○
衆議院議員(
岡野清豪君) 私が
衆議院の
政府支拂促進に関する
特別委員長の
岡野清豪でございます。
只今議題にな
つております
政府契約に対する
支拂遅延防止等に関する
法律案でございますが、これのできました概要を申上げまして、御
説明申上げたいと存じます。
もともとこの
委員会ができましたのは、昨年の暮以来金融が非常に逼迫いたしました際、各財界の
業者共が金詰りになりましたために、その原因は、大部分が
政府の支拂が非常に遅れておるということが原因でございまして、
衆議院の方でも何とかして
政府の支拂の促進をしなければならないと、こういうような
考えになりまして、決議といたしまして、そういうような
特別委員会を
一つ開こうということになりまして、本年の四月末に
特別委員会が成立いたしたわけでございます。不肖岡野が
委員長になりまして、前
国会中並びに閉会以後も
審議を継続して参
つたのでございます。
先ず
審議をいたします方針といたしましては、どういうふうに
政府支拂が遅れているだろうか、その原因はどこにあるだろうか、どういう状態であろうか、こういうようなことを先ず調べますために、各官庁から係官即ち
会計事務を担当される方、経理局長というような方に御所席を願
つていろいろ御
報告なり御
説明を承わ
つたのでございます。又その次に各業者の方でお困りの方を参考人として出席頂きまして、これも又いろいろ
事情を承わりました。その後
新聞広告を出しまして、
政府の支拂が遅れてお
つてお困りの方は
事情を具申して貰いたいということで
新聞広告も出しました。その他都道府県商工
会議所或いは
経済団体、各方面に亘りまして消息、
事情を
報告を
願つたのでございます。これらの、各官庁並び財界方面からの情勢を聽きました結論といたしましては、
政府の方で
報告をして頂きましたけれども、成る程
報告には、契約額、支拂額、未支拂額という三項に分
つて詳しく集計して届けられたのでございますけれども、その未支拂額という中に、それでは本当に
政府の支拂が遅延して迷惑をかけているのは如何程あるだろうかということを突きとめますのには、どうしても
只今の行政機構並びに行政手続の繁雜さの中ではこれが発見できないのでございます。これは御承知の
通りに各省、各庁が非常に広汎に分れております。又長年の伝統といたしまして、行政手続が非常に煩瑣にな
つております結果、どうしてもそれが分らないのでございます。でございますから
政府から幾ら
報告をとりましても、果して支拂遅延がどの
程度ありましてどういうふうにな
つておるかということは掴めないのでございます。未支拂と称しましても、それは契約してあるけれども、支拂期限が到達しているのか到達していないのかということが分りませんものですから、支拂遅延が起
つているということが分らない。でございますから
政府の
報告を以て、我々がこれに
勧告をし若しくは促進をするという手が出来ない、こういうことでございます。それからもう
一つ各業者からいろいろ聞きますけれども、その業者の方では、殊に財界、金融界に非常な影響を及ぼす大きな
政府契約をしているところでは、皆さんも御承知でありましようけれども、各官庁に対して大口の注文を受けている業者でございます。これは一面、
政府が御得意様であると同時に監督官庁でございますから、幾ら遅らかされておりましても、これに対して私の方は遅らかされて困
つておりますということを申告して来ないのでございます。でございますから蔭では困る困るという声が市中に非常にございますけれども、それは私の方で、どういう
事情にな
つて、どういうふうに遅れてお
つて、どのくらい遅れておるかということを
はつきりと書いて寄越し若しくは
委員会に出て話をして呉れれば促進をしてやろうと申しましても、それは私の方だけは御免蒙りたいというような内情がございまして、どうしてもうまく行きません。又中にはこういうこともございます。甚だ奇態なことでございますけれども、行政手続が、先程非常に煩瑣だと申しましたが、成る程業者から申告して来ますところの遅延があります。これを国の方に照会して見ますと、成る程支拂義務を生じて、事実支拂の遅延にな
つている事実が突きとめられたのでございます。併しこれも亦官庁の
報告を詳しく調べて見ますと、即ち
予算の源泉を握ぎる大蔵省から、支拂を担当しておりますところの末端の官庁までに行きます資金の受渡しに非常に煩瑣な手続がございまして、そうして成る程この手続を踏まなければ正当に
政府は支拂えないという結果になる。でございますから端的に申上げますれば、業者に対しては
はつきりと国は支拂義務を生じておる、併し各官庁の径路を辿
つて見ますと、支拂わないのが合法的である、こういうような奇妙な状態もときには出来るのでございます。そういたしまして我々といたしましては、どうしてもこれは何とか
政府の支拂いというものは行政機構を
改正し、行政手続を
改正して行かなければならないと、こういうような結論に到達したのでございますけれども、長年の伝統でできましたこの厖大なる行政機構並に行政手続を一朝一夕に
改正するということは、我々の手でもできませんし、恐らく
政府でも相当の年月を要し、相当な期間を持
つてやらなければならんと思います。で私達は先ず第一に、
政府支拂を促進するためには、先ず
政府の契約でぎりぎり一ぱいこのくらいの間にどうしても支拂わなければいけないという
一つの枠を作りまして、業者が
政府に注文を貰い、そうして物を納入します場合には、先ず第一に契約書を作りますが、その契約書に、これができたならば検收は何日間にしなければならないか、検收した後に支拂の請求書ができたら何日間に拂わなければならない、こう枠を決めてしまいまして、その間に是非
政府をして支拂わしめる。若しその枠を超えて延引するようなことがあ
つたならば、これに遅刻利息を付して、そうして業者に余り迷惑を掛けない、こういうことにする。同時に若し遅延利息を支拂わなければならない程遅れるようなことをした
会計官吏は、相当な処罰を受けなければならない。即ち或
一つの枠を作
つて、その期間には是非支拂
つて貰いたい、その期間が過ぎたならば遅延利息を拂う、そして遅延利息を拂わなければならないというようなことをしでかした官吏は懲戒処分を受ける、こういう建前で縛りましたならば、官庁の方でもいろいろ面倒な手続を成るべくそれに合して促進するように
改正せなさるだろう、こういうような狙いからこの
法案を作
つたわけでございます。
私共はそういう意味でこの
法案を作
つたのでございますが、その
要旨を申上げますれば、先ず
政府の契約というものを定義を付けまして、こういうものは
政府の契約であ
つて、そうしてこの
法律に縛られるものである。同時にこういうような契約をした場合には、自由契約でや
つてもよろしいが、併し検收期間は何日々々にしなければならない。支拂請求書を受けた後に何日間に支拂わなければならない。そしてこれが遅れてそれ以上に支拂ができない場合には、
政府は
一定の遅延利息を支拂わなければならない。そうして遅延利息につきましては、
大蔵大臣の裁定によりまして、一般市中金利を勘案して利率を決める、こういうことにいたしております。
それからもう
一つは、
大蔵大臣が各省、中庁に対して
政府の支拂が遅れておりはしないだろうか、という情勢にな
つておるだろうかというようなことを調べる権限を一項目與えてございます。それから先程申上げましたように遅延を来さしめましたところの官吏の懲戒処分をする、こういうようなことが骨子でございます。
それからこれは公平の観念からいたしましたのでございますが、
只今までに
政府が前金拂いとか概算拂いで相手方に対して金を拂
つておりますが、それが精算の結果過拂いにな
つておることが多いのであります。聞くところによりますれば、
只今もでも七億ぐらいな
金額が
政府の過拂いにな
つておりながらそれが業者の方から
政府に返納がない。こういうようなことを聞きます。それでございますから若し
政府が支拂を遅延した場合、遅延利息を付けるならば、業者が返納をしなければならないものを、遅れるということはやはり遅延利息でも付けた方がよかろう、こういう公平な観点から一項をやはり前金拂いとか、概算拂いで
政府が拂
つておりますところの金の拂い適きたのをお返し願いたいという、
政府の返納通知書が出ておりながらまだ返納しないものに遅延利息をつける。こういうことにしておるのであります。
尚それが大体私共の
提案しました
理由並びに
内容の
要旨でございます。若し何か御
質問でもございましたら、私から、並びに法制局の方においでを願
つておりますから御答弁申上げます。どうぞよろしく
お願いいたします。