○天田勝正君 私は本
法案に反対の意を表します。その反対の第一点は、先ず全般的に責任の所在が依然として不明確であるという点であります。毎日この
委員会におきまして
質疑を続行したのでありまするが、農林当局の提出いたしました書類によりますると、或るときは会計令の不備である。或るときは
評価益の問題、このことは又後程申上げまするが、とにかく
政府の諸々の機関から提出された書類、或いは
答弁を聞いておりますと、何かその責任の所在が明らかにならないままに、恰かも天然現象のごとく、天から雨が降るごとく、或いは空に風が吹くごとく、ただ漫然としてこの五十四億七千万円という
不足額が生じた。こういう不明朗極まる、而も責任の所在が明らかにならな
いものに対しまして私は到底賛成し難いのです。
次には虚構の責任分散の問題であります。このことは先程も申上げましたように、先ず
政府の提出いたしました書類によりますると、
薪炭需給調節特別会計令の不備である。こういうことを言われておるのであります。仮に論点を明らかにいたしますために、この不備であるということを私は認めてもよろしい。然りといたしましても不備であるならばありますだけ、その責任者或いは担当官には誰よりも先に分らなければならない問題であります。而もこれらのことが今日まで明らかならざるままに推移して、今日に至ればそれに責任を転嫁するというかような不明朗さであります。
次は
評価益の問題でありまするが、これはたびたび私が
質問戰を展開することによりまして、
評価益の問題は決して過去にあるものではなくして、少くも二十三
年度以降にあるということが明らかにされましたが、この一連の責任分散、このことは飽くまでも追及しなければならないと思うのであります。
尚細かい点を申上げまするならば、私共素人には到底了解し難いところの不正が行われている。その二三を挙げて見まするならば、例えば現品が未清算であるのに
支拂証票を発行した、これ正に不正であります。又
支拂証票を二重に発行した。これは單に手落ちであるとか、無能であるとかの問題でなしに、実に不正も甚だし
いものであります。或いは現品保管中に、盗難、火災、水害、これらの理由でない以外の理由によ
つて消耗した。如何なることによ
つて保管中のものが事故がないのに消耗するか、こういうものを称して空気木炭とでも称するのでございましようが、とにかくかようなことによ
つて、すべて虚構に責任分散をしているということが明らかになると思うのであります。
第三の点は、
政府の各機関の調書の相違であります。これは各
委員からも指摘されたところでありまするが、林野庁から提出された書類は他の
政府機関とは何ら
関係なしに林野庁で出され、或いは行政管理庁、会計検査院、それぞれあります。特にこれらの中で甚だしい点は、農林当局はこの繰入れをすることによ
つて大体において百円二百円の未済の問題は別といたしまして、これによ
つてすべてが解決する、こういうことを言われているのでありまするが、同じく
政府機関でありまする行政管理庁提出の書類によりますれば、まだこの後においても少くとも十億ぐらいの
不足が生ずるだろうということを述べられている。この一点を取
つていたしましても
政府部内においても全く奇々怪々と言わざるを得ないのであります。
第四の反対の理由は、整理の無終結を指摘しなければなりません。いずれの調書、或いはいずれの
答弁を聞いて見ましても、これによ
つて確かにこの問題が終末を告げるという確言をとうとう得られなか
つたのであります。このことは私共はこれによ
つて一日
国民諸君に税
負担を課するならばそこで事済みという確信を抱けない以上は、少くとも十分その責任、十分その原因を追及することによ
つて明らかにした上で
国民に納得せしめて、これら税
負担に転嫁すべきでありまして、未だその時期にあらずと言わざるを得ないのであります。
第五の点は、
予算の全く出たらめな処理であるという点であります。すでに
質問戰におきましても申上げましたように、本来
補正予算というものの性質は本
予算の幾分かを修正するということでなければならないのであります。然るに今次の
薪炭特別会計における歳入歳出の明細を見まするならば、或るものは当初
予算の六十二万倍、或るものは一万二千倍、或るものは二十一万倍という実に驚異的な修正を行な
つておるのでありまして、而もその原因におきましては、当然すでに予想せられるべきところの費目にな
つておるのであります。従いまして、これらの
予算措置というものが全く根拠なく出たらめに処理されておるということが明らかなのでありまして、かようなことのある限りは、到底私は本案に賛成することはできないのであります。
最後にこの結末というものは実に被害者に
負担によ
つて処理せんとする方策であるという点であります。即ち私共消費者にいたしましても、或いは貰足らずの炭を
配給され、或いは量目の
不足の薪を
配給されるという工合に、この
薪炭需給
特別会計によ
つては被害こそ受けれ、決して利益を受けた点はないのであります。或いは
生産者においても然りでありましよう。結局この
不足の生じた主たる原因は、不良官僚と或いは悪質な中間業者の活躍が遂にこの大失態を演じせしめたのでありまして、そういう点からいたしますならば、これらの受益者がその
負担を負うのが当然であるので、然るにも拘わらずそれを
一般会計から繰入れるということは、即ちそれらの会計によ
つて被害を受けたところの
国民大衆が平等に
負担しなければならないということからいたしまして、以上六項目を挙げて私はその反対の理由を明らかにしたのでございまするが、この
最後に申上げました、結局それらのすべての尻拭いは被害者であるところの
国民大衆の
負担に帰するという点からいたしましても、断じて反対せざるを得ないと思うのであります。以上申上げます。