○帆足計君 中国の問題につきまして、私も同様な趣旨の
質問をいたしますから、御一緒に
お答えを願いたいと思います。私は
為替の運用上、中国との
輸出貿易が過小評価されることを非常に憂慮するものでございます。従いまして先程第八條の規定について御
質問したわけでありまして、先程
通産大臣は中国との
貿易も占領軍の
政策と同調しつつ考慮せねばならんという
愼重なお話がありましたが、確かにそうでございますけれども、私は占領軍の
政策、
連合軍司令部としての占領軍の
政策は尊重せねばなりませんけれども、
アメリカ一国の利益にただ
日本が追随するというのは、必ずしもそれだけでは妥当でなかろうと思います。民主主義を学び自尊心を持つ
国民として、やはり自国の利益、正当なる利益は主張し、それと
アメリカなり、
連合軍の利益と調整することが最も賢明な友好的態度であると思います。それで私は中国の問題につきましては、これは
日本に取りましては
アメリカと違いまして、又御
承知のように、あのイギリスが非常な努力をしておりますことは、皆様御
承知の
通りでありますけれども、そのイギリスとも違いまして、
日本に取りましてはいわば死活の問題でございます。従いまして中国を除きました
日本の
貿易、又は
日本の
復興というものは、それはかたわの
貿易であり、かたわの
復興である。
日本として中国との合理的な
意味の何らかの提携の道を探さなければ、私は
日本の将来の希望というものは絶対にあり得ないと信ずるものであります。ところが由来我が国は御
承知のように非常に封建性の強い国でありまして、思想問題に対しまして、ただ彈圧と憎悪を以
つて対処するという伝統の牢固たる
日本でありまして、私は
日本の敗戦後の今日、又資本主義社会には
相当の
欠陷がございますから、貧困と失業と深刻な生活不安があるときには、当然その必然的な結果として
相当激しい思想が生まれることも、これは当然のことでありまして、何ら驚く程の問題では私はない、健全な社会現象で、健全と申しますよりも、必然的な社会現象であると思います。従いましてこれらに対する対策としましては、結局
日本産業の健全な
復興、健全にして合理的な社会制度、そうして明日への希望、そういうものがそれに対する最大の
復興の保障であると思います。従いまして、我々が
連合軍の
政策を顧慮することは必要でありますけれども、然らば
連合軍の
政策がどういうものであるかということについて私はい人によ
つて認識が違いますけれども、共産党に対しましては
アメリカの下院の外交
委員会の共産党の戰畧に対する報告書というのを見ましても、
日本の著しく保守的な方々が
考えておる
考え方とは
相当距離があるのではなかろうかと思います。これは思想問題等につきまして、
政府がよく
政策を発表されました後に、
連合軍司令部の特にガヴアーンメント・セクシヨンからよくそれを抑制し反省を促すような反対声明が出る事実を以て見ましても、我々がよく経験しておるところでございます。
そこで然らば占領軍では極東に対してどういう
政策を今や
つておるかと申しますと、御
承知のようにジエサツプを
委員長としまして、極東
政策並びに
アメリカの
世界政策は検討中でありまして、最後の
言葉はまだ発表されておりませんけれども、先日私共財界人はローガン氏にお目にかかりました。そのときに出た内々の話でありましたけれども、中国、満洲等に対する
日本の
貿易というものが、如何に重要なものであるかということは、十分理解しておられる様子でございました。又中国との
貿易につきましてはパリ、ロンドン、サンフランシスコ等の商工
会議所は相次いで積極的声明を発し、そうしてイデオロギーを離れて
貿易の必要を非常に強調しておるような現状にありますのに、何故か謙譲の美徳と申しますか、引込思案と申しますか、それとも臆病と申しますか、
日本の
産業にしましても、亦それぞれの
関係方面にしましても、中国との
貿易はまあ止むを得ない、なしでもや
つて行けるかのごとき印象を与える程、
日本の輿論が弱いことは、非常に私は遺憾であると思いますけれども、然らば占領軍の
政策はどうかというと、本日のジエサツプ氏の国際
連合における演説を見ますると、中国に対しまして、門戸開放
政策の明朗なる
アメリカの態度を発表されております。私はこの本日のジエサツプ
委員長の発表は、
アメリカの
世界政策のみならず、極東
政策についての重要な結論の
一環を発表したものであると思われ、極めて注目に値するものであり、同時にその
内容は、さすがに
アメリカ合理主義の
言葉であるとして、我々もこれは極めて妥当な、そうして
世界の平和のために公正なる、極めて合理的な極東
政策の行き万を暗示するものであるという感を受けました。先般蒋介石、李鐘晩、キリノ大統領が太平洋同盟を作ろうとしましたときに、
日本の与論はそれを
相当誇大評価したようでありますけれども、直ちに
アメリカ及びイギリス
政府の反撃があり、そうして反対にキリノ大統領はその修正案を出しました。その修正案は極めて合理的な、やはり思想に対する問題はただ思想として見る。そうして現実においては合理的な社会制度
国民の自由、そうして明日への
復興という健全なる
政策に協力するということが
アメリカの
政策のようでございました。そのような
政策並びに本日ジエザツプの声明を見ますると、私は中国に対する態度は
アメリカ同様に明朗であり、そうしてイデオロギーを離れて、
協定すべきものは
協定することが必要である。そういうような方針は可能であるということを一層痛感するわけであります。本日の国際
連合に対する
アメリカの極東
政策の一端が発表されましたことは、実に
日本の講和條約に取
つても重要な前触れをなすものであり、先程の
和田さんの言われましたように、このローガン声明に引次ぐ本日の
法案の運用の将来につきましても、非常に明朗な前途を約束するものでありまして、このように
アメリカの
政策を合理主義的に理解しまするならば、中国に対しまして、余力消極的であり過ぎる必要は私は毫もないのではないかと思うのであります。勿論
アメリカとしましても、
相当右翼的な人もおりますので、いろいろな議論が行われ、甚だしきに至
つては、台湾は又
日本に戻すというような馬鹿げた新聞記事が、
日本の新聞を賑わしたようなことがありまするが、それは
アメリカにもいろいろの人がおるという証拠であります。我々は
アメリカの
政策の中の最も合理的な客観的なものを大体見て、それによ
つて日本の方針を同調させる必要があるのである。そういう観点から見ますと、実業
方面に御練達の
通産大臣としましては、私は中国問題をもう少し強くお取上げ下さ
つて、そうして前の吉田さんの声明は、総理には若干の経緯が、ございましたけれども、そうして私は総理の声明のし方などは、中国、
アジアの状況に関しまする限りは、お年のせいもありましようが、少し頑迷過ぎると
考えて、そういう印象を受けておりますが、内外ともそういうふうな印象を受けておるようでございます。従いまして通商
大臣におきましては、それらの事情を勘案されまして、やはり積極的に
産業の
復興並びに
貿易の振興を担当しておられまする所管
大臣といたしまして、中国の
貿易に対しましては、公正妥当な見地から大体イギリスと歩調を合せて、そうして早く再開のできるように、その條件といたしましては、私はやはり本日のジエサツプ
委員長の声明の線、
日本に飜釈しますと、やはり中立と平和と新憲法の線で参りますならば、必ず中国との親善
関係はこれは確保できると思いますが、
為替運用
委員会が、若し国際情勢の認識を誤まりまして、中国との
貿易に対して消極的態度をとり、
為替、
輸出入許可、認可等の仕事におきまして、退嬰萎縮するような方針をとられるようなことが万一ありとしまするならば、非常に不利になるということを痛感するわけでございます。従いまして
通産大臣がそれらの点についてどういうお
考えをお持ちにな
つておられますか、御所見を承わりたいと思います。