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1949-12-01 第6回国会 参議院 人事委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月一日(木曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十五日(金曜日)委員池田宇 右衞門君辞任につき、その補欠として 北村一男君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員職階制に関する法律案  (内閣送付) ○国家公務員法第二十八條規定によ  る勧告に関する件 ○国家公務員法附則第九條の規定によ  る試験に関する件   —————————————
  2. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先程懇談会でお決めを願いましたように、職階制取扱につきましては、御懇談的にできました修正の案を英訳いたしまして準備をいたしまして、次の国会のときに適切に利用をいたしたいと存じます。さよう御了承願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井光次

    委員長中井光次君) それから職階制取扱衆議院委員長の方で、関係筋との御交渉があつたらしくて、今期議会には衆議院ではお取扱にならないようであります。従つて私の方では予備審査でありまするから、今議会では、この程度、先程御懇談で済ました程度にいたして置きたいと思います。この点御了承願いたいと思います。尚本日は人事院総裁も御出席でありまするから、人事院給與その他の問題について御質問をこれからいたしたいと思います。
  4. 木下源吾

    木下源吾君 先ずその給與の問題ですが、かねがね極く最近に勧告をするという御意向は承つてつたのですが、その後どういうような情勢になつておるか。新聞等で見ますると、大体現に決まつており、そうして勧告を提出する期限も殆んど確定的なような記事も拜見するのですが、この際総裁からはつきり一つ聽きしたいと、こう考えております。
  5. 淺井清

    政府委員淺井清君) 木下さんにお答え申上げますが、給與ベース改訂勧告は、その後、この前木下さんから御質疑等がありました時以来、段々と用意が整いまして、何日中に勧告を出す積りでございます。
  6. 木下源吾

    木下源吾君 ああいう新聞が出ておらんければ敢えてお聽きする必要もないのですが、一昨日ですかの時事新聞金額はつきり出ておりますが、ああいうふうに承知して差支ないかどうか。
  7. 淺井清

    政府委員淺井清君) 金額につきましてはここでちよつと申上げかねると存じます。ちよつと速記を止めて下さい。
  8. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を止めて。    〔速記中止
  9. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて。
  10. 木下源吾

    木下源吾君 いろいろ提案の期日勧告提出期日等は御考慮の上でなさつたことと考えるのですが、その考慮の中には、補正予算国会に上程されているために、従つて政府の都合も余程御考慮に入れられていると我々は忖度しているのであります。そこでそのことが実際に影響するのは、この年末、主として特に年末の公務員経済状態が非常に困る事情と関連して、補正予算審議中には出されなかつたのだが、勧告案がここ数日中に、補正予算が済んでから出るということになつて、年末救済のことですね、これは人事院には関係がないようでありますが、期日を御考慮なつたその中から、何かそういう方面のことを我々は酌みとることができるのか。そうでないと非常に公務員の方では……、補正予算審議中に出されれば、政府といろいろ関連して我々国会としても意見を述べることができたのですけれども、何せ補正予算が済んでからのことになりますので、実質のつまり年末給與については至大関係を持つと思う。そういう御考慮をなさる中には、やはり年末救済というようなことについても何らかのお考えがあつて然るべきのように我々は考えられるのですが、そういうことについて何か御意見ありませんか。
  11. 淺井清

    政府委員淺井清君) 内閣に年末賞與というようなお話がございましたが、これは私共は考えておりません。新らしい給與ベースは一日も早く実施できるように努力はいたすつもりでございますけれども、特に年末ということを考えてはいないのでございます。
  12. 中井光次

    委員長中井光次君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  13. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて。
  14. 木下源吾

    木下源吾君 御案内の通り人事院のいろいろの手続その他のことは、根本的にはやはり公務員生活経済上の問題に帰著するのであつて、そういう意味から考えますと、すでに御承知通り、年末の年末調整ですね、政府では今年はそう沢山はないようなことを言つておりますけれども、実際においては、我々のいろいろな調査計算においては、そうではない、相当なやはり調整額がある、こういうように考えておるのです。そういう点、又その民間労働者においても、これは政府職員影響は極めて大きいのです。実際のところ、そういう実際のことを勘案して見まして、どうしても私は年末の、実際の公務員経済事情を率直にこれを見て、何とかしなければならんのではないか、ならんのではない、絶対に必要だと思うのです。そういうことについて、総裁として、いろいろ法律だとか規則の面は別といたしまして、只今おつしやられた関係方面の方にも、何らか考慮があるというようなことも、これは支給する考慮じやないだろうと思うのです。そういうことが何らかの方法で、これを実現させるように、一つ努力を願えないものかどうか。こういうことを一つお尋ねするわけであります。
  15. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠にその点御尤もでありまして、この年末調整、その他日本の習慣としまして、年末には支出等も殖えるということは十分了解いたしております。これに対しまして、どういう手が打てるかということが問題になつております。この点は、実は人事院として考えてないのではないのであつて、いろいろその点、どうすればよいかということは考慮いたしております。これはちよつとここに申上げかねるのでございますが、努力はいたしております。
  16. 木下源吾

    木下源吾君 その非常に御心配になつておることは御尤だと思うのです。それは政府は最大の雇傭主であり、そのことは、一般の全日本の労働者影響があることであるから、人事院総裁立場として御心配になつておらないということならば却つて不思議なんです。但しそれを具体化する上において、この今期国会中に、国会が何らかの手続等を必要とするものがあるならば、私共は万難を耕してやりたいと、こう考えておるのですが、そういうことと関連して、国会とは何ら関係なく、あなたの御心配になつておることを実現させる、貫徹するようなことになるのでありますか。
  17. 淺井清

    政府委員淺井清君) これはどういたしましても、どのような方策を採るにいたしましても、やはり立法措置が必要だと思つております。ただその立法措置が、この会期中に、仮に私共の今の努力が成功しましたといたしましても、この会期中にやれるかどうか、ちよつと分りかねると思つております。
  18. 木下源吾

    木下源吾君 それではその点は御答弁で了承をいたしたことにしておきますが、次には、このいわゆる俸給ですな、俸給の号俸の、現在の五級乃至九級というようなところでですね。非常に頭打ちができるというので、こういうような、この法律を改正して貰いたいという実際実務者の多数の意見で来ておるのですが、先程渡した表でございますが、これが人事院で自主的に、独自の立場でこの実情をよく調査いたしまして、こういうような趣旨に副うように改正してやるというようなお考か、どうか。
  19. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今ここに頂いておりまするのは、全逓の方の従業員の表だと思つております。この問題は、非常に私共は初めから頭を悩ましておつた問題でありまして、つまり只今国鉄即ち従前の運輸省と比較いたしまして、全逓従業員の方が一般俸給表になつておりまするために、このような不便が出ておるわけでございます。この点は、若干はすでに政令の措置によつて少しよくなつたとは思つております。併し木下さんの御満足の行くような程度にはなつてないと思います。そこでこの問題は、今度人事院勧告を出しました時の俸給表が、それに添付されておるわけであります。いずれそのときに一つ国会で御論議を頂く、こういうことにもなろうかと思つております。
  20. 木下源吾

    木下源吾君 そうですか、了承しました。  その次は、嘗てもお飼いしたのですが、政令三百二十三号の特殊勤務手当は、御承知通り、二千九百二十円当時の決定で、そのままになつておるわけですが、このことは私共は、人事院では法二十八條で何んとか一つ勧告する必要があるのじやないか、こういうように考えるのですが、すでに国際電話交換職種では本俸に繰入れられて、なにしておるということは御承知通りでありますが、これはどういうようにお考えになつておるか、一つ……
  21. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは先ず根本的の解決としましては、解階制ができましたあとで、その給與準則の何ができますと根本的に解決いたします。つまり職種によりまして、それぞれふさわしい俸給ができるわけでありますから、この特殊勤務手当というのは大体において本俸の一部になる傾向にあるわれであります。ところが問題は、それまでに至る過程におると思うのでありまするが、つまり特殊勤務手当というものは非常に沢山あるのでございまして、数百種に上つてつたように思つております。而もそれが非常に偏在をしておる形にもなつておりまして、実はこれを漸次整理して行きたい、そこで従来人事院並びに関係方面意向といたしましては、ともかく現在の特殊勤務手当を一先ず凍結して置いて、そうして職階制に持つて行く、そこで根本的な解決をする、根本建前はそういうふうになつておりましても、本俸に組入れられたものもあり、そのまま残つておるのもあり、現在非常に不合理な状態になつておることは了承いたしますが、そういう状態になつております。
  22. 木下源吾

    木下源吾君 そうしますと、やはり職階制が全面的に動き出すという時期は、やはり一年なり二年なり掛かる。それまでは、やはり過程だというので釘付けされておるということになりますか。
  23. 淺井清

    政府委員淺井清君) まあ根本は、そういうことになつておるのでございます。それで私共としちや職階制を非常に急いでおるわけなんでございます。併し職階法ができませんと、給與準則ができないというので、それが解決しないてできないというので、一日も早く職階法の成立を希望しておるということになつております。
  24. 木下源吾

    木下源吾君 だが併し、実質的にですね、相当公務員の不利益になつておる面が顯著に現れるので、何とか救済する方法をお考えになることが至当だと思う。そこで問題は、二十八條一つ勧告するという建前を取られたらどうか。
  25. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは二十八條勧告の必要はないので、すぐ若しそういうことをやりまするならば、すぐ給與法改正案内閣提出で出してやればでき得るのだと思つております。
  26. 木下源吾

    木下源吾君 そのことの御盡力は願えないでしようか。
  27. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちよつと速記を止めて頂きたい。
  28. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を止めて。    〔速記中止
  29. 中井光次

    委員長中井光次君) 速記を始めて。
  30. 木下源吾

    木下源吾君 それでは、今国鉄ベースの問題は仲裁に掛かつておる。近くやはりこれも何かの案ができそうなんですが、これはまあ直接には人事院とは関係はありませんけれども、やはり全給與体系から行けば至大関係があると思います。あの問題については何かのお考えがないのですか。
  31. 淺井清

    政府委員淺井清君) 人事院といたしましては、この国鉄の方の給與改訂の問題とは全然関係なくこれまで参與を続けて参りました。実は、あれが調停委員会に掛かりましたときに照会がございました。個人的な照会もございましたけれども、私の方としては、私の方の独自の立場でやるので、決して相談などはいたしませんでした。又国鉄の出しておるのと調停委員会の出しております給與ベースというものとは何ら関係はありません。又算出の方法等も私共は知つておらないのであります。
  32. 木下源吾

    木下源吾君 最後にもう一つお尋ねしますが、本年度当初予算でも、尚補正予算並びに二十五年度予算を通じて集約されたところは給與の問題だと思うのであります、一番問題になるのは。そこでこれは民間を含めてでありますが、いろいろ税の軽減だとか、或いは一方には補給法の削限によつてマイナスの面、プラスの面は沢山ありますが、究極において予算の集中したところは労働者の賃金であります。これが最尖端になつてそのことが現れていると思うのであります。この場合、人事院はこの本来の目的のためにあらゆる方面からこの問題に注意をしなければいかん、私はこう思うのです。国会人事院至大な関心を持つているわけであります。この点については單なる法的技術、或いは規則の末端ということに捉われてのみおつたのでは、この大きな政治問題なり、発展するためには貢献しないと私は思うのであります。ここで人事院は、一つこのような非常に重大な関頭に立つてと言いますか、契機になつておるので、ここで一ふんばりして劃期的な活動を試みるという決意があるかどうかという点について、人事院総裁にお聽きしたいのです。我々は国会においてもあらゆる角度から、決議案或いは緊急質問、或いは又民間においてはこれは具体的な運動が熾烈に盛り上ることが今から予想されておる。こういう場合ですから、人事院としても従来のような立場でいろいろ制約を受けて、やりたいけれどもなかなかできません。法律はこうだ、規則はこうだ、或いは又関係方面はどうだということでなく、何らかの、集約して盛り上つて尖端に立つ問題を担当して、それらの利益を守つて行かなければならんという人事総裁としてはこの際一大決意を以てやられることが望ましいと思うのであります。そういう点について一つ考えを……
  33. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠に御尤もの仰せでございまして、人事院といたしましては、勧告いたしまする以上、この勧告が実現することにつきまして努力をいたし、又国会の御盡力をお願いすることでございます。この勧告はいろいろ技術的な内容のものではございますけれども、一面から見ますれば、これは人事院が百万の公務員に代りまして、その生活の苦しみを国家や国民に愬える、こういう意味を持つておりまするから、それに対して我々に責任があるということは申すまでもないと思つておるわけであります。
  34. 木下源吾

    木下源吾君 どうか一つ人事院総裁もこれを決意されて、若し勧告が容れられない場合においては、これは又我我も相当な考えを持つておりますが、総裁としては従来の決意を持つておるのではないかと思います。こういう希望を一つ……
  35. 寺尾博

    寺尾博君 私は試験の問題なんですが、先頃この委員会質疑がありましたそれ以来新聞試験やり方について多少出ておりますが、幾らかここで伺つたものより新聞に出ておることは違つておるように思うのですが、尚もう一度どういうような方針試験が行われるか、即ちこの試験によつては、それぞれ高級の官職に就くべき技能素質を持つた人が正しく選ばれにやならんのが目的で、その目的を達成するのにどういう試験やり方ですか、御承知の筈ですから、方針というものはお話下つてもいいのじやないかと思います。一応このことを更めてお伺いしたいと思います。
  36. 淺井清

    政府委員淺井清君) 寺尾さんの御質疑は、何か最近の新聞等を御覽になりましてかような御質疑があつたかとも思うのでありまするけれども、私共の方針といたしましては、すでに寺尾さんも御承知通り、優良な技能、そういう技術知識とに富んだ官吏を得る、これ以外にはないのでございます。
  37. 寺尾博

    寺尾博君 それは目的は、御説明を待たずして分つておるわけですが、その目的を達成するのに、どういう試験やり方やり方についての方針というようなもの、先頃伺いましたところでは、課長以上皆同一な試験をするというような話があつたようですが、と記憶しておりますが、新聞で見ると、何かもう少し複雑なような感じを與えているのですが……
  38. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 複雑なと申しますと、第一次におきましては行政能力試験でございます。これは各職類を通じて行うわけであります。第二次におきましては、六十の專門の職類に分けまして專門知識を、それぞれの職類に応じて專門知識最低限度知識試験を行うというのが建前でございます。
  39. 寺尾博

    寺尾博君 それですべて筆記試験を行うわけですか。
  40. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 試験筆記試験人物考査体格検査の三つを含む試験をするということになつております。
  41. 寺尾博

    寺尾博君 人物考査というのはこれは筆記試験ではないわけですね。
  42. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 筆記試験の中に含まれておりません。
  43. 寺尾博

    寺尾博君 試験のことはこれで了承いたしました。  この機会にこれから完全に組立てられる職階制の点に関係いたしまして、いろいろ実際には、或いはそこまで人事院がよくお調べになつておるでしようか、又お調べができておるかと多少疑問視しておる点が実際にあると思う。それでその一つとしまして、農業改良助長法によりまして農業改良普及員というものが地方に非常に数多くできておるわけです。これは今後の農業改良に非常な重要な役割をする。即ち農業改良に対する農家相談相手になる。これは自転車を與えられて、緑の自転車と称して、緑の自転車が走つて来れば相談ができる、こういうわけであります。この人達は晝も普通の時間にいろいろお勤めをするだけでなしに、夜農家行つて囲炉裏の端で農民と膝を交えて指導をしたりなんかしなければならない。初めからその役割をそういうふうに示されておるわけです。ところでこれは、形式的に言えば非常な超過勤務になると思います。殆んど毎日年中そういうふうな指導をしなければ普及員の本当の勤めを果し得ない。こういうふうになるわけです。それに対して若し超過勤務を出すということになるというと非常に大きな財政上の負担になる。又それだけの、恐らく……この俸給は国費から出すことになつておりますけれども、恐らくそれだけのことが組込まれていないと思います。この組織は国がやるのである。故に俸給も国で出す。ところがそうして数ケ町村一つ地区として、一つ地区に数人の公務員オフイスができておる。そこを本拠としてその地区内を駈け廻つて歩くと、こういうことになつておるわけですが、このオフイスの費用、又技術上の指導でありますからして、そこに顯微鏡だの、土壤酸性を検定する用具だの、資材だの、相当必要であると思う。ただ口だけではできない。この土地はどういう肥料をやつたらよいでしようということはただ口で以て言うというだけでは駄目で、それを持つて来てここで酸性を検定して見たりする。ところがそういう実験施設がないというので、今後の農業改良の重大なる仕組というものを機能化するために、自然地元から寄附金を集めてやらなければならん。熱心な所ではそういうふうにやつておる。国では、これは民間にそういう煩いをかけないで国がやるという、こういう建前であるにも拘わらず、実際においてはそういう地方地元の手がなくては成り立たない。従つて今日地元がそれだけ熱心な所ではそういうことをやつておりますし、そういうことのできない所では普及員が浮いてしまつておるような場合が非常に多い。この職階制を正しく作るような場合においては、或いはこれらは従来地方技術員というようなものがあつて、それでちよつと一見して、この普及員というものはそういう階級に属するような感じがするのです。ところがこれらの普及員專門学校或いは大学を出たそれだけの学力のある人を試験されて、そして相当の素質の高い人達が選ばれておる。或いは民間の団体の役員等を多年勤めてその方面経験の優れた者がやはり嚴密なる試験を経て資格を得て来ておる。以前には農村のそういう町村技術員というようなものは概して中等程度農学校卒業生であつた。これは表面上から見ると昔の技術員のような感じがするので、よく実情をお調べにならないというと、その人々が職階制の低い所に当嵌められる虞れが多分にある。若しそういうようなことになると、現在でさえもこういう施設が足りないために浮き上るような虞れがあるので、折角の農業改良目的が達成せられないことになるので、職階制の制定の場合はこれらの問題は非常に重要視してお調べ願いたい。この点について現在まで人事院はどの程度に御了解があるか、又これに関する今後の方針等に対する御見解をお伺いすることができれば幸いと思います。
  44. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今質疑農業改良普及員の点でございますが、丁度ここに担当者がおらないので、私の手許で分りませんので、御趣旨はよく御了承いたして置きます。早速取調べまして御手許に何か差出すことにいたしたいと思います。
  45. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 私からお答えいたします。一般的に申上げますと、実は職階制一つ目的は、名称職務内容とが多くの場合喰い違つておるので、職務内容をあるがままに調べるという建前であります。立派な名称を持つておるに拘らず実はつまらん仕事をしておるとか、或いはありふれた名称であるにも拘らず重要な仕事をしておるというようなのをはつきりして、その現実そのままの姿を描き出す。そしてそれを適当に格付けるということにある。このことが職階制の第一の狙いであります。お説のように今度の農業改良普及員は以前の農業会技術員などと違いまして、その地位の重要性というものは当然尊重しなければならないと思いますから、こういうことにつきましては実地に調査いたしまして万遺漏はないことと存じますが、尚御注意もございますから、早速その係の方に十分更に注意を喚起することにいたします。
  46. 寺尾博

    寺尾博君 やはり技術方面職員の点についてお伺いしたいと思います。従来試験場等におる者とか、中央においても地方においても農林省におる者も、地方ならば県庁の農務課におる事務系統をやつておる者、いずれも両方共技術出身である場合においても、それから尚高等文官試験通つた方であれば尚更ですが、事務官庁におる者と研究技術官庁におる者との資格とか待遇が非常に差がある。概して技術官庁に志願して、殊に中央研究機関等に入る者は同じ年度卒業生のうちでも、研究を志願するというような人柄ですからして概して優秀な人物である。卒業の成績と三年間の成績等をすつかり調べて見ても我々は採用の際にすつかり過去の成績調べて選考して見ておるのですけれども、非常に勝れた者だけを採つて来ておる。が待遇階級になりますというと、事務系統と初めから違うし、或いは初めやや似ておつても、一年のうちに忽ち異常な違いがある。尚それが高等文官通つた者の方となるともう一段違いがある。今度の職階制公務員法はそういう過去の欠点を是正するというのが主眼でありまして、我々は非常にこの組織が完全に行われることを期待しておるわけなんですけれども、これらの点については勿論人事院職階制の編成に当つて十分考慮されておることとは思いますけれども、一方では従来の実績とか、慣例とかいうことにとかく捉われ易い傾きがあると思う。御承知のことと思うのですけれども、折角これができて、これがすつかり釘付けされて、いよいよ今度は動きが付かんようになるようになると非常に困る。私はその点を老婆心的に非常に心配をいたしておるのでありまして、これに関する現在のお考え方を一応お聽きして置きたいと思うのです。
  47. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 只今寺尾さんのお尋ねは全く御尤もでございまして、寺尾さん御自身長い御経験からのお尋ねでございますし、実は中井委員長もよくその実情は御存じと思います。私も府県に長くおつてそういうような実情を具さに承知しておる次第でございます。仰せのように職階制というものはそういう趣旨によつて、現在と申しますか、従来のような事務官、技官の差別、或いは高文を持つている者、持つていない者によつて差別をするということを撤廃することを眼目としておるわけであります。でありまするから、仰せの御趣旨を実現するということはこの職階制一つ眼目であることには間違いないわけであります。然らばそのように差別をどういうふうにして撤廃されるかと申しますると、現在におきましても、この新給與実施法の改正が行われまして以来、事務官技官の区別に基く差別待遇と申しますか、そういうものは初任給の点においても或いは昇給の点におきましても、その他資格の点におきましても全然可なりな程度に差がなくなつて参りました。又従来でありますると、これも御承知のことでございまするが、局長になるにいたしましても、事務官が局長になるのと、それから技術官が局長になるのとでは可なりの年度の差があつたわけでございます。人事院に、人事院のことを申しましては恐縮でございますが、人事院に関しましても、事務官を局長にするのと技術官を局長にするのとでは可なりな開きが、実はその任用について要求せられたこともあつたのでございますが、それを押切りまして、事務官と技官との局長になる年度につきましては全然差違を設けないことにいたしたこともございました。又事務官と技官とが差があるということは非常に面白くない。それならばむしろ事務官一本の方がよいじやないか、どうせ技術系統の者であつても行政事務を実施するのに違いないから、これを事務官一本にしようというので、人事院におりまする職員は全部人事院事務官にいたしました。でありまするから、人事院事務官の局長課長の中で大部分の者、三分の一以上の率に達するかと思いまするが、これはいずれも本来各省の技官の地位にあつた者であります。局長の例を引きましても、大部分の局長は各省の技術出身であります。例えて申しますと、給與局長は大学の理科を出た技師であります。或いは職階課長は電気工学の方をやつていた技術官でありますが、皆すべて人事院におきましては事務官として対等に扱つております。で先般も申上げたことがあつたかと思いまするが、一日も早くこの事務官、技官という差別を撤廃いたしまして、そういうような差別に伴う待遇の相違を是正いたしまするためには、根本的な事務官、技官というような差別を廃止するのが一番よいわけで、事務官、技官を廃しまして、同時に一級、二級、三級という別を廃止する、そうして国家公務員一本にして、それのそれぞれの職員についてそれに相応した待遇を受けるということで名実共に行くと思います。それを実現するのが結局この職階制に関する法律であるわけであります。私共速かに御審議を頂くように願つておりますのも、この何十年来の事務官、技官という我が国の官吏制度を改めまして、そうしてこれに伴つておりましたような従来の、皆様も御経験なさつたよう差別というものが根柢から拭い去るというのが眼目でございますから、何とぞその点御了承頂きまして、速かに御審議頂きたいという法のが私の念願でございます。余計なことを申上げたかも分りませんが……
  48. 寺尾博

    寺尾博君 尚序でに他の具体的な場合についてお伺いいたしたいのですが、研究所において研究に従事する者の如きは、同一の專門に二十年でも三十年でも従事しておる。これによつて全くその技能を発揮し得るようになるのであります。又人の性質から申しましても、仮にそういう地位よりも、例えば局長などになつた方が待遇地位等が進むという場合にありましても、敢えて、それにそういう地位が進むところを願わないで、自分はやはり專門の遂に終始したい、こういう專門家が試験研究機関に非常に多いのであります。それは又宝である。ところが従来ではそれがいわゆる勅任と奏任等の区別があります。それでその定員が非常に、奏任三十名以上もある所に勅任は大体一人以上置かないと、こういうような関係で、立派な職責を果して貢献を挙げておるにも拘らず或る程度に止まり、又先が止つておるものですからして、昇進が遅れるようなことになつてつたのが現在であります。ところで以て、ここに又一方比較すべきものは大学教授であります。大学教授というものは、これは教育上非常に重要な地位にあるという考えからでありましようがすべて勅任である。今の一級官であります。大学に行くと一級官が何十人、何百人もいるというわけである。ところが同じような科学研究に従事しているにも拘らず、例えば元の商工省とか、農林省とか、鉄道省とか、そういう所にいる研究者は、殆んどその中の極めて僅かな人がその所長になるというような場合において、初めて勅任になり得たわけであります。ここにこの大学とそういう研究機関とにおいては、同じような人がいる。そうして又大学教授が欠員になつた場合にどこから来るかというと、概してそういう研究所の今まで高等官二等でいた人が、直ちに大学教授になる。三等でいた人が二等或いは一等の教授になる。こういうふうに大学とその研究所との間に、非常に大きな差別があつたわけであります。恐らく今度の職階制においても、私はこの従来の伝統が相当重んじられて来ているのではないかと忖度しているわけで、これらの点は職階制の制定に当つて、特に考慮を加えられるべき点であると思うのであります。その点についてすでに御調査になつたところでは、どういうふうにお考えになつているか、お伺いしたい。
  49. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) お答えいたします。この研究公務員の特殊性或いは特例の問題につきましては、関係機関も非常に御熱心に御研究になつているわけでありまして、人事院の当局ともしばしば打合せているわけであります。それがどういうような或いは特例法の形式でやるべきであるか、或いはその他の方法を用いてやるべきかということにつきましては、まだ最終の打合せまで行つておりませんので、研究公務員の特殊的な地位を十分に尊重して、その特殊性を発揮し得るように持つて行こうということについて、尚研究を続けることになつているわけであります。これはいつか羽仁さんからのお尋ねもあつた点でありまして、そういうようにお答えしたことがあるわけであります。閉会中もずつと研究を続けまして、何らかの成案を得ましたら、早速御報告申上げるようにしたいと思うのであります。  尚一級、二級、三級官であるとか、或いは勅任官の定員の例を引いて申されました点につきましては、実は御承知通り只今行政機関或いは研究機関において、一級官が何人である、二級官が何人であるということは、従来官制によつて定められていたのでありまして、それを動かすことができなかつた。而もその割振りが大学においては非常に多く、研究所においては極めて少かつたという事情で、研究員が非常に不遇な立場に置かれたということは明らかでありますが、少くとも現在におきましては……勿論近い将来におきまして一級官、二級官という制度が廃止になる予定でございますから、そうなれば問題はございませんが、現在におきましては、一級官、二級官、三級官というような制度があるのでございまして、併し制度はございまするが、実は現在のところでは各省につきましての定員はもうなくなつております。それでありますから、大学教授が沢山一級官になれますと同時に、こういう仰せ研究員で一級官になる資格を持つております者は、何人でも一級官になれる、こういうことになつております。例えて申しますると、いろいろな基準があるわけでございまするが、二級官をやりまして、二級官をすでに八年間経過した者は一級官になり得る資格があるわけであります。それはそれぞれの任命権者が人事院の審査と承認を経ますれば、これを一級官にすることができることになつております。現在のところ、各官庁につきましては前に申上げました通り、一級官とか二級官の定員はございませんので、それぞれの資格がある者について、人事院の審査と承認を経まして、それぞれの官に任用するということになつておりまするから、実は一級官というものが現在のところ何も実益はございません。直接一級官になつたから俸給が上るというものではございませんが、一級官というような制度があります以上は、一級官の資格がある者はこれを一級官にしてやるということが当然な措置だろうと思うのであります。そういう制度があります限り、従いまして一級官という制度がありまする限りにおきましては、もう大学教授と研究員との間に取扱上の差別がないように実際上において行われていると思つております。或いは現在まだそういう趣旨が徹底いたさないで、そういうことが行われないといたしまするならば、これは速かに各行政機関の長におきまして、即ち任命権者の方におきまして、そのような措置を採るべきものであろうと存じますし、何か又具体的な問題でもございましたら、お尋ねによりましてお答え申上げたいと存ずるのであります。
  50. 寺尾博

    寺尾博君 もう一つお伺いいたしたい。さつきの專門的の研究に従事する者は非常に長年月に亘つて同じ職務に従事するわけなんですが、そこで、これは職級の分け方に関係して来るわけなんです。それが或る一つの職級に非常に長くいると、最後は先詰りになる。それを打開するには、もう一級上の職級に試験を受けて合格しなければ、打開ができない。これは一般にそれで然るべきことだと思いますけれども、その研究に專念するような場合においては、そのことが研究者を結局不遇な地位に陥れるような虞れがありやせんか。その職級の分け方にも関係して来ると思います。それで私はこの職階制について、殊に職級の制定ということについて、一般は普通今日考えられているようなことでよろしいが、特に專門の研究に徹頭徹尾終生従事しているというような場合には、その点が一つの障碍を来たす虞れはないだろうか。職級を制定する場合に、その点について特別の考慮を拂つて頂きたい。只今お話通り研究員等については如何に特殊の取扱をしようかということを御考究中であるというお話であるが、そういう点を特に御注意を拂つて頂きたいと考えております
  51. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) お答え申上げます。今のお尋ね点は、これは職階制に関する根本問題でありまして、従来の我が国において考えられて来た考え方との喰い違いが一つある点だと存じます。一つの点は、例えば自動車の運転手であるとか、汽車の運転手というようなものを例に取つて見ますと、これらの者がその地位に長くいればいるだけ、どこまでも俸給を上げてやるべきである。二十年勤続した者よりは三十年勤続した者の方が俸給が上るべきであるというような考え方で従来やつて来たわけなんでありまするが、この職階制の場合におきましては、必ずしもそうは行かない。実はその官職の属する職級の、一言で申しますれば、価値といいますか、職務と責任の内容、これがどの程度の高さかということを計りまして、結局その高さの最上限まで達する。それは或る程度の年月によりまして、技術が殖え、責任が殖えて高くなるわけでありますが、一定の天井がある。その高さまで行つたならば、たとえ幾ら長くおりましても、その天井で打切る。むしろ段段年が寄つて来るにつれて、機関車の運転手の例を取りますと、極く働き盛りの時は……、東海道線の特急車を運転する機関手の場合におきましては、これは最高の俸給を與える。併し段々年を取つて来て、今度は支線の運転をするというような場合においては、むしろその級が下るというような考え方が職階制一つ考え方であります。極く分り易い機関手の例を申上げたわけでありますが、御指摘の研究公務員のような場合におきましては、これは又立場が、考え方が違いまして、このような場合におきましては、根本的におきましては同じような考え方だろうと思うのでありますが、その研究公務員の職位というものの重要性というものは、これは主何手の場合とは違いまして、非常にこれは高い地位にあるわけでございまして、その地位の高さをどこまで持つて行くか。それを他の行政官職の長、局長であるとか、そういうような地位と必ずしも簡單に比較できない。これはいよいよその地位にいてその研究の価値を増す。従つてその官職の地位を増す職務内容と責任がいよいよ重要になつて来るわけでありますから、そういうものについては相当にその職級の中を設ける。それによつて、その職級の中にいることによつてその他の一般行政職の地位につくよりも不利益なことのないようにすることが必要だろうと思うのであります。このことは実は大学教授のようなものにも通ずるわけであります。大学教授の職階制を布くことが困難なことは、実は教授内容というものを機械的に考えますると、最初の極く新進の教授と、或いは三十年の経験を積んだと教授と、そこに教授するという内容について同じではないかというような機械的な考え方からいたしますると、そこに何段階もの職階制を布くことが困難になつて来るわけであります。そういうように研究公務員というものは、大学教授のような地位と非常に似たものがあるわけでありまして、職級の設定ということがこのような地位につきまして極めて困難であり、又且つ重要な問題であると存じます。お尋ねの点もございますので、これの決定につきましては特に愼重に考慮いたしたいと存じております。
  52. 寺尾博

    寺尾博君 もう一つ職階制の制定は不公平がないようにというのが一つの重大な原則であります。これは併しながら事務的から見た見方であつて、もう一点何と申しましようか、政治的に見る見方と申しまするか、とにかく今後の日本再建におきましては、科学を重んずるということは、これは非常に重大な日本再建の一つの要素であります。従来、先程来申上げましたことと、又御了解もあるごとく、この研究者が概して不遇に置かれている。重んぜらるべきものが却つて重んぜられていない。このことが日本の科学と文化のために非常な障害になつておる。昔と今日とは全くセンスが違うのであります。そういう科学研究に従事する人は、單に公平ということよりも、終生それに沒頭するというような地位にある者は、普通の場合よりもより高い地位に優遇して、後顧の憂いをなからしむるという、これによつて初めてその方面の、科学文化の進歩が期待されるわけであります。職階制を論じている面においてはそういうセンスは殆ど現れていないように思うのであります。これは政治的に考えて、職階制にもそういう政治性を加味して、科学研究者というものをそういう意味において職階制の上において、職級の決定なり、或いは格付けの場合に関係して来ることだろうと思うのでありますが、そういう見方をこれに加えるならば、非常に一層進歩したところの大きな職階制ができる。これが今日の日本に対して最も適当なものである。人事院はとかく機械的にこの職階制を決定しようという、いわば政治のセンスが全然ないのじやないかというような感じをさせられるので、そういう点を相当考慮に加えて行くべきじやないかと私は思いますが、御意見を伺いたい。
  53. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) 非常に大きなお尋ねでありまして、お答え申上げられるかどうか分りませんが、第一点は、俊来ともすれば技術系統が抑さえられて、事務系統が重んぜられて来たということを、そういう差別を撤廃するということによりまして、可なりこの科学の尊重の基礎ができ上るのじやないか。後は公平な立場においてそれに相応した実力が発揮できれば、今度は……制度上におきまして公平な基礎ができれば、後は力の問題で、殊にこの科学技術が尊重せられることはこれは当然のことでありまするから、一生を科学技術の公務の従事する職員は、それに相応した待遇と尊敬を與えられなければならないことは当然であります。同時に又事務系統におきましても、これも国家に十五年二十年勤めて、働き盛りの事務官が四十そこそこで、実は官界から民間の方に飛び出して行つて他に生計の途を求めるというのも、これは国家の投資の面から考えましても非常に不経済なことなのであります。極く卑近な例を引いて申しますると、アメリカの調査によりますると、或会社の下級のクラークを養成するのは一千ドルの経費が掛かる。併しマネージャー、或いは專務取締役というようなものを養成するのには百万ドルの経費が掛かると申しております。我が国におきましても、実は従来事務官系統の者が四十そこそこで局長になり、或いは次官になり、四十半ばでその官省を去ると申しますことは、働き盛りの者が官界を去るわけでありまして、これも国家的見地から見て非常に不経済なことだつたのであります。今後の国家公務員制度の下におきましては、事務系統たると科学系統たるとを問わず、相当高い年令まで、十分に一生の中働ける年令はこれを公務に捧げるのでありまするから、恐らく六十以上、六十二三乃至六十五六というものが将来におきましては、実は停年の標準になるだろうと思うのであります。将来の退職制度の基礎といものを、六十五なり、六十二三になつて退職したら今度はその時の俸給に対しまして比較的高い率の恩給が老後のために支給される。こういうような構想になるだろうと思うのであります。そういうことを考えて見ますと、事務たると技術たるとを問わず、とにかく公務員で一生を捧げる者についてはその一生働けるようにして、そうして老後を安定できるようにするということが考られるわけであります。そういう点におきまして、事務たると技術たるとを問わず、公平な待遇が得られるというのが国家公務員法職階法目的であります。それらのそれぞれの職級をどういうように評価するかという点になりますと、これは非常に高い価値判断を必要とすると思うのでありますが、只今寺尾さんの仰せられたような高い政治的な意味における価値判断を必要とするわけであります。特に官職をどういうように価値判断するかということは、これは非常に重要な問題でありまするが、これは職階制が一応でき上りましてから更に愼重に考慮いたしまして、給與準則の等級を当嵌めるというような場合におきまして現れることであります。まだ先の問題でありますが、そのような当嵌め方におきましては現在の新給與実施法の職務の級の十五級の割付け方というようなものとは可なり違つたものになるだろうと思うのであります。問題は非常にお尋ねが大きいのでありまするが、ごく低い意味において、お答えになるかどうか存じませんが、お答えいたします。
  54. 寺尾博

    寺尾博君 御説明によつて大体私の希望するところと同じものをお考えになつておるようで大いに了承いたします。ところでそういうお考の下にできた職階制又は格付等が実際できた場合にどうなるかということについては我我は深い関心を持たざるを得ないわけです。人事院が專門的におやりになれば必ず安心ができる、信頼ができるというようになることを私は期待しますけれども、もう人事院に委せればそれでよいというだけでは我々の気持がどうも許せない点がある。職階制法律案についてもそういう気持が相当そこにあるとお考えになつて頂く必要があると思います。
  55. 岡部史郎

    政府委員岡部史郎君) もう一つお答え申上げたいと思います。実はこの法律案を御制定頂きますれば、実施できるものから実施するという建前で、例えて申しますると、私共考えておりますのは、一番やさしいものから先ず職級を決定し、これに格付して行つて見よう。今直ぐ考えておりまするのは、例えば技工というようなものがありますが、我工の職群につきまして職級を決定し……これは可なり進んでおりまするが、技工については官職をそれぞれ格付して行つて見ようと、こう考えております。一般行政職でありますとか、研究公務員の格付問題等はこれは殊にむずかしい問題でありますから、これは後廻しになると思います。技工などについて格付をやつてつて見まして、これにつきましていろいろ御批判を頂きまして改善して頂きまして、将来の他の職群の格付の参考に資したいと思つておりますから、いろいろ御指導を頂きたいと思つておる次第であります。
  56. 中井光次

    委員長中井光次君) それでは本日はこれを以て閉会いたします。    午後零時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     中井 光次君    理事            木下 源吾君            小串 清一君            寺尾  博君    委員            北村 一男君            岩男 仁藏君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総長 佐藤 朝生君    人事院事務官    (法制局長)  岡部 史郎君