○佐竹晴記君 社会革新党を代表いたしまして若干の
質疑をいたします。
第一に、金融梗塞と消費
物価の高騰による
国民生活の不安に対する
対策をお尋ねいたします、
大蔵大臣は、その
演説の冒頭において、
政府は各般の施策の目標をすべてインフレの收束、
経済安定の線に集中して来たのであるが、インフレもおおむね終息を見、
わが国の
経済はようやく安定の軌道に乗ることができたと述べられたのであります。しかし、昭和二十四年度当初
予算成立以来、財政は中央・地方を通じまして非常にきゆうくつとなり、金融は非常に梗塞をいたしまして、
大蔵大臣の弁解にもかかわりませず、各党各派の代表象の論じましたごとく、デフレの様相を呈しておることは、これは争えないところであります。
政府が
経済安定を目標として企図されました
輸出振興を第一義とする集中
生産方式の結果は、はたしていかがでありましよう。せつ
かく生産された製品は至るところに滞貨し、
輸出は振わず、業者は悲鳴をあげておるではありませんか。このようなことになるなら、むしろ国内消費物資を安価に
生産いたしまして、
国民生活の安定をはか
つた方がよか
つたではないかという声すら聞くのであります。
かくて、
輸出を第一義といたします集中
生産方式によ
つて、資金、資材はその
方向に集中せられて、一般
経済の金詰りははなはだしく、各方面とも四苦八苦の状態にあることは、私が多く申し上げるまでもありません。この窮状に処するために、約束手形や為替手形の類は盛んに濫発されまして、その不渡りは日常茶飯事とされております。信用
まつたく地を拂うありさまでありまして、小切手のごときですら、安心し
てこれを受取ることができないというありさまであります。
中小商工業者の倒産は深刻の度を加えておりますし、
失業者は次第にその数を増しておりますことは、いなむことができません。
それなら、こういう状態に伴
つて物価が安く
なつたかといえば、そうではなくて、かえ
つて国民の日常
生活必需品は相当の値上がりを示しておりまして、
国民生活が非常に圧迫を受けておることは、これまた多くを論ずるまでもありません。今、大蔵省編集の財政金融
統計月報の第二号の、インフレーシヨンと
国民生活、諸
物価の推移、と題するこの二つの指数表をごらんになれば、その実情を物語
つて余りがあるのであります。
私は、第五
国会終了後各地をまわ
つて驚いたことは、今日配給物を受けることができないという者が各町村ともに激増しておることを知
つたことと、また、わずか五十円とか百円とかい
つたような金のために、自己の衣類、道具類までを質に入れて一時を糊塗しなければならない者がたくさんふえておるという実情を知
つたことでありました。
政府の施策により、大
産業、大金融業者は大いに安定したでありましよう。しかし、一般勤労
大衆の日常
生活は断じて安定したとは申されません。かような状態であるにもかかわりませず、かえ
つて運賃の
値上げを断行し、
価格調整
補給金は
削減し、
物価の高騰は必然的となり、また主要
食糧の配給
価格を
値上げするというありさまでありまして、
国民生活は一層不安に陷るであろうことは言をまたないのであります。この不安を除去いたしまする措置を、その裏づけとして考慮すべきは当然でありますのに、その具体策の示されておりませんことは、まことに遺憾であります。そこで私は、ここに次の諸点を明らかにしていただきたいと存じます。
まず、
政府がその力を集中した
輸出貿易の不振は
一体何に原因するのか。為替レートの改定は必至と思うかどうか。これは
大蔵大臣の弁解に心かわらず、それは必至ではないかということであります。すでに一部識者の間においては、四百二十円説、四百五十円説、四百八十円説が論議されておる。また国内の円価百分の一切下げ問題が問題にな
つております。それがきわめて近い期日に実現するのではないかといわれておりますが、
大蔵大臣はいかがお
考えにな
つておるか。
次いで、国内消費
物価の高騰と金詰りの板ばさみにな
つて苦しんでおります勤労
大衆の
生活不安を除去いたしますために、いま少しく具体的にその
政策をここに示されたい。さらに、
給與ベースの改訂は絶対に私は必要ではないかと思う。もしその改訂を無視いたしまして、そのままで押し通して参りますならば、必ずや摩擦を起し、本日も新聞に出ておる労働攻勢のごときものも予想される。円滑なる国務の遂行と
産業の
振興は期し得られない
事態が起るおそれはないか。その見通しを十分に承
つておきたいのであります。
第二は、税收の確実性と課税の重圧問題をお尋ねいたします。
政府が予想する税收は、はたしてそれほど確実性のあるものでありましようか。昭和二十三年度の所得税は一千八百億円でございました。昭和二十四年度は、それに七〇%を増しました三千一百億であります。しかるに、世相は
一体どうでありましよう。さきにも申し上げました通り、デイスインフレどころではございません。金融は梗塞し、デフレの傾向を示しておる。日常必需
物価は高騰を示しておる。
国民生活は二重の重圧に苦しんでおる。従
つて、二十四年度均衡
予算が遂行されて以来は、一般の営業者は次第に不景気となりまして、昭和二十三年ごろまでの、インフレ景気でありました当時に比して、その收入は減少したものと見なければなりません。されば、その收入の減少に伴いまして所得税が減るのが当然である。しかるに、二十四年度の
予算においては、所得税だけでも七〇%を増徴しようとしておるのであります。ここに重大なるむりがありはしないか。
国税庁の調査によれば、一般個人営業の
申告所得税は、十月末現在で、納税額わずかに三百九十九億、
予算のわずかに二割一分しか納ま
つていないのであります。これは不当不正な脱税のせいもございましよう。しかし、これを全体として
考えるならば、右課税のむり、課税の重圧ということが根本問題ではないかと私は思うのであります。(
拍手)従いまして、
政府がはたして予期のごとき徴税の目的を達し得て、円滑に財政の切りまわしができるかどうか、多大の懸念なきを得ないのであります。
今回の
補正予算につい
てこれを見まするのに、本年度内の
自然増收二百十三億を計上しておられます。しかし、はたしてそれが確実でありましようか。この二百十三億の
自然増收は、各種の税目についてすべて
自然増收があるというのではなく、むしろ所得税については四十七億の減少を計上いたしておられる。そこで、
法人税において二百二十七億、酒税において百億とい
つた増收があるために、この所得税の減收を差引いても、なお二百十三億余の
増收となるというのであります。ゆえに、もしただいま私が言いましたように、所得税の徴收が非常に不成績であ
つて、大きな穴が明いたとしたら、
法人税の
増收などで、まかないきれるものではありません。その運営は、はなはだ危惧されざるを得ないのであります。
十一月十四日の読売新聞の報道によれば、「年の瀬に
税金旋風、今年も
更正決定、
申告納税にさじを投げた国税庁」という記事が載
つております。もしその通り今月末から来月にかけて追加
更正決定が行われて、その徴收が強行ざれたならば、容易ならざる
事態が起りはしないかということを私は懸念する。やみ商人に対する追求、不当利得者に対する強制徴收は、これは断固遂行すべきでありますが、デフレ傾向のために営業が振わず、その所得が二十三年度よりも減
つておるのに、前年度よりも七〇%増しの、二倍近い
税金を追加
更正決定でかけられて来たときには、た
まつたものではありません。(
拍手)まじめな営業者にと
つては、実にゆゆしき重大問題であると思う。
そこで、私は
大蔵大臣に次のことを承りたい。二十三年度よりもさらに不景気な状態に陷
つておる本年度において、七〇%の増徴を遂行しようとすることは、根本においてむりがあるではないか。次に、今日国税庁の示す通り、
予算のわずかに二割一分しか徴税が行われていないという事実は、このむりを露呈したものではないか。(
拍手)従
つて、今回の
補正予算について増徴を見込んだり、来る二十五年度税收を楽観するがごときは、とうてい許されないことではないか。もしも
大蔵大臣が、それには少しもむりはない、徴税の見通しも確実であるとおつしやるならば、二十五年度
予算案大綱の、所得税
申告課税約二千億について、昨年度の徴收成績が六三・四%であ
つたので、その六三・四%をかけた一千二百四十億を見積られたのは何ゆえか。もし右六三・四%をかけて算出したのは、脱税等のために実際の徴税額はその
程度しか確保できないという趣旨であるといたしまするならば、他方官公吏であるとか、会社、銀行員、その他
給與生活をいたしておりまするところの、勤労者に対する源泉課税は、その所得に対する九八・六%を徴收しておる、ほとんど一〇〇%を徴收いたしておりますので、結局源泉課税をせられる者が、
申告で納める人の脱税のしりぬぐいをするという結果になるが、それはどうか。(
拍手)その不合理を何と
考えられるか。
第三にお尋ねいたしたいのは、
米価の改訂並びに強制供出の問題でございます。
政府は、今回基準
米価を四千四百三円と決定し、超過供出の
価格を二倍とするとおきめになりまして、かつ
消費者価格を一一%
つり上げましたことは、もうすでに前論者によ
つて盡されております。よ
つて第一にお尋ね申し上げたいことは、農家
経済がこれではたして保たれるかどうか、次の
生産増強に影響するのではないかということであります。
〔
議長退席、副
議長着席〕
最近、農家は次第に衰退の状況を示しまして、一方
補給金の整理、運賃
値上げに伴いまする
物価の高騰、工場
生産物価と農産
物価の鋏状
価格差の
増大、これらの事由によ
つて、だんだんその度を加えて参ります実情のもとにおいて、四千四百三円
程度のものでは、おそらくや
つて行けないではないかという心配であります。ことに超過供出は、旧来三倍でありましたので、石当り大体一万八百円
程度でございましたものを、今回は基準
米価を上げたにもせよ、二倍にいたしましたために八千八百余円となり、この間二千円の開きがございます。この超過供出
価格の引下げは、農家にと
つては重大なる打撃であります。これに関し、一部には説をなすものがある。この引下げは、
外国輸入食糧の
価格とにらみ合せて、
外国食糧の
輸入に悪影響を及ぼさないことを考慮されたというのであります。しかし、私の探知するところによれば、そうではなしに、強制供出
価格を従来通り三倍にすることは、その筋も御了解にな
つているということであります。しかるに何ゆえに旧来三倍であ
つたものを、ことさらに二倍にこれを引下げなければならぬか。それは
政府独自の
見解か、與党の意向をくんだものか、その詳細を説明されたい。
次いで森
農林大臣は、十二日、参議院本
会議におきまして、予想收穫高が六千五百五十四万石に対し、約一割の減收が見込まれるので、供出割当の
補正を行いたいと述べたが、その
補正の数量は何ほどであるか。承るところによれば、各県よりの
補正要求は一千万石を突破しているのに対し、農林当局は、わずかにその一割ぐらいの
補正を認めようとし、これがために大きな摩擦が起きる形勢とな
つて、すでにある県の
経済部長のごときは辞表を提出したと言われている。もし農林当局が、わずかに一割の
補正ぐらいでこれを押えようとしたならば、おそらく、近く開かれるであろうところの知事
会議は沸騰して、收拾することのできない状態に陷るおそれはないか。また、もしも農家減收の実情が十分理解せられて受入れられるのでなければ、農業調整委員のごときは、おそらく連袂辞職をするに至るであろうと言われております。その実情は、はたしていかん。また、
農林大臣として
補正をなし得べき数量に対する確信をこの際承りたいのであります。
なお十二日、参議院において、
農林大臣は、(「
簡單々々」と呼ぶ者あり)追加供出の法制化については、
食糧確保臨時措置法の一部の改正法案を今
国会において通過せしめて、これによ
つて実現をはかるとお述べに
なつたのであるが、
政府はどこまでも食確法を改正し、
農民に強制供出をしいるところのお腹であるか、これを明確に承
つておきたいのであります。(「時間々々」と呼ぶ者あり)
最後に、六・三制と災害
予算について一言いたしたいと存じます。
政府は
補正予算において‥‥。