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1949-11-30 第6回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○旧軍関係債権処理に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法臨時特例等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○織物消費税法等を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○復興金融金庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○復興金融金庫に対する政府出資等に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 委員会を開会いたします。  最初に旧軍関係債権処理に関する法律案の御審議を願いたいと存じます。御質疑がありましたら、この際お願いいたしたいと存じます。
  3. 黒田英雄

    黒田英雄君 この第一條の、「著しく困難であるものについては、」というのはどういうようなことを言われるのですか。
  4. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) この「著しく困難」と申しますものにつきましては、別に一定の基準は定めてございません。この軍関係債権は、現在陸軍と海軍の分は厚生省の引揚援護庁の中に、元の復員局の組織が、そのまま入つておりまして、旧軍の経理関係を担当しておりました極く僅かな人たちがやつておるわけであります。でき得る限り、手持の資料に基きまして、極力追究をしておる。実際問題といたしまして、その後の経済状況変動等もございまして、どう交渉しても取れない、本人債権を認めておりながら、而も全然取れないという場合がありますので、そういう場合について考えておるのであります。これは特別のこういう場合というようなことでなく、事情に応じて主務大臣がやることになつております。
  5. 黒田英雄

    黒田英雄君 これは主務大臣が、各自認定で行くわけですか。
  6. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 主務大臣認定によりましてやることになります。
  7. 黒田英雄

    黒田英雄君 準則みたいなものでやれないのですか。
  8. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは特別の準則というものは決めておりませんです。
  9. 黒田英雄

    黒田英雄君 それから二項の、「大蔵大臣の定める利息」というのは、どういう標準利息を決められる見込みですか。
  10. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは、実は衆議院におきましても疑問がございまして、それで衆議院の方で修正をされたのでございます。「大蔵大臣市場金利を考慮して定める基準による」というふうにこれを改めることになりましたのですが、結局そのときの市場金利によつて定めるということになつております。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 第二條関係最後の「前條の規定にかかわらず、特別の譲歩をすることができる。」こういうことがありますが、これは或る意味においては非常に含みがあつて、何か危険も予想されるわけですが、その「特別の譲歩」ということはどういうことを指しておりますか。
  12. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 御承知よう財政法原則といたしまして、債権條件を緩和し、乃至は免除するということには法律根拠が要るわけでございます。それで現状におきましては延納と同時に和解調停によりましてどうしても或る程度債権條件を緩和してやることが適当であるという場合が相当ございます。それでそのためにはまあただ裁判所和解調停にかければよろしいのでございますが、つまり判断は裁判所に任せておるわけでございますが、その根拠といたしましては、結局和解調停の結果何程か債権條件を緩和するという必要が起りまするので、その場合の根拠の権限を二條によつて得ておる。こういうことでございます。
  13. 天田勝正

    天田勝正君 第三條の最後免除規定でございますが、これは現に債務者であつて住所又は居所が不明であるものがどのくらいありますか。又当該收入金徴收が不能になつておる分がどのくらいありましようか。
  14. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ちよつとこの件数としては数字手許に持つておりませんが、現在十六億円この関係債権があるのでございますが、その中で住所不明に該当します分が三千二百万円へ金額でございます。  それから延納につきましては、これから事情をよく勘案してやりまするので、確かな見込というものは持つておらないのであります。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 一面この住所不明ということになれば、延納金なんかも普通のことでは取りようもないということになつて、ただ債権を翌年度、翌年度と繰越して行くといろ恰好になりはしないかと思うのです。又別の面から考えれば、一体旧軍関係債務を負つているものが、行方不明で調べようがないということもこれ又非常に不思議な気がするのですが、それらはどうして調査されておりますか。
  16. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは勿論住所又は居所が不明ということになつているのでございますが、本人がたとえおりませんでも、財産が残つておるというような場合は勿論取ることにいたしております。それから結局その元の居所なり、或いは住所をつきつめまして、そういう、当時戰時利得者ような小さな中小工業者で、而も地下に潜つてまつたものが相当あります。それから陸海軍の兵隊のいわゆる留守宅渡し給料がございまして、これの過誤拂い、これは個々の金額は僅かですが、件数としては非常に多いわけです。そういうものをやはり元の住所居所調べまして、そうして警察等の手を借りまして、どうしても分らんものが相当にございますそういうものをやろう。こういうことになつております。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 もう一遍、それで過誤によつて余分に給料を支拂つてまつた。こういうものは一人々々に直せば極く極めて少いものだろうと思うのですが、これらをどの程度比率一般の何と申しましようか、企業者との関係ですね、そうしたものとの比率はどの程度になつておりますか。
  18. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) それは言い換えますと、三千二百万円の内訳ということになろうかと思うのですが、これはちよつと今はつきりした数字手許にございません。この内訳については一つ帰りまして、数字をあとでお渡しいたします。
  19. 天田勝正

    天田勝正君 それは直ぐ省に帰れば分つておるのですか。
  20. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ちよつと時間がかかるらしいのですが……
  21. 天田勝正

    天田勝正君 それはおかしい、提出されておるのだから……
  22. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 給料過誤拂い分と然らざる分との内訳となると、これは一括して整理しておるので、それを一々伝票を集計し直さなければ分らんことになります。
  23. 天田勝正

    天田勝正君 それでは後で……
  24. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑ありませんか。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法案について資料を要求していたのですが、まだ受け取つていないのですが……
  26. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) どういう資料ですか、ちよつと私まだ承つておりませんですが……
  27. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 軍関係債権の……
  28. 天田勝正

    天田勝正君 今私が聞いたのはここにありますね、企業だけのものはこれを差引けば自然に出て……
  29. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 資料は一応のものはお手許に差上げであるわけですが、その外に特別の御要求がありましたか。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この前の前渡金なんかの回收状況ですね。
  31. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 御承知よう臨時軍事費特別会計昭和十四年からずつと続いて一会計年度になつているわけでございます。それで只今お話でありますと、その約十年間に亘りますところの前渡金、或いは概算拂金額、それからその中の回收額ということになりますと、これは実は臨時軍事費特別会計の決算の結了いたしましたときに一応御審議願つているわけなんであります。それでその結果の残額がここに出たわけでございまして、それが結局十六億円に上るわけです。お手許に大体の資料は差上げてあると思います。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一応頂きました。
  33. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは本案に対しまする質疑は、この程度で止めて置きまして、今大蔵大臣が見えておりますから、税の方の問題について……   —————————————
  34. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は所得税法臨時特例等に関する法律案について御質疑がありましたら、この際お願いいたします。
  35. 川上嘉

    川上嘉君 正確な帳簿記載方法、これに基く青色申告について質問をいたします。この趣旨はもとより賛成でありまするが、これが実施に当りましては現段階におきましては、殆ど不可能に近い困難と煩雑さが予想されるわけであります。政府は現下の実情におきまして、この青色申告実施が成功するという見通しを持つておられるのかどうか御答弁を願います。  次にシヤウプ勧告俟つまでもなく、今日納税者記帳は非常に慨嘆すべき状態にあるわけであります。税務職員は正確な信用すべき帳簿がないからして、標準率及びその他の平均額基礎として一方的に課税してやるのだ、それより外に途はないということを主張いたします。納税者は又税務官吏帳簿を信用しないから、たとえ記帳する能力はあつても、正確な帳簿をつけることは意味がないということを言つております。従いまして露骨な言葉で言いますと、従来税務職員納税者とは、狐と狸とのだまし合いみたいなことを続けているわけであります。こうした悪循環が何によつて起きるのか、尚納税者に正しい記帳をさせるためには、どういつたような対策を講ずべきであるかといつたようなことにつきまして、大蔵大臣の御見解を御発表願います。
  36. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 青色申告制度は、成功する見透しを持つております。又、あらゆる努力を傾倒いたしまして成功させたいと考えておるのであります。従来お話ような点もあるのでございまするが、やはりその根本には、納税者帳簿というものを十分完備さす必要がある。これが完備すればお話ようなだまし合いというようなことも、跡を断つのではないかと考えております。
  37. 川上嘉

    川上嘉君 つまり納税者が正しい記帳をしなかつたと言つたよう理由は、どこにあるんでしようか。
  38. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) やはり何と申しまするか、できるだけ税を少く納めようという不純の気持の人もありましようし、又帳簿記帳の他につきまして、十分の知識がなかつたというようないろいろな事情があると思います。
  39. 川上嘉

    川上嘉君 納税者帳簿をつけなかつたという理由は、以上大蔵大臣の述べたことも理由でありましようが、もつと根本的な理由があると私はかよう考えます。つまりそれはやはり税制に欠陥があつた税率とか基礎控除扶養控除等に適当な措置が講ぜられていなかつたということになるんじやないかと思います。これは東京財務局、現在の東京国税局税制諮問委員会、或いは又商業者同盟專務理事である北村氏が次のようなことを言うております。昭和二十二年の税金について、帳簿記帳指導をして、税金の軽減を図ろうとしたら、却つて重い税金がかかつて来てやりきれなくなつた。それで今は考え直しているということを、実業之日本の別冊に発表しております。これは正直に記帳をすれば、却つて損をするということを、この人は身を以て体験して、而もこのことを率直に大衆に公表したわけであります。こういつたことについては、成る程と考えさせられるところがあるのであります。曾て有能な税務所の幹部の職員が集りまして、果して現在どの程度まで税法通りに課税されているかということを研究したことがあるのでありまするが、その際に、実際の所得額の七〇%乃至六〇%程度しか課税されていないであろうといつたような意見が承認されたわけであります。尚、池田大蔵大臣財政の九月号の別冊で、次のようなことを言うております。つまり現在では納税者が二重帳簿を持つていると同じく、税務官吏法規集に書いてある税制と、自分の胸の中にある、いわば胸三寸といつたようなものと二つの物差があつて本当の仕事胸三寸でやつて置きながら、説明は何かと税法に当嵌めようとしている。かようなことを大蔵大臣が言うております。このよう税務署では、税法通りにぎりぎり一杯課税しなくても、殺人税金だ、或いは徴税恐慌だと、ものすごい摩擦が続いて来ておるのはどういうわけでありましよう。これはやつぱり税法そのものが、苛酷である、税率そのものが高過ぎたからである。尚扶養控除基礎控除等が低すぎたからである。かように私は考えるのであります。曾て池田大蔵大臣が、現在の税法余りにも苛酷な税法であると言われたことのあるのを私は記憶しております。この苛酷な税法をそのまま適用されたらどういうことになるか、恐らくそのまま適用されるような時期が近付いておると思います。同じく財政の九月号の別冊で、現池田大蔵大臣は、次のようなことを言つております。税務官吏職員に対しては、諸君は実に国民の生活の権を握つている、諸君の誤つた課税の結果、何千人の人が泣くことになるかを忘れてはならなない。従つて課税に当る態度は正に薄氷を踏むようなものでなければならない。同時に法規に定められた点まで課税することも又諸君の責務でなければならない。こう述べております。税法通りにさえやつておれば、決して無理がない、不公平がない、不合理がない、摩擦が起きないということになれば、税務職員にとつてもこの上もない喜びだと思います。又納税者にとつてもこの上もない喜びだと思います。そこで今回の所得税法臨時特例等に関する法律案に織込まれたところの税率改正並びに基礎控除扶養控除改正程度で、大蔵大臣は果して満足しておられるかどうか。この点について御答弁を願います。
  40. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 財政状況によりまして、租税負担も変つて来るのであります。私の考えでは、できるだけ歳出を少くいたしまして、国民負担を軽減するよう努力いたしておるのでありますが、何分にも我が国の経済状況から申しますと、急激に税負担を軽減する程歳出が減つて来ないだろうと思います。私といたしましては、徐々に減らしまして、そうして徐徐に国民負担も軽減して行く、来年度におきましては、先般も財政演説で申述べましたように、大体租税を四千四百四十億円程度に見込んでおるのであります。そういたしますると、歳出関係もありまして、この四千四百四十億円程度にいたしますためには、所得税につきましても、只今審議を願つている程度負担を願わなければならないかと思うのであります。ただまだ税種その他につきまして、検討を加えなければならない点もありますので、この臨時特例以上、以下にはなりませんが、臨時特例以上の減税ができればいたしたいと、只今検討を続けている次第であります。
  41. 川上嘉

    川上嘉君 ちよつと今の答弁ではどうも納得し兼ねるが、この税率の問題、それから基礎控除の問題、扶養控除の問題は、これは飽くまでも臨時的なものであつて、又来るべき通常国会においては、検討の余地があるものでしようか。
  42. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 只今お答えしたように、減税はこの程度まではやり得る確信がありますが、これ以上に減税というものは、今検討を続けておりますが、なかなかむずかしい問題だと思つております。
  43. 川上嘉

    川上嘉君 この税率基礎控除扶養控除の問題につきまして、今はつきりした御答弁がないのでありますが、この問題につきましては、又後程質問いたしたいと思いますが、次に、実は昨日の質問に続いて、何が故に実額調査が十分にできないか、この問題について質問をいたします。どういうわけで実額調査が十二分にできないかといつたような原因について、いろいろと大臣は列挙されたのでありますが、私はその外に、旅費の不足というものが大きき問題であると思います。現在税務署におきましては、旅費が非常に不足しております。思うように出張もできないといつたよう実情でございます。これが実額調査に及ぼす影響は誠に甚大なものであると思います。  次に給與手当福利厚生等一切を含めた徴税費の問題でありますが、今度の補正予算を見ますというと、成る程外観は六億一千万余となつておりますけれども、内容を見ますというと、五億四百万という過誤納金の拂戻がこの中に入つております。税額が公平に査定されなくちやならないことは勿論でありまするが、同時にこれは飽くまでも公平に合理的に無理がなく実施されなくちやならないと、かよう考えます。このためにはどうしても徴税費を大巾に引上げることが急務であると思います。そこで次の三点、即ち旅費増額大巾引上げに対する御見解並びに税務職員給與福利厚生の問題、更に全面的な徴税費大巾引上げに対する御見解をお願いいたします。
  44. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 徴税費につきましては従来相当増額を見ておるのであります。今回の六億余万円の分は、お話通り過誤納金が五億余りつておるのでありまして、純然たる徴税費というものが一億足らずになつておるのであります。来年度根本的の税制改正をいたしますに当りましては、徴税費増額につきまして一段と努力をいたしたいと考えておりまするが、お話旅費の点につきましては、私はこの程度で十分とは申上げられませんけれども、我慢して頂くべきではないかと考えております。給與につきましては税務官吏は特に一般官吏よりも高い俸給になつておりますので、この程度でやつて行きたいと思います。福利施設の問題につきましては、一般公務員の問題として今後考えて行きたいと思つておるわけであります。
  45. 川上嘉

    川上嘉君 今の徴税費大巾引上げであるとか、つまり旅費とか諸手当俸給福利厚生一切を含めた全面的な徴税費引上げ急務であると私は考えます。この臨時特例法と同時に、少くともそういつた点に積極的な一歩が踏み出されなくちやならなかつた、かような私見解を持つております。政府税制改革は飽くまでもシヤウプ勧告基本原則を尊重して行うと言明しておりまするが、このシヤウプ勧告の中でこれらの点について特に次の通りに指令しております。即ち「俸給表は有な者を誘引し、引き留めるに十分な程、高くすべきである、医療、住居など被傭者の厚生施設の充実に注意を拂うべきである、」更に腐敗と賄賂の項でも同じようなことを強調しております。「現在問題を悪化させている特殊な要因」として「税務官吏の大多数が若手で無経験、かつ薄給であること、税率が高すぎること、およびヤミ市場の活動が普遍的であること」など指摘しております。そうしてこれらの問題の「解決策一つは、より良き給與と訓練である」ということを勧告しております。尚徴税費増額につきましても「事務設備と運用と近代化仕事は重大である、その達成には絶えず活溌に努力することが絶対に必要である、この努力は不十分な歳出予算によつて妨害さるべきものでない」云々、こういうような支出は、この近代化計画が結果としてもたらす徴税額の増大において何倍となく補われるだろう、かよう勧告を行つております。このシヤウプ勧告に対しては私は全く同感であります。而もこうした措置は急速に、而も緊急に、これは率直大胆に講ずべきである、かよう見解を持つておるのであります。最後にもう一回承りますが、大蔵大臣のこういつた点についての御見解をもう一度御発表願います。
  46. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 公務員実質的賃金上昇につきましては、我々も努力しておるのであります。殊に税務官吏の待遇その他の問題につきましても考慮を続けております。何分にも他との振合いもありますし、今までのやり方もそう一遍に急角度の変更はむずかしいのであります。徐々にシヤウプ勧告の線に副つて行きたいと考えております。
  47. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 昨日この委員会において、私は大蔵大臣に対して、資産評価の問題についてその後何か適当な緩和策とか、そういつた修正考えをしておられるものと考えまして、その後の経過を開いたのでありますが、そのとき大蔵大臣は今のところ非常に忙しいので、只今停頓しておるというような御答弁であつたのでありますが、今日の朝日新聞を拜見しますと、資産評価については相当融通性というか、大幅の彈力性を持たせるような方方に、大蔵省としては考えておる、そうして省議を昨日開いておるという記事が載つておるのでありますが、あれで見ますと相当大蔵省としては案が出ておつたように私は考えるのでありまして、昨日の大蔵大臣の御答弁は非常に不親切なものと考えられるのでありまして、改めて一つ私は別に抗議する意味でも何でもない、非常に真面目な意味質問したのでありますからして、これにつきまして、一つ誠意のある御答弁を願いたいと思います。
  48. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 昨日ここで答弁申上げましたように、書前後の一時間余り省議を開いたことはここで申上げた筈であります。速記録を御覧下されば載つておると思います。実は昨日お話し申上げましたように、昨年来検討を続けておつたためいろいろな案がございます。私も就任以来この問題につきましては自分考え方相当つております。自分考え方シャウプ考え方とはちぐはぐでありまして、シャウプ考え方もあの発表のあつたときには、如何にも強制的にやるような感じを国民に與えたのであります。で、新聞記者シヤウプの会見のときにも強制的にとは言つておりません。ユニバーサルにやるのだ、この程度であつたのであります。私は前から強制ということはやるべきじやない、こういう考えを持つておりましたがために、シヤウプが向うに帰られての後も係の人との折衝を加えまして、大体強制的でなくていい、こういうことになつたことは予算委員会その他におきましても申上げておるのであります。そうして買收その他につきましては、まだ愼重に考慮しなければなりません。例えばシャウプは七月一日の固定資産で、卸物価指数上昇を決めて行くのだ、こう言つておりますが、株式の問題とかいろいろの問題はやつておりません。又卸売物価によりますと、固定資産の値上りの時期によりまして、余程変つて参ります。シャウプようやり方で行きますと、昭和二十二年とか二十三年に非常な上り方をした建物につきましては、非常に高い金額になるのであります。それから又ずつと前とごく最近に上つたものにつきましては、あの評価では不十分だ、こういう点があるのであります。こういう点はよく私が肚を決めてかからなければならんものである。従来から事務当局は、時間は別ですという話があつたのでありますが、昨日漸く十一時過ぎから十二時半頃までこの院内で省議を開いたよう状況であります。いろいろな新聞に載りますけれども、全体として交渉がままつた後に発表する方がいいと考えまして、個別的に少しずつ出すということは、却つて誤りを起し易いので、私は遠慮しておつたのでありますが、強制的でないということだけは、はつきり申上げておりますし、これくらいの程度しか言えないと思うのであります。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 昨日申告納税自然減收の問題について伺いしたのですが、くどいようですが、今の税のうちでは申告納税の、税の地位いうものは、非常に重要だと思う。それを所得実績によつてああいう自然減收を見込んでおるのは、大蔵省所得調べです、それはどういう方法調べられたのか、この所得実績は、一応その実績調べて推定を加えて行くわけですが、その調べ方法を先ずお伺いしたいのです。
  50. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 事務当局からお答えした方が適当かと思いまするが、私から一応今までの、少し古いかも分りませんが、大蔵省がずつと過去十数年間やつておるものを申上げます。申告納税につきましては、先ず物価の動き、生産の状況等が主でございます。而してその業態別に、階級別に見まして、この程度收入があるだろうということを弾き出して予算を組むのであります。而して過去十数年来、申告納税と申しますか、賦課課税の問題につきましては、常に自然増收が結果において出ておつたのであります。今度の税法になりまして、税法上決定いたしますものは、当該暦年所得によつて決定いたしまして、徴收歩合がどのくらいあるかということを二段階考えることになります。例えば勤労所得ようなものは、税法上決定いたしまして、徴收歩合が九六、七%、或いは九七、八%ありますが、申告納税の分につきましては、決定はいたしましても滞納その他で徴收の時期もずれる。そこで前年の税の繰越し、今年の来年度への繰越しということも收入外に関係して来ることであります。そこでどの程度の分をその十の決定について確実な收入と見るという問題が、昔よりは一つ加わつて来るわけです。そういうよう関係徴收歩合考えてやるのであります。  昨年は、私その当局者でなかつたのでありまするが、昨年の今頃は多分給與関係予算を補正したと思います。そのときには、聞くところによりますと、経済の変動より徴收歩合をよく見て、そうして申告納税につきましては、昨年度、二十三年度におきまして久し振りに赤字が出た。千二百億円の申告納税予算見積に対しまして五、六十億円の赤字が出たかと思つております。で、今年度になりまして、予算を組み徴收歩合をやつてつて、実際問題を考えて見ますと、ここに補正をしなければならんもの、即ちそれは課税所得の増減の問題が私は主だと思いますが、徴收歩合の問題もあると思うのであります。それで課税所得の増減、徴收歩合状況等から二百億足らずの減收を見たのであります。農業収得の分で見ますというと、災害が例年よりも非常に多かつた。こういうことなどは、申告納税のうちの農業所得を減らす重要な原因だと思います。  それから又営業所得の方につきましては、物価の動向とか、或いはその後の実額調査をした場合においての変化等を考えまして、ああいうふうに減收を見込んだと、私は考えております。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 経済安定本部に国民所得調査室がございまして、專門に国民所得を調査しているようですが。大蔵省は安本の国民所得調査は全然参考にされないのですか。徴税、課税の場合、あれとは全然無関係に、大蔵省大蔵省として推定をやられるわけなんですか。
  52. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 全然無関係とは申上げられませんので、やはり役所同士でございますから、安本の調査なんかも参考にしてやつているのであります。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程お伺いしますと、結局課税所得が見込より減つたということと、徴税歩合が減つて来たり徴税をどのくらいにお見込みになつたか知りませんが、七〇%から七五%ぐらいのお見込だと思いますが、そうすると徴税の成績が悪かつたということになりますね、それは能率が悪いということになるのですね、そういうふうに解釈してよろしいのですか。
  54. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 徴税成績の問題で事務当局の能率が悪いということは私は考えません。即ち課税所得につきましての増減と、それから今の滞納の状況でございますね、こういうことで、事務当局の能力の問題とは私は考えておりません。
  55. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  56. 森下政一

    ○森下政君 先程川上さんに対する大蔵大臣の御答弁、大体私はこういうふうに聽いたのですがそう了解してよろしいですか。今度所得税法改正になりますと、例えば基礎控除であるとか、扶養控除であるとか、勤労控除、そういつたものは必ずしも現在提案されているものが基礎控除として妥当な金額とは言えない。或いは扶養控除にしても勤労控除にしても、もつと幅のある控除をするということが理論から言えば妥当かも知れませんが、財政実情から照し合せてみますと、理論通りには行かないのだから先ず現在の財政の要求を十分満たすことのためには、この程度は我慢しなければならないというふうに聽いたのですが、そう了解してよろしいのですか。
  57. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) そうではございません。この程度で我慢しなければならないと断定したわけではないのであります。少くともこの程度は維持しながら、これを最低目標にいたしまして只今各税の見積り等を検討いたしているのであります。うまく行けば基礎控除の一割が一割五分になるかも分らない。そして又財源に余裕があれば、税率三十万円以上五十五というのを、或いは五十万円以上五十五とするとかいうことも考えているのであります。又大体の大綱が決まりましたので各税の細目につきまして検討を加えているのであります。具体的に申上げますというと、四千四百四十六億の租税收入をしで、酒税がどうなるか、法人税がどうなるかということにいたしまして、私が当初考えておつたのよりも酒が非常に増産になつて増收があるということになれば、これは所得税減税の財源になる、こういうことを考えておりますから、暫定的にこの線で来年度も行くということは考えておりません。この程度減税の最小限ということをはつきり申上げて置きます。減税を少し殖して行こうという努力はいたしております。
  58. 森下政一

    ○森下政一君 少し私の質問大蔵大臣は勘違いされているのではないかと思いますが、私の聽きたいのは例えば基礎控除ですね、基礎控除というのはどこまで行つても理論的に言えば、国民の最低生活に対しては税が食い入つて行くものではない。最低生活費に充当すべきものは基礎控除として課税の圏外に置かるべきものだ。けれどもそうなれば一万四千円が妥当な金額とは誰も今日考えていない。併しながら財政の実状から考えて、最低生活を税の圏外に置くということはできない。だから一応二万四千円という金額基礎控除を止めておる。こういうふうな考え方であるかどうかこの点を伺いたいのであります。
  59. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 基礎控除金額国民の最低生活と一致するものとか、非常な関係のあるものとか考えておりません。従いまして今回提案いたしておりまする臨時特例の分よりももつと減税をして行こうという場合におきまして、議論がありまして、理論的には基礎控除を先ず殖すべきでありましよう。その次は税率を勘案すべきでありましよう。そうして勤労所得の控除の増額を図る。第三番目に考えるのが税の理論だと思います。併し何分にも今までの勤労階級の二割五分控除のことを思い、又今までの最高税率五百万円百分の八十五になつたことを考えると、余りに急激な変化ではないか、かるが故に若し財源があるとすれば先ず勤労控除について考慮し、第二に税率について考慮し、第三に基礎控除に行くべきが経過的の税制改正案としてはいいんじやないかと、こう私は考えておるのであります。従つて財政に余裕がある限りにおいて、若しこの御審議願つている場合よりも減税し得るとすれば、基礎控除よりも勤労控除に手を付ける、余裕があつたときに税率に手を付ける。そして尚余裕があつたときに基礎控除をやる。それで私は基礎控除を二万四千円から二万七千円にしたい。又税率の三十万円超五十五を百万円超五十五にしたい。又勤労所得は一割控除を一割五分控除にしたいという考えを以て計算しますと、相当今の臨時特令よりも多くなるのであります。二万四千円から二万七千円にいたしますと百二億円の減收がありますが、三十万円超五十五を百万円超五十五という税率で勘案しますれば、百八十億円の減收になります。一割を一割五分にしますと九十八億円の減收になる、そこで百億円程度の財源があれば勤労控除もできるが、この百八十億円の部分はなかなか出そうもありません。そこに三十億でも五十億でも余裕があれば、三十万円超五十五でなくて五十万円超五十五というところでやつたらどうかということで検討いたしておるのであります。私は将来の税制としましては理論的よりも経過的の考え方で、今申上げましたような方向で行きたいと思いますが、この次にシャウプ勧告案よりも次に来たるべき減税が再来年度でできるかどうかという問題は、今後の財政経済の見通し如何によるのであります。ところが、今年度たとえ財源がなくて、シャウプ勧告案の通り所得税が参りましても、二十六年度におきましては、私はかなりの財源が出て来て、そして今回はシヤウプ勧告案で仕方なしにやつたとしても、その次の年度につきましては、相当減税ができると期待いたしておるのであります。
  60. 川上嘉

    川上嘉君 そこで今の問題についてもう一度伺いますが、私は先に單刀直入にお伺いしたことは税率改正基礎控除扶養控除改正等は現段階においては、この程度大蔵大臣は満足しているかどうかといつたようなことを質問したのであります。大蔵大臣は大体これで満足しておると、こういう工合に了解してよいでしようか。
  61. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 満足というのは、私の今までの答弁をお考え下さればいいと思う。大蔵大臣としては歳出を削りまして、できるだけ減税ずるということが満足すべき状態であります。で今の臨時特例所得税の税で、これで満足すべきものとは考えておりません。財政当局としましては、できるだけ歳出を削つて少くしたい。だから今申上げましたように来年度予算編成に当りましても、財源が出て来れば十分減税の方に行きたい。満足というのは止むを得ない程度、こうお考え下すつたらいいと思うのであります。
  62. 川上嘉

    川上嘉君 それから先程の答弁の中におきまして、又昨日の予算委員会における木村委員に対する答弁の中におきましても、税務職員の待遇が外の職員、外の官公吏に比して、如何にも優遇されているといつたようなことを大蔵大臣は言われておりまするが、その点について決して優遇されていないという点を私は申し加えておきます。申すまでもなく、現在の職階、一般職の場合には、一級一号二千四百円から最高の十五級四号二万三千六百二十円となつております。ところが税務特別職階では一級一号二千八百四十円から最高九級六号一万一千九百七十八円になつております。それ以上は一般職に切換えられて行くことになります。そこで税務職員が特別職になつているから有利だといつたよう考え方は、これは間違いであります。最近いろいろの統計資料を集めて調査した結果によりますと、税務職員の六七%までは一級乃至二級に置かれております。そして九六%が四級以下となつておるのであります。これは税務職員の九割五分までが二千八百四十円から四千八百六十三円の間に押込められているということを物語つているわけであります。税務職員の初任給は甲種中等学校卒業で大体昨年の十二月末までは一級二号であつたのでありますが、六千三百七円ベース施行後は一級一号となつたのであります。これを全官公労の昨年の九月現在の調査によりますと、各省初任給と比較しまして、甲種中等学校卒業の者は文部省、商工省、会計検査院におきましては四級一号、最高裁判所におきましては四級五号、その他の官庁では三級二号乃至五号となつております。その後号俸の切下によつて一号から、高いところは五号乃至六号切下となつておりますが、それでも金額の内容を見ますと、税務そのものを上廻つているか、或いはそれと同じ程度であります。それ故に税務職員は特別職階だから高いといつたような今の大蔵大臣のお言葉は、これは意味をなさないのであります。  ここで六千三百七円ベースの内訳を見ますと大体本俸四千七百四十円八十三銭、扶養手当一・五人で七百九十三円三十五銭、勤務地手当七百二十六円八銭、特殊勤務地手当四十六円七十四銭、御承知通り税務職員の平均年齢は二十五歳弱でありますから、その殆んどは扶養手当を貰つていない。従つて六千三百七円ベースより遥かに下廻つているわけであります。このことは同時に六千三百七円ベースより上廻る階層が僅かに全職員の一割から二割程度に過ぎないといつたようなことを示しているわけであります。そこで先程の税務職員の場合は待遇がいいという大蔵大臣答弁は、間違つているということを私ははつきりここで申上げて置きます。
  63. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は川上君とは見解を異にしております。一人当りの收入が少いからと申しましても、それには少い理由があつてのことであるのであります。お話通りに平均年齢は二十五歳未満になります。だから一人当りの実收が少い、併し或る官庁が相当の高齢者ばかりで組織されておる場合、平均俸給が一万二、三千円になるその官庁を見て、税務官吏の待遇が非常に惡い、三分の一だ、こういう論拠も成り立たんと思います。
  64. 天田勝正

    天田勝正君 先程大蔵大臣は、本年はシヤウプ案で止むを得ないけれども、来年度においては相当減税し得るというようお話がございましたが、そのお見通しによりますると、如何なる税種目、如何なる財源によつて減税が行われるか、この際明らかにして頂きたいと思います。
  65. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 誤解のないようにいたしたいと思いまするが、私は来年度におきましても財政の切り盛りで、この臨時特例によつて現わしておるあのシャウプ案より、できれば減税したいということにつきましては日夜努力いたしておるのであります。従いまして来年度の分は今確定的にシヤウプ通りといつておるわけではございませんので、どうぞ御承知置きを願います。  次にそれでは再来年の問題についてはどうかという問題になりますると、これは財政の全般の問題になりまするが、本年減税ができました主なる理由は価格補給金の削減でございます。二千二十二億円が九百億で済んだ。そうして政府も極力節約いたしましたが、公共事業費その他必要なる復興の部面は金をどしどし出す、それでも尚七百億の節約、私はこの趣意から申しますると九百億円の税においては減税と、こういうふうに申しておるのでありますが、そういうふうにできておるのであります。そうして問題のこの価格補給金が二十六年度ではどうなるかと申しますれば、安定帯物資に対しまする補給金の四百数十億円の分は殆んどなくなります。而して又最近御審議願いたいと思うのでありまするが、来年度は実際的に債務償還は三百五十億円程度予算には例えば債務償還費として五百億円上つておりますが、復金から二百億足らずの收入がありますので、又インベントリー・ファイナンスをやりますと、来年度は三百数十億で、今年度はどうかと申しますと六百数十億の債務償還になります。本年度六百数十億円、債務償還はこうやつて行けば、来年度においては我が国の財政は他の外国に殆んど例を見ない程堅実になつて来ると思うのであります。そういたしますと来年度におきましては相当のつまり減税が期待し得ると考えておるのであります。
  66. 天田勝正

    天田勝正君 細かいことは別といたしまして、このシヤウプ勧告案を基本といたしまするいろいろな税の改正が行われて、勿論来年度予算においては更にこの改正が行われるでありましよう。そこでこれを適用するに当りまして、税務職員が果してこれを消化し得るかどうか、この消化をしなければ仮に減税減税にはなりませんし、非常に今まで通りの弊害が更に倍加されるという危險が実はあるのであります。そこで私は過日国税庁の苦情処理相談所でありますか、大変あそこを誇つておりますので参つたのでありますが、三人の職員でさつぱり仕事が動いておりません。更に地方の税務署の課長クラスに聞いて見ますると、これは一体農民等に教えるためには、その前段として税務職員がそれを消化しなければならないけれども、その自信があるかといつて聞きますると、これには一向自信がない、こういうような状態であります。勿論このことを直接大蔵大臣の責任をとやかく言うのではありませんが、併しかよう状況であれば、特段の教育方法を講じませんければ、到底適用において必ず又混乱が起る、こう考えますけれども、大臣といたしましては税務職員の教育、再訓練、こうした問題についてどういう構想を持つておられるのか、それを明らかにして頂きたいと思うのであります。
  67. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 税務職員の現状につきましては、お話通りに素質並びに人員におきまして十分とは勿論申上げられないのであります。従いましてこれを改善いたしまするためには、人員を徐々に殖して行くとか、或いは新規に採用する人についての、何と申しますか、知識、経験等を十分採用の條件に入れるとか、そうして又今奉職しておる者につきまして再教育と申しまするか、今少しく勉強して貰う、こういうよう方法があると思います。今度のシャウプ勧告案は御案内の通り減税ということよりも、税の合理化ということを先ず考えておるのであります。従いまして今人が少いとか何とかいうようお話でございましたが、来年一月一日からやめます取引高税及び織物消費税につきまして、現在従事人員は六、七千人と考えておるのであります。これは人員は減らしませんから問題の所得税の方へ切替えられることに相成るのであります。又来年度におきましては或る程度の人員増加を計画しておるのであります。そうして又再教育問題につきましては、昔は高等財務講習所と地方財務講習所と二通り設けまして、高等財務講習所は東京に置いて、大体二百人ばかりを二年教育いたしておりました。地方の財務講習所は各財務局所在地ごとに置いて、千人余りを教育いたしておつたのであります。最近ではその高等と地方とを併せまして、財務講習所という学校で千人以上の者を再教育しつつあるのであります。これは十分ではございませんが、この方へ人を沢山取りまするというと、実地の方が少くなりますので、これは徐々に殖して行くという方向でやつておるのであります。統制は合理化されますし、人員が合理化され、そうして手不足も相当緩和されるし、又緩和しなければいかんという方向で行つておりまするから、徐々に税務の執行はよくなつていることを、私は確信しておるのであります。
  68. 森下政一

    ○森下政一君 大蔵大臣が若し財源があれば、将来勤労控除を先ず第一にもつと幅を広くしたい、或いは扶養家族の控除を多くしたい、最後に若し更にやるならその範囲をもつと多くして行く、この考え方は私大変結構だと思うのでありますが、そこで例えば勤労控除です、そこで例えば大蔵大臣はこの年度におきましても勤労控除を御自身の考えとしては一〇%でなく一五%でやりたいと思つておる。但しそうなりますと九十八億程減少になるが、百億近い財源があるならばそれができるのだというようお話があつたように思うのでありますが、政府の方針として健全財政ということを、お考えになつておるせいだろうと思いまするが、政府債務償還などということを、積極的にどんどんおやりになる、而もそれは税收から上つて来たものでどんどんおやりになる、私は偶然昨日知つたのですが、衆議院でも問題になつたようですが政府債務償還の中には、石炭業者に本年の何でも四月頃に與えた交付公債は記名のものであつて、償還年次は昭和三十三年だというようなものを、百四十一億程現金に引換えるというようなものまで含んでおるように聞くのでありますが、そんなことまで慌ててやる必要はないんじやないか、そういうふうな金こそ、これは勤労控除の増額というふうなことに当てるのに都合がいいのではないかと思うのですが、一方で税收を上げて、そうして政府債務を償還することに極めて積極的であるが、そう急がんでもいいじやないか、別段そうしなくてもインフレが再燃するというような危險がないじやないかと思うようなことまで、非常に積極的にやつて、インフレの收束という面から努力されるのでありますが、そういうものをこの際大蔵大臣の理想である勤労控除の幅を拡げるというようなことに充てられることの方が、むしろ妥当じやないか、僅かに五%でありますが、それだけ勤労者の手許を豊かにしてやることによつて、これがまさかインフレを再燃させる危險があるということには考えられないと思います。殊に勤労者の家計というものが、減税の主たる財源であると言われる価格調整費の削減によつて公がはね上つて、家計が膨脹して来るというようなことを考えて見ると、私は只今申しますよう措置を講ぜられることが妥当じやないかと思うのですが、極端に国民の購買力を吸い上げることに非常に急だ、不必要に急だと思うような政策を何故お探りになられるか、御所見を伺いたいと思います。
  69. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 誤解がないように申上げて置きまするが、所得税改正案といたしましては、理論的には基礎控除税率勤労控除と、こういう順序になる。併し当面の問題としましては、経過的のことがありますので、勤労控除、税率基礎控除こういう順序になると申上げたのであります。で昭和二十五年度税制改正に当りまして、財源があれば、先ず勤労控除から行きたいというのが、私の只今の念願であります。併し今度は二十六年度、二十七年度なつた場合に、やはり理論的なあれよりも経過的のものを採るかと言つたら、私の方でははつきり申上げられません。たとえ二十六年度税制改正のときには、所得税の軽減については基礎控除よりも勤労控除が先に行くかどうかという問題につきましては、私は今ここで、はつきり申し上げるわけに行かない、当面の問題で、二十五年度税制改正として財源かあつた場合には、どれを取るかというと理論的の分よりも経過的の分の方を取ると申上げておるのであります。その点は、大蔵大臣は第六国会でこういうことを言つた昭和二十六年、二十七年の減税は、基礎控除よりも勤労控除を先にするということを言つたじやないか、ということをおつしやらないように、お願いいたします。二十五年度についての考え方はさようでございます。  次に債務償還を急ぐということはどうかというお考え、勿論そういう考え方はあります。私は日本の経済を再建するためには、できるだけ債務を償還する。債務償還と減税歳出増加、この点で行くのが一番いいと思う。でインフレは大体收束の軌道に乗つて参りましたが、なかなかこれで安心だというところまで行つていないと思うのです。まだ油断はなりません。従いまして来年度におきましては、本年度ほどの債務償還はいたしませんが、先程申上げましたように、尚三百数十億円の債務償還をして、財政を泰山の安きに置きたい、そうして又国民生活の向上につきましては、産業の振興を図つて、そうして幸に見返資金も来年度は千五百億程度を見込まれますので、これで産業の復興を図りたい。こう考えているのであります。
  70. 森下政一

    ○森下政一君 私もよく分らんので、大蔵大臣から発表して貰いたいのですが、衆議院で問題になつたというその百四十一億とかに上つておる交付公債の償還ということは、一体どういうことなんですか。
  71. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 交付公債の償還ではないのであります。あれは復命が国家の要請によりまして石炭業者に対し融資した分の損失補償といたしまして、交付公債を発行いたしたのであります。これは前の国会で御賛成を得て実行いたしたものであります。
  72. 森下政一

    ○森下政一君 これは、償還年次が将来のものならば、今俄かにこれを現金に換えるという必要はどういうわけなんですか。
  73. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 償還いたします金額は、先般の交付公債百数十億円の問題じやないのであります。これは私が三百五十億円ぐらいが来年度のまあ特別な債務償還になると申しますのは、できるだけインフレを收束させ、又我が国の背負つておりまするところの外債の元利拂いに充てる、こういうような計画で言つておるのであります。で減税をするのが先で、経済の安定は後だということよりも、私は経済の安定を図りながら減税をし、そうして経済も復興をして行きたい。こう考え予算を組んでおるわけであります。従いまして他のときにも申上げましたよう減税もし、歳出も必要なところは増加する。而も又債務償還もする、こういう予算を組む国は、今世界に殆んどないと考えております。
  74. 森下政一

    ○森下政一君 もう一遍お伺いしますが大体御意見は分るのですが、そうすると何ですか、その交付公債という、ものを現金に換えることはないのですか。おやりになるのですか、どつちですか。
  75. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 公債でございまするから、将来は償還しなければなりません。
  76. 森下政一

    ○森下政一君 将来お返しになると、こういうことですか。
  77. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) そうでございます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近銀行預金の増加が非常に目覚ましいようでありまして、これは我々予想外であります。我我の予想は、もつと少いところで打切られると思つたのに、それより相当多いですね、我々の予想が外れたのでありまするが、銀行預金がこんなに殖えるというその原因、これはどういうところにあるのでしようか。
  79. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) この問題につきましては、木村さんとこの前の国会で議論したと思います。私は二千五百億円を貯蓄目標とした、或る銀行家は千七、八百億円、私は二千五百億円は大丈夫でありますと言つたのでありますが、相当御反対なすつたようであります。併し四月におきましては今の三月の決算期の、五十億ぐらいの預金ができました、五月におきましては三百三十億円、六月には三百二十億円、七月にも三百億円近く、八月は三百四十億円、九月は八百二、三十億円、この八百二、三十億円には、税扱いの勘定があると思います。かるが故に十月におきましてはちよつと減を示したのではないか。併しいずれにいたしましても九月分八百二十億円を割りますと、四百億円になります。もう半年の間に私の申した二千五百億円、二千億円になつたという状況で、非常に私は日本経済は最近良い結果を来たしておると思います。何故こんなになつたかと申しますると、結局日本の経済が安定したという国民の信頼だと思います。通貨に対する信頼、これがもう第一番であります。私は手前味噌を申上げるわけじやございませんが、国民が我々の財政経済政策を支持しておる証拠であると、こう考えております。だから早い話が、今年の供米の代金は、非常に還元率がいい、昨年は政府が米代を拂いまして、その二割程度が農業会の預金になつておりましたが、今年は三割以上の分が返つて来る。もうこれで通貨は安定した、いわゆる何と申しますか、セーラース・マーケツトがバイヤース・マーケットになつた、買溜めはいかん、売り惜みはもう時代遅れになつたというところに来ておるのであります。非常に私は喜ばしい現象だと思い、この機会に国民に感謝して置く次第でございます、通貨の安定だと思います。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は前の予測が、我々の予測に反して大蔵大臣のお見通しが正しかつたということを認めます。そこでお伺いしたいことは、通貨が安定したということも確かだと思います。併し所得相当予想以上に増加していたのじやないか。財政的にデフレになるのは金融面から相当つて、それでひどいデフレにはまだなつておらない。そこでこのように預金が増加するのは、やはり所得相当増加しておるからであろうと思うのであります。こういう所得増加は勤労者よりもむしろ申告納税の対象になる業者が多いのじやないかと思います。それにも拘わらず、この税制改革によりましてこの補正予算において、そちらの方面は非常に自然減收が見込まれておる、これが私には了解がつかない。今大蔵大臣が言われたように非常に預金は増加して喜ばしい、所得も殖えておるわけです。それにも拘わらず、こちらの面になると非常に少く見積つて自然減收を見込んでおる。これはどうでしようか、少し矛盾しているのじやないでしようか。
  81. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) どうも木村さんは、時々見方が変つて来るので私は困りますが、これは所得の増加ということも、これにはあるかも分りませんが、昭和二十三年に比べまして、二十四年は農業において、二十数%、商工業において三十数%の増加を見込んで予算を作つたのであります。その後の状況を見ますと、貯金が殖えたから所得が殖えたと私は断定できないと思う。それは中小商工業者の現状を見ましても、貯金が殖えてあれがよくなつたと私は考えておりません。預金の増加いたしましたのは、その大部分が通貨の安定、経済が軌道に乗りつつあるということを国民が見たからだと思うのであります。とにかく買溜めするよりも預金をして置いた方が後々のためになる。本当のいわゆる経済復興のあり方が国民大衆に御了解を得た証拠だと思うのです。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今までいわゆる箪笥預金みたいになつてつたものが、段々今度は本当の、正式の銀行の、金融機関の預金になつて来た。そうなると今までの箪笥預金のようなものは、所得捕捉の対象にならなかつたのですが、銀行預金が殖えて来れば非常にその捕捉ははつきりして来ると思うのです。
  83. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) シヤウプ博士の勧告案を十分お読みでございましようから、これからは勧告案によつて所得がもつと楽になつて来ると思います。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも私はこだわるようですが、自然減收根拠かどうもはつきりしないのです。それで非常にそこに政策的な意図があるように思えて仕方がないのです。余りに不均衡過ぎると思う。勤労所得の方は増收を見込んで、常識で考えても申告納税者の方の所得が、それ程減つていないと思われるのに、こつちの方に自然減收を見込むということは非常に不均衡であるし、不公平であるようにも思うのですが、この根拠がどうも納得行かないのです。
  85. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 今までお答えしたところで御了承願いたいと思うのであります。
  86. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。外に御質疑がございませんければ、直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
  87. 川上嘉

    川上嘉君 先程質問をいたしました税率と、それから基礎控除扶養控除の問題については私は大蔵大臣とは反対の見解を持つております。この程度改正案では意味をなさない。これ以上のものを早急に講ずべきであるといつたよう見解を持つております。大体もうすでに税金の総元締である国税庁が、どんなに張切つても肝心の一般国民の懐具合というものは、非常にもう逼迫して来ております。従いまして大きな会社とか、或いは大口所得者の脱税を徹底的に徴收するという以外には、徴税は相当行詰つて来ておる。かように私は考えます。ところが今回の税率改正案を見ますというと、どうも高額の所得者にその恩典が非常に厚い。そうして少額の所得者にはその恩典が軽いといつたようなことが見受けられるのでありまするが、これに対して大蔵大臣はこういつた点について、どういう御見解を持つておられるのか御答弁願います。
  88. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 川上君が先程申しておられましたように、非常に税率が高過ぎて査定額通りにやつたならば、苛酷になるという例があることは、あなたも御承知のことと思うのであります。そこで所得の最高税率をどこへ持つてつたらいいかということは、これは古来議論あるところであります。イギリスにおきまして今尚九七・五%をやつておるようでございますが、昨夜もイギリスから二、三日前に来た連中と会つて税の話をしましたが、非常に高い税率で、もう外に所得を求めるよりじつとしておつた方がよいというような、イギリスの状況であるのであります。御案内の通りに、各国とも八十数%程度の最高税率を維持しておりまするが、我々の考え、殊にシヤウプ考えでは所得の最高税率というものは、七〇%とか七五%で止むべきだという考えを持つておられる、ようであります。そこで我々にとにかく試実な申告をして頂くためには、できるだけ最高率も低くしようという気持を持つておるのであります。従いまして、五五%と申しますと、地方税と住民税を合せますと大体七〇%近くになるのではないかと思います。これは地方団体によつて、住民税の取り方によつて違いますが、大体今のところは六六%から七〇%、私はこの程度で止めて置くのが資本の蓄積にもなるし、産業の増大にもなると思うのであります。従いまして経過的には、非常に高い税率が低くなつたようにお考えになりますが、そう大したことはないので、私は税制一つの合理化も進歩だと考えます。従いまして最高税率五五%を変える気持は今のところございません。ただ最高税率をどこからの所得に持つて行くかということを検討いたしておるのであります。
  89. 川上嘉

    川上嘉君 最高税率を如何にすべきかという問題ではなくて、その下の方をもつと安くして、そうして最高を五十万円で押えておりますが、この上に更に細かく区分すべきではないか。その上にもつと細かい階級を設くべきじやないか、こういつたよう見解を持つております。
  90. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) これはあなたの、前の話と少しちぐはぐになると思うのでありますが、若しここに五百万円の所得者があつたときにも八五%の税率にした場合には、その人の負担がどうなるかということをお考え願いたい。五百万円の所得のありますものは現行税法で、地方税を合せますと四百万円以上になると思うのであります。そうすることがいいかという問題であります。これがやはり誠実なる申告を阻害した一つの原因であるということは、あなたが御指摘になつ通りであります。従いまして私は税の合理化を図る上においては最高税率と、地方税を合せて七割程度以下にするのがいいんじやないか。そこで資本の蓄積があつたときに、その蓄積が一定額以上を超えた場合には、富裕税というもので取る手もある。併し所得税の補完税として二十億円の富裕税というものでは不十分であります。不十分でありますが、一応こういう税制をとつた。そうして今後情勢の変化によつて国民経済にスケッチするようにやつてアジャストして行くのがいいんじやないか、こう考える次第であります。
  91. 川上嘉

    川上嘉君 どうも大蔵大臣の話は、私が八五%に持つて行けということを主張しているように聞こえますが、何も私は最高税率を八五%に持つて行けというのじやない。五十万円までは各階級を刻んでおるにも拘わらず、五十万円以上は一律である。一律に百分の五五をぶつかけるということは、余りにも大口所得者に対して恩典が大き過ぎるのではないか。かよう見解を持つておるということなんです。
  92. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) そこで最高税率の問題を議論しておるのであります。で、川上君のお話は、最高税率五五%というのを六〇%なり六五%にしろとおつしやるのか、或いは三十万円超というのを五十万円超というようにおつしやるのか分りませんが、私の想像するところでは最高税率五五を六〇とか六五にしろとおつしやるのだろうと思います。そういたしますと、六五にいたしますと住民税が非常に増徴になりますから、その負担は八〇くらいになりますが、八〇の最高税率がいいかどうかという問題を考えなければならん。そこで私は資本の蓄積、産業の振興には国税においては五五%、地方税におきましては住民税として二割程度を取るというのがいいのではないか。これを余力階級を上に持つて行きますと税收入が減ります。そういうことをお考え下さいましたら御了解行くと思います。
  93. 川上嘉

    川上嘉君 五五を六五に持つて行け。七五に持つて行けという意味も含まつておりますが、ここではさつき五十万五十万と盛んに使いましたが、これは間違いで、三十万を超える金額に対しては百分の五五、こういつた超過累進税率になつているのでありますが、それを更に六十万、七十万、八十万以上、こういう工合にまだ幾つかに刻んで貰いたい、その方が妥当である。かよう見解を持つているということであります。
  94. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 三十万のところを五十万、六十万、七十万にしたときの税率を如何いたしますか。三十万円超を五五に持つてつたならば、五十万円超は六〇にしなければいけますまい、六十万円超は六五にしなければなりますまい、七十万超は七〇にしなければなりますまい。そうすればあなたのおつしやつております所得の税による負担の均衡は取れることになりますが、最高税率は五万円以下は百分の二〇であり、五十万円超は百分の五五で、その間を五の小刻みで行つておりますが、五五から五刻みで行くより外ありませんので、そうすると六〇になり、七〇になるのではないか。七〇にした場合に、地方の住民税を加えると八〇以上になつて来て、今のような誠実な申告は期待できないということになります。
  95. 川上嘉

    川上嘉君 私のは三十万以上は敢てこの法案に縛られなくても、三十万以下はもつと下げていい。そういう見解です。
  96. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 若し三十万以下の分を下げまして五万以下二〇%というのを一〇にする。そうしてその間を調整いたしましたならばこれは相当の減收になります。私は五十万円超五五を百万円超五五にしまして、以下の税率を或る程度アジヤストすることによつて百八十億の減收になる。大体日本の国民所得の分布状況を見ますと、ピラミッドのような型ではなくして、富士山のように裾野が非常に長く、と申しますか、こういうふうな恰好になりまして、下の方は所得は入らない。これは敗戰の結果、或いは財政の支出の増加等によつて今一挙にできないのでありますが、国民所得の構成が下の方に非常に多く、上の方が少い、こういろ恰好になつておるのであります。従いまして税率ちよつと動かすことによりまして、可なりの減收を来るのであります。御検討を願つてもよろしいのでありますが、国民所得の分布状況資料をお手許に出してありますが、あれで税率を下げたならばちよつと違いの一刻み、例えば五万円超十万円まで二五としたのと一十二万円まで二五としたのでは、大変な減收になります。そこがやはり累進税率の組み方のなかなか困難なところでございます。これは歳入の全体と総合的に考えなければならん最も大きな税の問題だと思うのであります。
  97. 川上嘉

    川上嘉君 その最も大きな問題だけに、この問題をもつと検討して貰いたい。恐らくここでこの税率をこのまま臨時特例として通過したら、これで当分このままで行くのじやないかということを私は心配するのです。この最初の提案理由にも書いてあります通り政府シヤウプ勧告原則は飽くまでも尊重して税制改革を行い、その一環として所得税の方の臨時特例を出すのだというのだから、ここで基礎控除扶養控除税率がこの臨時特例のままで通るとここ暫くはこのままで通るのじやないか。押し通されるのじやないか、こういうことを僕は心配するので、ここで更にもつとこの問題について検討して貰いたい、こういうことを希望するわけです。
  98. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 先程来ずつと申上げました通り、来年度予算で余裕ができましたら、できるだけ申上げたような線に沿つて行きたいと思います。ただ何と申しましても財政状況が、それを許さんかも分りませんが、今はつきり見通しを言つたら、あなたがおつしやる通り年度はこの通りで行かなければならんかも知れんということを、遺憾ながら申上げなければならん状況でありますが、大蔵大臣といたしましては尚この上とも努力いたしまし先程申上げましたように、できるだけ先ず基礎控除、勤労控除、それから税率、こういう方向で今検討いたしておるのであります。これはいろいろな問題もありますが、シャウプ博士のおつしやる通り、酒を今年度減税をいたしましたのを元に戻そうということになりますと相当の増收になります。なりますが私としてはシャウプ博士の勧告に書いてありますように、酒を元に戻して増税する気持はない。或る程度の補正をいたしますが、全体としてシヤウプ博士のような酒税の増徴を考えておりません。酒を増徴しても所得税に行くかということも問題があるのでありますが、私は闇酒その他のことを考えまして、所得税減税、これ以上の減税もさることながら酒の方の増税を、シヤウプ案によつて行くことは如何なるものかということを考えているのであります。従いまして今のところは大体の線はシヤウプ案によりますが、酒の方はシヤウプ案に全面的に乗らない。そうして税の方はできるだけ軽減したい。若しここに米を二十万石酒にするということになりますと、百三十億円の増收になるわけであります。こういう問題はまだ未解決であります。私が今努力しておることだけは一つお汲取り願いたいと思います。
  99. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 午後二時再開することとして休憩をいたします。    午後零時十八分休憩    —————・—————    午後二時三十八分開会
  100. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今から委員会を再開いたします。休憩前に引続き所得税法臨時特例等に関する法律案についての御質疑を願います。速記を止めて。    午後二時三十九分速記中止    —————・—————    午後二時五十五分速記開始
  101. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  102. 川上嘉

    川上嘉君 ……こんな税率では余りにも上の方に軽く、そして下の方に重いという結果になりまして、どうしましても、やはり高額所得者に至れり盡せりの配慮がなされておる、こう考えるのであります。現行法では三十万円を超える額の外に、更に五十万円を超える金額、七十万円を超える金額、百万円を超える金額、二百万円を超える金額、五百万円を超える金額と区分したのでありますが、やはりこの程度所得階級別は区分するのが妥当である。そうして税率、即ち最低税率と、それから最高税率、並びに各所得階級に対するこれらの適用等については、もつと検討すべき余地があるのじやないか、かよう考えるのであります。特に一般大衆、中小企業者とか、或いは農民、勤労者等の低額所得者には、もつと低い税率を適用すべきじやないか、かよう見解を持つております。  先程午前中に青色申告並びにこれに関連いたしまして、正確な記帳についての私の質問に対する大臣答弁は決して満足なものではながつたのでありまするが、どういうわけで納税者が正直に帳簿をつけないのか。その理由は極めて簡單だと思います。それは正直に帳簿をつければ損をする。そこで記帳の指導、奨励に幾ら経費をかけ、労力をかけてやつても、そうした現状のままでは何にもならないと思うのであります。帳簿を付けることによつて、決して損をしなかつた、つまり付けることによつて得をしたということが分れば、必ず納税者は正確な記帳をするようになると思います。このためには今回この税率改正問題が、大きな問題でありまして、これにはもつと思い切つた措置が講ぜられなくちやならない、かよう考えます。この点についての大臣見解をもう一度お伺いいたします。
  103. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 午前中私の考えておりますことは十分申上げたつもりであります。お考えの点がいろいろに分れると思うのであります。  先ず第一、最高税率五五ということが高額所得者に対して軽いのではないかということが一点、これは先程も申上げましたが、地方税を加えてどの程度に最高税率を持つて行くかという問題につきまして、私は七〇%程度でよいのじやないか、租税政策上そう考えます。  次に刻み方の問題でありますが、最高税率を五十五に抑えて、刻み方を今の五百万円超に行こうということにしたならば、収入は非常な減になります。従つてこれは財政上採るべきでない、こう申上げておるのであります。然らば最高税率五十五に釘付けをしないで、或いは六十五とか七十にしておいて、又これを勘案して、刻み方をスムースにやつたらどうかということになりますと、これにいたしましても相当の減收になるのであります。従いまして現行税法と比べてどうなるかと申しますと、今の税率では二十五万超が五十五になつております。然るに今度三十万円超を五十五にいたしましたのと、別に扶養家族の控除が、従来は税額千八百円の控除であつたのを、所得一万二千円の控除にした関係上、三十万円というのは扶養家族の一万二千円を控除したあとの金額でありますから、二十五万円超五十、三十万円超五十五、こういうので、扶養家族が三人あつたとしますれば、従来は二十五万円超、五十五であり、今回は三十三万六千円超五十五、こうなることになるのであります。大体只今のところ財政状況その他から止むを得ない臨時的特例と考えております。
  104. 川上嘉

    川上嘉君 止むを得ないということが分れば誠に結構でありまして、従来税制は非常に大衆課税であると非難攻撃されて来たわけであります。そこで本改正案を見ますと、大衆課税的な性格、つまり現在の日本の税法の持つているその欠陥を改善する。ところが却つて逆進課税的な作用が拡大されているということをまあ指摘せざるを得ないのであります。政府税制改革の基本方針であるシヤウプ勧告の五目標は、九原則の確保と、それから長期且つ安定した税率、釣合の取れた公平な税制、地方財政の強化、税務行政の改善、こういう工合になつておりまするが、この五目標は同時に実際の税制に取入れなければ何らの意味がない、かように私は了解いたします。本改正業によりますと、先程も申上げました通り非常に税率が上の方には恩恵が厚過ぎる。そうして、下の方には非常に薄い、つまり先程の大蔵大臣お話にもありました通り、資本の蓄積には至れり盡せりでありまするが、この五目標の中の長期且つ安定した税制、尚釣合の取れた公平な税制、こういつた二目標には触れるところがあるのじやないか、私はかよう考えます。この点について大蔵大臣の御見解をお願いします。
  105. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 私は議論になりますから申上げませんが、世界的に有名なシヤウプ博士の勧告案は相当首肯すべき点があると思う。シヤウプ博士は日本の財政経済状況を御覧になりまして、こういうのが最も合理的なものであると言つておられます。而してシヤウプ博士の合理的な、而もできるだけ減税ようという案に全部乗つたわけではございません。併しこれは大きい問題であるから、本格的な税制改正案は昭和二十五年度から行う、二十五年度から税制改革を行う場合において、それまで待てないものがある。即ち勤労所得税については一月、二月、三月源泉徴収をしなければならん。それまで待てないものがありますので、合理的な問題と言われておりますシヤウプ博士の案通りにしたのであります。それで財源がありますので、取引高税、そうして織物消費税をなくしたことは、これは大衆課税と言われ、又経済的に言つてもよくない税はシヤウプ博士の意見以上に早く減税いたしているのであります。従いましてお話通りに下に厚く上に軽いとか、何とかいうようないろいろな議論があると思います。これは今朝も申上げましたように、イギリスの九七%以上の最高税率を置くがいいか悪いかという問題は、議論の焦点であるわけであります。この点につきましては、今まで申上げた通りであるのでありまして私は今臨時的の特例といたしましては、この程度でいいのではないかと思つております。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の問題に関連して御質問したいのですが、それは結局低額所得者に税率が重く、それから高額所得者に税率が軽くなるというような。所得分布に対する見方の相違によると思うのですが、シャウプ博士の勧告の中を見ますと、今大蔵大臣か言われましたように、日本の所得分布は、低額所得者が多いから、そちらの方の税率余りまけると財政收入に差支える、高額所得者の方は所得分布の割合が少いから、相当軽減しても財政收入の上には余り差支ない、そこで財政收入とそれから税負担の軽減について非常に煩悶されたような箇所があるわけなんです、ところでシャウプ博士の日本の百万以上の所得についての推定が約九百億円、こういうふうに推定されておる。ところが日本経済新聞に出ておつたのですが、シャウプ博士に随行して、いろいろ調査に当つた都留重人氏の推定によれば、大体九百億の倍の千八百億ぐらいあるのではないかという推定であります。そうしてこの点について日本経済新聞にこれが載つておりますが、シャウプ博士と都留重人氏の会談においてシャウプ博士の百万円以上の所得九百億と見積ることが少な過ぎるじやないか、そういう質問に対してシャウプ博士は、或いはそういう点があるかも知れない。あるならば今後調査によつてそれは又別に考えなければならん、そういうことであつたのであります。常識として考えまして、これまで非常にインフレがひどくなつて来ておりまして、大体百万円以上の所得者があのシャウプ勧告に示されているように、あのよう比率が少いということは、私はどうも首肯し難いじやないか。首肯し難いと思うのですが、あれは大蔵省資料に基いてああいう推定がなされたと思うのですが、この点余りに低額所得の方の所得分布を大きく見過ぎているじやないか。百万円以上の所得というものは相当のやはり割合を占めておるのではないか。この点が今後の税制改革については非常に重大な分れ目になると思うのであります。大蔵大臣のお考えでは、先程富士山のようになつていると言いますけれども、その富士山の傾斜の書き方、見方、これが相当重大な問題だと思うのであります。私は余り大蔵省の推定は百万以上の高額所得者の所得金額を小さく見過ぎておるのではないか、こういうように思うのですが、大蔵大臣はどういうようにお考えになりますか。
  107. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 見方の問題でございますが、今お話ように、百万円以上の高額所得者が都留君の言われたとかいうお話でありまするが、千八百億円、或いは二千億円あるといたしましたならば、租税收入は何ぼになりましようか。これからお考えつてもよろしうございます。百万円超過の分が二千億円と申しますると、七〇%の税率で、これだけで千四百億円あるじやございませんか、そうして勤労階級に百万円以上の人が何人あるかと申しますると、私の見込ではそう沢山はございません。最高の勤労階級の人が年に二百四十万円といつたところであると存じております。それから御審議願いましたポリシー・ボードの委員の方々が百二十万円、これらは相当大きい。殆んど百万円以上の人はない。二千億としたならばもう五百万円の人だけで予算の大部分がとれる状況になるのであります。併し中には百万円以上の人で脱税されておる方がおられるかも知れません。はつきり分りませんが……、百万円以上の人が千八百億円も二千億円もというふうには私は思つておりません。今までの経過から申しましても、この点はいろいろの結果が起ると思いましたから、所得階級別資料を業種別に御覧に入れたわけであります。その資料によつて考え願いたいと思います。若し御覧になつていないならば、それを差上げたいと思います。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこは非常に重大問題になるのですが、実際所得を捕捉して、百万円以上の人口によつて日本の財政が賄われるならば、これ程いいことはないのであります。実はシャウプ勧告案を見ましてあの勧告案の全体を貫いて言つておることは、如何に脱税が多いかということを指摘しているんですね、合法、非合法の……、殊に所得についてはむしろ政府が合法的にその半分を控除するなんということは、合法的に脱税をさしているようなふうにされておるところがあります。それで、シャウプ勧告の一番の中心は、どういう頁を開いても脱税に関することが非常に出て来ておるんです。これは今の吉田内閣の時じやないと思うのです。これまでの政府に対する一大忠告であろうと思うんです。従つてそういう大きな脱税が行われておる、それを見逃して、百万円以上の所得を調査する場合、それが少いということは私は言えないと思うんです。この脱税を、本当に捕捉していないんです。そこがこれまでの税制なり、財政上の一番の重大問題なんです。如何にしてこれまでの闇所得、こういうものを捕捉するか、これまで捕捉して来なかつたから勤労階級の方、或いは中小業者、農民に大きな税負担がかかつて来る、常識から考えてこれまでのいわゆる国民所得を見ましても、非常にそちらの方に偏在しておるということは明らかなんです。昭和二十三年度以後多少変つて来ましたけれども、これが国民所得全体の六割近くを占めておるなんということは、非常に国民所得か偏在しておる、そういう闇所得が非常に多かつたということを物語るのであつて私は百万円以上の所得相当あるんではないか、今後は又情勢の変化によつてつて来るかも知れませんか、少くともシャウプさんのあの勧告基礎の中の、昭和二十三度においては、私は大蔵大臣が言われるように、そんな少いものじやないと思う。これを言い換えれば、大蔵大臣か言われたような形で財政が賄える筈なんです。それをやらなかつた、これは政治の問題です。私は大蔵大臣の言う通り百万円以上のそういう所得相当あるんではないか、そういう人達によつて相当の、財政の七八割は賄えるものと、そういうふうに我々は考えて来たんですが、その点は非常に大蔵大臣考えか違うと思います。今後の税制或いは財政政策上、この点非常にそういうお考えであると、大衆に非常に重税負担か来て、そうして税負担が不均衡になる、こういうふうに考えるのですが……
  109. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 百万円以上の所得が何ぼあるかということが議論の対象でありまするが、私は勿論脱税者がないとは申上げません。併しお話ように二千億とか千七百億円とか考えていない、若しそれかそれだけの所得かあつて、脱税した場合におきまして脱税額は幾らになりまするか、今までの分で申しますると、七十五ぐらいの平均で参りますというと、二千億といたしまして千五百億の脱税になるわけです。その千五百億円の脱税金額がどこに行つておるかという問題からお考えになれば、そう千八百億円とか何とか如何なものかと考える。そこで、それでは正確な数学はどうかということになりますと、シャウプ博士の勧告によりまして、青色申告と又税制の合理化と相並んで、税制改正の適実なる運用を図るということになると思う、段々これは出て参ります。それは今まで脱税しておつた者が、箪笥預金にしておつたか無記名預金にしておつたか、或いは転輾しておつたか、株を買つておるか、これが逃げ口でありまするが、これはシャウプ博士のあれによりますと、そういうものも抑える恰好になつて参りますから、段々出て参りましよう、これはこの点の見込の問題でございますから、ここ三、四年、四、五年の後にはつきりすると思います。併し我々はそこまで待たずに、できるだけはつきりさして、そうして国民全般の担税力に副うた立派な税制を築き上げたいと、こういうモットーの下にやつておるのであります。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ついでによろしうございますか……、これは非常に統計技術上の問題もありまするが、議論では解決つかない問題と思うので、成るべく国民に対する税負担が公平になるように、所得の捕捉が非常に重要な問題ですから、その点は十分留意されて、今後善処して頂きたいと思うのです。ついででございますので伺いたいのですがシャウプ博士の勧告にあります無記名預金の廃止、それから銀行員の預金の報告義務、あの問題は今後二十五年度から取上げておやりになるんですか。
  111. 池田勇人

    國務大臣池田勇人君) 経済界に関係することが非常に多いのでございまして、私は愼重に考慮をいたしております。いつからやるということははつきり申上げられません。  ちよつと外に参りますので失礼いたします。又直ぐ後から参ります。
  112. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 主税局長なり、他の政府委員長なりに御質疑がありましたらこの際願います。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと主税局長に伺います。この間勤勞所得税が増税になつておるという私の質問に対して、実は実質賃金が多少上がつておるとそういう数字を示されたんですが、あの実質賃金の算定は、何を基礎にされたのか伺います。
  114. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 購買力の指数といたしましては、例のCPIの価格を去年の七月に対する今年の騰貴率、それを一方に見まして、もう一方におきましては、内閣統計局の調査によりまする労務者の貨幣賃金の調査でございますが、その調査の結果に基きまする貨幣賃金収入額の増加額、まあその二つを対照いたしまして、この間申上げましたようなものになつております。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あのCPIですね、これはまあ八月からラスパイル式に変つたんですね、ラスパイル式に変つて、ずつとあれを過去に遡つてCPIを計算すると、これは非常に低くなるんですね。ですからフィッシャーでやられたのか、ラスパイル式でやられたのか、その点を……
  116. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これは統計技術上は、なかなか今のお話通り問題のある点じやないかと思いますが、ただ私共聞いておるところによりますと、最近みたいに大分安定して参りました時におきましては、むしろ今度の改定された方が真実を現わすんだという統計局の意見でございまして、まあ私共も一応その見方をとりまして申上げておるわけでございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、ラスパイルで計算された数字なんですね、それでは下る筈なんです。あの実質賃金は上る筈なんです。それでは、これまではずつと連続的にフィッシャーでやつて来て、急に最近になつてラスパイルに変えて、そうして実質賃金は上がつた、従つて実質賃金上から、今の税負担が上つても増税になるんじやないと、これは統計上の一つの何というんですか、非常に政治的な操作みたいに考えられるんですが、まあ事務当局にその点をお伺いしても仕方がないですけれども、今後ずつとラスパイルで続けておやりになるんですか、予算の編成の賃金基準とか、そういうものを決める場合にですね……
  118. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これはまあ統計はいろんな方法で極力実際を適切に現わして行くよう方法を、あの方法とかこの方法とか、統計局も研究いたしておりますので私共はそういうものを貴重なデーターとして使わなければならんじやないか、目的は、そのまま判断する必要はございませんので、いろいろな考慮を入れてもいいんじやないかと思いますが、ただ数字的に見ますと、そのCPIの騰貴率と名目賃金の騰貴率が非常に接近して、僅かばかり名目賃金が上つておるということですと、或いは統計上の誤差から来るものもあろうと思いますが、この間も申上げましたように大分上り方も違うようでございますから、木村さんのお話ように技術的に検討の余地はあろうと思います。けれども、結果におきましては大体同じよう程度と、若干の差はあるかも知れませんが、言い得るんじやないか。かよう考えております。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 事情は分りましたが、今後いろいろな刊行物にCPIを基準にしたというときに、ラスパイルによつたということを、書かないと非常に違つて来るのですね。この間のお話でも、どうも実質賃金が非常に上たというので、これまでのフィッシャーを見たが上つていないのですね。公式の例えば労働省あたりで出ておるのを見ても上つてないのが、この間の主税局長のお話ですと、非常に上つておるというように出て来る。今後やはり説明されるときは、ラスパイルは、あれは主税局長御存じですか、どういう関係でああいうふうになつたのか……、こちらでというのは日本側の統計学者の間で、そうした方がいいということに決定してなつたものか、その間の事情を……
  120. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これは私直接タッチいたしておりませんので、必要がございましたら統計局等から一つお話を聞かれたらどうかと思います。
  121. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はありませんか。外に御質疑がありませんければ、総理はちよつと直ぐお見えにならないということですから、総理の来られるまで本案の審議は中止して置きます。
  122. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは次は物品税法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと存じます、御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  123. 黒田英雄

    黒田英雄君 ちよつとお伺いしますが、七十二の「書画及骨董」ですが、これについては税率を今度一割引下げしておるようでございますが、他の商品と違つて永久に保存されるものであり、又とときによつてはいろいろ転輾売買される性質のものと思いますが、これが度々転々する場合に課税されるということは、非常に重くなるという結果を来すわけであります。従いましてこれを売買するにしても、税の成るべくかからないように工夫をして売買するというふうに、税法から見れば脱税されておるような場合が多いように思うのですが、これは何か一回に課税するというような処置はとれないのですか。
  124. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 書画骨董の課税につきましては確かに御指摘のように、同じものが何回も売買される。こういう場合があるわけでございます。従いまして本来ならばそういうことがなければ、書画骨董に対しましては、税率は或いはもう少し高くてもいいのではないかということも考えられるわけです。外のものから比較いたしまして権衡上…、今お話ような点がございますので、まあ今回も税率一般に引下げる際でありますから、二割を、一割に下げたわけでございます。今お話よう相当売買されるものにつきまして、特別の方法で免税するかという問題でございますが、現在業者が買受人の場合は、これは課税いたさないのでございます。素人間の転転売買、これを免税するということにつきましても、なかなか技術的にむずかしい問題がありまして、私共いい解決案を持つておりません。その間におきましても、例えば値上りした場合は、今度は値上り差額だけに課税するのか、現在機械的に課税する場合におきましても、なかなか調査が困難を極めておるのでございますが、況んや一定期間内に売買されたという立証をして、そういうものに対して適当な免税をするといつたよう方法を、どういう方法でどうしてやるか、なかなか技術的にはむずかしいところが多いのでございます。まあ大体一割ぐらいの課税でございますれば、或る程度そういう場合を含めましても、まあ大体において負担し切れるのじやないかということを考えまして、今回はさような趣旨で税率を引下げた次第でございます。
  125. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 先般来織物消費税の問題についていろいろ意見を申上げますが、メリヤスの方でございますがこれがやはり同じよう関係になつて来ると思います。而も普通の織物以上にメリヤスはこの十二月、一月が一番需要が多い。そうして業者も今相当なストツクを持つておりまするが、これが物品税がかかるという関係で、大変業者が今日苦境に陷つておるということを方々からお話を承るのでございますが、この問題について、なぜ一月一日からになされましたかということのお考えを、一応伺いたいと思います。
  126. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 先般織物消費税の問題については、同じことをお答えしたと思いますが、今回の改正物価の改訂と非常に関連を持たせまして、間接税につきましては大体来年度予算も見通しが付きましたので、来年からできるものは成るべく早くやる。その代り引下げるにいたしましても大体運賃、それから米価の引上げ、これと成るべく時期を同じくしてやる方がいいのではないかという考え方からいたしまして、税の改正も一月一日以後からこれを実行するということに相成つたのでございます。そういうことでございまして、織物等につきましては経過的に若干問題があることであろうということを承知いたしていたのでありますが、税制諸般の方針に従いまして、全部一月一日から実行するということになつたのでございます。
  127. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 この問題について実際主税局として業者の実態を把握せられ、御検討なつたことがございますか。
  128. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 若しも廃止するという法案など提案いたしまして、現実廃止の時期が遅れますと、その間やはり殊に生産者の方面にはいろいろ問題があるだろうということも、私共も予想していたのでございます。その半面卸小売業者の方は、場合によりましては却つてその方が手持商品を適当に捌くという意味におきまして、調節し易い点もあるのじやないか。従いまして生産者の方におきましては、なかなか苦しい方もあると思いますが、金融統制の方法、或いは最近まで極力小売業者も新規の仕入を手控えて来ておるわけでございます。まあ併し売れるだけは、最少限短期間のものだけは仕入れているよう事情もございます。従いましてそういうことによりまして、何とか切拔けて頂くことができるのではないか切拔けて頂くようにお願い、いたしたい。かよう考えておるわけでございます。
  129. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 実際このメリヤスだけは、十二月に売つてしまわなくては、来年の冬まで持たなくちやいけないというよう関係になりますから、今申されました金融方面で何かいい方法があれば、一応大蔵省の方で御検討を願いたい。
  130. 天田勝正

    天田勝正君 大分細かい問題に入つて来ましたが、そういたしますると、今西川委員のおつしやつたのと同様のことが、敷物の中にも出て来るのです。これは敷物の規定の中にはいろいろありますけれども、その中花莚などは周りにちよつと一本筋があつたということで、花莚ということで課税されて来る、こういう不合理があるのです。実際これは一番余計用いられますのは農村でありまして、実は東北地方に参りますと未だ疊を全然持つておらないという農家が可なり多く見受けられるのであります。こういうところで客用に何を使うかといえばこの花莚を使つておる。普通の疊を使わずしてこういう花莚を敷いて用を足す。この場合にたつた一本でも何か色が着けてあれば課税される。一方何も着いておらなければ課税されない、こういうところにどうしても不合理なところがあるので、何か命令によつて今度は廃止される御意向を持つておられますか。
  131. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 花莚の中には御指摘の通り本来の花莚と見るべきものであるか、或いは単純に、比較的にむしろ茣蓙類と見るべきものであるか、確かに限界点において判断の困難なものがあるようであります。従いましてそういうものにつきましては従来とも課税しておらない、花莚と扱つていないものが多分大部前だと思いますが、最近若干いいものができておりまして、むしろ花莚じやないかという見方を取つておるようなものも出て参つておるわけでありまして、そういうものにつきましては極力解釈の適正を期しまして今御指摘のように僅かの模様を着けているといつたよう程度のものは、むしろ花莚じやないという適正解釈をいたすよう方法が、多々あるのじやないかということを目下検討いたしておりまして、定義いたすということにつきましてもなかなかむずかしいし、條文ではなかなかできないので解釈の運用によりまして、適正化を図つて行こうと考えております。
  132. 天田勝正

    天田勝正君 今指摘したのは一例でありまして、これは要するに主としてそうした不平等ができるのは命令の段階になつてからなのであります。本来條文とすればこれらは敷物類という一括した言葉で評価されている。そこでその敷物を如何よう規定するかということになれば命令になりまして、今指摘したような点も二十三年九月の改正までは茣蓙も入つてつたのです。このときはむしろ両方とも課税されるという意味の平等なのでありますけれども、この際或る程度ならば花莚から除く、こういうことにされても殆んど税収入には影響はないのじやなかろうかと考えますが、尤もこうした例は他にも幾つも出て参るということになりますと、多少影響が大きくなりましよう。併しこれらのものの税を軽減するという一貫した今の段階からいたしますればすべて除いて行く、こういうことにしてもいいのではないかと考えておりますが……
  133. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 物品税の細目になりますと、なかなか議論が多いのでございますが、今度の改正によりましてもリノリウムはまだ課税ということにいたしております。これは若干用途は違いますからこの方はいいのじやないかと思います。花莚を除きますと少しどうであろうか。従いまして今申しましたように本来の意味で花莚と観念すべきじやないようなもの、茣蓙に少し手を加えまして花莚みたいなものができておる。そういうものを花莚とむしろ見ないという方向で解釈した方が、正しい解決を得られるのじやないかというようなことで、先程申上げましたように目下検討いたしておるような次第でございます。
  134. 天田勝正

    天田勝正君 これは先刻も言いましたように、不平等はどうしても命令段階にあるのでありまして、この物品税か総体的に軽減されるということには、殆んど異論はないと思うのです。ただこの際懇談でもやりまして大蔵当局と我々との懇談によつて、これは、あれは、という工合に取捨選択する機会があれば非常に好都合だと思いますので、この際懇談を一時されたらどうか、さようにお取計らい願いたいと思います。
  135. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 天田君の御発言の通りに一時懇談会に移して、大蔵当局と懇談をするということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めて、さように決定をいたします。    午後三時三十五分懇談会に移る    —————・—————    午後四時八分懇談会を終る
  137. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは懇談会を閉じまして委員会を再開いたします。  次に織物消費税法等を廃止する法律案について御審議を願いたいと存じます。
  138. 小川友三

    ○小川友三君 織物消費税の問題ですが、これはシャウプ勧告によりまして、当然十二月一日から廃止しなければならない運命にあつたのでありまして、これは政府の怠慢と申しますか、忙しくて手が廻らなかつたと思いますが、一月の一日からこれを廃止しようという、こうした法案を提出しておるのでございます。それでこの織物消費税は当然十二月一日からこれを廃止すべきものであります。政府におかれましては今後一億か五千万か、はした金をとるために業者は非常に困つておるということでございますので、この際英断を以てこの織物消費税というものを廃止して貰いたい。ついでに毛メリヤス類等の物品税を廃止して貰いたい。かように思うのでありますが、この間も大蔵大臣に折衷案として十二月の一日にどうしてもできないならば十月乃至十五日に廃止して貰いたいという案も出しております。それに対してよく研究して置くという御答弁があつたのでありますが、どうなつておりますか。
  139. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 織物消費税につきましては先程お答えいたした通りでございまして、政府としましては、運賃、米価の引上げ、間接税の引下げ、所得税の軽減、すべてを挙げまして一月一日から実施した方が妥当だ、こういう案を作成しまして提案いたしたような次第でございますので、これによつて御審査をして頂きたいと思います。尚シャウプ案によりますと成るべく早く一割に下げまして、廃止は来年度からということになつておりますので、従いまして一割に引下げる方が若干繰下りまして廃止の方では繰上つておるというわけであります。尚メリヤスにつきましてはシャウプ案は特別に大きな関心を持つていないのでございます。物品税を余り減らすなと言つておりますが、これは私共織物消費税を廃止する以上、これはメリヤスについては廃止した方が妥当であるという考え方で、かような提案をいたした次第であります。
  140. 小川友三

    ○小川友三君 そうしますと話が非常に分つて来たのでありますが十二月一杯四割の税金をとるのだから、これを一ケ月を四分の一に割るわけですね、割りますと十二月七日から廃止して参りますと税率がぴしやつと十二月一杯は十%、一月一日から廃止するということになりますれば……、十二月の七日に廃止しますとシャウプ勧告案にぴしやつと合うことになりますので、十二月の七日から廃止して頂くのがシャウプ勧告に対して、政府が最も忠実であつたということが、未代の歴史に残るのですけれども如何でございましようか。
  141. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) どうも私の論理では、よく今のお話は分り兼ねるのでありますが。
  142. 小川友三

    ○小川友三君 分るように申上げます。十二月は一〇%というのは、四〇%業者は拂う義務を押しつけられておりますから、一ケ月を四分の一に割るわけです。そうすると一〇%ですから十二月の七日から廃止するのが正しいのじやないか。一〇%にしようという案が政府にあつたのだから、一週間で一〇%の税金が上つてしまうのだから。バランスが合う、そういう計算でありますが、そういうふうな方針に変えて貰いたいと思いますけれども、一つ所見をお伺いいたします。
  143. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) シャウプ案ではさつき申しましたように、来年の四月から廃止することになります。成るべく早く一割にしたらどうかという意見であります。私今のような機械的な計算、これは一つの計算でありましようが、そういう方法でやつた方がいいという御意見には同意いたしかねる次第でございまして、政府といたしましては原案で御審査頂きたいと思います。
  144. 小川友三

    ○小川友三君 そこでお伺いしますが、例えば伊勢崎市とか、織物の産地の市へ行きますと、今度税務署を新設しまして、織物消費税をとるために、それを重点的に置いて新税務署を作つたのでありますが、新税務署は織物消費税を廃止しますと、当然解散して元の組織に戻つて行くというのが、国民経費の面から一番正しいと思いますが。
  145. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 税務署の廃止は、單に織物の仕事だけではございません。今の実際の仕事の分量から参りますと、織物の産地の場合におきましても所得税仕事がむしろ大部分でございます。なかんずく申告所得税の方に大部分の手を掛けておりまして、従いましてこれらの見地から税務署が必要なくなるという場合には廃めてもいいと思いますが、織物のような場合にはさようなふうに考えておりません。やはりこれは存置した方がいいと思います。
  146. 小川友三

    ○小川友三君 伊勢崎市の織物地帶は四億五千万円程度つております。それが一銭も入らないことになりますと、九牛の一毛もなく、尚その上に水害地でありまして、そういうわけでありましてこれは当然廃止しなければ経営が無論成立たないから、自然と無理をして更正決定という暴政を振つて、市民を苦しめるというようなことになるのであります。伊勢崎の市民の半分、一千七百五十軒は織物業者であつて、あとはこれに属する工員さんとか、その他は八百屋が何軒という程度のものですから、こういう点につきまして伊勢崎税務署の廃止は当然と思います。よく調査を給わりまして、徴税機関として費用を賄えないという議論がありますので、切に御調査を願います。
  147. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 織物の主産地ということはお話通りだと思いますが、織物業者は織物税の外に所得税、法人税その他いろいろな税金を納めるわけであります。従いまして税務署を存置するかどうかということは、廃止後の場合の税務署仕事は、どういうことになるかということをよく考えなければならないことでもありますから、よく調査しろということでございますから調査もしますが、ちよつと常識で判断いたしますと、所得税その他のことをよく考えると、廃止する程の必要はないと思いますが、よく考えて置きます。
  148. 小川友三

    ○小川友三君 そうなりますと、今の含みの中では物品税は廃止したけれども、今度は所得税という面で織物業者をいじめるという含みがあるようにも思われますけれども、そういうことをこの際ざつくばらんのところを一つ御説明願います。
  149. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) さようなことは絶対ございません。
  150. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。税の問題につきましては次回に延ばしまして……
  151. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 銀行局長がおいでになつておりますから、これから復金の問題について御審議願いたいと存じます。復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと存じます。御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  152. 小川友三

    ○小川友三君 お伺いいたしますが、本年度に入りまして復金の融資の回収率は、相当急ピッチで回収されておりますので、回収されつつあるということは洩れ承わつておりまするが、二十四年度のいわゆる回収不能の分で、現在までにお分りになつた分はどのくらいになりましようか。
  153. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 回収の問題につきましては、二十四年度ということでお答え申しませんと聊かむずかしいのでございますが、全体的に申しまして復金の融資全額は回収すべきものであるということで、現在計画を立てておるわけでございます。二十四年度中に回収したいと考えておりましたものは当初七十五億円、元本で申しますると当初元本七十五億円の予定であつたわけでありまするけれども、その他に例えば公団に対する融資というようなものを、一方預金部で実質上肩替りするというようなことで更にそのことが相当拡がる見込でございまするから、二十四年度中において回収すべきものは殆んど完全に回収し且つ予想よりも上廻つた結果になるだろうと、こういうことが言えるだろうと思います。
  154. 小川友三

    ○小川友三君 そこで今までに回収不能の分が、百九十二億ぐらいあると思いますが併しそれは非常に復金が手廻しよく物の安いときに融資をなさいましたから、一旦大蔵省は物で取りまして、それを外へ転売いたしましても赤字は出ないような計算だと思います。復金の発起は一番早かつたので使つた金が一億のものが、何十億にもなるということでありまして、回収不能の分に対しましては物件を物納させる、どうしてもそれが不可能な場合には、それを政府は処分するという方法で、この出資額に対する赤字はないと思いますけれども、銀行局長さんの御調査の範囲内においては、どうでありましようか。
  155. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その問題に対しましてお答えいたしますにつきまして、ちよつと若干前提をお話しいたしたいと思うのであります。復金は去る十月七日以降新規融資を停止することに銀行審議会で決定いたしました。その際の融資の残高、その当時におきまする融資の残高は九月三十日現在で申上げますると、千百億、端数は若干つきますが、大体千百億であつたわけであります。改めて新規融資の措置を決定いたしますると同時に、現在の融資の残高に対して四つの分類を作りまして、今後その四つの分類について具体的な回收の計画を確立することに、改めて政府としても復金当局に要請いたしたのであります。その四つの分類に基く具体的な回收計画の細部は、まだ復金当局でもできておりません。併し四つの分類と申しますのは、條件通り完全に回収が心配なく行くもの、これが第一であります。それから第二類、筆頭というようなものは、若干期限を延長すれば取れるとか、或いは相当期限を延長するというようなことで回收が見込まれるもの、それから回収が殆んど困難と認められるもの、大体大ざつぱに申しますと、四つの分類にいたしまして、復金として具体的な計画を今取りつつあるわけでございます。先程申しましたように、私共としてはこの千百億の全体の融資は当然返るべきものであるということで、この計画を推進して参りたいのでありますけれども、同時にすでに前国会で御承認を得ましたように、復金の設立の当初におきましては、いわゆる赤字融資が相当あるわけであります。これは当然価格政策とか補給金政策とかいうものと関連して、赤字であることを承知で融資したものもあるわけです。その相当部分は百五十億程度と思いましたが、これは交付公債を発行してすでに処理済みであります。先程言われました百九十二億という数字は、恐らく当初一応計算して見ての赤字融資の額かと思うのであります。その中の百五十億余りはすでに処理済みでございます。その残つた部分が、恐らく今回の具体的な計画でも、回收は相当困難或いは不能と認めるべきものの中心をなすものだと思うのです。それをどうするかということでありますが、これは先程お話にもありましたよう方法もございましようし、その他一口に申しまして、必ずしも金で、いよいよとなれば金で返らなくても外の方法がありはしないかということも併せて考えて見たいと思うのでありますが、まだそこまで具体的な計画はできていないわけであります。今のところできておりますのは、二十五年度中にどのくらい回收できるであろうかそうしてその見込を二十五年度の歳入予算に全部取入れるということを先ず第一の仕事としてやつております。
  156. 小川友三

    ○小川友三君 分りました。
  157. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に……
  158. 木内四郎

    ○木内四郎君 復金の回收の計画は、当初予算と今度大分変つておりますか、予算関係その他で……
  159. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 二十四年度の計画を申上げますると、先程申しましたように、元本七十五億円の、回收それから利息収入が九十五億、利息收入の内、経費に充当するものが九億一千万円、差引八十五億九千万円を剰余金として納付するごとになつているわけであります。それから七十五億円の回收でございますが、それは当初の見込だつたのでありますが、その外に先程申しましたような公団に対する融資を実際土肩替りするというようなものを新たに加えまするから、二十四年度の元本回収からの納付金は、総額で実績としては百十一億九千五百万円に達する見込でございますから、当初の二十四年度の本予算で見込みました額よりも相当額増加いたしているわけであります。
  160. 木内四郎

    ○木内四郎君 別に無理をしてぎゆうぎゆう回收する、当初の計画より一層厳重に回收するというようなことはないでしようか。
  161. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) それは当初の計画より若干無理に、きつくなつておりますが、先程申しましたように、主なる原因は農林関係の五公団、例の食糧、食料品、肥料、飼料、油糧というような公団に対しまして預金部が四十一億の融資をいたしました。実はこの代り金は復金として新たに新規融資か、或いは保証融資の財源にしようと思つて、実は計画したのでありますけれども、その後財政状況の変化によつて、全部これを元本の回収として国庫に納付させられることになつた。それが数学的に言えば増加の殆んど大部分であります。併し気持としては、当初の気持よりは若干厳しく回收しなければならんという気持が働いております。
  162. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 直接この案に関係はありませんけれども、関連をしておりますからお尋ねしたいのですが、復興金庫の業務停止のために、非常にいろいろの点で支障を来しておりますものの内、農村が非常にこのために困難をしている実情であります。昨年末を以て農村方面へのこの特別融資を打切りましたために、農村における或いは山林水産等、そういう方面の増産に対する基礎的な條件をよくして行く方面への融資が、跡絶えたわけであります。その希望は今以て大きいのでありますが、そういうことの金融は現在では農林中央金庫が受持つていると思いまするが、農林中央金庫は一面組合金融なんでありまして或いは農業金融、或いは農林水産金融としての本当の性格を専門にやり得られない面もあるかと思うのであります。従来何かその農林水産方面への長期金融機関を特設するというような意見もあつたのであります。そういうことは今のところ立消えのようになつておりますけれども、大蔵省としては、この金融機関の方面からそういうようなことについて、将来何かそういうものを作らなければいけないとか、どうとかというようなことについてのお考えを未だ持つていらつしやいますか。そういう将来についてのお考えを一応お聽したいと思います。
  163. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点は御指摘の通りでございまして、これは農林水産に限りませんのでありますが、御承知ように二十三年度中に復金が設備資金に充当したと推定されまするものが六百八十三億あるわけでありますが、それが二十四年度では殆んど零になつているようなわけであります。殊に十月の七日以来新規融資は全面的に止めることになりましたので、これに代るものとして農林水産に限つて一般的な設備資金の問題が非常に大きな問題になつておりますことは御承知通りでございます。その問題につきましては、例えば一般的に申しますると、市中銀行その他既存の金融機関をできるだけ動員しようということで、数字で申上げまするならば、金融機関の融資が二十三年度で年間に設備資金として出ましたものと推定されますものが百五十七億でございますが、それに対しまして本年度は、上半期だけで百五億、恐らく年度間を通ずれば相当の額に達するかと思つているのであります。一面そういうような日銀の融資斡旋、或いは興業銀行の活動というものを大いに期待してやつているのでありますが、只今お尋ねの農林金融につきましては、最も手つ取り早い問題として、農林中金の増資と債券の発行とを改めて取上げておるわけであります。この計画は、この臨時国会に法律案を提案いたしたいと思いまして、準備をいたしておつたのでありますが、いろいろの関係から特に今一度農林中金の現在の事業状況を得心の行くまで一つ検討して見たい。併しながらそれは長い時間を使うわけには参りませんので、ここ二週間ぐらいの中に農林中金というものは、その業況が極めて健全であつて、且つ長期の金融を掌るだけの十分の資格があるということを、結論として持ちたい。それと同時に通常国会に所要の法律案を提出したいと考えております。同時に現在御承知ように、約二十億足らずの債券発行の余力もございますので、これを何とか消化することに改めて力を入れて行きたいと思つております。要するに手つ取り早くこの間隙を埋めるには、私共大蔵省の方としては農林中金の拡大強化が最も妥当でふるだろうと思つております。それから今一つ不動産銀行という構想を持つておりまするのでありますか、これも又不動産銀行の一般基準法となるべきものを通常国会に提案の見込でございまして、場合によればこの意味で昔の農工銀行的なものを、これは相当時間がかかると思いますが、制度としては作り得るような途を至急に開きたいものだと考えております。
  164. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 農林中央金庫の債券発行限度の拡張は大変今の場合手つ取早く、只今申しましたような金融の疏通の手段としては当然考えられることでありましようから、これは是非そういうふうに御努力を願いたいが、そこで先日本会議で大蔵大臣は、そういう発行限度の拡張によつて、債券を発行する場合に一般金融機関、市中銀行方面の資金が非常に今日余つてつて貸先きがないから、そういう方面への融資が当然考えられる。こういうまあお話があつたのですが、そうなれば結構でありますけれども、元々農林債券としての條件から申しますれば、市中銀行がその債券に投資するというような有利な條件では、当然農林金融としての條件に合致しないわけであります。そういうようなことで、大蔵大臣はそうおつしやつても、到底農林債券の公募ということは、一般事情からは我々はそう期待できない。そうすればどうしても政府資金とか国家資金が考えられる。その際に見返資金のことも当然考えられるでしようし、預金部資金のことも考えられるのです。我々も希望するか、政府としても農林中央金庫の債券発行限度を拡張するということに積極的であるならば、それを現実に活用するようなこの金融的な措置を、先ず以て政府としては私は用意しなければならん。そういう点の一つ考えを一応お聞きいたします。
  165. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは先般も申上げましたように、私共の念願としては、預金部資金を、先ず以てこういう債券に動員をいたしたいということを、もう第一の念願にいたしております。それから大蔵大臣が説明いたしましたのは、恐らく市中銀行としては、御承知ように債券償還が相当行われまして、手持の国債等が相当年度にかけて減りますが、その場合国債の條件などは、御承知ように現在余りよくないのでありまして、銀行として準備して適格である限りにおいては、多少條件が悪くとも農林債券の消化というようなことに、或る程度の見込があるというような趣旨で申上げたのではなかろうかと考えております。その方法も勿論採るべきだと思つております。それから実は見返資金の関係は私の面接所管でもございませんし、的確に申上げる段階にないと思うのでありますか、近く直接農林中金の機構を通しまして何らか具体的な朗報が期待できるのではないかというよう考えております。
  166. 天田勝正

    天田勝正君 先ず委員長にお願いして置きますが、私昨日からどの委員会に参りましたので、すでに審議がお済みになつておる点に触れましたら御注意願いたいと思います。早速ですが、今銀行局長の答弁を聞いておりますると農林中金の増資をすでに考えているということで実は非常に安心したわけなんです。元来復金の功罪が非常に問題にされておりましたけれども、これは悪用した人達があるといたしましても、又短期間に日本の肥料生産が上昇したというようなプラス面も相当あるのでありまして、こういう制度というものはやはり存置することが然るべきであり、ただ実情は中小企業でありましても又大企業でありましても、平等に扱えという仕組のところに問題があるのであつて、これは平等に扱えという註文自体が無理なんで、我々が大企業を見た場合と、小企業を見た場合とでは、やはり大企業に先ず目を奪われるのでありまして、そういう点からむしろこういう国家機構でや参るにいたしても、金融機構はその産業構造に応じて、産業形態に応じて再分割をして、当然扱い方が平等に扱えるような仕組にしなければならんと、私はこう考えている。同時に農林漁業というようなものに対しては、これ又別途に考えなければ現実には農林漁業の方へは一向融資が行かない、こういう結果になつて来ると実は思うんです。そこでこの点は過日も私本会議で質問申上げて置きましたが明確な御答弁がございません。私がここでお聞きして置きたいのはそうした意味の再分割、金融機関の再分割、つまりその増資の目的、或いはその産業の大小、そういうものに応じて分割し、或いは又農業のようなものには別途な金融機関を設くるところの用意があるかどうかという点と、御承知通り昨年勧業銀行を改組いたしまして一般銀行にいたしましたために、不動産金融の途は一切絶たれておる。これを興銀によつて肩替りをやらせるおつもりなのか、或いは全然別途な金融機関を作つて、これらの不動産金融をやらせるお積りなのか、この点伺つて置きたいと思います。
  167. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この大企業と小企業との関係につきまして、特に中小の農林関係の金融機関を作るというところまでは、現在考えておりません。これは例えば農林中金にいたしましてもその運営上相当の考慮を拂うことは十分考えなければならんと思いますが、特に中小の農業のためにだけ金融機関を作るといたしましても、何らかの財政上の裏付なくしてはこれは現実に非常にむずかしいと思うのでありまして、今まだそこまで進んだ考え方は遺憾ながら持つておらないわけでございます。それから勧業銀行が商業銀行になりましてからの不動産金融を、興業銀行に代らせるかどうかということでございますが、これは興業銀行は、実は本来の興業資金、設備資金がどうしても重点になりますのと、それから現状がやはり興業銀行は十億円の資本金で二十倍の債券発行してできない。殆んど現在の計画を細々続けて参りましても、恐らく本年度一杯でその資金は涸渇してしまうというような興業銀行の状態でございますので、建前から申しましても実際から申しましても、興銀に勧銀の役割を代らせることはできないと思うのであります。そこで私共といたしましては先程もちよつと申しましたように、本当の意味の不動産担保の金融機関、而もこれは大規模の興業資金というようなものを必ずしも考えない、その中には都会の居住者の中小業者の不動産金融もございますし、同時に農村工業その他の関係における不動産金融ということも勿論重点を置いて考えなければなりませんが、そういう方向に至急に具体的の案を作つて行きたいと考えております。その際に例えば住宅金融というようなものと、いわゆる農村の不動産金融というものを一緒の機関でやり得るようにした方がいいか、或いはこれを別個の機関にした方がいいかということにつきましては、いろいろの観点から研究いたしておりますが、まだそのいずれがいいかということについては結論を得ていないような状態でございます。
  168. 天田勝正

    天田勝正君 この際希望しておきますが、これは目的別に、又業態の対象別に幾つかの復金のごときものを作る、こういう私は意見を持つているので、そういう向きにも一つ御研究を是非願いたいと存じます。今住宅とそれから農村の土地等を対象とする不動産金融、こういうことの御研究をなすつておるようでありますが、やはり都会と一緒になりますと、必ず農村が不利な立場に追込まれて来る現実からいたしまして、こういうものを別個になさるように希望いたしておきます。  それから御存じの通り日本の農業は何と申しましても世界の水準からは遥かに遠いのであります。ところがすでに講和会議近しという声を聞きますように、日本の農業は世界の農業と真正面から対面して行かなければならない、こういう段階考えますると、これを急速に国際的水準にまで引上げるには、現在の情勢からして自己資金を以てこれを行うということは到底困難であります。そこでどうしてもこれを国際水準にまで引上げるには国家資本の厖大な導入、こういうことがどうしても必要になつて来るだろうと思うのであります。さもなければ必ず日本の農業は崩壊する、而も工業立国という立場からすれば、或いは一部分にはそういうことが起きても止むを得ないという見解の人もあるようでありますけれども、日本の人口構成は約四割五分を農村人で占めている、こういうことから考えればやはり農村が崩壊することは日本経済が崩壊して行く、こういう結論にもなろうかと思います。そういう観点からいたしまして、先に申されました農林中金を強化するという案は一案といたして置きまして、更にこれについては特殊な投資の方法をお考え願わなければならんのじやないか、こう考えるわけでありまするが、なかなかこうした農村金融などの問題で、農林省は一生懸命考えられても大蔵省の方でなかなか難点がある、こういうことでありますけれども、これ又大蔵省一つ考えを伺つて置きたい。  尚災害復旧等に関しまして関係方面と折衝して見ますると、堤防を強化するにいたしましても受益農民が支出すべきではないか、こういうことを一貫して今まで実は言われて来ておる。ところかアメリカ、濠洲等の農村のごとく、ここがいけなければ次に直ぐ移る、こういう地域的な自由な立場に置かれておる農民ならばそういう議論でもいいのでありますが、日本の農村のごときは殆んど、その水害地におる者は、そこにおることが宿命というような状態になつておるのは御承知通りなのです。こういう面にしましても災害復旧費の支出というものがなかなか希望通り思わしく行かない。これは局長もよく御存じの通りでありまするから、その裏付けとしてもやはり研究の段階を飛び超えまして、特に農村方面に対しての資金の放出ということを考えておられますか伺つて置きます。
  169. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 農村方面の金融問題を私共としても決して軽視しているわけではございませんで、むしろ最も現在金融上の弱点の中の大きなものだというふうに常々考えておるのでありまして、先程申上げましたように農林中金の拡大強化は最も手つ取り早くやるべきで、同時に諸般の対策を併せて行なつて参りたい。設備資金と言わないまでも、例えば農業手形とか、漁業手形の問題、或いは水産金融の問題というようなことについてなかなか困難な條件ではございますが、何とか打開して行くということで始終頭を悩ましておる次第でございます。  それから災害でございますが、この際の直接のお答えにならんかも知れませんが、例えば預金部で制度の許す限り本年度の災害につきまして一時的な融資、即ち公共事業として、或いは単独事業として認められたものの起債を全部拔きまして、單純に一時的な本当の応急の災害復旧費として出しましたものだけでも、実は本年だけでも三十一億ぐらいございます。その外起債の前貸という恰好で出しましたものか十四億、同じく単独事業の前貸という恰好で出しましたものが七億二千五百万円、合計いたしまして、本年デラ台風から始りましてフェイ、ヘスター、ジュディス、キテイ、これらの台風について預金部が制度の許す限りにおいて融資いたしましたものの総額が、五十三億一千九百万円に達しておる状況でございます。
  170. 天田勝正

    天田勝正君 もう一点だけお伺いいたしますが、これは立法措置でなくして扱いでできると思つておりますけれども、例えば農村金融に当つて一定額の金額を農民から醵出せしめまして、これをそれぞれ農民団体の機関を通じて中央に集めまして、その集める過程において都道府県からやはり農民が醵出したと同額をこれ又醵出せしめる。こういうことによつて更にその農民並びに県の醵出したものと同額を政府でも支出いたしまして、これらの総額に対してそれを見返として何倍かの金融をする、こういうよう方法、これは確か私の聞くところによりまするとデラ台風のときでありましたか、佐賀県でこの方法を取られたように聞いております。こういう方法を若し全般的に大蔵省が取られるならば非常に農村はこういう方面で助かろうと思うのですが、こういうことをお考えになつておりましようか。若しなつておらないとすれば是非これを御研究願いたいと思つております。
  171. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 佐賀県の例は実は私共も承知いたしておりますし、若干御相談にも乗りました。大変結構なことだと思つております。他の場所におきましても同様な工夫を、地元でも凝らして頂き、金融機関或いは大蔵省関係の筋がこれに協力するということは、是非続けて参りたいと思つております。最近における水産金融の一部等についても、同様の考え方が可なり大きく発展しているよう承知しております。
  172. 森下政一

    ○森下政一君 先刻来お話に出ております不動産金融でございますね、これは大蔵大臣財政演説の中でこれに触れられたのですが、その時には、自主的に不動産金融機関ができるというふうなことを待望しておるかのごとく言われて、政府が積極的にそういつたものを民間で作らすのに、何か助成的な態度に出るとまではおつしやらなかつた。それは大変結構なことには違いないけれども、軍に自主的な創意でできるということを望んでおるだけでは、到底今日の金融界の情勢としてできそうに思われないというふうにこれは考えるのですが、今朝の新聞などを見ると、見返資金の中の一部をそういうふうな方面に割愛してでも、民間にそういうふうな機関を作らそうというような意図があるかのごとく、何か出ておつたように思うのです。折角研究しておるとの今の銀行局長のお話ですが、相当何か具体的に、政府が資金面の相当の助成をして、是非民間の金融業者として不動産金融の特殊の機関を新設さそうという、そういうところまで行つておるわけなのですか。
  173. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点はちよつと微妙な点がございますので、実は御指摘の通り財政演説の中に「自主的に」とありますことは、非常に含みがあることであります。これは御承知ように、財政と金融の分離というような建前から、不動産金融会社、或いは不動産銀行を作りました場合に、私共の計算ではどうしても最初の一年間くらいは赤になるわけで、その赤になるもくろみ書を前に置いて、債券を売出したり資本を募集したところで、なかなか人はついて来ない。そこで従来の観念で言えば、当初の少くとも滑り出しのときには、何かの形で財政上の補給をやりたいとこう考えるのが、私共の従来からの考え方であつたのでありますが、これが財政と金融の分離という建前からいうと、なかなかそこにそううまく行かないところがあります。そこで大変立入つたことを申すのでありますが、只今見返資金のお話がございましたが、それに対する勿論期待もありますし、それから例えば住宅問題等については、五十億の住宅建設の基金が一般会計から出るといたしますれば、例えばそれをそういう不動産銀行の当初の出発の時に或る程度扱わせて貰つて、そこで手数料を稼ぐこともできるというようなことで、運用上妙味を、政府とそういうような自主的にできる機関との間に連繋を持たせまして、できれば一石二鳥で行きたいというよう考え方を、この住宅金融の問題などには考えても見ておるわけなのであります。表面的にはつきりと政府がこれに補給金をする、補助金をすることは、なかなか困難だと思いますが、運用上、資金の操作上、或る程度滑り出しを順調にしてやることだけは考えて行かなければ到底これはできない。こういうふうに私共も考えております。
  174. 森下政一

    ○森下政一君 よく分りましたが、そこで何ですか、何か具体的にそういう金融機関の設置を慫慂するというふうな、具体的に相手方を持つてそんなことをお考えになつておるのですか。
  175. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これも率直に申しますが、例えば勧業銀行は商業銀行にもう何か決まつてしまつておるわけでありますけれども、商業銀行としてはそう規模の大きなものでもございませんし、それから農工銀行以来引継ぎました相当熟練した行員も沢山おります。今これも又最も手つ取り早い行き方なんでありますが、勧業銀行の中でそういうことに習熟し且つ興味を持つておる人を中心にいたしまして、別に勧業銀行の第二銀行という意味ではございませんが、そういう人のグループに着目いたしまして、そこと大蔵省とで先ず一つの殆んど具体的な案もできておるわけであります。更にこれは外の委員会でも申したのでありますが、北海道拓殖銀行についても、引続きそういうことを考えたい。これは北海道拓殖銀行がやはり商業銀行になつてしまつておりますが、長い歴史を持つた拓殖銀行でございますので、やはりその一連の人達を中心にいたしまして、新らしい構想でそうした関係の筋と協力をして、そこで一つ手つ取り早く機関を作りたいというふうに考えておるわけであります。
  176. 森下政一

    ○森下政一君 よく分りました。今度一つ外のことなんで、これは御所管のことかどうかちよつと私にははつきりしないのですが、石炭業者の赤字補填のために交付公債を業者に渡し、それを業者が復金から借りております金を弁済のために、債務弁済のためにその交付公債を以て充てる。そこで復金の方では今それによつて復金債を落して行くというふうな措置を、今日まで講ぜられたことがありますのですか。
  177. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) お話通り措置を講じたわけでございます。これは先程もちよつと申上げましたが、赤字融資で、いわゆるこれは本来ならば融資をすべきものでなく、むしろ、最初から損失補填をすると申しますか、一種の補助金みたいなものでもあるわけでありますが、それで国会の御承認を得て交付公債を発行いたしまして、それを業者に渡して、業者から復金の資金の弁済として、この弁済を復金が受領いたしまして、復金はそれによつて復金債の償還をする、そういう措置を講じたわけであります。
  178. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると、大体そういう意図で交付しましたものは、全部それで抹消済になつておりますのですか。相殺されて残つておりませんですか。
  179. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 全部処理済でございます。
  180. 木内四郎

    ○木内四郎君 勧業銀行そのものを利用するのでなくて、勧業銀行の従来の経験その他を生かして云々というお話があつたんですが、金融機関は新らしく作れば、今お話があつたように、初めの年は赤字になる。或いは店舗の設備資金にも随分かかり、いろいろなことがあつて、日本の国の産業全体から見れば新たなる負担がそこに加わることになるのでないかと思うのです。できれば、現に勧業銀行があれだけの店を持つており、数は少いとは言いながら各県に相当、全部では相当の数もあり、熟練したスタッフもおる。こういうものをそのまま生かして行くというようなことは不可能なんですか。何かいろいろ支障があるのですか。
  181. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは内外に支障がございまして、内外と申しますことを具体的に掻摘んで申しますと、一つは昨年の金融機関の再建整備以来、債券を発行する金融機関は預金を受入れてはいけないという建前になつており、それから一般のやはり市中銀行筋は債券も発行できるし、預金も吸收されるというような行き方のものに対しては、不当競争防止という観点から申しましても、異論がある、こういうようなことになつておりますので、実際上は今お話ように勧業銀行の実体を私共も利用したいと思いますけれども、形式的にはどうしてもこれは分離して考えなければならんというような情勢になつておるわけであります。
  182. 木内四郎

    ○木内四郎君 今のその外からの制約ですが、それは打ち勝ち難いような状態にありますか。
  183. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は見解がいろいろあると思うのでありますが、私共も今日のところではその方がよろしいというふうに考えております。
  184. 木内四郎

    ○木内四郎君 いや、向うからのあれですね、あなた方もそうなんですか、やらせないと…
  185. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 私共はそう考えております。
  186. 木内四郎

    ○木内四郎君 ということは……
  187. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 分離した方がよろしいと……
  188. 木内四郎

    ○木内四郎君 分離した方がよろしい、今言われたように産業の負担なつたり、銀行自体にしても経営がなかなか困難になるというふうなことはないのですか。
  189. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は実際問題として勧業銀行の施設なり店舗なりを利用することは可能だと思いますけれども、コストはもうできるだけ安く解決したいと思つております。
  190. 木内四郎

    ○木内四郎君 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案の三條に、復興金融金庫は「昭和二十四年度に限り、納付に関する支出予算額が当該納付額に対し不足するときは、その不足額は、翌年度において納付するものとする。」とあります。さつき私が尋ねたのですが、二十四年度においては補正予算、即ちあなたが予定していた額よりも以上に余計に回收を図つて、そうして余分に納付するというようなことを考えられておるのではないかと思つてつたのですが、この二十四年度限りと言われておるのはどういうわけですか。これは二十五年度においても同じことが生ずると思いますが……
  191. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 二十四年度におきましては、当初予算の際に御承知ように、弾力條項がございまして、予定以上に回收ができますればそれは融資に当てたり、経理に使つてもよいということになつてつたのであります。二十四年度分につきましては、それが今度入つたものは全部国庫に納付しなければならん、二十五年度以降におきましては、初めから弾力條項をつけませんので、そういう問題は起らない、こういうことになると思います。
  192. 木内四郎

    ○木内四郎君 これは入れても、この法律と調和を保つために入れたので、実際はこれ以上に回收を図つてどうということじやないだろうと思うのですが、ただ回收などは予定の金額よりも少く入るのが例で、それ以上に入るということは実際上あり得ないことだろうと思いますが、予算で予定以上にやはり入るというようなおつもりですか。
  193. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) そういう趣旨ではございません。ただ前の法律予算とが生きておりますので、ここで殺して置きませんと、一円でも仮に多く回收されました場合、この一円の使途が何でも使つてよいということになるので、これはちよつとおかしいというのでここに入れましただけで、これを入れ要した趣旨は全くそういうふうな法律技術上の問題でございまして、これを入れたからと言つてどうということは考えておらないわけであります。
  194. 小川友三

    ○小川友三君 審議をここで一旦打切りまして休憩の動議を提出いたします。
  195. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) ちよつと御相談したいのですが、食糧庁の政府委員の方が先程から待つておるのですが、極めて簡単に説明を聞いて……、どうせ七時半から本会議ですから……   —————————————
  196. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと思います。御質疑がありましたらこの際お願いいたしたいと思います。
  197. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 これは極めて明瞭なことで、この特別会計の資金操作の上に必要でありますので、これの総額は別に問題はありませんが、本会議のときの質問に対して大蔵大臣の御答弁では、食糧管理の方の関係には赤字はすつかりなくなつてしまつておるという御答弁で、大変よいと思つたのですが、昨年度の芋の操作等においての損失などが相当にあるのじやないかということが一般に言われております。新聞などにも出でおりましたし、又芋だけではありますまいが、食管には百億以上の赤字があるのじやないかというようなことも世間に流布されておるのでありまして、そういうものの始末がついたのだ、こうおつしやつたのですが、始末がついたとすればどういうふうにして始末がついたのか。尤もそれらのものは本当の赤字じやないのだというならば、これは別でありますけれども、実際赤字があつて、その赤字が僅かの間に始末かついたということになれば、何か食糧公団なら公団の方との何かの関係でそういうことが行われ、或いは価格の改訂等によつて行なわれるならば、そういう沢山なものをただ簡單に価格に織り込んで消費者から取るというようなことは困る。その点世間で噂されておりましたような赤字が実際ないと分つても、それはそういうふうにしてやるのではないというような点を明瞭にして頂きたい。
  198. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 概要を申上げて見たいと思います。昭和二十三年度におきまして、いわゆる赤字と申しますか、消費者価格織込み済金額を超過して支出されました総金額が百二十億くらいであります。その中收入の方で公団から入りますものは年度を超しておる。これは延納を見ておる建前であります。それを差引きますと大体六十億ということになろうと思います。この六十億の内訳は、一つは昨年は作況もよかつたために早場米奨励金が相当沢山出た。当初予定をいたしました金額以上に早場米奬励金が出た。それから只今お話のございました甘藷の超過供出が、その当時見込みましたのは一割五分くらいの超過供出を見込んだものが、実際は四割超える超過供出があつたために、その差額がやはり奨励金に出て、而もそれを消す消費者価格が出ておらんという点、そういうものを彼これ合せまして約六十億というような形になつておるわけであります。これはその後二十四会計年度と弁しましてはいろいろ進行いたしておりまするので、例えば今回織り込みました早場米奨励金については六、七十億の早場米奨励金を予定いたしたのでありますが、今年の実情からいたしまして五十億ぐらいに止まつてまつたという点もありますし、そういうものを全部清算いたしますと、進行過程でありまするので何とも申上げかねまするが、そう大したものではなくなつて来るのじやないか。この分につきましては今度一月に消費者価格を改訂いたします際に織込みをいたしまして、これを消すというような方向に持つて行くというようなことで処理することになろうかと存ずるのであります。いわゆる俗に赤字と申しまするけれども、現物がない、そのための本当の赤字というよう意味のものではございませんので、早場米奨励金、超過供出奨励金というようなものであつて、而も超過供出の面から申しますと、非常に順調に供出が行われたために当初の見込より余計金額が出たという性質のものであると思います。
  199. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 その点分りましたが、結局それは財政資金でその点を補填する、その外残つたものはどのくらいでありますか、お話がないので分りませんが、それは新らしい米の価格によつて、それを補填して行こう、新らしい米の価格は結局生産者価格が上がれば当然上るのであつて前からのそういう減少したり、腐敗したというようなものの損失を消費者の方へ、来年度の消費者にかけておるというやり方はどうかと思うのです。どういうお考えでありますか。
  200. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 数字で申上げますと、早場米奨励金で、いわゆる赤字という形になりましたものが二十一億円ございます。それから芋類の超過供出で、価格に繊込済み後に出ました赤字が三十五億円ございます。これを合計いたしますと五十六億、これが大体総金額でありまして、後は公団の納付未済の分が六十二億円ございますが、これは本年度中に入つて参りますので、これは外して考えてよかろうと考えております。それでこの五十六億円程度のものも、先程申しましたように、年度進行中でありますので、未だはつきり結論は出ませんが、いろいろな点から、又これが減る見通しもありますが、それを消費者価格の方で考えて勿論全体の状況、消費者の状況も考慮に入れたければならんと思いますけれども、それと、この措置の問題と併せて考えて、消費者価格を決めるということになろうかと思う次第であります。
  201. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  202. 森下政一

    ○森下政一君 買上げ価格を定めて、直ちに消費者価格を引上げて行くというのでなしに、年末のことでもあるしするから、家計に対する影響を慮つて、現行の消費者価格の方は据え置いて貰つて、従つて生産者価格を引上げておる関係で、消費者価格を引上げるまでのズレによつて生ずる損失を、これによつて一応補填しようということのようですが、大体それはお見込はとれくらいの金額になるのですか。
  203. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 大体の概算でございますけれども、生産者価格が上りまして、それを現在の消費者価格で配給をいたしますために、損失がでるわけであります。その損失額は一月大体十七億見当になるという見通しでございます。
  204. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちよつと伺いたいのですが、この食糧管理特別会計百七十億九千三百万円というのは、初めの考えでは、借入金でやるという考えじやなかつたのですか。
  205. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 当初は食糧証券の増でやるという考え方でおりました。
  206. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこで伺いたいのですが、食糧証券の増でやろうということは、運転資金的なものであるから食糧証券でやろう、本当の赤字の意味じやないというふうな考え方じやなかつたかと思うのですが、そうですか。
  207. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 御説の通りであります。
  208. 天田勝正

    天田勝正君 この食管の特別会計の繰入の問題が審議になりますと、いつでも問題になることは、こうした措置をせずとも、やり得るのではなかろうか、というのは、これは極めて卑近なことであつて、買入価格を上げまして消費者価格は据置くと、そこに損失ができる、こういうことを一口に言うのでありますけれどもこれで、それじや買入価格と消費者価格との開きというものは、これ又実際素人の想像に絶するようなものがあるのであつて、これがなかなか今日までいろいろと御説明があるけれども、尚、納得し難い、こういうことになつて、一方そのために、農村では非常に不満を持つ。実は三日前に私、秋田へ行つて農民大会に出席した場合もこれが殆んど中心になつておるくらい、それだけ農民は関心を持つておる。そこで若しこれらを発表できないというならば、その旨お断り願つて、もつと明細にこの点はこの際、一つ速記を止めるなり、何なりして明らかにして置いて頂きたいと思うのであります。
  209. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 現在の米価の中間経費の問題と思いますが、これはいろいろ外の委員会等においても詳細に発表いたしておりまするので、その内容については、いずれプリントでも刷つて差上げても結構かと思います。非常に概括的に申しますと、中間経費が多い、こう申しますが、これもいろいろなことで御了承願つておることと思いますが、中間経費、いわゆる中間経費と言われておる中、生産者に還元される部分が相当あるわけであります。只今申上げますように、早場米奨励金でありますとか、超過供出奨励金というようなものは、相当生産者に還元されておるのでありまして、本当の経費は、政府経費と、直接経費と、それから間接経費といたしましては、何と申しますか、保管料、運賃とか、そういうものが大口になるわけであります。そうしたようなものを比較いたしますと、これも御承知だと思いますが、自由経済時代に、深川の茨城三等を、産地における価格を取りまして、それで東京なら東京におきまする小売価格との値開きというものと比較いたして見ますと、とつ追いつで、多少とも安いという資料が出ておるのでありまして、その点は私共この中間経費の節約について、今後とも努力して参らなければなりませんが、現状におきましても、この程度のものであるということは言えると思つておる次第であります。詳しい数字はプリントにいたしまして申上げます。
  210. 天田勝正

    天田勝正君 極く簡單なことで、それに関連いたしますから……。今年度又消費者価格というものは、本委員会でもお聞きしておりませんけれども、四千四百三円になつた場合に、幾らに消費者価格をなさるおつもりですかちよつとお伺いいたします。
  211. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 生産者価格は四千二百五十円になつたのであります。消費者価格を幾らにするか、これはいろいろの物価安定の措置、或いはいろいろな広い観点から検討を要しまするので、いま俄かに結論を出すわけにも参りませんが、物価庁等といろいろ話をしておりまするところでは、やはり一割ちよつとは、どうしても上げなくちやならんじやないかという見込を持つております。十キロ精米が四百五円でありますが、これが一割ちよつと上るわけであります。
  212. 木内四郎

    ○木内四郎君 さつき私が伺つた点ですが、それに関連して、あなたの方から出された法律案の中に『第四條ノ二中「千五百億円」を「千七石億円」に改める。』という規定がありますね。これとこの法律案の附則の2の「一般会計から百七十億九千三百万円を限り、この会計に繰入金をすることができる。」というのと関連がありますか。
  213. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) これは全然関係はございません。
  214. 木内四郎

    ○木内四郎君 それならちよつと伺いたいのですが、今度の食糧管理特別会計の予算を見ますと、あなたの方は、食糧証券及び借入金の收入九十七億円の補正減になつておりますね、補正減になつておるにも拘わらず借入金の限度を二百億円に引上げなければならないという規定を置く理由はどこにありますか。
  215. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 当初千二百七十七億に見ておつたわけであります。ところがその後の状況、それから昨年の年度末と同じように、そこを締め繰りをつけるということにしますと、その差額は九十七億になつております。それでそれを落したと、こういうことになります。
  216. 木内四郎

    ○木内四郎君 そこを私は伺つておるのです。公債金收入を二百億円近く増額しておるというならば、第四條の二で借入金の限度を百五十億円から百七十億円に上げるということは分る、逆に補正予算で九十七億一千万円というものを落して置きながらこの條項を置くということが私には意味が分らない。あなた方の初めの考えがよいので、これは本当のあれじやないのだ。借入金で百七十億ぐらいのものは賄つて行きたいのだという考えで、この四條の二を入れておるのだと、それならば、この附則の2の百七十億九千三百万円というものを実は削りたいのだ、歳出として一般会計から繰入れるべき性質のものではないから……。あなた方が当初考えておられた方が正しいのだ。あなた方は二股をかけておられるのではないかということを私は伺つたのです。その点関連かあるのじやないかということをお尋ねしたのです。これを落して、千五百億円を千七百億円に限度を上げて置けば、この会計は動いて行くのです。而もこれは歳入の法律ですからこの第四條の二によつて借入金をすることができる。だから「一般会計から百七十億九千三百万円を限り、この会計に繰入金をすることができる。」ということを削つたとしても、それでもあなた方の方の会計は動いて行くわけです。二百億円の借入金の限度の拡張をなさるのだから、歳入予算ですから、それに縛られないで九十七億一千万円という補正減を見積つてつても、この法律によつて借入金をすればよい。そうなりはしないかと思いますが、それはどうですか。そんな法律ですから、一つまあよく研究して答弁して下さい。
  217. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) この百七十億は年度末に持越します食糧の分と、こういうものなんです。それは一般会計から繰入れるということになります。
  218. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは分つておるのです。あなた方は当初借入金によつてこれを賄おうという考えを持つておられた。さつき御答弁になつたように、食糧証券によつて……、その場合にはこの四條の二の千五百億円を千七百億円に改めるということは意味がある。それなら私は非常に正しい考え方であると思う。今日の財政の現状においてこのファンドまで一般会計の歳出として入れる必要はない。あなた方と考え方が完全に一致しておる。そこであなた方の当初のお考えを生かすことが最もよいだろうという考えを以て私は質問しておるのです。
  219. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) いろいろな経過はあるようでありますか、年度末の証券の在り高を前年度と同じようとするというのが一つ方法で、それで切られて、そのために今九十億円ばかりここで落しております。ところが年度途中におきましていろいろ操作をいたします関係で、食糧証券の発行が現在の程度ではどうしても済まないので、その観点から食糧証券の増額の点を考えております。それからあとの百七十億は、年度末に在庫するものについては、これは特別会計から一般会計に繰入れてやるという、そういう方針に基きましてこういう建て方にしたということになつておるわけであります。
  220. 木内四郎

    ○木内四郎君 あなた方のお考えは実は分らないことはないが、年度の途中においていろいろなことがあることは分つておるのです。あなた方の方は会計の收入を落しておる。その時間経過ですね、あなた方の方でどういろ計算をしておられるが、それを見せて貰わないといけないから、一応計算したのを出して下さい。
  221. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 次回までに出します。
  222. 天田勝正

    天田勝正君 先程質問したことに関連して要望しておきますが、先程長官は、曾ての自由主義時代においても現在食管がやつておる以上に、生産者価格と消費者価格との間に値開きがあつたのだ、こういう話でありますが、これはそういうものと一体比較すべきものではないのであつて一般業者というものが、恐らくこれだけの予算を組む業者がありとするならば、これは何百億も税金がかかつて来るということなんで、これらの税金等が一切かからない特別会計というものと同日に論述することはできない、殊にこういう村の有志なんかもそれらの事情を知らないわけはない。知つておるから値開きがあり過ぎると、こういうことを強く言うのでありまして、決してただ元と値開きか同じであるとか何とかということで申上げておるのじやありませんから、その点誤解のないようにお願いして置きます。尚今の木内委員の仰しやつた点は、これは全くおかしいのでありまして、これ又はつきりと我々に了解の行くよう資料の提出方をお願いしておきます。
  223. 森下政一

    ○森下政一君 長官御自身の意向としてどうですか、食糧証券というものを、この前と同じところに置いておきたい、それが殖えたから、今の政府考え方では、インフレを高進するということなんだろうと私は思うのですがね。実際そんなに影響がありますですか。この際、若し一般会計から繰入れるということのために、その借入金で賄う、これはもうそれで食糧管理特別会計としては操作が十分可能だと思うのだが、これだけの金があるなら、やかましく今問題になつておる政府職員給與ベースの引上というようなことは簡単に片がついてしまうと思うのであります。これはあなたに質問しても仕様がないと思うが、これを抑えていらつしやつてインフレが高進する、再燃するという心配がありますか、あなた御自身でお答えできにくいですか。
  224. 木内四郎

    ○木内四郎君 当初、あなたの考え通りであつたということを言つておられるのだから……
  225. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 特別職の職員給與に関する法律案の第十二條によりますと、食糧公団の職員も、普通の公団の一般職の職員の例によるということになるのですが、先般食糧庁の総務部長に来て貰つて話を聞いて見たところが、この法案では実際納得できない、それで別に改めて貰つた方がいいのだという話があつたのですが、こういう原案が出るときに長官は恐らく参画されて、いろいろ検討されたと思うのですが、どうしてこの原案に長官の方でお決めになつたのか、それから実際の業務に当つてこのことの食い違いが出たかといういきさつ、これをちよつと伺いたいのです。
  226. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) この原案を作製いたします際に、私直接参與いたしましてこういう原案になつたのじやございません。あとでその事情を聞きまして、それは非常に困る、食糧公団の現場事務というものは普通のあれとは違うのだということで、実は意見を持ち出しておるような次第でありまして、これを作製いたします場合に原案の審議に当りまして、私も参画してこういう原案になつたということはございません。
  227. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それでこれは只今修正案が我々の手によつて出されることになつておるのですけれども、その場合に食管法であるとか、或いは閣議決定であるとかいうような、今までのいわゆる基準というものが恐らく適用されなくなると思います。そういうふうになつてつて長官といたしましては、別に差支はないものかどうか。
  228. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) その点は農林大臣大蔵大臣と協議をして決めるという途を開いて頂くことに相成りますれば、そう大した支障がなかろうかと思いますので、そういう御訂正を願えれば是非お願いしたいと思います。
  229. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 分りました。
  230. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか……暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩    —————・—————    午後七時三分開会
  231. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。休憩前に引続いて復興金融金庫法の一部を改正する法律案復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案及び旧軍関係債権処理に関する法律案衆議院を通過しまして、送付されて本審査になりますから、さよう承知を願います。  最初に復興金融金庫法の一部を改正する法律案の御質疑がありましたら、この際お願いいたします。
  232. 小川友三

    ○小川友三君 本案につきましては縮小法案でありまして極めて簡單なことのようでありますので、本案は質疑を省略いたしまして、直ちに討論に入る動議を提出いたします。
  233. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めて討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  235. 小川友三

    ○小川友三君 衆議院を通過した本案につきましては、賛成をするものであります。
  236. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他に御発言はございませんか……他に御発言もないようでありますから討論は終結したものと認めて直ちに採決いたします。復興金融金庫法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  237. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨表及び決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないものと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に、多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  高橋龍太郎     川上  嘉  木村禧八郎     小川友三
  239. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないと認めます。    —————・—————
  240. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案の御審議をお願いします。御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  241. 小川友三

    ○小川友三君 本案もすでに質疑が盡されておりますので、本案につきましては質疑を省略し、直ちに討論に入る動議を提出いたします。
  242. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めて討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  244. 小川友三

    ○小川友三君 本案は衆議院を通過した案でありまして、まだ多少質問の点もありまするが、行政府の行政力を信頼しまして賛成をするものであります。
  245. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか…、外に御発言もないようでございますから、討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案を、原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  246. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  高橋龍太郎     川上  嘉  木村禧八郎     小川 友三
  248. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩ればございませんか……、ないと認めます。   —————————————
  249. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次は旧軍関係債権処理に関する法律案の御審議を願いたいと存じます。御質疑がありましたらこの際お願いいたしたいと存じます。
  250. 小川友三

    ○小川友三君 本案につきましては質疑を省略いたしまして、討論に入ることの動議を提出します。
  251. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小川君の御発言に対して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認め討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  253. 小川友三

    ○小川友三君 本案は原案通り賛成いたします。
  254. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……、外に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。旧軍関係債権処理に関する法律案を、原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  255. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     油井賢太郎  小林米三郎     小宮山常吉  高橋龍太郎     川上  嘉  木村禧八郎     小川 友三
  257. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか……、ないと認めます。  暫時休憩します。    午後七時九分休憩    —————・—————    午後八時五十分開会
  258. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより委員会を再開いたします。これを以て本日は散会いたします。    午後八時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君            小川 友三君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵事務官    (主計局法規課    長)      佐藤 一郎君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大蔵事務官    (銀行局長)  愛知 揆一君    国税庁長官   高橋  衛君    食糧庁長官   安孫子藤吉君