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1949-11-29 第6回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十九日(火曜 日)    午前十時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付)(右法律案に関し  証人の証言あり) ○小委員長報告小名浜海上保安署保安部に昇格の  請願(第五号) ○網代岬観音高燈台新設に関する請願  (第二十二号) ○陸中黒崎燈台設置請願(第二百  四号) ○郡山市に測候所設置請願(第四十  五号) ○松阪改修工事施行に関する請願  (第五十九号) ○塩釜港の第一種重要港認定等に関す  る請願(第六十三号) ○宮津港湾修築に関する陳情(第六十  五号) ○機帆船燃料割当増加等に関する請願  (第五百十八号) ○郡山駅舎改築促進に関する請願(第  六号) ○吹田駅北出口地下道掘さく工事促進  に関する請願(第十五号) ○紀伊東線始発駅松阪駅まで延長の  請願(第四十三号) ○様似、広尾両駅間に鉄道敷設請願  (第七十五号) ○遠別築別両駅間に鉄道敷設促進の  請願(第百二十四号) ○遠別築別両駅間に鉄道敷設請願  (第三百二十八号) ○国有鉄道用品購買制度改正に関する  請願(第百二十五号)(第四百六  号) ○大越駅名呼称訂正に関する請願  (第百二十六号) ○野沢、萩野両駅間新駅設置請願  (第百四十三号) ○草軽電気鉄道株式会社営業路線縮少  反対に関する請願(第百六十八号) ○相生、西大寺両駅間に鉄道敷設の請  願(第二百八十一号) ○湯の元駅に急行列車停車請願(第  二百三十八号) ○久之浜駅にこ線橋架設請願(第二  百六十三号) ○板橋駅旅客ホーム改造に関する請願  (第二百六十五号) ○要田駅確認に関する請願(第二百七  十五号) ○中村、新地両駅間に駒ヶ嶺駅設置の  請願(第二百八十三号) ○大垣駅、樽見間鉄道敷設に関する請  願(第二百八十六号) ○福岡県脇田、中久原間に国営バス運  輸開始の請願(第三百二十七号) ○朱鞠内、羽幌両駅間に鉄道敷設の請  願(第四百九号) ○大橋、足ヶ瀬両駅間に上有住駅設置  の請願(第四百三十三号) ○岐阜駅改築工事促進に関する請願  (第四百三十六号) ○北陸線増設工事完成に関する請願  (第四百九十七号) ○浜松、米原両駅間および米原、姫路  両駅間鉄道電化促進に関する請願  (第四百九十八号) ○堺港臨港線完成促進に関する請願  (第五百六十五号) ○観光事業振興緊急対策に関する請願  (第五百六十六号) ○陶磁器貨物運賃通算制実施に関す  る請願(第六百二号) ○酒田港の国有鉄道用石炭陸上輸送切  替に関する請願(第六百六十六号) ○山形、北山形駅間府県道大曽根街  道山形停車場踏切こ線橋架設の陳  情(第一号) ○多治見、名古屋両駅間鉄道電化に関  する陳情(第五号) ○浜原、備後十日市両駅間鉄道敷設予  定路線中一部変更等に関する陳情  (第七十一号) ○国際観光事業の助成に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○通運事業法案内閣提出・衆議院送  付) ○日本通運株式会社法を廃止する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道所有地内にある日本  通運株式会社の施設の処理等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○公聽会開会に関する件   —————————————
  2. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより日本国有鉄道改正法案に対する証人喚問の形式におきまして、公聽会を開きます。  本日は御多忙のところ御参集下さいまして誠に有難うございました。御参集をお願いいたしましたのは、日本国有鉄道運賃法改正只今委員会で審議いたしておりますので、この点について皆様の御意見を伺いたいためであります。  改正案内容はすでに新聞紙等で御承知のことと思いますが、本法案目的国有鉄道貨物運賃を八割値上せんとするものでありまして、その主旨は去る五月に国鉄においては旅客運賃を値上したのでありますが、経済上の事由その他で今年度八十六億の赤字を見込まれております。この赤字補填のためと海陸運賃調整目的とで今回の貨物運賃の値上を政府は企図しているのであります。現在の貨物運賃原価に対しまして四八%にしか過ぎませんので、公正な原価を償う建前から、貨物運賃の値上を政府は企図しているのであります。貨物運賃の八割値上をいたしましても政府調べによりますと、物価に対する運賃割合は四・一%でありまして、昭和十一年の四・六%に対して尚低くなつていると言うのが政府の見解であります。以上運賃改正の要旨でありますがこれにより海陸運賃調整は概ね期待されると政府考えておるのでありますが、資料等手許に差上げてありますので十分御覧の上御意見を承わつて委員会参考にいたしたいと思うのであります。  尚時間の都合がありますので誠に恐縮でありまするが、お一人十五分以内の程度でお願いいたしたいのであります。尚又委員諸氏より各位に対して質疑があろうと思いますが、これに対しましても簡單明瞭に英六分ぐらいの程度において御答弁を願いたいと思います。本日御出席になりました参考人三井船舶一井氏、日産協木村氏、東洋経済新報の榎本氏、旭海運の小山氏、日本トラック協会の森田氏、全国金属労組の神長氏、東京中小工業協議会の伊藤氏、これらの方々であります。本日御出席になりましたる順に御発言を願いたいと思います。尚専門員より運賃改正内容の大略について御報告をいたします。
  3. 古谷善亮

    専門員古谷善亮君) 私専門員古谷でございます。運賃改正内容の大略につきまして只今委員長が申されましたので、又新聞にも出ておりますので、大体御了承と思いますので省略いたしたいと思いますが、お手許に配付した各一料につきまして資料の三、四ケ所を、ごく手短かに御紹介いたします。八十六億の赤字があるということは第五表に出ております。これが予想されておる赤字であります。これは財政上の選曲と次に海陸運賃調整目的があるのでありますが、その関係の方は第十五表にございます。第十五表には現行改正後の鉄道と汽船の運賃比較が出ておりまして、鉄道を一〇〇とした場合の指数が出ております。これを御覧置き願います。次にこの運賃改正貨物運賃の値上ということにいたしました一つの大きな理由は毛貨物運賃原価を割つておるということなんでございますが、その資料は十四表に出ております。貨物の屯粁当り運賃に対しまする輸送原価昭和十一年以降列挙してございます。その終りの方に昭和二十四年度、二十五年度が出ておりますが、大体四八多程度になつております。それで運賃改正をした暁において物価に対する影響如何ということでありますが、物価運賃との割合については十二表に出ております。この中欄の数字昭和二十四年七月における実績でございまして、この欄の終りの方に運賃制式口数字が出ております。先程昭和十一年と比較して云々と委員長から言われましたが、昭和十一年のは左の方に四・六一%と出ております。改正後における予想の数字は右の中の欄に四・一%と出ております。以上簡單でありますが、先程委員長が申されました数字の出ております表を御紹介申上げた次第であります。
  4. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより御出席の順序によつて発言を願いますが、その前に宣誓書捺印をお願いします。    〔証人宣誓書捺印
  5. 板谷順助

    委員長板谷順助君) では三井船舶の社長の一井川保造君。
  6. 一井保造

    証人一井保造君) 最初に私の意見を結論的に申上げたいと存じます。今回の鉄道運賃改正につきましては、各産業或いは各証人等によりましていろいろの御意見、文中にはその影響から考えまして無理からん御要求、或いは御意見があるかと存じまするが、私ほ大局から考えまして鉄道運賃の今回八割改正につきましては、それは必要であり且つ妥当であると考えております。以下私の考えを申上げたいと存じます。  国の交通政策につきまして海と陸とは車の両輪のごとく、これを一元的に考える必要があると考えます。それは一つは海も陸もその能率を発揮するという観点から考えまして、又第二には公正な競争をするという観点から考えまして、一国の輸送力を十分に発揮させるという大きな観点からして、これは一元的に又相関して考える必要があると思つております。申すまでもなく鉄道は従来国家企業といたしまして経営されて参りました。大体これに対しては金利或いは償却或いは保険或いは租税等の費目につきましてはこれを考えない。一方海運につきましてはこれは普通の私企業といたしまして、一般企業と同様な立場経営をして参りました。最近の事例を見ますると、鉄道におきましては御承知通り莫大な国家予算上の赤字を出しまして、従つて運賃面におきましては低率でございましたが他方予算面において莫大な赤字が出ております。今回この鉄道公共企業体として独立採算制に変つたということは今後鉄道経営能率化するという観点から考えましても、又先刻申上げました海陸輸送の公正を図るという観点から考えましても、誠に喜ぶべきことであると私は存じております。  さて独立採算制建前で行くということになつて参りますと、現在の運賃ではやつていけない、旅客運賃の値上には限度がある。貨物運賃はどうしても引上げなければいけないということは、これは先刻もお示しになつ貨物運賃を上げて、そうして独立採算制を行う一方合理化し能率を上げて行く、本当に一つり事業としてやつて行くということは、これは必要であると存じております。八割値上が妥当かどうかという観点につきましてはこれはいろいろの意見があると存じまするが、今回の改正の一面に海陸運賃調整という問題がございますが、勢い海の方からこの問題についで比較して申上げたいと存じます。先刻も表で海陸運賃調整後の運賃比較について御説明がございましたが、海陸運賃調整につきまして或いは現在の海上運賃が高過ぎるのではないか、従つてこの点についての疑問が起るかも知れませんが、これにつきまして、いささか御説明をしたいと存じます。  御承知通り戰爭によりまして我が国海運は大体九割見当船舶を失いました。今後の日本海運というものはこれは新進船基礎にしてやつて行く必要がございます。ところが現在の新造船建造値段というものは戰前比較しまして非常に上つております。上つておりまするが併しこれを国際的に考えて見ますると、極く大ざつぱに申しまして、イギリスの新造船価比較しまして七割乃至三四%、これはタービン貨物船ディーゼル船ディーゼル・タンカー種々ございますが、タービン貨物船日本を一〇〇としてイギリスは一〇七、ディーゼル貨物船日本を一〇〇としてイギリスは一三四%、タンカーは日本を一〇〇としてイギリスは一一二%、かようにイギリスの方が高いのであります。アメリカは又イギリスと共に大分高いのでありまして、大体アメリカイギリス比較しまして五割乃至一〇〇%高うございます。従つて現在の日本造船船価は高いと申しましても、尚これを国際的に見るならば低位にございます。  それから金利につきまして考えまするとこれは日本金利は御承知通り見返資金金利が七%半でございます。一般市中金利は一割一分見当でございます。ところがイギリス海運金利におきまして三%、オランダで七%乃至八%、フランスは客船が三%、貨物船が二%、アメリカが三・五%、スエーデンが五%、ノルウエーが五・五%、フィンランドが六%、かように新造船資金に対しまする金融も我が国は非常に高い金利を出しております一従いましてこれらの建造費並びに金利等を考慮いたしまして、いわゆる償却をなす場合におきまして十八年間の償却で等率償却としますならば五四%四の償却費があります。又十八年間で等額償却が三七・三%の償却が要ります。大ざつぱに申しまして資本といたしまして五割以上のものが食われておるという勘定になります。ところが現実に現在の運賃收入から考えますと、航海に関する諸費用及びこれらの船員費或いは保船等を差引きまして逆算しますと、資本金に支拂い得る割合は僅かに三割一分九厘となりまして、只今申上げました償却費に到底達しないのであります。これが海運現状でございまして、かような高い金利負担造船船価につきましては英、米よりも低うございますが、それで以てかように苦しい経営をしなきやならない、而もこれから先に外国に出まして各国の商船と競争して貿易外收入を稼ぐという大きな使命を持つております海運につきましては、どうしても各国比較して考えなければならない。そういうことでございまして、勿論この外に船員費等につきましては、我が国の方が幾らか低うございます。低うございますが、只今から申上げますことを見ましても今の日本海上輸送コスト即ち運賃というものは、これは決して高くはないということを御説明いたしたわけであります。  それで今回鉄道の方が八割値上ができ海上の方が九割三分値上げした暁にお直ましては、大体見合ができますので詳細な資料がここにございますが、私共の方の作りましたものによりまして一例を申上げますと、海上では若松より東京までの石炭運賃考えて見ますのに、現状におきましては運賃諸掛を含みまして海上が九百九十二円六十九銭、鉄道が八百二十九円四十銭でございますが、今度海上を九割三分、鉄道の方を八割上げまして海上の方が千四百十一円十九銭、鉄道が千四百二十五円三十二銭、大体見合いがとれますので大体かようにしまして海陸調整ができるという結果に相成ります。  今度鉄道の方が公共企業体になりましても、尚金利につきましては対外部負債以外には考えていない。税金についてもこれは掛けない。又償却につきましてもいわゆる一般企業のようには考えておられない。勿論従前とは変つたお考えになると思いますが、さようなような條件におきましても荷このような結果が起りますので、従いまして海陸運賃調整という点から考えまして、今回の鉄道の八割値上ということは必要である、妥当であると考えます。これが、私の意見の大体であります。
  7. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 委員各位にお諮りいたしますが、参考人の個々の意見に対して質疑がありましたならば行いますか、或いは一通り参考人から陳述して貰つてその後に御質問があつたら質疑応答するか、その点一つお諮りいたします。
  8. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一通り済んでからの方がよくはないかと思います。
  9. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それではさように取計います。
  10. 一井保造

    証人一井保造君) 鉄道運賃が上らなければ海運の方が、やつていけないということ以外に、若し海運の方の運賃が妥当に決まらなければ、陸に対して非常に競争が起つて、今度の鉄道運賃の値上もこれは実行できない。相関関係があるということを附加えて申上げて置きます。
  11. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは次に日産協木村君から御発言を願います。
  12. 木村宗夫

    証人木村宗夫君) 今回提案されました陸上貨物運賃の八割値上が実施されました場合には、産業界相当影響を及ぼすことは御承知のことと存じますが、一律にこのように大幅な運賃値上が行われます場合に、企業によりましてはその存立をも危くするほどの重大な打撃を蒙るものもある。例えば石灰石鉱業について申上げますと、本年七月の石灰石トン当り価格は二百五十円であるのに対しまして、そのトン当り運賃は二十三年度の平均輸送キロにいたしますと百五十七円で、その運賃部分占むる割合は六二・八%という数字になります。それから戰前昭和十一年の運賃割合二七・二%に比しまして、すでに現在でも相当の高率であることはお分りのことと存じますが、更にこれが八割の運賃値上を行います場合にそれが如何に耐え難いものになるかは皆様承知のことと存じます。それから当局の今度の改正案によりますると、石灰石トン当り運賃は二百八十円になるのでありまして、現行石灰石価格二百五十円をオーバーする。こういう甚だしい結果を起すわけであります。これに対しまして当局考えられておりますことは、今後石炭石需要地に近いところから掘らせたらいいじやないかというようなことを考えておられるようでありますが、現在すでに需要地に近い山は掘り盡されておりまして、平均輸送キロを短縮するということは非常に困難な事情にありまして、これによつて運賃負担を軽減させるということは困難であると思います。  それから次に木材関係について申上げましても、同様でありまして、業者側運賃負担率計算をした結果によりますると、素材におきまして一二・六%製材におきまして七・三二%でありまして、今でも有効需要の減少によりまして、非常な苦境に立つております木材業者にとりましては、この運賃値上の打撃は非常なものであります。  それから輸出陶器の場合をとつて見ましても、鉄道貨物運賃が八割値上げしますと、運賃負担率が二〇・二%程度になりまして、軍一為替レートの設定やポンド切下措置等輸出の悪條件下にある木業界といたしましては、その運賃値上の重圧は堪えられないものであると思います。このようなことは我が国生産力を増進し又輸出振興を図ります上からも憂慮すべきことであると思いますが、そこで今回の運賃改正当りましては、その影響するところを十分御検討の上、特定運賃率を設定するとか、或いは貨物等級類別の引下を速かに行うとか、そういつたような措置をとる必要があろうかと存じます。  それで次のような措置考えて今度の運賃改正を行われたらよいじやないかと存ずるわけであります。第一に鉄鋼とか石炭等のごとくに、多くの商品の価格構成の要素をなしておりますものに対しましては、その第一次的な影響ばかりでなく、第二次、第三次の間接的な影響検討しまして折角安定化しつつある物価に対しまし三悪影響を及ぼさないようにされたらよいじやないかと思うわけであります。先程頂きました資料によりましても、その第十二表の方に第一次的な影響しか見ておらないようでありますが、第二次、三次の影響もできるだけ調査しまして、その影響するところを十分に御検討願いたいと存ずるわけであります。勿論この計算はいろいろ困難な問題があると思いますが、その基礎物資の主なものだけで取上げても二次三次の影響検討する必要があろうかと思います。  それから第二に物資によりましては有効需要に制限されまして、運賃値上の値上り分消費者負担させるということができないものも相当あるわけでありますが、これらにつきましてはもつとできるだけ運賃値上によります負担を軽減するような措置を御考慮願いたいと思うわけであります。  それから第三に石灰石木材陶磁器などのごとく従来とも運賃負担率が大きくて、この上更に運賃負担を課すると過重するというような場合は企業存立を危殆に瀕せしめる状況にあるわけであります。そこでこういうものに対しましては特定運賃を設定するとか、或いは貨物等級類別をできるだけ引下げるというような措置を至急にとりまして、その影響をできるだけ最少限度に止めるというような措置をとるのが妥当じやないかと思うわけであります。このうちに特に陶磁器のごとく輸出産業につきましては、輸出振興立場からもその影響するところを十分御検討になつて折鶴企業合理化によりまして製品コストを引下げる努力を現在やりつつ、あるものに対しまして当初の計画に混乱を来さしめないように然るべき措置をとるのが妥当じやないかと思うわけであります。  第四に昨年七月以降実施されました軍一最低運賃制近距離輸送の多い物資につきましては、運賃過重負担になつておる傾向もありますので、これに対しましては最低運賃を引下げるような方法を講ぜられるようお願いする次第であります。  それから第五に鉄鋼石石炭石灰石セメジト等、それから木材などは、戰後輸送距離が延長しまして、このために運賃負担が一肩過重されている傾向にありますが、これに対しましては遠距離逓減制を強化されるような措置をとられたいと思うわけであります。  大体以上簡單でありますが、産業界に及ぼす影響をも十分御検討になりまして、妥当なる線で運賃改正を行われるよう要望いたす次第であります。街石灰石とか木材とか、陶磁器関係の詳細か資料委員各位に先日お配りしてありますから御高覧願えれば仕合せだと思います。
  13. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に東洋経済新報社の複本君に御発言願います。
  14. 榎本弘

    証人榎本弘君) 東洋経済榎本であります。  私は結論から先に申上げますと、今回の鉄道運賃値上に原則的に賛成でございます。この根拠を申上げますと、先ず物価アンバランスの是正ということでございます。御承知のごとく闇物価戰前に比べて数百倍、公定物価でも日銀の卸売、小売共に二百二十乃至三十倍というふうに上つておりますに拘わらず旅客運賃は七十二倍、そう九十三倍、貨物運賃は七十二倍、そういうふうに非常なアンバランスがあるわけでございます。勿論そういう闇値に同じように鞘寄せをせよというのではございませんが、この非常な不均衡を是正することは必要だと思います。その意味において今回の八割値上は妥当だと思います。第二は先程お話もありましたように厖大々赤字をなくする、そういう本当の独立採算制をとるためにこれ又止むを得ないものと思われます。  この二つの根拠から私は値上に賛成でございますが、先程日産協木村さんからのお話がありましたように、物価に対する跳返り、それから来るところの企業経営困難或いは一般消費者への影響というものは相当考えなければならないと思います。併し概観して申しますと、この資料にもありますように大体価格に占める運賃割合というものは現在で二・一%かそこそこでございます。改正後でも四月そこそこそういう部分しか占めていない。最も大きい石炭のようなものであつて改正後八・七%そこそこ、そういう程度でございまして、大きな目から見るとそう大した影響はないと思います。併し先程石灰石の例を申しておられましたが、そういうような個別的な事業を見ますと相当にあると思います。例えば石炭のごときも優良炭カロリーの高い炭ならば相当値上をしても売れますが、劣質炭は非常に現在でさえ売れなくて困つておるのでこれが値上になりますと中小炭鉱相当な大打撃を受けると思います。勿論戰後続出したような劣弱な企業がつぶれるのは国家的な見地から見て止むを得ないという見方もありますけれども、この点は相当考慮をされる必要があるのではないかと思います。  以上で私の運賃改正に対する考えは大体尽きますが、ただここに問題があるのはこの国鉄赤字八十六億ですか、これがどうして出て来ておるかということが一つ問題になるのじやないかと思います。人員整理によつて数十億の経費節約されそれから日通を通じてやつてつたのを、今度は直営にたつてそれで二十億経費が節減され、それから今度は車輌修繕を外注しておつたのを、やはり国鉄でやつてそれで二十五億、計算いたしますと大体百億というものの経費が節減できておると思います。これを考慮されて尚且八十六億の赤字になるのかどうか。仮に考慮されておつたのを八十六億の赤字にたるものとしましても、更に石炭購入代金節約できるのではないか。これはいろいろ数字を聽いてみましたけれども、正確な数字が分りませんが、監督局調べでは大体配炭公団がなくなつてその手数料がなくなつた或いは炭が自由販売になつて安く買える、それからカロリーの高いものを買つて三十億見当節約ができるというふうに調べておられますが、又一説によりますと数十億から百億にも達するというような計算をしておるところもあります。そうしますと約五十五億というような運賃の値上による増收は、カバーしてお釣りが来るということになります。併しながら私はそれがために運賃の値上をしてはならないということではありません。運賃の値上は妥当であるということは先程申上げた通りであります。併しながらこういうふうにして石炭代節約ができるということは明白なことなのでございます。戰前国鉄は三百万トンの石炭を使つてつたのが現在七百万トン使つておる。その理由の第一はカロリーが低下した、僅かカロリーが低下したために倍以上の石炭が要る。逆に申しますとカロリーを一割上げれば量が非常に少くて済むのではないか、そのカロリーを上げることによつて石炭代節約というものが恐らく百億くらいは出るのじやないか、これは正確な数字は分りませんが考えられます。でそういうことを考えますと、まだ国鉄のこの企業には合理化の余地が多分にあるのではないかと考えられます。  そういう点をもう少し研究されて、そうしてその金でどうしたらいいかと申しますと、第一に旅客運賃調整であります。でこれはこの資料にも申述べてありますが、一、二等の倍率の引下とか、長期定期の引下とか、達距離逓減を実施するとか、そういうふうなことが謳われてありますが、そういうことを是非やつて頂きたい。  それから第二は償却をやつて頂きたい。現在十三億幾らしか計上されておりませんが、時価償却をすれば百五十億に上るということをいわれております。それで償却不足は現在までに二千億に達しておるというような状態でございますから償却に力を注いで頂きたい。それからサービスを改善して頂きたい。まあサービスも漸次好くなつては来ておりますが、もつとこういう経費節約してサービス改善の方に向けて頂きたいと思います。まあ抜取等のようなことは絶対にないようにできたら幸せに存じます。  それから先程三井船舶一井さんでございましたかお話がありましたが、海上運賃と陸上運賃との調整の問題でございますが、それは戰前海上運賃は陸上運賃の三分の一程度であつたのが、今では逆に海上運賃の方が高くなつておる、今度の改正後においても石炭を除く鉄鉱石、木材、銑鉄その他はやはり海上運賃の方が高くなつておるので、この点果してまだ調整が出来ておるのかないのか素人考えとしては疑問でございます。尤も海上運賃が高過ぎるというわけではないのであつて、まだその点から言えば陸上運賃が低過ぎるのではないかというふうに考えられますが、併し一時に大巾な値上をすれば勿論物価への影響が大きいので問題でございますが、その点素人考えとして調整されておるのかどうか、私としてはまだ調整されておらないのではないかと考えられます。大体この辺で。
  15. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは次に旭海運の小山さん。
  16. 小山亮

    証人(小山亮君) 鉄道運賃の値上に対しましては結論的に賛成いたします。  鉄道運賃が七十数値の赤字を出しながら術且つこれを国民の負担において経営しておるということは、これが正当でないということは、誰が考えても明白なことだろうと私は思います。又この鉄道運賃が必要以上に欠損をしながら運営をされまするために、それがために蒙る影響は陸上においてはトラック業者に、海上におい七は機帆船或いは小型鋼船等に多大な船主に負担をかけまして、それがために経営が困難川になつておる面が多いのであります。これを一日も速かに適正な改正をして頂きたいと私は思つております。海運業者としての建前から申しました点は先程三井艦船の一井君が申しました通りであります。尚私はそれに対して補足は加えません。  併しながら木村君からのお話の中に一、二の特殊な貨物を指摘されまして、その運賃が非常に高率になるというお話がございました。その点につきましては現在御承知のように日本の八百トン以上の船舶は全部CTS関係において運営会の強制統制をされております。従つて自由に運営のできる船舶というものは八百トン以下の船舶だけであります。今回この改正によりまして海上運賃が規定されますのは、運営会によつて統制されておりますところの船舶はこれは強制的にその価格の統制を受けますが、それ以外の船舶はやはり需要供給の関係において恐らくは公定運賃を下廻るのではないかと思います。若し只今の御指摘になりましたような特別な高率な運賃を支拂わなければならん、それがために企業経営が困難になるという近距離の輸送を必要とせられる面に対しましては、この近距離の輸送に最も適しておる機帆船或いは小型鋼船等、こういうような統制外の船がその需要に応じられるのではないかと私は思つております。  更にこの陸上運賃を値上げしましたことに対して海上運賃が町適正であるかどうか、これは疑問であるというお話でございましたが、海運業者たる私自身もこれに対しては疑問を持つております。なぜかならば、現在の海上運賃が果して幾らが適当であるかということは言い得ないのであります。日本の全船舶が全部船主の手に委譲されましてこれを自由に欲しいままに運航しておる現状でありますと、船主の経済の面においてのいろいろな問題が出て参りますが、現在は殆んど大部分の船がCTSの強力な統制下にありまするために、その運営の方法については我我の方が窺い知ることができない両が多いのであります。従いましてこの点において自由に船主に委譲されたときでないと海上における適正な運賃というものは出て参りません。元来戰前におきましては陸上運賃に対して大体四割一分海上運賃の方が安かつたが、現在においては海上運賃が高いのであります。高いが併しこれはどうしてもCTSの意思において必要上統制をしておりますために、その適正運賃というものを私共は計算しろと言われましてもこれはできません。若しこれを自由に我々の手に戻しましたときには、恐らくは現在の能率よりも三倍も四倍も上廻るでありましよう。又経費の面においても幾多節減し得る面が占めるでありましよう。併しながら現在においてはその内容については私共が窺い知ることができないのであります。従いまたから將来の海上運賃は今のままでよろしいかということを言われましても、私はこの点に対しては明確なる答えを申上げかねるのであります。以上であります。
  17. 板谷順助

    委員長板谷順助君) では次にトラック協会の森田君。
  18. 森田賢

    証人(森田賢君) 国有鉄道運賃値上の問題につきましては、第一に鉄道運賃物価との関係、第二に鉄道運賃の旅客と貨物との調整、第三が海上輸送と陸上輸送における運賃調整、第四は陸上輸送における鉄道輸送とトラック輸送との運賃調整、これらの点が検討されるべきだと思います。第一、第二、第三の点につきましては、それぞれ関係の方々からお話がありましたので、私としてはトラック事業者の立場から第四の陸上輸送における鉄道運賃とトラック運賃調整という問題について意見を申上げます。  トッック輸送量の問題でありますが、本年度の輸送計画童はトラックは一応二億一千五百万トンとなつております。経済情勢の変転、特に有効需要の減少に伴う物資生産計画の改訂を考慮いたしましても、これを大幅に下廻るとは考えられません。そこで鉄道運賃の八〇%値上を見ました場合に、鉄道貨物が大体距離にしまして貸切貨物は五十キロ、小口貨物は百キロ以内のものがトラックに転移されるものと考えられるのであります。その数量は私共の算定では大体年間三百五十万トン程度と推定いたしております。次にトラック運賃鉄道運賃との関連でありますが、車扱によるトラックと鉄道現行運賃比較について一例を挙げますれば、一トンにつき三十二キロの場合に、トラックは五百十四円であります。鉄道は五百八十三円五十銭であります。同じく一トンにつき三十六キロを輸送いたします場合にトラックは五百六十円、鉄道は三十二キロの場合と同じく五百八十三円五十銭となつております。現行運賃においては三十六キロが運賃面より見た輸送分野の限界でありまして、三十六キロ以内においてトラック運賃の方が安くなつております。改正運賃八〇%値上の場合においては、その限界は五級品で四十キロ、三級品で四十四キロまで延びることになります。更に貨物等級の格下げを考慮いたしますならば、概ね五十キロ圏内はトラック運賃の方が安くなることになると考えます。小口扱におきましては、トラックと鉄道貨物運賃比較に関する、トラックの輸送に依存すべき分野については、これは現行運賃においては三十キログラムの貨物で六十キロメーター、四十キロ・グラムの貨物で三十キロメーター、六十キログラムの貨物で十キロメーター輸送が、運賃面より見てトラックの方が安くなつております。改正運賃においては、六十キログラムの荷物で百二十キロメーター、七十キログラムの荷物で六十キロメーターの輸送がその限界になつております。更に取扱料を含んだ場合を鉄道比較いたしますならば、六十キロの限界が更に八十キログラムまで伸長されることになります。言い換えますれば、現行鉄道運賃が八〇%増の運賃改正を実施された場合、現行のトラツク運賃面と比較した限界が三十キログラムの貨物において六十キロメーターから百五十キロメーター、六十キロの貨物は三十キロメーターから百二十キロメーターにそれぞれ伸長されることになります。更に取扱料を含んだ場合には、六十キログラムの貨物は百五十キロまで伸びる結果、小口扱は概ね現行の四十キロメーターの限界が百キロメーター程度まではトラックの方が安くなることになります。従いまして、鉄道運賃八〇%増の改訂により、トラックの小口扱の分野は車扱いの場合よりも、距離において大きく伸長される結果となります。  次にトラック運賃の問題でありますが、昭和二十二年十二月に、トラック実働一日一軍当りの実経費即ち原価が二千九百円の計算に基きまして、当時の実施運賃専属制一日一事九百円であつたのでありますが、私共はこれの改訂を要請し九のでありますが、昭和二十三年六月に、鉄道運賃の二十五割値上のとき、トラックは十五割増の専属制一日一車二千二百五十円という、原価を割つた価格が認可されております。爾来トラツクは、サービスの向上、諾資材の愛別、経費の節減、人件費の節約等、企業維持のため、極端な合理化に努めて来たのでありますが、その後地方税法が改正され、今後運賃を改訂した場合は、損益に関係なく、外形標準税、運輸收入の二・四%であります毎これが賦課されることになり、現行諸税の四割五分に相当しているガソリン税は実施されておりまするし、更にガソリン、油脂、タイヤ、車輌諸価格の値上り及び道路損傷負担金、道路改修協力費等の特別公課その他一般諸税の改正累加帳簿価格に基く不合理な現行の車輌償却制度、これらの点から当然トラック酒賃は値上をお願いしなければならん段階に来ているのであります。  併しながら一方陸上輸送における鉄道とトラックとの貨物運賃面から考えますれば、かねてからこの輸送分野の見地から、遠距離は鉄道に、近距離はトラックにとの根本方針が確立せられまして、政府においては、国鉄輸送量の五・八%、それから都市中心の私鉄一五%の貨物をそれぞれのトラックに転移せしめるという計画が策定されまして、昨年十一月から六大都市を中心に本年三月から全国地域にこれを実施されておるのでありますが、この成果に鑑みましてこの実効を期するためには、鉄道の近距離貨物の受託の停止、それから近距離貨物運賃における鉄道とトラックとの運賃調整、それから資材の裏付等の措置が要請されたのでありますが、近距離鉄道貨物の受託の停止という問題は、行政措置上種々の困難な点があろうかと思います。  第二の近距離における鉄道とトラックについての運賃調整については、今回鉄道運賃八割値上に関連いたしまして、トラック運賃を仮に現行のままといたしまして、鉄道運賃改訂額と比較し、先程申上げましたごとく車扱において五十キロ、小口扱において百キロ程度貨物の転移が運賃面よりして可能となつて参りますので、大体三百五十万トン程度貨物の流れに大きな期待を持つておるわけであります。  結論といたしまして、陸上輸送の総合的調整については、夙に諸外国においても研究、実施されておるところでありまして、鉄道とトラックは本来が競争関係に拘る輸送機関ではなく、共に公共企業として国家的にその機能を生かした調整が図られねばならんものでありまして三我が国においては遅まきながら終戰後直ちにこれに着手されておるところであり、この鉄道近距離輸送のトラック転移に不可欠の條件である運賃調整を行うためには、どうしても鉄道運賃については近距離を高くすることが望ましいのであります。従いまして、今回の運賃改訂、八割値上は止むを得ないものと考えるものであります。
  19. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に中小企業の伊藤さんどうぞお願いいたします。
  20. 伊藤英男

    証人(伊藤英男君) 私伊藤でございます。  中小企業の中の中小工業の私達は、工場数において九九%、労働人員数において六五%、この度の戰後の輸出生産実績におきまして六三%を占めておる仲間であります。我々仲間は今や自分達の投じた一票々々の集積によつて実現した現内閣の下で、運賃問題のみならず、申上げるまでもなく現状塗炭の苦しみに投げ込まれておるという矛盾に逢着しておるのであります。貨物運賃の値上もその一つであると思うのでありますが、正に泣面に蜂であると私は思うのであります。ここにおいてか私達今まで好まさることとして提携すること稀でありました労働者と共に協力して、値上反対に起ち上がらざるを得なかつたのであります。いわゆるドツジ政策の趣意は産業活動に器いては全体的には減退しない建前の下に、日本経済の自立化を速かに達成するということであつたと思うのであります。かかる鞭撻の下に補給金の廃止となり、低物価政策のの下に民間企業の合理化を強行することになつたのであります。而して今や我々個々の企業における合理化は限界に達しておると言つて過言でないと思うのであけます。むしろ国営、公営、関連産業の合理化こそが民間に先んじて徹底的にやるべきであつたと思いますし、又やらねばならないと思うのでふります。企業合理化のファクターを占める多くのものは後者にあると私は思うのであります。二、三日前の新聞にも報ぜられておりますごとく、厖大な国内ダンピングの強硬は官民共に顕著となつて現われておるのでありまして、こうした購買力の欠乏の状態の今日におきまして、今日の運賃を更に消費者へ転嫁することは、全く不可能であると私は言えると思うのであります。我々仲間はすでに一月以来九月までにおいて六千軒以上の企業整備がなされておる事実は、軍に戰後の続出した企業家のみがそうであつたとは言えないのであります。二代三代に亘る業者におきましても今日の不景気のために倒産の苦しみを味わつております。この事実、更に今回の運賃負担が我々生産者としての工場にかかつて来ますならば、これは正しく工場閉鎖の命令にも等しいと私は感ずるのであります。  八割値上いたしましても物価にはさして影響はないとの御見解もございますが、然らば全く右の事情を御承知の上生産者への負担強要をお考えになつておるのであろうか。かかることであるならば、一方には首を縊つて他方で足を引張るような様にも似て、余りに惨酷ではないかとさえ私には思えるのであります。物価水準に占める割合は、昭和十一年には四・六一%であり、昭和二十四年七月には二・〇三%であるということは、国鉄側の資料にもございましたし、又権威ある調査機関である東洋経済のお方からの御発言もあつた通りであります。併しながら昭和十一年と今日との比較において、私達の食生活において、又担税率の比較において、どういうことにその背景がなつておるでありましようか。昭和五年から十一年を平均一〇〇といたしまして、昭和二十四年には二〇三・一%となつておりまするこの担税率、かかる資本蓄積の雲泥の差がある経済の背景の相違は、民間においては給料の遅配欠配となり、企業の倒産となり、それが示しておる通りでありまして、かかる論は経営実態を無視しておるに外ならんと私は存ずる次第であります。値上後の減少見込三%としてございますが、果してその程度で食止め得るであろうかというと、それは先程も御指摘ありましたごとく、今日の赤字はどうして赤字が出て来たのであるかということこそ重大問題であると私は思うのであります。旅客運賃値上の際におきまして増收を見込んでおつたに拘わらず、それが却つて利用者の激減のために七十三億円からの赤字を生じておるというようなことは、私は今度の運賃値上に対してもその生ずる結果を案ずる者の一人であります。  聊か木材に例をとつて見たいと思うのでありますが、先程日産協木村さんからも御指摘がありましたごとく、木材面からこれを見ますならば、一般用材について言いますと、販売価格中貨車納金の占める割合は製材については七・四六%、素材につきましては一四・九二%と我々の計算はなるのであります。これを国鉄の調査と比較いたしますならば、我々の七・四六%に対しまして製材において五・四五%となり、素材の一四・九二%に対しては七・七四%となつておるのであります。かかる計算は聊か独善的でありはしなぜかという不安を抱く者であります。又先程も御指摘がありましたごとく素行において十三・六%、製材において七・三二%でありまして、特に海運に委ねる地域においてはその比率は更に大きくなるのであります。北海道のごときは立木価格運賃に対する割合は三十三%を占めております。仮に当局の要望を認めたる場合には、北海道移出木材に対しては、運賃のごときは消費者の公定価格より逆算すれば立木価格は零になるという極端な結果を生ずるのであります。更に北海道には地理的條件によつて沿岸の海上輸送に頼らなりればならない個所があり、その地方の木材業者にとつて貨物運賃の値上は全く致命的であり、常業を放棄しなければならんという悲惨な実情にあるのであります。更に炭鉱におきましても、我々中小企業者の立場においてはますます苦境にならざるを得ないのであります。又銅におきましてもそうでございますが、これは二重、三重の痛手になつて参りまして、聊か冗長に流れますので数字を略しますけれども、尚農機具等におきましても、これが全国に亘つております関係上、これの蒙る痛手は莫大であります。更に今日のごとく農民の苦境に立つている場合において、これを農民に転嫁することは誠に不可能なのであります。  尚森田さんからお話がございましたごとく、近距離がトラックに移行するという情勢にありまして、その比率は二百五十万という率でございますが、これは比率において小さいとはいえ、いろいろ総合的に考えまして果して三%で喰い止められ得るかどうかということに私は大きな不安を持つ者であります。更に国鉄のサービスの点につきまして、いろいろ今日改良されておるということを聞き、又私達も目撃するのでありまするが、このサービスの根本精神において聊か履き違いはありはしないであろうかという点であります。各駅における軽音楽のサービスのごときは全く芸者的サービスであり女給的サービスに過ぎないのであるといつても過言ではないでありましよう。国鉄のサービスの根本、その一番大事なのはやはり低運賃であり、低運賃は取上のサービスであると私は主張したいのであります。  尚ポンド切下の外、輸出貿易の方向は申すまでもなくいろいろ苦しい事実があります。私達が如何にしてコストを切下げてそうしてドツジ氏の九原則に副い、如何に日本経済の自主をなさねばならないかに日夜ひしひしと我が身を削つてコストの低下に挺身しておるのであります。いろいろ引上げる物、引上げざる物もございまするが、現状法律のままにおきましてどうしても一〇%引上げなければならない物、例えば鉄管の継ぎ手であるとか、或いは真鍮金物であるとか、アルミであるとか、琺瑯鉄器であるとか自転車のタイヤであるとか、或いは又二〇%引下げなければならない物、或いは極端なものに至りましては鉄鋼線のごとき五三%も引下げなければ、輸出目的を達し難いというようなものもございまして、如何に産業界が苦しみつつあるかは御承知通りであると思うのであります。かかる情勢を政府も御承知でありますればこそ、この今回の値上のはね返りのうち鉄、肥料に対しては補給金増加分として十二億円を補正予算に組むことを忘れなかつたと私は思うのであります。かく感じ来まするときに、いろいろ国鉄貨物輸送すれば輸送するほど赤字になるというような実情につきましては、私たち余力がありまするならば成る程適正な運賃を当然負担いたしまして、国際場裡においてもその適正な條件の下に、真に日本人の信用と尊敬を取戻すべく私たち更に身を削つてもそのために奮起したいと思うのであります。諸般の事情が、私たちにその負担をしようと思つてもなし得ない事情に置いておると思うのであります。かかる情勢の下に、根本的な問題として私たちに考えられておりまするのは、独立採算制に対してすら疑いを生ぜざるを得ないという事実であります。これは私たちが苦しいが故にその痛感するのかも分りませんが、現案に当面しておりまする実情が私たちにそれに対する疑問すら強要しておると言つて差支ないと私は思うのであります。結果といたしまして、今や現在の政府が希望し又我々に唱えつつあるところの経済的自由主義は夢と化しはしたいかと私は思うのであります。何となれば、我々中産階級の弱体化及び沒落は、官僚たちの強化となり、官僚主義の擡頭となり、遂には独裁の発展にすら大きな社会的基礎を與える結果となるであろうからであります。我々中小企業の運命は軍に我々のみの運命に止まらずして、独占企業の運命でもあり、すべてを含めての否日本の共通の運命であると私は思うのであります。民自党側の一部の方々の御意見にも伺えるごとく、話はよく分つておるが余りにも時間がないとおつしやるのであります。この点につきましては我が国の政治、経済が如何に無計画な希望なき多忙の中にあるかを思うとき、我々の説得は毫も顧みられずして、不幸にも予言のみが事実とならねぼよいがと、我々の運命と共に愛する祖国日本の運命を案ずる者であります。  かかる理由によりまして是非御再考を頂きまして危急存亡にかかわる国家の運命に繋がることを再認識頂きまして、是非何とか食い止めて頂くように切にお願いしたいと思う次第であります。
  21. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚全国金属労働組合副委員長の神長さんが本日おいでになる都合になつておりますけれども、未だに見えませんからこれは棄権されたものと認めます。  尚御出席証人各位に対して委員の方から御質問がありましたらお申出願います。
  22. 内村清次

    ○内村清次君 東洋経済新報社の榎本さんですか、あなたの証言の中に、大体その運賃の値上というのは物価へのはね返りは少しは認めると、はね返りはあるだろうというような御説明であつたようでありますが、一体あなた達の御統計からしましてどれくらいはね返つて来るかという点を一つ、お調べになつておるだろうと思いますが。
  23. 榎本弘

    証人榎本弘君) 調べておりませんが。
  24. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 併し大分お調べになつて大体お話があつたのでありますが。
  25. 榎本弘

    証人榎本弘君) 私は価格に占める割合という点から大ざつぱに大したものではないという見通しを持つておるだけです。正確な何%ぐらいにはね返つて来るかというようなはね返りを計算すると、それは可なりのものになるかも知れませんが、その点はまだ調べておりませんです。
  26. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと資料は運輸省から頂いた、例えばここに提出したやつの資料、それによつて発言が大体そういうふうに集約されておつたようでありますが、そうしますと、その全面的に八割というものは幾らかはね返るということだけは肯定されておりますが、この八割というものを、即ち賃率の点については御意見ございませんか。八割でいいか、或いはどれだけでいいかという、全面的に八割でいいというような御賛成の証言と見ていいのですか。
  27. 榎本弘

    証人榎本弘君) 私はその技術的に八割が妥当であるかどうかということはよく分りかねますけれども、大体五月の旅客運賃の値上の時は反対して、旅客運賃より貨物運賃を上げるべきだという意向だつたのですから、我々の主張は今度の場合には合致するし、むしろ八割でなくて二倍ぐらいにしてもいいんじやないかというようなふうに考えるのですけれども、正確な物価へのはね返りが分りませんし、大体八割で大ざつぱだけれどもいいんじやないか、原案で……
  28. 内村清次

    ○内村清次君 あなたは経済関係をよく担当しておられる方ですが、そうしますと現在の日本経済状態からいたしまして、いわゆる経済のインフレーションの状態だとか、今後の物価政策の方面におきましてのこういうような点も、総対的に本当の簡單であつて、要点だけでいいんですからお聞かせ願いたい、あなたの調べておられる点だけ……
  29. 榎本弘

    証人榎本弘君) そういう経済の見通しですか。
  30. 内村清次

    ○内村清次君 ええ。
  31. 榎本弘

    証人榎本弘君) 物価に限りますか、全部ひつくるめてですか。
  32. 内村清次

    ○内村清次君 簡單に要点だけでいいんですが。
  33. 榎本弘

    証人榎本弘君) 大体まあインフレは收束の形を取つておりますが、これは先程中小工業の方もおつしやつておられたのですが、現在のデフレ不況の一番大きい原因はやはりドツジ・ラインにあると思うのでありまして、それを修正乃至は緩和することが根本問題なんであつて運賃の値上が国民生活に響くというようなことは非常に比重の小さい問題なんで、私共はそういうドツジ・ラインの線でこういうふうな不況が来てそれがますます深刻化して来つつあるから、それを幾分緩和するか修正して、そうして雇用量を殖やす、生産も殖やすというのが根本的な意見でございます。  それでインフレは大体現在收束しつつありますが、併しまだ再高進の懸念が全然ないことはない。現在すでに米価は上りましたし、今度貨物運賃も上るし、電力料も引上げられるとすれば、当面公定物価は上ると見なければならんと思うのでございますが、一面有効需要がない、購買力が全然ないので、闇物価の方は相当下落しておる。消費材は今年の五月から、生産材は今年の三月から現在に至るまで一本調子の下落をしております。その結果公定価格は上つても実効物価、CPIにし見てると八月まではやはり多少上つて来ておりましたが、九月に来てやや下つております。実効物価は大勢としてはやはりもうその限界に来た、大勢はやはり停滞乃至は下落の方向にある。今後公定物価が多少上つて闇物価の方の下落があれば、実効物価としては大した影響はない、物価に関する限りそういうふうに思つております。
  34. 内村清次

    ○内村清次君 結構です。それからトラック協会の方、森田さんですかにちよつとお尋ねしたいのですが、あなたの御説明によりまして、トラックの今の運賃率が大体限界の八十キロですかにまで延長できた。これは車扱の方ですか、そうして来ますと、今のトラックの即ち営業状態からいたしまして、更にあなたの方の賃率を上げなくちやならないというような御希望が協会内に圧倒的にあるわけですか、どうですか。
  35. 森田賢

    証人(森田賢君) 現在のトラック運賃原価が二千九百円であるに拘わらず、二千九百五十円に固定されておる。それでいろいろ企業の合理化によつてその赤字の補正に努めておるのでありますけれども、一方先程来のお話がありましたように有効需要も多少減つております。いろいろな荷物の減少で鉄道との競争関係にも置かれておるわけであります。従いまして鉄道の近距離貨物が現在のところ車扱において三十六キロまではトラックの方が安いが、大体に要するにトラックは車扱は五十キロまで、小口扱は百キロまで、鉄道と対等に競争できる態勢に運賃を改訂しなければ、トラックは鉄道競争できない。本来トラックは近場廻りをやる、鉄道は遠距離ということを、輸送する性能にあつてそういう政府の政策が立つておるのであるから、運賃調整が貸切扱においては五十キロ、小口扱においては百キロ程度の荷物をトラックに積んで行かせるような運賃が必要なんだが、たまたま八〇%値上によつてそれが可能となつて来るから賛成すると、トラック業者の立場から見まして……
  36. 内村清次

    ○内村清次君 ただ私が聞いておりますのは、現在の即ちキロ程内の延長だけで八割値上したからというような、あなた方の大体希望に達するようなキロ程の限界延長はできたわけですか。
  37. 森田賢

    証人(森田賢君) そうです。
  38. 内村清次

    ○内村清次君 できたがまだ不十分であるから、いわゆるあなたの方の運賃率を上げるような希望が大勢を支配しておるというような空気はありませんか、そこです。
  39. 森田賢

    証人(森田賢君) トラック運賃は改訂の希望はあるのでありますけれども、今申上げましたような荷物の減少等もあり、鉄道運賃の値上とは切離して経済情勢の変転によつて別個に考えて行きたい、かように思つております。
  40. 内村清次

    ○内村清次君 そうするとあるわけですね、あるが併しまだその時期ではないというような意見ですか。
  41. 森田賢

    証人(森田賢君) 主として大都市でございます。特に東京地区においてはその希望が熾烈であり、材木などを主に出荷いたしております山間地方においてはその希望は低いというわけで、全国的に一律にお答えはできにくいのでありますが、その後経済情勢の変転によりまして考えたい、こういうわけであります。一律に全国的に今希望の程度をどういうふうに言えといわれますと非常に困難な立場にあります。
  42. 内村清次

    ○内村清次君 もう一遍、それではあなたの方でどれくらいその輸送貨物鉄道から移転して来るんだというようなお見通しでありますか。
  43. 森田賢

    証人(森田賢君) 先程申上げました通り車扱において二百万トン、小口扱において百五十万トン、大体三百五十万トンの荷物が転移するものと推定しております。
  44. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一井さんと小山さんの御意見を承わりたいと思いますが、御両氏とも大体値上には御賛成のようですが、ただ個々の問題についてはやはり多少御意見があられるのじやないかと思うのです。例えば先程からお話のありました木材石灰石、こういうものは殆んど八割値上によつて業者は壊滅的な打撃を受けるような者もあると思うのです。例えば木材の例をとつて申上げますと、遠距離のもの、例えば北海道から阪神、東京地区に送るようなもの、或いは南九州からそうした地方に輸送されるものなどは、この運賃の値上によつて原木は只になる、只になるだけでなく尚足が出るというようなことになるわけなんです。そうすると結局独立採算制という目標に全く逆の結果になつて来る。木材が只になつて原木が足を出すというので、こちらへ持つて来られるわけもない。といつて運賃が上つたから木材をこちらで高く売れるかというと、御承知のように実際において公定を下廻つておるという状態であります。実はこういうものに対しては総体的に御賛成ではあられるようですが、特別な考慮を拂う必要があるとお考えにならないか。例えば等級を下げる、或いは遠距離逓減をやる、木材は六等級だそうです、現行法の運賃木材六級を仮に百円といたしまして、等級を最低の十一級に下げるということになると五六%になる。つまり五十六円になるということになるのであります。そういうことによつて若しできるものであるとすると、結局八割上げても現行と同じようなことになるわけであります。或いはその他遠距離逓減の方法、これは陸運、海運共に考えられるわけなんですが、それ以外に適当にこれを調達して行くというような最もいい方法はないものでありましようか、御両者の御意見を承わりたいと思います。
  45. 一井保造

    証人一井保造君) 只今の問題につきましてもこれは現在すでに海上運賃が高いというために、木材その他の貨物につきましては、陸運を利用しておるという状態であります。従つて八割値上をいたしましても、尚更に海上運賃が高いという場合におきましては海上は荷物は来ないと思います。併しながら原価を切るから陸上運送もできないという事情につきましては、只今八割値上は一般的な議論でありまして、どうするかということは別個の観点から考えて、そうして鉄道の方で何らかの便法を講ずるなり、或いは運賃がいけなければ何か外に対策を講ずるということになりますが、海上におきましては若し調整が不十分な場合においては実際に移転ができないだろう、そうして又然らば今度は海上の方でそういう場合に運賃を下げても尚海上輸送に行くかということは、それがいわゆる自由競争の時代においては、個々の船主が自分の考えから、材木運賃を仮に下げても外の方の負担力がある方を取つてやるとかいろいろと方法があると思いますが、若しこれが釘付になれば取れないという現象が起りますので、従つて今のところ船舶運営会がやつておりますつまり八百総トンにつきましては可なり窮屈で、調整の方法はなかろうと思いますが、又それ以下のものにつきましては個々の船主の考えによりましていろいろな場合が生じ得ると思います。ですから或いはどうしても要る荷物であると思つて安い運賃でできるかも知れませんが、そういうわけであります。
  46. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今その陸運の鉄道運賃に対して、何か木材等について具体的な便法をお考えになつていませんか。
  47. 小山亮

    証人(小山亮君) これは鉄道の方の話で計算はどうなつておるか知りませんが、今実際に業者が八割値上をされた場合に、ただ特定の人のみがどうしても算盤に合わないという実際の場合がありますれば、これは適当に考えるのが正しいやり方じやないかと思います。ただ従来までの関係でありますと、鉄道海上運賃だけの面では、船賃だけの面では鉄道運賃に比べて遥かに安いのであります。ところが木材関係でありますと、この積卸に厖大な費用を要するのです。これをパーセンテージにして見ますと船賃が四六%で積卸の費用が五六%になりまして、現地の横取の状況は御承知のように非常に波の荒い所でのオープン労働であります。それがために天候に左右されることが非常に多いのであります。従つて積卸に非常に費用を要するので、只今公定で決められておりまする運賃は大変大きいんですが、船会社の手に入るのはそのうちの四六%でありまして、後は現地の積卸の業者の手に入る金が五六%というのが今までのこの内容であります。けれどもこの点において現地の積卸の業者、或いは揚地の種卸の業者の費用等が今より減額することはできないということになりますれば、双方睨合して、特別な考慮の必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  48. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑ありませんか。それではどうですか、それで大体終了いたしまして如何でございますか……。それでは証人皆様にはお忙しいところおいで下さいましていろいろ御意見の御発表を願いまして、それを我々が参考としてこの運賃改正の審議を進めたいと考えております。どうも長い間ありがとうございました。  それでは午前はこれにて休憩いたします。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時二十九分開会
  49. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これより再会いたします。先ず請願陳情の小委員長報告を願います。
  50. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 只今から請願並びに陳情の小委員会における審査の結果を御報告いたします。  請願第五号、小名浜海上保安署保安部に昇格の請願、この請願の要旨は小名浜港は東京、塩釜間の唯一の避難港であり、商港、漁港として、又海難救助基地として重要性を有するために現機構を拡充して保安部に昇格せられたいということであります。政府当局説明によりますと、本港は海上保安業務の地位が頗る重要であることは認めているが、速急な昇格は困難である。併し配属船舶の充実、通信施設の新設等については実現するように努力したいということであります。審議の結果、願意は妥当であると認めました。  次に請願第二十二号、網代岬観音島燈台新設に関する請願、及び同第二百四号、陸中黒崎燈台設置請願、これらの要旨はいずれも海難防止のための燈台新設であります。政府当局説明によりますと、網代観音島及び黒崎に航路標識の設置については昭和二十五年度に新設の計画を以て予算を要求中であるが、それが認められた上、早急に実施するどのことであります。審議の結果、いずれも願意は妥当と認めました。  次に請願第四十五号、郡山市に測候所設置請願、この要旨は当市は特に地形上から気象の変化が著しいため速かに測候所を設置されたいが、予算関係で実現困難の場合は簡易測候所なりとも設置されたいということであります。政府当局説明によりますと、本年度は相当程度の予算、人員等の削減をしたために早急な設置はできかねるが、將来予算の事情が許されるならば、その趣旨に副いたいということであります。審議の結果、財政の許す限りにおいて施設すべきものとして願意は妥当であるものと認めました。  次に請願第五十九号、松阪改修工事施行に関する請願及び第六十二号、塩釜港の第一種重要港湾認定等に関する請願陳情第六十五号、宮津港湾修築に関する陳情、この要旨はいずれも目下第二期修築工事施行中であるが、此の機に徹底的に改修工事を断行せられたいとのことであります。尚塩釜港においては第一種重要港湾認定により、同港の機能を最大に発揮し得るように講ぜられたいということであります。更に陳情第六十五号の要旨は、戰時中より数次の災害にまつて港湾荷役もできない状態で、地方開発のためにも速かに修築工事を施行されたいということです。政府当局説明によりますと、松阪港、塩釜港いずれも重要港湾で、港湾の改良整備を必要とするが、昭和二十五年度は港湾関係公共事業費が大幅に削減される慮れがあるので、いずれの港湾も目下のところ実施は困難であるが、松阪港と塩釜港は引続き浚渫をのみ実施するということであります。尚塩釜港の第一種重要港湾認定については、目下立案中の港湾法案において種別はなくなるので、新らしい方法により格付したいということであります。審議の結果いずれも願意は妥当なるものと認めました。  次に請願五百十八号、機帆船燃料割当増加等に関する請願、この要旨は、燃料割当量が減少し、石炭船が失業するに至り、その上船舶運営会の貨物運賃が低率運賃であるのに対して機帆船運賃が採算運賃のため公正な自由競争がなし得ないので、速かに運賃を是正されたいというのであります。政府当局説明によりますと、燃料割当増加は目下のところ困難であるが、でき得る限り努力しだいとのことであります。審議の結果、願意は妥当であると認めました。  次に請願第六号、郡山駅舎改築促進に関する請願、この要旨は、昭和二十年二度の爆撃のため、駅の本屋並びに待合室が破壊され、応急措置がとられていたが、更に過般のキテイ台風により甚大な被害を受け野天同様の状態になつている。尚、市の復興都市計画事業も駅舎が未完成のために進捗せずにいるから、駅舎の改築を急いで欲しいというのであります。小委員会におきましては、郡山市の地理的條件並びに現在の駅舎の状態よりして願意を妥当と認めました。  請願第十五号、吹田駅北出口地下道掘さく工事促進に関する請願、この要旨は、吹田駅北出口地下道掘さく工事は戰時中に三分の二を完成したまま中止され現在に至つているが、旧亀岡街道が狭隘のため非常な混雑を呈するので、昭和二十五年度に是非完成して欲しいというのであります。小委員会におきましては、現地の事情を考慮して願意を妥当と認めました。  請願第四十三号、紀勢東線始発駅を松阪駅まで延長の請願、この要旨は、紀勢東線は開通以来三重県の地方産業経済と交通、文化の向上に偉大なる貢献をし、殊に資源の豊富な紀州の宝庫を開発する上には重要たる役割を果して来たが、現在本線の起点が相可口駅になつているために不便が多く、沿線の開発にも支障を来しているから、本線を延長して起点を松阪駅にして欲しいというのであります。小委員会におきましては、政府当局説明を聽取しましたところ、現に五本列車が松阪駅を始終点として直通運行している事実もあり、願意を妥当と認めました。  請願第七十五号、様似、広尾両駅間に鉄道敷設請願、この請願の要旨は、資源開発のため日高、十勝を結ぶ動脈として、又幌泉地方の文化向上のため、冬期及び雨期に欠行する不安定な現在のバス、トラックの交通機関の代りに、日高線の終点様似から幌泉村を経て十勝国広尾町に至る日勝鉄道海岸線を敷設して欲しいというのであります。小委員会におきましては、本線が予定線であり、沿線にニッケルその他の地下資源も多く、且つ林産、水産資源も豊富であり、又十勝、日高の運輸連絡上も必要であるので、願意を妥当と認めました。  請願第百二十四号、請願第三百二十八号、遠別築別両駅間に鉄道敷設請願、この要旨は、北海道西北部の重要資源開発のために、北海道羽幌町築別より天塩郡遠別町に至る天塩沿岸鉄道を速かに完成されたいというのであります。本区間は運輸系絡並びに拓殖上の必要と、沿線における石炭その他の資源開発を目的として第六十九議会において建設線に編入され、一部羽幌、築別間約七キロはすでに開通を見、その残りの区間であります。小委員会におきましては、未開地の開拓、沿線の農産、鉱産、水産資源の開発及び道内交通網の完成を期する点から願意を妥当と認めました。  次に請願第百二十五号、請願第四百六号、国有鉄道用品購買制度改正に関する請願、この請願の要旨は、従来国有鉄道用品の購買は中央及び地方調達の二方法がとられ、相当程度の物品が地方において購入されていたため、地方においても鉄道用品納入者が少くなかつたが、今回購買制度が改められ、購入物品の約八割を中央調達とし、且つすべて公開入札制となつたため、地理的條件に惠まれない地方産業に甚大な影響を及ぼすに至つたから、中央購買制度の物品のうち相当程度を地方購買制度のものに改正して欲しいというのであります。小委員会としましては、政府当局者より現状を聽取し、審議の結果、新制度が実施されたばかりだから、当局の側において尚検討の上善処されたいという結論に達し、願意を妥当と認めました。  次に請願第百二十六号、大越駅名呼称訂正に関する請願、この請願の要旨は、福島県田村郡大越町所在の磐越東線、大越駅名の呼称は現在「おおこえ」と清音で呼ばれているが、同地名は古くから「おおごえ」と濁音で呼ばれているから駅名の名称も、「おおごえ」に訂正されたいというのであります。小委員会におきましては、地名は、その土地の呼称によるべきであるという趣旨から願意を妥当と認めました。  次に請願第百四十三号、野沢、萩野両駅間新駅設置請願、この請願の要旨は福島県登世島村尾登部落及び山郷付揚津部落は山間僻地にあるため交通が不便で、厚生施設も医療施設もなく、農林産物をはじめ優良なる石材を豊富に埋蔵しているが、搬出に不便を感じている。又日本発送電の山郷発電所は昨年の洪水のため発電不能になり、需要資材の運搬困難のためその復旧工事が遅れているような状態であるから、盤越西線野沢、萩野両駅間尾登地内に中間駅を設置して欲しいというのであります。小委員会におきましては、当局の現地調査の事情を聽取し、審議いたしました結果、現地の事情を考慮し、願意を妥当と認めました。  次に請願第百六十八号、草軽電気鉄道株式会社営業路線縮小反対に関する請願、この請願の要旨は、草軽電気鉄道株式会社営業路線は上信越国立公園一帶の唯一の交通機関であるが、同社が今回右営業路線の十分の六に相当する新軽井沢・上州三原間路線の撤廃を決議したことは、我が国の観光事業及び沿線三町一村の交通運輸の上に重大なる影響を及ぼし、国策に反して上信越国立公園一帶の観光地帯を荒野とするものであるから、観光事業の発展を図り、沿線地方の交通維持のため右路線の維持存続を図られたいというのであります、小委員会は本請願の審査に当つて政府当局より草軽電気鉄道株式会社の状態及び一部路線の撤廃決議等につき説明を求めたところ、現在のところ未だ正式に廃止認可申請は提出されていない旨の答弁がありましたので、正式に廃止認可申請書が提出された場合には、監督官庁である運輸省において善処されたいという意味で採択しました。  次に請願第二百八十一号、相生、西大手両駅間に鉄道敷設請願、この請願の要旨は、兵庫県相生駅より岡山県西大手駅附近に接続する赤穂線は工事中止中であるが、すでに路盤の一部は完成しているから、地方産業開発のため速かに建設工事に着工して欲しいというのであります。赤穂線は第六十九議会で建設線に編入された路線で一部着工し、路盤工事も竣工した区間もありますし、地方の産業開発と輸送系路上の見地から小委員会におきましては十分審議しました結果、願意を妥当と認めました。  次に請願第二百三十八号、湯の元駅に急行列車停車請願、この請願の要旨は、鹿兒島本線湯の元駅は南九州観光地帯の一環をなす温泉地帶に位し、鹿兒島駅より二十八キロ九の地点にあるが、急行列車の停車がないため、本線乗降客の不便が著しいばかりでなく、観光事業発展の面からも是非東京始発第一列車を湯の元駅に停車するよう取り計らわれたいというのであります。小委員会におきましては、審議の結果第一列車の停車は妥当なものと認めました。  次に請願第二百六十三号、久之浜駅に、こ線橋架設請願、この請願の要旨は、久之浜駅の乗降客は一日数千人を数えるがこ線橋がなく不便且つ危險であるから、至急架設されたいというのであります。小委員会におきましては、願意を妥当と認めました。  次に請願第二百六十五号、板橋駅旅客ホーム改造に関する請願、この請願の要旨は、旅客ホームは構造が極めて危險な現状に上あるので、至急改造して乗降客の危險を防止されたいというのであります。小委員会におきましては、政府当局より現状説明を聽取しました結果、願意を妥当と認めました。  次に請願第二百七十五号、要田駅確認に関する請願、この請願の要旨は、磐越東線要田駅は地方民の要望が達せられて本年八月開業したが、乗降客も予想外に多く、今後の地方産業振興に大きな役割を果すものと期待されているから、遠距離乗車券の発行及び小荷物の取扱いができるよう速やかに本駅確認されたいというのでおります。本請願事項につきましては、目下日本国有鉄道で手続を進めている旨の当局からの説明あり、願意を妥当と認めました。  次に請願第二百八十三号、中村、新地両駅間に駒ケ嶺駅設置請願、この請願の要旨は、常磐線中村、新地両駅間の距離は九キロあり、附近の住民は中村駅か新地駅を利用するほか鉄道の便はなく、又貨物の点についても米穀、薪炭、木材その他の産出も多く、殊に相場塩業会社の発足により集散物も増加しているから、中村、新地両駅間に駒ケ嶺駅を設置して欲しいというのであります。小委員会におきましては、審査にあたり政府当局の見解をも参酌し、審議の結果、現地の事情を考慮し、願意を妥当と認めました。  次に請願第二百八十六号、大垣駅、樽見間鉄道敷設に関する請願、この請願の要旨は、昭和十一年に樽見地方の無盡蔵な地下資源開発のため鉄道敷設工事が着工され、工事も進展していたが、その後戰時中資材不足等のため敷設された鉄路も、又巨万の費用を投じた揖斐川鉄橋を取り除かれるに至つたが、本線の必要性は旧に倍するものがあるから、速かに本鉄道を復旧開通せしめられたいというのであります。本鉄道線は予定線に編入されているものであり、延長三十五キロのうち約十五キロは路盤も完成し、一部は工事に着工し、残部は設計も済んでおる状態でありますので、奥地の開発上及び交通網の完成上から小委員会におきましては、願意を妥当と認めました。  次に請願第三百二十七号、福島県脇田、中久原間に国営バス運輸開始の請願、この請願の要旨は、福岡市と石炭の宝庫である築豊炭田とを結ぶ最短路線である国営バス直方—脇田線と、博多—久原両線の中間には、脇田—中久原間十四キロの未開通区間があるが、沿線には豊富な森林資源を有し、又観光地も多いから、速かに右未開通区間に国営バスを運転して欲しいというのであります。本件の審査に当りましては、国営バスの民営拂下問題も多い現状に鑑みまして愼重に審議し、当局が今日まで営業を行うに至らなかつた理由を質しましたところ、本区間は昭和十年すでに予定線に編入されておりながら種々の事情で今日まで運輸開始が延びているものであるとの説明がありましたので、これを促進せしめる意味で採択することといたしました。  次に請願第四百九号、朱鞠内、羽幌両駅間に鉄道敷設請願、この請願の要旨は、名羽線鉄道敷設については沿線町村の永年の要望の結果、名寄町、朱鞠内間はすでに工事を完了し資源開発に寄與しているが、朱鞠内、羽幌間は未だに完成しないため、沿線の鉱産、林産資源開発は一部を実施しているのみであるから、北海道北部資源開発のため、朱鞠内、羽幌両駅間に鉄道を敷設せられたいというのであります。本線敷設につきましては、当局としてはその必要は認めておりますが、現在の状況では早急に実現は困難だということでありました。小委員会としましては、未開地の開拓、鉱産、林産資源の開発及び道内交通網の完成を期する点から考慮して、願意を妥当と認めました。  次に請願第四百三十三号、大橋、足ケ瀬両駅間に上有佳駅設置請願、この請願の要旨は、釜石線大橋、足ケ瀬両駅閥に上有住駅設置の既定方針が今回変更され、普通駅より信号所への格下と決定した由であるが、本駅は岩手県気仙郡における唯一の北玄関口であり、附近の林産、鉱産資源の開発、地方交通の利便と三陸沿岸の釜石、大船渡の陸上連絡地として重要であるから、本駅の設置を図られたいというのであります。小委員会におきましては、現地の事情を考慮の上、願意を妥当と認めました。  次に第四百三十六号、岐阜駅改築工事促進に関する請願、この請願の要旨は、岐阜駅の第一期改築工事は昭和二十四年四月に完了したが、本工事は事務室及び待合室のみであるから、観光都岐阜駅の完成のため引続き第二期工事を促進して欲しいというのであります。本請願につきましては、政府当局より説明を聽取し、審議しました結果、願意を妥当と認めました。  次に請願第四百九十七号、北陸線増設工事完成に関する請願、北陸線の増設工事は昭和十三年十一年着工以来、戰時中の物資並びに労力不足の難関を克服して八割程度の完成を見たが、経済九原則の履行によつて中止される由であるが、木工事を中止すれば、最難箇所の五キロ余に及び深坂トンネルは工事未完成のため落盤に次ぐ崩壊により地下水が数百石の湧水となり、工事を続行する以上の経費と労力を消費することになるから、是非本工事を完成せられたいという願意であります。本工事は第一期が昭和十三年着工、同十九年中止、第二期工事は二十一年三月に着工されて二十三年三月に中止になつており、平均六十パーセントは完成しており、深坂トンネルも四十パーセントはコンクリート巻も完成している状況で、小委員会も願意を妥当と認めました。  次に請願第四百九十八号、浜松、米原両駅間および米原、姫路両駅間鉄道電化促進に関する請願、この請願の要旨は、新日本の建設と産業の復興には鉄道の電化が最も必要である。殊に東海道線の電化こそ現在最も緊要とするところであるが、本区間には延長四・二キロに及ぶ東山、逢坂の両トンネルがあり、炭質の低下等のために事故が頻発し、人道上一日として工事の遅延は許されない現況であるから、対日援助物資金中から電化工事費を優先的に充当して、浜松、米原間を速かに完成し、米原、姫路間を明年度に完成して欲しいというのであります。小委員会におきましては、石炭の消費節約及び輸送力の増進等の点を考慮しまして、願意を妥当と認めました。  次に請願第五百六十五号、堺港臨港線完成促進に関する請願、この請願の要旨は、関西線八尾加美より木津川及び堺港に至る臨港線は、昭和十一年国土計画交通委員会において計画を見たまま放置せられていたが、今回運輸当局において本計画の半である八尾加美、阪和線杉本町間をいよいよ着工せられる由でるが、本工事を更に堺港まで延長し、四国、淡路、大和及び河内方面の旅貨物の交流輸送に資せられたいというのであります。小委員会におきましては、政府当局説明を聽取し、審議しました結果、請願の趣旨を妥当と認めました。  次に請願第百六十六号、観光事業振興緊急対策に関する請願、この請願の要旨は、観光事業は、国際親善の増進に資すると共に、見えざる輸出として外貨を獲得し、経済再建に大なる寄與をなすことは多言を要しないところであつて、特に輸出不振の現状より見るときは、観光事業により獲得する貿易外收入の果す役割は極めて重大である。然るにこれに対する国内の受入体制、特に道路、宿泊設備その他諸施設の現状は、質、量共に甚だ貧弱であるから、速かに本事業に対する根本的な振興策を講ぜられたいというのであります。小委員会におきましては、審議の結果、願意を妥当と認めました。  次に請願第六百二号、陶磁器貨物運賃通算制実施に関する請願、この請願の要旨は、愛知県知多郡地方は、瀬戸物の産地として有名な特殊産業地帯であり、終戰後貿易再開を控えて事業に邁進しているが、運賃が地方鉄道国有鉄道の併算制によつているため、過重な負担をすることとなり、当地方産業の発展上大きな支障となつているから、運賃改正に際しては、運賃通算制を採用せられたいというのであります。小委員会におきましては、産業の性質並びに地理的環境を考慮し、願意を妥当と認めました。  次に請願第六百六十六号、酒田港の国有鉄道用石炭陸上輸送切替に関する請願、この請願の要旨は、国有鉄道用炭の陸上輸送移転は全国中継港において海運界崩壊の危機として叫ばれているが、全扱量の四四%を鉄道用炭に依存していた酒田港においては鉄甲用炭取扱皆無となる場合は、港湾経営に壊滅的打撃を受け、海運業界の崩壊は必定であるから、鉄道用炭の海上輸送を陸路輸送に切替を強行されないように処置して欲しいというのであります。小委員会におきましては、酒田港の発展の経緯並びに裏日本の地理的、気象的條件を勘案し、願意を妥当と認めました。  次に陳情第一号、山形、北山形駅間府県道大曽根街道山形停車場踏切こ線橋架設陳情、この陳情のの要旨は、山形市を縦断する奥羽線の西側は兵営、練兵場であつたため、東側との交通量も従来は少かつたが、終戰後各種工場や学校、住宅等が急に増加したため東西の交通は頻繁となり、現在両者を結ぶ交通路は府県道大曽根山形停車場の踏切のみで日に三万二千六百余の歩行者及び四千三百七十余の車馬の交通量に多大の不便を感じておる。それに加えて最近列車の運行が増加し、東西の交通の遮断される回数が日に百六十四回にも及ぶから、速かにトンネル又はこ線橋を設けられたいというのであります。小委員会におきましては、政府当局より説明を聽取し現状を確認しまして、願意を妥当と認めました。  次に陳情第五号、多治見、名古屋両駅間鉄道電化に関する陳情、この陳情の要旨は、中央線多治見、名古屋間の沿線は、我国陶磁器の主要生産地で、名古屋との関係は極めて密接なものがあり、一方戰災疎開による沿線居住民の大部は名古屋への通勤者であるため、唯一の交通機関たる中央線の交通量は毎列車定員の数倍に達し、殊にトンネルの多い路線のため通勤者の不便と危険は言語に絶するから、国鉄電化の線に沿い、多治見、名古屋間を速かに電化せられたいというのであります。小委員会におきましては、現状を考慮しましてその願意を妥当と認めました。  次に陳情第七十一号、浜原、備後十日市両駅間鉄道敷設予路線中一部変更等に関する陳情、この陳情の要旨は、三江線浜原駅から江川に沿い、浜原村大字信喜都賀行村、都賀村、阿須郷村、口羽村を経て備後十日市駅に連絡する線が予定せられているようであるが、江川沿岸の地質、地勢及び江川ダムの建設計画等を十分に考慮されて、浜原駅から東に向い沢谷村を経て、都賀行村で予定線に合するよう変更せられ、又同時に沢谷村地内の物資の集散を円滑にし、村民の利便を図るために同村に停車場を設置せられたいとの陳情であります。小委員会におきましては、政府当局より説明を聽取し、審議した結果願意を妥当と認めました。  以上請願三十五件、陳情四件は小委員会におきまして審査いたしました結果、採択して内閣に送付するを妥当と認めました。以上御報告申上げます。
  51. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 只今の小委員長報告通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 御異議ないと認めます。よつて委員長報告通り決定いたしました。   —————————————
  53. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この際通運事業法案外二件に対する質疑は後廻しにいたしまして、国際観光事業の助成に関する法律案を議題に供します。これに対する質疑は大体終了いたしておりますが、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それでは討論に入ります。御意見のある方は一つ御発表を願います。
  55. 高田寛

    ○高田寛君 国際観光事業振興を図らなければならんということは、すでにその論議が盡されておるのでありまして、この観光事業振興を図るためにには、一面国内の観光施設の充実を図り、又観光観念の普及を図ると同時に、一方又国際観光宣伝を大々的に実施に移さなければならないと思うのであります。この時に当りまして、観光事業の面におきましては、営利事業でなく国家的の立場に立ちまして、この観光宣伝なりその他観光事業振興を図るような事業団体というものも幾つかあるのでありますが、このようなものはやはり国の力を以て、国の助成を以てこの種の仕事をいたさなければならないので、この意味において本案は観光宣伝なりその他観光專業振興に関して必要な経費の一部を政府より補助するという趣旨でありまして、これは観光事業振興のために是非とも必要な法案であると思いますので、私はこの法案賛成いたす次第であります。
  56. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 他に御意見はありませんか。御意見ありませんければ、討論は終結したものとみなします。  これより採決に入ります。政府提出の原案に賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  57. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 全会一致可決すべきものと決定いたしました。それでは一つ御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     早川 愼一  高田  寛     前之園喜一郎 小泉 秀吉     大隅 憲二  鈴木 清一     飯田精太郎  内村 清次   —————————————
  58. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に通運事業法案外二件に対する質疑を継続いたします。御意見のある方……
  59. 内村清次

    ○内村清次君 通運事業法案の第六條ですか、第六條によりまして免許基準がこれに謳つてありまするが、今回の政府説明によりますると、今までの独占的な形体を排除して、公共性を持たせて濫立を防止して社会化の方に持つて行くような御説明内容があつたのですが、併しこの第六條の免許基準を見ましても、將来の濫立というような点について、私は少し懸念を持つわけでありまするが、そういうような調整はどういうような方針を以て免許をして行かれるかどうか。その点につきまして先ず一点お尋ねいたします。
  60. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 第六條に書かれてございます四号からなつております免許基準に該当するものにつきましては、第二項にあります欠格條項がございません限り、免許をするという建前でございまして、非常に基準が幅のある又具体的でないという御批評もあるかと思いますが、この基準によりまして免許をいたして参りますれば、必ずしも左程濫立ということはないことになりやしないかと考えております。と申しますのは、勿論鉄道の大運送に附帶しておりまする小運送でございますので、大運送たる鉄道の施設の効率を向上させるという観点からいたしますれば、沢山の小業者が濫立いたしますれば、大運送たる鉄道の施設の効率を向上させるということには、なかなかむつかしい点も出てることもございまするしいたしまするので、鉄道の施設の能力如何によりまして、数の多いと申しますか、数多く認められるところも出まするし、又そこの取扱数量によりましても、実際免許業者というものは決つて参りまするので、具体的にどこの駅が沢山できるということにつきましては、具体的に個々の駅について考えて参らなければならないような結果になると思うのであります。この基準でありますと、濫立するというようなことにはならないと思います。
  61. 内村清次

    ○内村清次君 現在すでに小運送業が廃止になる改正が見えましても、相当地方においては、いわゆるこういうような通運事業関係をしたいというような希望者が出ておつたようでありまするが、一体そういうような状態は、現在ここへ資料は一部出しておりますけれども、全国的にどういうふうな情勢であるか、又その後において、今免許審理をしておられる点はどういう点であるか、どういう地方に多いのであるかというような点を一つ詳しく説明して頂きたいと思います。
  62. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 第一次に取扱数量五十万トン以上を基準といたしまして、全国に三十三地区を告示いたしましたところ、免許申請者数は全部で百四十二に及びました。第二次といたしまして取扱数量二十五万トンを基準にいたしまして、全国に二十八個所を告示いたしましたところ、これに対しましては全部で五十五申請がございました。
  63. 内村清次

    ○内村清次君 將来この免許基準に適合して、各駅に対しまする通運事業者を設定せられるに当りましては、これは複数制をとつて行かれるというような噂も出ておりまするが、これはどういうふうな基本的な精神で行かれるのであるか、その点を一つ承りたいと思います。
  64. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 今後におきまして通運事業法が実施になりますると、通運事業経営するものは相当多数申請があるかと思います。従いましてそれらに対しましては、その申請につきまして審査を行わなければなりません。審査を行いまして、その申請されました駅の実情に応じまして、既存の業者の取扱状況その他を考慮して、実際に免許される業者というものは決まると思います。審査をいたしまして、実際問題としましては運輸審議会にこれを諮りますから、運輸審議会においてその実際の業者数というものも具体的に決まると思いますが、申請があれば必ずこれを認めるということにはならないと思います。申請がいたされたものでありましても、この基準に該当しない、例えば申請の内容が非常に不正確なものであるというようなことになりましたり、或いはすでに相当数の業者がございまして、更にそれに申請をして来たというような場合におきましては、到底そこにおきましてはその事業が成り立たないとかいうような場合におきましては、これは認められない場合もあるかと思うのであります。
  65. 内村清次

    ○内村清次君 そうなつて参りますると、この運輸審議会というこの機構が相当これは重大であることは設置法案にも書いてありまするが、問題は今後のこの通運事業を社会化して行こうというような点と睨み合せまして、相当審議会のその構成人員であるところの人に、小運送業に対するところの認識の深いというような方々がおらなくちやできないと思うのですが、現在の審議会におきましても、そういうような点につきまして何か不便がありはしないかどうか。又將来においてこういうようなものを特定の人を決めるような、政府の方において運輸省の設置法案の範囲内において審議会構成を変えるというような意思があるかどうか。この点について伺いたいと思います。
  66. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 現在の委員の中にも小運送には非常に造詣の深いと思われる方がおられます。
  67. 内村清次

    ○内村清次君 まだ答弁は不十分でありまして、これは現在においてはおられるかも知れませんが、併し一貫してこの法案の中にそういう構成事項を独占するような規定を設けられる意思があるかどうか。
  68. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 只今のところこの通運事業法にそういうことを規定する考えは持つておりません。
  69. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、法案改正についてのお考えがないとおつしやれば、結局この人のおる間においては、或いはそういうような点が消化されて、そうして均衡が取れる、同時に政府の意図するような点、同時に又利用者においても利便な点、こういうような社会的なものが解消しますが、これは重大な問題であつて、或いは小運送に現在明るい人、非常に経験のある人、こういうような人の中から当然一人ぐらいの即ち審議会の委員あたりは特別に考えなくちやならんと思うのですが、この点はどうですか。
  70. 荒木茂久二

    政府委員(荒木茂久二君) これは運輸方面に関する経験も勿論考慮に入れますけれども、法律に規定してございますように、委員は年齢三十五歳以上の者であつて、広い経験と高い識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得まして任命する、こういうことになつておりまして、小運送に経験がある、或いは地方鉄道事業に経験があるという、特定の関連事業に経験があるということでございませんで、勿論そういう経験があることは一層望ましいことではございまするけれども、いわゆる広い常識家、広い経験があり、高い識見を持つた人が全体的に判断をして、そうしてその判断になりますいろいろのデーターは当然事務当局の方が準備し、又委員会自体が聽聞会を開きまして、それによつて事実をはつきりし、その事実に基いて広い経験と高い識見から判断を下す、こういう建前に相成つております。尚念のため申上げますが、この委員は両議院の同意を得て任命されるものでございます。
  71. 内村清次

    ○内村清次君 これは設置法案の即ちこの第九條の点を政府委員の方でおつしやつたようですが、勿論これは両議院の同意を得ます。得ますが先ず選考の途上におきまして、やはりこの政府の選考を主体といたします関係で、現在の審議会の委員の方々の選考事情及び又両院でのこれの取扱い方につきましても、これはもうすでに我々も経験済でありますが、要はあなた方の選考ということがありますが、選考よりもむしろこういう点には、この法案に或いは明記するというような点まで考えるべきじやないか、同時にこの公益性というのは、これはもう申すまでもないことでありまして、鉄道運営上切つても切れない問題であるという以上はですね、やはりこの公益性ということは相当当局としても考えなければならない問題ですから、そういうような意思を段々と深めて行かれるかどうか、この点を一つもう一回念のためにお伺いして置きます。
  72. 荒木茂久二

    政府委員(荒木茂久二君) それは御説御尤もでございまして、御承知のように運輸審議会に付議しなければならない事項は非常に広範に亘つておるわけでございます。海運から陸運、国鉄関係運賃と、非常に広範な事柄に亘つておりますので、この委員の中にはできるだけそういつた方面の経験を有するという人を選考の範囲に入れるということは当然ですけれども、又いわゆるそういつた経験のない純然たる学識経験を有するという人も入れる必要があるだろうと思うのであります。これは御存じかと思いますけれども、アメリカにおきまする州際交通委員会の制度に倣い、関係方面のサジェッションによりできたものでございまして、それはそういつた経験を必要とするけれども、その経験に着目し過ぎてはいけない。広い経験と高い識見を持つているという、いわゆる全般的な世故にたけたと申しますか、そういつた者を選ぶべきである。例えば判事は社会万般の事情を知つておるわけではございませんけれども、常に丹念なる事実の発見に努めることによつて、それに対して良識、いわゆる広い経験と高い識見を持つていることを要するのであつて、それによつて公平な判断ができるというのである。こういう趣旨を他面に含めておるのであつて、内村委員の言われるような点も十分勘案いたしますけれども、又今申上げたような点も考慮いたしまして彼此勘案して、政府におきましてこの選考が行われることと思うのでございます。
  73. 内村清次

    ○内村清次君 第十二條の事業計画の変更の点につきましてお尋ねいたします。この項目に「但し、次條の規定による運輸大臣の認可を受けた場合その穂か省令で定める場合」という点がありますが、省令においてはどういうような点をお定めになるか、この点を一つ明確にして頂きたい。
  74. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この省令では事業計画のうちで軽微なものを定めるわけでございますが、例えますれば、本店、支店その他の店舗の新設、廃止、移転というようなこととか、名称の変更、それから自動車の車名、形式、年式、原動機の種類、燃料の種類の変更というようなこととか、或いは自動車以外の運搬器の数とか倉庫の棟数、面積、專用線の延長、車輌の変更、従事員数の変更というようなことは、事業をやるにつきましては極めて重要な要素でございますけれども、その変更を一々認可にかからしめるということはこれは煩瑣でございますから、事業者の創意に任せて、届出で以て事後の内容をよく見て行くという程度に止めたいというようなことでございます。
  75. 内村清次

    ○内村清次君 そういうような煩瑣な点までも省令で縛つて行くと申しますと、一体通運事業者がいわゆる免許基準によつて、その基準にパスされて、許可を受けられて、勿論その内容においては少しは変更されて行かれると思いますが、一体こういう事業計画の変更というような大きな変更をですね、又更に運輸省の方に伺うとか、この規定に従わなくちやならんというようなことを実際においてやるのであるかどうか、その点を一つ……
  76. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 勿論最初申請するときに出した計画通りでずつと続けて行くことが、事業としては一番安定しておるのでございましようけれども、すべて鉄道輸送の変動に応じて事業規模を拡張したり或いは縮小したりすることが必要になるものでありますから、どうしてもこのような事柄の変更は起り得るわけでございます。そのうち重要なことは認めていろいろと審査の対象にいたしますけれども、只今のような問題については、これは事業者の創意に任していいのではないかということで、事業相当輸送の波に応じた彈力性を持たす必要があると思うわけでございます。
  77. 内村清次

    ○内村清次君 第二項の一の即ち「事業計画の変更が公衆の利便を害するおそれがないもの」という点、これに対するどういうものが公衆の利便を害するかというようなあなた方の御見解、それが一つ、それから第二の事業計画の変更によつて通運が一般事業と著しく不均衡となる慮れがある、この点についての解釈を明確にして置いて頂きたいと思います。
  78. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 第一号の例を申上げますと、事業計画の中でも自動車の数なんかは集荷配達能力を決定する上に非常に重要になりますが、それを事情が変つたからといつて自動車の数を非常に減らすような場合には、直ぐ集荷配達能力が足りなくなりまして、荷主、公衆が非常に迷惑を来たす虞れがあるものでありますから、そのような場合には第一号に該当するものとして、これは認可をしないということが起るわけでございます。第二号の場合には一般需要即ち荷主、公衆の通運に対する需要があるに拘わらず、それを事業計画を縮小してバランスがとれなくなるという虞れがある場合を言うのでございまして、第一号と第二号とは書き現わし方はいろいろとありますが、主として減少する場合が一番心配になると思います。但し増加、非常に殖やした場合にも、これ又一般の需要に対して供給過剰になるという慮れが著しくなつた場合には、第二号で同様に認可を抑えるということが起り得るわけでございます。
  79. 内村清次

    ○内村清次君 次にこの十三條の規定ですが、これは自動車を使つておらない通運業者が自動車を使うというような場合には、運輸大臣に認可を求めなくてはならない、こういうことになつておりますが、先ず通運事業のために、それは田舎駅においてただこの小口扱いだけを考えて行くというようなところもこれはあるだろうと思いますが、併し一般的に免許、許可を受くるような通運業者に対しまして、自動車を使用しておらないというようなところが実際においてありますか。
  80. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 現在ある小運送業者は一応附則で以て既得権者として通運事業の免許を受けたものとして認められることになりますので、そういう現在の事業者の中には今のお話のような田舎の方でトラックを持たない業者が相当ございます。小運搬で荷車、荷牛馬車で賄つておる業者が相当あるわけでございまして、そういう業者が自動車を持とうとする場合にこの十三條に当ります。ですから、新たにこの法律によつて免許を受けるという場合でも今のお話のような非常な田舎の山間僻地において、そういうトラックを差当り必要としないという申請をして来た場合に、それで結構だ、十分であるという場合には免許を與える。その後の事情の変化、輸送力の増加によつてトラックを使いたいということも想像できるわけでありますので、こういう條文を置いたわけでございます。
  81. 内村清次

    ○内村清次君 そうして見ますと、そういうような小さい駅の通運事業者のみに適用するものである、そういう点にも適用ができるとしましても、これは一つ事業計画という点においてはみなされないものですか。第十二條の……
  82. 中村豊

    政府委員(中村豊君) お説の如く事業計画の一つでございます。それでその十二條でと言わずに十三條に書きましたのは、これはこの自動車を使つて通運事業をやるということは通運事業の中の集荷配達になるわけでございますが、同時にそれは道路上を自動車を使用して物を運送するという点から貨物自動車運送事業ということになりまして、そのままで置いて置けば道路運送法の免許を受けなければいけない。そのようになるわけで、両方の法律によつて免許を受けるということは同じ運輸大臣の下に両方の手続をしなければいかんという煩瑣な点がございますので、両方の合致した部面については一つ観点から判断しよう。それで十三條で以て通運事業の免許というだけで、或いは通運事業の認可というだけで問題を簡單に扱つて、事務の簡素化、業者の方に対する便宜を図ろうとしたわけで、それを十二條からここへ持出して特則を開いたわけでございます。
  83. 内村清次

    ○内村清次君 これは問題はこの道路運送法関係の即ち、免許、許可の方の点は全然これでまあ削除して、結局運輸大臣の方でも特例を設けて、この法律によつて認可をするということですか。
  84. 中村豊

    政府委員(中村豊君) ちよつと説明を落しましたが、お説のように法律の附則の七項に特別にそういう規定を置きまして、道路運送法の一部を改正して十一條の方で次の一條を加える、(通運事業者の特則)とありまして、この本法の十三條の認可を受けた場合には道路運送法による貨物自動車運送事業の免許を受けたものとみなす。但しこの通運事業を行う範囲についてでありますが、そういう免許を受けたものとみなすという特則を開いております。
  85. 内村清次

    ○内村清次君 それから第十五條の点を今少し一つここで説明をして頂きたい。どうも法案が重なつております関係で、よく呑み込めない点があります。
  86. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 少し説明は細かくなるかも分りませんが、只今申しましたのと全く逆の場合で、今度は道路運送法によつて貨物自動車運送事業の免許を持つておるものは、そのことは通運事業の見地から見ますと、集荷配達ということになりまして、通運事業の免許を受けなければいけないのでありますけれども、貨物自動車の免許だけで通運事業の免許を受けたものとみなすということでございます。その中味はいろいろ書いてございますけれども、その内容を申上げますと、運輸大臣が、大体この貨物自動車運送事業の免許というのは愛知県一円というふうに、主として県單位で県内のどこでも仕事ができるように免許がされております。従いましてそのままみなしてしまいますと、愛知県なら愛知県の県内のどの駅にでも出入りができるということになりますので、それはその既存業者との関係、他の運送業者、トラック業者との関係で混乱が起るといけませんので、その愛知県一円のうち、どの駅に出入りができるという駅を取扱駅として指定するということがどうしても業界の整理上必要になると思いますので、そういう指定をしたい。その指定をしました、ときは笹島駅なら笹島駅として指定をしましたときには、次のような條文についてはトラックの免許があるとみたすということになるわけでございまして、四條の第一項というのは、免許を受けなければたらないということについてであります。それから九條というのは名義の利用や事業の貸借をしてはいけないという規定でございます。十條は事業の管理をやるには許可を受けなければいけないということでございます。十四條は事業の停止や免許の取消しを如何なることがあつた場合にするかという規定であります。十六條は駅がその取扱いの物品運送の営業を停止した場合には免許が失効するという規定でございます。十七條は通運の引受で、通運を申込まれたときは引受を拒絶してはいけないという規定でございます。二十條は運賃、料金は認可を受けなければならないという條文であります。二十一條は通運約款を定めて認可を受けなければならないという規定であります。二十二條は運賃、料金、約款は公衆の見易い所に掲示しなければいけないというような條文でございます。二十六條は事業が公衆の利便を阻害している事実があると認めるときは事業改善の命令を出すという規定であります。二十七條は荷造、保管、仕分というような特殊の仕事をする場合に通運事業と同じような條文の準用があるというような規定。そういうような規定の適用については通運事業者と同じように免許を受けたものとみなす、こういうことがくどくどしく書いてあるのであります。
  87. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、この條項は、これは貨物自動車事業の免許を有するものの取扱いを指定したときには、これこれであつて通運事業の免許を受けたものとみなすというようなことになつて来るんです。これはですね、非常に輸送秩序というものが混乱しやしませんですかね。
  88. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点が心配されるものですから、今言つた愛知県一円のどの駅にでも集荷配達できるとなると、そういうふうな秩序が紊される虞があるものでございますから、愛知県内にもトラック業者が沢山ございますし、各駅にはすでに通運事業者がありますし、又今後各駅に新らしい通運業者が免許されると思いますから、そういうふうな各駅業者の大体の分野を考えながら整理するために取扱駅を指定するわけでございまして、これによつて御心配のようなことなくして秩序を維持しようという考えであります。
  89. 内村清次

    ○内村清次君 その間にこの業者間において非常な不当競争が起りはしませんか
  90. 中村豊

    政府委員(中村豊君) そういうことが起らないように指定に当つては十分に需要供給の関係、駅の構内の模様を考えてやつて行きたいと思います。
  91. 内村清次

    ○内村清次君 それから第十六條の点につきまして、これは免許の失効ですが、これは第四條乃至第五條ではつきりしておりまするから、こういうようなものは削除するというようなお考えはないのですか。
  92. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 免許は一種の通運事業をやる権利を設定する行為でございますので、そのままいつまでも置いておくということは特定のものに特別の権利を附與することになりますので、どうしてもこの掲げられた三つのような場合にはその特権がなくなる、ここで終りになるのだということを明らかにして置かなければいけないと思つて、こういう條文が置かれたのでございます。
  93. 内村清次

    ○内村清次君 これがあるために却つて又幾らか緩和したというようなことはないのですか。
  94. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 緩和したということではなくて、一度認めた権利でございますから、特別の法規通反その他がない限りは事業の停止とか免許の取消しをやるべきではない。特別の場合、法規違反その他の事項があつた場合だけ十四條で停止や取消しをやるわけでございますから、そういう事柄ではなくて、例えば取扱駅が物品運送をやらなくなつた、品物の種類を限定したときにその品物の取扱いをしなくなつたとが、廃止の許可を受けたとかいうようなこういう場合だけは、これはやろうにもやりようがなくなつたわけでありますから、当然失効になるというので、整理の意味でこういう規定を置いたのであります。
  95. 内村清次

    ○内村清次君 第二十條の第三項に、「運賃及び料金は、集貨、配達、取扱、積込、取却その他業務の種別について、定額をもつて明確に定めなければならない。」、この定額という点はどうですか。
  96. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これは新らしく置かれた規定でございまして、現在では小運送運賃料金は最高運賃を決めて、それ以内では幾らでもよろしいということになつております。物価等統制令の建て方もその通りでありますけれども、段々と通運事業が整備されて参りますと、上は最高限度は決めて置いて下は幾らでもよろしいというのは不合理ではないか、やはり原価計算や適正利潤を検討してこれこれの額という一定の額があるのが本当でないかということに考えられましたので、一定の額というものを決めて、その上でもいけなければ下でもいけないという考え方になつております。尤もいろいろな事情によりまして、特別の場合には割引運賃というものを認可を受ければ、その定額よりも割引くことができる、こういうふうになつております。
  97. 内村清次

    ○内村清次君 この定額制をお決めになつた御趣旨も分りましたけれども、実際においてこの定額制というものは守られるものであるかどうか、これが一番今後同じ駅の中におけるところの即ち運送業者間におきましても問題になるのであります。これが本当に守られるかどうかという問題と、それから問題はやはり運輸省がこれを大臣認可によつて決定する場合、運賃、料金が問題になるのですから、やはりこれは実際においてこういうふうに法律に明記して決定した方がいいものであるかどうか、又これは当然しなければならないと思うのであるかどうか、そういうようなものが乱脈になつて来はせんかということの過去の経験からしまして、御意見を拜聽したいと思います。
  98. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 御説のごとく確かにこの点を守りますことはむずかしい問題であり、又現状からは相当進み過ぎたような感じはいたしますけれども、過去の小運送の実状を見ますると、非常に大口のお客さんには割引をして安い運賃でする代りに、その地区内の引越荷物なんかを依頼するような一般市民からは高い運賃を取るということで、非常に不公正な取扱いがあつたわけであります。又大口荷主の奪い合についても、お互い安い運賃、うんと原価を割つて値下げをするために、結局共倒れというような事態もたびたび起つたわけなのでございますので、現状からは非常に進み過ぎておるような感じはありますけれども、是非定額制を維持して通運事業の合理化を図りたい、かような趣旨から規定したわけでございます。
  99. 内村清次

    ○内村清次君 ちよつと飛びまして二十六條の事業改善の命令ですが、運輸大臣はどういうような状態でこれを知つて行くか、又それを知つて行くのと同時にこういうようなことを運輸大臣の認定によつて決めて、そうして改善を命ずるというようなきつい点を出すのか、この点を一つ伺いたい。
  100. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これは公衆の利便を阻害している事実があるという非常に困つたときだけにやる場合でありまして、公衆の利便を増進するような積極的な場合には、事業改善の命令のような強い方法は取らない、消極的な場合にやるというのが第一の趣旨でございます。それからこれをいろいろと使つて無理をするのではないかという心配はございまするけれども、それについては勿論三十三條で運輸審議会に諮問して、その意見をよく尊重してその上でやるということですから、自由意思でやるということではございません。又これを受けた場合に果してそれが妥当であるかどうかという点に疑問がありまして、受けた業者がそれに不服の場合には三十五條で訴願の途も開かれ、救済方法を考えております。
  101. 内村清次

    ○内村清次君 今の訴願の途が開かれておるとおつしやつたのですが、それは命令が発した後の問題であるから、これを命令を発する前において何かその事業者及び関係者の意見を聽するような方法は、これは一つも謳つてないようですが、この点はどうですか。
  102. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点は今申しました三十三條の運輸審議会に諮つて、その意見を貧重してするということで、ここで公正な判断をして貰うということになります。
  103. 内村清次

    ○内村清次君 二十八條の問題ですが、これは通運計算事業経営しようとする者は、運輸大臣の認可を受けなければならないということで、一応これで認可制を取つておりまするが、これはどういう点に適合した場合のときに認可をされるのであるか、又通運計算事業というものは、これは昨日も村上委員からおつしやつたように相当関係がある問題ですが、この点について一つ御所見を承らして頂きたい。
  104. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 二十八條の第二項の終りの方に第六條の規定、つまり通運事業そのものの免許基準を認可する場合には、それをやはり準用しておるのでございまして、六條の四つの基準が基準になるわけでございます。
  105. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、事業者団体法との関連性は、これはもう打消されるわけですね、問題は……
  106. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 事業者団体法の関係は、この附則に入つておりませんので、事業者団体法の適用を受けることになります。そこでそうなれば通運事業者が持ち寄りで作るような通運計算事業はできないことになりますので、この点につきましてはできるだけ早い機会に改正することを関係方面とも折衝しようということは、局長からも昨日答弁した通りであります。
  107. 内村清次

    ○内村清次君 この運輸審議会の諮問の事項で、第三十三條ですが、これは運輸審議会の機構からいたしましても、相当大きな問題も取扱つておるようですが、免許、許可、認可その他の処分をするときには運輸審議会に諮らなくちやならんが、この運輸審議会が軽微な事項と認められておることについてはその限りではない、この軽微な事項という点をここに織込まなければならないという理由はどこにあるのですか。軽微な事項という軽微の問題の御説明からお願いしたいのです。
  108. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これを全部この通り、免許、許可、認可その他の処分というのは、事業の停止とか、免許の取消、又は事業改善の命令とかというようなことをすべて審議会に諮るとなると、これは大変な仕事の量になりまして、どうしても或る程度軽微なことは許して貰わなければいけないのじやないか。殊にそれが根本的な方針に関係したり、或いは業者の根本的な利害関係影響するものでない限りは、これは事務を迅速に処理するためにこちらに許して貰つてもよいのじやないかという趣旨でございまして、例えて見ますれば、事業計画の変更の認可の中でも、軽微な事項は届出でいいのですが、それよりは多少重くとも、運輸審議会に一々お諮りしたくとも済むようなものがある。又地域的に山間地方でありまして、そう全国的な影響もないその土地において需要供給の関係から大して影響のないようなこと、或いは品物、荷主を限定して免許をする場合の免許を受けた業者の事業計画変更とか、或いは譲渡というようなこと、いろいろと軽微な例は考えられるのでありますが、そういうものについてはかけなくとも済まして貰つてはどうかと思うわけであります。又それについては運輸審議会によく御相談しまして、その承認の協議が整わなければ、そういうことはできないわけでございます。
  109. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、これは免許、許可、認可というようなものは相当大きな問題なのですが、併しその中に軽微な事項があり得るとはまあ私達も考えられないのですが、やはり民主的な機構があればそこに諮つて、そうしてその決定を尊重して行くというところに審議会の任務があると思うのですが、やはりこういうような事項は謳われなければならないでしようか。
  110. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 免許、許可、認可という事柄は非常に重要なことだと思います。併しながら性質としては重要でございますけれども、事柄の内容そのものは具体的な場合には大して重要でもないことがあるわけでございます。事柄の性質と内容によつては我我で考へ分けができるのではないかと思います。勿論その場合にもそういうことの決定をしますためには、今申しましたように審議会によく御相談して、その協議が整わなければできないのでございます。
  111. 内村清次

    ○内村清次君 この軽微な事項を認めるのは、結局これは事務当局の方で認めるのでしようか。やはりその事務当局の認定によるものであるか、やはりこういうふうな点を書いて置かなくちやいけないのですか。
  112. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点はちよつと説明をもう一度はつきり申しますと、但書は運輸審議会が軽微な事項と認めるので、運輸大臣でなしに、運輸審議会の方で軽微な事項と認めて呉れなければいけないわけです。そういうことについては例外を作る審議会が判断をするわけです。そうしてそういうことがありましても、今までのやつておるやり方は、その結果を連絡事項といつて審議会にこういうことをいたしましたということを報告しておりまして、若し不適当の場合には審議会からいろいろと御注意があるわけでございます。
  113. 内村清次

    ○内村清次君 併しこの諮問事項を運輸大臣が諮問して行くのは、免許、許可、認可その他の処分というような大きな問題をこれは審議会に諮つて、そうしてこれは運輸大臣だけの考えではいけないということは分りますね。かけることは分るが、そういうようなことだけで当然審議会にかける道程におきましては、事務上の手続としてあなた方が見て判断してやられるのでしようが、それをかけた以上はやはりこの三つの條件に適合しておるものとしたならば、運輸審議会が軽微な事項としてそれを審議しないというようなことがやはりあるのですかね。
  114. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) これは実際問題としますと、免許の中にも一般的な免許と非常に限定された免許もございますし、又認可と申しましても、この法律において各所に認可という事項もございますし、又許可になつておる点もございます。その免許、許可、認可と申しましても、その内容の事項によりましていろいろ実際問題として重要だと思われるもの、比較的軽微なものだと考えられるものがあるわけでございますから、予めこういう事項は軽微な事項として諮問をしないで処理し得るように審議会において決めて頂く、こういうことになると思うのです。それで現在の運輸省設置法の運輸審議会の第六條の規定の第二項におきましても、「運輸審議会が軽微なものと認めるものについては、運輸大臣は、運輸審議会にはからないでこれを行うことができる。」ということになつておりまして、この法律だけではなしに、その他の運輸審議会に諮つて、その決定を尊重して運輸大臣がいろいろと処分をしなければならないという原則ができておりますが、そのうち非常に軽微な事項と運輸審議会が認めたものは、運輸大臣が諮らないでできるというように審議会の規定でもなつております。従いましてこちらにおきましても、この法律において全面的に免許、許可、認可その他の処分は、審議会の諮問にかけるのである。併しそのうち事項によつて軽微と思われるものは、審議会に諮らないで、運輸大臣においてこれは諮らないで処分をすることができる、こういう意味合でございます。
  115. 内村清次

    ○内村清次君 これは先程の政府委員と牛島さんとお話が食い違つているように聞こえましたが、審議会は、一旦諮つたものをこれは軽微と認めて、それは諮らんでもいいというお話があつたわけですが、今のあなたのお話では、運輸大臣はこの審議会の規定によつて法律によつて軽微なものはもう諮らんでもいいというようなこともある、これはもう実際にありますね、それだから諮問をして意見を聞くというような大きな問題、今言つたように、免許、許可、認可というような大きな問題は、これはやはり当然意見を聞いてその意思を尊重しなくちやなりませんが、軽微なものはもうすでに運輸大臣の方で、軽微だからこれはかける必要はないという精神からこれを削除して行くというような点から考えて削除するというようなお考えがないかどうか、お聞きしたいと思います。
  116. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 先程の私共の説明、別に食い違いはございませんので、一つ一つについて、軽微であるからということで審議会にかけないで処理するというやり方にするか、大体包括的に事柄を決めまして、この程度のことはもう初めからかけなくて済ますように話合を決めて置くかというやり方だけの問題でございまして、いずれにしましても、そういう軽微なことについてはこれから外す、又一つ一つの事柄について御相談していたのでは大変でありますから、包括的にやるというのが、今までこの審議会なんかでもやられている方法であります。で審議会は運輸省設置法にありますように、この通運事業のみならず自動車運送事業関係の沢山の案件、又国鉄関係、或いは海運関係を一手に引受けることになるのでございますから、非常に仕事の量が多くなり、どうしても軽微な点については任すということが必要なことになるのじやないかという意味合から、こういう規定が置かれたのであります。
  117. 内村清次

    ○内村清次君 最後に聞いて置きますが、すべてこの四つの條項に連関したものは、皆一応運輸審議会にかけるのだ、運輸審議会自体がこれを検討して見て、これは軽微だというときには、これは諮問に応じなくていいというような、こういうような精神ですか。
  118. 荒木茂久二

    政府委員(荒木茂久二君) これは実際の運用といたしまして、今まですでに、今御指摘になつておる條文と同一趣旨の規定が運輸省設置法の七條にございまして、実際運用して来ているわけでございますが、その運用の実際を申しますと、運輸審議会においてかけるべき事項がずつと法律に並んでおりますが、その中で、こうこうこういう場合は軽微なものであるとする、こうこうこういう場合は軽微なものであるとするということで運輸審議会に委員諸君が御相談なさつて、一応スタンダードをお認めになつておるわけであります。そのスタンダードを我々にお示し願つておりますから、我々がその事案を見まして、軽微なものであるスタンダードに該当するものはもう審議会にかけない。そのために、スタンダードに該当するや否や、疑わしきものについては、審議会にスタンダードがこうなつておりますから、この部分は如何思召すかという疑いのあるものについて予め御相談申上げることと、スタンダードに明瞭に該当するものは初めからかけない、こういう措置をとつて事務の簡素化を図つております。
  119. 内村清次

    ○内村清次君 第三十七條の点ですが、報告及び検査の項目について、これは第二項ですね、これはやはり運輸省の方からいわゆる運輸大臣は業者の帳簿書類その他の物件を検査しなくちやならない、そういうようなことでやはり必要ですか。
  120. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この通運事業は公共性が非常に強いものでありますから、事業開始の最初には免許という厳重な審査方法をとるわけでございますが、その後の模様について必要な場合は認可、許可ということで手続がふまれまするけれども、どうしてもそれも実際はどういうふうに仕事をやつておるかということを、断えず見さして頂かなければ荷主、公衆の利益を確保することになりません場合がいろいろとあろうと思うのであります。それで第一條の目的を達成するために必要があると認めたそういうような場合には、帳簿その他を拜見するというわけでございまして、これはどうしてもこのような場合にはこれだけの権限を運輸大臣に與えて置いて頂かないと、事業の正常な運営を図つて荷主を保護することにならないじやないか、かような意味から置かれた現在でございまして、いろいろの事業法には皆こういう規定が出て、主務大臣に権限が與えられておるわけでございます。
  121. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御質疑ありませんか。
  122. 早川愼一

    ○早川愼一君 第六條の免許基準という問題ですが、これは一、二、三、四と四つ並んでございますが、まあいずれも抽象的なものでありまして、法律に基準として現わすとすればこの程度で止むを得ないかと思いますが、この四の場合は、我々の解釈は鉄道の作業が困るようなものであつてはならんという意味であろうと解釈するのですが、これはもうややはつきりいたしておると思いますが、この一の場合に「当該事業の開始が一般の需要に適合するものであること。」これは非常に抽象的で恐らく申請書はいずれの場合でもこういうことになると思いますが、併し果して当該事業の開始は一般の需要に適合するかどうかという判定は、どういうようなことから判定されますか。
  123. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつとその前に、念のために申上げて置きますが、先程委員長より申上げた通り通運事業法案日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案、これを一括して質疑に入つておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  124. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 只今の御質問に対しては次のような場合が考えられると思います。一つは既存の業者がありますけれども、その能力が不足しておりまして、一般の需要を満すことができない場合、第二番目の場合は、既存の小運送業者の能力は十分でありますけれども、その運営が悪くて荷主の満足を買つていない場合、第三番目の場合は、既存の小運送業者の能力も十分あり一応事業についても満足を買つておるのですが、新規業者が出ることになつてそこにサービスの競争が行われて、よりよいサービスができるであろうと期待される場合、こういうことになるわけですが、一番目、二番目については相当一般の需要に適合して新規業者を認める余地が十分あると思います。第三番目の場合につきましては相当問題になるわけでございますが、この場合に新規業者を認めることによつて成る程サービスを競い合うということは起るでありましようけれども、その場合に需要に対して供給が非常に過剰になつて、不当競争が起るようなことがあつては、これは結局結果においては荷主の満足を買うことに至らずに却つて不測の損害をかけることになりますので、かような場合はこれはこの場合に適合しない、かようなことになろうと思います。尚その申請がその地区の一般の状態から考えまして、相当その地区に適当したような規模を持つておることが必要だろうと思つておるわけであります。その規模に合わないような場合は、これは一般事業としての荷主の希望するところに合致しないということが考えられるのであります。そのようにこの基準を解釈いたします。
  125. 早川愼一

    ○早川愼一君 尚重ねてお伺いいたしますが、二、三、四とありますが、この四つの要件を満さなければならない、こういうふうに考えてよろしいですか。
  126. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その通りでございます。
  127. 早川愼一

    ○早川愼一君 次に第十五條の貨物自動車運送事業者の取扱いの指定、この指定の手続はやはり免許申請と同じようなものですか。
  128. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは施行規則で以つてこの指定の手続を別に決めようと思います。従つて免許手続よりは軽い手続で済ましていいのじやないかと思います。
  129. 早川愼一

    ○早川愼一君 そこで重ねてお尋ねいたしますが、その場合には第六條の基準というものはどういうふうになりますか。基準が適用されるのですか、されないのですか。
  130. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 第六條はその通りの基準を適用するには余りに強過ぎると思うわけでございますけれども、この指定をするという趣旨は業界の混乱を避け、荷主の便宜を図りながら秩序を維持しようという趣旨でございますから、六條の基準の精神はこの場合にも考えられなければならないと思います。
  131. 早川愼一

    ○早川愼一君 そういたしますと、只今内村委員から質問のありました運輸審議会には、このことは諮られる事柄になりますか、ならんですか。
  132. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点は勿論三十三條で諮ることになるわけです。但しその手続が軽微であると審議会でお認め願えれば、例外になるのであります。
  133. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案、これについて二、三お伺いしたいのですが、この法律日本国有鉄道が買收しなければならんという施設の主なるものの数量等を御説明願いたい。
  134. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 実は日本通運の所有しておりまする施設でございますが、これは全国の駅に散在しておりまする関係で、而もこの第二條、第三條によりまして売收といいますか、国有鉄道が譲り受けまする範囲を国有鉄道が指定する、運営上必要なものとして指定いたすことになつておりまするので、はつきりした数量は未だ分つておらんわけでございますが、先ず大体推定いたしまして、又この第二号にございますような入換の動力車でございますが、こういうようなものは八十輛と申しますか、八十二輛ある。或いは機械装置等につきましても百二十五ある。こういうことは申上げ得られますけれども、その他の詰所でありまするとか構築物等にいたしますと、一応調べたものはございますが、果してどれだけ譲り受けるかということになりますと、はつきりした数字がございませんので、只今国有鉄道におきましても調査を進めておる次第でございます。
  135. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつとお待ち下さい。その点は大変おかしいじやないですか。国有鉄道が九十九万株まで株を確保をしているのだから、あなたの方に調べが付かなければ通運の方にある筈はない。それを手許に備えて置かないというのはどういうわけですか。曖昧な答弁じやないか。
  136. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 第二條にございます一号、荷役機械、二号、貨車の入換に使用する動力車、三号の倉庫、上屋、労務員詰所、荷扱所その他作業用の建物、四号の貨物の積卸及び保管に使用する構築物、こういうことになつておりまして、実際に譲り受けますのは、国有鉄道事業の運営上荷主或いは通運事業者に開放して公平に使わせる、通運事業者に実際に公平に使わせる必要なものということになつておりまして、国有鉄道がその限度において指定をいたしますから、従いましてそういうことになりますと、実際の数量というものははつきりしておらなくなるわけでございますが、入換動力車のごときもの、或いは機械装置等のものはこれははつきりいたしております。その外建物等になりますと、実際に労務員詰所として譲り受けるというようなものになりますと、どれだけの面積と申しますか、そういうことが只今のところでははつきりいたしておりません。ただ総括的に所有地内にありまする荷置場はどの程度あるかという点ならば、軒数だけは分つております。
  137. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 この法律目的は今の御説明だとはつきりしないのですが、大体独占的性質の仕事を排除しよう、まあ公平に通運事業者に使わして仕事をやらせようというふうに考えられるのでありますが、目的はどうなんですか。取上げて国鉄自身で直轄でやろうというお考えなのか、或いはその設備を公平に使わして、すべて通運事業者にやらせようという目的なのですか。
  138. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) この目的は、新たに免許されました通運事業者が従来からありまする日通と比較いたしまして、これらの施設を日通が独占しておりますると、それだけ劣位に立つことになりまして、公正な競争ができなくなる。従いまして日通から国有鉄道に対しまして譲り渡すという種類が出ますものですから、同時にこの法律によりまして国鉄に譲り受ける義務を課しまして、そうして所有権を取得いたしまして、その施設を公平にすべての通運事業者に使用させるというところに目的があるわけでございます。
  139. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 そうしますと何ですか。日通の持つておる施設、そういう産業に必要な施設というものは全部譲り受ける、そうして日通の私有の施設は所有地内には置かせない、従つてその他の通運事業者の私有施設も今後は所有地内には設備させんというふうにお考えなのですか。
  140. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 第二條に掲げてございます施設は、先ず大多数は国鉄が買受けることになると思いますが、或いは具体的の場所に参りまして、国鉄が強いて買上げなくてもいいというような場合が出て来ないとも限らんと思つておりますが、先ず大体買上げるということになつております。それから日通以外の通運事業者に対しましては、第五條におきましてやはり国鉄所有地内にあります施設は、これを国鉄が予算の範囲内におきまして譲り受ける。ただこの場合におきましては日通と違いまして、賃借りをするということを認めております。従いまして今後も場合におきましては、一つの施設を作り、この通運事業のために必要な施設というものは予算の許す限り国鉄において施設をするという結果になるだろうと思います。
  141. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 今の御説明ですと、日通以外の通運事業者の施設は買上げるとか、又は借り受けて全部まあ取上げる、日通の持つておる施設はなんですね、幾分は予算の範囲内ということになると、残るのでしようね。
  142. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) やはりこの日通以外の通運事業者につきましても、その第二條の施設に準ずるものということになつておりますから、全部ではございませんですが、第二條の施設に準ずるものこれ又同様に予算の範囲で買うことに、又賃借りをするということに相成るわけでございます。
  143. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 そうしますと、どうして日通の方は賃借りということはないのですか。
  144. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 日通の方はやはり提案理由のときに申上げましたように、近く集中排除の指令が出ることに相成つておりまして、その方面からして日通はこれらの施設を他に譲渡しなければならないわけでございます。従いまして、それの裏腹となりまして、この法律において国有鉄道が譲り受けるということに相成つておるのでございます。
  145. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 それから先程のまあ荷揚げの機械の外に詰所、そういうようなこともお話があつたのですが、そういうものは買收しても更に又貸し渡すようなことになるんだと思いますが、貸し渡しの方法によつては公平ということはなかなかむずかしいだろうと思いますが、どういうふうになさるお考えですか。
  146. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 小さな詰所なんかを買いまして、二業者、三業者にこれを貸し渡すということになりますと、お説のように確かにむずかしいことになると思いますが、実際問題としまして、それらの詰所を譲り受ける、或いは国有鉄道が指定いたします場合には相当他にも利用し得る、他の事業者にも利用し得るような余地のあるものになつて来はしないかと私は考えております。実際問題としまして、小さいものを取りましても、むずかしいことにはなると思いますが、日通を含みました他の事業者に公平に使わせるということを国有鉄道でよく指導したいと思つております。
  147. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 そうしますと、これらの施設は主に通運事業者が使うのでありますが、これの修理とか、保守とかいうことは鉄道自体がやるわけなんですか。機械の設備の改善だとか保守ということは非常に現在惡くなりはしないかという点が懸念されるのですが、この点の責任はどこが持つてやられるのですか。
  148. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 日通のものにつきましては、これは全部所有権が国鉄に移りますから、これは国鉄がすべての保守を行うことになります。日通以外のものを賃借りした場合には、やはり国鉄が保守の責任に任じなければこれはなかなかむずかしいことになると思います。やはりこれにつきましては、国鉄におきましても、適当に使用料金その他を設定いたしまして行うことに考えております。
  149. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 それらの買收といいますか、譲り受けの予算はどのくらいになつておりますか。
  150. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 先ずこの法律において考えておりますのは、第四條の第二項の規定によりまして、国鉄の九十九万株と施設とを交換するということでございますが、交換する場合でございますが、交換をいたします限度におきましては、予算を必要といたしませんです。ただ日通の株が幾らに評価されるかということにかかつておると思いますが、この評価をいたしますのは、第三條の第二項に書いてございますように、日通と国鉄と第三者の方が御相談願つて決めることになるのではないかと思いますが、仮に六十円と評価いたしましても、約六千万円に少し足りない程度だと思いますが、どの程度の実際に施設が譲り受けられるかということが決りません以上、物件の値段は出て参りませんけれども、私共としては一億円にはならない程度の金じやないかと思つておりますが、従いまして施設の評価額を最評価の関係考えて参りますと、やはり株の値段よりは若干は高くなるのじやないかと考えております。従つてその上の値段と、施設の評価との額の差額というものは、国有鉄道の二十五年度の予算の上にこれを掲げて参りたいと思つております。
  151. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 今の飯田君の質問に関連して、第三條のその譲り受ける物件は日本国有鉄道が指定する。そこで問題は国鉄日本通運と協議をして定めた候補者の中から運輸大臣が選定する第三者との協議によつて決めると言うが、これで一体公平を期することができますか。どうもこれは内輪でぐるになつてやればできるような傾向があるように思うが、どうですか。
  152. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) この評価の点でございますが、第三條の二項に書いてございますように、日本通運と国有鉄道と第三者と三人で決めるわけでございます。
  153. 板谷順助

    委員長板谷順助君) その第三者というのが、通運と国鉄が選定したもので何人も……
  154. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 何人もありませんが、その三人の第三者を運輸大臣が選定するわけでございますが、運輸大臣が選定をいたします場合は、大蔵大臣と協議をして第三者を決める。その第三者と三人でお決め願つたその価格につきましては、協議だけではいけないのでありまして、運輸大臣が認可をいたします。認可をいたします場合は、大蔵大臣と協議をいたして決める。こういう建前にいたしております。
  155. 板谷順助

    委員長板谷順助君) どうもちよつと何だか……
  156. 内村清次

    ○内村清次君 私もその点に対しましては、質問したかつたのですが、推薦という字句があるために、いわゆる通運事業者と日通ですかね。それから推薦した即ち三人のということで、これはやはり大きな問題があると思います。而もそれを決定したものが今度又運輸大臣がそれを認定してやるというようなことで、協議はこれは勿論大蔵大臣と第五項で協議しなければならないというようなことになつておりますが、例えば先ず最初に業者から挙げたもの、或いは今度は挙げたものを推薦によつてその人が大きな権限を持つというようなことはこれは民主的ではない。やはり運輸審議会に諮り、又別に公正を期するとかいうような点を考えなければいけない。どうもその話が余り早く通じているような気持がいたします。
  157. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 公平を期されればいいけれども、どうも……
  158. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 第三者を交じえた三人で協議したその評価がそのまま直ちにその評価額に決定するということになりますれば、或いはお説のようなこととも言われるかも知れませんが、それを更に運輸大臣と公平に国庫大臣としての大蔵大臣がこれについて協議に與かつて参りますれば、先ず公平を期し得られるものと考えております。
  159. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この点どうですか。
  160. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 第三條ですが、これはこういうふうな行き方にこれは決めてありますけれども、運輸審議会に諮つたのでは困るんだというような理由か何かあつて、運輸審議会というものをこの場合にはネグレクトしておるのであれば、やはりこれは運輸審議会に当然関係があると思うのであります。その点一つ説明を願いたいと思うのであります。それからもう一つはやはりこれは何遍読んで見ても全体にこの法律案目的が、書いてある文字は分るが何かこうはつきりしない。もう少し我我に分るようなくだいた説明一つして頂きたいと思います。
  161. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) この法律は他の半面がございますものですから、なかなか分りにくくなつております。この法律におきましては、国有鉄道を主体といたしまして、国有鉄道に譲受けの義務を課するように書いてあるのでございます。併しこの裏には提案理由にも申上げましたように、日本通運株式会社が近く集中排除の指令を受けることになつております。その集中排除の指令によりますれば、日本通運はこの法律案に出ておりまする丁度裏になりますことが義務として指令をされまして、再編成の計画を出さなければならないということになつております。従つてこの法律は両者が相俟ちまして日通の集中排除を完全に実施するという点にございますものですから、一面から書いてありますから、なかなか御了解を得にくい点があるかと考えております。それと同時に通運事業法によりまして通運事業の複数制を実施いたして参ります。それと、それによりまして新たに通運事業者が殖えて参りますものですから、ここに通運事業の公正な、自由な競争体制というものを考えまして、これらの日通の施設をも国鉄が譲受けて、そうして競争体制の一助にすると、こういう意味合の趣旨なのでございます。  それから運輸審議会に諮問をするということでございますが、実際問題といたしますと、これらの施設の譲受けその他は全国各所に散在いたしておりまするものを一夕評価いたしまして、それの集計になつて参るわけでございまして、運輸大臣といたしましては国庫大臣である大蔵大臣に対しまして協議をし、国鉄の財産の状態を御相談するということでよいのではないかと考えた次第でございまして、非常に細かなものの評価の集積になつております。国有鉄道財産といたしまして、大蔵省とはつきり国有財産に準ずべきものといたしまして、はつきりして置きたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  162. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 そうしますと、外の言葉で言えば第一の答えの方は、日本国有鉄道が日通の大株主であるから、最近法律関係で資産その他のものの保護をしなければならんので、日本国有鉄道がそれを買取るというような形式で施設の損害を国の方で保護するというようなふうにも、惡い言葉を使うようですが取れるようですが、そういうふうに一面は了解してもよいですか。
  163. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これは日本通運の施設を適当な価格で買取つて保護をするというような見地からでは全然ございませんでして、日本通運が国鉄の構内に有利な場所を占めて設備をしておる場合に、折角新らしい通運事業者を免許いたしましても、そういう新らしい業者は国鉄構内で到底日通に太刀打ちできないということを心配いたしまして、さようなことが起らないように、すべてそのようなものは買取つて国鉄がその全部の通運事業者と荷主に対して公平に門戸を開放し、機会均等の使用をさせようという趣旨だけから出ておる次第でございます。
  164. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 御説明によると誠に御尤ものようだが、先刻委員長もちよつと言及されたようなふうに、日通というものは九十九万株国有鉄道の株を持つておるにしても、その外のものの大部分はいわゆる国の財産ではなくて個人と言いますか、会社の所有物である。その日通の会社の代表と国有鉄道の代表者だけがその株の価値というようなものについて、それに持つてつて国有鉄道とそれと一身同体である運輸大臣が選定された第三者、と言うけれどもこれは実はつまり言うと第二者で国の財産の評価をして、そうしてただ決めるというようなことになる。それで国民の立場から言うと、この法律は如何にも不公平なものであるというように映るようではないかという心配を持つておりますけれども、その点はこれは議論になりますが、それで平気だというような立案の趣旨なんですか。
  165. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 只今お話でございますが、どうも私共と少し考えが違つておるようでございます。それで一つ速記でも止めて頂きまして、これの経緯についてお話を申上げた方がお分り易いかと思いますが……
  166. 板谷順助

    委員長板谷順助君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  167. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて下さい。
  168. 大隅憲二

    ○大隅憲二君 飯田君の質問と関連しておるのですが、日通の施設を国鉄で買上げて、それを新らしくできる通運業者と、それから尚日通とに公平に使わせるということがどうも僕は納得が行かんのですがね。例えば大森の駅なら大森駅のホームに上屋が、小さい上屋が一つつて、現在日通で使つておるのがある。それを今後新らしい事業者ができて、そうした場合は公平に使わせることができるかどうか、これをもう少し具体的に、上屋ばかりでなくすべての設備に対しても公平に使わせることができるかどうか、簡單に御説明願いたいと思います。
  169. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 鉄道側からいたしますれば、通運事業者が数の少ない方が、駅の非常に能力の低い施設を利用する上からは楽でございます。併し現実に複数制を実施して参りますので、新たな業者が殖えて参りますので、そこで鉄道側としましても、現有の施設を如何に効率度に使うかということになりますと、相当苦労が多くなるかとも思います。只今お話のように、日本通運が或一定の個所を占拠いたしまして、日本通運だけが上屋を使用しておることになりますと、例えばその上屋が空いたときがありましても、他のものが使用ができない、日本通運はいつもそこを使えるという、こういう優位に立つものでございますから、それらを鉄道の施設といたしまして、一括運用し得られるようになりますれば、幾分でも効率よく使われるじやないか、こういうふうに考えておる次第であります。又動力車にいたしましても、只今までは日通の動力車でございますれば、日通の入れ替えはやりますけれども、他のものはやらないということは言えるわけでございますが、そういうものを鉄道において譲り受けてこれを公平にやりますれば、すべての業者の入れ替えも公平にやれる、その代り使用料金は公平に拂う、こういうふうにして参ればよろしいじやないかと、こういうふうに考えております。
  170. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 それから今一つ、九十九万株の現株の値段、概略の見通しは幾らで……
  171. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) それは五十円全額拂込みでございます。
  172. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 日本通運株式会社法を廃止する法律案の附則の第二項を少し詳細に説明して頂きたいのですが。
  173. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この條文を御説明申上げますと、日本通運株式会社法というもので、日本通運は普通の商法に基く株式会社以上に、いろいろの義務を課せられております。例えて申しますと、定款の変更とか、利益金の処分、社債の募集というものは運輸大臣の認可を受けなければならないというような規定がございます。又役員については普通の会社と違つて理事及び監事というふうな名称が使われております。そういうような点を直さなければ普通の株式会社になりませんので、商法の三百四十三條の規定による株主総会の特別決議をして直そうというわけでございます。そうすれば、もうそのとき以後は日本通運株式会社法及び経済罰則の整備に関する法律というものの適用はされないことになつた、こういうことを書いておるわけであります。
  174. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうするとですね、この株主総会が若し決議をしなかつたというような場合、或いは総会の決議が否決されたような場合、或いは裁判によつて決議が無効の判決があつたというような場合ですね、本法施行の以後はどうなるのですか。解散になるのか、或いは單に商法上の株式会社として存続することになるのか、そういう点を一つ
  175. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点は、法律的には確かに疑問のある点でございますが、若しそのような三つの場合が起り得ますれば、その場合には、この会社は取締役、監査役というようなもののいない妙な会社になるわけでございます。それでさようなことが起つた場合は、非常に形としては面白くないのでございますけれども、むしろその前に今例に挙げられたような事態が起るかどうかを考えて見たいと思いますけれども、第一番目の決議をしないということはあり得ないと思います。ということは、これは事実問題でございますけれども、この法律が国会で可決して頂ければ、国家の意思がはつきりするわけでございますから、それにあるように日本通運は必ず決議をするであろう、又そうすることが、日本の通運に望ましいことであります。何となれば自由、公正な競争体制に置かれて、新規業者が出て参りますから、そういうものと競争する場合に、先程申しましたように、いろいろの定款変更や利益金の処分などについて、一々運輸大臣の認可を得るような、外の会社と違つた特別の義務を持つておるような会社では自由な競争はできないから、早くそういうものを止めて身軽な普通の会社になりたいということが、恐らく会社としての希望でありましようから、決議を必ずすると予想できるわけであります。それでは第二番目に決議はしようとしたが否決された、又第三番目のその決議が無効であつたときは、どうかということでございますが、そのことは、確に法律論としては起りますけれども、そういうような決議を成立をせることが、恐らく全部の株主のひとしく希望するところであろうと思います。その理由は今申しましたように、身軽になつて早く自由競争の体制を整えたいということで目的は決議をするわけですから、それは全株主ひとしく希望するところであろうと思いますから、必ずさような決議は成立するものと思われるのでありますから、そういうことがなかつた場合ということは事実上起り得ない。従つて最初申したような形の悪い状態は起り得ない。かように思われるわけであります。
  176. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の御答弁は政府のお考えであつて、事実上そういう問題が起つたらどうなるかということを私はお聞きしておつたのであります。
  177. 中村豊

    政府委員(中村豊君) さような場合には、名目上は成る程取締役、監査役という名前は持つておりませんけれども、現在の理事、監事は正に商法上の取締役、監査役の仕事をしておるわけでございますから、そういう又、その規定の適用があるわけでございますから、名前が違つたところのものであるというに過ぎないと思います。
  178. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それは聊か詭弁だと思うのですが、これは商法ははつきりしておるのです。商法の規定によつて株式会社の組織というものがはつきりしているので、前の理事というものが直ちに取締役、或いは監事か監査役になることはあり得ないのですから、決してそういうような商事会社というものはあり得ないことになるのです。その点……
  179. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この日本通運に限らず、こういう特殊会社はすべてこういう形でできておるのでございまして、大体そういう特殊会社は一般の商法による株式会社という性格の上にもう一つ上置きに、こういう特殊会社法によつて特殊な性格が與えられておるわけでございますので、その特殊会社法を廃止すれば、その上に一つ置いた性格がなくなるというだけで、従つてあとに残つたものは普通の株式会社の性格としては残るわけである。かように考えます。
  180. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういうことはないでしよう。取締役、監査役というものは、株主総会において選挙しなければならない。この法律の施行によつてそういうものがなくなるのですから、新たにこれは選挙しなければならんということになるわけなんです。結局これは不備ぢやないのですか。そこまで言われなかつたということは、やはり法律の不備だという気持がするんです。
  181. 荒木茂久二

    政府委員(荒木茂久二君) 御承知のように商法と特別会社法との関係は重疊的な関係がございまして、理事とか監事とか申しておりますものも、商法の適用におきましてはやはり取締役、監査役、こういうことで、罰則の規定の適用等に関しましては、理事と書いてございましても取締と書いてございましても、同様に商法の適用が規定されるのでありまして、法律的の性格は正に同一であるということが言えると思うのでございます。而してこの場合にその点を更に明瞭ならしめて置くという措置が、更にベターでなければならないということは、すでに我々も考えておるわけでございますけれども、これは附則の規定でございまして將来永遠に続く規定でないので、附則というものを作ります場合には、先ず想像され得る必要な限度において規定するということを大体建前といたしておりまして、そう観念的に考慮されますあらゆる場合を規定することでなくて、附則は想像され得る必要な限度に止める。こういう趣旨でございますからして、観念的に考えればそういう場合も起つて来ると思いますが、併しそういう場合が起りましても、これは甚だ少しなのでございますけれども、屁理窟を付けますれば、二進も三進も行かないということにはならないで、解釈で参る余地があるのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  182. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大分お苦しい御答弁のようで、まあこの程度でやめておきましよう。  善処されるように要望いたします。
  183. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 いろいろお尋ねしたいのですが、大分重複する点もありますから、二三質問させて頂きます。  先ず最初に私は委員長に苦言を呈したいのです。というのは御承知のようにこの問題もこれは大きな問題であるから、できれば公聽会なり証人なりを喚問して頂くように発言したわけなんです。それを何らその後諮らず、そのまま審議に入つてしまつたということについては、私は委員長に対して苦言を呈したい。今後そうした点については、どうぞよろしく願いたいと思います。  先ず第一にお尋ねしたいのは、先程の牛島さんのお話の中に施設に対しまして、未だに何といいますか、数字的に見てどのくらいあるかということをまだ分らないということです。それにも拘わらずこの法が施行されますれば、二月一日から実施されるように何か出ているようでありますけれども、その間に再評価の問題もありましようし、そうして又株との関係もいろいろありましようで、確実にそれができ得るかどうか。先ずそれを一つ先にお尋ねしたいのです。
  184. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) この日本国有鉄道所有地内における日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案は、これは御審議願いますれば公布の日から施行することになつております。それから駅構内にあります日通の所有の施設の調べというものは、一応あるわけでございます。ここに持つております。ただ私が先程申上げましたのは、この施設の中から実際にピツク・アツプしまして、どの程度出て来るか分らないということを申上げたのでございます。ここにございます表は、私が只今申上げてもよろしうございますが……
  185. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 簡單明瞭にどうぞ。
  186. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) 事務所、荷置場、詰所、それからその他の雑建物、構築物、機械装置、入替動力車、こういうふうに一応は調べてございます。荷置場が五百三十一、構築物が八十三、機械装置百二十五、入替動力車八十二、それで只今申上げましたようなものの再評価の額を申上げますと、約八千八百万円余になるかと思つております。その外事務所等ございますから、事務所の一部、或いは雑建物等の中にも若干出て参りますと、約一億円内外のものになりはしないかというのが私共の予想でございまして、実際には個々の物件につきまして測定して見ませんと、はつきりした数字が申上げられない。こういうことを申上げたのであります。
  187. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 今大体一億円というような想定を申されたようでありますが、九十九万株のあれが五十円としますか、六十円は別としまして、若しここに過不足を生じた場合、鉄道側において足りなかつた場合、それから又通運側において足りなかつた場合、この点についてお尋ねして置きます。
  188. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) それは第四條に書いてございますが、第四條の第三項に、「施設の価額が株式の価額をこえるときは、日本国有鉄道は、金銭でその差額を支拂わなければならない。」又第四項としまして、「株式の価額が第二條の施設の価額をこえるときは、日本国有鉄道は、遅滯なくそのこえる額の株式を他に譲渡する」、ですから施設の方が高かつたらば、国有鉄道は金銭で支拂うことになります。併しその支拂の限度というものは、先程申上げましたように第二條の本文の一番最後にございますように「予算のうち工事勘定で定められた額の範囲内」ということになります。  それから株の値段が若しも高かつたということになりますれば、国有鉄道はその余つた株は、日本通運に譲渡するのではなしに、他のものに譲渡する。こういうことになつております。その他のものに譲渡する場合におきましては、その第六項におきまして証券処理調整会議にかけましてこれを処分するということになるわけでございます。
  189. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それでは通運事業法のことについてお尋ねしたいのですが、免許制でなく自由制としたらいいではないかという意見考えられるのですが、理由は御承知のように六條の免許基準の中に非常に抽象的であつて、若しこの中にトラツク何台、施設どのくらい持つておるかというような具体的な点を示してあれば、また非常にこの点については、一つの免許基準として取り方があると思うのですが、こうしたことは何ら触れていないのです。けれどもそういう意味から行きますと、むしろ免許制にするということでなくして、自由制に持つて行つた方がいいんではないかという感じを受けるのですが、何かこれは具体的に基準というものはあるのですか。
  190. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この免許制度にしたわけは、現在ある小運送業法、そのものができた昭和十二年の当時の状態に遡つて考えて見ますと、お分りになるんじやないかと思うのでありますが、当時は全国に数千店の店があり、これがお互いにひどい競争をして、そのために事業者相互間が不当競争によつて共倒れを起した。又その結果荷主に対して非常な迷惑をかけ、貨物引換所の仮渡しとか、或いは損害賠償を支拂いすることができないとか、いろんなことで、不測の損害を與えた。又この事は延いて国有鉄道輸送能率を非常に混乱さし、阻害した。こういうような事情で困り抜いた末に、いろいろな審議を経て小運送業法ができ、免許制度が布かれたわけでありますが、全くそのままの気持をこれに引続いておるのでありまして、折角今漸く小運送業法が整備されて来ましたのに、又ここで自由営業制度にしますれば、昔のような状態か必ず再現するので、天秤棒一本でも営業できるということでは、これは到底事業の健全な発達は勿論、荷主公衆の保護、国有鉄道輸送効率の増進ということは、とても期待できないものでありますから、是非ともこの点は免許制度を維持したいと思うわけであります。ただその場合に、この免許基準が非常に抽象的過ぎるということは、お説のような感じはいたすのでありますが、免許基準については、我々もいろいろな具体的な方法を考えて見たのですけれども、全国に共通的なものを作る必要があるということと、経済界の変動のひどい時に、一々その事情に応じて変更するようなものではいけないので、或る程度恒久的なものが必要であるというふうな二ツの意味から、免許制度というものが、或る程度抽象的になるのは止むを得ない、これが外国の例なんかを見ましても、やつぱりこういうふうになつているのでありまして、これを具体的に適用するについては、勿論数字的に検討しなければいけないと思うわけでありますけれども、基準というものは勢い性質上さようなものになるのです。
  191. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 では今まで、あなたの方から常識的に考えられて、そして大体免許が具体的にトラツク、設備等についてはどの程度というようなことは、あなたの方で明言できますか。
  192. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは例えば東京駅なり或いは汐留駅なり、具体的な駅について考えて見なければいけませんけれども、その場合でも、そこにおける既存業者の能力というものも考えなければいけませんし、それからそこにおける鉄道の設備、そのものも考えなければいけませんので、ここで明言することは非常に困難と思いますけれども、現在まですでに複数制でやつておる場合には、或る程度基準という標準的な数字は、我々としては頭に置いて、それをすでに運輸審議会にも諮りまして、御相談しておるようなわけでございます。
  193. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 次にお尋ねしたいのは、この十六條の場合ですね、十六條の第一号の「取扱駅が物品運送の営業を廃止したとき。」こういうことになるのですが、これが最近取扱駅廃止の大分問題として出ておるようでありますけれども、鉄道の方で一方的の都合によつて廃止した場合、その場合もそれは直ちに停止されるのですか、こういうような一方的な方針で出るようになるのですね、條文をあれして行きますと……
  194. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは勿論一方的であろうと、とにかく取扱駅が物品運送営業をしなくなつた場合は、対照をなくすわけですから……
  195. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 ついでになりますが、お答えの範囲かどうか分りませんが、最近大分荷扱駅を廃止するというような問題もたまたま聞いておりますが、そうしたことも十分恐らく考慮されていると思いますけれども、何か御返事できますか。
  196. 荒木茂久二

    政府委員(荒木茂久二君) それは日本国有鉄道法によりますと、国有鉄道総裁において決定する事項に相成つておりますので、今詳細に……
  197. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 はい、分りまた。四十一條の第六項のことをちよつとお尋ねしたいのですが、四十一條六項によりますと、道路運送法第十一條の規定によつて小運送を許可されておるのと、それから今度のこの十三條の規定によりまして、新規自動車を入れる免許を許可される、こうなりますと、通常小運送業としておるのは通運業によつて許された場合と二つになるのであります。二つの併業というようなことも考えられますが、これはやはり認可としては基準免許に当嵌つておればよいということになるのですか。
  198. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 附則の六項の方はすでにある場合です。この法律の十三條の認可を受けたものとみなすという経過規定でございますが。十三條の方で認可を受ける場合の基準というものは、第六條の基準を準用して免許の場合と同じ精神で行くということになつております。
  199. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 次にお尋ねしたいのは、二十條の料金決定の場合ですが、これは一定のあれがあつてやるのでしようから、地区別に相違が起きるというようなことが想像されるのですが、これは別に地区別という点については考慮がされておるのですか。
  200. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その点は現在の小運送扱いも地区別になつております。但し全国各駅一つ一つについて皆違つておるのでなくて、全国の駅を三つの段階に分けて、甲名丙のどこかに入つております。その意味では大きく地区別になつておるのです。
  201. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 今後も地区別なりにやるわけですな。
  202. 中村豊

    政府委員(中村豊君) さようでございます。
  203. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 最後に希望を、希望というよりやはりお尋ねですが、先程から皆さんからお尋ねしておつたのですが、先程から言われた第三者の協議によつて定めたというこの点について、どうしてこう審議会でやる一億円からの財産譲渡の問題を第三者の推薦というか、選出方法についても余り具体的に述べられておらないので、法案をここで審議すると、ただ頭に出ただけで審議するについては、余りにも負担が伴う。なぜこういうことを審議会にかけるということの規定をはつきり入れることができなかつたのですか。
  204. 中村豊

    政府委員(中村豊君) この点はいろいろと御懸念をされることも御尤もと思うのでありますけれども、これにつきましては、成る程国鉄と日通と二人だけでやる場合には、そういう御心配もあると思うのですが、第三者をここに入れるということによつて公平性を持ちたい。併しながらこの場合に外部から出て事情を知らない第三者が来たのでは、これは誠に專門的な案でありますから、はつきりと実体を掴むことが困難である。だからやはり国鉄と日通の推薦選定して来る專門家、両方の事情に通じた專門家を数人選んで頂いて、その中から選ぶということでないと、公平であり、而も妥当な結論を出すことは困難だろう。それならば何故に運輸審議会に諮らないかということもございましようけれども、この点は非常に急ぐ点と、それから相当細かい、成る程総額としては一億円にも上るかも知れませんが、一つ一つ非常に細かい問題でございまして、実際全国に散在しておるのでございますから、そういうものを一々お諮りするということは困難であるものでありますから、こういうふうな方法をとつたわけでございます。
  205. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 残念ながらその点の考え方については、私らと違うのであつて、私共の申上げたいのは、第三者なるものは余り関連のない方ということが至当じやないかというふうに考えられるわけです。まあこれはちよつと考え方の相違になりますが……
  206. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) この第三者の選び方その他につきまして、この法律の草案を作りますときに、揉みに揉んで結局こういうことに決つたわけでございますから、その点御了解を得たいと思います。
  207. 板谷順助

    委員長板谷順助君) これにて質疑は終了したものとみなしてよろしうございますか。
  208. 内村清次

    ○内村清次君 委員長……
  209. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 成るべく簡單にやつて下さい。
  210. 内村清次

    ○内村清次君 日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案で、これはあの施設とか、この譲渡しの期限ですな、これはいつまでに勘定するようになつていますか。
  211. 牛島辰彌

    政府委員(牛島辰彌君) それはこの法律には期限が明示されておりません。それらのことはやはり日通に対する集中排除等の関係もございますし、又実際の作業としましても御審議願いまして、直ちに公布実施いたしましても、少なくも三ケ月、四ケ月はかかるのではないか。こういうふうに考えております。
  212. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 内村君簡單にやつて下さい。君の発言を制限するわけではないが、一渡り済んでおるんだから簡單にやつて下さい。答弁も簡單にやつて下さい。
  213. 内村清次

    ○内村清次君 只今の御説明によりますと、第四條第二項の規定による交換により、及び予算のうち工事勘定で定められた額の範囲内で譲り受けるといようなことを書いてあるんですな。そうすると一応予算が決まる場合にこうした工事勘定も決まつて来る。だからして一定の計画性は持たなくちやならんわけですな。そういう計画性があるとすれば、大体どれくらいでこれを一つ処理の勘定をするかというような計画性がなければならんと思うんですな。だからですね。やはりこれは一定のこうやつたという何がある以上はやはり何か計画性があると思いますから、その点を一つ……
  214. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 計画性はといいましても、具体的には第二條の性格に当嵌めるものを選び出さなければいけないものでありますから、できるだけ急いでやるということの気持で、又集排の指令もそういうことになろうかと思います。従つて来年度に入ることはこれは止むを得ない。従つて来年度の予算に頭を出すということでございます。
  215. 内村清次

    ○内村清次君 大体の目安は付きはしませんか。それは付けなくちや……本年度はどれくらい頭を出すといつたような一応計画性がないと、我々が法律を審議して、一体この施設その他の譲渡しの完了があるとか、安い税金が付くというようなことでは締め括りが明確になつておらんですな。
  216. 中村豊

    政府委員(中村豊君) これはいろいろ議論がありましたように、その評価には第三者が入つて公正にやるわけですから、その点で多少暇がかかる、而もそれを運輸大臣並びに大蔵大臣が選任するというわけで、その点に暇がかかるが、国鉄と通運はそれで目安というものは今年度、来年三月までに大体決めて、四月からの予算で以て結末を付ける、こういうことにやるのが一等いいと思います。
  217. 内村清次

    ○内村清次君 結末を付けるというのは、来年度予算で全部やつちやうんですか。
  218. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その通りでございます。
  219. 内村清次

    ○内村清次君 全部やつちやうんですか。来年度の予算だけで全部鉄道に支拂うべきものは支拂つて行くというようなことははつきりするんですね。この点は一つ責任者の牛島さんから明確に一つ聞いて置きたい。
  220. 中村豊

    政府委員(中村豊君) その通りでございます。
  221. 内村清次

    ○内村清次君 今後の予算審議の場合にも問題になつて参ります。
  222. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それは政府委員の方においても、今内村君の言われたように大体計画は立つておらんければ……。それは内村君の言う通りだ。質疑は終了いたしました。
  223. 内村清次

    ○内村清次君 皆に諮らないで終了するのは……
  224. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 諮つている。
  225. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 意見が出ていない。質問の要求は出ているけれども、終りましたという意見は出ておりません。それは一応聞いてやつた方が……
  226. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 質疑は終了したものとみなすについての賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  227. 内村清次

    ○内村清次君 ちよつと待つて下さい。その前に発言を許して下さい。
  228. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 多数と認めます。これより討論に入ります。議事進行について話がありますか。
  229. 内村清次

    ○内村清次君 あります。これは昨日の委員会におきましても私は発言いたしました。この重大なことをあなたは忘れていらつしやる。政府説明にもありますように、公共性が相当あるのだということを言つておられる。この法案全体を眺めましても私は重要なことである。重要であるからいわゆる公聽会を開いて貰いたいということを要求している筈ですよ。この点に対しまして委員長としては、当然これは必要であるかないかの点を皆に打合わせなくちやならん。それを忘れていらつしやる。私はまだ大分質問があるのだ。一応の條文の解釈を聞いただけであつて、まだ私としては質問の点は残つております。重大なことを忘れ、又今言つたような質問を制限をして行かれるというようなことは、これは委員長として考えて貰いたい。先ず公聽会の件ですね。この件を一つ採上げて、当然採上ぐべきであるから皆に諮つて頂きたい。
  230. 板谷順助

    委員長板谷順助君) その点につきましては大体予算に関係のない法案については、公聽会を開くことを得というだけの程度で、そこで大体打合わせをいたしたところが、別にその必要がない。会期も切迫していることだから、聞かんことに多数の意見を得たので、実はこの話を進めておるわけであります。これより討論に入ります。
  231. 内村清次

    ○内村清次君 諮つたんですか。
  232. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 諮つたんです。委員長はその必要を認めない。諮つた結果公聽会を開く必要を認めない。
  233. 内村清次

    ○内村清次君 必要を認めないというのは委員長の独断ですね。
  234. 板谷順助

    委員長板谷順助君) そうでない、委員諸君に諮つた結果であります。
  235. 内村清次

    ○内村清次君 いつ諮つたのですか。
  236. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 昨日……
  237. 内村清次

    ○内村清次君 併し昨日私はずつとおつたのですが……
  238. 早川愼一

    ○早川愼一君 運賃の問題のときに一緒に話が出たのです。
  239. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 討論に入ります。御意見がありましたら御発表願います。
  240. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 今内村君の要求しました点ですが、私もちよつと先程委員長に申上げたのですが、どうもやはり委員長の議事の運び方にそういう点ではちよつと私は皆の意見を無視した動かし方があると思います。というのは先程早川さんはこの間言つたというようなことを言つておりますけれども、委員長が一方的解釈で、予算の伴わんのは諮ることができ得るからということがあるから、それだからかけるか、かけないかということをあなたはかけないというふうに先に先入観によつて、そうしてそういうふうに議事を持つて行かれた。明らかに皆さんに拒否なり賛成なりを得て、これを公聽会をやるとか、ここに証人喚問をやるとかいうようなことを決められつつやつたというようなことは、早川さんはそう言われるようですが、私出席しておる限りではそういうことを受取つておりません。でありますから、今後そういうことははつきりけじめをつけてやつて頂きたい。質問としましても、まだ先程内村君が言つたように期間があれば十分質問したいし、いろいろの話も聽きたい点が多分にある。それも大体期間がないということが皆気持の上にあればこそ或る程度言いたいことも言わない人達も多分にあるわけです。そういうことを委員長の方において十分お察し願つて、議事の運営の上ではそういうことを十分含んでやつて頂きたいと思います。たまたま質問したいという人があつたらば、その人には十分発言を許して頂きたい。全部が発言するときであつたならば、あなたのお考えで以て発言の抑制ということも或る程度了解できることがあるかも知れない。併しながら何人委員がおられようとも、内村君が腑に落ちないから質問しておる。例えて言えば私も質問したい。内村君だけが質問して私は質問しておらない、そういう点はよく察せられて、今後の運営にも十分気を付けて頂きたいと思う。非常に委員長は私らの立場から見れば、委員長立場において理解があると思います。今までなどもそういう了解の下に私共あなたに対しましては苦言も言わずに来ております。どうか今後の運営については十分御考慮して頂きたいと思います。
  241. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 釈明いたしすが、昨日の運賃改正委員会におきまして、公聽会を開くべきや否やということを委員の多数の人に諮つたわけでありますが、丁度あなた方おいでにならない、そこで諮らんことに決定いたしたわけであります。従つて委員各位発言に対しては、私はできるだけお許ししておるつもりであつて、あなたも最後の質問であるということで打切られたために、それ以上の発言はないと思つたのです。又内村君は御承知通り一番長く各條に亘つて御質問になつたものですから、もう終了したものと考えておつたわけであります。であるから、質問の点はやれば幾らもあるかも知れませんけれども、その場合において引続き発言がないのでありますから、終了したものと委員長がみなすことも止むを得ないことに一つ御了承願いたいと思います。  討論に入りました。どうぞ御意見があつたら一つ御発表願います。御意見ありませんか。
  242. 内村清次

    ○内村清次君 先程委員長のお言葉の中に私が、いわゆる公聽会を提出した者が、不在のときに協議をして決定したとおつしやつておるのですが、実は昨日私この委員会がある時間中委員会にはおつたつもりであります。勿論最初の礎案のときに直ちに私はこの問題を提起いたしまして、そのときには一応の委員長の御意見はありましたが、併しこれは委員長だけの御意見であつて、議員が規則を尊重しまして、そうして規則に従つて提出した以上は、これは六十一條では協議しなくてはならないということになつておりますから、これは今日まで私はこの点につきまして、委員長がどうお取扱いになるかということを考えておつたわけですが、その提示もない。私の質疑もまた相当つておるにも拘わらず、委員長の方で質疑の打切りをされて、もう現在賛否が決まつておりますからして、質疑の点につきましては残念ながらもうこれ以上多数の御意見従つてやりませんけれども、ただ問題は御協議なさつておつたかどうかということが、どうしても私はその点に対しまして納得が行かない。だからしてやはりこういう問題は重大な問題でありまするからして、提出したところの議員がいるときにおいて処理して頂きたい。こういうようなことを特に一つお願いしたい。勿論これはあなたが若しも協議をしておるとおつしやるならば、当然この点につきましては速記もあることだと思いますからして、私は速記の点につきましても調べて見まして、本当に委員長がやつておられるかどうかという点につきましては、あとに問題を残したいと私は思つております。
  243. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 尚改めて申上げて置きますが、別に速記はついておりません。ただ理事並びに委員の主なる方々に相談いたしましたところが、もう期日も切迫しておることではあり、大体予算関係でないのであるから、公聽会を必ずしも開かなければならないという規定はありませんので、その点開く必要はあるまいということで、委員長において了承したわけであります。
  244. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私、昨日は大体出ておつたつもりですけれども、速記がないものだからして余り軽率な発言もと思つて遠慮しておりましたが、只今お話だと、理事の間で協議をしたようにも聽取れるような御発言でございますが、私理事の一人として、理事としてはそういう御相談には與つておらんように心得ておりますけれども、こういうことを繰返すのが本意でないので、内村君が今言われたようなふうに、とにかく内村君の今の御主張は公聽会を開くかどうかということを議題にしたいということを強烈に御主張のようでございますからして、一つ皆さんにお諮りをして、その御意見を採決して頂くというようなことにできれば一番簡單で、甚だ明瞭に話が付いていいと思いますが、そういうお取計いができれがお願いしたいと思います。
  245. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 討論にもう入つているのでありますが、併し議事進行についてそういうお話がありましたので、公聽会を開く必要があるかないかということを改めてここでお諮りいたします。開く必要があるという方の挙手を願います。    〔挙手者少数〕
  246. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 少数であります。それじやどうぞ一つ御了承願います。
  247. 内村清次

    ○内村清次君 この際私は通運事業法に対する修正案を提出いたしたいと思います。只今各委員の方にお配りいたしましたのでありまするが、先ず私がこの法案に対する修正をしたい点は、第六條の免許申請者の審査をし、二項において審査の結果、免許基準に適合し、且つ一定の場合を除いて免許しなければならないこととしておるが、一項に規定しておる程度の規準では濫立を防ぐことができず、曾ての運送混乱時代を再現することは必然である。従つて「運輸大臣は通運事業の免許に関し妥当な基準を定め、これを公示し、この基準に適合する申請があつたときは、当該事業経営により公共の福祉に反する結果を生ずるような競争がひき起され、又は鉄道施設の効率的利用を妨げる虞のない場合においては事業の免許をすることができる。」と改める。  第十二條は事業計画の変更であるが、この項の基準は鉄道独善的であり、業者の不当支配であるからこの項を「運輸大臣は前項の認可の申請を受理した場合は、その計画が当該関係者、利用者によつて賛成され、且つ甚だしく輸送秩序を阻害するものでない限り、これを認可しなければならない」と改める。  第十三條は自動車の新規使用であるが、当然に前條の事業計画の変更となるものであるから全文削除すべきである。  第十五條は、道路運送法によつて貨物自動車事業の免許を有する者を運輸大臣が取扱駅を指定した場合に、集貨配達の通運事業の免許を受けた者とみなすことを規定しておるが、このような便法によるならば当然に不当競争輸送秩序の混乱が惹起されるから、正当な手続と審査に基く免許でなければならないので、全文を削除すべきである。  第十六條は免許の失効であるが、第四條乃至第五條の免許によつて当然にその範囲が限定されておるから規制する必要を認めない。即ち削除です。  第二十六條事業計画の変更については、一方的に運輸大臣のみの命令は独善的に流れ易いから、広く利用者及び関係者の意見を徴して民主的に行うべきである。  第二十八條通運計算事業の認可について制限規定がないが、かかる規定では先般運輸省が何ら関係者の意見を徴することなく、一方的にその取扱駅を廃止したことによりて、その事業と利用者を甚だしく困難と混乱に陥れた実例がある。計算事業者の濫立となり、勢い取引証の拡大による小運送業者の抱き込みとなり、業者は又計算会社への加入によつて、取引先の獲得を計らねばならず、このため二重、三重の保証金積立による原価償却が荷主への運賃加重の結果となるので、「通運計算事業は全国的に亘るものでなければ経営することができない」を挿入し、以下この精神で改正し、二項を三項に改め、通運事業免許の改正と同制にすべきである。  第三十三條は免許、許可、認可その他の処分について運輸審議会が軽微な事項と認めたものについては、運輸大臣が運輸審議会の決定を尊重しなくも差支えないことにしておるが、免許、許可、認可その他の処に分軽微な事項というものはあり得ない。従つて但書を削除すべきである。  第三十七條報告及び検査の中第二項以降の検査に関する規定は、往昔の濫立時代に行われた業者の鉄道官吏に対する贈賄を再び発生せしめる結果になり、官僚支配がますます濃厚となるので削除しなければならない。  罰則の各條適用條文は以上の修正意見従つて当然に変更されるものである。  以上の修正案を提出いたしまして、各委員の御賛成をお願いしたい次第であります。
  248. 板谷順助

    委員長板谷順助君) この修正案に対して討論に入つておりますが、外に御意見がありましたならば一つ御発表願います。別にございませんか。
  249. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 私は先ずこの法案に対しまして反対であります。というのは、非常に今の独占企業的な性格があるところの日通を廃止する。そうして一般の人達がこれに対しまして、誰でも、勿論免許基準はあるといたしましても、これに適合する人は誰でもやつて行けるというようなことを謳つてある趣旨であるのでありまするけれども、御承知のようにに政府の今の政策というものが、到底誰でもこれをやつて行けるだけの金融措置というものも付いておらないし、又どなたが希望してもこれをやれないという実情であるということは、国民よりもむしろ政府がよく知つておられる筈である。そういう時期において、何故にわざとこうしたことを出さなければならないかということに対して、私は疑問を持つわけである。そういうような意味からいたしまして、先ず大綱といたしましては、そうした誰がやろうということもできないものをそういうふうにして置いて、強いて民主的な名に借りて民主化するのだという意味で実際は出されたこの通運事業法の趣旨は、独占企業法の趣旨に副つて誰もやつて行くことができないという一つのことが起きると思います。それにも拘わらず、そうしたことを承知の上で殊更に今何故出さなければならないか。そうして又御承知のように、先き程からも出ておりますように、財産の譲受の問題につきましても、いつこういうことを收支決算をうけるのかということも目途が立つておらない。そのような重大な問題でも、そのように期限さえも、政府自体においてまだこの期限についてさえも明確化することができないというようなときに当つて、何故今出さなければならないかということについて、先ず原則的に反対するわけであります。個々の條文につきましては、今社会党案として出ました修正意見につきまして、我々は賛成するものでありまするが、併しただ先程も申しましたように、この免許の基準というようなものについてもはつきりした具体的なものを出さず、ただ單に大まかに出しておるだけであるということと、そうして又運輸審議会に、この機構が万全に運輸審議会の責任においてこうしたいろいろの廃止或いは免許等につきまして、審議会がフルに動いてタツチするというところの規定までもまだ行つておらない、こういうふうな点と、それから又今一つこの財産譲受の問題につきましても、こうした重要な財産を譲受するのに対しまして、ただ單に第三者を入れる、而もその第三者に対する規定といたしましても何らできておらない。このような不備な状態であります関係で、私といたしましてはこれに対しまして全面的に反対いたしまして、返上を申したいのであります。意見として申上げます。
  250. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私は本案に反対いたします。理由は、先刻速記を止めて政府委員の御説明を伺つた感じから申しますると、これは政府がいろいろな関係から日通を保護してこのまま法的の根拠をつけて、そうして日通を保護するためにこのもろもろの法律を出したというような感じが非常に強くいたしました。私は一体この法案そのものには、社会党からいろいろ修正意見が出ておりまして、それは只今内村君からお話があつた通りで、この修正意見も結構だと思いますが、大体原則としてはこういう運送法を作るというようなことに私は反対はいたしませんけれども、前段申上げましたような理由がその奥にあつて、早急にこういう法律案を三つ揃えて来て、そうして日通を現状のままで救済しようといつたような意図が余りに鮮やかであるということはどうしても私は面白くない。かような意味においてもう一遍違つた角度からこの法案目的にふさわしいような出し方をして頂くまで本案に残念ながら反対をいたします。かように考えます。
  251. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 外に御意見ありませんか。……それではこれより採決に入ります。採決に対しまして各法案一件々々について採決いたします。  先ず第一に、通運事業法案に対する内村君から修正案が出ておりますが、修正案に対して賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者少数〕
  252. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 少数。否決であります。
  253. 内村清次

    ○内村清次君 少数否決を修正案を提出しましたのが今されたわけですが、そこでこれはまあ同じ党の小泉委員からも反対意見が述べられたわけですが、この修正を先ずかけて、その後において、そうして反対か賛成かというような手続が当然取られなくちやならない。で私も若しも修正が通らなかつたなら、この点に対しては反対意見を申述べたかつたわけです。どういう点で反対をすると……。まあ併し同じ党の小泉委員が反対意見を述べられましたから、私は更に委員長の方で反対意見を述べることを許されれば述べてもよいと思いますが、私はこの修正が通りませんならば、これに対しましては反対であると……
  254. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 分りました。あなたからさつき修正意見を述べられましたから、それでいいものと委員長はみなしたわけであります。
  255. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 速記をちよつと……
  256. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記をちよつと止めて……    〔速記中止〕
  257. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 速記を始めて……  それでは通運事業法案に対して原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。    〔挙手者多数〕
  258. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 多数。可決をいたしました。   —————————————
  259. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に日本通運株式会社法を廃止する法律案について採決をいたします。本案に対する賛成諸君の挙手を求めます。    〔挙手者多数〕
  260. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 多数とみなします。   —————————————
  261. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 次に日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案、これを議題にいたしまして採決いたします。原案通り賛成諸君の挙手を求めます。    〔挙手者多数〕
  262. 板谷順助

    委員長板谷順助君) 多数。三案とも可決すべきものと決定いたしました。  次に本院規則第百四條により委員長の口頭報告内容つていは委員長において慣例により御一任願ます。それから三案を可とされた方の御署名を願ます。    〔通運事業法案〕    早川 愼一  飯田精太郎    村上 義一  高田  寛   前之園喜一郎  大隅 憲二    〔日本通運株式会社法を廃止する法律案〕    内村 清次  飯田精太郎    早川 愼一  村上 義一   前之園喜一郎  高田  寛    大隅 憲二    〔日本国有鉄道所有地内にある日本通運株式会社の施設の処理等に関する法律案〕    村上 義一  飯田精太郎    早川 愼一 前之園喜一郎    高田  寛  大隅 憲二
  263. 板谷順助

    委員長板谷順助君) それじや本日はこれにて散会いたしまして、明日は午前十時から開会いたします。    午後四時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     板谷 順助君    理事            小泉 秀吉君            飯田精太郎君    委員            内村 清次君            大隅 憲二君           前之園喜一郎君            高田  寛君            早川 愼一君            村上 義一君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 大屋 晋三君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    運輸事務官    (大臣官房長) 荒木茂久二君    運輸事務官    (自動車局長) 牛島 辰彌君    運輸事務官    (自動車局業務    部長)     中村  豊君   事務局側    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   証人    三井船舶株式会    社社長     一井 保造君    旭海運株式会社    社長      小山  亮君    日本産業協会  木村 宗夫君    東洋経済新報社    論説委員    榎本  弘君    日本トラツク協    会事務局長   森田  賢君    東京中小工業協    議会常任委員  伊藤 英男君