○衆議院議員(栗山長次郎君) 御指名により
委員各位のお許しを得まして、提出責任者であります衆議院の観光事業方策樹立特別
委員会の
委員長といたしまして、かいつまんだ経過、及び
只今委員長から
審議の
議題に供されました、
国際観光ホテル整備法案の、立案の趣旨につきまして御
説明をさせて頂きます。
衆議院の観光特別
委員会は、五月にできまして観光事業を振興するためには、いかようなる條件、要綱によりこれを調査し立案し、企画したらばよかろうかという調査要綱なるものを作り、逐次深さを増して調べたのでありまするが、調査をいたしますに当りまして、観光事業に
関係のある、各行政機関から
資料の提出を求めましたところ、主としてそれは運輸省及び運輸省に
関係の深い全
日本観光連盟、それから交通公社、ホテル協会、観光旅館連盟等から大
部分の
資料が出て参りましたので、私共の
委員会としては調査、及び立案に大変な便宜を得たわけでございます。
それを申上げますのは皆様におかせられましても、更に掘下げての
資料をお求めの際には私共の所持しております
資料は、殆んど全部運輸省にありますことを申上げて置きますことが、御
審議上御便利だと存じまして申上げる次第でございます。
只今申上げましたように、全般に亘
つて調査を進めてみましたところ、皆様すでに御案内と存じますが、このホテル、総称して外客宿泊施設、この点が再発足の段階にあります我が国の国際観光事業としての、最大隘路であるということに突き当
つたのでございまして、それではとにもかくにもホテルから地に足がつくようにして行こう。ホテルを振興して行き、逐次外のものを取り上げて参議院の方々とも協力して振興を図ろうということで、この
国際観光ホテル整備法案として纏めましたものを取り上げたわけでございますが、御案内の通り観光事業は国際収支の均衡を図ります上の重大なる
仕事でありますが、それだけに各国が競うてこの事業の振興を図
つております
関係上、我が国の現在の設備を以てしては、到底いわゆる国際競争に伍して進んで行くことができませんので、先づ或る
程度まで理想的に参りませんといたしましても、或る
程度まで宿泊施設の標準を上げて行かなければならん。今のままでは
日本に来訪しました多くの人達の所感を聽きますと、これでは再び来る気がしない。又友人知巳に
日本の観光を勧める気がしないというのが多くの人の述懐でありますので、或る
程度まで標準、基準を上げて行くということが
一つと、それから現在は自由に営業しておりますホテルというのは十ぐらいきり全国にございませんで、收容
人員数から行きましても六百名
程度でありますから、第二点はもつと宿泊キヤパシテイを増さなければならん。この二つでございますので、基準といたしましては、恐らく御手許に
法案がおありのことと存じますけれども、別表第一に掲げるがごとき基準を、可成り方々の
意見を汲んで一応設けたのでございます。
それからホテルだけでは外客の宿泊施設としてなかなか間に合う
程度までに早急には行くまいという現実の要請に鑑みまして、別表第三に掲げますごとく、
日本旅館中環境よく、場所がよく
比較的優秀なものを外人向けに改装することを奨励する
意味において別表第三に掲げました
日本旅館の改装に際しての基準を掲げましたのでございます。かような基準に達するホテル若しくは
日本旅館は現在のところ極めて少くないのでありますが、これを多からしめるということが、本
法案の目途とするところでございまして、かような基準に達するものが現在あれば、これは現在自由意志により登録することができるという定めにし、登録をいたしましたならば、
日本旅館、それからホテル及び第二の
日本旅館共に助成をしよう、又さような基準に合うものを新設する場合には、更に助成の度を高めようということでございます。助成の方途といたしましては、既存のものでこの基準に達するものにつきましては、第八條に盛
つてありますように、耐用年数を若干現在よりも短縮することによ
つて幾分の助成を期そう既存のものでこの標準に達するものの受ける助成
方法というものは、第八條にございます耐用年数を新たなる限度に改めることによ
つて若干生ずる利益と申しますか、恩恵と申しますかあるわけであります。耐用年数につきましては別表第二を御参照頂きたいのでありますが、この表などにつきましても、どこをどう間違
つたか、司令部の某々
方面あたりには、一番しまいに出ておる五年というだけを報告して、特にこの
法案について悪い印象を流布しておるようなもののあります遺憾さを昨日体験したのでありますが、鉄筋コンクリートの建物を現在は査定八十年とな
つておりますものを、四十年にする、以下それに準じて現行制度よりも若干ずつ短縮いたして行きますということでありますが、それは法人税の軽減という結果にはなりますが、現在この問題としては米国
あたりにおきまして、鉄筋コンクリートのホテル用の建物の耐用年数は査定三十年であります。ニユーヨーク
あたりのあの頑固な岩の上に建られたものでさえさようなものでありますのに、地震国であります
日本の建物、殊に陳腐化の速度の早いホテル用の建物が八十年ということは、まだそうした建物に経験のなか
つた時代に定められた制度をそのまま現在も踏襲しておるのでありまして、私共はいろいろな建物を実地調査をしまして、四十年というように抑えたわけであります。何かそれに準じて大体実際に即した年数をそこに挙げたつもりでございます。新たに建てられましたものにつきましては、建築が終りました年から五ケ年間家屋税及び同附加税を半分にするということによ
つて、若干の助成にしようという点を探
つたのでございます。この点につきまして、一番問題が衆議院の
審議中にもあ
つたのであります。
申し遅れましたが、衆議院で立案をいたしました当初要綱を作りましたのは、三ケ月以上前のことであります。要綱ができるごとにこれを開放して、どなたにでも御批評を下さるように、又御
意見を開陳する機会を絶えず開放的に開いてお
つたのみならず、業者の方と
関係者の代表、役所の方々が
審議中、いつでも御出席にな
つて御
意見を開陳なさるように取計
つたものでありまして、縦から横から各
方面の批判の加わ
つておることを申し添えて置きたいと存じます。
さような機会におきましても家屋税が問題に
なつたことがございます。殊に家屋税の減額について問題になりましたのは大蔵
委員会であります。その根元は大蔵省にあ
つたと存じますが、私共の眼前に展開された御
意見は大蔵
委員会からでありましたが、かようなことがあ
つたものでありますから、衆議院の中におきましては、大蔵、地方行政、厚生、運輸、通産まで加わ
つて、末だ例を見ない五つの常任
委員会と当該
委員会との連合審査会を開いて、十分なる議論を展開して貰
つたわけでありますが、その際議論されましたことは、
只今御
説明申上げております家屋税の減額について、特に民間の注意を惹きました点は、これを実施するごとによ
つて課税の公正を害する懸念はないかという点であります。つまり在来の業者に対しては家屋税の減額という恩典はない。新たにできたものだけあるので、同じ宿泊施設を業とする者でも、
一つは税の軽減がある、他は全くないということ、これは税の公共の原則に反するではないかという御議論でありました。私共傾聽いたしたのでありますが、調査をいたしますというと、国が必要と認める産業の助成上、税の軽減をいたしております場合は沢山あるのであります。それも長所になりますが、又国策を振興いたします上に、国が必要と認めた場合には、税によ
つて助成をいたしておる例も沢山あります。それから操業早々であ
つて、担税力が稀薄であるものをこれは助成しなければならんというので、減税をしておる例もありますので、
只今申上げましたこの点につきましては、当該
委員会としてはこれでよろしいのだという結論に達しております。今
一つの家屋税に対する見解、議論は、地方財政をこれによ
つて圧迫するのではないかという論点でございます。併し本
法案の定むるところは、家屋税を五ケ年間半減する対象は新規にこの規準によ
つてやられるホテルだけでありますから、現在あるものから徴収されておる家屋税には増減はないのであります。そこの地元にプラスに
なつた建物に対して課けられる家屋税について、五ケ年という限定をおいての減税でありますから、現在地方で収納しておる家屋税には増減がないという点から圧迫にはならん、のみならずたとえ半分でもプラスになる、五年後には全部取れるということで、家屋税
收入という観点から申せば、プラスにこそなれ、減額にはならんから、圧迫という論は成り立たんということで、その点は解決を見た次第でございまして、序でながら申しますが、この税の額減によ
つて助成をすることの善し惡しについては、これを
日本側から特に注意を喚起したものと想像される節において、
関係方面の御
意見が大分あるようであります。私共は敢てこれを採択いたしましたゆえんのものは、助成をいたしますと、助成の
方法として取り得るものは補助金を支給するか、税の減免による、この二つきり国としてはないのでございますが、補助金によりますことは、御案内の通り現在弊害が百出しておりますので、この補助金の制度を、新たに作られる
法案に採用することは、
関係いたしました
委員の、誰一人として賛成するところとはならなか
つたのであります。補助金の弊害については皆さん知悉されておられますから、ここに憎まれ口は利きませんでございますけれども、さようなわけで、私共は補助金をやめて、僅かではありますけれども、ここに減税の方途による助成を
考えたわけでございますが、大したことではないのじやないかという御議論もございました。併し
日本が国策上、国として、たとえ僅かであ
つてもこういう具体的な事項を挙げて外客の宿泊施設を助成するのだということの、海外に與える影響は大きいと存ずるのであります。一般の海外の人たちには、直接には響きますまいけれども、飛行機会社にいたしましても、船会社にいたしましても、トーマスクツクにいたしましても、
日本が外客誘致について何をするかということについて注目をいたしておりますので、これは対外的に政治的なる
意味を多分に有効に含むと
考え、その辺にもこの立法の効用とでも申すべきものを私共は
考えたわけでございます。
審議中しばしば参議院の
関係の方々と非公式に内審査をいたし得ましたことも私共の誠に幸いと存じているところでありまして、かように、各派両院協力して下調べのできましたことは、新らしい角度からの立法としていろいろ御
意見はあるにいたしましても、今申上げましたような趣旨、又
方法によ
つて、外客誘致上一番の隘路である宿泊施設の拡充ができまするならば、国際観光事業の振興上、具体的な措置として大いなる効めがあろうと存じている次第でございます。その他の
規定は、当然なければならん
規定ではございますが、骨子は
只今申上げましたようなところにあることを御了承賜わりたく存じます。
尚冒頭に申上げましたように、運輸省及び運輸省の
関係外郭団体に
資料は十分ございますから、必要の場合には私共にお申し下さるなり、そちらの
方面に直接御下命あらんことを申添えますと共に、立案に際しまして、衆議院の法制局、鮫島第三部長以下係りの人が非常に協力をし、又創意を加えて下さいましたので、立法技術上の点に関しまして御
質問等がございましたならば、第三部長以下にお質しを願いたく存じます。さような次第でございますすので、衆議院の観光特別
委員会提出
法案としてこちらとも内々の協同内審査はいたしておりますけれども、何とぞよろしく御
審議賜わりまして、私共の微衷をお汲み下され、本案の成立にお力添え賜わりたくお願い申上げます。