧確保については一層強化しろというようなことも述べられておりますので、先方におきましては、輸入食糧米麦によつて主要食糧一定量配給し、尚余力あらば更にこれを増額してもいいのではないかというような考え方を持つておられるようであります。御承知日本人戰前における普通カロリーといたしましたのは、二千四百カロリーと聞いておるのであります。それが今日、我々の状態において千三百ぐらい、千四百……。ようやく最低限度カロリーが許されておるのでありまして、願わくば、戰前のごとく二千四百カロリーというものを、我々は攝取し得るの状況に置きたいのであります。それにつきましては、今日たとえ三百十一万トンの食糧輸入されまして、又日本生産力が平年度生産をいたしましても、これを二千四百カロリーに上げることは到底でき得まいと考えるのであります。併しでき得べくんば二合七勺というこの配給基準量を幾らかでも増加して行きたいとかように考えますと同時に、その配給しまする食糧の質を改善して行きたい。質の改善ということは栄養の立場から考えるのと、或いは嗜好の立場から考える両面がありますけれども、この十二月からは精白度も高めまして、又現在手持の製粉がある関係でありまするが、明年の四月から澱粉、小麦粉におきましても、その精白度を高めて白い粉を配給するということにいたしておるのであります。併し私は常に考えておりますことは、日本がこの量ということを考えて、質ということを余り疎かにして来た、長い間の食生活があるのではないかと思うのであります。で、むしろ私は量ということによつて胃腸を苦しめるよりも、質ということにおいて量を少くして行くということが、日本の将来の国民として、食糧事情から申しましても採るべき途ではないかと思います。幸いに水産国であり、又有畜の獎励によつて動物質蛋白質給源相当増加し、そうして日本が昔からの海国であるという漁業の振興等も図りまして、食糧の質を良くして行く。カロリーカロリーでありまするが、カロリーと外に蛋白給源を求める。日本食糧改善して行くということが、生活水準を高めて行く上においても必要であろうと思うのでありまして、今ただ單に三百十一万トンの外国食糧輸入されるということを予想して、直ちに二合七勺の配給を高めて行くということは考えられないのであります。又一面においてもこの甘藷馬鈴薯におきましても、戰争によつて我々国民食糧重大性を持たして来た関係、又農村経営の上から申しましても、この芋類食糧から切り離してしまうということも、考慮せなければならん問題と思うておりますし、又日本農業がただ米麦作ではとても経営が困難でありますので、この生産は非常に旺盛になつて参りました芋類を取入れて、以て農村工業の資材とし、原料とし、そうしてこれの加工によつて農村收支の上におきましても、又家畜を飼う上におきましても、この芋類重要性考えて行きまして、将来におきましても、この芋類の出生産というようなことについては、一層の獎励をして行かなければならん。かように考えておるわけでありまして、今直ちに配給基準量を、食糧事情が好くなつたからといつて高めるということを、ここで申上げることはでき得ないと思います。殊に天災地変等がありまして、本年も平年作以上と考えておりましたが、地方長官報告をそのまま信ずるならば一千一百万石の減産だと、こういうような大きな減産を持ち来すような天災国である以上は、食糧事情につきましても、一時緩和されたがために、将来を同じものとして、これによつて考えて行くということは、よほど危険なものがあるのでありまして、相当愼重に凶作ということも考えて、食糧事情を持つて行かなければならん。かように思うておるわけであります。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今お話によりますると、甘藷馬鈴薯芋類統制は大体撤廃されるようになつて、併しながらこの若干量は来年度買上を続けるということでありますが、今のお話から伺いますと、大体これは配給食糧には組さないというふうに私共には受取れたのでございますが、来年度政府買上を続けまする芋類については、これは工業用原料として使用するというふうに考えてよろしいのでありますか。
  14. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 工業原料としては、政府生産地加工設備との結び付き、そうして加工設備生産いたしました加工品、第二次と申しますか、第三次と申しますが、この加工とを結び付けるという施設をいたしまして、この芋というものの農村工業的な立場を有利に導いて行きたい、かように考えておるのでありまして、先程申しました芋は、日本主要食糧の一環として考えて行きたい。これは食糧特別会計予算を今編成中でありますので、果して実現し得られるかどうか、この予算編成と相俟つて考えなければならんのでありまするが、主要食糧の分として甘藷で約四億貫、馬鈴薯で一億五千万貫、これだけを予定いたしておるのであります。御承知通り日本の或る局部に行きますると、殆んど芋というものを主食としておる地方もあります。又家庭の事情におきまして、子供の沢山あるような家庭におきましては、芋というものは非常な都合の好い食糧でもありますので、これを或る程度食糧として、僅か九月、十月、十一月、十二月、一月と、この五ケ月の間でありまするが、或る一定量主要食糧として配給するということが、日本の食生活の実情に合うのではないかということを考えておるのでありますが、これは今特別会計予算編成中でありますので、若しその予算編成によりまして、或いは主要食糧とて芋類を取扱うことができ得ないかもしれませんが、政府といたしましては、是非とも今申しました僅かな量でありますので、主要食糧としてこれを確保して行きたいと、かように考えておるわけであります。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、現在のところでは、甘藷四億貫、馬鈴薯一億五千万貫程度は、主要食糧として確保して行きたいということでありますが、他の十数億貫に上る甘藷並びに馬鈴薯は、工業原料に充てられることになるわけですが、それに対しましてですね、それに相応するところの設備、或いはそれに相応しますところの生産が上り、そうしてそれがまあ販売されなければならんわけです。それらにつきましてですね、この十数億貫のですを消化できるだけの設備が直ちに拡張され、又それによつて生産される商品が消化される、そういうことについて政府ははつきりした見通しを持つておられるか、その点についてお伺いしたい。
  16. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 芋の生産が十二億貫或いは十三億貫と予想されておりますが、本年度は十七億貫くらいは生産されるだろうという予想がありましたが、実際はそう生産されておらなかつたようであります。これはまあいろいろ気候関係もあつたようでありますが、今日本におきまして相当権威ある調査によりまして、食糧を合せまして二十一億貫だけの甘藷は、これを完全に利用し得られる途があるということがはつきりいたしておるのであります。  で今日まで芋の加工が個人経営或いは組合経営、会社経営等によりまして、ばらばらに各地に散在いたしておるのであります。これが甚だ不統制でありますので、これらを生産地加工設備とを結び付けて、そうしてやりますならば、この芋類の消化は十二三億……、食糧に充てましたあとの十億貫程度のものは、決して私は今日の施設におきましても、まだ原料に対して不足というように考えられないのでありますし、又生産されました品物につきましても、今後統制を撤廃いたしまして行く上において、いろいろな面において加工いたしまして、アルコール、或いは菓子原料、或いはその他食糧の一端にもなりましようが、いろいろの面に加工される途があるのでありまして、決して私は今日の甘藷馬鈴薯生産を持続いたしましても、その消化利用に、設備の上において、又利用の上において、決して困るようなことはない、かように考えておるわけであります。
  17. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 この際お伺いをしたいと思いますが、農林大臣は非常にまあ辛い立場にあられて、米の価格の決定、或いは超過供出に対する歩合、あらゆる面に大努力をしなければならんことになつておりまして、非常な御苦心だと思います。  そこで私のお尋ねしたいのは、ドツジ氏が日本に参りまして、財政の大建直しをしようとしておられるように聞いております。これは御承知通りでありますが、いろいろと見てみますと、我が国農業経営、それに伴います主食の生産費は、ここ数年の間に実に目まぐるしく変つて参りまして、これでは日本農業は必ず大恐慌に追込まれ、窮地に陥れられることが、火を見るよりも明らかだと思つております。これはドツジ氏に日本農業の実体をよく認識して貰いませんと、何を見てもさつぱり顧られるものじやないのであります一政府はいろいろ努力をいたしておるとは存じまするが、この際ドツジ氏に日本農業というものを十分に認識して貰いますように、政府は一段と努力をして貰わなければいかんと考えております。我々議員もドツジ氏に会つて、その事情を十分に訴えなければならんと思つておりますが、私は農業が恐慌に追込まれ、大窮地に追込まれますと、農業ばかりじやないのでありまして、日本農業がかような事態になりますと、中小商工業も必ずそのあとを追つて来ると思います。ズレがありまするから、瞬間的にはまず一番に農業が窮地に追込まれましようが、そうなりますと中小商工業も追込まれます。大工業もそれに似て追込まれて来ると思うのであります。これは実に大事なことでありまして、ドツジ氏のやつておりますその計画如何によつて、興亡の岐路に立つて来ると思います。大臣も御努力なさつておりましようが、尚一層十分にドツジ氏に日本現状を認識して貰いますように努力願いたいと思いまするが、如何でありましようか。お伺いいたします。
  18. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 誠に御尤もな御議論でありまして、全国の六割を占めております農業者力弱しと雖も消費の非常な大きなかたまりでありますので、農業が栄えなければ、中小商業が栄えて来ない、こういう結論になりますので、農業が栄えて行くか行かんかということは、結論において我が国のすべての産業が栄えるか栄えないかということになるのであります。今日我が日本の再建が輸出貿易によつて行かなければならんということに、余りに力が行き過ぎまして、そうしてこの国民の生活の基礎を持つておるところの原始産業に対しての考え方が、やや疎かに見られるようであるのであります。何分商工業は派手な仕事でありまして、少しの動きでも目に立つのでありますが、農業は誠に地味な仕事でありまして、甚だ表に現われて来ないのでありますが、ドツジ氏の考え方も、日本の再建は貿易を主として行かなければならんという方針を持つておるようでありまするが、従つてその貿易を現実にやらすという基礎は、やはり農業というものががつちりとしておらなければならんということに結論されますので、お述べになりましたように、政府といたしましても、日本工業農業の基盤に立つておるということ、すべて昔から日本は農を以て国の基となすと言つたことくに、農業者が大多数を占めておる国柄といたしましては、ドツジ氏の政策に対しましても十分了解をせしむるよう、政府といたしましても今後とも努力をいたしたいと存じます。今日までも農業につきましては、認識を高めるための努力は継続して参つたわけでありますが、今後におきましても、一層御説のごとく農業重要性を認識さすように努力いたしたいと考えております。
  19. 板野勝次

    ○板野勝次君 先程岡田委員質問に答えて、食糧輸入の計画が、来年度は三百十一万トンですね、その三百十一万トン、これの中でガリオアで来る分と、それからコマーシヤル・アカウントで来る分との数量別、勘定別の見込は分りませんでしようか
  20. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 今材料を持つて来なかつたのでありますが、大体予想はついておるわけでありますが、数字を記憶いたしておりません。それでいずれ又後の機会にお答えいたします。
  21. 板野勝次

    ○板野勝次君 その勘定別と同時に、来年だけでなくて、何ケ年間かの、例えば三年とか四年とか将来の需給の見通しから来る輸入計画、そういうものをお持ちなら、この機会に伺いたいと思います。
  22. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 板野さんに申上げますが、今の問題は、実は今日食糧関係をやろうと思つてつたのですが……。
  23. 板野勝次

    ○板野勝次君 別にやるのですか。
  24. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 補正関係食糧庁の当局が来なかつたものですから、別の機会にやりたいと思つていますが、今おつしやつたようなこと、或いは附加えてですね。
  25. 板野勝次

    ○板野勝次君 それは今日でなくてもいいのです。
  26. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 附加えて御註文のあることをお述べ願つて置きますと、資料を專門員の方から照会をして取寄せて置きますから……。
  27. 板野勝次

    ○板野勝次君 昨日大蔵大臣が本会議で、この一般会計から食管の特別会計に百七十億繰入れる。併しこれはこの赤字があるからじやなくて、食管のですを腐らしたり、いろいろなことで九十億ぐらい赤字が出ているから、この赤字は全部消費者にぶちかけて、もう赤字はなくなつて、その損失というものはないのである……。こう言つているわけですが、その点の見解は農林大臣と同一であるかどうか、それから消費者にぶちかけたものならば、どういうふうな操作によつて赤字がもう解消されたかどうか、その具体的なことを伺つて置きたいと思います。
  28. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 大蔵大臣が昨日の参議院の本会議で答弁いたしましたので、大体私は沈黙しておつたのでありますが、百二十億円の赤字でありますが、あれは百七十という数は、あれは今年の米を買入れるためでありまして、百二十億円の赤字と申しますのは、丁度百二億というものが食糧公団へものを売りまして、食糧公団から特別会計に戻さなければならん金なんです。ところが会計年度末に残つておりましたのが、約六十億円残つてつたのであります。それから去年は米の超過供出が非常によろしかつたので、これが二十億円程予算よりは余計超過供出の獎励金を拂つたわけです。それから芋の切干が一一五%の予定をいたしておりましたのが、確か一四三%とか何とか、一四三%だと思いますが、これも、過供出があつたのであります。これが約四十億、米の超過供出の獎励金の予算超過が二十億、これで六十億、これが百二十億が赤字がある、こういうことになつてつたのであります。これはこの間の百七十億の金とは全然性質が違うのでありまして、この食糧公団から取戻すのが六十億ありましたが、それは漸次年度が変ると共に償還されて来る、戻つて来る。これは会計のズレでありますから、これはこつちに戻つて来るのであります。それから二十億と切千四十億とこの六十億は、食糧配給の上において、これが消費者から取りまする金でカバーいたしまして、幾分補うわけでありますが、これは現在品物をがつちり持つているのであります。この芋の切干にしましても……。ですから薪炭特別会計のようなものがなくて、つまり赤字になつたというようなものではなくて、その品物は現に持つているわけでありまして、超過供出の獎励金二十億というものは、一般の米の価格に加算いたしまして、これは帰つて来る。こういうことになつているので、大蔵大臣といたしましては、この赤字はないのだ、こういうお答えをしたわけであります。こう思つております
  29. 板野勝次

    ○板野勝次君 そうするとこれは、大蔵大臣が言つている方が違つているというわけですか。大蔵大臣が余り知らんのに出過ぎて喋つたということに解すればよいわけですか。
  30. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 大体同じことであります。大体六十億というものは今の会計年度が変りますと、これはプラスになつてずれて持つて来るのであります。それから二十億というやつは一般の米の消費者価格の方に来る。それから後の四十億というものが、逆に赤字として残つておるのでありますが、これは一般会計がこれを先の年度においてこれを償還して行く、こういうことになつておるわけです。大蔵大臣の言うのと同一です。つまり百七十億は、今度の食糧会計その他に赤字はない、こういうことを大蔵大臣は説明したわけであります。
  31. 板野勝次

    ○板野勝次君 大蔵大臣は九十億芋を腐らしたりいろいろしたために赤字が出た。それは消費者にぶちかけてもう解消した、こう言つておるのですから、どういう操作で解消したのか、こう思つた。ところが農林大臣説明で行くと、四十億の赤字があつたというのですが、その四十億の赤字は一体何で赤字が出たのかということです。
  32. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) それは今申しました芋の切干の超過供出の増加であります。大蔵大臣は腐つて赤字が出た、それは確か五%ぐらいだと思います。赤字というのは、腐つたのは、去年は配給辞退もなかつたのでありますが、確か腐敗したのは事実であります。価格の面から申しますと、五%程度のものであつた承知いたしております。
  33. 羽生三七

    ○羽生三七君 各委員からお尋ねしたいことが沢山あると思いますが、どうも衆議院の方の本会議、各委員会、又参議院の方も同様でありまして、どうも落着いてこの農業問題と真劍に取組むという時間が非常に少いように思います。ですからこういう立て込んだ時でない時に一度委員長からお計らい願つて、ゆつくり時間を取つて頂いて討議して頂きたいと思います。
  34. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 委員長もそういうように思つておりますが、特に例えば補正会議を前にして緊急に質したいことが、いろいろの問題があるだろうと思つてしたのですが、実はそり方が出ないものですから……。
  35. 石川準吉

    石川準吉君 先程岡村委員から我が国農業状態について発言がありましたが、私も全く同感でありまして、特に北海道のようないわゆる單作地帶におきましては、すでに恐慌の第一歩に入つておりますことは、大臣もすでに御承知のことと思います。現在我が国において、食糧事情からいたしまして、巨額の食糧輸入することは、私も止むを得ないと思いますが、併しながら農業政策をこのまま現状のままにしておきます以上は、永久にそのような食糧輸入しなければならん事態が続くと思います。けれども日本の本当の再建というものは、やはり自分の国でできるだけの食糧自給しなければならん、そうしなければ、本当の意味の独立国家としての資格がないと思うのであります。かような意味合いからいたしまして、先程大臣も申されましたように、我々が最近の国家政策が、いわゆる輸出貿易振興というような、一方的に非常に強力に進んだために、基本的な農業政策が疎かにされているという点につきましては、誠に残念に思つているのであります。併しながらこれは幾ら言つたつてしようがないことでありますが、特に大臣に一つお伺いいたしたいのは、農村の建設というものが今非常に急を要する、殊に單作地帶におきましては焦眉のことでありますが、例えば土地改良のような具体的な施策を本当に大きくやるならば、我が国食糧は一割増産可能であるということが言われているのであります。かような意味合からいたしまして、我が国農業政策を進めるために、予算面上において具体的な農業政策を推進するような予算を計上するようなことにつきまして、どうお考えになつていらつしやるか、その点をお聞きしたい
  36. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 予算編成の上におきましては、先ず農業政策として考えられますのは、土地改良治山治水等でありますが、治山治水は殊に今日日本の国土といたしまして必要でありますので、これに重点を置くことは勿論であります。土地改良につきましても、相当の計画を以て補正予算に臨んだのでありますが、先程もちよつと申しました通り、御承知の非常な災害がありまして、而も耕地災害に対しましては、今まで助成ができ得なかつたのでありますが、あの補正予算におきましては、五百二十万円を耕地の回復に予定いたしまして、そちらの方にこの災害に対する経費を持つて行くことといたしましたために、土地改良に対する経費が当初の計画より、幾らかそちらの方面に廻つた関係で減額されたような情勢でありますが、それでは今後将来におきましても、土地改良というものは遅れて行くわけでありますので、先程申しました長期資金を融通する政策を取つて行くということが妥当であると考えまして、これは相当額を長期に亘つてやる計画を持つて皆さんの御協賛を得たい。かように考えた次第であります。  單作地帶につきましては、いろいろ研究されておりまして、農林省におきましても、この單作地帶対策の特別委員会を專門的に設けまして、そうして單作地がどうしても永遠單作地としてあるべきかということを調査する。土地改良によつてこれが單作地ならざるようになれば最も有利である。然らざる場合において、又気候等の関係によりまして、寒冷地帶に対しまして今日までやつておることは、誠に微々たるものでありますが、この地方に対しましては、将来他に何か適当な政策を持つて救済の途を立てて行くということに方針を向けて行かなければならん。かように考えておるわけであります
  37. 門田定藏

    ○門田定藏君 食糧問題についてお尋ねしたいのですが、実は大臣の時間がないそうでして、今日この家畜伝染病予防法の改正に当つて是非大臣にお伺いしたい。この家畜の不時の、病死でなくて、不時の災害によつて鳥取県辺りでも本年は六割以上の不慮の、病気でない、斃れた牛馬、これを何とか地方で処理する方法を講ぜられたいということを、今、藤野委員質問に対して、農林省としては考えていない。これは甚だ私は遺憾に思う。我々農民としては、平素牛肉あたりを月に一回も購入することができない。こういう、病氣でなく斃れたものを、地方においてこれを処理させるというと、その地方で相当な肉類の利用ができる。これを一つ農林省で考えて、伝染病などで是非正規な手続きを経なければならないものは止むを得ないけれども、下組な災害で或いは脚を折つたとか、そのために役牛に利用することができない。そういうものを地方で処分し、地方でその肉を配給するということになれば、地方の農民は安い肉が利用できる。このことが設けられていないということは、農村に対して有畜農業獎励する大きな私は落度であると思うのです。すべて牛に限らず、豚とか、兎とか、その地のものは農業協同組合等において処理する方法が設けられているのに、病気でない、何ら不衛生な虞れがないものも、それに加えて農村で処理する方法を是非農林省で一つ心配して貰いたい。現に我々のところでは、今回豚あたりを屠殺して、その肉を処理するような方法もできている。それと同時にそういう伝染の虞れのない斃れた牛馬については地方で処理するところの方法を是非このたび設けて貰いたい。これは地方の要望であります。これは農林委員一同が要望する。今度の法律の改正と同時に是非御心配を願いたい。大臣はこれについてどうお考えになるでしようか。
  38. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。この屠殺の牛馬等が特に方法考えて処理を別にされていることは、従来伝染病関係から厚生省扱いになつていると思うのであります。今お話の健全な豚は農家で屠殺してもいいわけなんでありますが、そう牛や馬をどんどん自分らが食うからというて殺すわけに行きますまいけれども、そういう伝染病にあらざるものに対しての処置は、今後この有畜農業獎励の上におきましても必要だと考えるのであります。これは先程申しました乳の検査、肉の検査を厚生省がやるということは甚だ不合理なんでありまして、肥育をやつたその肉の具合がどうなるか分らなければならんのに、それが衛生関係でやつてしまうというような、誠に不合理なことがあるのでありまして、これはここ数年前から参議院の委員会にも問題にされまして、政府部内においても、この厚生省と農林省の間に何だか対立しているような形になつているのでありますが、時代は変つて参ります。十分政府といたしましては、ここに統制をつけることを考慮いたしたいと存じます。又今お話のような場合が相当あるのでありますので、この問題につきましても鶏や兎のような立場から考えれば、当然農村でこれを処理していいのではないか、かように考えますから、十分御趣旨に副うように関係省とも交渉いたして今後処し、て行きたい、かように考えます
  39. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 農林大臣に対する質疑は又別の機会にして下さい。それでは又畜産の方へ戻りたいと思いますから……。それから文部委員会で法案を上げるので十五分ばかり速記を貸して呉れということでありますから、その間速記を中止することを御了承願います。    午後三時七分速記中止    —————・—————    午後四時一分速記開始
  40. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて。家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、大体この法律案につきましては、先日来質疑を続けて来まして、概ね終了したように思いますので、この法律案を議題にして、これから討論、採決に入りたいと思います
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 家畜伝染病予防法第二十四條の第一項によつて交付します手当金は、今四九万円に増額されるのでありますが、これではまだ足らないのであります。でありますから九万円を時価に改めまして、手当金を増額し、畜産の獎励に努められるようにお願いしたいのであります。  次は仮屠場を市町村又は農協等で経営することができるように、関係省と御協議の上速やかに実現を期せられたいのであります。  次は牛馬原皮値段が規格製品値段において余りにも安過ぎるのでありますから、少くとも現在の二倍以上に引上げるように努められたいのであります。以上の希望を以て原案に賛成いたします。
  42. 門田定藏

    ○門田定藏君 藤野委員意見に賛成します。
  43. 板野勝次

    ○板野勝次君 私もこの本案には賛成なんですが、今公団とか、或いは開拓関係などいろいろな方面でも、資金の不正使用という問題があるので、この場合に手当金については十分その使途については慎重にやつて頂きたい。こういうことを希望して賛成いたします。
  44. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御意見もないようでありますから、この法律案を議題にいたしまして、これから採決に入ります。衆議院送付政府提案、原案通り御賛成の方の御起立をお願いいたします。    〔総員起立〕
  45. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立でありますから全会一致を以て本案は原案通り可決することに決定いたしました、尚例によりまして多数意見者の署名をお願いいたしますると同時に、本会議委員長報告委員長にお委せを頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本日はこれには散会いたします。    午後四時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            平沼彌太郎君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            岡田 宗司君            門田 定藏君            北村 一男君            高橋  啓君            星   一君            赤澤 與仁君            加賀  操君            徳川 宗敬君            板野 勝次君            岡村文四郎君   国務大臣    農 林 大 臣 森 幸太郎君   政府委員    農林事務官    (畜産局長)  山根 東明君   説明員    農林事務官    (農政局農業保    險課長)    庄野五一朗君