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小澤國務大臣 まず第一にただいま議題に供されました
お年玉つき郵便葉書等の
発売に関する
法律案の提案理由
説明いたしたいと存ずるものであります。
お年玉つき郵便葉書等の
発売に関する
法律案については、年頭のあいさつを
郵便によ
つて行うわが
国民の美しい風習は、明治初年わが国の新式
郵便の創設後、施設の普及と利用の一般化につれて、自然に発生したものでありまして、この年賀
郵便の数は明示三十八年には約一億一千万通となり、その後漸次
増加しまして、
昭和十二年には約八億五千万通に達し、その収入額も
郵便の総収入額の一割ないし一割二分を占め、
郵便事業の重要な財源をなしていたのであります。ところがその後日華事変の勃発等による
国民生活の変動に伴いまして、年賀
郵便の物数は毎年激減の一途をたどり、
昭和十六年からは年賀特別
郵便の取扱いが停止されるに
至つたのでありますが、終戰後
国民生活も漸次明るさをとりもどし、年賀状の差出しも
増加する機運にありましたので、昨年末から年賀特別
郵便の取扱いを再開したのであります。ところがその利用数は約七千万通にすぎず、またその収入額は
郵便の総収入のわずか2%を占めるにすぎなか
つたのであります。
かくのごとき事情にかんがみまして、
郵政省におきましては年頭のあいさつを
郵便で交換する従来の好ましき風習を助成しますとともに、近来
赤字に悩みつつあります
郵便事業の収入増をはかりますために、年賀状の差出しを積極的に勧奨いたすべく、くじ引きにより
お年玉をつける年賀
郵便はがきを
発売することとし、このため
お年玉つき郵便葉書等の
発売に関する
法律の制定を提案することとした次第であります。以下この
法律案の要点につきまして、若干ご
説明申しあげます。
まず
お年玉の額につきましては、
お年玉の性質にかんがみ、きわめて軽微なものとする
趣旨に基きまして、その單価は最高二万円を越えてはならず、またその
金額及び価格の総額は、
お年玉つき郵便はがきの発行総額の百分の五を越えてはならないことにしたのであります。
次に
お年玉の債権消滅の時効につきましては、
お年玉は宝くじなどの当選金品に比べてきわめて軽微なものであり、かつ全国的に広汎多数の金品授受取扱いを行うことを
考慮いたしまして、六箇月の短期時効としたのであります。
なおこの
法律は、西欧諸国やわが国におけるいわゆる慈善切手等の発行の例に徹しまして、
郵便切手や前に申し上げました
お年玉つきの年賀
はがき等に、社会福祉の増進を
目的とする
事業を行う団体に対する寄付金をつけて発行できるようにするため、必要な事項を規定したのであります。すなわち寄附金を受ける団体に、その選定を公平にいたしますために、郵政
大臣はその選定に当りましては必ず郵政
審議会に諮
つて指定すること、寄附金の交付を受ける団体は、寄附金つきの
郵便切手または
郵便はがきの発行及び賣りさばきのため、
郵政省において特に要した
経費を
郵政省に納付しなければならないこと等を規定したのであります。何とぞ十分御
審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望する次第であります。
次にただいま議題になりました
郵便物運送委託法案の提案理由を御
説明申し上げます。
郵便物の取集め、運送及び配達日、
郵便業務の一部をなすのでありまして、
事業独占の建前上、国においてみずからこれを行うことが一応期待されるのでありますが、国有鉄道及び
地方鉄道によ
つて郵便物を運送する場合のように、当然これらの運送期間に
郵便物の運送を委託する必要がある場合、また自動車等を
郵便物の運送に使用する場合、もしくは山間僻地における
郵便物の取集め、配達の作業のごとく、
事業の
経済的経営の観点から、民間運送業者等にこれを委託するのを適当とする場合が少くないのであります。
しかして郵政
大臣が
郵便物の運送を委託する場合に関する
法律といたしましては、鉄道船舶
郵便法があります。しかしながら同法はその規定の対象が、
地方鉄道法による鉄道運送業者、及び商法による船舶運送業者に限られておりまして、自動車運送業者等その他の運送を行う者に及ばないばかりでなく、運送を委託する場合及び委託する方法等についての規定に欠け、また同法に定められております料金率も、現下の情勢に沿わないのであります。従いまして鉄道、船舶のみならず、自動車等のあらゆる運送機関の利用についても規定するとともに、運送委託の場合、委託の方法及び委託の
内容につきましても、早急に規定する必要がありますので、ここに本
法律案を提案した次第であります。
本
法律案に規定してあります主要な点につきまして申し上げればおよそ次の
通りであります。
まず第一に郵政
大臣が
郵便物の運送を他に委託することができる場合の條件を明らかにしたことであります。いかなる場合に委託することができるかと申しますと、委託により
業務を運営することが、
郵政省の直営とするよりも
経済的であり、
郵便物の運送上支障がない場合であります。
第二といたしまして、
郵便物の運送を委託する方法を規定いたのであります。運送の委託に契約によることといたしてありまして、しかも契約は競争によることを原則といたしております。しかしながら競争に応ずる者がないなどの理由によりまして、競争契約によることができなかつた場合、あるいは鉄道または軌道を使用する必要がある場合におきましては、当該区間にその数が二以上ないときは、随意契約によることができるように規定いたしてあります。しかして鉄道、軌道その他の一般運送業者が、
郵便物を運送する場合における運送料金は、一般には
郵便物の運送原価に、公正妥当な利潤を加えた
金額を
基準とし、その資本金を
政府が全額出資する運送業者、及び
地方公共団体についてはその
事業者の性格上、
郵便物の運送原価のみを
基準とすることといたしております。なおこの
基準の設定にあたりましては、厚生を期するため、運輸
大臣があらかじめ郵政
大臣に
協力して運輸
審議会に諮り決定することといたしたのであります。
第三に、今申し上げたように郵政
大臣が契約によろうといたしましても、運送
事業を営む者が契約に応じなかつた場合には、
郵便物の運送をどうしても確保しなければなりませんから、最後の手段として鉄道、軌道その他特に指定した一般運送業者に対して、
郵便物の運送及び運送に関して、最低限度必要な事項を要求できるようにしてあります。しかして郵政
大臣の要求に基いて
郵便物の運送をし、また施設もしくは役務を提供した運送業者に対しては、前に申し述べました
郵便物の運送料金の
基準に基いて補償
金額を決定する等、正当な補償を行うことといたしてあります。
第四といたしましては、
郵便物の安全、正確、かつ迅速な運送を確保するため、
郵便物の運送を行う者に対して、たとえば
郵便物の運送中において事故の発生した場合、
郵便物の保護その他必要な措置をとらなければならない等、
郵便物の取扱い上守るべき義務を規定いたしてあります。
以上申し上げましたほか、所要の罰則を規定いたしまするとともに、附則におきましてこの
法律の施行期日を定めるとともに、この
法律施行に際して必要な
経過的措置を規定いたしてあります。
以上、本
法律の
趣旨及び法案の大要を御
説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御
審議の上すみやかに御賛成くださるようお願いたします。