○
國務大臣(
小澤佐重喜君)
所管事項につきまして先ず最初に申上げたいことは、大体御
承知のように
昭和二十四
年度の
予算編成に際しましては、従来
通信事実は
一般会計から七十億乃至百億
程度の繰入れによ
つて漸く
収支の
バランスをあわせてお
つたのでありましたが、御
承知のように
経済九
原則並びにドツジ・ラインの強い要望によりまして、この二十四
年度の
予算編成に当りましては、
独立採算制を樹立することに
決定いたしたのであります。而も当時
予算編成時期におきましては第四
国会、第五
国会において御
審議願いました
電気通信省設置法並びに
郵政省設置法の施行によりまして、当然将来二分されることを予想されましたので、大体この
独立採算制の
実施に当りましても将来
二つの
特別経済が樹立されるということを
前提にして、即ち
電気通信省特別会計の
独立採算制、それから
郵政事業の
特別会計の
独立採算制と、この
二つを
狙いにして
編成をいたしたような次第であります。ところがいろいろ細分して参りますというと、大体
電気通信事業の方におきましては、何とか
料金の
値上げをすることなく二十四
年度の
収支の
バランスがとれるという見通しが付きましたので、当時いろいろ諸費の
節約等によ
つてぎりぎり
計算をいたしましたところが約四十九億の
不足を生じたのであります。この四十九億の
不足というものは、主として
郵政事業関係の
不足でありましたので、ここに甚だ遺憾ではございましたが、葉書以外の
郵便料金を約五割前後
値上げすることによ
つて漸く
郵政事業の
独立採算制を保ち得たような次第であります。こうした方向で第五
国会におきましては、御
承知のように
郵便料金の
値上げ、並びに
只今申上げました
郵政、電通両
事業の
予算の御
審議を願
つたような次第であります。その後
電気通信特別会計におきましては、大体
予算通りの歳入を得つつあるのでありまして、むしろ月一億乃至一億五千万円
程度の黒字にな
つておるような
現状であることは誠に喜ばしいことと存じておるような次第であります。そういうような次第でございましたが、一方二十四
年度におきまする
建設勘定は、
見返り資金からのこれを基礎とする百二十億の公債と、それから
損益勘定の
減価償却から得ました四十五億、それから
終戦処理費からの二十五億というような大体の
数字で
合計百九十二億の
建設資金を得まして目下著々当初の
計画でありまする
電話個数におきましては六万七千個、それから
接続電話が三万個・自働
電話数千個というような
計算で順調に工事を継続いたしておるような次第であります。
その次に申上げて置きたいことは、何といいましても歳出の
節約を主たる目的とする
国民負担の軽減を図ろうといたしまして、
政府が飽くまで断行いたしました
行政整理問題であります。この
行政整理に際しましては、本年の三月一日の
予算定員から四万八千人だけを
整理するという
方針が
決定いたされました。勿論この四万八千人というのは、当時の
両省の
合計人員でありまして、これを
電気通信省だけに分けますれば、
従つて違
つて参りまするけれども、一応
両省だけの
関係で
考えて見ますというと、当初私が就任当時、その当時は
政府におきましては
行政整理を断行するという具体的な
決定はいたしておりませんでしたが、当然我々はこの時期があることを予想いたしまして、先ずこういう場合においては、たとえ一人でもこの
行政整理による
整理者が少くするということに
努力することが私の大きな任務であるということを
考えましたので、二月末に各
地方局において
欠員があ
つた場合においては、
欠員は
本省の許可なくしてはたとえ一人と雖も採用することは相成らんということを通知を出したのであります。いわゆる
欠員不補充の
原則を堅持いたしましたところ、幸いに各
地方局の幹部は勿論のこと、
第一線の
職員諸君も非常にこの
趣旨を理解して呉れまして、私共の
方針に盡力されました結果、四万八千人という大幅な
整理が必要であ
つたのでありましたけれども、もう最後の八月十二日の当時におきましては一万一千玉百人
程度でとどめ得たいということは、誠に私共も不十分ながら或る
意味の満足をいたしておるような次第でございます。従いまして勿論
希望退職者を除いての話でありますから、本人の意思に反する
整理を敢行いたしました数は約一万一千五百人という極く
最小限度のいわゆる出血でこれを済まし得たことは非常な欣快だと私は
考えておるものであります。以上のような次第で、八月十二日以後非常に客観的には
整理の
困難性ということが当時予想されてお
つたのでありましたが、幸いに
従業員諸君は勿論のこと、
一般国民諸君も我々の施策に協力されました結果、予想のような大きな支障なくしてこの
行政整理を敢行し得たことは、誠に感激をいたしておるような次第であります。いよいよ九月末、即ち十月一日より新
定員法の
実施に相成りますので、一応この
定員法に基いて一切の
整理を完了いたしておるのであります。併しながら先程も申上げました
通り、私共といたしましてはできるだけこの
犠牲者を一人でも少くするという見地から……この
第一線の
現業局におきましては多少の
凸凹があります。即ち或る局においては新
定員以上のところがありまするし、或る局におきましては新
定員以下のところがあります。これは将来配置転換によ
つて何とか
犠牲者を少くして、而も
定員法の
実施をしたいという
趣旨から、そうした
凸凹があ
つたのでありまして、その後著々と
配置転換等の
措置を講じまして、漸次この
凸凹が調整されつつありまするが、未だ全部調整されたとは申上げることができないのでありまするが、これは至急に解決をしなければならん問題でありまするから、
本省初め各
地方局におきましては、速かなるこれの実現を期しておるような次第であります。
更にこの二
省分割の問題がありましたのでありますが、先程も一言いたしましたように、
電気通信省設置法並びに
郵政省設置法が昨年の第四
国会において議了いたしまして、更にこの本年第三次
吉田内閣が成立するに当りまして、先程も一言しましたごとく、先ず
行政の
簡素化、或いは
行政整理と
二つの点で、大きな
整理を敢行することにな
つたのでありましたが、この
電気通信省におきましては、あの当時の
設置法即ち昨年の
国会において御
審議を
願つた法律案がそのまま現実に施行されておるものと認めまして、その
法案の中から
行政の
簡素化を
行なつた結果、
相当の
簡素化を行な
つたような次第であります。二
省分割も六月一日以降
実施いたしまして、
郵政省の方におきましては、大した
事務の
差支もございませんでしたが、
電気通信省の方におきましては、何しろ機構が厖大に変革されており、而もその
狙いとするところは、当時しばしば申上げましたように、従来の非能率的な運営の仕方を、これを能率的に、又従来のややともすれば
官庁行政的な
措置を民主的に、又在来ややともすれば非能率的であ
つたものが能率的になるというような大きなこの
法律の
狙いがございまするので、その
精神に
従つてあらゆる
措置を講じて参りましたが、漸く最近におきまして、その
整理も殆んど終了いたしましたので、この
法律の
精神を十分酌み取
つて、
電気通信事業の発達、或いは
復旧に貢献しつつあるような
現状であります。
更に二十五
年度の
予算問題でありまするが、二十五
年度の
予算も現在大体
政府におきましては、その
予算の大綱を内定いたしております。大体
電気通信省における
予算は、二十四
年度の
予算はと殆んど大同小異でございます。ただ
建設勘定におきましては、先程申上げました
通り、二十四
年度においては百九十二億でありましたけれども、本
年度はこの
電気通信事業の早急なる
復旧を要望する結果、この
資金を
相当増額を要請されて参りましたので、先ず
見返り勘定におきましては二十四
年度の百二十億が二百億と相成りましたし、両
損益勘定から今
年度におきましては四十五、六億というものを、本
年度は七十三億、即ち新たな
電気通信事業の再評価に基きまして、大体
電気事業関係の
資産関係を一千五百億
程度に見積りまして、その一千五百億
程度の四分四厘に該当するところの七十三億が、
原価計算として
建設費に廻されるという順序にな
つて参ります。更に
終戰処置費からの十四、五億等を合わせまするというと、本
年度の
建設費に比較いたしまして、二十五
年度の
建設費は約五〇形の増を示しておるような次第であります。併しながら、ここに一言申上げて置きたいことは、この二百億の
数字は勿論
日本政府の内足でございまするので、最近
ドツジ博士が来朝されて、いろいろこの問題に対する種々の
意見が現在交換されつつあるというような
現状でありまするので、果してこの
日本政府の内定を見た
只今の二百億というものは、そのまま実現されるかどうか、換言いたしますれば、
政府の原案として
国会の御
審議を受け得られるかどうかということは、未だ未定でございまするので、その点だけは十分お含み置きを願いたいと存ずるものであります。
以上のような姿で、非常に二
省分割によ
つて、
事務の遅滞、或いは組織の変革に非常に手間取りまして多少
事業に影響のあ
つた点もございまするが、とにもかくにも、先程申上げました本
年度の
予算におきまして、
予算以上の収穫を得つつあるというような現況であることを御
報告申上げると同時に、それをでき得べくんば、
国民大衆の要望するいわゆる
サービス、或いは
料金等についても今後
努力をいたしながら
国民諸君の期待に副いたいように
努力いたしておるような次第でございます。
以上甚だ要点だけを申上げまして、簡單でございまするが、
現状の御
報告に代えます。尚具体的に御
質疑等がございますれば、その都度お答えいたしたいと思います。