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説明員(川上為治君) 電力料金の改訂の問題につきましては、相当の期間、向うといろいろ折衝をして参つたのですが、先週の土曜日にE・S・Sの生産部長のケネディー氏の方から一応の案が示されました。その案に対しまして、これは別にデイレクテイブではありませんので、早急にそれに対する
意見を出して貰いたいということにな
つておるわけであります。そこで従来のいきさつを申上げますと、私共の方としましては、すなはち物価庁としましては、現行料金の大体四割五分九厘を引上げるということで、向うに案を出したんですが、それに対しまして司令部の方としましては、人件費の問題、それから
石炭代の問題等につきまして、若干これを削りまして、三割二分引上げたということで、大体の話合いが司令部のプライスの方とついたのであります。これが約一月半位前であります。その後司令部の内部におきまして、現行の料金
制度そのものについて根本的に改訂すべきであるというような
意見が出まして、折角プライスの方と私共の方と話合いが大体ついておるものを、更に
検討し直すということになりまして、その後司令部の一担当官の方から、ほんの試案であるがということで、一月位前に又試案が提出されたのであります。それによりますというと、要するに超過料金
制度というのをこの際打立てろ。従来は一定の割当以上に使いました時には、罰金としてこれを徴收しまして、それを国庫に納入させるというような
方法を採
つていたのですが、そういう
方法を止めて、一定の割当以上に使いましたときは、超過料金として相当高い料金を課して、そうしてその分は会社の方へ納入せしめるというような
制度、それからもう
一つは、地域差につきましては、従来三つの地区に分けまして、そうして最高三〇%以内におきまして、それぞれの地域差を設けていたのでありますが、又
最初我々の方から出しました案につきましても、そういうような案で行つたのでありますけれども、司令部としましては、その地域差についてコスト主義を採用する、すなはち各地区におけるコストをそのまま地域差に直して持
つて行くというような
考え方であります。こういうその根本的な二つの変革を持ちました電力料金につきまして、向うから一応の案が提示されたのですが、それに対しまして物価庁としましては、通産省その他といろいろ
相談いたしまして、そういうような
制度になりますというといろいろな弊害が生じて来る。例えば割当につきましても、極力割当を少くして、そうして超過料金の分を多くすれば、そういう割当の問題について、割当を受ける方と割当をする方との間にいろいろな問題が起きて来るだろう。それから又、地域差をあまりに広く、コスト主義そのまま採
つて設けるというようなことになりますというと、例えば中国でありますとか、或いは九州でありますとか、そういう
方面では相当電力料金が高くなりまして、中には倍近くなるものもありますし、関東
方面ではそんなに上らないということになりまして、これが石灰窒素でありますとか、或いはカーバイドでありますとか、或いは肥料でありますとか、或いはその他電力を特に食う
産業については、相当大きな影響を及ぼすであろうというような点を力説いたしまして、そうして基本の料金につきましては、極力割当一ばいに
一つや
つて貰いたい、即ち超過料金というのは比較的少くや
つて貰いたい、それから又地域差につきましては、そうひどい差を設けないようにして貰いたいというようなことを向うに再々述べたのですが、この土曜日の向うの試案によりますというと、司令部の根本的な従来の
考え方は全然変
つておりませんのでありまして、物価庁としまして、いろいろお願いしたことは殆んど容れられていない状況でありまして、先程も申上げました一担当官から、向うの担当官から、出されました試案の根本的な考えは、そのまま採用されて出されております。
内容につきましては相当細かい、これは一々この家庭電燈とか、或いは小口電力とか大口とか、或いは地方別に細かく料金まで出しまして、相当部厚い物を頂いておりますので、まだその
内容についてどういつたふうにそれが実際問題に当て嵌めた場合にどれくらいになるかということを、いろいろ今
検討しておりまして、私共といたしましては、それに対しましてどういうふうにこれを訂正して貰いたいというような
意見は、まだまとま
つておりません。今明日中にまとめまして、極力この四五日の間には、向うのそれに対する
意見を出したいというふうに考えております。そこで、今度の向うから示されました案を見ますというと、基本の料金と、それから超過料金を取るという点については、先程申上げた通りなんですが、その基本料金につきましては、大体水力の発電量はこちらの計画そのままにしまして、火力の発電につきまして、基準年度の発電量を、平均の発電量を取
つておりまして、それ以上焚きますと、それはすべて超過料金の方に廻される。従
つて石炭を従来の平均
石炭量以上に、どんどん焚くならば、それは超過料金の方に廻されて、そうしてそれだけ余計会社の收入になるというような建前が一点であります。それから従
つて基本の割当というものは、電力の割当というものは、それはさつき申上げましたように、水力の発電量と、それから火力の従来の平均、それを合したものを基本の割当計画にしてある。従
つて、火力の方を
石炭をうんと焚きましても、それはその余計焚いたものは、それは超過料金の方に廻されるような仕組にな
つておりまして、割当そのものが相当減少されるわけであります。それが一点であります。それから第二の点は、地域差につきましては、コスト主義を依然として中心に考えておりまして、私共の方で、最高三〇%乃至四〇%位の率で止めて貰いたいというものは全然認められておりまん。従
つて中国とか、或いは九州とか、そういうようなところでは、相当高くなるわけであります。そうして従来は大体三つに分けていたのでありますけれども、今度は九つの地域に分けられて、それぞれ電力料金が違うわけであります。そういうような
制度を採
つております。それから一定の期限までに、料金を支拂いますものについては割引
制度を考慮している。だから電力料金を支拂いますときに、一定の期日までに拂いさえすれば、それに対しまして、或る
程度の割引をするというようなことにな
つております。それからその他の、まあこれは比較的細かい問題になりますが、例えば、特殊電力料金とか、或いはオフイスにおける電力料金、こういうようなものにつきましては、大体率においては、或いは料金においては、若干違いますが、従来の
制度をそのまま採
つておるようであります。これを総じて申上げますというと、大体今年の計画であります火力を四百六十五万トン
程度焚きますというと、三割二分、或いはそれ以上の、これは超過料金も入れまして、收入が会社においてはあるのじやないかというようなことになるわけであります。この
制度につきましては從来と相当違
つておるわけなんですが、これに対しまする私共の方の一応の考えとしましては、その影響としましては、先ず
最初に申上げましたように、石灰窒素とか、或いはカーバイドとか、その他電力を相当使うものについては地域的に相当不均衡を生じ、そして九州とかそういうような
方面におきましては、相当コストが高くな
つて行くであろうという点。これは言い換えれば、
産業に対しまして地域的に相当大きな影響をもたらすだろうという点が
一つ。それから第二は、超過料金を、即ち火力の方を一定以上に余計焚けば焚くほど超過料金がうんと入
つて来るということになりますので、電力の割当をするに際しましてその間にいろいろな問題が起きて来て、電力割当をするのに非常な困難が生ずるのではないかというようなふうに考えられるというような点。こういうな
最初に我々が考えました点につきましては、依然として問題が相当あるわけであります。併しながらこれがどの
程度とにかく影響があるかというような点につきましては、尚この
内容につきまして今いろいろ当
つておりますので、その結果によりましてでありませんとはつきりしたことを申上げられませんが、そういう弊害がありますので、いろいろ
検討いたしまして、こういうような弊害があるということを更に向うに申入れをしまして、適当なところで話合いを付けるというようなふうに持
つて行きたいと考えております。その影響が併しそうひどくなければ、これは計数を当
つてみないと分りませんが、それほどひどくなければ、或いはこういうような
制度をこの際実行するということも一応考えられるわけであります。大体そういうような状況にな
つております。