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政府委員(冠木四郎君) 臨時專売制度協議会のこれまでの経過について御
説明申上げます。この協議会の第一回の会合を開きましたのは、八月一日でございまして、最初に、先ず煙草事業に関しまして、詳細な基礎的な調査をしようということで、この調査を八月二十八日まで五回に亙
つてやりました。その調査の事項といたしまして大体のことを申上げますと、煙草專売制度の沿革、それから外国の煙草專売制度、それから外国の煙草税制度につきましての調査、それから煙草專売益金の財政上の地位がどんな地位にあるかというような点、それから煙草の品質、それから煙草事業の能率、煙草のコストというような面から基礎的な調査をいたしました。この調査を五回やりまして、その後
民営問題につきまして、いきなり抽象的な論議に入るというのは……そういうことを避けまして、具体的に検討しようということになりまして、そのために仮に
民営に移すということにする場合には、どんな形態の
民営案が考えられるか、その具体的な
民営案を
一つ作
つて見ようということになりまして、この
民営案作成のために小
委員会を設けたのであります。小
委員会は九月の五日から、九月の二十六日まで五回に亙りまして
審議いたしまして、次に申上げますような
民営案要綱を作成して、それを協議会に
提出いたしたのであります。その
民営案の要綱について大体のところを申上げますと、先ず
民営の
範囲といたしましては、葉煙草專売は現在
通り維持いたしまして、製造及び
販売を
民営に移するということであります。次に製造会社の数といたしましては、公社の工場を分割いたしまして、全国五社乃当十社くらいに分割するということであります。次にその分割の方法といたしまして、單純に地域的な分割の方法を取りませんで、企業の便宜を考慮いたしまして、工場を適当に組合せて分割するということにな
つております。次に
拂下げの時期といたしましては、
原則としては全工場を一時に
拂下げる、但し、一時に
拂下げるということが困難な場合には、買手のついた分から
拂下げるということにな
つております。それから拂下
代金の
支拂につきましては、
原則として一時拂いとする、但し一時拂いが非常に困難な
事情がございます場合には、年賦拂いにするということにな
つております。それから課税方法といたしましては、先ず千二百億円の国家
收入を上げることを考えまして、その中の三割乃至五割は会社が公社から買う葉煙草に対して課税することといたしまして、公社が葉煙草を製造会社に売ります場合には、公社が耕作者から買いました買入価格に公社の経費を加えまして、それに三割乃当五割のその税金相当額を加算した
金額で製造会社に売渡すということにな
つております。その場合の税率といたしましては葉煙草を等級、品質によりまして等級別に五階級くらいに分けまして、上級品に重く下級品に軽くするというふうにな
つております。千二百億円の
收入のうち残りの七割乃至五割につきましては、会社の製品に対して課税することにいたしまして、その課税の方法といたしましては、やはり上級品に重く下級品に軽くするという考えにな
つております。
その次に公社の葉煙草の生産及び売渡の方法につきましては、公社が葉煙草の生産計画を立てるに対しましては、予め製造会社と協議しまして、その製造会社の希望に応じて希望を取入れて計画を立てるということにな
つております。それからできました葉煙草は製造会社と協議の上で割当てまして、製造会社はできました葉煙草の総数量を引取る義務があるということにな
つております。それから尚公社が葉煙草を売渡しますのは公社の中の倉庫で
売拂いまして、その以後の製造会社までの輸送等は製造会社が負担するという構想にな
つております。
小
委員会の作りました
民営案の要綱は大体以上の
通りでございまして、協議会はこの小
委員会の
民営案要綱を基にいたしまして、十月十日からこれまで四回に亙りまして協議を開きまして、
民営の可否について愼重検討中でございます。協議会のこれまでの
審議につきまして、主として問題とな
つております論点について申上げますと、
民営にした場合に財政
收入が確保できるかどうかということが先ず第一番の問題にな
つております。
その次に農家経済に対しまして悪影響がないかどうかということが問題にな
つております。尚その外小
委員会案のような
民営を実施いたしました場合に、果して煙草の品質が現在よりもよくなるかどうか、又事業の能率が現在よりも向上するかどうか、それから煙草のコストも現在よりも安くなるかどうかというような点が問題にな
つております。更に公社の工場を
拂下げます場合の資金の調達が果して民間でできるかどうかということが問題になりまして、そういうような点から
民営の可否について愼重論議されておるわけです。これまでの各構成員の方の
意見は大体におきまして、小
委員会案のような
民営案では必ずしも理想的なものではないが将来完全に
民営に至る段階的な措置といたしまして、この際小
委員会案のような
民営を実施すべきであるという御
意見がございます半面、又それとは異
なつた
意見といたしまして、現在の財政経済の
事情から見まして、今直ちに
民営を実施することは適当でないというような
意見と大体まあ二つに分れておるように見受けられます。協議会といたしましてもまだ結論が出ておりませんで、今までの経過は大体以上のようなことにな
つております。