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1949-11-21 第6回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十一日(月曜 日)    午後一時三十四分開会   —————————————    本日の会議に付した事件 ○地方行政調査委員会議設置法案(内  閣送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日は先ず地方行政調査委員会議設置法案予備審査を続行いたします。右の法案につきまして、過般一応大臣の説明を聽取し、総括的質問の二三をいたされたのでありますが、この法案につきまして尚詳細な説明説明員から聽取したいと思います。
  3. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 地方行政調査委員会議設置法案につきまして、逐條的に御説明申上げます。第一條はこの法律目的でございまして、これは外の例文でございます。この会議所掌事務範囲権限及び組織を明確に定めることを目的とすると規定いたしたのであります。第二條は、この会議設置についてでございますが、会議性格はここに書いてございますように、国家行政組織法八條第一項の規定に基く総理府臨時機関でございます。国家行政組織法には、御承知のように第三條と第八條とに機関につきまして規定があるのでございますが、第三條の方はいわゆる行政事務を扱います行政機関についての規定でございまして、これには通称外局がございます。第八條は、その行政機関以外の諮問機関或いは審議機関、或いは学校、研究所等のものでございます。この調査委員会は、その性質は單なる諮問機関ではございませんで、調査立案する機関でございますけれども、併しながら行政機関ではございませんので、やはり第八條機関としておるわけでございます。第八條機関につきましては、総理府設置法によりますと、單なる機関附属機関と節を分けて規定がされております。で、その附属機関の方につきましては、いわゆる諮問機関、或いはその他の審議機関が並べてございますが、單なる機関としてありますところには日本学術会議規定されてあるわけでございます。それで両者がどう違うかということになりますのでございますが、法律上格別の性質上の差異はないようでございます。ただ機関の方が附属機関よりも幾分か独立性の強い権限を持つておりまして、規定の上でもそちらの方が重く扱われておりますので、この会議任務性質に鑑みまして、附属機関よりも会議ということの方が適当であろうという考えの下に、総理府機関とすることにいたしたわけでございます。  次に臨時と書いてございますのは、この会議シヤウプ氏の勧告に基きます第三條に書いてありますことを任務といたして参るのでございますが、この計画は成るべく速かに成案を得ますことが望ましいのでございまして、その意味合におきまして、これは臨時的に設けられる機関であるということにいたしたわけでございます。  次は第三條でございますが、第三條で会議所掌事務範囲権限規定いたしております。会議地方自給を充実強化して国政の民主化を推進するという目的で、地方自治基底とする市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整等に関する計画について調査立案をし、その結果を内閣及び内閣経由して国会勧告することを任務といたしております。この言葉の中で、若干説明を申上げますと、事務配分調整、いわゆる再配分の問題でございますが、これは従来の考え方で参りますと、国が一番重要な事務を握つておりまして、それから都道府県市町村と逐次下へ下つて行くという方式で事務配分がなされておりましたものを、今度は逆にいたしまして、市町村でできる重要な仕事は全部市町村にやらせる。それで市町村でも工合の悪いものは都道府県がその次の優先順位で以て事務をやる。国は地方公共団体で有効に処理することができないような仕事だけをやる。こういう考え方配分をいたしますので、法文の方におきましても、国、都道府県市町村という、従来の書き方を逆にいたしまして、市町村都道府県、及び国ということにいたしたわけでございます。而もその趣旨地方自治を強化するという観点からの配分でございますので、その趣旨を現わしますために、「地方自治基底とする」という言葉を上へかぶせたのでございます。権限につきましては、調査立案をいたしますだけではなくて、その結果を内閣と、内閣経由いたしまして国会勧告するという権限を与えようとするのでございます。この会議調査立案いたしました結果につきましては、シヤウプ報告書によりますと、国会勧告をしろということになつておりますので、国会勧告する権限を先ず与えたのでございますが、併しながら我が国の現在の行政機構建前から参りますと、総理府機関にあるものがいきなり国会勧告をするということはどうであろうかという考えで、先ずその勧告内閣経由して勧告をさせるということにいたしたのでございます。経由と申しますのは單に手続上内閣を通すというだけでございまして、内閣はそれにつきまして内閣意見で変更を加えるということはいたさない趣旨でございます。更に国会に対する勧告権の外、内閣に対する勧告権を認めましたのは、この会議調査立案いたしました結果を具体化いたしますためには、法律案を作成する、或いは予算的措置を講ずるということが必要になるのでありますが、内閣国会と共に法律につきまして提出権を持つておりますし、予算につきましては内閣だけが提出権を持つておりますので、その意味から同じものを内閣にも勧告できるようにして置くことがよろしかろうということで、内閣にも勧告する権限を認めたのでございます。第二項は、第一項で「事務配分調整等に関する計画」といたしておりますのを、具体的に内容を書いたのでございます。一号は「市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整、」これは市町村都道府県、国の間の事務の再配分のことでございます。第二号は「地方公共団体機関に委任して行う事務調整。」いわゆる機関委任事務の問題でございます。第一号は団体間のことを問題にしておりますので、知事なり、市町村長なりの地方公共団体機関に委任して行います事務については、第二号でこれを取上げて、現在の委任事務をどういうふうにして行つたらよかろうかということを検討することにいたしておるのであります。第一号、第二号の調整に照応いたしまして、現在あります国庫補助金等を、或いは廃止をしなければならないものもありましよう。或いはそれを国の事務としまして市町村にはやらせないというようにいたす必要もありましよう。そういう補助金制度につきまして研究をするということでございます。「国庫補助金等」としてございますのは、府県から市町村に出す補助金もございますので、それも含める趣旨でございます。第四号は以上の三号に出て来るものを除くほか、市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整に伴いまして必要となつて来る事項を広くこの所掌事務内容にするということでございます。これらの例といたしましては、或いは市町村事務が多く委讓されます結果、現行の市町村規模では、それに適当でないものにつきましては、どれ程の規模が適当であろうかというような研究もし、又それに伴いまして配分等の基準も決めるというようなことがこれに含まれると思います。  第四條は、内閣が第三條によりまして会議勧告を受けました場合についての規定でございますが、内閣はその際その勧告を尊重いたしまして、内閣が立案いたしまして国会提出します法律案、或いは予算を作成する場合に、会議勧告を尊重してやらなければならないという規定でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一応そこまで。只今一條から第四條まで各條についての説明がございました。これに対して御質問ございましたら……
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第三條についてですね、その結果を内閣及び内閣経由して国会勧告するという、その点は、前委員会においても各委員会よりいろいろ論議されて点でありまするが、今の御説明では内閣経由して国会提出する。経由というのはどういう見方でございますか。何か責任内閣に持つのか。單なる読んで字のごとしなんですか。その点を、その問題は国会勧告するというのですから、非常に従来のとは違つた事柄で、又非常に重要な事柄なんですが、経由という意味国会勧告するという、その勧告意味については、前委員会においても随分いろいろ論議されましたが、今日は自治庁次長がおられるから、次長国会勧告するという、勧告意味を伺つておきたいと思います。
  6. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) この会議におきまして、市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整に関する計画につきまして、いろいろ調整立案をいたしましたその結果を、内閣及び内閣経由して国会勧告するという点に関する御質疑でございますが、勧告を先ず内閣に対しましてこの会議提出をいたし、更に又内閣経由して国会勧告するというのは、直接国会勧告することをこれは止めまして、何分この会議総理府機関なつておりまする関係上、やはり内閣経由しまして、そうして国会勧告するのが穏当であろう、こういうような考えからいたしまして、こういうようなことにしたわけでございますが、経由と申しまかると、單に文字通り経由するというだけでありまして、内閣はその勧告を受けますると、これを修正したり等をいたさないで、そのまま国会提出するこういうような内容を持ちましてこの案を提出した次第でございます。尚法律案だけでございますると一面国会に直ちに提出するということもできますけれども、予算につきましては、やはり内閣予算を、財政法上これは提出することになつておりまするので、そういう予算関係もございまして、内閣経由して国会提出する、こういうことにいたした方が適当であるという考え方からいたしたような次第であります。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の次長の御答弁は、私の質問一つも当つていないのです。経由意味合と、国会勧告するという、その勧告内容伺つたのだが、どうも今のは漠然として掴みどころがない。内閣経由してやる、その経由意味を私は聞いておるので、直接でなく、内閣経由する、その意味はどういう意味か。経由と言われる意味はどういう意味ですか。その経由内容、それから国会勧告するという、その勧告ということはどういうことですか。その内容を伺つておるのであります。その答弁がない。
  8. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 何故内閣経由させるか、直接国会勧告したらいいじやないかという御質問趣旨だと思いますが、現在、憲法におきましても行政権内閣に属するということになつておりまして、国家行政組織法におきましても、そのような機関はその内閣の下の一つ組織ということになつております。従いまして国会に出しますものも、やはり一応は内閣を通して出させるようにするということが、現在の行政組織行政制度建前の方から穏当であるという考え経由させることにいたしてあるのでございます。それから勧告法律的な意味でございますが、勧告はそれを受けましたものに対しまして、法律的な拘束は生じないのでございますが、道義的、或いは政治的に申しまして、なるべくその勧告に勧められました内容を受け容れますような、拘束と申しますか、政治的、道義的な拘束は期待をするという意味に使つております。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、佐久間連絡課長からいろいろ御説明頂きましたが、私は折角次長が出ておられるのだから、その意味内容は、運用する上からも、單にそれを漠然と考えていると、要するに勧告なんというものはいろいろあるけれども、実際なかなかそれが運用されていない現状ですがね。それですから、こういうような勧告なんということも、内容に書いても有名無実になる恐れが多分にあります。ですから自治庁の要職におられる次長考えを伺うわけなんであります。前の委員会にも各委員からこの点について、重要な点であるから御質疑があつたわけだが、あなたがお出でになつたから、課長でなくあなたに伺いたい。課長から御答弁があつたのですが、経由という意味連絡課長の御説明だと、総理府の下にあるから、事務機構の上から、單に内閣経由する、そういう意味合にとつたのでありますが、そうであるのか。更にその勧告ですね。私はこの勧告という、こういうふうに新たに「内閣及び内閣経由して国会勧告する。」私はこう書く以上は非常に勧告意味を、しつこく伺えば、採りようによつてはいろいろ採れる。ですから次長は、勧告ということをどういうふうにお考えなつておるか。勧告ということは、或る程度拘束力を持つのか、どうであるのか。そういうような内容につきまして、考えようによつていろいろ変つて来ますね、実際には。ただ勧告されたぞれを採つても採らなくてもいいのだというような意味もありますし、それから、或る程度勧告されたらこつちに責任があるのか。勧告というものは拘束力を持つているのか。そういう点をどういうふうにお考えになるか。その内容を伺つておるのであります。
  10. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 勧告についての重ねての御質問でございますが、実は勧告ちよつとこれに類似した意見申出でということもございますが、この勧告はそういうものと違つたもつと強い内容を持つたものと存じますが、この勧告された事項につきましては、これを勧告された者は必ず実施をして貰うということを前提としておるわけでありますが、勿論法律的にはどうしてもそれをやらなければならないという拘束力は認められておらないわけでありまするが、先程も佐久間課長から申上げましたように、受けた方は併し政治的にも又は道義的にも責任を負うて、その点から拘束力を持たせられるものである。併し御説のように、それをどうしても聽いてくれないという場合には、ちよつと事実上因るわけでございますが、併しこれは内閣というものの健全なる行き方というものに信頼をして行きたいと、こう思うのでございます。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の次長の御説明だと、勧告ということはぜひやつて貰いたいという非常に強制力を持つておると思います。それは極めて重要だと思うのです。内閣並びに国会勧告をしてそれが相当の拘束力を持つておる、ぜひやつて貰わなければならないのだという意味なつて来ると、これは非常に重要なものになつて来ますが、そうすると重ねて伺いますが、それでは内閣は別として、国会がそれを拒否した場合にはどうなるか。具体的にはそうした場合にはどうなるのですか。あなたの御説明があつたから、それじや、国会が拒否した場合がありますよ。あなたの考えと私の考えとは別箇ですよ。国会が拒否した場合にはどうするのですか。そういう場合が起つたらどうなさいますか。そのお考えを伺います。
  12. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 国会が拒否した場合には、これは残念ながら止むを得ないわけでございます。何分国会最高権威でございますから、ここで会議が企画立案し、そうして内閣を通じて提案したものがいかんということになりますならば、それは止むを得ない次第でございます。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうするとあなたの言われるのは少しおかしいのじやないですか、最高のあれだから拒否されたら止むを得ない。それじやなぜ最高のものだけ拘束力を持つておるのか。動告という意味強制力を持つというのは、なぜ最高のものに強制力を持つのですか。今のお答だと最高国会だからそれを拒否できる、それじや矛盾するじやないですか。
  14. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 先程強制力という意味に申上げたのでなくて、いわゆる強い、意見申出で違つた形性格のものであるという意味に申上げたわけでございます。而してただ法律的には拘束力がないのだから、これは拒否されても止むを得ない。が併し、道徳的若しくは政治的には拘束を受ける性格のものである。こういう意味で御説明申上げた次第であります。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 道徳的というのも僕はおかしいと思うのです。国会最高のものなんでしよう、あなたのそういう考え間違なければ……それに道徳的責任もあるという、それも分らない。道徳的責任がある。それを拒否した場合には、それは道徳的という意味は、どういうことになるのか、何か国会最高機関道徳的責任があるのを拒否したら妙なものじやないか。最高機関が道義的な責任を回避したり拒否するということもおかしい。どうもあなたの答弁されるのは單に場当りで、甚だ失礼だけれども、勧告という意味をあなたは呑み込んでおらない。そういうふうに受け取れるのですが、どうでしようか。
  16. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 重ねて御答弁申上げますが、この先程政治的乃至は通徳的な拘束力を受けるということを申上げましたのは、内閣に対して、とこういう意味で申上げましたのでありまして、国会はその道義的な責任とか拘束力という意味合につきましては、お説の通り持つておるという意味で申上げたのじやないわけでありますことを御了承願いたいと思います。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうも答弁が行つたり来たりして、こつちは頭が悪い故か、謹聽しておるのですが、はつきり分らんですが、我々はこの法案が非常に内容が重要ですから、国会勧告するということをここで十分審議する必要があると思うから、私は前委員会に引続き重ねて聽きたいのですが、お見えになりましたから次長にこの意味を伺いたいが、どうも今のお答えでは分らないので、甚だ残念であるが、もう少しこの点を明快にお答弁願いたいと思うのですが。
  18. 藤井丙午

    藤井丙午君 西郷君がこの問題について論議することは、勧告という意味は先程遠山次長、或いは佐久間課長が言われたように、拘束力を持つ行政力という、そういうことになるというと、若しか受理されない場合には意味がないのだから、申達するという形をとれば、私はこの意味が、十分に西郷さんの言う意見が通り通ると思います。勧告ということは責任を感ずるのであります。單に申達するという言葉に変更するような意思はあるかないかというのです。そういう意味じやないですか。委員会内閣に申達する、こういう意味にするというわけには行かないのですか。
  19. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 結局申達というよりももつと強い意味で、是非それをやつて貰ういう意味で実は勧告という言葉使つたのであります。尚又シヤウプ勧告案にもそういうふうに勧告という字を使つておるようなわけであります。
  20. 藤井丙午

    藤井丙午君 シヤウプ案を私は絶対的に守る義務はないと思う。さつきの西郷君のいうように強制力拘束力ということになつたら、必ずしもシヤウプ案によることはなく、我々の立場から大いに考えなければならない。あなたがシヤウプ案によるからそういうことになる。
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これは極めて、西郷議員がおつしやるように、勧告意義というものを明確にして欲しい。勧告という言葉が内包しておるところの観念を非常に明確にして置くということは極めて必要なことであつて、この前の委員会においても私は若干この問題に触れて政府に御研究を要求いたしておつたのであります。繰返して、重複するかも知れませんが、更に申しますが、そういう疑義が起つて来て、又遠山次長が甚だ答弁に苦しんでおられるのは、勧告という言語の意味であります。勧告というのは、終戰後いろいろできた法律を通じて非常に私は盛んに用いられるようになつ言葉と思うのでありますが、私の察するところ、それは国家公務員法等にも勧告という言葉があり、その他シヤウプ勧告、その他度々用いられておるのでありますが、これはG・H・Qからの英語によるところのレコンメンデーシヨンの飜訳なんだと私は考えるのであります。このレコンメンデーシヨンという言葉意義をどう訳するかということで、英語レコンメンデーシヨンという言葉日本語勧告という言葉の間に、我々の受けるところの観念上の距りがあるということなんです。それを政府当局研究して呉れということを私はこの前申上げたのでありますが、只今論議もこれから延引されておると思うのであります。英語のことについては藤井君大先生でありますが、レコンメンデーシヨンという言葉はその当時にも申上げましたように、明治三十年代に出された本でありますが、アメリカの行政法の大家であるクツドノー博士行政法の本を浮田博士レコンメンデーシヨンという言葉行政法上の薦告ということに飜訳され……推薦という言葉と、告げるということ、そうすると勧告よりも明治三十年浮田博士の飜訳されたレコンメンデーシヨン言葉の方が非常に近い響きを我々に与えると思うので、西郷委員が、問うていられるように、そうしてそれに対する遠山次長の極めて不明快な答弁に現われておるようなレコンメンデーシヨンという言葉の中には、当然に法律的な拘束力を生すべきものではないと私は考えるのであります。又国会に対して政治的道義的な、これを実行するところの責任と持つものであるというような言葉も、これは西郷委員が仰つしやつており、そういうことになつて来るというと憲法国会が取つておるところの立法権を執行府であるところの政府から拘束されることになるのであつて国会権威にかけてそういうような解釈は私は許されるべきものではないと思うのであります。それを採るか、採らんかというようなことは全く随意である。それはレコンメンデーシヨンという言葉意義から十分当然そうあるべきことであるのに、日本語に飜訳されておるために、そういう錯覚に次長が陷れられておるのである、そうして、前の委員会でも申上げたことでありますが、例えば米国において傭人がその職を辞任する、そうしてそれから今後における就職のために前の辞めたところの傭主からレコンメンデーシヨンを貰うということがしばしば行われるのであります。それはこの傭人として私のところにおつたときには正直で非常に勤勉で何も悪いことはしませんでした、十分に信頼できるところの人間であるというようなことを書いたのが、これはレコンメンデーシヨンである。日本語に飜訳するならば、推薦状、或いは浮田博士の訳を以てするならが宣告状というような意味で、今度就職するところの人間に、この人間は良い人間であります、十分に信頼できますということを書いた内容のものである。その場合におけるところのレコンメンデーシヨンというものを、先ず日本語に飜訳すれば推薦状と飜訳すれば、そういう内容を私は現わすことができる訳語となるかと思うのでありますか、これをこの法文に現われておるような勧告状と飜訳いたしまするというと、今申しましたような意味においての、傭人が辞めたときに貰つて行くところのレコンメンデーシヨン勧告状というと、いかにも変なむずかしい響きを与える。それは遠山次長が誤つて解釈をして、かように勧告状ということになつて来ると、何か英語で言えばアドバイスのいうような意味を含んだ、一つの何らかの、法律的ではなくても道義的な拘束力を持つたような内容を持つているものであるというように解釈されるかも知れませんが、それは今例を挙げて申しましたように、レコンメンデーシヨンという言葉内容ではないのです。だからしてこの勧告という訳語それ自身が間違つている。間違つてはいないけれども、非常に疑義を生ぜしめる余地があるのであつて、この点を研究して呉れとこの間言つて置いたのでありますが、御研究なつておらんと見えて、相変らず極めて不明確な訳の分らん御答弁をしていらつしやる、又その答弁の中には、憲法学立場から、非常に非難すべきところの許すべからざる答弁をしていらつしやると思います。その点において西郷委員がおつしやるように重大な問題であると考えられるのであります。でありますから、更に一つ政府の方において、ひとりこれのみならず、勧告という言葉が他の法文においてもしばしば用いられている。シヤウプ勧告のごときも、何らこれとこれを実行しなければならんというところの法律的な拘束力がないばかりでなく、シヤウプ勧告の中にも、これを中心にして大いに租税に関するところの論議日本において闘わされて呉れることが望ましいことであるというようなことを言つているのでありまするから、それがG・H・Gを通じてのレコンメンデーシヨンであるという意味においての、特殊の、或る一つの政治的意味を持ちますけれども、併しこの法文における勧告という言葉のごとく、遠山次長の言うがごとき、政治の最高機関であるところの立法府の立法権に対して、政府がこれを実行しなければならんところの責任を持つものであるというがごときに至つては、これは非常に間違いであると私は解釈するのであります。でありますから、更に十分な研究政府の方でせられて、小野次官も見えたのでありますから、更にそれについての御答弁を願いたい。  それから同時に併せて、この前の委員会に申しました勧告よりもレコンメンデーシヨンの訳としては浮田さんの行政法の本の訳語であるところの、推薦の薦という言葉と、告げるという言葉薦告という言葉の方が更にベターであると考える。むしろこれを機会に、こういう勧告というような言葉を使わないで薦告という言葉に今後訂正するというようなことについてどうであるかということを、一つ答弁を小野次官から願いたい。
  22. 遠山信一郎

    政府委員遠山信一郎君) 只今勧告に対する非常な造詣の深い御高見を拜聽いたしたわけでありますが、政府といたしましても、シヤウプ勧告案をそのまま鵜呑みにするというようには全く考えておらんのでございますが、やはり勧告という言葉を用いることが適当であろう、こういうふうに考えまして提案いたした次第でありますが、尚国会に対しまして、一つの政治的及び道義的な非常な強い拘束力を持つのだということにつきましては、私の説明が当初に意を盡しませんために、いろいろ御納得が行かなかつたようでありますが、先程も西郷さんの御質問に対しまして申上げましたように、国会に対してそういうような点は考えておらなかつたのでありまして、その点何分一つ御了承願いたいと思います。
  23. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 所用のために出席が遅れまして誠に申訳ございません。先ずお詫びを申上げます。只今吉川委員から勧告の問題につきまして、その字義の問題、或いは勧告に代つて、明らかにするためには他の言葉を以て書いた方がよいのではないか、こういうような御質問のように承つたのであります。勧告意味につきましては、先程来次長から御答弁を申上げたことと存じますが、我が国の法制の体系から考えまして、勧告という文字が割合に頻繁に使われ出しましたのは最近のことであろうと思うのであります。例えて申しますならば、国家公務員法における人事院の勧告のことであるとか、或いはその他海難審判法にもその用例があつたように記憶するのでございますが、一応政府における立案に際しましての法律用語といたしましては、勧告という言葉を使うことに相成つているように思うのでございます。ただこの場合において、勧告という字義が果して如何なることを内容といたしているか、というようなことにつきましては、いろいろ御議論のおありになることと拜察するのであります。私の考え方といたしましては、法律上の解釈といたしまして、これが法律上の効力のないということは、前回にも申上げたかと存ずるのでございますが、この勧告という言葉只今吉川委員から御説明になりましたように、薦告という言葉に変えるかどうかということにつきましては、只今ここで御確答申上げることは困難ではなかろうかと存じますので、この辺につきましては法制当局とも十分に協議をいたしまして、こういうふうな言葉を我が国の立法令に用いることが果して可能であるかどうか、或いは又勧告という言葉を用いる場合において、その意味をはつきりとするために、どういうふうな解釈を下すことが妥当であるかということにつきましては、尚研究いたしました上で御答弁をいたすことが適当ではなかろうかと、かように考えます。又只今次長から、内閣及び内閣経由して国会に対して勧告をするという場合における御質問に対する答弁につきましては、次長から説明がありましたので、私から更に附加えて申述べることは差控えたいと、かように存じます。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、小野政務次官からもいろいろお話があつたのですが、今吉川委員からも質問されている点もありますので、この勧告のことは非常に必要でありますから、私は委員長にもお願いしたいのですが、次回までに法制局長の意見も、一つ御出席して聽きたいと思います。  それから議事進行の上から、小野政務次官に一つ伺いたいのですが、こういうふうに会期にも切迫して参りまして、自治庁関係法案もここに数件出て来たようなわけで、非常に今重要な段階に入つているのですが、先般の委員会においては国務大臣は風邪気のためにお休みだということであります。本日も御出席ないのですが、新聞等によつて拜見いたしますと、いろいろ御活躍になつているように見えるのですけれども、本委員会に御出席ないのはどういうわけなんですか。私はこういうふうな重要な法案がここに沢山出ていますから、是非国務大臣にも御出席を願つて、そうして我々も十分に審議して行きたいのですが、どういう訳か御出席ないのですが、その点はどうなんですか。
  25. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今西郷さんから木村国務大臣の出席に関しましてお尋ねがあつたのでございますが、誠に御尤もでございまして、実は先般来風邪のために臥せつておりましたところ、風邪の方は快方に向つて参りまして、実は本日は出席いたすつもりで登院いたしておつたのでございます。ところが拠どころない用務が出来いたしまして、止むを得ず失礼をしておるというふうなわけで、この点につきましては、実は私参つてこの点お詫びを申上げなければならなかつたのが、実はまだその点につきまして皆様方の御了承を願う機会を得なかつたのではなかろうかと思うのでございますが、さような意味合において本日は欠席をいたしておりますから、決して特にこの委員会に出席いたさないという訳ではございません。  尚会期も切迫して参つておりますので、国務大臣の出席方につきましては御趣旨の通り、又御趣旨に副いましてこれを実現いたしますように取計らう考えでございます。何とぞ御了承を願つておきたいと思います。
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君から御要求がございました勧告意義等につきまして、法制局長官の出席を求めまして次回にその意見を聽くつもりでおります。先程この勧告について遠山次長が錯誤して答弁になりましたことは、勧告自身の意味でなくて、第四條で、内閣勧告した場合に、内閣会議勧告を尊重しなければならない、そこで内閣としては政治的、道義的の責任を負うんだ、こういう意味答弁ならばよかつたのですか、それが非常に錯誤があつたのだろうと思います。国会に対しては第四條の規定がないのでありますから、勿論道義的、政治的の責任を負うわけはないのであつて、その点を、勧告意義について内閣国会と分けてはつきり答弁せられなかつた欠点があると私は解釈するのであります。  それでは法制局長官の出席を次回に求めます。尚質問を継続するのでございますが、只今選挙法改正の特別委員会が今開会されまして、ここにその特別委員なつておられる方が大部分おりますので、ちよつとの間出て呉れというので、ちよつと休憩いたします。    午後二時二十四分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き会議を続行いたします。
  28. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 蒸し返すようでありますが、勧告を行つた場合内閣はその勧告を尊重しなければならない。その勧告を尊重させる力を持つており、又しなければならないものであるならば、もう勧告を通り過ぎた命令だと思うのであります。私はこの意味内閣勧告を行つた場合は、内閣はその勧告を尊重する意味において、関係法案国会提出する場合は委員会勧告書を添付すると、こう書くのならば、勧告することは自由と思いますけれども、尊重しなければならないとこう申しますと、委員会内閣に命令権を持つことになると思うのであります。これを私は法律をあまりよく分らないのですが、従来の日本の家庭で仮に申しましたときに、親が子供に勧告をしたときには子供はその勧告を尊重しなければならない。こういうことは結構なんですが、子供が親に勧告をしたときは親はその勧告を尊重しなければならないといつたら随分妙なものになると思うのであります。だから結局問題はどちらが重いかということを一つ考えなければならない。そこに一番重に国会に向つてああいう言葉が出たから、おそろしい妙に聞えたのでありまして、勧告を尊重しなければならない、尊重すべきものであると決めてしまつたならば、私は言葉の美しい命令のようになると思うのであります。この意味におきまして、尊重しけなればならないということを、尊重すること希望するとか、或いは尊重する意味において云々というのは結構でありますか、ならないということは穩当でない。これはたしかに改むべき多くのものがあると思うのであります。
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今の柏木君の御意見を法制局の方から答弁してもらいましよう。それでよろしゆうございましようか。
  30. 島村軍次

    ○島村軍次君 ちよつとそれに関連して、簡單でありますが、元の案によりますと、結果を内閣勧告するとこうある。それから今後の案によりますと「内閣及び内閣経由して」と書いてあるのですが、そうすると、そういう変りました理由がちよつとはつきりせんのですが、その点ちよつと簡單に説明願いたいと思います。
  31. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 先般本委員会におきまして法律案の概要について御説明いたしました際には、今島村さんの御指摘の通りに、内閣に対して勧告をするということになつておつたのでございます。併しながらシヤウプ勧告書を仔細に検討いたしますと、この委員会議が総理府機関ではございまするが、独立性を多分に附与されたものであり、又その取扱う事項が極めて重要性を持つておりますような関係もありまして、單に行政府であるところの内閣勧告するばかりでなく、更に「内閣経由して国会勧告する。」という方途を設けることが妥当である、かように考え方が練りましたので、今回提案いたしました法律案の中において、只今御説の通りに国会にも勧告ができるとこういうふうな途を開くに至つたのでございます。この点につきましては、或いはもう少し早く機会を得まして、その後の変つた点を御説明申上げればよかつたと存ずるのでございますが、時機を失して甚だ恐縮に存じまするが、さような意味合におきまして、特に内閣及び内閣経由して国会にも勧告ができるというふうな途を開いたような次第でございます。御了承を願いたいと思います。
  32. 島村軍次

    ○島村軍次君 その他の件について二三伺つて置きたいと思いまするが、第一はこの委員の……
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまでまだ行つておりません。同條……
  34. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は実はまだ皆さんの御意見も拜聽しないで、今来たばかりでよく分らないので、重複するかも知れませんが、この委員会議の決議というものをどこまで力を持たせるかという考え方からすべては出発されておるのだろうと思つておるのであります。これを内閣機関とした、附属の機関としたという点も一つであり、それから第三條、第四條の考え方もその一つであると思いますが、従つて第四條については、実は私はこの程度の力を持たせるということはいいと思つております。ただこの第三條の「国会勧告する。」という点について、これは少し強過ぎはしないかという考え方を持つておるものです。それを教育委員会の方の例に取りますと、教育の予算を教育委員会が決めて、そうしてその決めた予算を知事に提出する、県なら県の知事に提出する、知事市町村長に提意する、そこでその知事市町村長はその予算を尊重しなければならない、そうして若しその予算を変更し、その予算を削減するような案を知事市町村長が、議会に、或いは県会に提出する場合においては、教育委員会の議決したものをも一緒に議会に提出しなければならない、こういうふうに教育予算についてはなつております。そうして県の市町村議会におきましては、その知事が決めたところの予算と、そうして教育委員会で決めたところの予算とを同時に知事が議会に送付して、そうして議会は最高立場において、その知事の決定案と教育委員会の決定案と二つ睨み合はせて、そうして最もいいものとして決定して行く、こういうやり方を教育予算においては行政的措置が講じられておる、それでその例を取つて見るならば、私は寧ろ内閣勧告をして、こうして内閣がそれを尊重しなければならないが、若し内閣が都合によつてこの会議の決定案と別の決定を法律案等に出す場合等においては、内閣国会に対してこの議会の決議案を同時に出さなければならない、こういうふうにした方が却つて国会が、むしろ内閣の案と、それからこの会議の案と、両方睨み合はして、そうして国会自身がこの会議の案を相当尊重しつつ審議することができるだろうと思うのです。それをまるで国会の上にあるように、国会勧告することができるのだというふうに主張することが、果してこの法案の目途としておるところの、どの程度までこの会議の決議案というこのに力を持たせるかという考え方に、逆効果を来らすこともありはしないか。なぜかというと、第四條につきましては、内閣がこれを尊重しなければならんということになつておるけれども、国会においては尊重しなければならんという規定はない。而もそういう規定というものは、やり得ない、規定は作り得ない筈であります。そうしますと、国会勧告を受けても、それを尊重するかどうかということは自由である。こういう立場にあるのであつて、むしろ教育予算のごとき仕組みを取つた方が、この目的は達成せられるのではないかということを私は考えておるのであつて、それをどうするか、或いは修正するかどうかということは別として、一応私の見解を述べて、そうしてこれに対する政府の御意見を伺いたいと思います。
  35. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今鈴木さんから御質問がございました。例えば教育予算に関しまして、当該執行機関たる地方団体の長及び教育委員会から、両方面から出たものを、最高の決議機関であるところの当該地方議会でこれを判断して行く。こういう考え方をこの際、この調査委員会議の場合においても考えて見たらどうか、こういうふうな御質問であつたように思うのでございます。只今のような行き方も勿論一つの行き方でございまして、私も全くそういうふうな方法もあることは存じておるのでございますが、同時に又、この法律案の第三條に書いておりますことを見ますると、この調査委員会議において調査立案いたしました結果を、先ず内閣勧告をすると同時に、内閣経由して国会勧告をする、この二つの途が開かれておるのでありまして、内閣がこの勧告を受けました場合においては尊重しなければならない。第四條によつてそういう規定が設けられております点を考えますと、この地方行政調査委員会議において処理されました、言い換えれば、調査立案いたしました結果は、一方内閣はこれを尊重して取上げることに相成ると予想されますと同時に、一面この調査委員会議は、内閣を通して国会勧告をいたすことになりますので、国会も亦この調査立案内容を予め御承知置きを願うということになりますので、内閣勧告を尊重して、或いは法律案等を国会に提案いたします場合におきましては、国会においても一応調査委員会議の調査立案内容を御承知の上でありますので、彼此勘案考慮をせられまして、適正なる御判断を頂くためには妥当な一つの方法ではなかろうか、言い換えれば、方法論といたしまして、教育予算の取扱いのような方法もあれば、又今回のこの法律案にありますような方法も亦考え得るのではないか。このいずれがよいかということになるのでございますが、この法律案といたしましては、ここにありますような方法によつて、地方行政調査委員会議の調査立案いたしました結果を、行政を担当しております内閣、立法の最高機関である国会、両方面に差出しまして、国会におきまして適正妥当に御判断を願う機会は、この法律によつて与えられておる。これも一つの行き方ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四條まで外に御質問ございませんか。私から一つお伺いして置きたいのは、この第二條と、それから附則の第十六條の次に他の一條を加えるというので、総理府設置法の一部を改正しておりますね。そうすると総理府設置法の第十六條の二に、「総理府機関として臨時に地方行政調査委員会議を置く。」それからその二項に、目的なんかとちやんと書いてございますが、これと同じようなことがこの二條、三條に書いてある。その関係を御説明願いたい。
  37. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 先ず私から概要を御説明いたしまして、更に関係課長からも補足的に説明をいたしたいと思います。この地方行政調査委員会議が、説明中にもお聽取りのことと存じますが、国家行政組織法の第八條第一項の規定に基いて総理府機関として設けられるということにいたしたのでございますが、この総理府機関として設けられておりますものは、どういうものがあるかと申しますると、日本学術会議というのがあるのでございます。従いましてこの第二條は、この附則第二項でございますが、いわゆる総理府設置法を改正いたしまして、十六條の二を追加するということになりましたのは、総理府設置法の第十六條に総理府機関であるところの日本学術会議に関する規定が置かれておるのでございます。今回の地方行政設査委員会議の設置法の第二條に基きまして、更に総理府機関としてこの委員会議が設けられることに相成りましたので、十六條の二として、その機関は「総理府機関として、臨時に地方行政調査委員会議を置く。」と、この地方行政調査委員会議はどういうことをするものであるかということをここに書くことになつたのでございます。それは附属機関でございますと、表の中に收めることに相成つておるのでございますが、右申上げましたような総理府機関として、日本学術会議と並んで新たに設けられることに相成りましたので、特に総理府設置法の改正をもこの際行いたい、こういう意味からこの法財案を立案いたしたような次第でございます。尚詳細の点は担当課長から申述べたいと存じます。
  38. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 只今次官から御説明申上げましたことで大体御了承願えることと存じますが、この総理府設置法に方にわざわざ書きまして、又こちらの方に同じようなものを書きましたのは、如何にも重復しておるじやないかという御質問と存じますが、最近の例といたしまして、国家行政組織法全体の中でどういう位置を占めておるかということを、一般法で各省府の設置法の中へ書きまして、それに基きまして、基きましてと申しますのは、同じ法律でと言うと誤弊があるかも知れませんが、各單行法或いは政令以下で規定をするという体裁を取つておりますので、これも慣例に倣いまして、総理府設置法一條を加えまして、その全体の中の地位をはつきりさせました。で、この單行法で更に詳細に規定いたすということにいたしたのでございます。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうすると総理府設置法の第十六條の二によつて、この臨時に地方行政調査委員会議というものが設けられたのであつて、この地方行政調査委員会議設置法案の第二條は念の為の規定である、こういうことになりますか。そう了承していいのですね。
  40. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) はあ。
  41. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それからもう一つは、先程の説明員説明によりますと、第三條の二項の第四号、「前三号に掲げるものを除く外、市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整に伴い必要な事項」という中で、府県の廃置分合、市町村の廃置分合というようなことまでこの四号の中に含ませて、この会議事務内容としているようですが、そうですか。
  42. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今委員長から御質問がございました通りに、第三條第二項第四号の、「前三号に掲げるものを除く外」云々の言葉がございますが、これらは事務の再配分と関連いたしまして、これらの事務を担当して行きます場合における市町村都道府県等の地方団体の境界変更、或いは廃置分合等の問題が起ることが予想いたされますので、これらを含めました意味において第四号を設けておるような次第でございます。
  43. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚お尋ねしますが、只今東京都におきまして、特別区の自治権の内容について大分問題があるようで、いろいろその点について会合等が行われておるようでありますが、この地方行政調査委員会議においては、そういうことを、その事務配分考えるのか考えないのか、考えるとすれば、四号の中どれであるのかそれを伺つて置きたいと思います。
  44. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えをいたします。特別区の問題につきましても、この法律といたしまして、この地方行政調査委員会議の所掌事項として取扱い得るものと考えておるのでございます。それはここに掲げてございまする第三條の第二項の各事項中、市町村という言葉が使われておりまするが、この市町村の市の中には特別公共団体であるところの特別区をも包含しておる、かように解釈をいたしておるのでございまするので、従つて市町村都道府県及び国相互間の事務配分調整」という場合においては、特別区をも包含しておる、かように解釈いたしておる次第でございます。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 紙に御質問ございませんか。  それでは第五條から説明して下さい。
  46. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 第五條は、会議組織規定いたしておるのでございまして、会議組織は五人の委員から成つております。で、この五人の者は内閣総理大臣が両議院の同意を経て任命することといたしておるのでございます。尚第二項には、その五人の委員のうちの三人は、それぞれその各号に掲げたものでなければならないように規定をいたしております。これはシヤウプ報告書の中にも同樣の趣旨が示してありますが、政府といたしましても、それを採りまして、やはりこの三人の者を委員の中に含むように規定をいたしておるのであります。ただシヤウプ報告書には、両議院の同意を経るように規定はいたしてないのでございますが、重要な委員でございますので、その任命の手続を愼重にいたしますために、両議院の同意を経ることにしてあるのであります。尚三人の中の残りの二名につきましては、何も規定はございませんが、これは内閣が両議院の御意向も伺いまして、広く適任者を選ぼうという趣旨でございます。  第六條は会議の議長の規定でございます。これは改めて御説明することがございません。  第七條は会議の議事の運営についての規定でございます。  第一項は委員が四人以上出席しなければ聞くことができないといたしておりまして、過半数よりも重い定足数を決めておりますが、これはこの会議委員が常勤を建前といたしておりますし、且つ人数も少いので、四人以上ということにいたしたのであります。第二項は、改めて御説明申上げる必要はないと存じます。第三項は、ここに揚げてありますものの外は、必要な事項会議が自主的に決定をするというような建前にしておるのでございます。  第八條会議の議事をやつて参ります上の権限規定したのでございますが、その権限といたしまして、第三條の計画調査立案に関し必要があるときは、参考人の出頭及び意見を求める、或いは関係行政機関、若しくは地方公共団体等に対して記録の提出を求めることができるという権限規定をしておるのでございます。この中で地方公共団体等としてございますのは、地方公共団体、或いはこれらに類する公共的な団体、或いは地方公共団体の地方の連合組織、そういうようなものも含める意味でございます。第二項では、その参考人に対しまする旅費と日当の規定でございますが、これは内閣総理大臣が大蔵大臣と協議して定めるというのは、この旅費及び日当を具体的に幾らに決めるかということは、距離の遠近、或いはその人の地位によりそれぞれ違つて参りますので、それでこれは予算と密接な関連がございますので、この委員会予算につきましての主管大臣である内閣総理大臣が大蔵大臣と協議をして定めるということにいたしておるのでございます。  第九條及び第十條並びに第十一條は、会議が五人の委員の下で、どういうような組織で補助をして参るかということについての規定でございます。第九條は、その一つの專門調査員でございます。專門調査員はこの会議任務の特殊性に鑑みまして、いろいろ專門的に調査をする事項が沢山あろうと予想されますので、かような任務をいたさせますために、專門調査員二十人以内を置くことにいたしておるのでございます。專門調査員は学識経験のある者の中から、会議推薦に基いて、内閣総理大臣が任命をすることにいたしておるのでありますが、特に会議の自主性を重んじますために、内閣総理大臣の任命の前提として会議推薦を必要とすることといたしておるのでございます。尚專門調査員は広く適任者を得る建前からいたしまして、常勤でも非常勤でもよいということにいたしておるのでございます。  第十條はこの五人の委員を補助いたしますもう一つのものといたしまして、事務局を置くことにしてある、その規定でございます。事務局と專門調査員とが五人の委員の下に並んでおりまして、專門的な事項を調査をして五人の委員の補助をするのが專門調査員であり、その他の一般の事務を処理されますのがこの事務局でございます。事務局は事務局長以下、その他の職員が置かれることになるのでございます。尚この職員につきましては、附則の第四項におきまして差当り行政機関職員定員法の一部を改正いたしまして、新給与実施本部の廃止に伴いまして六人減員となります、その六人をこちらに廻すようにいたしておるわけでございます。それから事務局の内部組織は議長が定めることにいたしておりますが、これは普通の外局でありますと、外局の長が定めるように国家行政組織法の中には規定がございますが、この第八條機関につきましてはかような規定がございませんので、会議の自主性を尊重いたしまして、議長が定めることにいたしておるのでございます。  第十一條関係行政機関、或いは地方公共団体との連絡に当るものについての規定でございます。專門調査員と事務局とを置きましても、更にこの会議をいたします調査立案の対象となります事務が非常に広汎でありますので、関係行政機関或いは地方公共団体と連絡を密接にしてやる必要があろうと考えますので、会議関係行政機関或いは地方公共団体の長に対しまして、それぞれその部下の職員の中から会議と当該行政機関又は地方公共団体との間の連絡に当る者の指名を求めることができることとしているのであります。これは会議が任命をいたすのではございませんので、会議といたしましては、関係行政機関の長なり地方公共団体の長なりに、会議との間の連絡に当る連絡者を指名してくれということを請求する権限を認めてあるのであります。この連絡員に指名されました者は第二項で、当該行政機関又は地方公共団体の所掌する事務に関し、資料の提出その他会議関係行政機関又は地方公共団体との間の連絡に当ることといたしておるものでございます。  附則の第一項は、この法律の施行期日の規定でございますが、公布の日から施行することといたしております。  第二項は総理府設置法の一部改正でございますが、「第十條中「第十六條」を「第十五條」に改める」とございますのは、これは直接調査委員会議との関係はございませんが、現在の総理府設置法の第十條中の第十六條とありますのが、立法の誤りでございましたのでこの機会にこれを訂正するということにいたしたのでございます。「第十六條の次に次の一條を加える」といたしまして第十六條の二を置きましたのは、先程も申上げました総理府設置法第十六條と申しますのが日本学術会議規定でございますが、その次にこれを加えることにいたしてあるのでございます。  第三項の特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する規定でございますが、これは特別職の職員の給与に関する法律を今国会に提案して御審議を願つておるのでございますが、新たに地方行政調査委員会議長及び委員を特別職として加えることになりましたので、それの給与を規定いたす必要から所要の改正を加えたのでございます。「第一條第十一号の次に次の一号を加える」というのは第一條で特別職を列挙してあります中に、地方行政調査委員会議の議長及び委員を加えたのであります。別表は金額何円ということで規定をしている表でございますが、議長は衆議院及び参議院の事務総長並の枠の中に入れる改正でございます。これは三万四百円でございます。それから委員の方は全国選挙管理委員会委員と同じ枠の中に入れております。これは二万四千円でございます。それで議長の方が全国選挙管理委員会委員長並にいたしますと、これはもう一段階上になりまして国務大臣同様の三万二千円になるのでございますが、これは今後かような委員会委員長というようなものは国務大臣と同列にすることは成るべく控えたいという方針で一段下の方にしてあるのでございます。  第四項は先程御説明申上げましたように、この臨時国会におきまして取敢えず所要の職員を置かなくちやならないというわけで、新規の増員は避けたいという政府の御方針でありますので、取敢えず新給与実施本部の減員分をこちらに廻すための改正でございます。
  47. 島村軍次

    ○島村軍次君 第五條中の三人の委員については分つたのでありますが、「推薦した者」という意味は、現に職にある者を予定しておられますか、或いは職にない者でも代表者が推薦した者であれば差支えないという意味であるか。それから関連をしまして、従つて例えば労働組合の代表者というような者をこの三人以外に加えるというようなことを予定されておりますかどうか。或いは又若し推薦があつた場合には、さういう場合も予想の中に入れられるかどうか。それが第一点であります。それから会議については、これは公開か非公開か書いてありませんが、総理府機関であれば非公開のつもりでありますかどうか、その点。もう一点は、参考人の出頭を求めるというのでありますが、公聽会等の予定がありますかどうか。この三点について伺います。
  48. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。  先ず第一の、第五條第二項に掲げてある者の推薦をいたします場合におきましては、その職に就いておるということは、恐らく知事であるとか、市長であるとか、町村長であるとかいうことをお指しになつておるのではなかろううかと存じまするが、この法律案考え方といたしましては、職に就いておる者とは限つておりません。推薦をした者につきましては、如何なる者であるかということは限定をいたしておらないのでございます。尚これ以外の二人の場合において、只今島村さんから御質問がございましたように、労働組合を代表いたしておるような者を予想しておるかどうか、こういう点でございますが、これは先般私から御答弁をいたしましたように、本来この委員は、地方行政調査委員会議の重要性に鑑みまして、これが運営に最も相応しい人材を求める、こういう趣旨から出ておりますので、具体的に如何なる者でなければならないということはこの法律案自体としはて考えておらないのでございます。  次に委員会議は公開するか、或いは非公開の方針を採るか、こういう御質問であつたように存じまするが、この調査委員会議の運営に関しましては、会議自体が決めることに相成つておりますので、この点につきましては会議が如何なる方針によつてこれを運営いたしますかは、会議の自主性を尊重いたすべきであろう、かように存じます。  更に第三点の公聽会の問題でございますが、この法律案といたしましては、調査委員会議の取扱いまする仕事内容から考えまして、公聽会を開くというまでもなく、必要なる者を呼びまして調査をする、或いは專門的な事柄が多いのでございまするので、專門調査員の制度を設けまして十分に検討をさせるようにいたすことが妥当ではなかろうかというので、公聽会の制度は採つておらない次第であります。
  49. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今のに関連して、第五條についてもう一度詳しくお聽きしたいと思うのですが、この第二項の第一号、第二号、第三号の字句を読んで見ますと、連合組織の代表者が推薦した者ということになつているので、連合組織推薦した者ということではない。従つて連合組織の代表者というものは、これは当然知事の現職者のうちから選ばれることであろうし、又市長の現職者から選ばれた者が代表者になる。又町村長の現職者から選ばれた者が代表者になる。その選ばれた代表者が推薦した者であるから、自分自身を推薦した場合においては、それはいいし、或いはその代表者たる者が副代表者とか、或いは町村長の間に最も適任とした人を推薦するということも考えられるが、どうもこの文面から見ると、原則としはて現職でない学識経験者のようなものであつて、そうしてそれぞれの知事、市長、町村長の意思を代表し得るような第三者を推薦するような形に字句の上から見えるのでありまするが、只今の御説明によりますと、現職者でもよろしいというような意味でありましたのですが、もう一度その点をはつきりとお聽きしたいと思います。実は私の意見といたしましては、連合組織推薦した者と言う方が適当ではなかつたか、代表者という言葉が要らなかつたのじやないかというふうにも実は考えておるのでありまするが、この点の解釈をお伺いしたいのが一つ。  第二点は、先程島村君からも質問がありましたが、他の二名でありまするが、例えば具体的に国会議員の如きものがこういう委員として任命されることができるのであるかどうか。これは附則でしたか、他の所で特別職と書いてありましたが、そうするとこれは特別職であるからして、国会議員が任命され得るような性質を持つている委員であるかどうか、この点をお聞きしてみたいと思います。
  50. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 鈴木さんの御質問に対してお答えいたしたいと思います。まず第一は、第五條第二項の各種の連合組織の代表者が推薦するということになつておるが、この点については知事とか、或いは市長というふうな現職にある者を推薦する考えのように聞いたがどうかと、こういう点でありましたが、私の答弁いたしましたのは、現職者というふうなものは実は予想しておらないのでありまして、これだけを見ますると現職者をも推薦ができるようなふうに読めるのでありますが、御承知の如く、この種委員会議におきまして現実に仕事をいたしております場合においては、当該連合組織がよく相談をいたしまして、そうしてこういうふうな人が最も適任であるということで連合組織の代表者が推薦した者であることが望ましいと思うのであります。従いましてさような観点からやはり推薦をする当事者といたしましては連合組織ではございまするが、連合組織推薦をすることに相成るのでございまするけれども、推薦をしまする当事者はやはり連合組織を代表しておる者が推薦をする、こういうふうなことになるであろうと、かように考える次第でございます。次の点につきまして、この三人以外の二人の委員の中に国会議員が含まれると考えていいのではないかというふうな御意見でございますが、尤もこの委員が特別職でございまするので、国会議員をもこの委員に選任するということは決して不可能ではなかろうと存じます。併しながら従来の立法例かり考えますというと、国会法の第三十九條によりまして、国会議員が兼職をいたします場合においては国会の承認を求めなければならないことが書かれておりますと共に、相当制限されておるものと解釈いたしておるのでございます。従いまして若しこの法律案によりまして地方行政調査委員会議が他の二名の委員の中に国会議員を当然に想定いたしておりますものといたしますならば、他の立法例からも考えまして、国会議員がこの委員になり得る道をこの法律案に開くということが常道ではなかろうかと、かようにも考える次第でございまして、先般来他の議員からも御質問がありました際にお答えいたしましたように、この法律案の他の二人の委員につきましては、この委員会議の運営にふさわしい人材ということを考えておりますので、特に国会議員の方につきましてこの法律案自体が触れておらないということを申し上げておいたのでございまするが、さように御了承願つておきたいと存じます。
  51. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 更にこの二人のうちには、例えば官吏、そういう方面に関係しているところの行政機関内におけるところの官吏というようなものも、委員として任命し得るというような御解釈のもとに進められているかどうかも、お聽きしておきたいと思います。
  52. 小野哲

    政府委員(小野哲君) この法律案委員の選任の要件等を明示いたしておりませんので、只今の御質問にありましたように、可能なる限度においていかなる人でも適当なる人材であるならば、任命し得る道が開かれておるものと解釈いたしておるような次第であります。
  53. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 專門調査員でありますが、專門調査員は今配付されました予算に関する文書等によりますと、非常勤が十五人であつて月額五千円ということが書いてあるところを見ますと、非常勤を大体原則としていられるように予算面からは考えられるのでありまするが、法案の條文から見ますと、非常勤とすることができるとあつて、むしろ文面の解釈からすれば、常勤が原則であるけれども例外的に認めてもいいというような書き方になつていると思うのでありますが、予算面に現われているのも恐らく、政府の真意であるかと思いますが、更にその点一つはつきり御答弁願いたいと思います。それから專門調査員の大体の、何と言いますか、位付けと言いますか、どういう人を要求しておるかということであります。大体において国会図書館或いは国会の常任委員会等における專門員のような階級の程度の人を所期しておるのであるかどうかということについて御答弁が願いたい。  それからもう一つ答弁願いたいのは、これは特に委員長のお許しを得なければなりませんが、第四條、五條以下になつておるのでありますが、実はその前のことなんでありますが、本委員会が審議します、調査いたしますところの事項でありますが、岡本委員長質問に対して小野次官から東京都内の特別区の問題は、これは市とみなして審議するものであるという御答弁があつたのでありますが、御答弁趣旨十分よく了解できるのでありますが、併しこの法案が出ましたのは、御説明にもあつたように、シヤウプの税制改革のレコンメンデーシヨンから来ているものと思うのであります。シヤウプのレコンメンデイーシヨンによると、シヤウプ氏は東京都内にそうした特別区のような特殊の自治団体があるということについての考えは、私の見るところは考慮していない、考慮の中に入つていないと思うのでありますが、それでただ市町村及び都道府県という言葉で現わしておるものでありますから、この法案の中にもやはりその言葉で出て来ておるのであります。ところが、岡本委員長がお話しになつた、即ち特別区があのシヤウプの税制改革案からヒントを得まして、そうして自分たちは市と同様のものであるというところの観念で以て、市と同様なる自治権の拡大運動を盛んに今展開しておつて、我々にもその会合の案内状が来ておるわけですが、一つの政治問題化しておるのであります。併しながら東京都内の特別区というものは、行政の目的からいたしまして、本来むしろ行政区的な性質のものを、東京都の市街地地域が、即ち旧東京市の地域が非常に広いというので、他の五大都市等に認めていないところの自治区、即ち特別区というものを認めて、議会を特に設けておるに過ぎないのである。本来は私はどうしても行政区的な本質で進まなければならんものであると思いますが、その間に非常な、シヤウプの案に特別区という言葉が入つていないものであるから、まあ小野次官が言われるように、市並みのものであるというふうに考え、政治運動が起つておるんでありますが、これは若し私が今申上げたと同じような特別区に対する政府は見解を持つていらつしやるならば、シヤウプ氏は全くその考慮に入れておらなかつたのでありますが、特にそうした誤まつた自治権拡大運動を特別区の諸君が多額の費用を使つて展開するというようなことをしないように、この際特別区ということについて言葉を別にやはり入れられて、この観念を明確にする必要があると思うのでありますが、併せて一つできれば御答弁願いたい。
  54. 小野哲

    政府委員(小野哲君) まず第一の專門調査員の問題でございますが、御承知のごとく、この專門調査員の構想は、五人の委員ができましてこの会議の運営に当ることに相成るのでございますが、專門調査員は、言わば五人委員のブレーンというふうな意味で活動することを期待いたしておるような次第でございます。会議所掌事務がここにも掲げてございまするように、広汎に亘つておりまして、従つてこれを遂行して行きますためには教育、或いは衞生、農林、土木等各部門毎に專門的な調査をいたさなければなりませんし、又必要に応じて諸外国の制度法制、或いは複雑な経費の計算等極めて專門的な事柄に亘つて調査をいたさなければならないことを予想いたしておるような次第でございます。従いましてこれらのそれぞれの事務に精通しておるものを選任いたしまして当らせたいと、こういうふうな会議の特性に鑑みまして、專門調査員の選任に当りたいと思つておるような次第でございます。  従いまして、その人選の範囲も、單にお手伝いするというばかりでなしに、これらの專門的な知識経験を十分に五人委員のブレーンとして活かして行くというふうな学識経験のある者に限らなければならないと存ずるのでございますが、この具体的な人選につきましては会議自体が行うことになつておりますので、私共の構想を一応申上げまして、お答えをいたしておきたいと存じます。  尚次の点といたしましては、第三條の第二項の事項の中で、特別区の問題を吉川さんからお問い質しに相成つたのでございますが、私が先程申上げましたのは、特別区は地方自治法の規定に基きまして、市の規定が適用されるという建前から考えまして、この市町村の市の中に含まれているものと、かように解釈をいたしておるということを申上げた次第でございます。尚昨今特別区の自治権の拡充について当該団体が、或いは団体の長がいろいろ運動をいたしておりますことは、私も承知をいたしております。先般本委員会におきましてもこの問題が取上げられまして、その際委員の御質問に対してお答えをいたしたのでありますが、特別区の自治権拡充の問題は、一面シヤウプ勧告書に基く地方税制の改正の問題があることは勿論でありますが、同時にいわゆる事務の再配分との関係もあることを見遁すわけにはいかないと、かように思うのであります。この東京都に特別区ができたということについてのいろいろの点につきましては、尚議論の余地があろうかと存じまするが、一応特別区として生れておりますものを今後どういうふうにこれを扱つて行くかということは、一面税制の問題、他面事務の再配分の問題、この両面から検討して取扱つて行く必要があろうかと思うのでございます。従いまして私共といたしましては現行の制度に立脚して、特別区の問題を税制及び事務の再配分の両面から検討を加えて、これをどうするかという結論を出されることを期待をいたしておる次第でありまして、只今直ちにこれが行政区として扱われるべきものである、さような意味合を持つたものであるというふうに申上げることは差控えたいと思うのでございますが、この種、地方行政調査委員会が発足いたしました場合においては、当然に税制の改革と相俟つて特別区の問題は取上げられるであろうということを期待をいたしておるのでございます。尚市町村ということを書きまして、特別区を特に謳いませんでしたのは、先程申しましたような意味において市の中に含まれている、こういう解釈を持つたからでございます。
  55. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 もう一度委員長に特にお許しを得なければならん御質問ですが、今のやはり第三條の問題に関連しているのですが、府県の廃止、或いはこれに伴うところの道州制の設置というような極めて広地域の行政單位の廃合整理というようなことの問題もやはりこの調査事項の中に想定していいのでございますかどうか。
  56. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答をいたします。只今吉川さんから御指摘になりました広域行政権の問題につきましても、地方行政調査委員会議において取上げらるべき事項である、かように考えております。
  57. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この機関は行政執行機関ではなくして、調査立案機関なつているわけですが、そのスタツフは專門調査員その他についてまあなつておりますけれども、何といつても現在の実際の情勢を知るためには、ただ学識経験者だけでは現状を掴み得ない。どうしても現在あるところの地方公共団体或いは他の行政機関というものの調査した結果等を十分に利用しなければならないというふうに考えております。まあその点について十一條がそれを規定しておるようでありまするが、この十一條規定はただ連絡に当るものを指名するという程度である。従つてそれぞれの公共団体とか或いは行政機関に勤めておるところの職員を臨時指名をして、そして連絡に当らせる、或いは資料の提出等をお願いするということになつておるが、もう少し他の行政機関或いは地方公共団体に対して必要とするところの資料を求めることができるという様な、包括的なもつと強い権限を与える必要はありはしないか。ただ單にそのうちの職員を指名して、職員を通じて連絡に当らせるというだけでは、十分なところの資料の取ることが困難ではないか。第九條における專門調査員の如きは、他の官庁なり地方公共団体に行つても何らの権限もない。ただ一つ会議の中においてブレーンとして、働くに過ぎないのだ、單に他の行政機関なり、公共団体に行つたならば、何かありませんかと言つてお伺いをする程度のものである。これによつては十分なる現在の資料をですね、ブレーンはいるけれども、実際の実情を提出してもらつて、調査することができないということになつておるようでありますが、この点はどうしてもう少し強い報告の権限をこの会議に与えなかつたかという点を一つお聽きしたい。  それから更に、この地方自治庁が今までこういうような調査をしておつたと思います。そこで勿論、地方自治庁はそれぞれの行政機関として行政事務をやつておるけれども、それだけでなく、この会議目的としているところの調査等をやはり地方自治庁においてやつて頂きたいと思うのです。この従来やつていたところの地方自治庁の事務は一切この会議の方面に移してしまうというようなことは、これは、地方自治設置法案の改正法案はここにはありませんから、従来通り地方自治庁の権限も入つていると思いますが、そうすると両方においと同じようなことを併行して行くようにも考えられるけれども、この点はどういうふうに両方の関係を調節して行こうとしておられるかを一つお聽きしたい。  それからもう一つ、第三点は、この会議仕事は主として事務の分配が多いのであつて、財政に関係するものは非常に少い。併しながらこれは事務を分配して財政を分配しようということが、この目途でありまするから、財政方面との連絡が非常に重要なものとなるのでありますが、この点につきましてもそれぞれの連絡が、單に第十一條規定するところでは足りないように考えるものでありますけれども、その財政関係の方面と常に睨み合せて、この事務配分調整考えなければならんと思いますが、その方面との連絡はどういうふうにされようとしているか。この三点をお聽きしたいと思います。
  58. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 第一は、この会議を適切に運営して行きますためには、もつと関係行政機関なり或いは地方公共団体に対して、資料の提出その他強く要求していいのではないか、この点について欠くるところがありはしないか、こういうお尋ねであつたと思います。これにつきましては第十一條は一応連絡のための職員を指名するの途を開いておるのでございますが、お説のようにこれだけでは決して十分とは考えておりません。勿論この連絡員の活動如何によりましては、緊密な連絡を取り、或いは資料の提出も可能であることは申すまでもございません。これにつきましては、第八條規定を極力活用いたしまして、この会議調査立案に関して必要がありますときは、或いは広く参考人の出頭を求めるとか、或いは意見を求めるとか、又は関係行政機関であるとか地方公共団体等に対しまして記録の提出を求める、こういう規定がございますので、これによりまして万遺憾なきを期して参りたい、かように考えております。  第二の点は地方自治庁との関係であつたと存じまするがこの法律案を立案いたしまするに際しまして、その所掌事務内容なり、会議の運営につきましては、地方自治設置法に基きまして与えられた、地方自治庁の所管事務と密接な関係もございますので、地方自治庁が、その庶務を掌るということにしてはどうかというふうな考え方を持つてつたのでございまするが、関係方面の特に強い意向もございましたし、又会議任務の特異性にも鑑みまして、独立の事務局を設けることが妥当である、こういうことに相成りまして、この法律案にございますような独立の事務局を設置することといたしたのでございます。固より地方自治庁の所管事項とは密接な関係がございますので、十分な連絡を取りつつ運営の上に支障のないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。  第三点につきましてこの事務の再配分調査立案して行きます場合におきましては、地方財政と密接な関連がありますことは、地方行政調査委員会議自体の任務の中にも、事務の再配分に伴う国の補助制度の改正にまで及ぶことになつておりますので、従いまして地方財政の事務とこの委員会議が担当いたしております仕事とは密接不可分の関係にあることは申すまでもございません。特に将来シヤウプ勧告書に基きまして一般平衡交付金の運用その他地方財政に関する事務を担当する中央の機関が設けられることに相成ると存じまするがその場合におきまして、この地方行政調査委員会議とその中央機関とは緊密な連絡と下に不可分一体として運営さるべきものであろうとかように考えておる次第でございます。
  59. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 大体分りましたが、先程申上げましたのは地方自治庁の中に同じような仕事をする事務があつた。ところが地方自治庁がこの事務局にならないで、その独立の事務局を置くようになつて、同じような仕事を両方でやるような法制的建前なつていた場合に、その重複した部分について地方自治庁では全然その仕事を行わないで、こちらだけが行うということになるのか、両方共並行して、その配分調整とか或いは商工業団体に委任して行う調整とか、その他のことについて、両方が同じようなふうにして仕事を並行的にやつて行くということになるのかということを一つ伺いたい。
  60. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。私のお答えが少し足りなかつたと存じますが、地方自治庁の仕事と、地方行政調査委員会議の所掌事務とは密接な関係があるということは申上げたのでございます。ただこれを実際に運営するに当りましては、この地方行政調査委員会議は、この法律案第三條にもありますように、いわば調査立案機関であり、先程来問題になつております勧告権を与えられた機関でございます。地方自治庁は政府行政機関でございまして、いわば執行機関に相成つておるような次第で従つて同じような仕事を、両者において関連は持つておりますけれども、おのずからその使命が異なつておるようにも考えられるのでございます。従いましてこの地方行政調査委員会議において調査立案され、又勧告をいたされました案件について、むしろ地方自治庁としてはその与えられた権限に基いて適当な連絡調整の役目を果すというところに地方自治庁の仕事があるのではなかろうか、尤も地方行政調査委員会議が運営されるに当りましては、地方自治庁としても、或いは資料を提供したり、或いは必要に応じて、何と申しますか、お手伝いをするということは実際上は考えられるのでございますけれども、権限の上、或いは形式の上から考えまして、只今申上げたような両方のそれぞれの使命がありまして、それぞれの使命を持ちながらお互いが密接な関連を持つて万全を期して行くというふうに私は考える次第でございます。
  61. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この会議は大体来月の一日に発足の予定のようにこの前伺いましたのですが、臨時議会の延長は必至のようですが、そういう際に果して間に合うかどうか、この議会が延長されても、この会議が年内に発足するかどうか、そういう点と、それから予算を見ますと、二十四年度三百万円、来年度六百余万円が計上されてありますが、目下総理府としては大蔵省と折衝中だというように書いてありますけれども、余り予算が、一年乃至一年半を予定しておるのにしてはこれは少な過ぎると思いますが、こういう点はどうなんですか。
  62. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えをいたします。今西郷さんから国会の会期も非常に切迫しておる際に、而もこの地方行政調査委員会議が十二月から発足するということになるならば、急いでやらなければならんではないか、誠に仰せの通りでございます。御審議を願いまして速かに御可決を願い、又地方行政調査委員会議の設置に必要な準備も促進いたしまして、能う限り速かに予定の通りに発足いたしますように努力をいたしたいと、かように考えております。尚又予算の問題でございますが、定員の関係につきましては先程担当の課長から申しましたように、差当り六名の定員を与えられるということになるのでありますが、到底これでは少いので、二十五年度において十四名を加えまして、総勢二十名の人手で以てこの調査委員会議を運営するという段取りに相成るのでございますが、決してこれでも十分ではないと存じますので、尚折衝を継続いたしておるというのが事実でございます。
  63. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 予算の点はどうですか。
  64. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えをいたします。予算の点につきましても、自然人件費等との関係もございますので、尚定員の増加等についても折衝を継続いたしたいという考えを持つておりますので、只今お手許に差上げました資料に掲げてあります程度の予算では尚不十分である、かように考えております。
  65. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 先程お答えがありましたんですが、私がお聽きしたのは、この今度できる会議がやつて行くようなことを地方自治庁が今までやつていたので、地方自治庁は執行機関だから、実際の行政事務をいつもやつておりますが、その外にこういうものについて立案して法案として出すような仕事もしていたわけですが、その部分について、今度はもう地方自治庁は全然やらないということになつて、そうして市町村都道府県、国、その外に事務配分に関するところの、例えば地方自治法の改正、或いは商工業団体委任事務はどういうふうにするかということが地方自治体の改正案として常に今まで出て来ていたわけです。そういうふうなものはいつもこれは地方自治庁から法案として立案されて出ておるわけでありましたが、そういう部分について、今後はこれができた後においては地方自治庁が手を引いて、そうしてこの会議から法案が提案されるかどうか、或いは監督をするとか、或いはこれが内閣勧告をして、そうして内閣地方自治庁に命じて、そうしてこれを地方自治庁からその法案を出すような形になるのか、そのところをもう少し聽きたい、こういうことを申上げたのであります。若しくはこの会議から内閣勧告して、内閣から又地方自治庁へ来て、地方自治庁が立案してやるようになるのか、その関係がどうなるのかということです。
  66. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。私が少し抽象的にお話を申上げたので、或いは足りなかつたのかと思うのでありますが、今回地方行政調査委員会設置法ができまして、この委員会議が設置いたされますと、事務配分に関する仕事は、この調査委員会議が專ら行う、こういうことに相成りますので、自然地方自治庁としてはこの調査委員会議の行いまする地方事務配分につきましては関係をいたさない、こういうふうに御了承願いたいのであります。これを更に申上げますと、地方自治庁としては、現行制度の下における連絡調整を図る、こういう機能が与えられておる、こういうことになるわけであります。尚又例えば公共事務であるとか、或いは機関委任事務であるとか、そういうふうな事務調整整理を行うというふうな場合におきましては、この地方行政調査委員会議において調査立案の結果、こういうふうにすべきであるという勧告がございました場合におきましては、内閣としては当該官庁といたしまして地方自治庁が適当な法制の立案に当ることは当然であろうと、かように考えております。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問がなければ一二点尚続けてお尋ねしたいと思います。この五條で内閣総理大臣が自治委員を五名任命する、その人は大体常勤の人だというので、今日頂いたこの資料では常勤と書いてある。そうすると先程小野政務次官からのお答えのように、官吏で現職に就いている人でも適当なる人があればそれは委員の中に入れるのだということは言えないのじやないか。つまり常勤が建前ならば外に官吏をやつていることはできないのであつて、この常勤委員に專念しなければならない。その官吏とか国会議員とか、そういう外に忙がしい職を持つている人は自治委員にはならないという建前で、これができているのじやなかろうかということが一つと、それから先程私が質問したのによつて、東京都と特別区との間の事務調整ということも、この会議でやるのだというお話ですが、そうすれば、この第五條には都知事の方の推薦したものは出ているのですが、区の方の代表者というものは、まさか全国の市長の連合組織の代表者という、この市長の中には区長は入りませんから、区長の利益を代表するというようなのはなくなつて来る。つまり特別区と都との間の事務調整するのに、都の方の知事の推薦したものは出ているけれども、区長の方の利益代表というものは一つも出ていないということになりやしないか、その欠陥はどうするのかという点です。  それからもう一つこの第七條の委員四人以上出席しなければ会議を開くことができないということになつておりますが、この委員四人の中に委員長たる委員は含めているか、含まれるかということであります。つまり五人の委員があつて、そのうちの一人が委員長になるのでありますが、委員が一人欠席したときに、委員長も含めて四人以上になればよいという規定だろうと思うのでありますが、そうするとこの委員長は、この四人の委員の中の一人として投票権があるかどうか。つまり委員長を入れて四人しか出ない、つまり一人欠席したときに、その委員長を除いた二人が原案反対だ、それから委員長でない委員一人が原案賛成だ、それから委員長委員として原案賛成だということになつて二対二となると、そのときに又委員長の決定するところによるので、結局委員長が二票行使できるのかということをお伺いしたい。  それからもう一つは、十一條、これは鈴木君が触れられた点でありますが、この連絡者といいますか連絡員というものは、これはどのくらいの数を予定しておるか、地方公共団体と申しても都道府県は少いけれども、市町村は一万何千とある。それで連絡員というものはどういうふうにせられるのか、又官庁との連絡は、これは数は知れているが、それでその関係行政機関とか、地方公共団体の長とかでなくて、この市長会とか、町村長会とか、又府県の議長会というものが今度できましたが、そういう連合組織組織長といいますか、その推薦したもの、指名したものというようなことを入れる必要があるのじやないか、そういう点を伺いたい。  それからもう一つ、これは重大な点ですが、この委員というものは非常に重要なものだと思います。そこでこれは総理大臣が両院の同意を得て任命する委員ということになつているのですから、この中の一人か二人が死んだり、又外国へ急に行つたりすることによつて欠けることがあり得るだろうと思います。そういうときに、国会は開かれていない、両院の同意を求めようと思つても求めることができないというようなときには、常勤的にやつて行くので早く補填しなければならんのですが、その補填する途をこの法律案考えていない。外の法律案においては、例えば外国為替管理委員会法なんかでは、この国会の閉会中におけるこういう委員の議会の同意を得なければならんものも、そういう緊急の場合には後で議会の承認を得ればいいのだというような規定があるのですが、そういうことをしなかつた理由、これらについて伺つておきたい。
  68. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。先ず第一点の今回のこの法律案による委員は常勤的なものであるから、官吏その他、他に職務を持つている者がこれに当るということは、事実上不可能ではないか、こういうような御質問であつたように存じますが、この法律案法律的な取扱い方といたしましては、この運営にふさわしい人物ならば如何なるものでも結構であるという建前でございますが、岡本さんから御指摘になりましたように、実際問題としては、こういう仕事に当ります場合において、片手間にやるということが困難であるという事情が起つて来るであろうということを想像いたされますので、委員長の御指摘のような問題は起つて来るであろうということを想像するものであります。これは具体的に委員を選任いたします場合に考慮いたさるべき点ではなかろうか、かように存じます。  次の問題といたしましては、特別区の利益代表の関係から、この法律案は三つの連合組織の代表者が推薦するということに限定されているけれども、特別区の関係もあるので、それらの代表者も加える必要がなかろうか、こういう御意見のように伺うのでありますが、御承知のごとく地方公共団体はいろいろございまして、それらの各団体若しくはその連合組織の代表者が推薦する者を一々入れるということになりますと、相当の数にも相成りますし、先ず代表者な三連合組織から推薦をさせるということが穏当ではないか、こういうような意味合からこの三人が含まれることに相成つたものと承知いたしているのでございまして、仮に特別区の利益代表者が入らない場合が起きましたからと言つて、特別区の問題はこの行政調査委員会議において取扱われないということにはならないと存ずるのでございます。  次の問題は第七條の問題であつたと存じますが、委員四人以上が出席しなければ開くことができない、この場合において議長は投票権があるかどうか、こういう御質問であつたように存じます。この場合におきましては、委員長たる議長にも投票権がある、かように解釈をいたしております。  次は第十一條の問題で、連絡に当る者の数でございますが、この点につきましては、担当の課長から御説明いたした方が適当かと存じます。  尚又議長会議等の連合組織があるから、これらを考慮する必要はないか、こういうような御意見だと存じます。一応御尤もと存ずるのでございますが、この法律案の立案に当りましては、シヤウプ報告書をできるだけ忠実に尊重する、こういう意味合から、又先程申しましたような考え方を加味いたしております関係上、議長会議等の連合組織がこの中に入つておらないのでございます。  次にこの委員が、両院の同意を経て任命するというふうに愼重な手続きを取つておるのであるから、若し死亡その他の欠員の場合においては、これが補充の途をこの法律案の中に設くべきではないか、こういう御意見であつたように思います。他に立法措置の中にも御指摘のような規定を入れたものもあるのでございます。ただこの法律案の立案に当りましては、委員の欠員補充については、国会閉会中の問題を考えては実はおらないのでございます。さような意味合において、閉会中の措置がこの法律案の中に盛られておらないということを申上げておきたいと思います。  尚四人以上の委員会議において、定足数の問題等につきましては、私の足りない点は関係課長から尚詳細御説明をいたさしたいと存じます。
  69. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) 連絡員の人数がどのくらいかという御質問でございますが、十一條には人数は別段書いてございませんで、これは会議が成立いたしましたならば、会議の運営に関する必要なる事項として、会議が自主的に決められると思いますが、ただ立案に当りました私共の予想といたしましては、関係行政機関は、各省並びに大きい、特に地方行政と関係のある外局各庁、それらが大体まあ二十前後あると思いますが、そういうようなところ並びに地方公共団体は、これは全国一万以上の公共団体から全部出すということはできませんし、又この会議性質からいたしまして、そういうことも必要でございませんので、そういう專門調査員につきまして、次官から御説明がありましたように、教育とか、衞生とか、土木とかいう事項別の專門調査員もできることになり、又この会議仕事事項別に事務を上げて行くということになりますので、それらと関連いたしまして、地方公共団体から出ました者につきましては、やはりそれぞれの部門別に、而も成るべく東京に近い所から、府県、市町村、特別区等その団体から人が出るようにいたしたいとかように、考えております。従いまして、総計いたしますと、三十名から四十名見当がどうだろうかと考えております。
  70. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の小野政務次官のお答え中に、第七條の点ですが、議長が投票権を二重に行使するというようなことなんですが、それは甚だ今までにないことであつて、そうであるとするならば、甚だ妙なことになると思いますが、これに間違いありませんか。
  71. 佐久間彊

    説明員佐久間彊君) これは先程次官から申上げましたように、議長が委員としての票と、議長としてと、二票持つことになつておるのでごごいます。これは外に例がないという仰せでございますが、地方自治法におきましても、特別に書いてない場合には、議長が委員としてと並びに議長としての一票持つというようなことになつておりますので、それらのことも考えまして、かようにいたしたものでございます。
  72. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうも今の御答弁ですと、そういうふうに議長が二票も投票権を行使するというようなことはいいことじやないのでありまして、何故にわざわざそういうふうなことをしたか。それはいいことじやないのじやないですか。同一人格の者が、議長として委員として、二重に行使するということはいいことじやない。どうしてそういうことになつたのですか。その点をはつきり伺いたい。
  73. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この点は地方自治法なんかに確かに同様な場合があるのですけれども、それはこの議員なり、委員なりの数の非常に多いときなんです。こういうふうに五人とか、四人とかいうときに、二票持つということは由々しいことにんです。この点を私は指摘したつもりです。  尚閉会中に委員が若し二人死んだり又故障があつたりしたときは会議を開くことができないのです。閉店休業になつてしまう。それでそういうのはこういう会議として法律規定に非常に欠陷があるのだ。こういうような常勤という建前であり、一年少しの間にこの重要な仕事をやり上げなければならんというこの会議の重要使命に鑑みまして、愼重に国会の同意を経て、そうして委員を任命するということにされたのは結論であるけれども、そういう点から考えて見ると、やはり閉会中のことも考えておかなければならん。これが期限がないような会議ならばそれはそれでいい、又それ程重要でない会議ならばそれでいいかも知れませんけれども、こういうような重要な会議であり、期間を限定したところにおいて、この二人欠けたらばどうすることもできない。そのために臨時国会を開いて貰うわけにもいかないのですから、その点は非常に欠陷だと思います。
  74. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の第七條の御答弁によつて、こういうふうな僅かに五人の委員の中、特定の者が二重に投票権を行使するというような、そういうふうな、会議法案がそうであるとするならば、これは重大なる欠陷があると思います。この法案について我々は今この点を愼重に考慮しなければならんと思いますが、どうも今のはこれはおかしいと思うんだが……
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この点は時間も過ぎましたから、本日の委員の任命については、又考えて貰うことにして、今日はこの程度で散会いたします。    午後四時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員      藤井 新一君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            小川 久義君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治次長 遠山信一郎君   説明員    総理府事務官    (地方自治庁連    絡行政部連絡課    長)      佐久間 彊君