○
公述人(斎藤顕三君) 今回り
漁業法改正に
当りましては、
水産庁初め参議院の皆様方には特に
河川漁業に対しましても終始お骨折願いましたことを厚くお礼申上げて置きます。尚その他
関係者のお方にも非常に御迷惑をかけましたことを恐縮に存じております。私は各位からいろいろ御
説明がありましたので、一、二省略さして頂きまして
河川関係にあります
関係上、
河川の方でちよつと私の
意見を申上げまして御静聴を煩わしたいと
考えております。
河川におきましては
区画漁業権以外を認めないということは適正でないと
考えます。全国の
河川を一律にみなすことは妥当でありませんけれども、
河川の実情によ
つて特異性がありますので、
従つて降雨ごとにつまり出水の都度、
魚族というものは移動棲息しておるのでありまして、適当なる位置を求めて成長し、且つ又出水によ
つて棲息を平均ならしめるものでありまして、故に
魚族を区画してこれを採捕し
管理するということは、
魚族の成長を害するものでありまして、滑川
関係町村の実情から推しましても、要するに地理的からいたしまして
河川の、或いは町村の境界が、左岸はA村右岸はB村であるという状態にな
つております
関係上、或る町村においては非常に有利にできておるが、又その
半面或る町村においては非常に不利な町村ができる。併しこれは町村自治の上にも又
漁民といたしましても、上下流の対立、或いは漁法によりましてはその統数制限り融和のとれない点が出て来るわけであります。特に
條件のいい急流においては御承知のように、各地に水力発電所が設置されておるのでありまして、この水力発電所の設置の
河川にありましては、要するに発電所の設置で、つまり被害地先の
漁民といたしましては、非常に今日高津川におきましては、窮乏が甚だしい状況にな
つておるのであります。従いまして、高津川といたしましては、現在の実情から申上げますなれば、これが対策といたしましては、各出張所を四つ持
つておりますが、本社、並びに出張所ごとに
漁民の宿泊施設を設置いたしまして、そうして
漁業に従事させておるわけであります。而も又敗戦後におきまして帰還された専業者の方があり、又出征された後におきまして、その他の
漁民が
許可を受けております
関係上どうしても員数的に多くな
つておる。併しながら魚獲続数を三百五十統以内とな
つて制限されておる。これらの点におきましても、どうしてもこれは交代制の
漁業経営が必要にな
つて来ましたので、統数は事実個人的には殖えておりますけれども、実際問題としては
漁業を営む
関係におきましては、そういうふうにお互いに遠慮し合
つてそうしてさし網のごとき操業状態をや
つておるわけであります。これを理論的に伸しましても、或いはその朝その晩の漁獲を実状によ
つて共同で分けるというようにしているので一区別することは以上の事情より推して、さし網、竿掛けにしても、理由は同じでありますので妥当でなく、若し
現行法のままで置くならば、乱獲、違法漁法を余儀なくし、増殖、生産、
保護、
管理は到底不能であるということを私は信じておるのであります。
その次には
協同組合へ
共同漁業権を與えて頂きたいということにつきましては、
生産力の増強と
管理、
保護を図るためには
共同漁業権を認めて貰うべきであり、農山村の栄養の補給と沿川経済の助長のために、各
河川の特質性を活かして頂きまして、当然増殖することを
條件として、これに與えて貰いたいということを深く
考えておるわけであります。申すまでもありませんが、
我が国の国土は非常に狭小でありまして、どうしても
我が国にあ
つては、農、林、水一体とな
つて、最高度の研究、利用をすることが望ましいのであります。特に
河川の場合は非常に皆さん御承知のごとく、
水産のレベルから全体的に見まして非常に遅れておる感があります。
只今のところではこの
河川を大別して見まするに、
漁業権を持
つて一定の
條件を備えて或る程度までは進出しておる
河川と、又能力は持ちながら放任されておる
河川と、又
漁業権を持
つていながらも実績の上らない
河川、大体の三つに大別することができると思うのであります。今次の
漁業法の
改革こそは真に農民の農地
改革と等しく、最も
我が国の
民主化の点から申上げましても、緊急を要する重大問題でありまして、現在実際問題といたしまして
漁民の最も関心を持
つておるところであります。私は今日の席上を拝借しまして最も
河川漁民の要望を
代表いたしまして、御承知のように島根県には高津川を始め江川、三隅川、周布川、神戸川は、いずれも今回の
協同組合の発足に
当りましても、
協同組合が設立されておるのであります。又高津川といたしましては{過去三十年の歴史を持
つております
関係上、島根県下におきまするところの各
河川も私の方に見習いまして、
協同組合の在り方も相当進んで来ておるわけであります。従いまして、高津川といたしましては、この
漁業法案につきまして各沼川町村を巡回いたしまして、各上、下流のいずれを問わず
漁民の
意見を総合いたしまして…どうしても御承知のように我が高津川においては一高津川において喰
つて行くという
漁民が三百人以上ありますし、
漁業、林業共に
経営しまして事業的にや
つておるものが七十ばかりあります。高津川を基盤として立
つている者が千人
余りありますので、どうしてもこの
漁業権は農民の農地の自由を認められておるものと等しいので、
河川に絶対に
共同漁業権を與えて貰いたいというのが、高津川全体の
漁民の
意見でありまして、又県下各
河川の
漁業者の
意見といたしまして妥当なものでありますので、どうしてもこの
共同漁業権を我々に與えて頂きたいという要望なんであります。高津川におきましては、大正年間から昭和十二年までは高津川
水産会とか或いはその他の名目でいろいろこの
発展のためには力が注がれて来たのでありますが、実際問題といたしましては、大事なこの販売の点におきまして、仲買商人にどうしても
圧迫されまして、その清算金のごときに至りましても、非常に
漁業者の現実受ける収入というものは微々たるものでありまして、従いまして経済的に実に貧困な状態で生活をして来たのであります。それがずつと続いて参りまして、そうしてこの最近と申上げましても、大正九年以来どうしてもこれはいけないというので、
漁民の奮起するところとなりまして、
河川の秩序を保つ上に、要するに
管理する上に、或は増殖の上に、生産の上に非常に痛切に不利なことを感じまして、そうして昭和十三年に
漁業権を返して頂きまして、今日に至
つておるわけなんであります。その間におきまして非常に区々まちまちの
意見もあり、上、下流の対立がありましたが、続々と
漁業権の要望がありました。併しながらこれは何と申上げても、法は別といたしまして、
漁民みずからの手において、本当に沿川
漁民の責任においてこれをなさなければ立派な法ができ
上つても駄目なのでありまして、これは高津川の過去の歴史を辿
つて見ますと私は当然のことと信じておるわけであります。
そこで私は政府におかれましても、今後の内
水面漁業の
発展のためには、どうしてもこの
漁民の団結力をますます強固ならしめて貰いまして、政府におかれても、国の産業計画の
一つに織込んで予算を計上して頂きまして、各
河川に適合したところの増殖事業を指導奨励をして頂きまして、そうして沿川
漁民みずからの共同の責任において開発せしめ、
河川、湖沼いずれも荒廃並びに遊休水面の合理的
発展を期すべきが、今次民主的
漁業法の改正の真に意義ある目的が達せられるものと思考するものであります。
従つて沿川も実情に応じた
協同組合を組織するように奨励して頂きたい。そうしてこれに対するところの
河川に適合したところの
共同漁業権を與えるべき、又與えて頂きたいということを要望するのであります。
実際問題といたしまして、
漁業協同組合の力でないと事業ができないということは、高津川におきましても、販売施設、購売施設、或いは造船施設、或いは増殖施設、漁法と
漁業秩序、
管理、共同利用施設、組織と向上研究会というようなものは、これを具体的に、作
つて今日以て進んで来ておるのでありますが、実際問題といたしまして、お互いの自己の力において共同出資で、どうしても
資金というものがないと事業の計画がやれませんので、どうしても
協同組合の必要を痛感して参
つておるわけであります。今次の私共の
協同組合の発足に
当りましても、
漁民みずからにおきまして、今度は
資本金も大体高津川の出資は、出
資金百万円と借入金百五十万円で新発足をすることにな
つて参
つておるわけでありますが、併しながらこれに関連いたしまして、どうしても根本的なこの
只今申上げました施設を遂行して行きます
関係におきましては政府におかれまして
漁業権を持
つておられまして、そうして末端におきましては旧来の施設は破壊状態になるわけでありまして、一定の
條件を備えて、
共同漁業権を
河川についてはより以上
一つこれを助長して頂きたいということを要望するものであります。大へん駄弁を弄しましたが以上申上げまして、是非とも
河川には
共同漁業権並びに今日の
協同組合に対しては
共同漁業権を與えて頂きたいということをお願いいたしたいものであります。大へん駄弁を弄しまして……。(「
質問なし」と呼ぶ者あり)