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1949-11-25 第6回国会 参議院 経済安定・大蔵・通商産業連合委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月二十五日(金曜 日)
—————————————
委員氏名
経済安定委員
委員長
佐々木良作
君
理事
西川
昌夫君
理事
安達 良助君
理事
帆足 計君 藤枝 昭信君 和田 博雄君 川村 松助君 横尾 龍君
池田七郎兵衞
君 奥 むめお君
藤井
丙午
君
大蔵委員
委員長
櫻内 辰郎君
理事
波多野 鼎君
理事
黒田 英雄君
理事
伊藤
保平
君
理事
九鬼紋十郎
君 椎井 康雄君 森下 政一君 玉屋 喜章君
西川甚五郎
君 木内 四郎君
油井賢太郎
君
小林米三郎
君
小宮山常吉
君
高瀬荘太郎
君
高橋龍太郎
君 中西 功君 川上 嘉君
木村禧八郎
君 米倉 龍也君 小川 友三君
通商産業委員
委員長
小畑 哲夫君
理事
島 清君
理事
廣瀬與兵衞
君
理事
玉置吉之丞
君
理事
兼岩 傳一君 栗山 良夫君 下條 恭兵君 田中 利勝君
小林
英三君 重宗 雄三君 平岡 市三君 中川 以良君 小杉
繁安
君 境野 清雄君 阿
竹齋次郎
君 宇都宮 登君 鎌田 逸郎君 宿谷 榮一君 結城 安次君 駒井 藤平君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
外国為替
及び
外国貿易管理法案
(内 閣送付)
—————————————
午後一時三十九分開会 〔
佐々木良作
君
委員長席
に着く〕
佐々木良作
1
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは
委員会
を開会いたします。
経済
安定と
大蔵
、
通産委員会
の三つの
連合委員会
を開会いたします。
外国為替
及び
外国貿易管理法案
の
審議
でありますが、
経済
安定の
委員会
の所管に
なつ
たわけでありますけれども、非常に問題が重要でありますために、今の
大蔵委員会
と
通産委員会
の
連合委員会
を申込みまして今日の
連合委員会
に至つたわけであります。従いまして、
連合委員会
の慣習に従いまして、一応私が
議事
の
進行
をやりますが、両
委員長
、
大蔵委員長
並びに
通産委員長
の助けを借りながら
議事進行
をいたしたいと思います。尚今日の
予定
といたしまして三時以降は次の
委員会
の
予定
もありますので、一応三時までで第一回の
連合委員会
を打切りたいと、こう
考え
ます。同時に今日の
委員会
におきましては、
法案
の
提案理由
の
説明
を第一に伺い、それから第二番目に
提案理由
の
一般説明
だけでは不十分な点があるかとも思いますので、
條文
について重要な点の御
説明
を
提案者
からお願いする、そうして三番目に
希望
もありますので、この
法案
の
経過
、現在の
提案
に至るまでの
経過
につきまして、非公式にお話を伺いたい、そうして時間がありましたならば、四番目に
一般質問
に入つて行く、こういう順序で
議事
を進めて行きたいと思いますが、よろしうごさいましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
2
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは最初に
安定本部長官
から
提案理由
の
説明
をお伺いいたします。
青木孝義
3
○
國務大臣
(
青木孝義
君) 只
今本委員会
に
上程
に
なつ
ておりまする
外国為替
及び
外国貿易管理法案
の
提案理由
につきまして御
説明
申上げます。
我が国
の
経済
は
外国貿易
を初め
対外取引
に依存するところが大きいのでありますが、最近の
国内経済
の安定及び
国際経済
の動向よりしまして、
国際経済
との
接触面
がますく深まり、
我が国
の
国際経済
への
参加体制
を速かに確立することが必要にな
つて参つたの
でございます。
従つて
この際従来各部内に分れてお
つた対外取引
に関する諸法規を整備統合して
一つ
の
基本法
を作り、これによ
つて輸出貿易
を
原則
として自由とし、又
輸入
を
民間貿易
に切替える等
貿易
の伸張を図る三共に、
国際慣行
に合致した
外国為替管理制度
を確することが必要と
なつ
たのであります。これがこの
法案
を
提案
する
趣旨
であります。 この
法案
の
要旨
について申しますと、(1) 内閣に
閣僚審議会
を
設置
し、
外国
為替予算
の
作成
に当ると共に、
外貨
資金
の使用はこの
外国為替予算
に基 いて許されるものとし、すべての対
外取引
は
大蔵大臣
の指定する
基準外
国為替相場
及び
通貨
によるものとす ること。(2)
外国為替銀行等
は、
大蔵大臣
の認
可制
とし又
為替銀行
か
外国
にある銀 行と
業務
上の
契約
をするには
外国
為 替
管理委員会
の
承認
を受けなければ ならないこと。(3)
政府
は、必要に応じて
外国為替
貴金属等
の
所有者
に対しそれらを外
国為替特別会計
、
日本銀行
、
外国
為 替
銀行等
に売却する等その
集中
を命 じ、又は
対外債権
の
回收
を命ずるこ とができること。(4)
外国
に対する
支拂
、
外貨債権外貨
証券等
の
取得処分
、
通貨
、
貴金属
、
証券等
の
輸出入
につき、必要に応じ
政府
の
許可
を受ける
義務
を課するこ とができること。(5)
貨物
の
輸出
については、
統制
を最 大
限度
に止め、特別の必要ある場合 に
限り範囲
を定めて
通商産業大臣
の
承認
を受けることを要すること。(6)
貨物
の
輸入
については、
承認
を受 けることを要する旨を定め、又
輸入
しようとする者に対して
担保
の提供
義務
を課することができること。(7)
関係業費
の
権利保護
の見地から、
政府
の
処分
に対し、不服の
申立
及び 訴訟の道を拓いていること。 このように、この
法律
の
適用
となる対象は、
外国為替
及び
外国貿易
に関する
国際取引一般
でありまして、その
範囲
は頗る広汎且つ包括的なものでありますが、
国際收支
の改善につれて之れ
ら制限規定
も逐次
緩和
して行く
方針
で、その旨明記してありますし、又
国際経済情勢
の
変化
に適宜即応せしめるため、具体的な
手続等
については
政令
に委讓し、その彈力性ある効果的な
運用
を図るつもりであります。 以上
外国為替
及び
外国貿易管理法案
の
提案理由
の
要旨
につきまして御
説明
申上げましたのでありますが、この
法律
の
実施運用
により
外国貿易
を初め
国際取引
が大いに促進され、
我が国経済
の発展に寄與するところ大なるものと期待しております。この
法案
について御
賛成
を得ましたならば、
輸出
に関する新
手続
は十二月一日より、
輸入
に関する新
手続
は来年一月一日より
実施
したい
考え
であります。何とぞ御
賛成
をお願いする次第であります。
佐々木良作
4
○
委員長
(
佐々木良作
君) 続いて
條文
につきまして、
重要点
の御
説明
を願いたいと思います。
外国為替管理委員
の奧村さん。
藤井丙午
5
○
藤井丙午
君 ちよつと
説明
に先立つて
希望
があるのであります。その
只今上程
になりました
法案
を私共通読いたしまして、なかなか
内容
が広汎でありますと同時に、相当
專門的知識
を要するような点がございますので、御
説明
の際は
條文
をできれば具体的に
例等
を引用して分り易く願いたいと思います。
奥村竹之助
6
○
政府委員
(
奥村竹之助
君) 本
法案
の
内容
を御
説明
いたします前に、この
法案
に盛込まれております
特色
を摘んで申上げたいと思います。 第一の
特色
は、国際的な感覚をこの
法案
に取入れていることであります。この
法案
は、
日本
が将来
国際通貨基金
に加入し、同
基金協定
の定める
管理
の
原則
に
則つた管理方弐
を
日本
で
実施
することを前提といたしておりますので、この
法案
の
規定
に、すでに
国際通貨基金協定
の
規定
に準じたものも取入れております。例えば第三條で諸
制限
を逐次緩和又は廃止することに
なつ
ておりますのは、
国際通貨基金
や
世界貿易憲章
の理想に一致しておりますし、又
外国為替相場
に関する第
七條
の
規定
にて、
基準相場
と一定の開きの
限度
を置きましたのも、
国際通貨基金協定
の
規定
に則つておる次第でございます。
講和会議
に伴いまして、対
日援助方式
の切換えとか、或いは
国際通貨基金
への
参加等
を初め、
外国為替
、
外国貿易
並びに
外国資金
の
管理
を近く大幅に
日本政府
に移管されることが予期されるに至りましたので、更に当面の問題といたしまして、
輸出入
の
民間移管
の前提といたしまして、
日本側
の
外国銀行
は、
外国為替業務
を再開し、いわゆる
コルレス契約
を結ぶなど、いずれも
日本
に対する
信用
を
基礎條件
とする大きな問題が山積いたしておりますので、この
法案
は、これらの解決に対して基礎的な方針を與え、
日本
がどのような
管理
をこれからしようとしておるのであるかということを、
国内
のみならず、広く世界に明らかにしようとしたものであります。 第二の
特色
は、
外国為替予算
という考えを取入れたことであります。本
法案
の第三章は、この
予算
に関するものでありますが、この
予算
は限られた
対外支拂力
をどのような商品の
輸入
、或いはどのような
貿易外支拂
にどのように配分するかということを定めるものでありますから、
我が国
の
対外信用
に大きな
影響
を持つばかりでなく、
国民
の
日常経済生活
、ひいては
我が国
の
産業構造
にも大きな
影響
をするものでありますから、第三條に
規定
しております通り、その
作成
の
責任
を
閣僚審議会
が負うことに
なつ
ておるのであります。 第三の
特色
といたしまして、最も能率的な
外国為替
及び
貿易
の
管理
を目標としておることであります。
管理
を逐次緩和又は廃止することを目標としておりますことは、第
二條
に
規定
されておりますが、第六章
外国貿易
の項では、
輸出
が
原則
として自由であることを認め、又
輸入
につきましては具体的な規則は
政令
に委ねておりますが、
原則
として
外国為替予算
の
範囲
内で、
民間業界
の
自由活動
を俟つことを定める
予定
であります。更に従来は
取引
の各
段階ごと
に
許可
や
承認等
を受けておりましたものを、今後は第二章の
外国為替銀行
に関する選定に基きまして、
原則
として
銀行
の窓口におきまして必要な
手続
を履むだけで足りる、そうして
国民
ができるだけ
官庁
の煩瑣な
手続
に煩らわされないということを狙つておる次第であります。 第四の
特色
は、
為替
及び
貿易
の全般に亘りまして、必要な限りの
管理
の網を張りめぐらしておることであります。隙き間のある
管理方式
では、資本の逃避や、
我が国
の
国際收支上
の損失を招くばかりでなく、又
外国
の
信用
を博することもできません。従いまして本
法案
におきましは
嚴格
な
属地主義
を取りまして第六條で
居住者
、非
居住者
という定義を設けました上、第四章で
嚴格
に
外国為替集中
の機構を定めまして、
居住者
ばかりでなく非
層住者
におきましても、その持つております
支拂手段等
に対して、
集中
上必要な
義務
を課することにいたしております。又第五章の
制限
及び
禁止
に関する項では、この
法律
で認められた
政令
や省令で定められた場合を除きまして、
国際收支
や
国際貸借
に
影響
を及ぼすようなあらゆる
取引
を
禁止
又は
制限
しております。第
五條
において一部
属地主義
を採つておりますのも、こうした
管理
の網を完全にするための措置の
一つ
でございます。このように、必要な限り
管理方式
は広汎且つ
嚴格
に
規定
されておりますが、今後この
法律
に基きまして制定されました
政令
で、実際の
運用
上の幅が與えられることに
なつ
ております。 以上のような四つの
特色
を申上げることによりまして、本
法案
の輪廓を御了解頂いたと存じます。以下各條の具体的な
内容
の
説明
を順を追つて申上げます。 第一章は、第
一條
から九條までの総則でありまして、第
一條
におきましては、この
法律
の目的を明らかにし、第
二條
は
制限
を緩和し、又は廃止することの再検討をしなければならんとありまして、この
法案
が自由な
為替
及び
貿易取引
の実現に努めているものであることを明らかにしております。第三條では、先程申上げましたように、
外国為替予算
の
決定
が、非常に
国民生活
に重要な
影響
を及ぼします。特に自由な
輸入制度
を採りますと、
日本
の
国内
の価格並びに
統制等
に対する
影響
も非常に大きなものでありますから、これは
政府
の
最高責任
である閣僚の
審議会
によつて
決定
されることを
規定
した次第でございます。第四條では、
我が国
の
外貨資金
の
運営
に当る
外国為替管理委員会
の設置を定めた
規定
でありまして、
今期議会
に提出されます
外国為替管理委員会設置法案
が、本條にいうところの別の
法律
に当るわけであります。これは
外貨資金
の
集中
並びにその
管理運営
は、国の内外より非常な関心を以て見られておりますので、その直接の
責任者
であり、又本法の
施行
の
中心機関
となるべき
外国為替管理委員会
を内外に知らすために、ここに
一條
を設けた次第であります。第
五條
も、先程申上げましたように、本
法案
は
属地主義
を採用いたしまして、
居住者
、非
居住者
の別を以て
管理
しているのでありますが、その欠を補うために、
属地主義
の一部をここに取入れた次第であります。第六條は、定義の項でありまして、十六号までございますが、そのうち特に御注意して頂きたいのは、五号、六号、七号、八号、九
号等
であります。五号、六号では
居住者
と非
居住者
の別を明らかにしております。本
法案
では、随所に
居住者
と非
居住者
とを使い分けて、法の通用を必要に応じて変えておりまして、
本邦
人と
外国人
とに対する
法律実施
上の面倒を避け、
適用
の
範囲
を明確にいたしております。そうして
居住者
、非
民住者
の区別のはつきりしない場合は、本條第二項によりまして
大蔵大臣
がこれを定めるということにいたしております。七号八号及び九号の
支拂手段
と申します言葉は新らしい用語でありまして、従来の
外国為替
や、
信用状
に分れておりましたものを総括して用いております。第
七條
は、
外国為替相場
に関する
規定
でありまして、第一項の
基準相場
はすべての
取引
を通じて單一とすること、第二項の各
外国通貨
について正しい
裁定相場
を
決定
維持すること、及び第五項の直
物取引
の
相場
の開きを一%以内に限定しておること、これはいずれも
国際通貨基金協定
の
規定
に則つたものであります。又ここで御
説明
いたしますのは、「
裁定外国為替相場
を
決定
し」ということに
なつ
ておりますが、第二項であります。
裁定決定相場
と申しますのは、例えば一ドル二百六十円と決めております際に、一
ポンド
が四ドル三セントだから、二ドル八十セントに変りましたときには、
ポンド
に対して円の
相場
を千八円と決めましたごとく、常にドルとか、
ポンド
とか、その他
外貨
間の
裁定相場
に順応して
我が国
の
相場
を
決定
するという意味でございます。同條第四項におきましては、
外国為替
の
売買相場
及び
取扱手数料
を、
銀行
が自由に
決定
せられておりました戰前の
状態
を
原則
として、その間
我が国
の
経済状態
が平常化するまでの
過渡期
には、必要に応じて
外国為替管理委員会
がこれを公定することができるという
趣旨
であります。第八條は、
大蔵大臣
の指定する
通貨
で
取引
が行われなければならないことを
規定
したものであります。これは例えば、現在
我が国
の
対外支拂手段
といたしましては、米ドルと、
英国ポンド
のみを指定しておるような
規定
でございます。第九條は、
国際経済
の非常に急激な変化がありましたとき、例えば或る国が
為替相場
を変更したというような場合に、
我が国
の
対外取引
に不利な
影響
を及ぼす虞れがあるようなときには、
一定期間政令
を以て
取引
の停止を命ずることができることを定めたものであります。 第二章は第十條から第十
五條
まで、
外国為替銀行
及
び両替商
に関する
規定
であります。第十條は、
外国為替銀行
及び
業務
の開始や変更及び廃止に対する
大蔵大臣
の監督を
規定
したものであります。第十
一條
は、
外国為替銀行
及び
外国
にある
銀行等
と行務上の
取引
を結ぶ際しおいて、
外国為替管理委員会
の
承認
を受けるべきことを定めたものであります。これは主として、いわゆる
コルレス契約
に関するものでありますが、
コルレス契約
をいたしますと、いずれその
相手先
の
銀行
に
外貨資金
を置く必要がございますので、
資金
を
管理
いたします機関でありますが、
外国為替管理委員会
が
契約
の
内容
を一応検討する必要があるために設けた
規定
でありまして、
コルレス取引
を
嚴格
に
制限
するという意図を持つておるものではありません。第十
二條
は、
外国為替銀行
が顧客と
取引
をする際の
確認義務
に関するものでありまして、
輸出入
及び
貿易外取引
につきまして、
官庁
の
承認
や
許可
に代
つて銀行
の確認を以て足りることにして、正常な
為替貿易取引
に復帰しようとする際におきまして、
銀行
の能率的な能力を活用すると共に、その重大な
責任
を明らかにする
趣旨
の
規定
であります。第十三條は、
外国為替銀行
の新たなる重大な任務に鑑みまして、その
違反行為
に対する制裁を明らかに
規定
したものであります。第十四條は、
両替商
に関する
規定
で、将来外客の来住が激しくなるにつれて、その携帯する
外貨
の交換の便宜を図るため、その必要に応ずるために備えたものであります。例えば
只今
では
交通公社
がその
両替業務
に該当する仕事をしております。第十
五條
は、
外国為替銀行
、取
び両替商
の
報告義務
に関する
規定
であります。 第三章は、第十大條から第二十條に亘りまして、
外国為替予算
の
作成
、変更及び効力について定めたものでありまして、その
重大性
に鑑みまして、
作成
上の考慮すべき事項を掲げ、特に
通常予備費
と
非常予備費
とを設けて、
資金
の彈力性ある
運営
や、
対外信用
の保持に手落のないように定め、又
閣僚審議会
の
決定
に十分な権威を與えるように
規定
しております。 第四章は、第二十
一條
から第二十六條までで、
外国為替等
の
集中
を
規定
したものでありまして、
輸出
又は
貿易外收入
で取得する
外貨支拂手段
を、先ず
外国為替銀行
に
集中
し、これを
外国為替特別会計
に
集中
して、
我が国
の
外貨資金
の
集中的運営
に遺憾なきを期したのであります。従いましてこの章では嚴重な
属地主義
を取りまして、
我が国
に居住しておりますものは、
本邦
人と言わず、
外国人
と言わず同様に取締るという
趣旨
を徹底したのであります。第二十
一條
では、
居住者
、非
居住者
とを問わず、この
本邦
内にあります
対外支拂手段
並びに
本邦
内にあります
貴金属等
の処置について
規定
したものでありまして、第二十
二條
は
居住者
のそれらの者に対する
規定
でございます。第二十三條では非
居住者
の持つておる
国内支拂手段本邦通貨表示
の
債権
、
証券等
についても保管、登録の
義務
を課し得るものであります。又
外貨資金
の
集中
の徹底を期するため第二十六條では、非
居住者
に対する
債権
を取得した者に対して必ず取立てねばならないし、債券の減免や取立ての猶予をして
資金
を海外に置くことも許されないことといたしております。 第五章は、
制限
と
禁止
に関する
規定
で、第一節の
支拂
、第二節の
債権
、第三節の証券、第四節の不動産、及び第五節の
役務等
につきまして、
外貨
の流出、又はその原因となる
行為
をこの
法案
の他の
規定
、
政令
及び
大蔵省令
で定める場合を除いては
嚴格
に
禁止
して、先に述べました本
法案
の
特色
の
一つ
でありましたように、広く完全な
管理
の網を張つておる次第であります。併し
輸入
について
民間輸入方式
が
予定
され、それも第二章の
規定
に基きまして、
原則
として
外国為替銀行
の窓口だけで必要な
手続き
が済むという
政令
が
準備
されており、
貿易外支拂
についても
輸入
に準じた
方式
がとられることと思いまするので、
政令
と
大蔵省令
の実際の
内容
においては、可能な限り正当な
行為
については
制限
が逐次緩和されて行くのであります。即ち一応この
法律
におきまして、何でも抑え得るような網を張つておりますが、実際は
政令
並びに
省令等
におきまして日常の
取引
に不便のないように期しておる次第であります。 第六章は、四十
七條
から五十
五條
までを
規定
したものでありますが、
輸出
に関しましては、先ず四十
七條
で
輸出
自由の
原則
を明らかにいたしまして、第四十八條では例外の特定の場合にのみ
通産大臣
の
承認
を要し、而もそれは必要な
最小限度
でなければならないと定め、又
輸出代金
が
政令
で定める
方法
によつて確実に
回收
されるかどうかは、
我が国
の
外貨收入
に大きな関係がありますので、第四十九條で
通産大臣
が
輸出
しようとする者からこの点に関する十分な証明を求め得ることにいたしました。更に第五十條では、いわゆる安売り、
不正競争等
のそしりをうけないためにも、
仕向国
の法令に考慮を拂うことを要求し、又第五十
一條
では緊急な場合、一ヶ月以内の期限を
限つて船積
を差止め得ることといたしております。これは先程
為替取引
の停止において御
説明
申しましたと同じような
趣旨
でございます。
輸入
に関しましては、第五十
二條
で、
外国為替予算
の
範囲
内で最も有利な且つ有劾な
輸入
を図るということを
原則
といたしまして、
輸入
の
承認
を受ける
義務
の具体的な
範囲
や
方式
につきましては、
政令
に委任して、機動的に
運営
することを定め、第五十
五條
では
輸入
しようとする者が、その確実な実行を保証するため
担保
を提供する
義務
を負うことある旨を定めておりますが、これが
方法等
については、同じく
政令
に委ねて、事態に即した
方法
による
運営
を図ることといたしております。これらの
政令
につきましては、
主務官庁
において
準備
をいたしておりますので、いずれ更に詳しい
説明
があると存じます。而、第五十三條では
違反者
に対する制裁を、第五十四條では
輸出入
と
税関事務
との
不可分関係
に鑑みまして、
通産大臣
の
税関長
に対する
指揮監督
及び委任に関して
規定
いたしております。 第七章は、第五十大條から第六十四條までで、
政府機関
の
決定
に不服のある者は
申立
をし、
公聽会
で意見を述べ聽聞をなすことについて
規定
いたしております。これは
国民
の権利を保障することを目的としたものであります。 第八章は、第六十
五條
から第六十九條までで、雑則を纏めたものでありまして、第六十
五條
では、本
法案
が
公正取引委員会権限
に何ら
影響
するものでない。第六十六條では、
政府機関
の
行為
についての
規定
第六十
七條
及び第六十八條はそれぞれ
主務官庁
の
報告徴收
及び立入検査の権限、第六十九條は本
法案施行
に関する事務の一部を
日本銀行
又は
外国為替銀行
に委任することについての
規定
であります。 第九章は、第七十條から第七十三條において、本案の
條項
、或いはそれに基く命令に違反した者に対する罰則の
規定
であります。 附則におきましては、第一項で
施行期日
を定め、
政令
の
準備
と、それから
我が国
の
只今
の被
占領下
にある
特殊事情等
によりまして、全
條項
を一律に
実施
できないものがありますので、遅くとも
昭和
二十五年三月三十一日までには全
條項
が
施行
されることを
規定
しております。第二項は、本
法案
の
施行
に伴いましで廃止される法令六件を掲げ、第三項及び第四項は
経過規定
を定めたものであります。
只今
のところでは第四項
外国為替
の
集中
、第五章
制限
及び
禁止
の
條項
、この二章に
規定
いたしまする
條項
が
我が国
の現在の
状態
に適応するのに研究すべき箇所が多々ございますので、この両章の
規定
と、それから第五十
二條
及び、第五十
五條
、これは五章の中でありますが、
輸入
に関する
規定
でありますが、この新らしい
方式
の
輸出
は
法案
が通りますれば、十二月一日から
実施
したいと思つております。
輸入
に関する新らしい
手続き
は、
準備
の
都合上昭和
二十五年一月一日より
実施
を
予定
しておりますので、この五十
二條
及び五十
五條
はそれまで
実施
を延ばしまして、その間に必要な
政令
を
準備
する。それから第
七條
の中の一部、第三項以下でありますが、これもまだ折衝を要する事項がございますので、十二月一日には、つまり本
法律
の
施行期日
の全体の期日には間に合い兼ねるかと思いますので、これも暫く延ばす。併しこれはできるだけ早く折衝の終り次第
実施
するつもりでおります。五十
二條
、五十
五條
は遅くとも本年十二月末までに、第四章、第五章も遅くとも明年三月三十一日までに
実施
いたす
予定
でございます。 これを以て一応逐條御
説明
を終らして頂きます。
佐々木良作
7
○
委員長
(
佐々木良作
君) 次いで、すぐ
一般質問
に移るわけでありますが、その前に、先程申上げましたようにこれは特別に相当重要な
法案
でありますので、そうして会期が追つてから
審議
が付託されたわけでありますので、
提案
になる前の
法案
作成
過程における
状態
を少しお聞きして置いた方がいいという
希望
もありますので、そのように取計らいたいと思いますが、よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
8
○
委員長
(
佐々木良作
君) 御異議ないと認めます。ちよつとお諮りいたしますが、今の
説明
は、でき得れば祕密会にして頂きたいという
政府
からの要望でありますが、よろしうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
9
○
委員長
(
佐々木良作
君) そのように取計らいます。祕密会に入りますから議員、国務大臣、
政府委員
及び
事務
をとる職員以外の方は御退場願います。 午後二時二十一分秘密会に移る
佐々木良作
10
○
委員長
(
佐々木良作
君) 祕密会に移ります。速記を止めて。 〔速記中止〕
佐々木良作
11
○
委員長
(
佐々木良作
君) 速記を始めて。それではこれで祕密会を解きます。 午後二時二十五分祕密会を終る
佐々木良作
12
○
委員長
(
佐々木良作
君) 本日はこれで散会いたします。 午後二時二十六分散会 出席者は左の通り。
経済安定委員
委員長
佐々木良作
君
理事
西川
昌夫君 安達 良助君 帆足 計君 委員 和田 博雄君 川村 松助君 奥 むめお君
藤井
丙午
君
大蔵委員
委員長
櫻内 辰郎君
理事
波多野 鼎君 黒田 英雄君 伊藤
保平
君 委員 森下 政一君 玉屋 喜章君
油井賢太郎
君
小宮山常吉
君
高橋龍太郎
君 川上 嘉君
木村禧八郎
君
通商産業委員
委員長
小畑 哲夫君
理事
島 清君
廣瀬與兵衞
君
玉置吉之丞
君 委員
小林
英三君 小杉
繁安
君 境野 清雄君 国務大臣 国 務 大 臣 青木 孝義君
政府委員
外国為替
管理
委 員会委員
奥村竹之助
君
経済
安定本部貿 易局長 谷林 正敏君