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1949-11-09 第6回国会 参議院 水産委員会 第3号 公式Web版

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  1. 公聽会開会に関する件 ○水産資源こ渇防止法案に関する件 (会議録情報)

    昭和二十四年十一月九日(水曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公聽会開会に関する件 ○水産資源こ渇防止法案に関する件   —————————————
  2. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。前回の委員会方針を決定いたしました公聽会は、朝日新聞に公告いたしまして、そうして公述人を募集したのであります。その期限を七日の午後四時と決定いたしまして、応募者が二十数人ありまして、委員会において、その選定を委員長理事にお任せ願いましたので、七日の四時から千田理事と丁度尾形理事がおられませんでしたので、協議いたしました結果、選定いたしましたのが全部で二十五名、それを十四日と十五日の二日に分けまして、十四日に来て貰う公述人を、神奈川県の穴戸賢二、これは漁業従事者でありまして、町会議員をしておる人であります。静岡県の堀江寅蔵、これは漁業協同組合長であります。舞阪町。愛知県が加藤清治、これもやはり協同組合長で、愛知県の吉田町の組合長であります。東京都の池田文爾、これは日本定置協会專務理事であります。富山県安居篤孝、これは漁民組合長であります。福井県の瀧甚左衛門、これも組合長、宇田の組合長であります。京都府の田中正雄、これは京都漁業協同組合連合会專務理事であります。和歌山県が西田菊一、これは古座の組合長であります。三重県の里中政吉、これは真珠養殖をやつておる協同組合組合員であります。栃木県の郡司留吾、これは内水面の団体の役員をしておる人であります。東京都の堀田正昭、これは釣魚協会会長であります。東京都の宮城雄太郎、これは水産事情調査所職員でありまして、全水労の幹部であります。それから東京都の鯨岡稔夫、これは漁業経営者連盟職員であります。この十三名が十四日でありまして、十五日に呼びます公述人は、北海道小池清、これは北海道新聞社の社員であります。岩手県の菅原順平、これは漁業協同組合連合会職員であります。山形県の佐藤儀助、これは漁船保險組合專務理事であります。宮城県の船山信一、これは宮城県の漁業協同組合連合会職員であります。岡山県の永井寛次、これは岡山県連会長であります。島根県の濱浦乙吉、この人は濱田の漁業協同組合長であります。高知県の細木忠義、これは漁業協同組合連合会指導課長をやつております。福岡県の古賀榮吉、これは福岡県の沖端村の協同組合長であります。長崎県の松永健哉、これは漁業労働組合長であります。鹿兒島県池尻文二、これは阿久根町の漁業協同組合長であります。島根県の齋藤顯夫、これは河川漁業協同組合の專務をしておる人であります。淡道代表の一人であります。三重県の堀口初三郎、これは真珠養殖業者であります。これが十二名、合せて二十五名に決定いたしまして、そうして七日の日に通知を発しました。その通知の主なるものは、発言時間は一人当り十分間、質疑応答も一人当り十分間程度。で、おのおの十四日、十五日の午前十時までにこの会議場に入るように通知をいたしまして、若し事故で来れん場合においては、直ちに電報を以て知らすということを要求しております。かような状態で十四日と十五日の両日に公聽会を開きまして、そうしてその結果によつて、直ちに委員会を開いて、参議院の改正方針を決定いたしたい、かように存じます。さよう御承知願います。  それから両法案を審議する前に、水産庁の方で水産資源こ渇防止法案要綱ができましたから、事前に説明いたしたいという希望がありますから、この説明を伺いたいと思います。
  3. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 長官が来る筈でありましたが、司令部行つて遅れますので、私が事務的なことを御説明申上げます。  この水産資源こ渇防止に関する臨時措置法案は、差当りの、急にやらなければならない仕事と、将来恒久的な施策をやつて行くための仕事と、この二つのことがからみ合つてできておるのであります。水産資源が具体的に問題になつて参りましたのは、東支那海黄海等における漁業の問題でありまして、特にこの地域は、漁船制限漁区の侵犯の問題があり、又これは資源に対して、漁船が総体的に多過ぎるというようなことから起つてつたのでありまして、これに対して、GHQの要請に基きまして、漁船操業区域制限に関する政令を作りまして施行した参つたのでありますが、これと併行いたしまして、資源に対して総体的に多いところの漁船整理して参るということが、日本人は資源を愛護するような国民になつたというようなことは、国際的にも又国内的にも必要なことでありまして、すでに以西底曳網漁業トロール漁業につきましては、具体的に漁船整理ということに着手して参つたのであります。併しながら何ら法的根拠なく要網の形で整理に着手した参つたのでありまして、これの実行を確保して行くというためには、資源調査でありますとか、或いは漁業許可取消法的根拠でありますとか、或いは取消を受けたものに対する損失補償の問題、これらを法律によつて規定する必要があるのでありまして、同時にこの以西底曳網漁業だけでなく、資源涸渇して漁船が多過ぎるというような他の漁業についても、こうした措置をとる法的根拠を作るというような意味で、この法律が考え出されたのであります。一応要綱の形に纒めてあるのでありますが、関係方面といろいろ折衝いたしまして、まだ解決のつかない点がありますが、早くこれの解決をつけて、我々の気持としては、今国糧の期間が非常に短いのでありますが、何とかしてこの国会に提出していろいろ御審議して頂きたいという気持を持つておるのでありまして、法案が固まらない、問題が残つている生のままを洗いざらい予め申上げておきたいという気持であります。  そこでこの法律が生れる直接の契機となりました東海黄海漁業の整備の問題でありますが、簡單にこの経過を御説明申上げますと、ことの起りは、戰後漁船を造ろうという場合に、比較的漁業の中で安定性の強い以西底曳漁業へ集中して来るということは当然の傾向であり、又この以西で揚げた魚が、纒まつた数量として配給に上ぼせるというような関係もありまして、戰後この東海黄海底曳漁業の船というものは、急速に回復して参つたのであります。現在では約千杯であります。戰争前内地沿岸根拠にしておつたものが六、七百隻、中国の方の沿岸根拠にしていたものを全部合せまして千五百足らずのものであつた、その内地根拠のものが、昔六百或いは七百ぐらいであつたものが、戰後、今申上げたような事情で千近くになつた。而も漁区戰争前の四割ぐらいに制限された。いろいろ統計を見てみますと、底曳網漁業につきまして、今の制限された漁区の中で取る魚と外で取る魚との比率を見ますと、大体七対三くらいになつております。又トロール漁業の方につきましては、これがもつし極端で、八・五対一・五というような比率になつておるようであります。このように、漁区は非常に制限されておる。そうして又制限された漁区の中で、昔はそれほど魚を取つていなかつたというようなところに、戰争前よりはより多い内地根拠の船が入会つて操業するというようなことになりますと、必然的に資源の荒廃を見る。魚が取れなくなると、止むに止まれず漁区違反をやるというようなことが出て来るわけでありまして、この傾向がすでに昭和二十二年の春に現われて参つております。二十三年の初めになりまして、政府業者も、漁業用資材の欠乏というような事情も、からみ合いまして、操業の短縮その他について、その実施の可否が研究されるようになつたのでありますが、更に昨年の六月になりまして、長崎におきまして、日本遠洋底曳協会というものがあるのでありますが、その大会の席上で、GHQ水産部ヘリグトン氏から、漁区違反防止資源保護の必要を強調されまして、今後違反船が続出するようなときは、漁区の縮小、或いは資材を減少するとか、或いは漁船減船等を考慮するというような勧告があつたのであります。業者はこの要求に基きまして、大会の形式で、業者は自粛しよう、漁区を嚴守しようという誓約をして参りまして、その後暫くの間は、漁区違反船が出るというようなことも跡を絶つてつたのでありますが、二十三年の十一月になりますと、又違反してだ捕されるというような船が出て参りまして、そこで政府も、漁区を嚴守して資源を維持する、又経営合理化を図つて行くというような面から、漁業の取締りの強化又減船整理というようなことを、真劔に検討し始めたのであります。更に今年の二月になりまして、重ねて例の底曳協会大会におきまして、ヘリグトン氏から、違反船が再び増加しつつある、これは今の漁区内において漁船の数が多過ぎるからである、漁区違反防止して、漁場資源にマッチした漁船数までに船数を減すということについて、業者の自主的な措置が何らとられていない、日本政府漁区違反防止資源維持、そういうことについての効果ある計画と希望を持つておるが、業者の結合的な支持によつてこれは実を結ばなければいけない。こういうふうに漁区制限緩和或いは撤廃というようなことは、こうした法律はつきり守り規則はつきり守り、又資源を愛護するというようなことが継続的な履行によつて保障されなければ、こういうようなことは論ぜられない。こういうようなお話があつたのであります。こうしたようなことを受けまして、今年の三月には業者のこれに対する委員会が作られまして、水産庁から、現在の船を三割程度減らすというような案を示しまして、業者相談をしかけたのであります。これをいろいろ業者が検討いたしまして、二割の整理をしようということに結論がなつたのでありますが、この二割だけを整理するというようなことでは、漁区違反防止も、資源の恒久的な維持というような点から考えても、少な過ぎるということで、今年の六月の末でありますが、三割減船ということを遂に業者も呑んでくれたのでありまして、要綱を作りまして、或いは能率が悪い船とか、或いは沢山持つておるものはその一割を減らすというような具体的な整理基準を作りまして、これも業者相談して、業者の納得した形でやられましたが、今年の七月、八月にその相談をいたしまして、どの船がやめるかという船名を決定したのであります。そこでこの廃めるという船を、要綱によつて決定いたしまして、来年の六月乃至十二月までに自発的に廃業するという形を採つて廃めるということになつておるのでありますが、これでやつては自発的に廃めないというような場合には、減船ということも実行が確保されないのでありまして、ここに法的根拠が必要であり、又廃める船は許可取消されるのでありますから、それに対する補償の問題が起つております。これも国から補償金を出すか、或いは又業者が自主的に出すか、これがまだ未解決でありますけれども、若し業者が自主的に出すということになりますれば、事業者国体法等関係がありまして、何かの形を法律で書いて行かなければならないというような問題がありまして、そこでこの法律を考えたのであります。こうした現実的な整理というようなことから、直接にはこの法律が生まれたのでありますけれども、資源涸渇防止して、恒久的な保続を図つて行くということは、現実の、今差迫つて整理の問題と切離して考えても、是非いろいろ手を打つて行かなければならないことがあるのでありまして、そうした恒久的な施策をやる必要があるというような意味をも、この法律に盛込みまして、一応の形を考えたわけであります。  今提案になつております漁業法案のうちにも、この整理の問題が六十四條でありましたか、一條ばかりあるのでありますか、漁業法がどういう形ででき上りますか、それができ上つた以後におきましては、更にこの臨時措置法を練り直して恒久的なものを作つて行こう。今はそういう恒久的なものという狙いも、その法律のうちには含んではおりますけれども、現行のいわば死にかかつた漁業法基礎の上に考えておりますので、新らしい漁業法ができたならば、それに乗り移つてより恒久的な立派なものを練り直すという意味で、一応二年間の臨時立法措置にして行こうということに考えておるのであります。大体こうしたような意味で生まれて参つた法律なのでありますが、内容をその要綱について簡單に御説明申上げますと、目的は、ここに書いてありますように、水産資源涸渇傾向にある現状に鑑み、その防止を図り、もつて水産資源恒久的保続をなすことを目的とする。その通りであります。そこで第二に書いてありますよように、水産資源涸渇の惧れがあると認められるときには、水産資源の量、或いは当該漁業を営む者の数、その他自然的及び社会経済的條件を総合的に勘案して、農林大臣許可を要する漁業の種類及び海域別に、命令を以て何隻まで許可を出すかという、その許可定数を定めます。そうして若しこの定数を定めまして定数よりも実際に許可を受けておる船が多い場合には、その多い部分につき船の許可取消しをするとか、或いは漁場制限をして行くというような措置をとるわけでありまして、こうした措置をとる場合の基準といたしまして、第四に書いてあるように、各漁業者当該漁業の種類及び海域につき許可を受けておる漁船の隻数、つまり漁業者が沢山持つておるか、少し持つておるかというようなこと、或いは当該漁業に従事する漁船操業状況航海数が多いか、或いは非能率であるかというようなこと、或いはその漁業に従事する漁船労働條件が、非常に極端に、誰が見ても惡いというような労働條件の船は切るというようなこと、或いは漁業者の経済が当該漁業に依存する程度、一組しか持つていなくて、それを取消されたら生活の基礎が失われるというようなものは、取消すのを止めましようというようなことを、これで考えておるのであります。指定の基準は、こうしたことを勘案して省令で決めて、その基準に当て嵌めて整理をやつて行くという考であります。  それから第五の、ここには共助と書きましたが、先程申上げましたように、こうした許可取消すというような場合には、憲法二十九條の関係で国が補償しなければならんということが、憲法上の義務として要求せられるのではないかという議論もあるのでありますが、又一方補償をせんでも、憲法上の義務違反にはならんという見解もありまして、まだこの最終的な結論までに到達しておらないのでありますが、一応ここでは業者が自主的に、つまり残存船が受益の限度において金を出して、金を集めて廃める人に渡すという形を考えておりますが、この共助をする場合に、そこに書いてあるように、今までどのくらい利益を受けていたか、これから他の漁業に転換するまでに船の保全費が必要でありましようが、保全費を見る、或いは乗組員が、漁船整理されることによつて首になる、その退職手当を一部見るというような、そうした内容のことを考えて、共助金を幾らというふうに決めて、それを整理される人に渡して行こうという考であります。これをやります場合に、業者自分達団体でやるというようなことになりますと、事業者団体法関係もありますので、名前は非常に惡いのでありますが、整理漁船共済団というような特別の法人を作りまして、残存業者から負担金を取立てて、それを廃める人に共助金として拂う、その取立てと支拂の仕事をやる特別法人を設定します。この第九に書いてありますように、この特別法人が、後に残る人から、先程申上げましたような受益を限度として負担金を徴收して行くという形になるわけです。そうして誰々に幾ら拂うということを農林大臣が決めて、取上げた金を廃めた人に拂つて行くという形を採るわけであります。こうしたことをやる場合に、例えば許可定数を決めるとか或いは指定の基準を決めるとか、或いは今申上げた共助金の額とか、或いは負担金をどれだけにするかというようなことを審議して、農林大臣の諮問に応ずるという機関を、水産資源渇防止審議会というものを作りたいということを考えております。又こういうふうにいろいろの措置をとる場合には、科学的な水産資源調査が飽くまでも基礎にならなければならないのでありまして、こうしたことをやる場合に、併行的に水産資源調査をがつちりやつて行くことこそが、又将来のためにもなるという意味で、水産資源調査根拠規定をこの中に織込んで行きたいというように考えております。  大体の内容は、そういうことでありまして、非常に恒久的な、理想的なことを狙うと同時に、現実的な問題の処理をする、しなければならないという意味で、多少筋が一貫しないという憾みが出て来るかも知れないのでありますが、その点は、差当りの問題を解決して新らしい漁業法ができたならば、更に立派なものに練り直して行くということで、臨床立法という形で、以上のような法律を纏めて行きたいと思つておるのであります。簡單でありますが、この程度一つ……。
  4. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 何か御意見、御質問がございましたならば一つ……。
  5. 田中信儀君(田中信儀)

    田中信儀君 今の御説明によりますと、これは大体以西底曳トロールに、暫定的に二ケ年の間限定して行われるように拜承いたしましたが、その通りでありますか。或いはこれは以東の方に及ぼされるのでありますか。それから施行期日はいつにこれはなりますか。その点お聞きしたいと思います。尚労働條件の、以西の方は、六月に就業しまして、十月に操業するということで、漁夫は大体毎年雇い入れております。恒久的契約はせんようでありますが、それらに対して一定の給料を支拂うかという点を一つ
  6. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 第一の点は、差当り以西、或いはトロール整理というのは、すでにやる筈になつておりますから、これはこの法律実行確実のものにして行くということはやらなければならないでしようが、更に以東の面も、これは昭和十二年頃でありましたが、整理計画を樹てて七百隻くらいにするというようなことで、戰争中まで実行を進めておつたのでありますが、戰争中食糧確保というような見地から、地方に許可を移しまして、非常に船が殖えておりまして、資源量に対して非常な、何と言いますか、余りにも多過ぎるというようなことになつておるわけであります。そういう結果が、御承知と思いますが、北海道入会の問題とか、或いは又山陰の方の入会の問題とか、或いは茨城県の許可船の問題とか、いろいろあるようでありまして、以東の問題も、恐らくこのまま放つておけないということで、この法律基礎にして手を付けざるを得なくなるのじやないかというふうに私考えております。  それから第二の施行期日でありますが、これは法律が成立すれば直ぐ施行して行きたいと思つております。  それから第三の労働條件の問題でありますが、これは取消しをする場合に、労働條件を考えて行くということは非常にむづかしいことだと思うのでありますが、これはもう取上げるとすれば、誰が見ても非常に惡いというようなものだけになると思います。実際に以西整理要綱によつてつた場合には、劣惡労働條件であつて、こいつは切らなきやならんというようなものは出て参りますでしよう。
  7. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 この案で見ますと、共助金というようなものは、これは業者負担のみにおいてやるようになつているように見られますが、そういうふうになつておるのですか。
  8. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) これは先程申上げましたように、問題が残つております。これの、私共は憲法許可取消したら補償しなきやならんという見解を持つており、又そういう見解を支持してくれるような学説もあるのでありますが、その反対論も又非常に強いのです。法務庁意見局でありますが、あすこに法律の解釈を聞きましたが、これは憲法上要求されるとか、或いは拂わなくても憲法義務違反にならんとかいうような、最後的な結論にまでまだ到達しておりません。ただ少くとも憲法から考えて、條理補償をするということは、憲法の精神から必要なんじやないかという程度のまだ見解しか明らかにして呉れないのであります。私共は飽くまでも補償を国から出したいという気持は持つておりますが、惡く行くと業者の自主的な共助金だけで整理をやらなければならんというようなところに追込められる虞れはあると思います。
  9. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 この共助金の問題、これは非常に重大な問題だと思うのですが、まあその憲法上の解釈問題はとにかくとしましてですね、これは政府が実際においてそういう予算を作れば、それは憲法にどうだとか、どうあろうが、それは構わないが、あなた方の方でそういう非常に同情的な考えがあれば、私はそれで結構で、そういうふうに一つ進んで頂きたい。それを願いたい。一体以西底曳の、こういう非常な大きな数になつたということは、漁場が狹くなつたとか、或いは外地引揚者関係で船が、非常に内地根拠の船が殖えたとか、いろいろなことを一応は言われますが、この漁業興つた一つの大きな原因というものは、政府自身に私は責任があると思う。その当時において、これはもう食糧は足らないから、大急ぎで船を造つて大きい増産をしなくちやいけない、それは金は貸してやる、ともかく融資はしてやるからどんどん船を造りなさいといつて、恐らくけつを叩いて造らしたわけです。ところが漁業を従来やつてつた人も、船がない、資材がないといつても、政府がそういう態度でぢやんぢやんけつを叩くから渡りに舟だということで、御承知のように、一面から非難される程厖大な造船資金が、資材資金として流されて造つた、こういうことになつている。そうしておいて、当時心ある者は、今日のこの行き方ではいけないということが、その当時叫ばれておつたのです。然るに政府自身は、何らそういうことに対して頭を働かせずに、もうがむしやらに造らした。そうしてヘリグトン氏から勧告を受けて、何だか夜が明けたような気になつて、もういけないということを言つてみる程に、甚だ無責任だと思う。この廃めている人達の中には、非常に気の毒な事情にある人が随分ある。ですから私はこの共助金の問題については、我々の仕事は相互共助的な行き方で行くべきものであるということによつて、これを片付けるということは非常に残酷な仕打だと私はそう思います。幸い関係者達は相当資本がある人もあるので、一応これは表面的には如何にも事もなく片付けているかのように見えるかも知れませんが、内容調査して見ますと、御承知のように、従来の経営内容そのものが非常に惡いのである。そうしていま暫くこの難関を我慢することによつて、いずれは又夜の明けるときもあろうかといつたような気持人達もある矢先に持つて行つて、こういつた非常措置がとられたということについては、これは政府の従来のやり方から見て、必然的な結果であるわけでありまする、併しそれを政府の方としてはあまり考慮せずに、一方的な犠牲においてのみこういうことを断行する、それは又その筋からの勧告があつたというふうなことによつて、いやでも応でもやらなくちやならないのだというように、何だか他に責任を転嫁したような気持でこの仕事をやられること自体が、私は誠に不可思議じやないかと思うのです。こういうようなことは、これは今田中委員からも話がありましたように、沿岸の、というか以東底曳の場合においても随分考えなければならん問題があります。それから沖合の漁業でなく、沿岸漁業の面においても相当考慮しなくちやならんことが随分あると思います。そういうようなことでありますので、一つ政府においては、予算的措置において十分な考慮をして貰いたいということを特にお願いしておかなければならん。尚この問題については、あなた方の方で、政府の方もいろいろ御心配になつてつて水産庁としては、大蔵省等にもいろいろ交渉されたやに聞き及ぶのでありますが、交渉の経過内容はどういうふうになつているかということも、併せてこれをお伺いいたしたいのであります。  それから水産資源涸渇防止問題については、ずつと以前の国会において、私から特に重要な問題であるから至急態度を明らかにするようにしたらどうかというような意見を申述べておつたのでありますが、今專ら底曳を対象としたお言葉の、二ケ年間の臨時的な立法措置であるというふうなお話でありますが、一体この沿岸漁業に対しても、資源涸渇防止資源維持培養といつたような面から、早急に立法しなければならないと私は思うのでありますが、そういうことについて、目下どういう状態に、調査状況というか、準備の実情はどういう実情でありますか。それを一つお伺いしたい。
  10. 青山正一君(青山正一)

    ○青山正一君 それに関連して……。只今江熊さんからお話のあつたやはり第五の共助という問題が非常に大きな問題だろうと思つておるのでありますが、これは先程課長からお話のあつた学説とか或いは反対論とか或いは憲法というものは、これは予算がとれなかつたためにそういうふうなことをおつしやつているのではないかということを考えるのでありますが、これは今度の、本年度の農林省の予算関係と、この共助という問題についての結びつきは、どの程度進んでおるかどうかということを一つ十分に、これは速記を止めてよいからお話を願いたい。もう一つは、以東底曳、今度の対策は、以西底曳トロールとこの二つになつておりますが、例えば以東底曳にも非常に大きな問題が残つているし、「さんま」の棒受なんかも、千六百隻が今度は三千六百隻出ておるというようなことで、資源涸渇の問題に結びついて非常に大きな問題が出ているのではなかろうかと思つておりますが、それに対する考え方、或いは北海道の網入会権の問題、こういつた問題についても、江熊さんの問題に結びついてお聞きしたい。
  11. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 私も共助の、補償の問題は、飽くまでも国から全部の損失を補償するという建前で進んでおるのでありますが、予算の折衝の面で、最悪の場合は国から一文も出ないで、共助資金だけでやらなければならんというようなことになる可能性はないとは言えないと思います。(笑声)それから水産庁の決意というようなことについては、一つ長官でもおいでになつてから……。(笑声)  予算の交渉の経過でありますが、これはこういうことです。最初いろいろ要網整理をやる場合に、廃める人、それからあとへ残る人、つまり最初の出だしは、共助だけで行こうという話があつたわけなんです。そうして三百万円貰うならまあ廃めましよう、三百万円程度のものをあとの人が負担するならまあいいじやないかというので、三百万円、一組三百万円の金を出すということが、いろいろの話合で出て来たわけです。そこで我々としては、予算に組む場合には、一組あたり三百万円の共助金を出すということで、共助金を受ける船が、あの要綱によりますと、百十組ばかりになりますので、三億三千、その他に事務費が多少つきまして三億四千ばかりの金を、大蔵省に要求したわけですが、先程も申上げたような、憲法論等もいろいろ出たりいたしましたが、結局三百万円でなくて、百万円程度、一億一千くらいは一つ何とかしてもよいということで、金を用意したようであります。ところがその後になつて補償という形では何としても出せんということになつておるのが現状です。これに対して、私共、形を変えて又要求したりしておりますが、それの結論が出るまでにはまだ至つておらないのであります。経過は大体そういうことであります。  それから恒久立法の準備の状況はどうかということでありますが、これは新らしい漁業法が出て来たならば、それと兼ね合せて作つて行くというふうに我々考えておることは、先程から申上げておる通りであります。  それから青山さんのお話の以東、或いは「さんま」、北海道入会というような問題に対して、どういう態度で以て臨むかということでございますが、以東については、先程申上げた通りであります。それから「さんま」の問題も、これも資源に対して船が多過ぎるんだというようなことは、科学的にははつきり言えないようでありますけれども、経営の面から考えて余りに船が多過ぎるんじやないかというようなことは、常識的にも考えられますので、何かこれも大きな海区を單位にして、中央の農林大臣許可にするというようなことが、或いは必要じやないかというようなことを考えて、研究を進めております。それから北海道入会の問題、これはもう山陰の方なんかも同じでありますけれども、とにかく話のつくところで、一年間の暫定的な措置として話を一応纏めた形でありまして、この恒久的な解決を図るということは、やはり水産資源というような面から考えて、漁船が、どこの海区ではこのくらいの船が要るんだというような、はつきりした計画を立ててこの問題も解決して行かなければならないのだと私考えております。それだけだつたと思います。
  12. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 甚だ不十分な御答弁ですから後日又改めてお尋ねすることにいたしたいのですが、ただこの漁業法の中にある免許、許可料の問題は、今私共の方でも相当問題になつておるのでありますから、政府が甘い考えを持つて許可料等を取つて行くというようなことで、予算的な措置がとれるんだといつたようなことはお止めになつた方が賢明であると私は思うのです。これは別個に考えなくちやならん問題だと思います。そういう意味合において、私は大蔵省との折衝の交渉内容について、どういう経過になつておるかということをお尋ねしたのでありますが、体よく身をかわしておられるようでありますが、いずれ又これもいろいろ法案が出てから重ねてお尋ねすることにいたします。  それからこの際もう一つ重要な問題でありますから、お尋ねしておきますが、現在整理された人達が、これは現在のような漁場の状況で、今後永久に行くとは勿論考えられないし、又そういうことがあつてはならないのでありますが、いずれは漁場も拡張されようし、大いに我々が海洋に出て増産をやらなくちやならない時が来ると思うのでありますが、そういう際において、整理された人に対して、何かまあつまり分り易くいえば、代船の建造といつたような問題については、優先的に考慮するというようなことが、御計画の中に、頭の中にあるのか、そういうことは考えずに、新らしく漁場が拡張された場合は、別個の観点から船の建造という問題は考えて行くという考であるのか、そこのところをお伺いして見たいと思います。
  13. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 先程もお話し申上げたように、漁場が広い場合、全部あすこは漁場になつてつたというような時よりも、今の方が船が殖え過ぎている、これを二百五十隻ぐらいにするということは、昔程度船数にするということになるのでありまして、たとえ幸にして漁場漁区が拡がるというようなことがありましても、今廃められた方が更に復活して、隻数が殖えて、あすこの漁場漁業をやるというようなことは、ちよつと今考えられないことだと思います。廃めた方の転換の問題については、まあいろいろ船の転用の途とかいうことを、研究は進めております。
  14. 青山正一君(青山正一)

    ○青山正一君 大分今度以西底曳整理を受けた側の方におきましては、大体一組三百万円共助金を受けるものだという考え方で進んで行つておるようなふうらしいので、これを若し仮に大蔵省で一相当りまあ百万円しか出さんということになりますと、あとの二百万円はつまり漁場側がこれを出すということになるわけなんですか。その点なんです、問題は。もう以西底曳整理を受けた者は、どうしても一組三百万円貰うという約束の下に廃めたという恰好になつておりますものですから、その点はどういうことになつておりますか。
  15. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 三百万円ということでありますので、例えば国からの百万円出るということになれば、あとの二百万円は自主的な共助という形にならざるを得ないと思います。
  16. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 外にありませんか。
  17. 矢野酉雄君(矢野酉雄)

    ○矢野酉雄君 私今来たのでよくはつきり内容を知りませんが、これは重大な問題で、これは以西底曳の問題も、今青山委員から一つ具体的の救済方法についての色彩に富んだ御質問になつておるようですが、この問題を委員会としてどう取上げるかについては、これは水産行政の一部局的な立場から考うベき問題じやないと思う。少くともこれは国家全体の大きい問題としてこれは構想をめぐらさないというと、八千万の人口が……漁区を、殊に参議院水産委員会がその中核となつて拡張するために努力をして、行政府又これに協力して、連合国の大きな御好意によつて現在の程度拡張したわけですが、これは第一次の拡張であつて、我々は非常に喜び又感謝しておりますが、第二次拡張についても、我が参議院水産委員会は指導性を持つてこの拡張の実現に努力しなくちやならんし、又政府を鞭撻しなければならない。そういうふうにして一面には漁区を拡張して行く。ところが八千万の人口、この人口問題が簡單に縮小できないし、水産業に従事しておるところの経験と長い閲歴を持ているその人々と人口を……水産業に従事する人の漁区は狭いのにオーヴアー・フルをしておる。オヴアー・フルをしておるから、これは縮小しなければいけない。そこで法的措置が必要だというふうに、ただ水産行政の立場のみに考えてこれを改定していいものか、むしろそうした失業者は、日本人である以上は何とかこれは解決しなければならんのである。以西底曳の問題に例を取れば、それに従事しておつたところの漁船の隻数においては、トン数においては、これはよしんば縮小しても、水産業の深さを深めるという立場からは、オーヴアー・フルしたものを他の以西底曳漁区にこれを持ち込んで行くという行政の措置をとるか、或いは又水産庁が構想しておるように、オーヴアー・フルしておるから、どうせ船も人も狹ばめて行かなければならんというようなその方程式が果して妥当であるかどうかということは、これは私は国の全体の立場から考えて行かなければならんのであつて、水産行政のその一部局にのみ立つて結論を出すというようなことは、どうせこの資源資材は足らないのに人口は溢れておるというのですから、結局そこに苦しいながらも、黒字の利潤が出ないというような場合でも、それは共食いの姿になつても、お互いが分け合つて、乏しきを分ち合つて行くというような理念から、私は今の日本の現状においてはですね、そこから考えをめぐらした一つの立法措置なり行政措置というものが生れて来ないと、水産庁の方でやつた顔は、いい顔であつても、その溢れたところの人はこれはどこかに処置しなければならん国内問題であります。そういうようなセクシヨナリズムにならんような態度から考える必要があると思うが、果して水産庁はどういうような構想の下に、農林大臣はいろいろ労働大臣或いはその他の各官庁の責任者等と連絡をとりながら、こういうような一つの構想を進めておるかどうかということについて、これは根本的な態度ですが、一つ一応伺つておきたいと思います。
  18. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 今矢野委員の質問は、課長では答弁をしかねるそうですから……今ちよつと次長を呼びます。
  19. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 一体この水産委員会には、水産庁から次長、長官の出席が甚だ少いと思う。実に怪しからんと思う。いつも課長だけをよこして話をさせる。それはどうも余りにその事態を軽く考えていると思う。大臣や次官なんか出て来ることは殆んどない。これは我々は須らく大臣を呼ぶ、或いは止むを得なければ次官、そして本当にプロパーのことを言うときに水産庁長官、部長、課長を呼べばいいのであつて、余りにどうも水産庁自体が事を軽く考え過ぎるのじやないか、(「賛成」と呼ぶ者あり)今の矢野委員の質問のごときは、実に重要な問題であつて、それから最前いろいろ私共質問した中に、水産庁の長官ではなければ、少くとも長官が出なければ討議しにくい点も随分あつたんですが、一応そういうのをはずしたということになつている。今後委員長においてこの点御了解下すつて、そういうふうに向うに折衝して頂きたい。こう思います。
  20. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) いま次長を呼びにやつておりますから……。
  21. 田中信儀君(田中信儀)

    田中信儀君 大体以西の問題につきましては、現在底曳の組合の方で整理をやつておりますから、よく分りましたか、先刻の話によりますと、この法案を大体以東底曳にも適用したいということでありました。それについてお尋ねしたいと思します。先刻江熊委員並びに青山委員からお話のように、この整理による補償政府においてやられるということになりば別問題でありますが、最悪の場合を予想して、業者共助によらなければならんという場合に、この法方によりますと、共助の、漁業種類及び海区について整理した場合に、その漁業種類及び海区ごとに、組合のごときものを作つて共助するのか、或いは全国的のプールによつて共助するのか、そこがはつきりしていないのであります。若し例えば以東底曳なら底曳に対しまして、国が全般的に整理されたものについて、各漁船から集金してプール計算のような形によつて共助するということになりますと、非常な問題が起ると思う。と言いますのは、各県の従来の事情からいたしまして、その県において漁船の数を非常に制限しておつて所と、非常にルーズにやつてつて所とによりまして、この整理ということに非常な問題が起つて来る。そうすれば或る県においては非常にルーズにやつてつたために、或いは三割五割を整理しなければならんという場合が出て来る。一方の県においては全然整理が必要でないとうことになります場合には、その漁業種類によつて共助するということになりますれば、結局整理された県に対して、全然整理されない県の漁船がその負担を負つて行くということになつて、事実堪えられないことであると思います。現にこの漁船保險が行き悩みになつておるというのも、そのためである。我々の県においてもすでにかかる漁船保險のごときは、加入しないという決議をしておるというのも、結局現在の漁業保險の料率は、殆んど一割に近い料率になつてつて、実際県ごとになればこれが三分の一乃至四分の一の保險率で済むものを、「かつを、」「まぐろ」の油が足らないために、こういう料率になつておるということになつておる。そういう非常に面到な問題が、業者共助によつて整理をやるということになれば起つて来るが、それを法文に明示してないのですが、現実プールによつてやるのか、或いは府県別にやるのか、或いは海区別になるのか、そこらをはつきりお示し願いたい。それによつてこれは非常に考慮しなければならんと思うが…。
  22. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 補償団を作りますのは、全国的に漁業種類、つまり以西整理するという場合には以西の共済団、これを一つ作る。以東をやる場合には以東の共済団を作るという形になります。それで今の府県のやり方にいろいろ不公平が出るということは、補償の問題ではなくて、どの県の、或る県は一割減らす、或る県は五割減らすというような、その減らし方の問題になるのではないかと思います。
  23. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 それはとんでもない考え違いだと思います。今田中委員の言われたことは、まあ私関係県として日頃から考えている問題で、大変いい御質問をされたわけですが、非常にこれは、例えば山口県の場合で申しますと、非常に戰時中から自粛して漁業許可したという場合の県と、捕りさえすればいいんだからと、やたらに許可をしたという県の場合に、整理する率が多ければ多い程、つまり或る県が非常に不当に許可した、従つてそこは今度は余分に、数を余計に整理しなければならんということは、その整理する負担を、山口のごとく非常に真面目に自粛的にやつていた県が非常に負担しなければならんのじやないか。こういう点で困りはせんかということを言われたので、これは残された重要な問題でありますから、一つ水産庁においては余程その措置について御心配して頂かないと、必ず以東底曳整理問題については、大きな問題になると私は思いますから、要らんことのようでありますが、一応申上げておきます。
  24. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 今の問題ですね、今の江熊君の問題は、整理する場合の共助金は、各船に全国的に平等に出すのではないですか。山口県が少なければ少い。その県に多く残つておればその数は多い。その單位は同じだ、島根県の一隻出す單位も、山口県の一隻出す單位も同じだということになると私はいいと思います。むしろ整理船が少い県が困ると……。
  25. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 そのやり方が大変違つて来るというように、考えられる。整理される船も併せて考える場合と、整理される船を除外して考える場合と大変違いがあると思う。一応全体を考えて、そうして整理する船を、その中の共助金負担ということは、一応平等に考えるという行き方と、整理されるものを除外して、残つたものが負担するという行き方でも大変な違いが出て来るわけです。そこらあたりを一つ。そうしてその共助されるということは、金を貰ということに考えると、ちよつとそこはおかしいと思いますね。金を貰ということは廃めた人が貰うのであつて、残つた人が全部負担するということに行くのはいかんのだと、そこで考え方が非常に違つて来ると思います。
  26. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 例えばですね、以西底曳の場合に、国家が全部補償する場合においては問題はない。
  27. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 それは問題はない。
  28. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) ところが一億円補償して、あと二億円を業者共助金として出す場合に、例えば四十杯持つている業者がある。その中で十杯減らすということになると、あと三十杯残る。その割当を三十杯出すと、貰つた金が同じだと、そういうことになりはせんかと思います。
  29. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 速記を止めて頂きたい。
  30. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  31. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。飯山長官の答弁を求めます。矢野君の質問に対して。
  32. 政府委員(飯山太平君)(飯山太平)

    政府委員(飯山太平君) 矢野委員の、以西底曳に従業する従業員の対策について、どういう具体案を持つているかというお尋ねのように思います。今度こ渇防止法案を提案をいたしたいという考えは、事が非常に重大でありまするので、ひとり漁船を減らすということではなくして、やはり漁船に乗組んでいるところの従業員の失業対策も、勿論これは取上げなければならん重大な問題であります。従つて個々の船主だけにこれが措置を任せるということは、非常に従業員に対して迷惑を與えるのではないか。そこでできるならば国家補償によつて、その補償金によつて、従業員の失業対策にもこれを充てるという意味合も含んでの施策と、こう考えておるわけであります。併し具体的には転業させるとか、或いは予備員にして貰うとか、これはいろいろ具体的なものがあると思いますが、とに角乗組員が、而も技術を持つておる水産にとつては重要な方々なので、これをできるだけ補充して、失業の状態に陥らしめないようにしなければならぬ、こういう考えを持つて来ておられたのであります。併しこの点につきましては、御注意がありました労働省方面との連絡は、現在としてとつておりません。併しいずれ補償が実現するというようなことになりますれば、こ渇防止法案の中にも謳つてありまするように、これが世話をする機関ができるわけであります。で、その機関において、いろいろそういうふうな具体策を立てて、そうしてその具体策を実施するにつきましては、勿論これは関系官署との十分な御協力も仰ぎ、又連絡もとつて行かなければならない。かように考えておる次第であります。
  33. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) それから序でですが、この前矢野委員から質問しました五島における沖縄県人の追込み網のことについての問題がありましたね、あれは調査するという話だつたが、調査ができましたかどうか。できましたらこの際御答弁願いたいと思います。
  34. 政府委員(飯山太平君)(飯山太平)

    政府委員(飯山太平君) 私、この国会が開かれまして、委員会に非常に怠けておりましたために、今の矢野委員の沖縄県人の五島における出漁に関する内容につきましては承知いたしておりません。従つて今ここでお答えはできませんが、勿論調査するということをお答えしておりまするからして、調査を進めておることと思いますが、一応調べまして、御報告をいたしたいと、こう存じます。
  35. 矢野酉雄君(矢野酉雄)

    ○矢野酉雄君 八月十三日付の参議院の水産委員会の記録をお読みになつて頂きますと、その内容の全貌が出ておりますので、お読み頂きたいと思います。それからそのときにも、それに加えて引揚者問題についても及んでおりますから、一応併せて御覧置き願つて、そうして五島の不当な條件の下に、而も許可漁業でないパブリツク・シーにおける漁業に、非常に大きな金を搾取している、この問題は課長から、あれは何かの……その人に一度会いましたがね、調査は確かに命じてあることは事実でありますから、その結果を御報告願いたいと思います。
  36. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) それから先きの江熊君の質問に対して、飯山長官に保留したのがありましたが。
  37. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 もう一度ちよつと概要だけ言つた方が分りがいいと思いますが、実はこれは飯山官長の下関に見えたときに言われた言葉で、私としてはその言葉を聞いた当時にどうかなという気持を持つて聞いたのでしたが、そのときは私直接の関係者でもなし、又いろいろ事情もあろうかと思いまして黙つてつたためでありましたが、補償金といいますか、共助金の問題について、官長が当時まあ許可料の問題について相当含みのある言葉を使われたことを記憶しているのであります。併し漁業法を審議するに当つて許可料、免許料という問題は、相当問題になつているような方向には恐らく行かれないのではないか。私個人としましては、それはそう行くべきものでもない。そういうふうに考えておりますが、このことについては現在どういうふうに長官はお考えになつているか。私はこの問題は当然国が負担すべきものであるということについて、最前御質問したのですが、その際憲法の解釈の問題などもいろいろ引張り出されて説明されましたのでありますが、そういうことはどうでもいいのです。要するに予算的措置がとられるかとられないかという問題なんです。業者からみれば、そんな憲法解釈なんかそう分ものではないのですか、問題は予算的措置政府においてとられるかとられんか、こういうことなんです。それは予算的措置というものはこうするのだいとう、一つはつきりしたものがあればそれを一つ承りたい。これについては恐らく水産庁としては大蔵省の方とも折衝しているのだと思うのですが、どういう程度に話が来ているのか。このことについては、政府責任を以て予算的措置を国の費用を以て立つべきであるという基本的な考を持つて、私はこのことをお尋ねするわけなんであります。共助的ないろいろな業者による方法は考えられると思いますが、併しそれはこの事業のみではないが、特にこの関係者たちは、御承知のようにあの下関の総会の席上において続々関係者から強い意見として申述べられていることは、長官御自身最もよく御承知でありますので、そのことを繰返す必要はないと思いますが、そこで予算的措置の問題について、水産庁が今日お考えになつていること、とろうとすること、又今まで大蔵省等と折衝した内容等について御説明願いたいと思います。
  38. 政府委員(飯山太平君)(飯山太平)

    政府委員(飯山太平君) お答えする前にちよつと委員長にお願いしたいことがあります。事柄が非常に複雑、又祕密を要する点がありますので、できますならば速記を中止して頂きたい、こう思います。
  39. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。
  41. 田中信儀君(田中信儀)

    田中信儀君 先刻大澤さんの共助団は業種別にするというお話を聞きましたが、先刻申しましたような事情で、これは非常に困難だと思いますが、私の希望といたしましては、海区ごとに漁業種類別によつて共助団を組織するというように立法をして頂きたいということを希望申上げたい。若しそうでないとするならば、種類別ということになりますと、これを逆説すると、この共助団を組織すると全国海区によつてどこに行つてもやつてよいという考えになりますが、これはそういうふうにして頂かないと負担の問題について非常に影響があると思いますからお考えを願いたいと思います。
  42. 説明員(大澤融君)(大澤融)

    説明員大澤融君) 恐らく取扱として、団は全国的なもの一本にして、補償のやり方等は海域といいますか、海区別にやるということも可能と思いますが、海区ごとに団を皆一つずつ作るということはちよつと不体裁じやないかと思いますが、団を作つて海区ごとの計算でやつて行くということは可能だと思います。
  43. 江熊哲翁君(江熊哲翁)

    江熊哲翁君 今飯山長官の御説明を聽いて非常に御努力されておる点を感謝するわけでありますが、この問題は非常に重要な問題でありますので、これはひとり以西底曳の問題だけでなく、今後、今田中委員からもお話がありましたように、以西底曳の問題などの場合は勿論でありますが、その他いろいろ予想される漁業がありますが、その際においてもこれは必ず起つて来る問題でありまして、水産全体とした相当関心を深めなければならないと思うのでありますので、委員長において特にこの点について一つ特段な御配慮を頂いて、この問題が予算的措置の上において有利に展開するようにお骨折を願いたいと思います。
  44. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 承知しました。今日は時間も参りましたので、この程度で閉会いたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 委員長(木下辰雄君)(木下辰雄)

    委員長木下辰雄君) 御異議ないようでありますから、今日はこれを以て散会いたします。    午後零時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君            千田  正君    委員            青山 正一君            田中 信儀君            江熊 哲翁君            矢野 酉雄君   政府委員    水産庁長官   飯山 太平君   説明員    農林事務官    (水産庁漁政部    漁業権課長)  大澤  融君