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1949-12-03 第6回国会 参議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月三日(土曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員油井賢太郎君辞任につき、そ の補欠として岩木哲夫君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告徴税目標割当制廃止に関する請願  (第七百八号) ○日本赤十字社事業に対する免税等の  請願(第七百九号) ○雪害地方税軽減および課税方法改  善に関する請願(第七百十号) ○山林関係税制に関する請願(第七百  十二号) ○理髪業者所得税課税額査定改正に  関する請願(第八百十六号) ○粘土かわら製造業者所得税軽減に  関する陳情(第百七号) ○身辺細貨等物品税改訂に関する請  願(第八百十五号) ○長崎県に国民金融公庫支所設置の請  願(第七百十一号) ○どぶろく密造防止に関する請願(第  七百二十一号) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○薪炭需給調節特別会計における債務  の支拂財源に充てるための一般会計  からする繰入金に関する法律案(内  閣提出・衆議院送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。最初請願及び陳情に関する小委員会委員長から報告をお願いいたします。
  3. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今より請願陳情小委員会におりまする審議の経過並びに結果について御報告をいたします。審議の結果は請願八件、陳情一件を採択いたしました。  請願第七百八号、徴税目標割当制廃止に関する請願。本請願趣旨は、徴税目標割当制のため徴税官吏徴税により苦しんでおるので廃止されたいというのであつて申告納税度趣旨にも合わないので、廃止することは適当であると認めて採択いたしました。  請願第七百九号、日本赤十字社事業に対する免税等請願、この請願日本赤十字社事業資金の窮迫によつて、現在緊急な地位を占める社会事業に積極的に活躍できないから、寄付金を免税すると共に、免税與行を認められたいというのでありまして、シヤウプ勧告によつても妥当と認めますので採択いたしました。  請願第七百十号、雪害地方税軽減及び課税方法改善に関する請願、この請願雪害地方では経費が多くかかるので税の軽減課税方法改善によつて、その負担軽減を図られたというのであります。適当なものと認めて採択しました。  請願第七百十二号山林関係税制に関する請願、この請願山林経費については適正なる再評価をして所得から差引くと共に、納税期間を森伐期年数とせられたいというのであつて納税期間の点は実現困難なのでこれは認めず、再評価の適正を期することは適当なものと認めて採択しました。  請願第八百十六号、理髪業者所得税課税額査定改正に関する請願、この請願サービス業である理髪業者に対する課税が苛酷であるので、査定実情に副うように改められたいというのであつて査定眞重にさせることは適当であると認めまして採択いたしました。  陳情第百七号、粘土かわら製造業者所得税軽減に関する陳情、この陳情粘土かわら製造業者は業界の不況のために苦しんでおるから、所得税実情に副うよう課税せられたいという趣旨でありまして、妥当なものと認めまして採択いたしました。  請願第八百十五号、身辺細貨等物品税改正に関する請願、この請願身辺細貨喫煙用具美術工芸品等零細企業であるので、庫出課税より小売課税に改められたいという趣旨でありまして、政府でも研究中であり妥当なものと認めまして採択いたしました。  請願第七百十一号「長崎県に国民金融公庫支所設置請願、」この請願に関しては政府としても説置を考慮しておりますし、適当な趣旨と認めまして採択いたしました。  請願第七百二十一号「どぶろく密造防止に関する請願」この請願どぶろく密造が依然行われて多量の米を消費しておるので、その対策を講じられたいというのであります。妥当な趣旨と認めまして採択いたしました。  以上御報告いたします。  尚保留いたした分がありますが、小委員会で保留いたしましたものについて一括して御報告いたします。  非常に多数になりますから速記録に全部載せることをお許し願いまして件数だけを申上げます。物品税に関するものでありますが、請願第二十三号以下六百六十七号までのうち十でありますが、以上三十件はその趣旨現状では実現困難と見られるので一応留保と決定いたしました。  それから尚請願第百七十二号の外十六件はいずれもその趣旨が妥当と認められて、すでに対策を採られておるのでありますから保留いたします。  請願第百八十六号以下八件は「煙草事業民営移管反対に関する請願」でありますが、この請願については煙草專売制度の問題がまだ殆んど明確になつていない現状でありますので保留いたしました。以上いずれも保留と決定いたしたのであります。御報告いたします。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 請願及び陳情に関する小委員長報告を承認して採択されたものは本会議報告することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。   —————————————
  6. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の御審議を願います。御質疑がありましたらこの際願いたします。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは最初政府が百七十億を金融措置によつて賄うという方針でありましたのですが、それを一般会計から繰入れるということになつたのでありますが、その間の何か事情についてお伺いしたいのでありますが。
  8. 清井正

    説明員清井正君) 私は食糧庁のものでございますが、便宜私からお答えいたします。お話の点でございますが、それはたしかに問題になつた点でございますが、資料を差上げましたので御覧願つたと思いますが、結局今年の補正予算における最後收支バランスが百七十億の赤になり收入減になる。その分を一般会計から繰入れる形になつておるのでありますが、その内容を仔細に検討いたしますと、御承知通り年度末における食糧持越高増加によりまして、年度末におきまする主要食糧増加の問題につきまして百七十億、実質的には殖えた形になつておるのであります。この主要食糧増加に対して一般会計より繰入れいたすか、或いは食糧証券をもつてこれを賄うべきかということが実際問題といたしまして相当問題になつたように私も存じております。一応、只今でございません、二十三年度末におきまする食糧証券持越は、千百八十億円でございまして、二十三年度におきまする主要食糧持越高は、二十三年度食糧証券持越高千百八十億と丁度同一金額にするということにいたしますれば、百七十億の金額一般会計より繰入れしなければならんということになりますが、仮にその千百八十億を動かして差支えないということになりますれば、それを食糧証券を増発いたしまして、一般会計へ繰入れなくてもいいというわけであります。この二つの問題が論議の中心になつたのでありますが、結局財政上の見地よりいたしまして、年度末における食糧証券の現在高も二十三年度同一にしなければならんということに決定いたしました。結局年度末における食糧証券の現在高を千百八十億というふうに抑えました結果、今年度におきまする歳出の百七十億を一般会計より繰入れるということに確定いたしたのであります。こういう経緯に相成つておるのであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後又二十五年度において食糧輸入相当殖えるわけですね。そういう場合に大体年度末の食糧証券の現在高はその前年度におきます千百八十億ですか、大体これに限定されるということに若しなると、又二十五年度においても一般会計から繰入金相当殖える、こういうことになりますか。
  10. 清井正

    説明員清井正君) 御質問の点でございますが、成る程仮に二十五年度におきまする外国輸入食糧増加相当ありました場合に、同じような結果が起るのではないかという御趣旨の御質問と思いますが、まだ二十五年度予算決定にはなつておりませんが、只今のところといたしましては、結局二十五年度末の食糧証券の現在高も二十四年度の現在高と同じように千百八十億ということに一応抑えておりまして、その間の收入支出一般会計より繰入れないことを以つて、これを済ましておるというふうに現在のところ内定しておるのであります。結局二十五年度特別会計につきましては、一般会計よりの繰入れはなくして、收入支出バランスを合わして行くという、一応の事務的な計算が成立いたしておるように存じておるのであります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、一般会計から繰入れないでやるという操作はどういうふうになりますか。
  12. 清井正

    説明員清井正君) 只今のところ未だ最後決定でございませんが、二十四年度に比較いたしまして、二十五年度予算においては、輸入食糧は若干の増加を見ておりまするけれども、内地食糧におきましては、いも類計算を一応考慮に入れておりませんので、従つてそういうふうな国内産買入食糧金額が、二十五年度においては二十四米穀年度と比較して、少くなるというふうに相成りますことは、配給工業用その他に売拂う分の増加というふうにして、国内産における主要食糧買入れと売拂いとの価格收支を合して計算いたしておりますので、一般会計より繰入れはいたしておらんと、こういう計算なのであります。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、いも類買上げは政府で見込んでない、新聞に伝えられるところによると、来年度からは供出ということはしないが、政府要求があれば買上げる、こういうようなことになつておるのでありますが、いも類の問題はどうなつておりますか。
  14. 清井正

    説明員清井正君) 只今私申上げましたのは、最後の二十五年度予算決定案を申上げたのではなくて、一応事務的に作りました案を便宜御説明申上げたわけでありまして、決定いたしました予算案ではないから、その点予め御了承願いたいのであります。成る程只今事務的に作つておりますのは、いも類は入れておりませんけれども、これは別途の見地よりいたしまして、只今政府部内においていも類主要食糧相当する分だけは是非買上げるべしという問題が只今審議中でありまして、この点は目下研究中で決定いたしていない点でありますから、予算を再編成して決定いたしますれば、その点を見込みまして特別会計をこれは再編成いたさなければならんということを再検討いたして行きたいというふうに考えております。私申上げましたのはただ事務的に一応作つた案を御説明申上げたわけでございますが、さよう御了承をお願いいたします。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますといも類はどのくらい買上になるか知れませんが、その買上に対する一般会計からの繰入れの問題も、やはり来年度においても起り得る、そういうふうに了解してよろしうございますか。
  16. 清井正

    説明員清井正君) その点は甚だむずかしい問題でございますが、只今のところ私共の事務的な計算といたしましては、或る程度いも類が入りましても、外に供給の方の減……、相当減らす分も考えられますし、或いは主要食糧以外の分に対して相当今後売拂増加する余地もありますから、その分に対する供出代金増加がございましても、一万未拂となる放入増加をいたすことができるという考えを持つておりまして、果していも類一般会計から繰入れをするかどうかということは、ちよつと今申上げられませんが、実際私共の観測といたしましては、放入増によつて或る程度値上ができるのではないかというような観測を一応持つております。
  17. 小川友三

    小川友三君 この食糧管理特別会計法ですね、これは輸入食糧内地米よりも米にして約二倍近く高いですが、これをもつと安く買うような方法を立てれば、こうした金は要らないと思いますが、輸入食糧はどうして内地農民から買上げる価格よりも二倍近い支出をしておりますか。この点についてお伺いいたします。
  18. 清井正

    説明員清井正君) お答え申上げます。只今外国との貿易状況は御承知通りでございまして、只今状態といたしましては、私共自由に外国と取引いたすことはできないような状況に相成つておりますし、又外国より入ります相当の部分も、いわゆるガリオア資金、米国の援助資金においてこれを買入れいたしておる、こういう関係になつておりますので、今直ちに私共の方の自由意思外国から買入れました食糧価格を決めるということは、ちよつと現在の段階ではできないような状態に相成つておるのでございます。ただ御心配の点は、そういう高い外国食糧特別会計で買うと、相当金がかかるのじやないかという御趣旨の点であろうかと思うのでございますが、御承知通り食糧管理特別会計だけの見地から申しますと、私共の特別会計は高い外国食糧を仮に買いましても、内地主要食糧と同じ価格だけを貿易資金特別会計支拂つておりまして、その差額一般会計の方から価格差補給金として貿易の方で特別会計支拂つておるという関係になつておりますので、仮に高い外国食糧を買いましても、食糧管理特別会計だけの見地から申しますと、内地食糧と同じ価格支拂つておるということになりますので、その関係は一応切り離された関係になるわけでございます。
  19. 小川友三

    小川友三君 それはちよつと本末顛倒のように感じますが、政府ではいも類の統制を廃止してしまつて自由販売にするのだ、それで澱粉はうんと余つておるのだ、そして買うものは国内農民生産費よりも二倍以上に支出して、国民負担を重くしておる。併し価格差補給金も、実際配給は安いけれども、実際の国の負担というものは国民全体の負担というものに対しては、やはり二倍近い支拂をしておるというのが実態なんですね。そうすると政府いも類をどんどん増産しろと言つておりながら、今度は節約をすればいも類生産というものは下つてしまうわけですね。そこで問題は今の法案趣旨とするところは、二百億というものを余分に出せというのが、政府側要求なんですね。千五百億を千七百億にするという要点なんですから……、そうすると二百億だけ国民負担を重くする。この法案自体から見ても二百億重くなるわけですから……。そこで政府はいい政治を執ろうという、木村先生でないが空樽予算といいますが、空樽にならないような立法に基く予算を編成して貰いたいのです。そこでいもを増産して輸入食糧の方を二百億減らせばいいでしよう。そうすると今までの法案で千五百億で間に合うわけですね。いも類というのは沢山あるのですから、そのいも類を無駄にしないで食べて行つて、これで以てその二百億を殖やさないで間に合うと思うのです。これは沢山になりますと、やはり薪炭の方みたいに十億万円も前の方の金が出て来るというような形態になつてしまいますから、これはよしよしというので国会は承認してしまうと、しまいには無駄が出るということになりますから、この輸入米価問題に対しまして、もつと安く買うという方法を推進して貰えば、二百億は出さんでいいとこう思うのであります。特にこれは農林大臣一つ答弁を願いたいのですが、これは政治問題になりますから、農林大臣の本案に対するところの御答弁を私は保留します。これは委員長に御要求申上げて農林大臣に御出席を頂きたい。又分つている範囲内で御答弁できましたら、その範囲でお願いいたします。
  20. 清井正

    説明員清井正君) ちよつとお話し申し上げますが、只今お話のこの度の法律案の千五百億を千七百億に引上げるということは、輸入食糧を高く買うから、そういうことになるのではないかという御疑問のようでございましたが、それはそうではございません。この資料にもございます通り、この十月、一一月、一二月、一月と主として内地産の米の供出が非常に多うございますので、そのために支拂金額が非常に多い、そういう関係からいたしまして、この差上げておる資料にもございます通り、一月におきましては千六百七十億の食糧証券を発行しなければならんという事態に立ち至りますので、千七百億に引上げて頂きたい、こういうお願いをいたしておるのでございますが、これは主として内地産の主要食糧買上価格引上げられた、即ち米価引上げられたということに最も重大なる関係を持つておるのでございまして、外国食糧を非常に高く買うからこれを上げなければならんという結論に相成つたわけではございませんから、その点御了承願いたいと思います。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと参考のために聞いて置きたいのですが、アメリカからの小麦輸入価格はどのくらいでしようか。それから国内買入価格との比較、それからもう一つ小麦協定に入ることになりますと、あれは毎年五千トンづつ何といいますか、協定価格が下つて行くというように聞いておるのですが、段々に小麦協定価格が下つて行くものかどうか、そういう点について一応参考のために聞いて置きたい。
  22. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問でございますが、一応予算に計上しておりまする小麦価格は、一トンにつきまして三万六千円ということに相成ります。ところが内地産の方の価格は、買上価格が二万一千八十円三十銭ということになりますので、その差額が一万四千九百十九円七十銭ということに相成るわけでございます。  それから小麦協定のことでございますが、これは近く予算に相成るかと思うのでございますが、小麦協定に仮に入りました場合におきまする最高価格は、一ブツシエルが一ドル八十セントでございますので、それをトンに直しますと八十二ドルになりまして、これをC・I・Fの国内価格に直しますと、二万九千五百二十円ということになります。ところがそれに相応いたします内地生産者価格は二万一千五十円ということになりますので、そこで八千五百円程度差額があるということになります。只今のは最高価格でございまして、最低価格の方は一ドル五十セント、これはトン当り七十一ドルでございまして、これを換算いたしますと二万五千五百二十円、これ亦内地の二万一千五十円に比較いたしますと四千五百円弱の差がございます。但しこれは本年度におきまする最高最低でございまして、その後一ヶ年で一ブツシエルについて十セントづつ下つて来るというふうに記憶いたしております。そういうことに今後なるかと思います。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の内地の方ですね、二万一千五十円というのは、これは現在の小麦価格ですか、まだ上るんじやないのですか。
  24. 清井正

    説明員清井正君) これは現行小麦価格現行の三等を水準にいたします。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今度の米価改訂で、まだ上つて来るんじやあないのですか、小麦は……。
  26. 清井正

    説明員清井正君) 来年の麦になりますと、又引上げ問題が起つて来るかも知れません。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この外国内地小麦買入れ値段と非常に接近して来るわけですね、殊に一ブツシエル十セントづつつて来るというのですね、非常に大きな問題になると、そういうふうに考えていいのですか。
  28. 清井正

    説明員清井正君) 只今お話の点は、誠に御尤もな点でございまして、只今のところは相当値開きを持つておりますけれども、将来これが小麦協定の傘下になりますと、予定の通り価格が少しづつ下つて参りますと、だんだん国内価格国際価格の開きが少くなつて参りますので、その間についていろいろ我が国の農業者全般といたしまして、相当考慮しなければならん点が起つて参るんじやあないかというふうにも考えている次第であります。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよいと一ブツシエル十セントといいますと、ブツシエルトンに直しますと、どのくらいになりますか。
  30. 清井正

    説明員清井正君) 一トンが三十六ブツシエルに相成ると思います。三六・七四ということになつております。
  31. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと今のに関連しまして、今内地麦トン当り二万一千五十円だというのですが、今度の改訂伴つては何ぼになるのかということをお聞きしたいのと、この内地の米の超過供出価格を換算したならば、幾らになるかをちよつとお聞きしたいのですが。
  32. 清井正

    説明員清井正君) 只今最初の御質問ですが、それは只今申上げましたのは、本年出廻つております麦の価格でございますが、二十五年産の、来年出廻ります麦の価格につきましては、そのときのパリテイーによつて決まつて参りますので、どの程度に決まりますか、ちよつと見当がつきかねるのですが、パリテイーによつて決まつて参りますと、こういうふうに考えております。
  33. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それからもう一つお聞きしたいのは、現在これはCIF価格でございますか、FOBでございますか。
  34. 清井正

    説明員清井正君) CIF価格でございます。
  35. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 将来この点は改訂される予想を、外の方でもあることと、日本船がこれを積取る場合のフロア・プライウ等を撤廃したような状態に鑑みて、日本船を使う場合には、どのくらいの目算になりますか、協定小麦が二万九千五百二十円でありますが、どのくらいのCIFになりますか。
  36. 清井正

    説明員清井正君) お話の点御尤もの御質問と思いますが、只今どの程度になりますか、計算はいたしかねるのでありますが、要するに国内価格国際価格値開きの問題が重要になると思うのですが、ちよつとその点即答しかねる次第であります。
  37. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そういつた諸船の情勢を勘案しますと、将来協定小麦価格の方が、日本の米の超過供出価格よりは、安いかも知れませんが、一般供出のものよりも相当高くなるであろうという推測は成立つだろうと思いますが、政府のお見込みは如何ですか。
  38. 清井正

    説明員清井正君) 御質問の点でございますが、その点確かに傾向といたしましては内地食糧はだんだんと只今のところ上つて来る傾向を示しておるわけです。国際食糧価格につきましては、むしろ低下するのではないかという方向を辿つておりますので、結局値開きが近づいて行くということになりますが、そういう点は非常にむずかしいことで、今俄かにどうこうという推測は申上げることは如何がと思いますが、傾向としてはそういうことになると考えております。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたい。アメリカ過剰小麦を輸入する場合協定以外に輸入することができるのですか、小麦の……。
  40. 清井正

    説明員清井正君) 協定に入りました国におきましては、協定数量限度としておる。協定価格において、協定数量限度にしておると記憶しております。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それ以外は。
  42. 清井正

    説明員清井正君) それ以外は入らないということになつております。
  43. 櫻内辰郎

    委員会櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  44. 波多野鼎

    波多野鼎君 この百七十億円ですか一般会計から繰入れるのは、食糧特別会計の実際運転資金なんでしよう。運転資金不足じやないのですか。
  45. 清井正

    説明員清井正君) 先程木村委員に対してお答申上げたのでございますが、この千五百億を千七百億に上げますのは、今後におきまする食糧買入をいたします操作上の差額について申上げておるのでございまして、むしろ主といたしまして食糧運転資金と申しますれば、むしろ千五百億は千七百億に食糧限度引上げる方が、運転資金の増と考えられるのでございまして、百七十億の方は成る程特別会計收支の結果の不足分を補填いたしてございますが、結局年度末におきまする持越の七十七万二千トンというものを見合つての、年度末の生産増加に相応するところにまあ金額が大体該当する、こういうふうに考えるのであります。
  46. 波多野鼎

    波多野鼎君 その手持の食糧売拂えば回收できるのですね。
  47. 清井正

    説明員清井正君) 年度末の持越数量でありますから、引続き来年度渡つて売拂うわけであります。
  48. 波多野鼎

    波多野鼎君 直ぐできるのですか回收が。
  49. 清井正

    説明員清井正君) そうでございます。
  50. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 特別会計の百七十億の内容については予算委員会においてもいろいろ議論があつて、その的確なるところを杯捉できない。できないのは農大大臣の言われるのと、大蔵大臣の言われるのと、極めて数字的においても亦内容的においても喰い違つておるのです。我々はそれを別に掴もうとも何ともいたしませんが、ただ大きい問題は百七十億は、輸入食糧操作に伴う運転資金が大部分といつておるかと思えば、いも操作において九十億赤字が出たんだ、大蔵大臣の意見に対して農大大臣は六十億の操作において赤字が出たのだ、赤字が出たやつは小売価格で消費者に転嫁した、こういう話なんですが、真相はどつちが本当なんですか、一つその辺を……。
  51. 清井正

    説明員清井正君) 只今お話は二十三年度の決算の問題と関連いたすのではないかと思いますので、二十三年度の決算について若干御説明申上げたいと思うのでありますが、二十三年度の決算といたしまして、一応計上されました損失が百二十四億八千八百万円ばかりあるのでございますが、その内訳を申しますと内訳は四つに分れておりまして、第一が公団の納付金の未納分が六十二億ばかりあるのでございます。これは御承知通り食糧配給公団は資金を持つておりませんので、先ず政府の方から事務費に相当するものを交付いたしまして、運用の結果の剰余金を政府に納付するという法律に基いた操作でございまして、政府から百二十億の交付金が三年度にあつたのでございますが、公団からの納付金は前期後期の二度に分つておりますので、前期分ですが、前年度に計上されました結果、未納金が今年度に移りました関係上、納付金の未納が六十億ということに相成つております。それから早場米の奬励金の損失が二十一億三千二百万円ばかりございます。これは昨年の早場米が、価格に織込みました金額より以上に出ました結果、その分の赤字が生じたということになるのであります。この分が二十一億であります。それから昨年のいも供出が非常にようございましたけれども、これ又価格に織込みました以上の超過供出でありましたために、その分の損失が三十五億三千二百万円。農業保險に対しまして繰入れておりますが、その一般会計よりの繰入れの分が今年度持越されましたために、その分が五億六千万円。以上四点の合計が百二十四億八千万円というふうに相成つておるのでありまして、いも配給辞退等につきましては、それぞれ原料とか肥料用とかにすぐに廻しましたし、又価格計算上も若干の歩留りを見ております関係上、いも超過供出による腐敗、そのために損失が生じたことはないというふうに考えております。
  52. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうしますと百七十億のうち、今言われました百二十四億がこうしたような赤字だということになりますれば、あと五十億足らずが、いわゆる輸入食糧の増大に伴う価格調整費という意味でありますか。
  53. 清井正

    説明員清井正君) 只今のは昨年度末におきまする貸借対照表の赤字を一応御説明申上げたのでありますが、その後二十四年度のいわゆる需給操作の経過上黒字が出た分もございますし、赤字で出た分もございますが、その点は今の赤字の分は本年度の需給操作上或いはとんとん、或いは若干の黒字で終るかと思いますので、この百二十四億の赤字がすぐ百七十億の損失と関係があるということではないのでありまして、さよう御了承願いたいと思います。
  54. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると今までの説明で、一般会計から今度繰入れようとする百七十億というのは全然赤字というような意味は持つていない。要するに食糧供出の上の増加だ。その分をすぐ売拂えばそれで事が済む……。年度末の食糧調整で昨年度と同じにして置きたいという方針のために、若しそういう方針でなければ、百七十億の食糧証券を余計発行すれば一般会計からの繰入れは全然必要ない。そうしないために、赤字補填ではないけれども、一般会計からこれを繰入れなければならない、こういうことですね。
  55. 清井正

    説明員清井正君) お話通りであります。
  56. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の森下君の話の通りであるとすれば、税金からこういうものを持出すということは僕等はどうも賛成しがたい。すぐ回收できるのだ、手持ちの食糧売拂いさえすればすぐ回收する。赤字でも何でもない。こういうのを税金の方から持つて行こう……。金融操作でいいじやないか。税金で取上げたものならもつと外に有効な使い途がある筈で、そういう面を削減しておいて、こういういわば不必要なところへ持つて行く必要がないと思うが、どういう事情ですか。
  57. 清井正

    説明員清井正君) これは先程もちよつと申上げました、確かにこの点は食糧証券を増発することによつて賄うか、或いは一般会計からこれを繰入れるかというところが、最後の実は問題として非常な議論になつた点であるように私も聞いておるのでありますが、結局これは前年度末における食糧証券の現在高は本年度末の食糧証券の現在高を同じにしなければならんという至上命令がございましたので、その命令に基きまして千百八十億というふうに押えました結果、こういうことになつた次第であります。
  58. 波多野鼎

    波多野鼎君 その食糧証券の在高を前年度は今年度を同じにしなければならんという至上命令というのはどういうのですか。
  59. 清井正

    説明員清井正君) 至上命令と申しましたのは甚だ語弊がございますれば取消しをいたします。財政上のいろいろの見地から、前年度におきまする食糧証券の現在高と今年度の現在高と同じにしなければならんということが、財政上の題地から決定いたしましたので、その決定に基きまして予算の編成をいたしたわけであります。
  60. 波多野鼎

    波多野鼎君 こういうことになるのですか。四月になつて年度が変つて、今の百七十億に丁度見合う手持を売つて百七十億の回收をする、それはどうなるのですか。今百七十億の手持現品がある、そのために百七十億の金を入れるわけなのです。ところがその手持現品をいつまで持つているわけではない、どんどん売つて行く。どんどん売つて行くに従つて回收できる。百七十億が或いは三ケ月後には全部回收できるかも知れない、それはどうなのですか。
  61. 清井正

    説明員清井正君) その点は、二十五年度以降の分になりますと売拂いもいたしますと同時に借入れをいたしておりますが、そのときは又食糧証券を発行いたすということになるわけであります。
  62. 波多野鼎

    波多野鼎君 それだけ食糧証券の発行を殖やすのですね、二十五年度になつてから。
  63. 清井正

    説明員清井正君) むしろ百七十億の繰入れをいたしますが、同時にこれは特別会計の收入として全体の操作をいたしますから、その操作に基きまして食糧買入れをいたして行くわけでありますが、これは普通の操作に戻ることになると思います。
  64. 波多野鼎

    波多野鼎君 それだけ食糧管理特別会計が膨脹することになりますね、百七十億だけ。
  65. 清井正

    説明員清井正君) 一時收入の分としてその分だけが殖える形になります。
  66. 波多野鼎

    波多野鼎君 そこで先程二十三年度の損失が百二十億、これが二十四年度末において消せるかも知れん、或いは黒字になるかも知れん、併し赤字になるかも知れん、それは分らん。それと今の百七十億とが全然関係なしとはどうも言えんと思うのです。会計の操作の上で……。
  67. 清井正

    説明員清井正君) その点は確かにあろうかと思いますが、私共の只今の、本年度食糧証券操作では、赤字が出るということはちよつと予想しておらない。確かに赤字が出るということはちよつとないというふうに私共思つておる次第であります。
  68. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 百二十四億いくらかのものをカヴアーし得る黒字が出るというならば、その黒字の根拠はどのような取扱いによつて黒字が出ておるのですか。
  69. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問でございますが、一々数字的にはちよつとはつきりいたしませんが、大体の項目について考えて見ますと成程百二十四億ばかりの赤字でございますが、二十四年度の食管特別会計の運営上結局黒字と考えられますることは、まだ公団からの返納が約六十億は考えられるわけです。それから二十二年度の決算において六十億の黒字が出たわけであります。二十二年度決算の黒字を持越しておるわけであります。それから二十五年一月以降の消費者価格を約一一%引上げるということで一応計算いたしておりますので、その分の黒字が見られるわけであります。それから二十四年の四月に、今年の四月でありますが、消費者米価引上げましたときに政府の在庫高がございまして、それ以前の価格で買つておりますため、その評価増がございますので、そういつた分が一応黒字として計算されるのじやないか。又赤字として計算される方は只今の二十三年度末の百二十四億、それから昨年度主要食糧超過供出で今年買入れた分がございます。その分の赤字がある。それから本年度産米の生産者価格引上げをしまして、当初予算より引上げましたのでその分の赤字というようなわけでありまして、その黒字と赤字を引合せて見ますと、若干の黒字が出るのではないかというふうに私共は考えておりますけれども、これは数字的にちよつとはつきり申上げる段階に至つておりません。
  70. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 公団が返却するだろうということは合点が行かないので、これはランニング・ストツクで固定して、そのまま焦げつきのものではないかと想像されるのが一点と、二十二年度の黒字は三年度の何かにおいて決済がついておるとも思います点が一つと、消費者価格は一一%上りますが、それより早く生産者の買入の方が上る。消費者価格は一月一日からであるが、生産者の方は十一月一日からであるから、二ケ月分くらいランニング・ストツクが殖える。これでかヴアーしたものと我々は解釈しておらんのですが、政府所得が多くなるといつても、生産者から買うのは十一月であつて、一月から消費者は値上りしたものを買うことになるので、ランニング・ストツクが多くなるから、その消費者価格の値上りでカヴアーできるということは、消費者の負担を延長したというように解釈されておるが、これはお説のように総合的に百二十億をカヴアーできるとは、ちよつと数字を伺わないと分らんのですが、合点が行かんのですが……。
  71. 清井正

    説明員清井正君) 初めの公団の返納金の問題、これは人件費、事務費を法律に基いて政府から交付した金が百億ばかりございまして、その分は公団の剰余金の中から当然返納しなければならんことになつております。その分については公団の前期の決算で出た黒字を政府に納めております。後期の分も六十億出て、これは今年の補正予算に歳入として挙つておるのですが、三年度末に公団の剰余金を納付する。これは法律上政府に公団が納めることになつておるので、その点は歳入予算にも挙つておるし、すでに現在大部分は納まつておりますので、その点は御心配ないかと思うのであります。それから二十二年度の黒字六十億あるというこの良の問題でございますが、私の申しました百二十四億の赤字は二十三年度の赤字だけを申上げたのでありまして、二十三年度だけ申上げたので御理解できないかと思いますが、相殺いたしますれば、六十億の赤字が本年度に繰越すことになるのであります。これを別別に申上げたのでちよつとお分りにくかつたかと思うのであります。生産米価と消費者米価との関係が、黒字と赤字を別々に申上げたからでありまして、黒字として考えられる分が、米価を一月から引上げることが黒字として考えられ、赤字として考えられることは、本年産米を引上げることによつて赤字として考えられる、これを別々に申上げたのでちよつと御疑問の点があつたかと思いますが、数字を詳しく説明できないので残念ですけれども、要素としては別々にそういうように考えられ、黒字赤字の要素を集計してみると、赤字にはならないように考えられるということを、御説明申上げた次第であります。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 御説明によりますと、百七十億の繰入れを行う根拠が、輸入食糧も多くなつた、或いは国内産食糧買上げも多くなり、又値段も高くなつた、こういうところから来ておる。このように私共理解しておるわけでありますが、そういたしますれば、過日来インフレを促進しないように、こういうことのために税負担によつてこの繰入れを行うという話でありましたが、元来インフレが物がなくて通貨の発行が多いというところに端的に現われるのでありまして、然らば物が非常に殖える、こういう場合には、仮に証券によつて処理してもインフレは昂進しないと私共は考えるわけですが、これに対する政府の見解はどういうことであります。
  73. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 食糧管理特別会計に、百七十億繰入れるということは、これはしばしばその意味について、或いはその趣旨につきましては、大蔵大臣より御説明があつたと思いますが、その狙いの要点は、政府の債務というものを年度の初めに比べましてしまいに殖さない。即ち政府が債務の増加によりまして歳出予算を組むということは、一般会計特別会計を通じましてやらない。逆に債務を償還することによりまして、その金が銀行を通じ産業資金に流れるという形において経済を安定化して行こうということが狙いだろうと思うのであります。従いまして、今問題になつておりまする食糧管理特別会計におきまして、先程来農林省側から御説明がありましたような、主としてストツクの増加、或いは価格の騰貴というようなことによりまして、見合いの資産のございますものが増加いたす、それを食糧証券によりませんで、一般会計から繰入れをいたしますれば、恰も本年度の初めに引継いで参りました千百八十億円という食糧証券の発行高を以て年度を越すことができる。こういうことで、従いまして年度の初めと終りとその間におきまして、食管会計の負債も増加いたさないというのがその狙いでございます。只今お尋ねの、これは物を引当てにして出すのであるからよろしいのではないかという御議論でありますが、ここで私共議論をいたしますことは如何かと思うのでありますが、一応日本銀行の、つまり一般会計から繰入れませんで、食糧証券日本銀行から引受けて出すということによりまして、そこに通貨が余計出る。おつしやるように見合いの物はあるわけでありますが、併しそれだけ余分に通貨が放出される形になりまして、その通貨が経済界に廻ります間に、いろいろなリアクシヨンを起して行く、それを止めるようにいたしまして、政府財政の立場におきましては、新らしい通貨の発行を来たさないというようにいたす趣旨でございます。これが食管特別会計に限りませず、二十四年度の本予算補正予算を通ずる財政の基本的な方針であろうかと考えるのであります。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 つまり私共が伺つておりますのは、通貨の増発をしないという根拠に立つたことは、すでに今始つたのではなしに、当初予算を組まれるときにもさようであつたろうと思う。そういう観点に立つて一般会計からの受入れが二十八億九千八百万円、こういうものが組まれたと思う。ところがこの当初予算と補正の後の予算と比較して見ますと、六十八倍というような数字が出て来る。そこでこれ程に急速に変えなければならない原因が一体どこにあるかということを、私共考える。そうした場合に物が殖えて来た、こういう根拠があれば、別段このインフレの心配はないのであるから、その変つた根拠に片方を立てる以上は、一般会計からの、いや証券発行の基礎の方もやはり変つた規準になつて来なければならん。ここに矛盾がありはせんかということを指摘しておる。インフレ論については私は別にあなたと議論しなくてもいいのですが、数字的に矛盾がありませんか、こういうことを申上げております。
  75. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 只今お尋ねの当初予算に計上いたしました二十八億という金額は、これは農業共済に対しまする国の負担分を、一般会計から食管に繰入れまして、食管から農業共済の特別会計に繰入れる、こういう金額でございます。でございまするから、当初二十八億は、今回入れました百七十億とは性質を異にいたしております。そこで今回急に百七十億入れることにしたのは矛盾じやないかというお尋ねでございますが、当初の予算におきましては、御承知のように同じく二十四年度の当初におきまする食糧証券、それから年度末におきまする食糧証券、その当時はこの補正で御覧のように見込は若干違いまして、千二百八十億負担するわけで、この千二百八十億の食糧証券を以て年度を越すということ、それが、ちよつと附け加えて申上げて置きますと、今度の補正で百億程実際の発行高が違つたものですから、その補正をするというのが狙いとするところであります。にも拘わらず一般会計から繰入れずに済むということに相成りましたのは、御承知のように本年度持越して参りました米のパリテイは百三十二であります。にも拘わりませず四月早々に、大体パリテイを百四十三という数字にいたしまして、それを基準に消費者米価を決めまして、それによりまして四月一日から米価引上げを行なうことは御承知通りであります。従いまして、そこでいわば持つておりまするストツクに対しまして、高い値段で売つたものですから、そこで余裕金が出て参つた。それがパリテイの騰貴に拘わらず年度の初めに出しました食糧証券年度末まで持続して、而も一般会計から繰入れずに済んだ。丁度その百三十二を百四十三に上つたという金額を今回百七十億に繰入れまして、その出た差額が丁度一般会計から繰入れる必要のない数字だつたのであります。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは念を押して置きますが、千百八十億という数字は、これは單に去年の数字がこうであるからという以外には理由はないのでありますか。
  77. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 千百八十億という数字は二十三年度の末におきまする食糧証券の数字であります。実数であります。それをそのまま持越そうということ以外にはないということでありますが、先程申上げましたように、政府の債務を増加せしめないという趣旨におきまして、その食糧証券の残高を据置こうという趣旨であります。
  78. 森下政一

    ○森下政一君 そこで説明を聽いておると、こういうふうに取れるのですが、四月に入つてから消費者に放出して行つたらば、今手持数量の増加による百七十億、これが直ちに現金に変つて政府の懐に入つて来るということになる。そうすれば、今一般会計から百七十億というものを賄つて置いて、今度四月に入つてから放出して売捌いたときには、百七十億の今までの金が回收されるわけで、食糧証券によらずして運転資金が百七十億殖えて来る。かようになつて来る。尤も二十五年度になれば、値段が高くなるということも考えられるかも知れんが、二十五年度末においては、幾らかその食糧証券を少くすることができるということになるのではないかと思うのですが、先程の御説明では、二十五年の末においても、やはり二十三年度、二十四年度と同様に千百八十億の線に食糧証券を止める。こんなふうなお話つたのですが、むしろ償還して食糧証券を減らしてしまうということの方が、政府のいわゆるインフレ抑制の方針を更に徹底させることになるのではないのですか。
  79. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 二十五年度お話は、私、まだ申上げてなかつたのでありますが……。
  80. 森下政一

    ○森下政一君 いやさつき外の人から聽いたのですが……。
  81. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) それはどうも失礼しました。二十五年度におきましても、そういうような筋道に相成るわけでありますが、そういたしますと、それで一体一般会計からの繰入関係がどうなるかということは、これは消費者米価の値上げの問題と、今後の生産者の見方とストツクの数量、そういつたフアクターによつて動くわけですが、結局の狙いは千百八十億そのままに据置くということに相成る。只今お尋ねの、それなら積極的に減らしたらどうかということですが、運転資金一般会計から繰入れることによつて賄えるのではないかということに相成るのじやないかというようなお話であります。それはおつしやる通りでございます。食糧証券以外の一般会計から繰入れた金を以て、運転資金を賄う。もう一つ裏を返して申上げれば、先程農林省側から説明がありましたように、若干の利益が出ておりますので、そのいわば自己資本と申しますか、利益を以で運転資金を賄うという行き方も勿論あります。それからこれ以上に千百八十億円を減らしたらどうかというお話でございますけれども、これは一般会計からの繰入れを行いまして、証券の残高を減らすということに相成りますと、これはむしろ議論になるかも知れませんが、一般会計全体で債務を償還するということがございますので、その上で返すのがいいか、それとも食糧証券というような、ああいう特殊の性質の証券で返すのがいいかという比較論になるかと思います。ああいうような短期のものをできるだけ少くして、そうして長期の国の債務を残して置く方がよいかどうかという議論とか思われますが、今考えておりますところは、そういう考え方でなくて、やはり債務償還というのは一般会計全体で考えたらどうか、食糧証券としては先程申しましたように、食管会計というものは、借入金を殖さないという原則をそのままに踏襲して参るということで考えて参つたらいいではないかということです。
  82. 波多野鼎

    波多野鼎君 どうも先程から天田君が質問している点がはつきりしないのは、千百八十億という食糧証券の額を、年度当初と年度末において変えないという方針であるから、百七十億を一般会計から繰入れなければならないといつたところで、千百八十億という証券の発行高を算定する場合の基礎の輸入食糧が幾らであるとか、買上食糧が幾らであるとかいう場合の基礎の数字と、今日における数字とは違つている筈だ、当初予算のときよりも多額の食糧を輸入しているのではないか、であれば千百八十億という食糧証券の額を、根本事情が変つている今日においてそのままに持続するということに意味がないのじやないか、その方が却つて無理じやないかという点にあつたと思う。その点を一つお伺いしたいのです。
  83. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 千百八十億という数字は、先程農林省側から御答弁がありましたように、二十三年度末におきまする一定の、一定のと申しますか、食糧管理特別会計の損益の状態、及び持越しのインベントリーの状態というものを反映してできている数字であることはおつしやる通りであります。従つてその金額が以上のようにいつまでも据置くという必要はないじやいかということだと思うのでありますが、その千百八十億というものの内容と申しますか、その見合がどういうものがあるかということで、千百八十億という数字をそのまま踏襲するのではございませんので、政府のそういう感程におきまする債務を増加しないということですから、これが千二百八十億なり千百八十億でございましようとも、要するにあるときにありましたこの債務を増加しない、新らしいのを増加しない点に狙いがございますので、その千百八十億というものが非常に合理的な数字だからということを申しているのではないのです。
  84. 波多野鼎

    波多野鼎君 だけれども、千百八十億という数字を一つ金科玉條的にあなたは言つているのですよ。でその場合の基礎となる輸入食糧、或いは買上食糧、或いはその価格をそういうものと照し合せて行けば、その基礎となる数字が変つているのではないか、政府の債務を殖やさないということは必要であるけれども、輸入食糧買上食糧価格などが全部変つているときには、これを殖やしてもインフレーシヨンにならんという議論なんです。でインフレーシヨンになるとかならんということは別としても、百七十億という租税の方で取上げたものをこういうところへ持つて行かなくても、外に使い途はもつとある、使わなければならんところがある。こういう見地からこういう議論をしておるのです。
  85. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話の途中で私のお答えが正鵠を得ないかも知れませんが、問題は食管特別会計の借入金千百八十億がどうか、運転資金が当然増加する場合においては食糧証券を殖やして行くのが本当じやないか、何も一般会計から繰入れる必要がないんじやないか、こういう御質問だと思うのでございますが、これは財政の作り方でございまして、私は特別会計の方の借入金は原則として殖やさないとこういう方針で二十四年度当初予算も組んでおるのであります。で二十四年度におきましては、御承知通りに、貿易会計の方に持つて行つて、前の借入金の償還、その他で四百億円繰入れておるのです。又貴金属特別会計の方におきましては、二十四億円も繰入れておるのであります。そうしてインフレを收束するためには、これは財政学上どうかという問題もありまするけれども、この際一般会計から繰入れて、そうして借入金等のものは殖やさないという方針で行つておるのであります。その方針を今回を採用したのでございます。理論の点はありましようが、一般会計の方におきまして大体余裕金がありましたので繰入れることにしたのであります。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 大臣がお見えになりましたから……。私共の議論の根本は、ドツジ・ラインによつてインフレを終熄せしむるところの意図を以て政府予算を組まれたことは私共よく分るのです。そうした目的によつて、この特別会計予算に盛られました千二百七十七億こういうものが、証券等の收入として計上されておるのです。従つてこの予算を以てしても尚インフレを終熄せしめると、こういうお考えになつて、その当初予算を組まれたのではないかと、こういうふうに私共は考えるのです。ところが一方この予算の方はむしろ削つて、千百八十億円、これを直しておいて逆に一般会計からの繰入れを殖やす、ここにまず一つの矛盾がどうしても考えられる。今お聞きしていても、ただ千百八十億ということは前年度の帳尻がこうであるから、今年の年度末における帳尻も同じ数字でしようということで、結局積極的な根拠が別段ない。而も今度の補正をする基礎というものがいろいろ物の入つて来る数量においても、亦値段においても変つておるということを、いろいろおつしやつておるのだから、それだけのものが殖えて来ておるならば、証券を別にこれはそのものの量が殖えたことだけを、或いは値段が上つただけ殖やしても、当初の計画であるところのインフレを收束するということに適合しはせんかとこういうことを議論しておるのです。
  87. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 削つたというお話は、多分予算でも食糧証券を千二百八十億円というのを五百億削つたと、こういうお話でございますか。別に削つておりません。二十三年度末に千百八十億の食糧証券のあれだから今年度の終りの、来年の三月三十一日も千百八十億円の食糧証券の借入金を殖やさないという私の趣旨は一貫しておるわけでございます。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうでない。予算を見ますると、食糧証券及び借入金收入という項に、千二百七十七億一千某とこういう数字が出ておるのです。それを今年度の補正によりまして、九十七億減額いたしまして、それで千百八十億とこういう数字がここに上つておるのです。このことを伺つておるのです。
  89. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) これは私がお答えいたします。千百八十億円を九十七億ばかり落しておりますのは、先程ちよつと申上げたと思いますけれども、二十四年度当初予算を編成します当時におきまして、年度末の残高が千百八十億と推定いたしたわけであります。実際数字から見ますと、千百八十億に上つたものでありますから、従つて歳入歳出を御覽になりますと両建で押しております。全体の数字に影響しておらないのであります。即ち歳入の方で新らしい食糧証券を調達いたしますには、千百八十億、前年度の償還いたしますのが千百八十億、当初予算におきましては両方の数字が同じ千百八十億、これは全く技術的な修正でございますので、むしろ当初予算を組みまするときに見込んだ数字が、後の補正の時期にもう一遍正確な数字を当つてみますと、そういう数字になります。従つてここに補正の数字が書いてございますが、補正の結果としてそういう数字になつておりますことを御了承願いたい。全体の合算になつております。インデイペンデンス・フアイナンスということで千百八十億入れる入れないということは、歳入歳出両建で動いておりますから影響はございません。
  90. 波多野鼎

    波多野鼎君 大蔵大臣の御答弁、まあ大蔵大臣の方針としては、度々言つておられる方針を繰返して申されただけなんでこういう点、議論になつてもしようがありませんから止めて置きますが、実際国の予算全体から見て、百七十億というものを一般会計からこういう会計へ繰入れて行くというのに私は非常に疑義を持つのですよ。なすべき仕事は沢山あるのだ。而も食糧特別会計の方へ百七十億繰入れなくても、そう大してインフレの問題には関係はない。そういうところへ百七十億円という貴重なものをぶちこんで、もつとやらなければならん仕事を切つているというところに私共の意見と違うところがある。その点だけを申上げまして私は終ります。
  91. 中野重治

    ○中野重治君 大蔵大臣のお答えの中に一般会計に余裕があつたからという言葉が今ありましたが、その一般会計大蔵大臣の認めた余裕というのはどういうものですか。
  92. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 自然増收その他でございます。
  93. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 午後二時再開することとしてそれまで休憩をいたします。    午後零時十九分休憩    —————・—————    午後二時二十二分開会
  94. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の御審議を願います。御質疑がありましたら、この際お願いします。
  95. 中野重治

    ○中野重治君 さつきの大臣の答えにあつた、一般会計の余裕があるという話ですから、その余裕というのは何かということをお尋ねしましたら、それは自然増收だという話があつたのですが、あの自然増收というのは、つまり税金を余計取れるようになつたということを意味するのですか。
  96. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 今担当者がおいでになりませんから……、後程大蔵大臣が見えるでしようから……。
  97. 中野重治

    ○中野重治君 今農林省の方だけですか。
  98. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ええ、食糧庁の方です。
  99. 中野重治

    ○中野重治君 さつき岩木委員からの質問に対するお答えで見ますと、外国から輸入する小麥の価格関係したことだつたと思いますが、運賃や何かの関係から、日本生産する小麥の価格との違いが大きくなり得る。こういう答えが一方ではありましたし、それから木村委員からの問に対する答えの方では、ブツシエル当り十セントですか、段々小麦の値が安くなつて来る。だからその傾きが伸びて行けば、輸入の価格国内価格とが段々近付いて行く。逆の場合には外国小麦の方が日本小麦よりも安くなるということも考えられ得る。こういう答えがあつたように思うのですが、いずれにしてもそれは日本小麦生産者にとつては迷惑な話だと思います。迷惑のことは別としても、岩木委員に対する答えと、木村委員に対する答えとでは食違つて来るように思うのですが、それはどういうように解したらいいですか。
  100. 清井正

    説明員清井正君) お答え申上げますが、私お答え申上げましたのは、岩木委員に対するお答えと、木村委員のお答えは、同じ趣旨のお答えを申上げたように思つておるのでございますが、先程の御質問に対しまして私がお答え申上げましたのは、国内価格に比較いたしまして、現在のところ外国から輸入いたしまするところの小麦なり米なりの価格相当高うございまして、値開きがあるわけであります。それが小麦協定に参加の問題等によりまして、外国食糧国内に入つた場合において、将来段々安くなるというような傾向があるように見受けられる。併しこれは農産物のことでございまするから、すぐ安くなるとは断定できませんけれども、傾向としてはそういう傾向にあるように思われるという趣旨のことを思上げたのであります。岩木委員の御質問といたしましては、その際にいろいろ今の貿易関係の受取方が、或いは民間貿易なつたり、それから日本の船で引取りに行つたりいたしますとその間の運賃、保險料、その他のことで以ていろいろ違つて来るだろう。そうしてそれが将来国家にどういうふうに影響するかという、こういう御質問でございましたが、詳しい状態は私は無論存じませんので、お答えできませんでしたが、全体の傾向は段段と外国から入つて参りまする輸入食糧価格が低くなつて参るという傾向にあるように思われる。従つて国内小麦価格が仮に上つて参りますれば、その間の価格差が段々と縮まつて参りまして、外国から入つて来るものは低くなる傾向にあり、国内価格は上るというようなことになりますと、その価格差が段々減つて参るという傾向にあるように思われる、という趣旨のことをお答え申上げたのでありまして、両委員に対するお答えといたしまして、そうようなお答えをいたしたと思います。
  101. 中野重治

    ○中野重治君 今の答えはよく分りませんけれども、それで止めて置きまして、食糧関係の費用を一般会計から持つて来るということは昭和二十五年度ではやらなくても済むということも考えられる、こういう答えでしたな、さつきのは……。
  102. 清井正

    説明員清井正君) さようでございます。
  103. 中野重治

    ○中野重治君 そうしますと、それはあなたの答えにもあつたように、そのことはまだはつきりしていないのだから、その逆のことも可能だというわけですね。
  104. 清井正

    説明員清井正君) 計算のしようによると思いますが、外国から入つて参ります輸入食糧の数量なんという、いろいろ未定の問題がございますので、はつきりそれを確定いたしますれば、又計算のしようがあるのでございますが、只今のところでは事務的には、二十五年度においては一般会計より繰入をしないということで計算をいたしておる次第でございます。
  105. 中野重治

    ○中野重治君 それで事務的というのはどういうことですか、要するに事務の面を更に土台に行けば繰入をするようになるかもしれないということでしよう。土台を除いて帳面の上だけでやつていれば望ましいような、つまり繰入をしなくても済むように思えると、こういうわけなんでしよう。それ以上何か確たるものがあるのですか。
  106. 清井正

    説明員清井正君) 現在の数字を計算いたしております、来年の特別会計の計数上では、繰入をしないという結論で今いたしております。
  107. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はありませんか。
  108. 木内四郎

    ○木内四郎君 午前中いろいろ御質問つたのですが、百七十億九千三百万円というのは、これは損失の補填ですか。
  109. 清井正

    説明員清井正君) その問題につきまして、午前中大蔵大臣からも御答弁申上げたのでありますが、差上げておりまする資料においても御覧願つた通りでございますが、結局百七十億九千三百万円と出るところは補正予算に基きます歳入歳出の差額であるわけであります。従つて歳入不足に対する補填分ということに相成るわけでありますが、ただ一方見方を変えて参りますと、特別会計年度末における持越数量を来年度に比較いたしまして、約七十七万二千トン殖える年度末の資産を持つておる。それに相当する価格が約百七十億あるわけでございます。七十七万二千トン殖えるわけで、これをトン当り二万二千円と計算いたしますと、それを掛けますと百七十億という金額になります。
  110. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは赤字じやないのですね。
  111. 清井正

    説明員清井正君) そうでございます。
  112. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこでお伺いしたいのですが、あなたの方の百七十億九千三百万円というのは赤字でなくて見返りの財産があるわけですな。
  113. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) そうです。
  114. 木内四郎

    ○木内四郎君 手持が殖えるからそれを所要資金にして行きたいというわけですね。これは農林大臣は初め食糧証券で賄おうと考えておられましたね。
  115. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) そうです。
  116. 木内四郎

    ○木内四郎君 それに間違いありませんな。
  117. 森幸太郎

    ○國務大臣(森幸太郎君) さようでございます。
  118. 木内四郎

    ○木内四郎君 農林大臣の考えは極めて正しいと思うのです。その通りつて貰うべきだと思うのですが、そこで私が伺いたいのは、百七十億というのは、財産が殖えるからこの会計に運転資金として入れる。これはあなた方の案の通りこれは来年売つて儲かると、それに使つてしまうわけですね。
  119. 清井正

    説明員清井正君) これは年度末におきまするいわゆる運用資金として繰越される額で、二十五年度になりますれば無論その資金が特別会計の運用資金といたしまして、食糧買入売拂その他の資金に使つて行かれるわけで、その差額がありますれば、証券の償還その他に間に合わせるというふうに考えます。
  120. 木内四郎

    ○木内四郎君 外の会計では一般会計からこういう経費を入れることは、仮にそれが赤字の補填であつても、鉄道とかその他の会計では、後年度において一般会計に繰入れるという規定があるのに、これを入れないで置くと変な恰好になりはしないか。それだけのものはその合計だけで余分に使つて……、私は非常に虞れておるが、同じ農林大臣の所管の下における薪炭ですな、あれは空気木炭などという変な名前で、よそに持つて行く、これも売つて現金化したら一般会計に返すという規定があればいいのですが、ないですね。この会計で使おうという魂胆ですか。
  121. 清井正

    説明員清井正君) 御質問の御趣旨でございますが、成る程繰入れました当初にはそれだけの金がありますが、それを一般事業の経費としてこれを充てまして、食糧の売買その他一般の事務費に使いますと、残りました金につきましては、当然所管の方に返つて参るというように考えます。
  122. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこで私のいろいろ意見もありますけれども、仮にあなた方の提案の通り食糧証券の発行限度を二百億円も今年は高めてそうして食糧証券を二百億円も余計発行して、通貨を膨脹するような結果を来たしながら、あなたの方の提案によると、食糧証券増加によるインフレを防止する云々と書いてあるんですな。提案理由に非常に矛盾してやしないか。そこで仮に百七十億円というものを現物で七十七万二千トンつてつて、それで運転資金が足りないから入れたというような、あなた方の言うのも一つの考えだから、私は仮に受入れたとして、品物を売つて現金が来る、一方で食糧証券の発行限度を拡大して置きながら、賄い得るのに現金は懷に入れて経費その他に使おうというのはおかしいじやないか。
  123. 清井正

    説明員清井正君) 千百八十億という点では、先程もいろいろ御質問があつたのですが、これは昨年度末におきまする食糧証券の現在高と、本年度年度末におきまする現在高とを同額にするという趣旨で本年末の、来年三月の食糧証券を千百八十億に押えるということから生じた問題ですが、この千七百億と発行限度引上げるということは、来年の三月までに至りまするまでに、この出盛期に米、その他の買上げをいたしますために、所要の証券を発行しなければならない。その限度が一月が最高である。千六百七十億になることも予想されますので、それでは現在の千五百億では足りませんので、その千六百七十億に合せる意味で千七百億に引上げる、こういう意味であります。
  124. 木内四郎

    ○木内四郎君 いや、私は必らずしも賛成するのでもないけれども、あなた方の考え方は分らんことはない。併し年度の途中なら発行限度を拡張して置いて、うんと殖して年度のしまいさえ去年と同じように合せて置けばインフレにならないという、その考え方がどうもおかしい。最後の会計を締くくるとき昨年と同じようにして置いて、後は年度の途中は限度を拡張してやる、その考え方、ちよつとごまかしのように思うのですが、どうですか。
  125. 清井正

    説明員清井正君) お話の御趣旨でもございますが、これは先程申上げました通り、昨年の年度末におきまする証券の現在高と本年度末の食糧証券の現在高とを合すという財政的な基本方針に基いていたしたわけでございまして、途中における証券の限度増加については多少それを上廻つて千七百億に引上げますが、来年三月までにおきまする限度は、去年の三月におきます証券の発行限度と同じようにするという財政上の要求に基きましていたしたわけでございます。
  126. 木内四郎

    ○木内四郎君 その点はあなたから何回も説明がなくても分り切つているので、質問をしているのじやないのです。ただあなたの方は食糧証券をどんどん発行する、二百億に拡張すると、年度内は千五百億から千七百億まであなた方自由に発行し得ることになる。あなた方は三月三十日までは千七百億まで発行できるわけです。その千七百億まで発行して置いて、最後の日だけ、これは財政上の必要でも何でも食糧証券の発行や通貨の膨脹が防げるということは、私は筋が通らんじやないか、こういうことを言つているんです。
  127. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) これは従来のやり方と今度の予算のやり方が変りましたのは、ドツジ・ラインによりまして借入金よりも繰入金によつてやるべきであるという方針によつて、こういうふうなやり方に変えたわけであります。
  128. 木内四郎

    ○木内四郎君 それならば初めから発行限度というようなものは殖さないで、去年よりも二百億も殖さないで、この繰入金によつてそれを賄つて行くというならば、今の農林大臣の説明は分る。三月三十日までは二百億円も殖して発行して、千七百億円も発行し得るようなことにして置きながら、会計締切の日だけこういうふうにすれば、あなたの提案の理由によると、食糧証券増加によるインフレを防止するということになるかどうか、こういうことです、私の言うのは。
  129. 清井正

    説明員清井正君) 重ねての御質問でございまするが、私共といたしましては、成る程途中におきましては千七百億に限度といたしますので、それに近い程度食糧証券を発行しなければならんというふうに相成るのでありますが、年度末におきましては、たびたび御説明申上げておりますが、財政上の方針に基きましてこういうふうにいたしたわけでございます。
  130. 木内四郎

    ○木内四郎君 すると、私は必らずしも賛成しておりませんし、又考え方もいろいろあると思うのですが、あなたの方の言われるように今年は価格引上げたし、輸入食糧も殖えるのだから財産があなたの方に入つて行くのだから、これの見合の食糧証類を出しても、私は少しも差支えないと思うし、何も前年度の千百八十億円に釘付けする必要はないと思います。それを仮にあなたの方の止むを得ないこととして認めたとしてもおかしかないかというのです。あなたの言つておることは支離滅裂で、前後が一貫していない。食糧証券をどんどん出してやる、そうすればやはり通貨の発行が増加するじやないか。そうして最終の日だけちよつとごま化して千百八十億円にするというのがそれがおかしいというのです。ごま化しでしよう。(笑声)最後の日だけ千百八十億円に合せて、それで食糧証券の発行増加を防いだからその面からの通貨増加の防止をしたというのはおかしい。僕等には分りかねるな。
  131. 清井正

    説明員清井正君) 御尤もであります。たびたび申上げております通り、これは三月末日と昨年末と合わすという財政上の要求によつてつておるのであります。
  132. 木内四郎

    ○木内四郎君 もう一つ伺いたいのですが、あなたの方の発行限度千五百億円を千七百億円に改めて、二百億円殖すことと直接の関係はありませんよ。直接の関係はないけれども、あなたの方が現に食糧証券と借入金の收入九十七億一千万円というものを今年の補正予算で殊更に減らしておるのですな。大体食糧証券はその他の証券でも同じですが、その発行限度を拡張するというときにはやはり收入の方も相当殖えるというのが普通の場合です。食糧証券の方の発行收入の方は九十七億一千万円も減つておる状態のときに、あなたの表の一月のところで千六百七十億円に殖やして来るということは故意に何かそこでやつておるのじやないか。あなたの方はこの法律を通しておいて、百七十億九千三百万円というものを繰入れなくても、食糧証券でやつていけるということは、二股をかけておるのじやないかという疑いがあるのですが、どうですか。
  133. 清井正

    説明員清井正君) 先程の食糧証券の收入を当初予算より九十七億落しましたのは、これは当初私共は食糧証券を大体千二百八十億近いものがあるというふうに予想いたしまして、歳入にも歳出にも約千二百八十億の食糧証券ということで、実は予算を作つたのでございますが、その後実績が、昨年末までの実績が千百八十億ということに確定いたしましたので、従つて歳入の方も、その千百八十億に合わすために金額を落したということに相なるのであります。
  134. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこで今の問題について更に伺いたいのですけれども、あなたの方のこの法律が通るというと、三月三十一日に千百八十億円にするというあなたの方の見込みなんだけれども、食糧証券を千七百億円までにすることが法律上できるのだから、百七十億九千三百万円というものを繰入れなくても、あなたの方の会計はやつて行くことができるということになりませんか。
  135. 清井正

    説明員清井正君) 私共は百七十億を二月、三月に繰入れてやることにいたしておるのでありますが、結局先程申上げたように、この方針に基いて百七十億繰入れまして、そうして予算を実行して参りたいと考えておるのであります。
  136. 木内四郎

    ○木内四郎君 今あなたの方ではそういう考えでおつても、この七百九十一億、それと八百七十九億というものは償還しないでおくことも法律上可能ですか。
  137. 清井正

    説明員清井正君) 只今御説明申上げました歳入の点が当初の予算と多少変えまして、千百八十億というふうに証券收入の歳入の方を抑えましたので、千百八十億の限度しか繰入れできないというふうに考えておる次第であります。
  138. 木内四郎

    ○木内四郎君 歳入の方はあれだけれども、償還の方はあなたの方は必ずしもやらないでよいのだから、それだけでも残るじやないか。
  139. 清井正

    説明員清井正君) 食糧証券は、年度内における食糧証券の発行と年度末に来度度へ繰越します証券と二種類ありますが、この証券発行は年度末において来年度へ繰越します食糧証券の発行ということにいたしておるのでありまして、只今の御質問の点については、歳入が千百八十億円というふうに抑えられておりますので、この歳入の限度しか食糧証券の残額を繰り越し得ないということになろうかと考えております。
  140. 木内四郎

    ○木内四郎君 そういう何か法律上の規定がありますか。
  141. 清井正

    説明員清井正君) 特別会計法の第三條にたしかそういう趣旨の規定がございます。
  142. 木内四郎

    ○木内四郎君 君どういう規定ですか、ちよつと読んで下さい。
  143. 清井正

    説明員清井正君) 特別会計法の第三條に第一項と第二項ありまして、第一項の方は年度を越します分、第二項の方は年度内において一時的な現金不足に充てる分でありまして、この二種類に分つております。第三條の第一項の方は、「本会計ニ於テ食糧買入代金ノ財源ニ充ツル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ一年内ニ償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得」、第二項の方は、「本会計ニ於テ食糧買入代金ノ支拂上一時現金ニ不足アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ当該年度内ニ償還スヘキ一時借入ヲ為スコトヲ得」というふうに規定いたしております。
  144. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは当り前の話で、そういう規定はありましようが、金額が書いてないじやないか。それを千百八十億円という金額に止める規定はどこにありますか。
  145. 清井正

    説明員清井正君) これは只今申上げました通り、歳入の方で千百八十億という限度がございますので、その限度に止めないと歳入歳出が合わないことになりますので、その限度に当然止めなければならないということになります。
  146. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは飛んでもないことだ。あなたの方は歳入の方と公債発行限度とを混同しておられる。食糧証券の発行限度をあなたの方は千五百億円から千七百億円に拡張しておるじやないか、歳入の見積りの問題じやないと思う。
  147. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 千七百億円というのは、年度内における食糧証券のピークの額になるわけであります。千百八十億円というのは年度末における食糧証券の現在高でありますが、この千百八十億円というのは、今年の三月末即ち二十三年度末の食糧証券の発行高であります。総合予算審議の建前から千百八十億円というものを、今年度末においても動かさないという建前でおるわけであります。
  148. 木内四郎

    ○木内四郎君 その方針はたびたび伺つてつておるが、何か千百八十億円までしか発行できないという法律上の制限があるかというのです。
  149. 河野一之

    政府委員(河野一之君) その法律上の制限はありません。
  150. 木内四郎

    ○木内四郎君 それですから千百八十億円は、あなたの方で千六百七十億円まで食糧証券は発行するのだから、あとの償還ということは義務付けられておらないから、それを残して行つてしまえば百七十億九千三百万円というものを繰入れなくても済むのじやないかと言うのです。
  151. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そういうふうなことにいたしますと、年度末における食糧証券の残高は殖えるわけです。前年度末より殖えるのです。総合予算の真の均衡の建前からすれば、そういうことはしない。借入金を増額しない。こういう方針から来ておるわけであります。
  152. 木内四郎

    ○木内四郎君 併しそれは借入金を増額しないという問題でなしに方針の問題であつて、法律上の問題ではないから、この法律を我々が通した場合に、千百八十億円に限るということは、義務付けられないわけですか。そこを私は聞いているのです。
  153. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そういうふうにいたしますと、予算の立て方としては違つて来ると思いますが、法律上の制限はございませんから、そういうことになりますと、そういうことは絶対できないわけではございません。法律上では。
  154. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は別にあなた方を信用しないわけでもないのだが、併し農林大臣の監督しておられる会計において、とにかく薪炭とか何とか、我々のちよつと理解し得ないような事態が次々に起つているのです。そこで我々は法律でしつかりこれを押えている点と、押えていない点を明らかにして、そこを国会としても監督すべき点は監督しなければならんから、そういう意味で聞いているのです。
  155. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ず第一のこの補正をしなければならない積算の基礎なんですが、これを数量の問題と価格の問題、こう二通りになると思うのです。  私は先ず第一に数量の方からお伺いいたしますが、数量の方にも、国内食糧と、それから輸入食糧と、こう二通りある。そこで国内食糧の方を見ますると、例えば米で言いましても、当初予算が三千二百三十万石、こういうことになつております。補正の基礎の方を見ましてもこれと大差がないのです。二十三年度と二十四年度の産米と両方を合せますると、この数字と差がない。こういうことに結論付くのであります。その他麦、裸麦、或いは馬鈴薯、甘藷、こういうものをずつと取つて見ましても、とにかく国内産食糧については、当初予算の方も又補正の基礎になつておる数字の方も変りがない。こういうふうに見受けられるのでありますが、輸入食糧において当初予算の積算の基礎は三百二十九万トンになつておる。ところが補正の方の基礎は二百九十三万トン、つまり六十三万トン殖えておる。こういうふうに見受けられるのですが、主として数量の違いは、今私が申した数字によつておりますか。そういう違いですか。
  156. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問ですが、大体お話通り輸入食糧が少し当初の計画より増大いたしたということに原因いたしております。
  157. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで今度は価格の問題、これも国内の米に取りまするというと、当初予算の方が一千五百九十二億五千六百万円。こういうことになりまするし、それから追加の方で申しますというと千五百二十七億、こういうことで、これ又別にたとえ数量が仮に多少殖えたといたしましても、超過供出支拂うところの單価が安くなつておる。こういう基準からいたしまして総額が変りがない。こういうふうに見受けられるのです。全部を比較すればよろしいのですが、時間的にその余裕もございませんから、結局このような工合で国内食糧については額の点でも大差はないと、こういうふうに見てよろしうございますか。
  158. 清井正

    説明員清井正君) 価格の点でございますが、価格の点は当初この予算に計上いたしました米について申しますと、大体單価を四千百九円ということで計算をいたしたのでございますが、本年産は御承知通り先般四千四百五円でしたか、四千四百三円というふうに価格が値上になりましたので、その分の額がこの中に含まれておるのです。
  159. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちよつと私お聽きしておるのは、その通りにここにも見ておるのです。当初予算の方は普通の積算が一千四百九円七十銭、こういうことで積算されておる。片方は四千四百五円、併し今度は超過供出の方は、片方は当初予算では一万二千百五十九円十銭、こういう積算の基礎になつておるし、片方は八千七百円、こういうふうに下がつておる。総計いたしますと、国内の米についての予算の総額というものが変りがなくなつて来る。結論的にそういうことなんです。尚前年産米がこれに加わつて来る、こういうことはございますけれども、今私が申上げた数字は、前年産米も加えて、而もそういう数字が出て来る。同じような数字が出て来る。この通りにして全部をこちらで計算して見ればよろしいのですが、その余裕もありませんからお聽きするのですが、こういうことで全部の国内食糧については予算の数字が大して変りがないのが、こういうことを聽いておるのです。
  160. 清井正

    説明員清井正君) 多少の差はございますかも知れませんが、お話通り輸入食糧以外は殆んど変りがないというふうに御了解願つたら結構でございます。
  161. 天田勝正

    ○天田勝正君 そういたしますと、專ら輸入食糧の数量が六十七万トンつて来たというところにこの説明の根拠があろうと思うのです。そうなつて参りますと、先程も質問いたしましたように、インフレが昂進するということは、本来物がなくて通貨が発行されておるというところに端的に現われるのであつて、このように六十七万トンという量が殖えたことが根拠になつておるから、決して食糧証券を当初予算のごとく一千二百七十七億のままにして置いても一向差支ないではないか。こういうことになつて来るのです。この点は如何ですか。
  162. 清井正

    説明員清井正君) いろいろインフレ等の問題につきましては、私がお答えする限りでありませんが、只今申上げましたが、先程来もいろいろ御説明申した通り食糧証券の引上は、輸入食糧の当初よりも、相当数量の増加が非常に大きく響きまして、その結果来年の一月におきましては、千六百七十億も証券を発行しなければならんというようなことに相成る見込が立ちましたので、只今限度引上げるお願いをいたしておるわけであります。
  163. 天田勝正

    ○天田勝正君 質問によつてこの数に根拠があるということは私も了解したのです。そこでこの数に根拠がある以上は、全部の項目が総体的に膨んで来るということならば理解ができるのです。然るに数量の少なかつた当初予算においては食糧証券を、借入金の收入というものを千二百七十七億円とあなたの方では見積つておる。ところが今度はそうして根拠になつておる数量というものが殖えておるにも拘わらず、九十七億円というものをこの收入において落しておる。こういうことだから矛盾しませんかとこう申上げておる。專ら予算の殖える根拠を説明することに当りまして数量が殖えた、価格が上つたということを御説明になつております。そこで今前段において質問いたしましたところが、專らその根拠は輸入食糧の数量にあるこういうことが明らかになつて来た。勿論附随して値段も上つておるこういうことになるのでありますけれども、とに角一番の根本は、数量が六十七万トン殖えた、そこにある、然らばその数量を見返りにいたしまして、これらの食糧証券の收入の方も、また同時に一般会計から繰入れの方も、共に殖えて行くこういうことなら話は分る、ところが今言うたように、当初の見積りの方が多くなり、逆に殖えるべき根拠に立つておりながら、この收入の方が減つておる。この関係は矛盾ではありませんか、こう聞いておるのです。
  164. 清井正

    説明員清井正君) 今度の補正予算におきまする商品代全体の増加は、すでに御承知通り四百六十九億四千三百万円ということに相成つておるのでありますが、その当初の予算より増加した内訳は数量につきましては、成る程輸入食糧の当初よりの計画でございますが、この金額に一応見て参りますと、四百六十二億のうち、内地米の値上り分増加十五億、麦類が百億、藷類が二百十四億、輸入食糧は百三十二億という大体の数字になつておりまして、その合計が四百六十二億という商品代の当初計画よりの増に相成つておるのでありまして、商品代四百六十二億のうち、輸入食糧金額の増は百三十二億という数字に相成つておるのであります。
  165. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうも私の質問しておる部面以外のことをお答えされるので隔靴掻痒の感があるのであります。政府の御提出になつておりまするこの二十四年度補正予算の説明、この中に書いてあるところの歳入の一般会計からの受入と、食糧証券及び借入金收入の、ここのところをお引きになつてお答え願いたいのであります。つまりまた繰返しますけれども、こうして補正予算が提出されたその根拠というものが、輸入食糧の数量の増加にあるのだ、外にもありますけれども、併し主たる原因がそれであるということを質疑によつて明らかになつたわけであります。であるからそういう根拠に立つならば、一般会計の受入れも殖えるし、こういうふうに自他共に殖えるというならば、同時に食糧証券の借入金の收入も殖える、それは私は分る、ところが一方においては当初数量の少いときの根拠に立ちましても、一千二百七十七億という数字がここに上つておる、それを今度の補正では逆にそれを減らしておる、こういう点、それで一方においては、一般会計からの繰入れは六十四倍、六十五倍に上つておる。であるから矛盾ではないか、こういうことをお聞きしておるのです。
  166. 清井正

    説明員清井正君) 御質問の点でございますが、成る程数量につきましては輸入食糧が当初計画いたしました二百二十万トンより二百九十万トン上りましたので、相当増加をいたしておるのでありますが、金額的に申しまするというと、只今お説明申しました通り、今度の補正予算の歳出の商品代の四百六十九億の増加がございますが、その中の輸入食糧金額を占める分が、百三十二億ということを只今申上げましたので、四百六十九億のうち、輸入食糧金額としての收入は、百三十二億ということを御説明申上げまして、商品代の中の占める輸入食糧の割合を今御説明申上げたと思うのであります。尚それについて食糧証券としての当初金額を千二百七十七億に一応見たのでありますが、これはその後昨年度末におきまする実績が千百八十億というふうに相成りまするし、昨年度におきまする食糧証券の現在高と、本年におきまする食糧証券の現在高を同じゆうするという財政上の要求に基きまして、千百八十億ということにいたすことにいたしましたので、当初計画いたしました千二百七十七億一千万円から千百八十億の増加分を引いた九十七億七千万円の差額を今年度予算の收入から落した、こういうことに相成つておるのであります。
  167. 天田勝正

    ○天田勝正君 つまり結局こういうことになりませんか、今言つたように輸入食糧が六十七万トン殖えるし、額においては百二十六億殖えると、こういうことになつた場合、それを全部一般会計に全部背負わせるとしても、百二十六億ということになりはしませんか。その点どうでしようか。それがその数字と違う繰入れをするというのは、一体どういうわけですか、それならば……。
  168. 清井正

    説明員清井正君) ちよつと御質問の御趣旨がよく分りませんが、先程ちよつと。
  169. 天田勝正

    ○天田勝正君 よく説明します。
  170. 清井正

    説明員清井正君) 分りました。食糧証券は初め千二百八十億と一応推定して、この程度はあるだろうということで、千二百八十億ということに、歳入歳出共に計上いたしておつたのでありまするが、その後千百八十億ということに確定いたしましたので結局少くなるわけであります。従つて当初見積りました推定に対して実績に合わすために当然こういう減を見る、こういうことであります。
  171. 天田勝正

    ○天田勝正君 この国の予算、その構造と背景はこの書類によりますると、当初予算輸入食糧の部分が四百八十八億三千三百万円こうなるのであります。ところで今度は補正の基礎になつた方から見て行きますると、六百二十億とこういうふうになつておるわけなんです。そこでこの差額輸入食糧の数量の増加、並びに單価の値上りとこの二つが合わさつて、この差額が出て来るわけなんです。そういうことじやありませんか。
  172. 清井正

    説明員清井正君) さようでございます。
  173. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私お答え申上げます。百七十億円を繰入れました理由は、他の政府委員よりお答えいたしましたように、主たる原因は輸入食糧増加に基くものであります。而して別に債券の発行高は千二百八十億円程度当初見込んでおります。併しその後の実績によりまして、これはそこまで見込まなくてもいい、実際は千百八十億円でいいのだということになりましたので、当初の歳入歳出の額を落したわけであります。而してそれによりまして計算いたしますると、輸入食糧の分が百三、四十億円、その他の関係で今残りの三四十億円要るという、こういうので一般会計に財源がありましたので入れたのであります。お話の点は輸入食糧は百三十億ならいいのだとこういうお話でありますが、外も入れた方がいいから入れたのでございます。
  174. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はありませんか。
  175. 小川友三

    小川友三君 この食糧管理特別会計法案は、今大蔵大臣来られましたので少し御伺いしますが、あと二百億出さなくてはやりくりがつかんというので、この一千七百億でございますのはあと二百億増加しなくては支拂いがつかんという結論のように思われますが、午前中の委員会でも、政府委員の方は、マル公が上つたから買入れ値段からそれだけ余分の金額が要るのだということを御答弁があつたわけなんでありますが、買入金が上つて回收がつきますから、その点は心配はないと思いますが、この一千七百億にいたしましたのはどうしても一千七百億にしなければやりくりがつきませんければ、承認しなければならんが、その点につきまして大臣から具体的に御説明を願いたいと思います。
  176. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 午前中の質問ははつきり覚えておりませんが、この百七十億出しますことは勿論早場米の問題、超過供出の問題があると思うのであります。併しその早場米や、或いは超過供出のものを今年度内に直ちに売つて回收はできません。これは来年の一月から十二月の問に調整するのであります。最大限度百七十億は要るというので繰入れておるのであります。だからそのピークの場合を考えたものであります。
  177. 天田勝正

    ○天田勝正君 最後大蔵大臣に伺つて置きますが、我々の質問の根拠になるものは、要するに当初予算を組まれるときにインフレを收束せしむるという基礎から出て来ておる。こういうことから何もドツジ・ラインは、この補正予算に初めて登場した問題でなくして、当初予算のときもそうであつた。従つてその場合にインフレを收束せしむるのに、尚食糧証券並びに借入金、一時借入金收入として一千二百七十億を計上してもよろしい、こういう根拠に立つておろうかと思うのです。だが今日になつてみると、更にこれを收束を早からしむると申しますか、強化すると申しますか、とにかくそういう意味で当初予算以上にこれを切詰めて、そうした途を早く進む、こういう観点から一千百八十億にした、こういう意味に了解してよいですね。
  178. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 糧券の千百八十億というのは、当初の計算の根拠が変つて参りましたので、両方から落したのであります。而して百七十億円の繰入は、今年度におきましてはインヴエント・フアイナンスは一般会計から繰入の方針を当初とつておりましたのを堅持したわけでございます。而うしてこの繰入のために特に増税をしたわけではございません。自然増税で、もうすでに相当部分入つて来たものを入れておるのであります。  で私はこの繰入のために増税をしたわけでもございませんし、政府の收入金が相当殖えて参りましたので、食管の方で借入金をするよりも、一般会計に余裕があるから入れた方が適当だ、而してそのことは当初予算の編成方針を踏襲したものであるという考え方でやつておるのであります。而して来年度におきまして、このインヴエント・フアイナンスをどうするかということは検討いたしておりますが、特別会計一般会計からの繰入は、来年度におきましては余りいたさない方針でやつておるのであります。
  179. 小川友三

    小川友三君 本案につきましては質疑を省略するという動議を提出いたします。    〔木村禧八郎外「まだまだ」と述ぶ〕    〔小川友三君「ノーノー」と述ぶ〕
  180. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二つ三つお伺いいたしたいのですが、只今大蔵大臣は財源に余裕があつたから一般会計からこの食管特別会計に入れたというようにおつしやつたのですが、その点でお伺いいたしたいのは、日本現状で余裕財源を食管特別会計に繰入れるということが一番適切である、こういう意味にお考えですか。
  181. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は減税もいたしましたり、又歳出の増もいたしまして、適当なる減税と適当なる歳出増をいたしまして、そうして一般会計への繰入補給金にも適当なる金額を入れる、こういう三本建で行つております。
  182. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 適当というそれがまあ問題でありますが、例えば最近一般の中小企業者、その他の金融難に鑑みまして、国民金融公庫に対する政府支出が非常に僅かで、政府はもつと多くしたかつたけれどもできなかつた。そういう場合むしろそういうところへ支出を多くした方が、今の日本の中小企業者が非常に金融難で悩んでおる。そういう事情に鑑みてその方が適当でないか、その他いろいろな状況を考えれば、特に百七十億も財源ができたのを食管にこれを特に繰入れるというのは、私は適切でないと思うのです。この点はやはりフアイナンスでですね、金融において行なうのが、私はむしろデイス・インフレの線だと思うのです。でこれを配られた資料を拜見しますと、食糧証券の発行のピークが千六百七十億になるのですね。これは来年一月、二月には千五百九億になる、そうして三月になつて一挙に今度は千百八十億にする、そうしますとその間に千六百七十億通貨が出て、それによつて物価はやはり影響を受けると思うのです。物価が上るようにして置いて、又あとで締めてこれを非常に收縮する、そういうことは却つて私はデイス・インフレの線じやないと思うのです。デフレの線になると思うのですが、この点……。
  183. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 国民金融公庫に繰入れたがいいのじやないかという御意見もありますが、繰入れにもおのずから程度がございます。今年度当初予算におきまして、国民金融公庫の出資は十三億円でございます。そのうち十億円は借入金の償還に当つて三億円でスタートしているのであります。補正予算でこれをそう沢山にいたしましても……。徐々に殖やして行くべきものでありますから、私は一応五億円で抑えて行くのが適当と思つております。而して食管会計の方で一月、二月、三月の糧券の高によりまして、物価に直くどうこう影響するということは、これは早計であるのであります。私は通貨の全体の量につきまして検討を加えて行きたいと考えております。
  184. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小川君、あなたの御要求農林大臣に御出席を願つたのですが、農林大臣に対する御質疑はもうお取消になりますか。
  185. 小川友三

    小川友三君 薪炭の方でやります。
  186. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 薪炭の方でおやりになりますか。中野君、大蔵大臣に対する質問があるとおつしやいましたが、若しなんならこの際……。
  187. 中野重治

    ○中野重治君 ありません。
  188. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと大蔵大臣にお聞きしますが、今輸入食糧増加の百三、四十億、外のもので三十乃至四十億というお話でありましたが、これは予算委員会におきまするお話相当違うとは思いまするが、その点は第二といたしまして、輸入食糧増加で百三、四十億だというものは、その増加分は何と何とでありますか。それが予算説明によりますれば、九%の輸入食糧の値上りによることを、百七十億の特別会計繰入れの理由と書いておられますが、その数量を、ちよつとパーセンテージはありまするか、伺いたいのです。
  189. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ちよつと御質問のでかはつきりしなかつたのですが、百七十億円の内訳のあれでございますか。
  190. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 百七十億のうち今大臣が言われたのは、百三、四十億が即ち輸入食糧増加に伴うものだ、それから三、四十億はその他のものだと……。でその他のものというのは、あとでお聞きしますが、百三、四十億というものは、補正予算の説明によりますれば、九%の値上りによるものだ、輸入食糧及び国内食糧買入れの九%の値上りによるものだということを明示されております。その九%に相当する数量を逆算して幾らになりますか伺いたいのです。
  191. 清井正

    説明員清井正君) 九%と申しますのは、先般いたしまして国内食糧の値上りが、元の価格に比較して九%の値上りになる、こういう意味の数字でございます。
  192. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 予算の説明では国内食糧及び輸入食糧の値上り九%と書いてありますが、それはどういう内容でありますか。
  193. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 一四三パリテイのものに比較いたしまして、一五六パリテイは九%の値上りになるという意味でありまして、従来一四三のパリテイでやつておりましたので、これを十一月から一五六パリテイで輸入食糧も買うということにいたしましたので、そこで九%の値上りになる、こういう意味であります。
  194. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それが大臣の言う百三、四十億に相当いたしますか。
  195. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 百三、四十億と申しますのは、大体輸入食糧の六十万トン増加に対応するものであります。その他国内産食糧生産者価格が上つて従つて同じ在庫でありましても金額が殖える、單価が殖えるということで三、四十億ということになります。
  196. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると輸入食糧及び国内食糧だとおつしやいましたが、輸入食糧が幾ら、国内食糧買上げが幾ら、その内訳を伺いたい。
  197. 河野一之

    政府委員(河野一之君) ちよつと手許にその書類がございませんので、今揃えまして後程……。
  198. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは後で伺いますが、残りの三十億乃至四十億というものは何でございますか。この大蔵委員会に出ております説明書によりますれば、その期間に生ずべき損失等という意味を含まれるようでございますが、どうなんでございますか。
  199. 河野一之

    政府委員(河野一之君) ちよつと聽き漏らしましたが……。
  200. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 大蔵大臣は、輸入食糧増加によつて百三、四十億が要るのだ、それからあとの三、四十億は、百七十億の補正予算特別会計へ入れるやつのあとの三、四十億はその他のものだとおつしやつたが、その他のものだとおつしやるのは、どういう内容でありますか。
  201. 河野一之

    政府委員(河野一之君) その他のものと申しますのは、国内食糧につきまして生産者価格が上りますので、その上ります分、同一の数量でありましても、価格が上りますので、その上る分に相当するものである、こういう意味であります。
  202. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 先程のあなたの言葉は喰い違います。先程あなたは、百三、四十億なるものは、輸入食糧国内産食糧買上げの分の値が上る分だとおつしやるのですが、今又それは含まないという……。
  203. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 若しそういうようなことを申上げましたならば訂正いたします。
  204. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それでは全部百三、四十億円というのは、輸入食糧価格の上つた分でありますか。
  205. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 大体そうであります。
  206. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは何トンでありますか。
  207. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 輸入食糧価格の上つた分でなしに、輸入食糧増加した分でございます。それからそのトン数は当初は二百二十九万トンであつたのが、この予算では二百九十万五千トンにいたしております。
  208. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 二百九十万五千トン増加いたしましたものが、この補正予算内に全部計上しなければならないのでありますか。
  209. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 計上した方が適当だと考えて計上いたしました。
  210. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その二百九十万から二百二十九万を差引きました六十一万ですか、六十一万トンが百三、四十億になるわけでございますか。
  211. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうことでございます。
  212. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは一トン当り幾らになりますか。
  213. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 小麦につきましては、一トン当り二万三千円であります。
  214. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 二万三千円は買入価格でありましよう。
  215. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 食糧庁の買入価格であります。拂下げを受ける価格であります。
  216. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると特別会計には、値上りの差額とおつしやいましたが、全代金を計上したわけでありますか。買入価格の六十万トンの、トン当り二万三千円の全価格を計上したわけでありますか。
  217. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 貿易会計から拂下を受けます価格、この価格であります。
  218. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと補正予算の説明には、私繰返し申上げますように、九%の値上りによる補填価格だと言われているのですが、今局長のおつしやつたのは、六十一万トンの全代金だとおつしやいますが、どちらなんですか。
  219. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは百七十億円の内訳は、輸入食糧増加分と、そうして国内価格の上つたもの等を含んでいるのであります。
  220. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじや次に三、四十億の別のものだというものは、どういう内容でありますか。
  221. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは只今申上げました生産者価格引上げ等によるものであります。
  222. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 現在政府は百七十万石内外を手持ちされているのであります。それの値上りと先程農林省の方では相殺するような意味合のお話があつたのでありますが、別個にこれは計上するわけでありますか。
  223. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 別個というとなんでございますが、只今繰返して申上げますように、輸入食糧増加分と、国内生産者価格引上げ等による食糧管理特別会計への必要な金を一般会計から繰入れているのであります。
  224. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではこの新らしい価格政府買入れて、そうして来年一月から二ケ月ずらして小売価格で消費者に売り付ける赤字と申しますか、その間の損失金というものは含まれておらないかどうか、説明にはそれは含んだように書いてありますが、如何ですか。
  225. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうものも含まれておりまするから、輸入食糧増加生産者価格増加等と申上げております。
  226. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは前にいもに対する操作において超過供出が多かつたから、これだけの赤字が出たのだと言つて農林大臣も言われておりまするし、大蔵大臣いも操作等において九十億の赤字だと言われているようなことと、やや話は今日は違つて参りますが、如何ですか。
  227. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 赤字というのにもいろいろな種類がございまして、一定の期間を限りまして計算した場合において、超過供出、或いは早場米の価格を全部消費者価格に織込み得ない場合におきましても、一定の期間を区切りますと、赤字ということがあります。それからいもが腐つたり、いろいろな意味の赤字がありましよう。長に目で見たら九十億の中でも赤字でない、その後においても補填し得るものがあると思います。
  228. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  229. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちよつと念のために伺つて置きますが、さつき伺つたように、年度末に千百八十億に食糧証券をするというのは方針であつて、別に法律上の制限があるわけじやないという御答弁であつたのですが、今日の金融の情勢その他から大蔵大臣は、予算を編成する方針として、年度末の食糧証券は千百八十億にするという方針でこの予算を組まれた、それは分りましたが、今後の金融情勢如何によつては、そこまで持つて来ないで、食糧証券一つやる、従つてその場合には百七十億円というものも繰入れないで済むということはあり得るということは言えませんですか。
  230. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 千二百八十億円程度のものは、当初の計画で計上しているのでありますが、その後調査いたしましたところ、千百八十億円でいいということになつたので、歳入歳出を落して是正したわけであります。そうして百七十億円というのは、一応食管特別会計の方へ繰入れることにいたします。食管の方の様子がごうこうということは、これは結果からの問題でございまして、只今御賛成を得まするならば、今年度内において百七十億円を繰入れます。
  231. 木内四郎

    ○木内四郎君 繰入れることはできると言つておりますが、それだけれものは繰入れてしまいますか。それとも金融情勢によつて、もう少し食糧証券を出しておいてもインフレにはならんというお見通しならば、そのときになつて変えてもいいのじやないかというふうに思うのだが、そういう裕いのある考え方はされませんか。
  232. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうふうな考え方はいたされないと思います。百七十億円を繰入れます。
  233. 小川友三

    小川友三君 本案につきましては相当質疑がございましたので、質疑打切りの動議を提出いたします。御賛成ございますか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  234. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小川君の御発言の通り質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。直ちに討論に移ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  236. 小川友三

    小川友三君 本案につきましては実はいろいろ質疑相当あるのですが、まあ農林大臣と、大蔵大臣と各所管の局長連中を信用しまして、運営に過ちのないようにして頂いて、それを條件にしまして賛成いたします。
  237. 天田勝正

    ○天田勝正君 日本社会党は本法案に反対いたします。その理由は本予算を見まするに、元来この百七十億の一般会計からの繰入れを行わすとも処理ができるのでありまして、況して今小川君がおつしやつた農林当局を信用するということでありまするが、私共からいたしますれば、さような信用はできないのであります。先程来各委員から指摘されておりますように、同一省における所管である薪炭特別会計等の疑点もありまして、到底この際この明確な御答弁がなり限りはそれらを信用してお委せするというわけには参りません。そこで私共としましては、すでにこの予算に組まれておりまする一般会計からの繰入れ、並びに食糧証券借入金收入、この二つの項目を比較いたしましてもその矛盾が指摘されるのでありまして、こういう観点からも本法案には反対するものであります。
  238. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は本法案に三つの点から反対いたします。  第一は政府は余裕財源があつたから、一般会計から食糧管理特別会計に繰入れる、そういうことを一つの理由にしておりますが一般会計からの余裕といいましても、内容を見ますと決して自然に余裕が出て来たのではなくて、これはすでに今度の補正予算に対する反対理由として述べましたが、勤労所得税の実質的な増税その他によつて処理しているのでありまして、非常に余裕のある増收というものではない。非常に今の日本の窮屈な経済状態の中から搾り取つた税金、そういうものを以てこの食糧管理特別会計に繰入れるということになつております。決して余裕財源では私はないと思う。  第二はこの百七十億を食糧管理特別会計に繰入れることが、今の日本の窮迫した現状で一番適切であるかどうか。先程国民金融公庫に出資をもう少し殖やせということを一つの例として申しましたが、もつといろいろな、社会保障、或いは六三制の問題、文化費その他緊急を要する費用が沢山あるのでありまして、それを特に食糧管理特別会計から、この際繰入れるということは私は適当でないと思う。それが第二の反対理由であります。  第三は社会党の天田氏から言われました通り、これは一般会計から繰入れなくても操作し得るのでありますから、実際上操作することによつてつて影響は一般会計から繰入れるよりも悪くないので、もつと適切な方法を私は採つていいと思う。そういう意味で本法案に反対するものであります。
  239. 中野重治

    ○中野重治君 私はこの案に反対いたします。その理由を簡單に述べます。法案を通そうというときには、その理由がなければなりませんが、その理由は積極的な理由並びに消極的な理由があり得るだろうと思います。質問応答の結果、積極的な理由はどこにも示されていない。ただ消極的な理由が示されております。その消極的な理由は質問応答の結果に照せば極めて曖昧であつて内容が疑わしい。現に政府或いは公団、その関係の役人や何かの無能のためにいも粉の腐れというようなものが、莫大な数字が出ているのであつて、こういう無能には不正が含まれ得る。若しこの繰入れを許すとすればそういう不正を含み得るところの無能というものを我々が保護して、税金から取上げたものをそつちに廻す、注ぎ込むことになつてしまいますから、これには賛成できない。それから食糧証券の問題で問答がありましたが、食糧証券の額の一つの制限が附せられるということが動かないとしても、それだから直ちに一般会計へ飛びついてそれを食うということはそれは道理に合わない。その場合、額が制限されているならば、直ちに一般会計へ繰込むというところに飛び込まないで、他にそういう無理なことをしないやり方がないものかということを政府が努力して探さなければならない。併し今日までに政府はそういう努力を一つもしていない、成敗如何を問わず何らの努力もしていない、これは政治上非常に大きな怠慢だと思います。ですから一般会計へ直ちに食いつくというのに賛成すれば、政府側のこの重大な懈怠を保護するということになるから、我々はこれに賛成することができない。  第三点は、大蔵大臣一般会計に余裕があると私に対して答えて、その余裕は何かということを重ねて問いますと、それは自然増收である。この自然増收が言葉の響きに反して、如何に苛酷な増税の結果であるかということは、すでに木村委員からも述べられた。それですから一般会計に余裕があるから、それは自然増收だからそれに食いつくのだというのは、極めて苛酷な増税に我々が賛成するということに外ならない。それだから我々はこれに反対せざるを得ない。  以上三点から反対するのでありますが、尚最後に天田君の触れられたように、小川君が大蔵大臣並びに農林大臣を信用してこれに賛成するというお言葉がありましたけれども、小川君が大蔵大臣並びに農林大臣を信用してこれに賛成すると言われた以上は、我々はなかなか信用できないという気持が大きくなるのだということを附加えて置きます。
  240. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は民主党を代表しまして本法律案に反対いたします。すでに我が党の代表者が予算に対する討論の際に表明いたしておりましたように、今日の段階において一般会計から百七十億九千三百万円というものを繰入れるということは行き過ぎであると思うのであります。当初農林当局におきましても、これは七十七万二千トン食糧がある。それに見合つておるものであるからして、食糧証券でやるという御計画で話を進められたということは、再三この委員会において御答弁になり、御説明になつておるのでありまして、こういうものは当然食糧証券で賄つて置くべきものであるという建てからして、私は本法律案には賛成いたしかねます。
  241. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。……御発言もないようでありますから討論は終了したものと認めて、直ちに採決いたします。食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  242. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告委員長において、本法案内容委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。委員長が議院に提出する報告書に、多数意見者の御署名を願います。    〔多数意見者署名〕     黒田 英雄   伊藤 保平     九鬼紋十郎   玉屋 喜章     西川甚五郎   小林米三郎     高瀬荘太郎   高橋龍太郎     米倉 龍也   小川 友三
  244. 波多野鼎

    波多野鼎君 本会議の方で記名投票の段取になつておるそうですから、各委員会に対しては即時休憩してくれるように申込んでおるそうですが、大蔵委員会もそういう取計いをして貰いたい。
  245. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) すでに採決は済んでおるのでありますから、署名だけでありますから……。それでは本会議の方へ御出席願います。暫らく休憩いたします。    午後三時四十二分休憩    —————・—————    午後六時五十一分開会
  246. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。  議案は薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案についてであります。御質疑がありましたらこの際にお願いいたしたいと思います。
  247. 小川友三

    小川友三君 農林大臣にお伺い申上げますが、この会計検査院からの報告を中心にしまして、少しお伺い申上げます。現物の不足するものの額が十億二千万円という巨額に達しておりますので、この件につきましてこの前の委員会におきまして毎日新聞に報道せられました木炭十億円の不足という問題を中心にいたしまして齋藤国警長官の委員会におけるところの説明を要求いたしましたところが、その資料が国警の刑事部の防犯課から参りましたから、それにつきまして少しお伺いを申上げたいと思います。この資料によりますと長崎県においては検挙された金額は八十八万一千五百余円、福島県におきましては五十四万円、青森県で十八万円、鹿兒島県におきましては四十六万二千七百余円、宮城県におきまして四十万一千余円、山形県におきましは、十万円、山口県におきまして大体十万円程度、それから福島県が非常に事件が多うございまして、日通の支店長と結託してごまかしたのが二百五十八万円、同じく福島県で二百五十八万円、同じく福島県で百八万円、同じく二百六十万円、それから福島県の田島地区で八十五万三千六百余円、同じく八十七万六千四百余円、合計福島県だけで一千五十七万四円の空気木炭の支拂があつたと報道せられておるのであります。又福島県におきましては十八万円、岩手県におきましては五十八万四千五百円、それから十三万九千円、それから四十五万円という━━不正の取引がありまして、その合計が一千四百三十四万八千九百余円になるということが報道せられておるのでございます。そこでこれらの空気木炭によつて金を取つてしまつた連中はいずれも刑事被告人としての現在状態にあるということが報道せられておるのでございます。そこでこの損失はごまかした連中が相当の業者であるように思われますので、この全金額政府の手に返つて来るであろうということは私の考えでは想像でき得るのであります。この合計一千四百三十四万八千九百余円というものは返ることと本員は思つておりますが、農林大臣におかれましてはどういう工合に大体お考えでございますか、その点を先ずお伺い申上げます。
  248. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) これは国警の長官よりもお答えいたしたかとも存じますが、永年の間における問題といたしまして今お述べになりましたような事犯が現在起つておるという報告を受けておるのであります。それはたまたま木炭特別会計ということを利用して騙取したものもあります。又その品物を詐欺或いは横流し、或いは横領というような問題もあるのでありますが、まだいずれもはつきりとその結論が出ていないのでありまして、これはその結論につきまして特別会計に返るべきものは返つて来ると存ずるのでありまするが、国警とも協力いたしまして政府におきましてはその真相を明らかにいたしまして、そうして特別会計の損失のないようにいたしたいと、かように考えておるわけであります。
  249. 小川友三

    小川友三君 それからこの毎日新聞の報道によつて、岩手県、福島県、宮城県、靜岡県、新潟県、埼玉県、長野県のこの八つの県からの不正の量は、この表で見ますと約九千万円近くあるように報道せられております。合計いたしますと一億一千万円ぐらいにこの架空木炭の、いわゆる只取られてしまつた金があるのでございますが、大体これらの県では日本中の三分の一程度でございますが、外の県の薪炭業者も農林省或いは丸通或いは木炭の生産業者を通じて不正が行われておりますかどうか。この点につきまして大臣の御所轄でお分りになるものでございますならば承わりたいと思います。
  250. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 日本全国に亘りまして数百の事務取扱所ができておりますので、その間において不正が絶対にないとは考えておりません。国警もこの詮策に相当力を盡しておつて呉れます。又政府といたしましても出先の機関によつてその真相を一日も早く明らかにするように努力いたしておるのであります。不正のものは不正のものとし、その損害の国家に及ばないように努力いたしたいと考えております。
  251. 小川友三

    小川友三君 この回收率は、架空木炭の量は一億一千万円ですが、こういう悪いことをする奴は相当金を持つて業者がやつたものであろうということは想像できるのでありまして、このことにつきましては法務総裁或いは法務政務次官の方に回收率について高説を是非一つ後の機会において御発表願いたいと思います。又農林大臣にお伺いいたしたいことは、会計検査院では現物の不足が十億からあるということを発表されておりますが、木炭は非常に嵩張るものですから、どこの木炭でも配給所に入りませんから、道路に山と積まれておる。道路に山と積んであるのでトラツクに一台ぐらい盗まれても分らないという状態でありまして、国警の方の調査によりますと、盗まれたということが全然発表されておりませんが、農林省御当局の御見解では、どのくらいが盗まれたであろう、或いは盗まれたという事犯がある、或いは被害事件が全国に相当ある筈だと思いますけれども、道路に積んでおつた木炭、又薪が盗まれたという例がおありでございましたらば承わりたいと思います。
  252. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 現在保管中に盗難にかかつた、こういうふうに考えられておりますものは全国で一万三千七百六俵でございます。
  253. 小川友三

    小川友三君 金額はどのくらいになりますか。
  254. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 約二百五六十万円になるだろうと思います。
  255. 小川友三

    小川友三君 盗まれた量が大体一万三千七百六俵というのは大体分りましたが、そこでこの不足の量の中にはもつと多くの量が或いは盗まれているかも知れないということも想像できるのですが、昨日の新聞で、某所の強窃盗団を逮捕したが、あそこからは、炭を盗まれた量というものはどのくらいになつておりますか。(笑声)
  256. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) ちよつと分りません。
  257. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の問題に関連して現品不足別調書というのが提出された資料の中にあるのですが、この中でちよつと分らんのは、一、二、三、四、五六、とあるが六のところに現品が指定集荷場所に存在せず生産現場においてあつたもの、これが不足ということはどうなんですか。生産現場にあつたつて、あればいいじやないですか。
  258. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) これは十九年の秋からは窯前でありましたが、その窯前の際にはそれが最終点でございましたから現場でございますが、いわゆる政府指定場所というところで、その後昭和二十年の暮から窯前では如何にも集荷ができないということから、交いわゆる政府指定場所に直しているわけであります。そこで政府の手持薪炭というものが帳簿と現物と合せねばならないということで、二十三年度末の三月三十一日現在で会計検査院におかれましては、長野県の二地区について移動禁止をさせて帳簿との突き合せをおやりになりました。その際にそういうことで別の十七ばかりのそれぞれの理由によつて足りないことが分つたのでありますが、その指定場所にない、約束した場所にないが現物があるというのはいわゆる政府指定場所にある、残高になつているのにそれがない。それじやそのいわゆる指定集荷場所にどうしてないのだ、こういうふうにしていろいろと追求した結果は、実は検査の日までどこどこ部落の分はそこに集めて呉れということであつたから目標を出したんだ。ところがいろいろの事情によつてその部落のものの分だけが来なかつたことで分つた。供出責任者としては責任を負います。こういう分のものでございます。
  259. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうするとこれは供出者が責任を負うわけだから現物不足ということにはならんことになるのですね、勘定の上では。
  260. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) その当時におきます現物不足ということには明らかになる筈ですが、この会計といたしましてはそれを回收することは正にできるわけでございますから、会計の損失ということにはならない、こういうことになりましよう。
  261. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ちよつとお諮りいたしますが、質疑が終了いたします前に農林委員会委員の高橋啓君から本法に関連して発言をしたい、こういう申出でありますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際高橋啓君の御発言をお願いします。
  263. 高橋啓

    委員外議員(高橋啓君) この予算委員会におきましては五十四億七千万円を一般会計から特別会計に繰入れることの是非について小委員会を作つてこれを調査することにしてあるのです。その委員会の構成は今までの慣例によらないで各党から一人ずつ出て頂いてそれで委員会を構成いたしたのであります。この審査の報告書を実は御参考になりはしないかと皆さんに配付して置くように係に頼みましたから多分お手許にあることと思います。この報告書は各党から出ました代表者全員の承認を得てここで作り上げたものであります。そこで恐らくここの委員会におきましてもいろいろな資料は同じように出ておると思いますから、非常に簡單に要領だけを申上げたいと思います。  第一にこのような事態になつた原因について、先ず会計検査院のやり方について調べる必要があるというので会計検査院に来て貰いまして調べたところが、会計検査院は大体林野当局に委託して検査をしておつたこと。それから人がおらないために十分に帳簿の数字と現物とを照合して、いわゆる棚卸しをして調べるということはできなかつた。ただ長野県において二村ばかり拔取調査を、帳簿上の数字と現物とを照合して来た、こういうことでありまして、十分に会計検査院の機能を発揮し得なかつたのであります。ただ一ケ所過年度支拂の分につきまして、会計法の違法があつたということでありますが、これにつきましては次の国会に会計検査院から報告するということであります。これはこの報告書に載せてあります。  その次に国家地方警察本部の長官に来て貰いまして、そうしてこの運営の中に犯罪がないかどうかということを調査いたしたのであります。まだ本格的な検挙に入つておらないのでありますが、今日まで取上げた問題につきましては大体大きなところを申上げますと、福島県にあつた犯罪を申上げますと六件でありますが、その損害金額が一千万円、それで一件で二百六十万円というのが一番大きな問題でありました。又犯罪の内容につきましては政府の官吏と業者とが共謀して、或る者は木炭二万俵を検收報告して置いて実際は空供出が五千七俵あつたというような事件もあつたようでありますが、これからどういうような事件が起きるか分りませんが、今のところ余り本格的な運動に入つておらないという報告であつたのであります。そこで私共が一番心配いたしましたのは、その五十四億七千万円が丁度薪炭証券と相等しい。それから証券整理のためにこのような一般会計から特別会計に繰入れるならば、この整理がまだ清算中でありますからそれが済んでからでいいじやないかというような考えを持つまして、その処分、支拂先を聽いたのであります。ところが今生産者並びに集荷者が政府に立替え、或いは未拂いの金額が約二十三億ばかりあるのであります。その他に七月二十一日に買取りをいたしまして、それで一線を画するときに、はつきりした措置について林野庁は考えておらなかつたために、その惰性で或いは立替えたり、或いは保管料を拂つたり、或いは利子を拂つたり、いろいろのそういうような、この国策変更のために関係のない国民が損害を受けるというような事情もありました。そこから必ずそれが調査の結果政府の債務になつたというようなのが、約二億くらいじやないかというので、二十五億くらいは、民間に支拂わなければならない金でありまして、その金が相当民間に苦しみを與えておるのでありまして、或る農業協同組合では、一県全部の農業協同組合が、殆んどこのために潰滅をするといつたようなところもあるのでありまして、私共は若しそういうような生産者、或いは集荷者といつたような人達の苦しみを與えて、ただ政府薪炭証券だけの関係をやるならば、私共は繰入れるべきではないという考えを持つたのでありますが、これは生産者に対しては優先して拂うという確約を取つたのであります。ところが大蔵当局の了解を得なければならないので、主計局から来て貰いまして、このような支拂いに対して、農林省はこう言つておるが、それで差支ないか、例えば今現われておる支拂いの関係と、それに更に今後調査検討の結果二億くらいの金が政府の債務として現われるだろうという金額を加えたものを先ず優先的に拂うということについて、大蔵当局はどうだということを聞いたところが、そういうことにするという確約を取つたので、私共はこの際このような苦しみを味わわなければならない国民の苦痛に対しても、どうしてもこれだけの金の準備をしてやらなければならないという考えから、私共はそれを了承いたしたのであります。他に今度は未收の問題でありますが、未收の細かい一人々々の明細書を取つたのであります。それは相当の資産を持つておる人であります。これは卸商が大体対象でありますから、大体において取れるのじやないかという考えを持つておるのでありますが、その中には相当心配なものも二、二あるようでありますが、これに対しては林野当局はできるだけ支拂計画というものを立てさして、それに対して支拂いの確認書というか、約束書を取つて、そうして順次これを取立てて行く。尚それには経済査察庁もこれに一役買つて、できるだけ早くこの取立てをするということの答弁を得たのであります。そういうようなことでありまして、予算委員会におきましては、この薪炭問題に関しては、そういうような一般の零細な生産者或いは集荷者というものが、支拂いを受けないために苦しんでおるのであるから、できるだけ早くこの人達の支拂いに必要な措置に対して賛成しなければならないというので、これに対して賛成したのであります。非常に簡單でありますが、恐らく皆さんにも審議するための資料が出ておると思いますから、この程度で御了承願いたいと思うのであります。
  264. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 高橋君に対して御質疑ありませんか。御質疑がなければ政府に対する御質疑に移つて頂きたいと思います。
  265. 森下政一

    ○森下政一君 この一般会計から五十四億七千万円繰入れをした場合に、その使途についてという林野庁から資料を頂きましたが、これについて、この資料を大体こう考えて間違いないでしようか。  先ず生産者に対する支拂いをやる、ここでは一応二十億ということになつておりますが、支拂時において更に増加した場合には、その額を含める。即ち今高橋君が言われましたように、民間の立替えておるものがその他五億程あるということですが、若しそうなれば二十五億で、そうしてこれを差引いた残額が薪炭証券の償還額になる。今頂いておる資料では、生産者に対して二十億を拂つて、残額の三十四億七千万円を薪炭証券の償還に充てる。ところが薪炭証券は更にもう二十億あるわけです。これは一応借換をして、そうして年度末までに償還し、この借換分は債権を極力回收して、これ又年度末までに全部償還してしまう、こういう計画だと了承していいのですか。
  266. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) さようでございます。但し今の高橋委員からのお話も、森下委員のその御了解のうちに、七月三十一日で以てこの特別会計の借入金の方を停止した、そのときに買つた炭ではないけれども、いわゆる指定集荷業者の方々が、或いはその団体が買つて呉れるであろうということを前提といたしまして、予めその傘下の生産者が金を立替えておつたとか、すでにもう荷を持たされておつたと、そういうことによつての損害とか、その分につきましては私共といたしましても相当に無理な額であるということは分つておりまするから、これをよく検討いたしまして、そうしてその善処は図りたいと申してはおりまするが、ここに申してあります資料として差上げてございまする支拂時におきます支拂増加と申しますものは、一般といたしましては、これは十月十七日現在の十五億三千万円を土台にして大体二十万と考えておりまするが、段々請求が確定して参りますると少し殖えるという場合があれば、それを先にやはり拂うと、こういう意味でございます。外はその通りでございます。
  267. 森下政一

    ○森下政一君 そこで今大体政府の意図は分つたのですが、そうすると生産者に対する未拂分は拂うことができる。年度末までには薪炭証券は全部債権を回收することによつて償還してしまうことができる。ところがこの会計に生じておる、林野庁が見込んでおる損失が約五十四億ある。それから行政管理庁の調べて報告しておる見込では、更に十億程度増加するということがあるが、仮にこれは林野庁の見込が正しくて、五十四億程の損失があるということになれば、生産者に対する債務を完済し、薪炭証券を年度末までに全部償還し終つたところが、もう五十四億という措置しなければならん赤字があるということじやないのですか。そうですか。
  268. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この特別会計で従来からのいわゆる三十四億三千四百万円という本年度初めの、前年度末までの欠損を入れまして、又薪炭証券としてこの会計が借りておりますものを入れまして、そうしてこの年度末予想は二十四年度末の予想は五十五億四千万円のいわゆる一切合切の赤字である、かような推定をしております。
  269. 森下政一

    ○森下政一君 そうしますと今言われた一切合切の中から、年度末までに償還する薪炭証券というのは引いてしまうわけですね。それが損失というものの中にそれを含んでおるのですか。そうではないのでしよう。
  270. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) その五十四億七千万の薪炭証券は、この会計からいえば負債でございますので、それを戻すというか、戻しまして……。
  271. 森下政一

    ○森下政一君 それは損ではないのですね。
  272. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) それは戻しますから損でありません。けれども私共の見通しで行けば、ここに御審議を頂いておりまする五十四億七千万円という一般費からの繰入れをした金額がでございます。損というものの、いわゆる引当になるという結果になろうかと存じます。
  273. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 暫時休憩をいたします。    午後七時二十一分休憩    —————・—————    午後八時二十五分開会
  274. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。
  275. 森下政一

    ○森下政一君 先程お尋ねしておつたのですが、途中で本会議で腰折れになつてしまいましたから、もう一遍お伺いします。先程の御説明でこういうふうに了承して間違いないのですか。結局二十億余りの生産者に対する支拂い、更に薪炭証券の中で三十四億七千万円というものの償還、そのために五十四億七千万円というものを一般会計から繰入れをする。そこで薪炭証券のそれ以上にある分は、償券を回收して年度末までに償還するのだと、尤もその中間で借換えをして償なうというものがあつても、必ず年度末までには償還してしまうと、そこでこの会計全体としては、今一般会計から繰入れる五十四億七千万円、これだけが結局赤字になる。その他には赤字というものは出て来ない、一応こう了解していいのですか。
  276. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) その点大体そうでありますが、少し数字について申上げたいと思います。現在の債務の方は、五十四億七千万円という薪炭証券が現在発行されておりまして、会計といたしましては、勿論債務であります。それから生産関係に、この間から出ておる約二十億円というものが生産者の関係の負債、その他に運送関係、日通関係に差上げてありまする資料にもありますが、日通関係で五億一千九百万円、それから海運関係で九千三百万円、又卸の方か受けておる卸に対する債務もございます。主としてこれはいわゆる保管費の関係でございますが、これが一億九百万円余りあります。その他入れまして、ここに七億八千万円ばかりのいわゆる日通その他の債務になつております。  それから今後の問題でありますが、今後と申しましても、現在人件、専務費等の関係、それから現在借りております五十四億七千万円ばかりの利子等を入れまして、一月以降三億三千万円程度要りますので、又現在までの、本年買つた五十四億ばかりの品物と、昨年度から持つておりました二十四億ばかりの保管費もまだ決まらない。これらを入れまして、人件事務費等を入れまして約六億六千万円ぐらいが想像されますので、それを合計いたしますと、債務の合計としては、八十九億一千万円ばかりになります。ところが債権の方はどうかというと、先程資料に差上げてありますように十月十七日でありますが、未回收のものが二十二億五千万円あると、それから手持薪炭が十億六千万円ある。又建物、什器、これが全部で大体六千万円ある。そういたしますると、この債権といたしますると、この債権といたしましての合計は、三十三億七千万円になります。そこで先程の八十九億一千万円との差引の五十五億四千万円、五十五億四千万円というのが今日終局しております本年度末の赤字でございまするし、尚併せてそれでは更にそのあと出るか出ないかという問題は帳簿面と現物との不足であります十億、これは追求して参らなければなりませんから、そうして可なり長い間に亘つておりますので、来年度、現在にも引つかかつておるわけでありますが、他に現在のいろいろな手持の処分であるとか、或いは債権の回收であるとか、保管したところのいろいろのクレイム等の回收をやつておりますが、主として来年になりますが、これを起して参ります。つまり追求して起して回收して参ります。従いまして私共といたしましては、この五十五億四千万円というものが結局終局の特別会計全体の赤、それでありますから現在繰入れをしたといたしましても僅かはまだあるが、それは私共として来年度十億何がしの現物不足のものを追求して行くことによつてこれを解決して行きたいと存じております。
  277. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると幸いあなた方の期待通りに追求して行つて、それらが手に入つて売拂い処分をすることができるとしますと、今予想されておる、今後に起るところの赤というものがなくなるわけですね。大体この繰入れで一切の結了がついてしもう、こういうことなんですね。
  278. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) さようでございます。
  279. 森下政一

    ○森下政一君 そうなると私はどうも……今度は森農林大臣にお尋ねしたいのですが、政府の方針としてはドツジ・ラインを堅持して行く、貫徹して行くというふうな意味から、薪炭証券なんていうものは全部ない方が望ましいですね。全部償還することができれば非常に望ましい。そこで恐らくはこれは私の付度ですが、当初予算を編成なさつたときに薪炭証券を、来年の一月に期限が来るが、そのときに租税收入を以てしてもでも一応償還してしもう。それから生産者に拂わねばならんものもあるが、それらは債権を極力回收して生産者の支收いをする、或いは今言われたように長い間に亘つておるものであるけれども追求して取立てることができるものがある、そういうものを一切終局する、こういう御計画であつたのと違いますか。その方が政府がいわゆる債務を徹底的に償還する。世間で言う、少しインフレ恐怖症に罹つておるのではないかとか批評しておりますが、それまで徹底的に民衆の購買力を吸上げてでも政府の債務を償還をする。この方針を堅持される建前から行けば恐らくそれが本当じやないか。そういうお心であつたのじやないか。その証拠に今度繰入れようという額がぴつたり薪炭証券の未償還額と一致するのですね。それが本当じやないのですか。ところがさて予算をいろいろ野党側が批判して、生産者の未拂いがあるじやないかというようなことを言われると、これはちよつと様子を変えなければならんというので当初の計画が変つて来たというのが大臣本当じやないのですか。それをあつさり言われたら大臣どうですか。
  280. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 決してそんなことはないのです。これは特別会計を閉鎖しましてから、私は就任いたしまして赤字があるので驚いたのです。早くこれは整理しなければいけないと思いまして早速その整備に著手いたしました。今までも整理をやつて来たのですが、たまたま今政府委員から説明いたしましたように、五十四億七千万円と五十五億四千万円という数字が偶然合つたのでありまして、決して当初そういうような計画を持つておつたということは毛頭ないのでございますから御承知置きを願います。
  281. 森下政一

    ○森下政一君 それならば私が若しあなた方の期待通りに、長い間に亘つておるものだから当然追求していいものを追求して行く。そうしてそれで今一応出ておる赤をすつかり終局するのだというなら、それが巧く行かなければ又必ず繰入れをして結末を付けなければこの会計は締め括りができない。清算が結了していないのだから、先ず生産者に拂うものは租税收入で一般会計から繰入れて行こう。それから長い将来じやない、年度が変つて早々にどんどん追求して行つて年度末までに相当の財源を回收して薪炭証券を償還しようというくらいなんですから、この際は一応生産者に対する一番焦眉の急であるものだけを支拂いを完了するために一般会計から繰入れをなさる。而もその解決というものは相当長い将来のことじやない。現にあなた方は債権を回收して年度末までには薪炭証券を拂つてしまおうという勢いだから、その間にインフレが昂進して、行けるというようなものじやないと思う。そうであれば誰も薪炭会計の問題については異論を唱える者はない。以前からの生産者の未拂いをこの際回收してしまうために二十億二十五億という繰入れということをするならば、これはもう皆が得心の行くことだと思う。ところがたまたま薪炭証券の未償還額と同じ金額一般会計から繰入れて、実はそれは生産者に拂うのだ、残額で薪炭証券を償還するのだ。而も尚残つている薪炭証券は債権を回收して年度末までに償還するのだというふうに言われてもこれはちよつと金額の符合についてだけ、手品のような符合ですね、これは……。(笑声)
  282. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 予算を作りましたときの経緯を申上げます。この会計は薪炭買入れにつきまして農林中金を使つてつたのであります。農林中金のオーバー・ドラフトで以て、あとから薪炭証券が追つ掛けてオーバー・ドラフトを決済する、こういう恰好になつたのであります。三月までにおきまして二十五億九千万円、そういうような薪炭証券があつたのでありますが、そのときにやはり二十七八億でしたかオーバー・ドラフトがあつたものを決済しなければならん。それがための薪炭証券を発行したのでありますが、それだけの五十四億七千万円の薪炭証券を発行しながら現金がない。一文もないことはありませんが、殆んど現金がない。それで品物はどうかというと品物はあるが、とにかくこれだけの借入金をしているのだからそれに見合う品物があつて寝ておればいいのですが、現金がない、一つもない、従つて拂えないというのが実情であつたわけです。それならば一方ストツクと夫拂いの方を拂つて見るというとどういうことになるかというと、大体未拂いのものと、内容ははつきりいたしませんが、ストツクの評価のしようがありますが、大体これは見合うのではなかろうか。この薪炭会計は或る程度赤字があるのは事実でありますし、これをどういうふうにして決済を済ませ、生産者に対する支拂いも済ませ、薪炭証券も拂うかという場合にどういう繰入れをするかということを先ず考えたのでありますが、たまたまそういつたような当時の時情を相勘案しまして、大体生産者に対する未拂いと、併せてストツクの関係がある、これを五十四億七千万という薪炭証券の、現在借りておつて現金もないので生産者に支拂えない、こういうふうな事情でありますので、この程度のものを入れて置いたならば、生産者に対する支拂いもでき、それから薪炭の処分によつて生産者の支拂いは勿論のこと、薪炭証券の償還もできる、こういう一応の考え方でやられまして、たまたま金額が一致しましたことにつきまして社会党の方からまだ予算が出る前におきまして、私共のところにお話のあつた方もございますし、私も衆議院の予算委員会でそういう御説明いたしまして、御了承を求めることもあるのであつて、決してそういうようなつもりで、たまたま符合したということは、この程度のものを入れて置いたならばいいだろうという意味合で符合したのでありまして、決しておつしやるように、そのつもりでやつたのだということは絶対ございませんから、その点だけは御了承を求めて置きます。
  283. 森下政一

    ○森下政一君 それでは最後に一言森農林大臣に駄目を押して置きたいのですが、それではこの会計の結末をつけるために、一般会計からの繰入れは、これがもう最後なんだ、これ以上のものは断じて繰入れを要求することなしに決済がつくんだ、つけて見せるという言明をして貰えますか。
  284. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 段々申上げて置きましたように、何分複雑な現物の繰作経営でありますから、断じて百円の金もというわけにはいかんと存じますが、大体これにて清算が結了できるという考えを持つておるのであります。
  285. 森下政一

    ○森下政一君 その大体が十億からの金が出て来るのではないかと心配するのです。又出て来るのではないか。だからこの際は生産者に支拂うだけになすつて置いたらどうかと、こういうのであつた、併しこれを意見としてこれ以上聽きません。
  286. 波多野鼎

    波多野鼎君 その問題に関連して、私は行政管理庁の方にお伺いしたいのですが、今森下君の言うように、これだけの繰入れをやれば、もう二度と薪炭の赤字会計の問題について我々が扱う必要がない。国会で議論する必要はないということが確実であるかどうかということは疑問だと思う。来国会には又何十億かを繰入れしなければならんというようなことになりますと、これは又新聞などに書かれるのは当然でありますが、そうすると国民の受ける印象は又赤字だということになるわけで、そこでできれば私共は最終的な処理の仕上をやつて頂きたい。今度はそういう考えなんです。ところが今農林大臣のお答えでは、大体これでもう済むというお答えでありますが、この行政管理庁の報告、これは幾つもありますが、そのうちの一つで「薪炭需給調節特別会計現状に関する監査結果」というやつは、三枚ばかりのものでありますが、これを見ておりますと、尚この上に、五十四億の上に、尚大体十億円見当の赤字が増加するのではないかと憂慮される。こういつたようなことが出ておるわけなんです。そこで行政管理庁の方にお聽きしたいのは、こういう結論がどういう根拠によつて出されておるか、これは非常に簡單でありますので、よく分りませんから、もう少し詳しく説明をして頂きたい。五十四億の上に尚、更に十億程度増加するのではないかと憂慮されておる。この点、一応御説明を願いたい。
  287. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 行政管理庁の監察の方からお答え申上げます。先程お話のありました、我々の出した報告の更に十億円程度の損失が増加するのではないかと憂慮せられるということにつきまして、ちよつとその根拠を申上げます。  大体この行政監察の報告は、これは実施いたしましたのが七月の終りから八月にかけまして、農林省の方からも報告がございまして、それに基いて第一の監察の目的としましては、この五十四億七千万円の損員が生じたと予想される原因と、それから今後これを処理して行くに当りまして、結局手持の薪炭を売捌いて行くということと、それから未回收金額回收して行くということと、この両面につきましてできるだけ国損を少くして行くということについて、行政運営上から監察をいたしたのであります。その当時の資材といたしましては、六月末までの残を処理したのでありますが、勿論現物に全部当るわけに参りません。林野庁にその当時四十七億程度の手持がございました。これをどれだけに売捌くかという点について現地並びに卸業者その他とも懇談いたしまして状況を聽いたのであります。そしてその損失の、その当時の算定の基礎として若干の値引を考えておりますが、この値引が妥当であるかどうか、それから尚相当いものもございましたので、減耗もございますが、その査定が妥当であるかどうかというような点を考慮したので、これは非常にいろいろその他の状況によつてどうなるかということで変りますが、その当時考えられておりました生産地においては三割引、それから消費地においては二割引ということに対しまして、尚若干の損耗は考えられておりますが、我々として査定したときには、当時情勢が変つたために相当生産地の価格が落ちておりました。この基準としては、生産地に対しては約五割、消費地に対しては四割というものを値引する。併しこの場合に減耗は考えません。減耗も含んで、その程度のことが損になりはしないか、これは何となれば後に申しますような、我々の結論として推進して頂きたい点、そういう点を前提として手持を早く売捌かない場合、この場合には損耗も更に増加するし、それから移動その他に要する費用がかかりますし、保管料も増加するということから、この措置に適切なる運営ができない場合には、更に我々の査定したような損が憂慮せられる、こういう見地で以て書いたのでございます。できるだけそういうことのないように、お手許に配付してございます資料最後にございますような対策を早急に実施して、そういうことの起らんように努力をして欲しいというのが行政監察の結論でございます。そういう意味の事情でございます。
  288. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると木炭価格が変動しておるから値引を五割乃至四割しなければならんということと、早く売却しなければ倉敷料がかかるということと、この二つの点から……。
  289. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) これは減耗がこの中に織込んでありますから、單なる單価に対する値引でなしに総体として考えております。
  290. 波多野鼎

    波多野鼎君 総体として五〇%乃至四〇%の損耗がある。それと倉敷料の問題、この二つから尚十億見当の赤字が出て来る。
  291. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) それは直ちに売捌いた後でなしに、その処置が、適切なる処置がとれないでですね、いつまでもそれが放置されてあつたり、或いは又この運搬をしなければならんというような、生産地のものを生産地で以て直ちに相殺、或いはその他の措置によつて処置ができればいいですけれども、それがなかなか適切に行かないというときにはそういうことが憂慮されて、最後に申しましたような結論の推進を図つて貰いたいというのが事情でございます。
  292. 波多野鼎

    波多野鼎君 その点では農林省側はどう考えておられますか。この使途の五十四億七千万円の使途についてというこの計画を見ますと、年度末までに殆んど処分ができてしまうということの数字の計画なんですが、そういうことに行くとお考えになるのですか。実際におやれになると思つておるのですか。
  293. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この処分はもう年内に全部済ませるつもりでやつております。年度内でなく年内に。
  294. 波多野鼎

    波多野鼎君 売却とか、その他債権の回收……。
  295. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 回收はこの十二月までで各相手別に別々の回收計画は立てさしておりますから、これにつきましては必ずしもその通りというわけには行きませんが、遅くもこれは年度内には絶対に取る。こういう考え方で回收をやつております。現物は年内に。
  296. 波多野鼎

    波多野鼎君 年内に現物の処理ができてしまうということが行われるとすれば、今あなた方が憂慮されておる十億の赤字が、更に出て来ることになるのですが……。
  297. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) それにつきましては、その後の処理状況につきましては私の方でずつとトレースしておるわけでないので何ともお答えができないと思いますが、とにかく十二月までに処理ができますことはですね、これは非常に我々の考えておるよりも、より早い処置ができるのだと思います。それから尚……。
  298. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと途中だがね。僕が聞いておるのは十億という赤字が出るかも知れんと憂慮しておる事情が、十二月中に現物が処理されてしまうということが実際に行われるとすれば、その事情は解消するとあなた方は考えられるかどうかということなんです。十億赤字が更に出て来るかも知れんという危惧はなくなるかということ、十二月中に……。
  299. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) この問題は、もう一つの問題としては、今後生産される炭が非常にいい炭であるというような事情によつて非常に事情が異つて参ると思うのであります。我々としてはまあその後の状況を知りませんのですが……。
  300. 波多野鼎

    波多野鼎君 僕の言うのはそうじやないのです。つまりあなたの言われる今後の一般に自由に販売される炭の生産や出荷が殖えて来れば、そうすれば年内には処理ができないということなんです。農林省如何に逆立つしても処理ができない。併しそれは特として、処理すると農林省は言つておる。処理した場合には、あなた方の憂慮されておる十億という追加赤字が出るということはないのですか。これを聞いているのです。
  301. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) それは私の方からでは……農林省の方からお聞きになつて頂きたいと思います。
  302. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと待つて。それはあなた方が出されたのだ。これに尚憂慮されておる十億ぐらいの赤字が出やしないかと心配しておると書かれておるものだから、その理由を聞いておるのです。
  303. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) その点につきましては、今申しました五割引又は四割引した場合にそういうことになると思う。その後相当に処理されておるからそれがどんな工合に処理されておるか。又最後に残つておるものがそれ以上値引して行くかどうか。或いはその必要がないということによつて決まつて来るかと思いますが、私としてはそのお答えはできないと思います。
  304. 波多野鼎

    波多野鼎君 農林省の方に説明して貰いたいと思います。五割乃至四割の値引を管理庁の方は基礎にして、十億の赤字が出ると言つておるが、そんなことをやつておるかどうか。
  305. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私共としてはすでに約手持はあと三割程度しか……一番困難なものを残しておる程度で、すでに十一月一杯に終つておりますが、物によつては確かに……この間もよく新聞に出されました大塚駅附近のようなところにおいては可なりの問題があります。併しこれを総括的に申しますと、さようなことはない。先程申上げたような計数に必ず納まるだろうという見通しを持つております。
  306. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうもこれは十分質問すると十時間ぐらい予定しているのだけれども、あと三時間ぐらいしかないので、随分端折りまして、逆の方から聞いて行こうと思います。又時間があれば帰つて来て……こういうふうにしたいと思います。  そこで先ず先に農林当局に聞きますけれども、現在ある債権ですね。債権の整理を今年中に完了すると、まさか默つて休んでおるわけでもありませんでとようから、そういうふうにしたり、或いは又いろいろな責任者を追及する。放出した責任者ですね、これらを追及することによつてどのくらい今年中に……今年中というのは年度ではありません。この暮までにどれくらい取立て得るか。その御見込がありますか。
  307. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私共の方といたしましては、十二月には五億一千二百万、それから結局一月、二月、三月に亘つて二十九万程度を……これはもう持つております先程来の手持薪炭十億というものを売拂つたものを入れてです。結局二十二億何千万円という現に売掛がございます。それに更に十億幾らのものをおいておる。三十三億程度になりまするが、そのうちの一月、二月、三月においては二十九億くらい、結局まあ一月、二月の薪炭の扱い量が一番多いさ中に、これの回收も又同時に努めて参る、かような計画でおります。
  308. 天田勝正

    ○天田勝正君 つまりこういうことですね、歴年の今年中に、五億一千二百万円というものが取立て得る、こういうことですね。
  309. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 十二月では五億一千二百万円を取る、それから例えば十一月であれば二億幾らを取る、現に十一月は一日大体一千万円の実績が入つておりまするから、この計画は十一月は十分達成できると思います。それから十二月は五億一千二百万円というものを取る、こういうことでございます。
  310. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、合計それでかれこれ七億五千万円くらいには凡そ見込める、こういうことになるのですね。そこで現在手持の薪炭を見返りにして融資をするということになれば、現在で結構です、そうするとどのくらいの融資が可能ですか。
  311. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 融資ということをはつきり理解できませんが、手持の十億余りのものはこの十二月までに全部それぞれ適切に売つてしまう、こういう計画で現に進んでおるわけであります。
  312. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうするとそれはまあ着々進んでおりましようが、私が聞いておる根拠は、現在あるところの債権を取立てる、もう一方は現在これを融資で、要するにやつて見るということをまあ仮定して、現在の手持のなんで融資した場合に、仮二十億の品物があるとするならばそれが七億融資ができる、そういうことになりますと、現在七億あるのだから、十四、五億程度あるじやないか、こういう方法一つの一時的な解決の途がある、大体これはまあ速記を止めさしてあなたと懇談した際に聞いたことですが、第七国会にはいろいろなこの亡失原因等の詳細も提出し得るという話もあつたからそれを信用してそうしたものがでて来ると、こうすればそれからでもまあ私としては要するにこの支出の分を通過するのも遅くない、こういうことに実はなるのです。そういう前提に立つて質問申上げておるのです。
  313. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 融資ということはどういう意味になりますか。私共といたしましてはこの統制方式を変えまして以来逐次炭のいいのが出て参つておるのが事実です。そこで永らく持つておりました政府の現在の手持のものは、極力早い機会に手放すことが一番国の損でない。こういうふうに考えまして年内にこの全部売拂いを完了する計画で進んでおるわけでございまして、これを融資というふうな工合に考えることはなかなか困難であつて、又事実早く今の最盛期に有効な、有利な処分をしてしまうことが、一番この会計の損耗を少くする唯一の途だとかように存じております。
  314. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうも議論になりますから、私はこれ以上言うと、実は困るのですけれども、私共がこの政府の改正案に協賛を仮にいたしますと、これは国民に誠に相済まんということになる。その原因すら突き止めずして漫然として賛成した。而も政府の提出されておる書類、まあ経済調査庁も出しておられます。行政管理庁も出しておる。こういうふうなわけでそれが皆それぞれ違つておるのですよ。こういう政府自体の書類を以てしても違つておるようなことが書かれておるのに、それをただ我々が協賛したということになつたというのでは、一体何のために議員がおるのか分らないということになつて来る。ただここで一つ問題なのは、主としてあなた方の御説明を要するに生産者に支拂うのだ、こういうことなのです。そこでこの点についてはまだ私は別に疑点を持つております。本来、今日頂戴しましたものから見ましても、現在発行しておる薪炭証券の償還期限というのがこれには書いてあつて、これにちやんと五十四億七千万円、こう書いてある。その他外にもまだ方々に書いてありますけれども、とにかく当初は全然生産者に拂うなんということを考えずして、薪炭証券の償還に充てるためにこの予算が組まれたことはもう明瞭なのですね。併し今そういうことを私共は追究してとやかくしようとは考えない。とにかく要するに何らかの方法生産者に拂う。拂うためには、然らば現在の債権がどう取立て得るか。或いは又売拂うといつたつて、そう一遍に十億のものが金融措置でも考えてやらなければ売れるかどうか分らん。そこで融資の途があれば、それらを合したものとによつて、要するに緊急必要な点だけは支拂いができるのである。こういう一つの前提なのです。そうした一つの前提になれば、それらの生産者の要望にも応え得るし、又我々の職責上十分なる審議ができる。尚且つ先も申しましたように第七国会にはそれらの亡失等の原因もそれぞれ明瞭にするところに書類も出し得る。それを信用して第七国会、第七国会と申しましても明日である。而も政府予算提出の日取りというものは極めて早い時期で、十二、三日頃には出るであろう。こういうことを言われておるのですから、そこで何も今日の機会に通過せしめないでも差支ない。こう考えて来るわけであります。そういうまあ前提が長くなつて恐縮ですが、こういう根拠になつて、先程来の質問に言つておるわけなのであります。どうですか。七億しかできんというわけですか。
  315. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 今の融資という、担保というお話でございますが、この特別会計の廃止、買入機能を停止いたしまして以来は、生産者に対しても或る程度の金融の方法を考え、又同時にいわゆる集荷業者、卸売業者に対しましても、指定の取引銀行等の間において、小売店の基金積立等の充当によつて金融の途も講じたのでありますけれども、それは実際問題としてなかなか小売店は卸売店の指定する取引銀行に対して基金の積立をいたしません。そういうような結果事実金融というものは誠に行われておる点が少うございます。そんなことで考えても、この現物を今の七億とかというような、内輪に見た一つの担保的な考え方に行くということはどうしてもできにくいと思います。それで先程申上げたように特に品物の関係もありまして、これは速かに放さなければならん。適切な処理をして売つてしまわなければならん。かように考えておるのであります。私共といたしましては、今日手許に金がなかなか先程来申したように思うように入らない。そこへもつて行つて生産者の方に対しましては、この間の小売のときにも非常に問題になりましたけれども、今回参りましたところの暮につきましては、もうどうしても、今まで待たせていた生産者に対してこれを支拂つてやらないというと、薪炭の方の生産の、いわゆる意欲というものを非常に阻害してしまう。これら生産関係に元気をなくなさせるということは、この薪炭の需給をやつて参りまする場合に非常に残念なことになる。かように考えましてこういうことをお願いしているような状況でございます。
  316. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ず債権の取立てが七億ある。そこでここに十億ばかりのものが入つて来れば、通常国会に明らかにするまでにとにかく間に合うということははつきりすると思うのです。そこで私は市中銀行に担保に入れることによつて融資を受けるということは困難だといたしましても、政府のやることです。苟くも……そうすれば仮に又預金部という話をすると、預金部の話だけに限定して御答弁があるから困るのですけれども、とにかくこれらそれぞれ、私が今何も、これを見返りにしてと言うたのは、これは一例なんであつて、見返りの方法を立つても預金部に融資をするだろうということもあるだろうし、又これは予ざの流用ということはよろしくありませんけれども、併し同一目的のために、使うために、公共事業費なら公共事業費というものがある、それを一時融資するというような途もある。政府政府同士の信用なんだからして、特に見返りの品物がある場合にはやれない筈がないのじやないか、こう考えられるのですね。だから別に、今預金部の話を出したから預金部だけを考えてお答え願うというと又もう一遍戻して質問しなくちやならんということになりますが、これらのことによつて何かそういう打開の途がありませんですか、こうお聞きしておるのです。
  317. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 薪炭証券の発行限度は現在五十五億でございまして、この会計は薪炭買入れにつきまして、薪炭証券の薪炭の見返りとしまして薪炭証券の発行をしているわけでありますが、発行限度は五十五億で、繰入れができませんので年度内に拂わなければなりませんが、すでに五十五億のところ五十四億七千万円借るておるわけであります。これ以上はできないということになつておるわけであります。
  318. 波多野鼎

    波多野鼎君 薪炭証券のことが出たからそれに関連して聞くが、農林省林野庁の使途の計画を見ていると、薪炭証券の借換えということを計算に入れているのですね、これは特別会計が閉鎖したあとでこういうことができるのですか。
  319. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 特別会計が閉鎖しました後におきましては、勿論法律の見ようではありますが、年度内に償還しなければならん。それで若しそれを、そういうことでないということにいたしますと、一般会計に引継ぐかどうか、そういうようなこともいたさなければならんと思います。薪炭証券は六十日で切替えになつておりまして、六十日、六十日でやつておる。而し年度内には、特越の分は別でありますが、その分は年度内に償還しなければならん、こういうことになつておるのであります。
  320. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうでないのだ、僕の言うのは、特別会計は七月か八月で終つたのでしよう。生産過程に入つているのでしよう。
  321. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 特別会計は損しているわけです。八月以降は新らしく買わないで、段々と清算して行く、そういうことになるのであります。明年度特別会計は廃止するということにいたしております。
  322. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二点お尋ねしたいのですが、生産者に支拂支拂時期と方法でありますが、これが林野庁から頂いた資料によりますと、生産関係のものを先ず支拂つて、残額を以て薪炭証券の一部を償還する。こうなつておりますが、薪炭証券の、十二月二十日期限の証券返還が先ずあるわけですね、そうしますと、その償還の前に生産者に支拂う、こういう意味でございますか。十二月の二十日以前に生産者に支拂う。それからこの薪炭証券の支拂期日については二十日以前、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  323. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 二十億の生産者に対する支拂いがありますが、二十五億九千万円というものがあるわけです。従いましてどんどん拂つて行くわけでありますが、ここにもありまする通り、十二月二十日前には期限が来ますので一部はその次に二ケ月の六十日の期限で繰述べて借換えをやる、こういう計画であります。
  324. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、ここに書いてあります生産関係支拂うということがあるのですね、ここに書いてある通りでなく、やはり先程年度中には支拂うというお話があつたので、十二月二十日以前に支拂うことじやないのですね。
  325. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現金はこの会計は全然ないのでありまして先ず五十四億繰入れてやるわけです。これは何回に分けてもいいでありましようが、先ず繰入れると、そうするとここで薪炭生産者に対する支拂いが現金ができまして支拂四ができるのであります。そのうちにどんどん支拂つて行きますと折角繰入れた現金がなくなります。そのうちに薪炭証券の償還期が来る、その分を借換えて行かなければならん。その間に手持のものを支拂つて生産者に拂うものもありましようが、或いは薪炭証券にも充てるものもあります。
  326. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 現金がないと言いますけれども、この補正予算を承認したのですからそれでこの法律案が通過すれば金があるわけです。国庫から金が行くわけです。それを生産者に第一回の証券の償還前にそれを生産者に支拂う、こういう意味じやないのですか。
  327. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在でも手持の薪炭を売つておりますから現金が少しずつできております。それで生産者に拂つて行くのです。この特別会計の立てております以上自費自弁でありまして、国家の賄う金でありましても支拂つて行く期限が決まつておりまして、この特別会計から借りなければ支拂いができないわけであります。でありますから現在のところ薪炭代から支拂限度しか実際に支拂いができない。一般会計から支拂う目どを作ることによつてより以上の支拂いができる。そうして段々とその金は生産者に対する支拂いをやりますが、一般薪炭代の売拂方法と併せて証券の償還をやつて行く、こういうつもりであります。
  328. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはよく分つておるが、ここに先程言われております先ず生産関係支拂うというのですね、先ず支拂つてそれから残額を以て薪炭証券の一部を償還する予定である。結局その生産者に対する先程十五億とか幾らとか支拂うその額は薪炭証券を償還する前に国庫から入るのですか、それを以て二十日以前に生産者に支拂うのですか、そういう意味じやないのですか。
  329. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この御承認を植まして一般会計から繰入れ頂きますれば、早速今までの拂わなければならなかつた生産関係者に拂うという意味であります。
  330. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、結局書いてある通り薪炭証券の償還が二十日頃第一回が来ますが、それ以前に支拂えるわけですね。
  331. 河野一之

    政府委員(河野一之君) そうです。
  332. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが生産者としては支拂期日というものが非常に年末も切迫して運転資金その他支拂期日というものに非常に関心を持つているのです。結局我々も生産者からその点についてはいろいろそういうことについてよくはつきりさして貰いたい、そういう点がありますので、支拂期日のことを聽いているわけです。それでこの資料によりますと生産者の関係の方を先ず支拂つてから薪炭証券を償還する、こう書いてありますので、第一回の支拂期日が来る前に支拂い得る、そういうように了解してよろしうございますか。
  333. 河野一之

    政府委員(河野一之君) その通りであります。是非早く拂いたいと思います。
  334. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから支拂方法ですね。支拂方法はどういうふうにして……。
  335. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これはいわゆる支拂請求書が出て来ております。その支拂いが出て来ておりますものをどんどん拂つて行くわけであります。
  336. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 聞くところによると、その支拂う場合にその中間業者にいろいろ金が渡つて実際に生産者に来ない。そういうようなことが心配されておると思いますが、そういうようなことはないでしようか。
  337. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 中間業者ということは実はちよつとはつきりいたしませんが、現在のいわゆる集荷機構は現在と言いますか買入れをいたしております場合の集荷機構は、生産者が個々に売るその仕事を委託といいますか、依頼された者が代金を生産者から見た委託したその人が取纒めて請求することになつておりますからそこは通じますが、それは登録をしたものになりますから間違なく生産者に入ることだと思います。
  338. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後一つ伺いますが、未拂並びに不買木炭による損失補償、これは今度生産者に支拂う分には入つておらないわけでありますか。
  339. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) その点につきましては早速いろいろと資料は上げておりましたが、併しその支拂いも最近このうちから木炭事務所長の集合を費目ごとにやつております。その機会にいろいろ照らし合つて検討してその提出によるところのいろいろな点は研究して行きたい。そこでそれがいろいろな意味で間に合えば又関係する国内の方面との了解がつきますれば成るべく早い間に処置したいと思います。
  340. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは結局二十五年度予算において考えるのですね。
  341. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) それは性質が、買つた、これは外の統制方式のものもそうでありますが政府でなければ売つてはならない、政府は買つてはならないと、それに対する具体策がないものでありますから一応法規的にただ單なる解釈をいたしますれば、それは責任はないんだという立法的なことは言えるのでありますが、実情から言いますとそれは余り法的な解釈ではないか、こういうことに絡んでのいろいろな問題でございまして、それは私共といたしましては当初から考えており、また研究しなければならん点であつたのですが、それらについての資料が出ますと私共としては実情から見ましてそれをどういうふうな形において処理した方がいいかという、先ず用途方式の問題、この二つを早急に研究して善処したい、こういうふうなんで必ずしも二十五年度でなければならんということは考えないのであります。
  342. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと損失を補償するとかしないとかその前にすべき性質のものであるかどうか、それを検討される、こういうことなんでありますか。
  343. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) まあそうであつたのでございます。是非これは処置したいと思います。
  344. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の支拂いの問題は非常に我々も関心を持つ点なんで、これが的確に本当に生産者に渡るように努力して貰いたいと思うのだが、それに関連してこの先程の使途の計画を見ておりますと、先ず二十億円を生産者に対する支拂金に充てておる、その支拂金二十億円という数字と十月十七日現在の支拂未済額調のこの数字ていろいろと照合しながら考えて行くと、この未拂額調のところには総額二十三億とあつて、そのうち生産者に対する分は十五億、これは二十億ぐらい殖えるかも知らんという説明であつたわけだが、とにかく二十三億という数字が出ておる。その二十三億の数字の上に日通や卸売業者などに支拂うものも含まれておる。ところが日通や卸売業者に対してはこれは政府相当賠償を要求したり、或いは又債権を持つておる筈だと私は思う、そういうものの相殺、或いは取立て、こういうものを十分取ることによつて結局は二十億だけ拂えば、ここの金額に出ておる二十億だけ拂う、現在の未支拂額利子五億というものが全部債務と、そういう意味なんですか。
  345. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) さようでございます。
  346. 波多野鼎

    波多野鼎君 日通とか卸売業者に対しては拂わない。債権と相殺するとはつきりしておるのでありますね。
  347. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) そういうことでございます。
  348. 波多野鼎

    波多野鼎君 それははつきりしておるのでありますね。
  349. 天田勝正

    ○天田勝正君 私もそれと似たことを実は聞きたかつたのでありますが、それは例えば現在債権として取立てられるであろうとこういう予想のされる業者であつて、又政府の方でも支拂わなければならないという内容のところがあると思うのであります。そうするとそれらは最終的にその責任がどこにあるかというところははつきり今のところは分らないのでありますね。これからあなた方の方で調査を進めて行つて初めて分る、それでその機関にはこれは疑惑でありますからそこで政府の方から支拂うところの債務が多かろうと少なかろうとそれらは一向構わないことにして、そうした疑惑のある機関に対しては一切とにかくその差引くとか何とかいうことを一切考えずにして全部拂わないということに決めた場合に一体それらからどのくらい浮いて来るのでありますか。
  350. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 現在日通その他に今の資料の一部にございますように、日通海運それらのやや政府が弁償として、或いは運送契約によつてその運送業者から賠償として取らなければならんこういうふうなものも可なり大きなものがあるというふうに想定するものが約七億八千万が現在あるわけです。七億八千万円政府債務として……。
  351. 天田勝正

    ○天田勝正君 債務……。
  352. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 債務として……。
  353. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、それに対する債権というものは幾らあるのでありますか。その債権債務ともに、これが債務でしよう。
  354. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) これは債務です。現在債権としてあるものは弁債金として、すでに一部分りました弁債金として請求しておるものが九千六百万円と、こうしてつまり日通であるとか、或いは海運とかそういうような方に対する債権でございます。
  355. 天田勝正

    ○天田勝正君 いずれにしましてもとにかくこうした債権があるということは、それらの諸君にも責任があるということを明らかにしておるのであります。それでこちらから拂うものは七億八千万円で、取るべきものは今分つておるのは九千六百万円である、或いはこうしても一時モラトリアムをやつて取立てを止めて置く。これはどつちも責任があるのだから、その程度の処置は当然だと思う。でありますれば、ここでかれこれ七億ばかり浮くと、こうなると思います。そう解釈してよろしいのですか。
  356. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この支拂いの関係で、この生産関係には差当りそうでありますが、一方から言えば木炭事務所の整理自身も亦急がなければならんわけです。そこでこの整理の中には弁債金を要するものは弁債金というものを取立てなければなりませんから、それらは逐次明細にしながら運送関係の方と雖もそれが分り次第一方の取立て等によつて支拂いをして参る。かように考えておるわけであります。
  357. 天田勝正

    ○天田勝正君 何しろですね。このものが簡單にそう協賛できないのですよ、そういう点に立つておる、私はどうしても。というのはいろいろ頂いた書類の中でも、先ず第一にあなた方が指摘されておるのは会計令が悪いということを言つておる始末です。こういうのから始まつてどう考えても担当官であれば発見できなければならないような損失と、こういうものでもですね、何か余程怠慢でなければその見落す筈がないものが平気で見落されておる。こういう人が役人になつておられるということは、国民は迷惑至極なんです、実際は。仮にそうした損失が起きなくともいわばそんな能力だつたら、いわば禄盗人ということになつて来る。このことは現在携わつておる係官の諸君が無能であるとかいうことは別なんです。それらの人にも含まれておるかも知れないけれども、とにかくそういう全然この普通の常識では素人では理解ができないために、それでこれはそう簡單には協賛はできない。こういうまあ前提に立たざるを得ない。ただそこに一つ問題になるのは、生産者に支拂わなければならないこの一点だけなんです。どうやつたつて外に我我は議員としての義務を負うものではないのです。それであるからいろいろ債権債務の関係でなく、そこに多少の金をこの際生み出す、或いは見返りというような方法が全然できないまでも、財源を取立てることによつて幾らというものが生めばですね、ここに三分の二でも何でも支拂える。そうすると直ぐ明日から始まる第七国会で、これらの原因がすべて明白になるというのだから、そうした上で責任の所在を明らかにした上でこんど協賛しよう。こういう前提に立つておることを先ず申上げて置きます。そこで私は昨日懇談の席におきまして、三浦長官といろいろ話をして可なり分つた点もあるのですが、併し尚責任の所在というものは狹くして参るために、もう一度評価益のことをお伺いして置きます。この薪炭特別会計の赤字内容という書類を題ますると、先ず会計令の不備ということが指摘され、更に評価益のことが取上げられまして、この会計が始まつた初まりからの繰越というものが段々積つて、それ故に評価益が害達磨のごとくなつて来たために、それが今日の厖大なる赤字の原因になつておる。要約するとこうなろうと思うのです。そこで第一点の会計令の問題でありますが、この会計令に不備があるならばそれは当然係が、或いは会計令によつて命令した人達が誰より先に発見しなければならないものでありまして、国会等で議決する法案はその必要なる最低限の條件をただ附けるだけなんです。それ以外のことはそれら係官が然るべく過ちを起さないように処理すべき筈なんです。そういうことからですね、先ず原因は会計令によつたのではないという点を私は明らかにして貰いたいと思います。次は評価益のことでいろいろ論議があつたのでございますが、この説明では十五、六年頃の物品の繰越が段々繰越されて、その又度ごとに値段が改訂され、その改訂された分だけが雪達磨のように大きくなつて、今日の年度まで繰越されて来た。こう言つておられるのですが、このことは仮に十六年なら十六年に、年度末三月三十一日に仮に百円のものが百五十円に値踏みをされた、こう見ましてもそれは十七年の冒頭四月の一日の日にやはり値上げされた値段で売れるのであるからして、そのことは評価益は全然問題になるものではない。ここに前に年に繰越された数量は当然普通の状態ならば、翌年度の冒頭において処理されなければならないのであるから、その評価益の問題が起るのは、この年度内に参つてから値下りが起きた機会に初めて問題になる。そういう観点を私は取つておるのであります。そこで去年の暮までは私共の経験からすれば、昨年度中は全然そういうことはなかつたというのですが、とにかく昨年度中は需要が高くて供給がこれら迫い付かない状態であつたのでありますから、その間には政府が売ろうと思えばいつ何時でも売り得た筈なんです。従つて二十三年度までの評価益というものは一切この赤字の原因でないという観点を取つておりますが、これらの点を明らかにして頂きたいと存じます。
  358. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 一番の会計令によつたことが、悪いことではないということを明らかにしろというお話でありますが、又私共としてもこの会計令によつて定められてありますように、この特別会計が持つておる年度末の薪炭評価というものを、三十一日の市価でやるということについて誤りはないと考えております。  それから二の前年度に繰越されたものは、当然翌年度の初頭に処分されるのであるから、従つてその評価益は正しいじやあないかというお話でございますが、これは事実この会計が始まりました十五年は、一俵が一円八十二銭だと思います。こういうものから今日二百数十円になりました。逐年上つて参りました関係から申して正にその通りでありますが、ただ私共といたしまして、参考までにこういうふうなものを差上げたゆえんのものは、そこでこの特別会計というものが独立、いわゆる採算制という意識の下にやつておらずに、一方において増産増送という行政の面をも、この会計というものの中で賄わざるを得なかつたという状況からいたしまして、又当時の薪炭の需給の情勢から行きまして、與えられたマージンよりも余計に経費というものを使つた。評価益というものは成る程翌年の年に実現したでありましよう。でありましようか、その経費というものがマージンで與えられた額よりも多かつた。そのことはお手許に差上げました赤字内容についての中の、横の表でありますが、薪炭特別会計損益計算表、昭和十五年以来二十三年までの表にございます。この横の表でございますが、つまり売上高と期末の在高の合計と、それから期首在高と仕入高の合計とを加えた売上総益というものに対しまして、その手にかかつた諸経費というものが、遥かに多い。このことによつて一考されますることは、評価益というものを見たことによつて、そのこと自身は少くとも悪いことではないのだけれども、この会計の内容というものが聊かぼやかされておつた、こういうことは言えるということの参考に出したのでございます。
  359. 天田勝正

    ○天田勝正君 更にこれは予算の組み方の根本の問題でありまするから、私は農林大臣にお答え願いたかつたのです。昨日もそう要求したわけですけれども、農林大臣はお答えにならなかつた。今日も若し三浦長官がお答えになるといたしますならば、農林大臣はよくこのことをお聽きになつて置いて貰いたい。というのは昨日も途中で実はこれはやめたのでありますけれども、本来補正予算というものは、年度当初の予算に若干の修正を加える、こういう筋のものでなければならない。そのことについて私は昨日も公共事業費の例を引いて、あれだけ公共事業費増額の要請があるにも拘わらず、これの増額されたのは二割、ところがこの薪炭需給調節特別会計の歳入歳出の調を見ますると、或るものによつては一万二千倍という始末、或るものによつては二十一万倍、こういうわけです。そこで而もそういうような厖大な変化をいたしましても、これがその目的におきまして、どうしても止むを得ないというものならば我々も了解ができる。ところが例えば一万二千倍の場合は違約金なんです。それから弁償金の場合は二十一万倍、こういうことになる。これらのものは、必ず違約金というものは今直ぐ発生すべきものではない。徐々に発生して来ているから、こういうことなんであつて、今違約金を取ろうとしても、違約がなければ取れよう筈がないのでありますから、当然ぼちぼちとこういう違約金というものが生じたわけである。従つてこの当初の予算というものが、極めて杜撰であつたということをお認めになるかどうか、この点をただして置きます。
  360. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 予算が杜撰であつたと一概に考えられておりません。何分本年度において、特別会計を廃止せなければならんのでありまするから、ここにいわゆる追い詰まつて来て、すべての清算をやるということになつたわけでありまして、当初の予算が杜撰であつたということは考えられないのではないか、かように考えます。
  361. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうもその、私は昨日も三浦長官にはつきりとお認めになるならば、私は決して追求しないのだということを露骨に申上げているのです。これは幾つの例を引いても時間がとりますから、一つ言うのですが、違約金の場合、それは製理金になつたということを一貫して申されておるのですけれども、併しその整理金になろうがなるまいが、違約金というものは徐除に出て来るのであつて、整理金になつたから、取ろうとして見て取れるものではない。従つてその違約金を取るべきところの見通しが極めて杜撰であつた、こういうふうに考えざるを得ないわけです。凡そこの額というものは御承知通り、もう額としてはまるで問題にならない程の少額です。けれども小額、大額は別としまして、そうしたえらい倍率に修正される、こういうことには確かに私は杜撰だと断定せざるを得ないと思うのですけれども、それは正直にお認めになつた方がいいのじやありませんか。
  362. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 昨日申上げましたように、千円のあれを組んで置いた。そうしてこれを千二百万円にしたから非常な倍率だと思うとのお説明でありますが、この会計の場合、需要供給の調節ということを目的とした関係から、こういうような一切をくるめました、いろいろな御批判を頂くような結末をここにしたのであります。これを清算して行くと、明らかになつた今日としては、こんな程度の違約金を要請されたわけであります。
  363. 天田勝正

    ○天田勝正君 外の質問もあるし、時間も段々なくなるし、それですから、不満足ですけれども、話は別にします。先程来の御説明で、その年度内において、経費が收入より以上にかかり過ぎた。こういうお話があるんです。これと似たようなことが、これは亡失の場合でもあるんです。それで私は、これらのことというものは、当然その当該責任者或いは当該担当官というものはですね、発見できなければならないものであろうと、こういうことを昨日も、くどく申上げているんです。例えばいろいろな赤字の原因として挙げてあるところの一つを取つて見ましても、例えばこの築窯費特別予算支拂つたとか、或いは又加算ならば、十五年あたりの十銭加算から始まりまして、とにかく加算を支拂つた。こういうことを言われている。だからそれならば、その加算を拂つたときから、それだけがマイナスになるということはですね。これは素人でも分る筈ではないか。又築窯費を支拂えば、当然今まで一般会計支拂つておつたものも特特会計で引受けるということになるんだから、特別会計においては、それだけのマイナスが生ずるということは、これ又理の当然ではないか。こうした素人でもはつきり分るような点が見落されたということは、これは誰の責任であろうとも、担当係官或いは責任者というものは責任がありはしないかと、こういうことを申上げているんです。今の実は一万二千倍というものにも関連して、確かにこれは手落ちであるということを、こういうことを私はお認めになるのがむしろこれはいいと、こう存ずるんですが、どうですか。
  364. 中野重治

    ○中野重治君 さつき森下君、それから波田野委員から質問がありまして、それに対して農林省側からは、行政管理庁の方からとの答えがありまして、質問した方は、分つたのか、諦らめたのか、打切られているようですが、私に分らなかつたから、その点もう一遍尋ねるんですが、行政管理庁の方としては、いろいろにやつて行つても、十億ぐらいできるんじやなかろうかと懸念される。それだからそういうことがないようにするためには、これこれの比率でやつて行つて欲しいと強く要望するという結論が出ている。ところが農林省側では、もう一文も迷惑はかけんと、きつぱりやると断言できんが、併し百円やそこらは出るかも知れないけれども、一生懸命やつて行けば、そう大きなものは出ないと、大体において済むと、こういう答えであつたと聞いたんですが、そうすると、農林省側の考えとしては、行政管理庁の持つている心配は根拠はないと、十億円も出るかも知れませんが、ただ愚かな心配だと、こういうようなことになりますか。
  365. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) さように存じております。
  366. 中野重治

    ○中野重治君 行政管理庁としてはどうですか。つまりこの委員会において、その同じ問題について、農林省側はああいうような答えを出した。それから行政管理庁の方としては刷り物にしてまでああいうのを提出されておつて、且つここで波多野、森下両委員への答えもさつきああいうふうに出た。今更めてこういう言明が出た。管理庁としてはどう考えるのですか。
  367. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) この勧告をいたしましたのは七月当時でありまして、これが今金体において、各所においてこの線で動かされるとしておれば、これは大体損失も、我々の考えているよりも減らし得る。併しそれが今どういう状態にあるかということは、先程農林省の答えによつて聞いて頂きたいと思います。
  368. 中野重治

    ○中野重治君 農林省側の答えは答えとしては断言的であり、管理庁の方の答えは答えとしては非断言的であるけれども、併しこれによつて断言的な答えが客観的に断言的であると受取られぬという意味で、その点はそれだけで打切りまして、そうすると農林省がこの五十四億七千余万円というものを一般会計に食いついてそうしてやつて行けば、今までこの問題が出て来た土台の大きな部分を占めていると思われる空供出とか何とかというものは空が埋まるのですか。現物ができるのですか。例えば木炭の一四%、薪の三二%、ガス薪の九・五%というようなものは品物はないけれども品物はできて来るのですか。
  369. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この帳簿面と現物の不足、いわゆる不足のものはこの五十四億七千万円を繰入れる繰入れないということで出て来るということではなしに、このものを個々のケースケースに応じて探求して参る、こういうことによつて解決して行きたいと思います。
  370. 天田勝正

    ○天田勝正君 議事進行について。これは私は今の中野君に質問に対して甚だ奇怪至極の話を聞きました。一応間違つてつても農林当局はそんなものは根拠がない、行政管理庁の出したものは根拠がない、こういうならば筋が通る。ところが行政管理庁の方は自分で書類を提出して置いて極めてあやふやな返事をしている。こういうことでは時間をかけて我々が熱心に議論しておつても、これではやり切れんです。そこで今提出されている書類はいろいろ質問されても、その通り確信があるならばあるということを先に言つて貰いたい。この際遅ればせでありますけれども、委員長より一つ念を押して貰いたい。架空のものに対して議論をする暇大臣おりませんから。
  371. 小川友三

    小川友三君 本案につきまして質疑は途中でございますが、可なり審議も盡されておりますので……(「何んだ、怪しからんぞ」、「何を言うんだ」と呼ぶ者あり)それでは取消します。
  372. 中野重治

    ○中野重治君 それで空が埋められるということについての私の問に対する答えを聞きましたが、よく分らないのですが、どうすると、この五十四億云々に拘わらず現物化されるというのはどうなんです。どんな手続で現物化されるのですか。
  373. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 空の問題につきましては、例えば二重の受取を発行しているというものに対しまして、その点が分つたものについては二重出しているから一つ返せ、つまり追徴をこちらへ取るわけです。それから、いや例えば空のものであつて支拂証書は出してあるのに現物は入つていない、いわゆる空ということでありますれば、それを認めれば生産者の側、生産者方面から、その空の供出者からその代金をこちらに取るし、いやそれを出さん、そういうことはないということであれば終局のところ刑事問題をこちらから提起してこれを解決する、こういうわけであります。
  374. 中野重治

    ○中野重治君 そのために木炭事務所長の会同をやつて調査を集めて今やつている、こういうわけですね。それは債務の支拂いをも含めて……。
  375. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 全体の整理事務の進捗と、又現に地方として現在整理しておりますうち、なかなか問題が非常に困難であつて打合せたいというものもあるわけでありますから、その生産者全体を含めて相談をこの中からやりたい、こういう計画であることを申上げたのであります。
  376. 中野重治

    ○中野重治君 さつき木村君の質問に対して木炭事務所長の会同をやつておるというふうにお答えになつたのは、これからやる計画だということですか。
  377. 河野一之

    政府委員(河野一之君) さようでございます。
  378. 中野重治

    ○中野重治君 そうするとそれは私には全く頷けないのですが、一体こういう刑事事件を起している不正が生じて来たのには、木炭事務所というものがいろいろの関係上真にサービス機関として動くことができなくて、業者のうちの悪い大物に食われて、木炭事務所というものは丁度労働基準局が悪い資本家の食い物になつておるような同じ関係がここにもあつて、そこで現物について調べないで、木炭事務所の連中、或いは業者のうちの悪い連中が出した伝票を元にして証券をやり繰りして来たから、こういう不正事件も摘発されて来るし、それから穴を開いて来た、こういうことになつて来て、木炭事務所に関するこの事情を今日少しも変化していない、そういう木炭事務所長の会同をこれからやつて、そうしてそればかりじやないでしようが、そういうことをやつてそこから集まつた調査を基礎にして更に農林省がこれを検討して、さつきあなたの言われたようなことをするということは、それは「いたち」ごつこじやないか。確実なものを調査して支拂うものは支拂い、取るべきものを取るというならばそれは話が分るけれども、木炭事務所そのものが概して言えばそういうものなのですからこれは少しおかしいと思うのです。そのことを農林省としてどう考えるか。それとも農林省は木炭事務所は私が今説明したようなものでないと断言されますか。
  379. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 私共は原則としてそういう御説明のあつたようなものでないと信じます。
  380. 中野重治

    ○中野重治君 そうすると木炭事務所な悪質業者のうちの大物によつて動かされていないと農林省は断言するわけですね。
  381. 河野一之

    政府委員(河野一之君) さようでございます。
  382. 中野重治

    ○中野重治君 そこで尋ねたいのですが、特別法案がここに出るようになつたのにはいろいろの原因が絡まつて錯綜しておるでしようけれども、野放しに野原に積んで置いて腐らせる。さつき農林省から、或いは管理庁の方からも話がありましたが、なくなる、損耗の率まで出ていたようですが、そういう状態にして置いて、併し実績には、倉敷料を取り、動かさないで移動の手数料や、輸送しないで輸送料を取るというようなことで、まだ未解決のさまざまの事件を起して来ていたことが、生産者の二重の支拂いは別として言えば、その中に食い込んでいるということは農林省は認めるわけですね。若しこの間に何らの不正もなく、何らの行違いもなく来たならばこんなことにならなかつた。こんなことになつて来て何とか始末をつけなければならない。今わんわん言つているというのは、要するにそういう仕事のやり方の非能率的な点や、或いは無能な点や、或いは大きく不正な点が絡まつたからこういうことになつたということは農林省も認めておるでしよう。これはすでに林野庁も認め、行政管理庁でも認め、さつき報告のありましたように予算委員会の小委員会でも認めておるわけなんでありますから、併し農林省はそれは認めないというわけでありますか。
  383. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) お尋ねの趣旨がどこにどういうふうにあるかはつきりいたしませんが……。
  384. 中野重治

    ○中野重治君 簡單に話しましよう。お尋ねの趣旨が分らなくて答えられても困りますから、もう一遍簡單にお尋ねいたします。  今日この問題がここに出ておるということは昭和十六年来のそれは戰争をやつた故ですが、それ以来問題がずんずんつまつて来た、積み重なつて来た、戰争後の歴代政府もそれをそのまま受け継いで来た、会計検査院の検査が行き届かなかつた、これを逆転させて言えば、会計検査院はこういう不正な人間とグルになつて動いて来た、その結果、これが出て来たのだということは農林省は認めるわけでしよう、こういうわけです。
  385. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 長い間の事務の取扱におけるところの不十分であつたことは正にこの問題を起しました。  それから会計検査院等におきましては、会計検査院に私共としては検査を受け、又私共もそれが正しいのだと思つて報告していたということでありまして、その間私共の方から言つて会計検査院のみが行き届かなかつたというふうには考えておりません。
  386. 中野重治

    ○中野重治君 あなたを責めておるのではなしに、会計検査院の報告等をあなたがこれで全うなんだ、会計検査院は会計検査院の機能を客観的にも正常に発揮しておるのだと、こう思われるということはあなたが正直であるということを証明するので、あなたを非難しておるのではないが、あなたの信用して来た会計検査院の検査は客観的には怪しかつたということは今日においてはあなた自身も認められるでしよう。今日でも認めないのですか。
  387. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 会計検査院の検査においても、必ずしも今から考えて見た場合万全でなかつたということは考えられます。
  388. 中野重治

    ○中野重治君 そうしますと、この問題は一等の罪を三等に格下げして、伝票の上で、そうしてくすねる、或いは一円八十三銭の炭をストツクして置いて消費者に渡さない、消費者が凍えていればいる程、それが今なら二百二十円になつておるのだから儲かる。その外さまざまなことがあります。そうして今事件が段々明るみに出て来るのだから、これがもつともつと明るみに出て来れば、そのことはこの数字には変化を與え得るということは農林省は認められるのでしよう。まだ放つて置けば何が出て来るか分らない。
  389. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この不足薪炭についての問題について出るならば或いは出るだろうと思いますが、この大きな数字についてはどういうことと言いますか、想像される範囲内におきましては、想像されるものとてもなかなかありませんが、出て来るとしても可なりはない、大体のところはないだろうと思います。
  390. 中野重治

    ○中野重治君 私はあなたの想像力を信用しませんがね。それですからあなたが想像した範囲では大きなものは出て来ないだろうということは、それはあなたの想像力の小ささのせいであつて我々のせいではない。それですから、要するに問題はまだ何が出て来るか分らないものを、それを今の現在でどうにもできないものだけを税金から上つた一般会計に尻拭いさせようとするのはこれは道理に合わない。これは人間がいろいろな悪いことをし、それを取締る方で取締れなくなつて、そうして生産者には金は渡らない、大騒ぎになる、買取れというようなことになつて、そうして金庫を開けたら金が空つぽだということから問題が出て来たわけですね。それを一般会計から尻拭いさせようというのは全く不当だと思うのですが、その点はどうですか、農林省は。
  391. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 先程来説明申上げているように、私共としては不当だとは考えません。
  392. 中野重治

    ○中野重治君 そうするとそういうことから生じて来たつまり……大分遅くなつて疲れて適当な言葉が見付からないから余り感心しない言葉になるかも知れませんけれども、盗みに類するようなこと、詐欺に類するようなこと、横領に類するようなことが作われた結果のものを非常に困つている納税者に転嫁しようとすることは、全く政治道徳上妥当だと言うのですか。
  393. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 政治道徳上どうということはなしに私共といたしましては、不正とかそういうような過去におきます或いはこの不足木炭に対する追及であるとか、或いは今までの責任であるとか、そういうものは別途に糾明もしなければならませんでしようし、明らかにしなければならない。ただ今日この会計に金がなくての問題としての繰入としては、私共としては妥当であり是非お願いしたいと、こういうふうに考えております。
  394. 中野重治

    ○中野重治君 それならば先程他の委員から提案というのではないが、意見を兼ねた質問がありましたが、生産者に対する支拂いというのはこれは絶対に早くやつてしまわなければならん、それはよろしい。その他にいかさまやり繰りの部分は別にしたらどうかということにどういう根拠で反対されるのですか。
  395. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私共としてはこの薪炭証券の一部の返還、これも薪炭証券としてはなさなければならない借財でございまするし、飽くまでも従来の不正とか或いは責任とか不明であるものの追及とか、こういうことは別途に政府として当然やらなければならんことは言うまでもないことでありますが、それについては先程申上げたような考え方でございます。
  396. 中野重治

    ○中野重治君 その別個にやらなければならん、それは勿論農林省の仕事ではありませんから別個になりますが、別個にやれば何が出るか分らないものを、こつちとしては仕事の管轄が別だと言うので懐へ入れて一般会計へ食い込もうとするのはこれは不正じやありませんか。それ自身が……。若し分りにくければさつきのようなことがないようにもう一遍繰返しますが、この問題における多くの被害者は直接生産者であり、それから現金或いは前渡しで金を出しているところの全消費者であり、又同じく前金或いは現金引換において仕事をやつている小売業者と言いますか何て言うか知らないが、そういう人々であつて、そういう人々から集めた金を政府に渡さなかつた人間、及びそれを受取らずにのほほんとしていた政府が被害者じやないでしよう。ところがこの問題をこういうふうに処理しようとすれば、そういう下から前金或いは現金で受取つた金を政府に渡さずに、その金を懐へ入れて山元へ行つて生産費を拂つて貰えない生産者から更に安く叩いて買い取つたそういう連中、それを放つたらかして置いて政府のために空いた穴をこの犠牲者から金を取ることによつて埋めようというわけでしよう。被害者の犠牲において利益を泥棒に持つて行こうと言うのでしよう。そうじやないですか。
  397. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私共はそういうふうに考えておりません。
  398. 中野重治

    ○中野重治君 行政管理庁のこの問題に関する意見を問います。
  399. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 行政管理庁としましては、この不正事実につきましては、これは観点が行政運営の点を調査しておりますので、事実どういうふうになつているかということにつきましては、現場における事情は審かでございませんが、これは先程お話のあるように、これは若干あるものと思います。そうしてこの問題はやはりどこまでも不正は不正として摘発すべきである。又すべて生産者の生産が今できずに困つておる、こういう問題については、これは別途考えなければならん。それで今の五十四億七千万円につきまして、これは果してそれが妥当であるかどうかということにつきましては、我々の方ではそういうものについての特別な検討をいたしておりませんので、お答えはできないのであります。
  400. 中野重治

    ○中野重治君 お答えは分りました。併し私の問をやはり誤解されているようですから、もう一遍尋ねます。それは不正というのは、私は現在においては刑事事件になつている、その問題をも意味します。これはそれだから別個に調べると言つて、不正は摘発される。法の裁きを受けるでしよう。私が管理庁にお尋ねしたいのは、農林省は自分達の考えではそうでないと言つているけれども、そういうものをも、再びまだ放つて行けば何が出るか分らんような、そういう錯雑した原因からこの穴が出て来ておる。然るにこの穴を開けたことに責任のない被害者達から集めた税金で穴埋めさせようというのは非常に大きな不正だと、私はこう言うわけなんです。それをあなたがどう考えられるか、そうしてそういうことが決定されて行政が行われる場合、行政管理庁はどういう政治道徳的な立場で行政管理庁としての仕事を実行されるつもりですか。
  401. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) おつしやる点が私にもよく分らない点があるのでございますが……。
  402. 波多野鼎

    波多野鼎君 この問題は、今の問題に対する答えは行政管理庁の長官がすべきですよ。事務的な人に答弁させるのは無理です。
  403. 中野重治

    ○中野重治君 若しあなたが無理ならば長官に答えて貰つてよろしい。
  404. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 今おつしやることが、恐らく非常に不正がある、不正がある事実は以て、その処理はやらんで、そうして更に赤字の埋合せのために今の証券の問題を片付けるということが不正か、こうおつしやるのですか。
  405. 中野重治

    ○中野重治君 いや、不正かとは聞かない。それは不正なんですよ。その不正に対して行政管理庁は……農林省はそれは不正じやない。それが民自党政府の妥当な仕事のやり方だ、こう言つておる。行政管理庁としてはどう考えるかということを伺つているのです。
  406. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) これは飽くまでも別個に扱いたいと思います。
  407. 中野重治

    ○中野重治君 私はその点は長官に答えて貰つてよろしい。あなたに答えて貰わなくてよろしい。
  408. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは関連しますから私がお聽きするのです。さつき私は御要望しておつたのですが、中野君の質問に対しての答弁を聽くというと、実に奇々怪々なんです。そこで若しそれぞれの官庁から提出されておる書類が誤りがあるというならば御訂正せられて、答える場合にされたらよろしい。そこで今の中野君の質問に関連してでありますが、ここに提出されておりまする調書によりますと、私共素人には、到底了解ができないような、要するに不正が行われておる。私も敢えてこれを不正という。なぜかといえば、この二、三の例を取つて見ますと、生産から貨車乘りまでの間に減耗したもの、生産地から貨車に乘るまでに一体物がなくなる。こういうべらぼうなことは、素人考えでは考えられない。或いは現品保管中にですよ、保管中というのは、一体物がなくならないために保管しておる。然るに保管中に盗難、火災、水害以外のもので亡失したもの、こういうのがある。これは私はもう敢えて不正とこう言うのです。そういうことなんだ。盗難にもかからなければ、水害にもかからない。火災にもかからない。而も保管しておつたのだ。これでなくなつた。これが不正でなければ世の中に不正という言葉の解釈を別にしなければならん、こういうことになる。或いは県内消費では受渡したための受領証未着のもの、これ又不正です。受取つてつて受領証を出さないというのは不正なんです。こういうことを挙げれば限りありませんけれども、そのように提出されておる書類によつても認められておるわけなんです。ところがそれと同様なことが、やはり会計検査院から提出された書類によりましても、又あなたの方のでも行政管理庁から提出された書類によりましても、私が言つたような過激な言葉では言つておりませんが、それらのもやもやした理由によつてこうした不足が生じたということをお認めになつている。だからその通りかどうか。こういうふうにお聽きすればお分りになるだろうと思います。その点はどうですか。
  409. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 今お話のありました現品下足の原因についての内容お話でありますが、この点につきましては当然農林省の資料にございました通り、そういうことによつて分類されておりますし、又会計検査院の資料にもあります通り当然認めておるものと存じます。
  410. 天田勝正

    ○天田勝正君 そう認められれば結構なんです。それで話を変えましよう。行政管理庁から提出された書類の三ページの一番最後のところを御覧願いたいと思います。ここには「尚以上の損失の相当額を昭和二十二年度以前に繰上げるべきであるとの論があるが、」こういう言葉がある。こういうことによつて実に責任を段々ぼやかそうとしておると私共は思わざるを得ない。それで先程来評価益の問題絡みまして、農林当局の意見を伺つておつたわけなんです。ところが段々質疑を読行しておりますると、私がお聽きする評価益というものが跳上つておる状態の場合、又出荷が供給を上廻る、こういう状態の場合には絶対起きないということが明らかになつた。又十六、七年頃の持越しを今日までそのまま持越すべき筈がないということで、その点は明らかになつた。そこで今申上げたこの文句を見ますと、責任を何が何やら分らなくしてしまおうと、方々へ分散しようと、こういう意図がここに書かれているわけなんですが、そのような論があるということは一体どこからそういう論があるのですか。ちよつと一つつて置きます。
  411. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) これはこの原因が相当つてあるということにつきましては、いろいろこの取扱上に手続の変遷がございまして、その間に例えば運送途中の問題とか、或いはこの受拂証券の問題、そういうような点から見て相当いろいろな現品下足の原因というものが相当前に遡つてあるということは、これは或る程度当然考えられることであります。    〔委員長退席、理事黒田英雄委員長席に着く〕
  412. 天田勝正

    ○天田勝正君 ここで今申し述べましたようなことが書いてある。その直ぐ次にあなたの方の意見として、それは論があるということを認めておつて、その次にあなた方の意見として、薪炭価格の損失の公表は、かかる大きな金額には余り影響があるとは考えられないので、その大部分は近年において発生したものだ。こういうことがある。その近年とはですね、その前の文書からいたしまして、昭和二十二年度以前に繰上くべきとの論がある。こういうことを言つておるのと対応したものでありまするから、その近年とは二十年以後である。昭和二十三年、二十四年以後と、こういうことになるというふうに当然文章から見て私共解釈するわけでありますが、そのようでありますか。
  413. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) その通りでございます。
  414. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 大分この質疑……。
  415. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 只今答弁がありますから……。    〔「答弁したぞ」と呼ぶ者あり〕
  416. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 大分この質疑応答、並びに会議の時間が長くなりましたので、この際暫らく休憩して頂く動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  417. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 九鬼君の動議は質疑の終了ですか。    〔「休憩ですよ」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  418. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 今の休憩に五分間なら五分間という動議を提出いたします。
  419. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) それでは五分間……。
  420. 中野重治

    ○中野重治君 委員長、勝手に決めてはいかんよ。
  421. 波多野鼎

    波多野鼎君 動議の賛成者はありませんから、動議は決まりません。誰も賛成していないのだから……。
  422. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 動議に賛成の方がありますから……それでは採決いたします。九鬼君の動議に賛成の方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  423. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) それでは賛成の方が多うございますから、五分間休憩いたします。    〔「そうじやない」「前のだ前のだ」と呼ぶ者あり〕    午後十時二十二分休憩    —————・—————    午後十時三十七分開会
  424. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 開会いたします。
  425. 中野重治

    ○中野重治君 長官や大臣が見えなくても答えて貰える小さなことを一つ二つお尋ねいたします。  一つ政府は手持をどんどん売ると、そして年内に始末をつけ、又年度内に始末をつけると言つておりますが、農林省関係で、これはいい品物と悪い品物との関係ということも絡まつて来ると思いますが、それはあとにしてどんどん売る場合、この売つて行くということの中に不正が含まれ得るわけです。これは今日までそうであつたのだから、そして今後も農林省が一生懸命やつて呉れてもその一生懸命やつて呉れるプロセスに不正が仕組まれて行けば向にもならない。これは農林省のまじめな努力が水の泡になつて、そこで今日までの集荷分配関係のメカニズムが今日以後不正はそこに生じないと保証できるような何か具体的な変化を受けていますか、今までこういう仕組にやつて来たと、而も沢山出ていますね。高いものを買わせないで、統制なんかで取締つて、安いものを売り付ける。闇はますます上る。いろいろなことがあつたわけですね。こんなことが生じないようにこの品物を集め、これを配給して行くその仕組は相当がらりと具体的に変つておりますか。
  426. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この特別会計が七月末日を以て仮停止して以来政府はそこに介在いたしません。そこでその政府の直接入る問題はなくなりました。それから成るべく手持を売る場合におきましては、これを指名で売る、或いは公売で売る、こういうふうなことで努めてその処分につきましては内容も又形の上も疑問の起らんようなふうに努めてやつております。
  427. 中野重治

    ○中野重治君 そうしますと、政府が手をひいた、政府が関與しない部面は元のままであるかも知れず、元のままよりもつと悪いかも知れんがというわけですか。
  428. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 今後はいわゆる相対ずくの関係でやつておるのでありまして、元より悪くなつているというふうには考えない。元も又悪いんだとも原則的に考えておりません。
  429. 中野重治

    ○中野重治君 元も悪かつたとも考えていないとすれば非常に奇怪なお言葉だと思いますが、併しそれでもそうあなたの方で信用するならそれでもよいが、政府が関與しない方面のことが非常にうまく行つていると、政府は何を根拠にして信用するのですか。
  430. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 特別会計はこの機能を停止して生産中ではございますが、薪炭の需給の円滑ということにつきましては、当然農林省としても関心を持ち、又それを指導して行くつもりでありまして、その間そういうふうに感じておるわけであります。
  431. 中野重治

    ○中野重治君 政府の関與しない部分に関する間はそれだけにして置きまして、政府自身の仕事の運営の仕方は、お答えによれば従来と変つておらないと、こういうわけですね。
  432. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 政府のやつておる仕事自身はつまり買入れは停止して、持つておるものの処分の問題が主たるものでございます。売買ということから言えば、売るということはそこへいわゆる指名であるとか、或いは公入札と、こういうような方法で、それぞれ傍から見ても内容は勿論形の上からもそこに疑惑の起るような方法は努めてないようにして処理をやつておるわけであります。
  433. 中野重治

    ○中野重治君 こういうことです、私の問うのは、勿論努めてそういう間違いのないようにやられる筈だし、又やつて頂かなければなりませんが、あなたの先のお答えによると、この問題を処理する政府の機構そのものは、がらりと変つてはおらんと、こういうお答えでしたね、先程。それで政府が直接関與する以外のことは別として、従来においては政府の機構と、それから業者、生産者との関係においてさまざまな不正が行われて来たわけですね、そうでしよう。それでこうなつたんだから、政府があつて、一方に炭焼があり、我々のように炭が欲しくても手に入らない奴があり、その間で悪いことをした奴もあつて、それは全部が政府の責任ではないけれども、政府との関係においてそういうことがなされて来たわけでしよう。この外側のものは政府は手が着けないから政府の責任ではない。併し政府自身のメカニズムには変化はない。つまり従来それぞれとの関係において、統制等の関係において多くの不正を醸し出したところのそのような政府機構そのものには変化はないというわけですね。それが変化がなくてどうして一生懸命にやるという主観的には分るけれども、不正が生じないという保証ができるんですか。
  434. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私共は先程申しましたように、木炭事務所自身に関連して、そんなにおつしやるがごとき不正というものが起つておるようには考えておらないのであります。
  435. 中野重治

    ○中野重治君 それではそれはよろしいとしましよう。手持の品物を売渡すと、或いはその外さつき農林省の方から言われたように、とにかくこの仕事をこれだけ金を使つてつて行くということは、輸送その他の問題があると思いますが、現に山元で荷が積まれて売るにも売れず、送り返すこともできないで困つておるというような事情が沢山あるから、滯貨ということは東京あたりにもありますね、今日あたりの新聞にも出ているように。そうすると、こういうものの輸送に関して、ついこの間の貨物運賃の陸運八割、海運九割三分七厘の大幅な値上げは全然関係ありませんか。
  436. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この生産を急ぎまする関係からもう現地居なり処分を原則としてやつております。
  437. 中野重治

    ○中野重治君 その方針ですね、そういう方針でやつて行く。それを方針としてそれがどれだけやれるかも知れんが、それで私のお尋ねするのは、どういう方針でやるかでなくて、貨物運賃のああいう無茶な値上げが数字に変化を及ぼすか及ぼさんかという返事が聽きたいのです。
  438. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 現在の手持薪炭を輸送などはしないと、こういうことで処理をしておりまするから、あの運賃に係わるという問題はございません。
  439. 中野重治

    ○中野重治君 そうすると先程最初私が出した問題について農林省の方では、いろいろなものが何が出て来るか分らんということはないと、それは断言すると言つて、行政管理庁の方では自分の意見を引込めて、腰くだけになつたように私には受取れたのですが、私は別にどちらに同情するわけでもないが、併し質問応答を他の委員諸君の分をも聽いておりますと、断言した農林省の方には、断言の割には甚だ薄弱だ、十億になるか、もつと大きくなるが、或いはもう少し小さくなるかは別として、行政管理庁の心配しておるような点が非常に出て来るように私は思うのですが、農林省の方では、やはり行政官理庁の懸念が愚かであると同様に、私のこういう懸念も根拠がないというふうに思います。
  440. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 結論的にそう思います。ここで併せて管理庁との関係を申しますというと、当時管理庁としてこの薪炭会計をお調べになられたつまり七月から八月にかけての頃は、生産地の方では時恰も真夏でもありいたしますので、五割引でなければ到底その処分はできん、引受けられんと、我々としては見通しをするのでありますが、五割、消費地においても平均です、四割、このくらいでなければいかんという声が非常に強かつた。そういうような関係でありましたので、それらを入れた計算をした点に、あの当時としての或る程度の当然さがあるのでありますが、その後私共といたしましての計算におきまして私共の方の数字が出たのでありまして、私としてはあの数字には間違いない。こういうふうに存じます。
  441. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程手持の薪炭を処分するとき、最近では段々よい炭が出つつあるのです。そこで時期を失すると損をするから、政府はここで早く売る、こういうお話があつた。これは消費者側から言わせると非常に迷惑な話だと思うのですね。よい炭が段々出て来て、安くよい炭が買えるのに、政府がここで早く売つてしまう。そうすれば、国民はもう少し持つておれば、よい炭が出て来るのに、政府はそういうことを知つておるから、それを早くここで処分してしまうというのですけれども、消費者側としたら、それはあとで、安く買えるものをここで高く買わせる。そういう国民負担をかける、こういうことになると思うんです。これは消費者側、国民の側としては迷惑な話だと思うのですが、その点はです、政府は何か普通の商売人のような操作をやるように考えられるのですが、それでよろしいのですか。
  442. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 本年度の下半期の薪炭の需給は、依然として必ずしも楽なものではございません。そこで業務用のごときものは、希望に対して六割一分というふうにカツトしております。その他家庭用は成るべく出したいということで、安本が定めておるように四割ということでやつておりますが、その他のものについては殆んど三割、四割、五割といつてひどいのは切つておりますが、それらに対して私共といたしましては供給を主としてやつておるのであります。    〔西川甚五郎君「議事進行について」と呼ぶ〕
  443. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はまだ質問しているんです。先程の御説明ですと、今急いで売らないと値下げが来るから急いで売るのだ。値下りを予想しておられるわけですか。
  444. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 持つておる品物は悪くなればといつてよくはなりません。而も今は最盛需要期にあるから、それでさような方法を採つたわけであります。
  445. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程は新らしい炭が出て来る、そういう御説明があつたのですが、今のお話だとちよつと御説明が違うようですが……。
  446. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私としては違つておらん。比例的相関的な関係におきまして私共の方はそういう初めからの気持でお答えしていたつもりであります。
  447. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、薪炭証券の償還でございますが、償還につきまして、十二月二十日に償還する分三十四億七千万円ですが、これはその内訳は十二月二十日期限のものが二十五億九千万円で、一月十日期限の証券繰上げ返還が八億八千万円、こうなつておるわけですね。何故この八億八千万円というものは繰上げ償還をされるのかというその事情を聽きたいのです。
  448. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) この五十四億七千万円を限定とするということでありますが、五十四億七千万円一挙に出して行きますれば、この生産関係において分つておるものについては支拂つて行ける。その残りで薪炭証券を償還する。
  449. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 質疑打切りの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  450. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ質問が途中なんです。
  451. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 西野君の動議に賛成がありますから動議についてお諮りいたします。    〔「質問を続行せよ」と呼ぶ者あり〕
  452. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 木村さんの質問の後でもよい。
  453. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 西川君から木村君の質問の後でよいということでありますから……。
  454. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が聽きたいのは五十四億七千万円、その償還を一般会計から繰入れられた場合に生産者に先ず支拂つてその残りで薪炭証券を償還する。そういうお話でしたが、その残りのうち特に期限が来ない前に特に償還するのは、何故繰上げ償還をしなければならないのか。期限が来た時に支拂えばよいわけなんでしよう。
  455. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) これはこの資料のところの十二月二十日、それから一月十日と二口に分けてございますが、現在におきまするところのこれは期限になつておるわけです。実はこの特別会計が金がないのだからここにこういうふうな期限になつておる。そのこと事態が無理な期限になつておりますからそういうような措置をするわけであります。
  456. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に金がないのであるから非常に無理をして繰上げ償還する必要がないじやないですか。
  457. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 統制価格がありませんから繰上げ償還しないと利子が附きますからできるだけ早く返したいと思つております。金の余裕のつき次第……。
  458. 森下政一

    ○森下政一君 先程も中野君の質問に対して事務当局が、こういうふうな会計の結末をつけなければならなくなつて、さまざまな不正も行われたであろうし、諸々の怠慢が積み重なつたでしよう。そこで出て来た赤字を填めてこの会計の結末をつけるために一般会計から繰入れをしなければならない。取りも直さずそれは国民の納めた税金を以て尻拭いをするのである。これは誠に国民に対して迷惑な話で、事務当局として相済まんという気持がないかという質問がなされたと思います。事務当局は極めて簡單に事務的にこういう処理をするということは至極妥当であると思うというお話でありましたが、私はここでもう一遍あなたに聞いて置きたい。あなた方事務当局は、これは誠に国民に対して迷惑だ相済まんことであると思われるか。ここにおられる森農林大臣も我々と同じ気持であろうと思うが、薪炭が統制になりましてからどこの家庭でも十分な配給を受けて暖かい冬を過して貰つたという気持でおる者は一人もないと思う。ガスのある家庭は幾ら、ガスのないところは何表というように嚴重に規制されて、乏しい炭で寒い冬を忍んで耐乏生活をし、これを忍ぶことが国を建てて行くのだという気持で皆忍んで来た。ところが、何んぞ知らん統制されておる木炭が何十億という厖大なる赤字を出しておる。それは数々の不正なり事務当局の怠慢といつたことが、積み重なつてこういうことになつた。乏しい炭で冬を過して来た国民が今又自分の納めた税会で尻拭いをするということを知つて憤慨を感じない国民は一人もないと私は思う。こういうようなことになつたということについて事務当局として誠に国民に対して相済まんという感どがあなたにあつて然るべきだと思います。その気持があつて、これから一生懸命債権を回收して、この会計にこれ以上赤字が出ないようにするという決意を承われば、あなたの言葉を信頼することができるが、事務的に考えて至極当り前な妥当な処置と思うというようなことを言われたが、これは私はこの問題の賛否を議する上において非常に重要な問題と思うから重ねて私はあなたの心境を承わりたい。尚同時に事務当局が單に事務的に考えて妥当と飽くまで言うなら、農林大臣はどうお考えになりますか。誠に国民に対して気の毒だ相済まん処置であると政治家である森農林大臣はお考えになりますか。こういうことになつたのは、ひとりあなた方の責任ばかりでなく、歴代の内閣にも怠つたところがあつたのでしようが、政治家として今決算の結末をつけなければならん衝にあられる森農林大臣はどういうふうにお考えになりますか。私は事務当局並びに農林大臣にこのことを国民の代表として最後にはつきり伺つて置きたいと思います。
  459. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。今、今日までの赤字の出ましたことについてかれこれ責任を追及する場合でない、私は就任以来三十有億の赤字があるということを知りまして、かようなことは一日も捨てて置いては大変である、事務当局に嚴命いたしまして速かに整理を急がしめ、そうして一日も早くこの内容を明らかにし、そして政府の債務を覆行すると共に、政府が債権は極力これを回收いたしまして、そうして国家に負担の幾らかでも少くなるように努力をいたして参つたのであります。誠にそういうふうなことが十年間もかかつたこととはいえ、その間に大きな仕事も、国家的な事変もありましたけれども、とにもかくにも今日まで五十何億という赤字を出したということは、政府として国民に対して誠に申訳のない次第であるということは深く感じております。そうしてこの整理につきましては鋭意できるだけ早く完全なる整理をやらしたいというこういうことに考えておるわけであります。
  460. 三浦辰雄

    政府委員(三浦辰雄君) 私この特別会計を預つておりました事務の者といたしまして、このような事柄をでかしました点、この点を誠に言葉なく申訳ないことだと思つております。これは何としてもこれができました以上成るべく正しく速かに收拾するのがせめて国民に対しての申訳であると、かように考えて誠に恐縮に存じております。それから先程措置、これは当然と思いますと申しましたのは、実はこの支拂財源としてここに廻つておる生産者、又非常に何度も待たしておる証券のこの財源としての繰入れにつきまして事務的にこうする外仕方がない、これが当然だと考えておると申上げたのであります。
  461. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 議事進行について。質疑を打切り、討論を省略するの動議を提出します。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  462. 波多野鼎

    波多野鼎君 まだ政府答弁していないのだ。まだ行政庁の長官来ていないのじやないか。そんなところで動議を出す奴あるか。これだけの重大問題を討論省略なんてそんなべらぼうなことがあるわけないじやないか。そんな議事の進行をしてはいけないよ。(「採決ばかりするなよ、顏洗つて来いよ」と呼ぶ者あり)そういう目茶なことをしちや大変なことになる。
  463. 中野重治

    ○中野重治君 何をそんなにあわててものを言うのか、十億円が二十億円出ないとはまだ言えないのだな。さつきの問題だつて同じじやないか、自分で臭いものの蓋しようというのと同じじやないか。何をそんなにあわてているのだ。
  464. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 討論を省略するということはどうですかね、質疑を終局するということはいいでしようが。
  465. 川上嘉

    ○川上嘉君 答弁はまだありますよ。それはまだ研究の余地はあるよ。
  466. 波多野鼎

    波多野鼎君 撤回して下さい、今の動議。
  467. 黒田英雄

    黒田英雄君 採決々々。    〔「採決なんて何言つてんだい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  468. 川上嘉

    ○川上嘉君 そんな馬鹿な話はないよ。
  469. 中野重治

    ○中野重治君 なぜそんなことしなければならないのかね。
  470. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 今の動議を取消しまして、質疑の打切りの動議を提出いたします。
  471. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 賛成の方は……。
  472. 波多野鼎

    波多野鼎君 まだ答弁が残つておるんですよ。
  473. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは西川君の質疑打切りの動議をお諮りいたします。この質疑終局の動議に丁して賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  474. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。質疑は終局いたしまして、直ちに討論に移ります。
  475. 波多野鼎

    波多野鼎君 議事進行について……。政府側答弁要求されておるんです。後刻答弁するということになつておる。行政庁長官が来て答弁することになつておるんですから、その答弁を聞かなければ駄目なんです。討論に移るということは早いです。
  476. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 出て来られないんです。
  477. 波多野鼎

    波多野鼎君 出て来なければ休憩して待つておればいい。
  478. 黒田英雄

    黒田英雄君 採決されたんだから御進行願います。
  479. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 討論に移ります。
  480. 波多野鼎

    波多野鼎君 そういう目茶な運用の仕方をしちやいかんです。それは私は不賛成だな、参議院のために不賛成だな。答弁したらいいですよ。そういう無理押しなことをしては大変なことになる。それはいけません。
  481. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 質疑は終局になつております。
  482. 中野重治

    ○中野重治君 質疑は終局でも答弁は終局しておらんですよ。
  483. 波多野鼎

    波多野鼎君 休憩の動議を提出いたします。
  484. 黒田英雄

    黒田英雄君 反対。
  485. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 暫時このまま……。
  486. 小川友三

    小川友三君 休憩の動議に賛成。
  487. 波多野鼎

    波多野鼎君 休憩の動議に採決して下さい。審議はできやせんよ。    〔「休憩の動議が出たんだよ」その他発言する者多し〕
  488. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 長官が見えるまで休憩いたします。    午後十一時九分休憩    —————・—————    午後十一時十分開会
  489. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 開会いたします。
  490. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 薪炭会計におきまして、今回のごとき結果に陷つておりますことは、誠に遺憾に存じております。国の行政管理庁の監察部におきましても、これに関心を持ちまして、行政監察委員の方々に調査を願つたのでございますが、如何せん厖大な薪炭関係のことでありまして、ただその一般を調査いたしまして、将来に注意すべき点を指摘するという程度の仕事にしか止まつておりませんので、そこに監察委員の方から数字として計上せられましたものの中にも、必ずしもこれが絶対正確なものというわけには行かないと思います。一般を見て将来の運営において注意する、そういう事項を指摘して頂くという程度の監査にしかなつておらないのでございますので、到底全面的なことが、監査のことが正確に掴める程度には至つていないのでございます。これは目下清算中でありますから、多分本年度一杯と予定されておると思いますが、その結果によつておのずから明白になつて来ようと存じます。この間の若し不正な事実等がありましたならば、それぞれこれは司法当局の手を煩わすような問題も起きて来ようと思いますが、どこまでも政府といたしましては、この清算事務に当りまして、嚴正にこれをやりたいと考えておるような次第でございます。誠に私も行政監察を受持つておりまするけれども、今日の機構は二十名ばかりで、民間の監察委員の方々が予算の効率的運営、行政の能率的運営、そういうことが果して適正に行われておるかどうかということを監察する程度の仕事にしかなつておりませんので、十分なる何ができておらないのでありまして、どうぞ一つ今後十分そういうことのないように注意して行きたいと存じますので、御了承願いたいと思います。
  491. 中野重治

    ○中野重治君 今の行政管理長官の答えは、誰の質問に対する答えですか。如何なる問に対して答えておるのですか。長官自身は、如何なる問に対して答えていると考えておるのですか。
  492. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 天野委員から御質問……。
  493. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 何だい連絡取つていないじやないかちつとも……。顏を洗い直さなくちや駄目だ。    〔「連絡をもつとうまくやらなければ駄目だよ」と呼ぶ者あり〕
  494. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 間違いました。山下委員……。
  495. 天田勝正

    ○天田勝正君 山下委員なんてのいないですよ。
  496. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 森下さんです。(「冗談じやないよ。」「中野君だよ。」「のぼせるなよ。」「何しているのかね又……。」と呼ぶ者あり)……質問の要旨をお伺いいたしまして、それにお答えいたしたつもりでございます。
  497. 中野重治

    ○中野重治君 我々あれだね、何というべきかね、わざわざせき立てて、長官を呼んで来て、そうしてその長官は、如何なる人の如何なる質問に答えておるのかも知らないでやつて来て、そうして問い詰められて、全く無関係の人の名前を次々挙げて行く、そういうことは答えであると思いますか、長官自身……。何のためにそんなことをやるのです。そんな真似を……。大体農林大臣が、今長官にいろいろ答えに関して打合せをやつたようだけれども、農林大臣自身全く僞りを長官に教えて置いて一ぱいはめたのじやないですか。あなたが今、長官が答える前に一生懸命そこでやつていたでしよう。何を言つたのです。
  498. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) ちよつとお答えいたします。本多国務大臣が見えましたから、どういう質問の要領であつたか、こういうのでありましたから、行政査察庁の報告書によれば薪炭会計において尚十億円くらいの赤字が出ることが予想せられるという報告があつた。農林省としては大体五十五億四千万円で清算が完了するということをこちらは述べておる。そこで君の方の調査された報告書と食違いがある。それに対して質問があつた。こういうことは私は……。
  499. 中野重治

    ○中野重治君 私は私の質問の中で行政査察庁ということは、言葉としても使つていないし、そういうことについてならば、先程から農林省関係の事務の人と、それから行政管理庁の事務の人から幾ら答えをしても分らないから波田野委員から注意があつて、そんなことは事務の人から聞いても分らん、長官なら分るということで待ちに待つていた。併し出て来ない。而も質問を打切つて討論さえも打切ろうという動議が出て、それが討論打切りの動議の提出者が自己の誤りを認めて討論打切りの動議は削りましたけれども、やつとせき立てて今呼んで来た。そうしたらまるで見当違いのことを言つておる。そんなことでどうして討論ができますか。今農林大臣並びに行政管理長官から答えられたことは私の間には何の関係もない。單に今初めて出て来た長官自身何も知らないのみならず、さつきから出て来ている農林大臣自身も何も分つていない証拠だ、それは。若しそうでないというつもりならば、さつきから行政管理庁の事務の人が出ておりますからその人に聞いて貰えば分る、又他の委員諸君に聞いて貰つても分る。
  500. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 誠に不用意でありまして、申訳なく存じます。実は何名かの方から質問のありましたことを、要約して話を伺いましたために、どなたに対する質問ということを、私がお答えすることができなかつたのでございますが、その質問の要旨は、最前お答えいたしましたことで、大体答弁としては盡きておると考えますので、御了承お願いいたしたいと思います。
  501. 中野重治

    ○中野重治君 それはね、問に対して答えておらんから盡きているのですよ。問に対して、次々に意外のことをあなたは答えておると思うのです。そんなことを聽いていないのですよ私は。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  502. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは質疑は終局になつておりますから、討論をいたします。討論に入ります。討論は時間が時間でありますから、一人三分間ずつでお願いいたしたいと存じます。御発言の方は賛否を明らかにして御発言を願います。
  503. 小川友三

    小川友三君 この案は現物の不足が十億二千七百万円という厖大なものでございまして、委員会審議中に当りましても、その内容の全貌を政府の側において説明ができないというような状態でありまして、誠に遺憾な次第であるのであります。又国民に対しましても我々国会議員としては何とも弁明のできないような状態でありまして、政府におかれましてはこの点につきまして十二分の調査を今後も是非せられたいのであります。  又この損失面におきましても、第一項の損失が九億六千百万円、第二項の損失が十四億三千九百万円、第三項の損失が実に五億五千六百万円、合計二十九億五千六百万円という損失を計上し、又現物の損失においては十億を突破するというような状態でありまして、非常にこの報告が農林当局におきまして杜撰と申しますが、昭和十五年近衞第二次内閣以来のこの法案に対しまして、易きになれまして、現物の国家公務員の諸君が非常に杜撰な政策を採られたということがこの結論に到達したのであろうと私は存ずるのでありまして、誠に残念であります。又二十億以上のまだ未拂代金の支拂いがあり、炭焼業者は非常に困つておるというような実態もございますので、この点につきましては、本員に特に農林大臣のこの赤字補填に対するところの、或いは現物不足に対するところの調査に当りましては、極めて国民の代表としまして、熱心に御調査を賜わりまして、この赤字が填まるような行動を取つて頂きたいという注文をつけまして、原案に賛成するものであります。
  504. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
  505. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 本員としましては本案に賛成の意を表するものでありまするが、今回のこの法案につきまして一般会計からの繰入れにつきましては、これまでの赤字と、それから今後残務整理によつて生ずるところの赤字の補填になるのでありまして、而もその赤字の内容を見ますと、検査並びに監督におきまして甚だ遺憾の点があると考えるのであります。尚末端機構におきましては相当の不正もあるように考えるのでありまするが、そういつた点につきましては赤字補填を一般会計からして繰入れるにつきましては、我々としては甚だこの案に対して遺憾の意を表する次第でありまして、これにつきましては、十分今後債権にしても債務にしても検討いたしまして、万遺漏なき措置をとつて頂きたいと考えるのであります。尚これまでの赤字につきましての責任の所在を明らかにして、その責任者に対しても十分の警告を與えられんことを特に要望するのでありまして、尚この処理につきましては逸早く優先的に生産者に対してこれを支拂いまして、尚その余裕を証券の返還に充てて行かれることを特に要望する次第であります。そして本案に対して賛成するものであります。
  506. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は本法案に反対の意を表します。その反対の第一点は、先ず全般的に責任の所在が依然として不明確であるという点であります。毎日この委員会におきまして質疑を続行したのでありまするが、農林当局の提出いたしました書類によりますると、或るときは会計令の不備である。或るときは評価益の問題、このことは又後程申上げまするが、とにかく政府の諸々の機関から提出された書類、或いは答弁を聞いておりますと、何かその責任の所在が明らかにならないままに、恰かも天然現象のごとく、天から雨が降るごとく、或いは空に風が吹くごとく、ただ漫然としてこの五十四億七千万円という不足額が生じた。こういう不明朗極まる、而も責任の所在が明らかにならないものに対しまして私は到底賛成し難いのです。  次には虚構の責任分散の問題であります。このことは先程も申上げましたように、先ず政府の提出いたしました書類によりますると、薪炭需給調節特別会計令の不備である。こういうことを言われておるのであります。仮に論点を明らかにいたしますために、この不備であるということを私は認めてもよろしい。然りといたしましても不備であるならばありますだけ、その責任者或いは担当官には誰よりも先に分らなければならない問題であります。而もこれらのことが今日まで明らかならざるままに推移して、今日に至ればそれに責任を転嫁するというかような不明朗さであります。  次は評価益の問題でありまするが、これはたびたび私が質問戰を展開することによりまして、評価益の問題は決して過去にあるものではなくして、少くも二十三年度以降にあるということが明らかにされましたが、この一連の責任分散、このことは飽くまでも追及しなければならないと思うのであります。  尚細かい点を申上げまするならば、私共素人には到底了解し難いところの不正が行われている。その二三を挙げて見まするならば、例えば現品が未清算であるのに支拂証票を発行した、これ正に不正であります。又支拂証票を二重に発行した。これは單に手落ちであるとか、無能であるとかの問題でなしに、実に不正も甚だしいものであります。或いは現品保管中に、盗難、火災、水害、これらの理由でない以外の理由によつて消耗した。如何なることによつて保管中のものが事故がないのに消耗するか、こういうものを称して空気木炭とでも称するのでございましようが、とにかくかようなことによつて、すべて虚構に責任分散をしているということが明らかになると思うのであります。  第三の点は、政府の各機関の調書の相違であります。これは各委員からも指摘されたところでありまするが、林野庁から提出された書類は他の政府機関とは何ら関係なしに林野庁で出され、或いは行政管理庁、会計検査院、それぞれあります。特にこれらの中で甚だしい点は、農林当局はこの繰入れをすることによつて大体において百円二百円の未済の問題は別といたしまして、これによつてすべてが解決する、こういうことを言われているのでありまするが、同じく政府機関でありまする行政管理庁提出の書類によりますれば、まだこの後においても少くとも十億ぐらいの不足が生ずるだろうということを述べられている。この一点を取つていたしましても政府部内においても全く奇々怪々と言わざるを得ないのであります。  第四の反対の理由は、整理の無終結を指摘しなければなりません。いずれの調書、或いはいずれの答弁を聞いて見ましても、これによつて確かにこの問題が終末を告げるという確言をとうとう得られなかつたのであります。このことは私共はこれによつて一日国民諸君に税負担を課するならばそこで事済みという確信を抱けない以上は、少くとも十分その責任、十分その原因を追及することによつて明らかにした上で国民に納得せしめて、これら税負担に転嫁すべきでありまして、未だその時期にあらずと言わざるを得ないのであります。  第五の点は、予算の全く出たらめな処理であるという点であります。すでに質問戰におきましても申上げましたように、本来補正予算というものの性質は本予算の幾分かを修正するということでなければならないのであります。然るに今次の薪炭特別会計における歳入歳出の明細を見まするならば、或るものは当初予算の六十二万倍、或るものは一万二千倍、或るものは二十一万倍という実に驚異的な修正を行なつておるのでありまして、而もその原因におきましては、当然すでに予想せられるべきところの費目になつておるのであります。従いまして、これらの予算措置というものが全く根拠なく出たらめに処理されておるということが明らかなのでありまして、かようなことのある限りは、到底私は本案に賛成することはできないのであります。  最後にこの結末というものは実に被害者に負担によつて処理せんとする方策であるという点であります。即ち私共消費者にいたしましても、或いは貰足らずの炭を配給され、或いは量目の不足の薪を配給されるという工合に、この薪炭需給特別会計によつては被害こそ受けれ、決して利益を受けた点はないのであります。或いは生産者においても然りでありましよう。結局この不足の生じた主たる原因は、不良官僚と或いは悪質な中間業者の活躍が遂にこの大失態を演じせしめたのでありまして、そういう点からいたしますならば、これらの受益者がその負担を負うのが当然であるので、然るにも拘わらずそれを一般会計から繰入れるということは、即ちそれらの会計によつて被害を受けたところの国民大衆が平等に負担しなければならないということからいたしまして、以上六項目を挙げて私はその反対の理由を明らかにしたのでございまするが、この最後に申上げました、結局それらのすべての尻拭いは被害者であるところの国民大衆の負担に帰するという点からいたしましても、断じて反対せざるを得ないと思うのであります。以上申上げます。
  507. 中野重治

    ○中野重治君 私はこの案に反対します。その理由を簡單に述べます。  第一は、五十四億七千余万円というのは炭を燒いた人の責任で出て来た数字ではない、金を拂つて炭が買えなかつた人々の責任によつて出て来たものでもない、税金を無理に取られておる人々の責任において出て来たものでもない、何の責任において出て来たかというと、問題が始まつて軍国政府、あれから歴代政府の責任、それかに会計検査院の責任、林野庁の責任、業界の悪質ボスの責任、こういう連中がグルになつて先程から明らかなように盗みに類するようなこと、詐欺に類するようなこと、横領に類するようなことをやつて来た結果がこういう穴が出て来た、この穴を税金を取られ炭を燒いて金を拂つて貰えん、又金を出しても炭を受取ることのできない人民大衆に課そうとすることは損失を被害者の犠牲において取立ててこれを加害者に奉るものであるから賛成できない、反対する。このことが第一。  次にこれ程明らかな政治的腐敗、私が政治的腐敗というのは、かくのごとく事を運ぼうとすることの政治的腐敗、この政治的腐敗について行政管理庁の長官も農林大臣もこれが政治的腐敗であり、政治的腐敗であるということについて全く感じを持つていない、不感症なのである。かかる道徳的不感政府の下では事務関係の個々の下の方の役人が主観的にまじめにやつても不正は決して今後絶滅を期することができない。これはさつきからの答弁にも明らかに出ておる。それだから若し我我がこれに反対しないとすれば、單に損害を被害者の弁償において加害者に奉る。そういう罪悪をそれをそのままに更に延ばして行くという政府に賛成することによつて我々は二重に罪を犯さなければならん。これは我々のとらんところである。それだから我々はこれに根本的に反対であります。
  508. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も本案には反対であります。反対理由につきましては他の委員からも申されましたので、重複する点がありますので簡單に反対理由を二点挙げるだけでありますが、第一点は、率直に、非常に長い間これを審議いたしましたのですが、質疑応答を我々聞いておりまして、又いろいろ資料を見ましたが、何故この結局において五十五億四千万円の赤字が出て来たということが十分納得が行かない。最後まで行かない。それでいろいろな点についてまだ質疑をいたしたかつたのでありますけれども、十分の審議を盡されないで途中で質疑の打切りの動議が出されまして無理にこの質疑を打切らしてしまつた。そうして打切られて我々十分納得しないまま討論をしなければならん。この点については私は国民に対して十分に納得しない。そういう点から先ず第一に国民に対して本案に対して賛成することはできないのであります。  第二には、非常なこれまで明らかにされましたように、不正が行われた。そうしてその不正を今まだ追及中である。ところがまだ全貌が明らかにされていない。まだまだいろいろな不正も出て来るかも知れない。そういうものでまだはつきりと明らかになつていないのに、ここでそういう不正に基いた損失、これを一般会計から繰入れてこれを受けてしまうということになると、この不正の追及或いは又整理、公正な嚴正な整理というものが怠られる危險もあり、又今後において、丁度戰争して儲けた、ところが戰争が終つてもやはり戰争で儲けた人は戰争が終つても儲けている。それでやはり戰争というものは儲かるものである、こういうようなことになるのではいけないのであつて、これまでいろいろな不正をやつたけれども、結局国で尻拭いして呉れたから、又今後もそういうことをやつても尻拭いをして呉れるのじやないか、そういう悪例を残す、そういう点が反対論の二点であります。  それから最後の第三点は、これは天田委員或いは中野委員も言われました通り、被害者の負担において被害を受けた人の被害を又カバーする、こんな不合理なことはないと思うのであります。  以上三点の理由によつて私は本案に反対をするものであります。
  509. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はありませんか。……外に御発言もないようでありますから討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。  薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  510. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告委員長において本法案内容委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  511. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄   伊藤 保平     九鬼紋十郎   玉置 喜章     西川甚五郎   小林米三郎     小宮山常吉   高瀬荘太郎     高橋龍太郎   米倉 龍也     小川 友三
  512. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはありませんか。……御署名漏れなしと認めます。ではこれを以て散会いたします。    午後十一時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉置 喜章君            西川甚五郎君            岩木 哲夫君            木内 四郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            中野 重治君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   委員外議員            高橋  啓君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 森 幸太郎君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    大蔵事務官    (主計局次長) 石原 周夫君    林野庁長官   三浦 辰雄君   説明員    総理府事務官    (行政管理庁監    察部長)    柳下 昌男君    農林事務官    (食糧庁総務部    長)      清井  正君