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1949-11-15 第6回国会 衆議院 本会議 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月十五日(火曜日)
議事日程
第八号 午後一時
開議
第一
政府契約
の
支拂遅延防止等
に関する
法律案
(
政府支拂促
進に関する
特別委員長提出
)
—————————————
一
国務大臣
の
演説
—————————————
●本日の
会議
に付した事件
参議院議長松平恒雄
君の逝去につき
弔詞贈呈
の件(
議長発議
)
日程
第一
政府契約
の
支拂遅延防止等
に関する
法律案
(
政府支拂促
進に関する
特別委員長提出
)
外国為替管理委員会委員任命
につき
同意
の件
池田大蔵大臣
の
財政
に関する
演説
午後一時三十一分
開議
幣原喜重郎
1
○
議長
(
幣原喜重郎
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
幣原喜重郎
2
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 昨十四日、
参議院議長松平恒雄
君がにわかに逝去せられましたことは、まことに
痛惜哀悼
の至りにたえません。つきましては、本院は
院議
をも
つて
弔詞
を贈呈することとし、その
弔詞
は
議長
に一任せられたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
幣原喜重郎
3
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて
さよう決定いたしました。 ここに
議長
において起草した
弔詞
を朗読いたします。
衆議院ハ参議院議長従一位勳一等松平恒雄
君ノ長逝ヲ
哀悼シ特ニ院議
ヲ
以テ恭シク弔詞
ヲ
呈ス
この
弔詞
の
贈呈方
は、
議長
においてしかるべくとりはからいます。 ————◇—————
幣原喜重郎
4
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
日程
第一は
委員長提出
の議案でありますから、
委員会
の審査を省略するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
幣原喜重郎
5
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 御
異議
なしと認めます。
日程
第一、
政府契約
の
支拂遅延防止等
に関する
法律案
を
議題
といたします。
提出者
の
趣旨弁明
を許します。
政府支拂促
進に関する
特別委員長岡野清豪
君。 〔
岡野清豪
君
登壇
〕
岡野清豪
6
○
岡野清豪
君 ただいま
議題
となりました
政府契約
の
支拂遅延防止等
に関する
法律案
について、その
提案
の
理由
及びその要旨を御
説明
申し上げます。 まず
最初
に、本
特別委員会
における
本案起草
の
経過
について申し上げたいと存じます。本
特別委員会
は、去る十月二十六日設置せられたのでありますが、これは前
国会
におきまして、当時
政府
の
支拂い
が非常に
遅延
いたしまして、そのため
国民経済
の安定に多大の支障を来す
情勢
が見えましたので、
政府
の
支拂い
を
促進
することが焦眉の急とな
つたの
でございます。
従つて
、去る四月末に
政府支拂促
進に関する
特別委員会
が設けられたのであります。前
国会
におきましては、鋭意この
使命
を全うするため最善の
努力
を
拂つたの
でございます。なお
閉会
中も引き続き
調査
に当りましたが、遺憾ながら
調査
を終了するに至らなか
つたの
であります。従いまして本
委員会
は、前
国会
並びに
閉会
中の
調査
を基礎として、さらに
調査
を続けて参りました
関係
上、前
国会
からの
経過
を一応御
説明
申し上げるべきだと存じます。
最初
、
委員会
としてまず考えましたことは、
政府支拂い
を
促進
するには、その
遅延
の
実情
を明らかにすることが緊要であると思いましたので、一面
支拂官庁側
の
報告
及び
説明
を求め、他面
各種
の
民間業者
、
団体等
より
事情
を聽取するとともに、
新聞広告
を通じ、あるいは各都道府県、
商工会議所
その他に対してその資料の
提出
を求め、鋭意
調査
を進めたのであります。しかるところ、
政府側
から
提出
せられました
支拂未済額
の
報告
中には、なるほど
契約額
、
支拂額
、未
支拂額
がそれぞれ表示せられておりますが、この未
支拂額
が
支拂い
の
遅延
に該当するかと申しますと、もちろんそれに該当するものも含まれておりますが、全部がそうでないことも明らかであります。それでは、そのうちどれだけが実際
支拂遅延
に当るものであ
つて
、それはまた具体的にどの部分であるかと言いますと、これは
政府自身
でも全然わからないのでありまして、わからないばかりでなく、これを
調査
する方法がないのであります。すなわち、
行政機構
の
複雑
、
行政手続
の煩瑣がこういつたことにな
つて
いるのであります。
従つて
、
政府
からいかなる
報告書
をとりましても、それによ
つて支拂い
遅延
の実体をつかみ、その
支拂い
の
促進
を
勧告
することはできない
状態
であります。 また中には、たまたま
民間業者
から具体的な
報告
に接しまして、これは確かに
遅延
に該当するものであるとして、
政府
に対しその
事情
を聞いてみますと、なるほど国としては
業者
に対し
支拂い
遅延
でありますが、
官庁側
では、
予算
の源泉を握る大蔵省から、直接その
支拂い
に当る末端の
官庁
に行くまでの間に、
資金
の受渡しについて非常に
複雑
、めんどうな径路と
手続
をふまなければなりませんので、
行政機関内部
の
手続未了
という、いわば合法的の
支拂い
未済が出て来る例もあるのであります。すなわち国としては、
業者
に対する
支拂い
義務が歴然として存在しながら、
行政機構
の
内部
においては、
支拂
わないのが合法的であるという、まことに奇妙な
状態
があるのであります。 また一面、
わが国
の
現状
を見ますと、今なお
官尊民卑
の
陋習
が強く、国に対し物の
給付
をする
契約
に当りましても、
当該官庁
が
特権的地位
を保有し、
業者
との間に対立の
立等
で物の注文、売買をするという観念に乏しく、
官庁側
が一方的都合によ
つて支拂い
を
遅延
することは当然ないしやむを得ないものと考える風習が現存しているのであります。そもそも国に対する
給付契約
も、
民間相互
の
契約
と性質上何ら異なるものではありません。この
政府契約
にまつわる
官尊民卑
の
封建性
は、すべからくすみやかに打破せられねばならないのであります。(
拍手
)この
政府契約
のいわば
封建性
に基く
支拂い
遅延
は、
終戰後経済
の混乱、
官庁事務
の
複雑化
並びに執務の
能率退化
と相ま
つて
、その傾向はますます著しく、
国家財政需要
が
国民経済
の上にきわめて大きな
地位
を占めている現在、多数に上る
政府関係企業
の
金繰り
に致命的な打撃を與え、
関連産業
の
金繰り
、ひいてはそれら
従業員
に対する
賃金
の
遅配決配
の
原因
となり、また
食糧
の供出をする農家、
健康保險
の
保險医
、その他健全なる
国民層
の生活に重大なる脅威を與えるなど、
国民経済
の健全なる運行を著しく阻害している
現状
であります。 本
委員会
におきましては、以上のような諸
事情
にもかかわらず、明らかに
政府
が
支拂い
遅延
をしていることがはつきりいたしましたものについては、それぞれ
行政内部
の
手続
きを
促進
して拂わすようにとりはらかいました。そのほか、各
官庁
に
支拂い
促進
を極力慫慂いたしましたので、
相当
の
効果
があつたわけで、このため、
業者
から書信をも
つて
、あるいはまた
委員会
に出席して、
支拂い
が
促進
せられたことについて、礼を述べられたようなことがありましたことは、
各位
とともに御同慶にたえぬ次第でございます。(
拍手
)しかし、以上述べましたように、
政府支拂い
が
遅延
するということは、現在の
行政機構
の
複雑
と
行政手続
の煩雑並びに
官尊民卑思想
が根本の
原因
でありますので、これらの
原因
を除去することが、抜本塞源的の
救済策
であることは明らかでありますが、これらの
原因
は長年の伝統でありまして、一朝一夕にこれを打破することは、はなはだ困難であると同時に、本
委員会
の
使命
からもかけ離れておりますので、かくのごとき
陋習
を改善し、煩瑣な
手続
を簡素化させるようにしむけ、同時に
支拂い
が
促進
せられるような
法的措置
を講ずることが最も必要であると痛感いたしましたので本
法案
を起草いたしました次第でございます。 次に本
法案
の
内容
を簡單に御
説明
申し上げますと、国に対し、工事、作業その他の役務の
給付
または物件を納入する
政府契約
は、
双方対等
の立場における合意に基いて締結し、公正に履行すべきことを
政府契約
の
原則
として規定いたし、国の検収並びに
支拂い
を、そのため通常必要かつ十分とする
一定期間
以内の日にすること、及びその
遅延
については、
銀行
の
一般貸付金利
を勘案して、
大蔵大臣
が定める率を下らない率で計算した
遅延利息
を国が
支拂
うことを約定すべきものとしたのであります。次に、故意または過失により著しい
支拂遅延
を生ぜしめた国の
会計事務職員
を懲戒処分すべきことを規定し、また
大蔵大臣
が
政府支拂遅延防止
のため必要な監査などの
措置
をとり得ることを明定し、この面からも
政府
の
支拂い
の
遅延
を防止しようとしたのでありますなおこの
法律
の規定は、国の
機関
に準ぜられ、しかもその
支拂いが国民経済
に及ぼす
影響
のきわめて大きい
專売公社
、
日本国有鉄道
及び
地方公共団体
のなす
契約
に準用することとし、その
効果
を大ならしめたのであります。 なお、
政府支拂い
遅延
の最もがんといたしますところの
法律
第一七一号は、
委員会
といたしましても何とかしなければならぬという結論に到達いたしまして、これを
廃止
もしくは適当に
改正
しようというので、
手続
をと
つて
おります。これとあわせて、この
法律
は両々相ま
つて
政府支拂い
の
促進
に資することと存じます。 なお
本案
は、前
国会
以来、本
委員会
において愼重
審議
いたしまして、
各党各派
の絶対の
賛成
を得て、満場一致可決したものでございます。
右よう
の次第でございますから、何とぞ御
審議
の上すみやかに御
賛成
あらんことを切にお願いする次第でございます。これをも
つて
私の
提案理由
並びに
内容
についての御
説明
を終わります。(
拍手
)
幣原喜重郎
7
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 採決いたします。
本案
を可決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
幣原喜重郎
8
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて本案
は可決いたしました。(
拍手
) ————◇—————
幣原喜重郎
9
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 内閣から、
外国為替管理委員会
の
委員
に
大久保太三郎
君を任命するため本院の
同意
を得たいとの申出がありました。右申出の
通り同意
を與えるに
賛成
の諸君の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
幣原喜重郎
10
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
起立
多数。よ
つて本院
はこれに
同意
を與えるに決しました。 ————◇—————
幣原喜重郎
11
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 次に、
大蔵大臣
より
財政
に関して発言を求められております。これを許します。
大蔵大臣池田勇人
君。 〔
国務大臣池田勇人
君
登壇
〕
池田勇人
12
○
国務大臣
(
池田勇人
君)
昭和
二十四
年度
補正予算案
の
国会提出
に際し、その
概略
を後
説明
し、あわせて
政府
の
財政金融政策
の一端を申述べる
機会
を得ましたことは、私の最も光栄に存ずるところであります。 さきに
昭和
二十四
年度
当初
予算
の
編成
にあたり、
政府
は
終戰以来
の
インフレーション
を
終息
せしめて
経済
の安定を回復することに
全力
を傾注いたし、真に総合的な
予算
の
均衡
を実現いたしましたことは、
各位
の御承知の
通り
であります。その後
政府
は、この
予算
の
適実
なる
執行
を中心として、各般の
施策
の目標をすべてインフレの
終息
、
経済
安定の線に集中して参
つたの
でありまするが、この間の
経済情勢
の
推移
を見まするに、
政府
の
施策
は、
国民各位
の絶大なる御
協力
によりまして着々所期の成果を収め、久しきにわたる
インフレーション
もおおむね
終息
を見、
わが国
の
経済
がようやく安定の軌道に乗ることができましたことは、まことに慶賀にたえないところでございます。(
拍手
)もつとも、右のごとき
施策
の実行の過程におきまして、過渡的ではありまするが、
経済界
の一部に若干の困難な
事態
を生じ、さらに
国際経済情勢
の変化による
影響等
も加わ
つて参
つたことは事実でございます。
政府
は、これらの
事態
に対しまして適宜
調整
の方途を講じつつも、
施策
の大本はこれをあくまで推進することとし、
経済
安定への大道を邁進して参つた次第であります。 今後における
施策
の方向は、
わが国
民の
努力
によ
つて
、せつかくかち得ましたる、この
経済
の安定をさらに強化し、その
基盤
の上に、
国際経済
との
関連
において
経済
の
復興
と発展とをはかることにあると信ずるのであります。(
拍手
)ここに
提出
いたしました
昭和
二十四
年度
補正予算
も、この基本的な考え方のもとに
編成
したものでありまして、
歳入歳出
の真の
均衡
を確保するという当初の
原則
を堅持するとともに、
現下喫緊
の
政策
を積極的に織り込むことに努めた次第でございます。その結果、本
年度
第四・四半期以降、一降の
減税
も可能となり、他面、当面最も緊要な事項について
相当
の
経費
を
増加
計上することができたのであります。なお本
補正予算案
の
編成
にあた
つて
は、来
年度
にわたる
わが国
の
経済情勢
の
見通し
を立て、これに基いて、来
年度
予算案
と一貫した構想のもとに
編成
いたしたのであります。
補正予算案
は、
一般会計歳入
において
増加額
七百七十八億円余、
減少額
四百十四億円余、
差引増加額
三百六十三億円余、
歳出
において
増加額
六百八十七億円余、
減少額
三百二十三億円余、
差引増加額
三百六十三億円余とな
つて
おりまして、その主眼とするところは、
シヤウプ勧告
の
趣旨
にのつと
つた国民負担
の
軽減
の一部を本
年度
内において実現すること、次に懸案の
価格調整費
を大幅に削減すること、第三に
公共事業費
、
失業対策費
、
地方配付税配付金
、その他この際必要やむを得ない使途に充てるため所要の
経費
を計上することでありまして、その財源のおもなるものは、右に申し述べた
価格調整費
の削減による
不用額
のほか、前
年度
剰余金
及び
租税
の
自然増収
であります。 しかして、今回の
補正
によりまして、
昭和
二十四
年度
一般会計予算総額
は、
歳入
七千四百十三億円余、
歳出
七千四百十億円余、
うち租税収入
は五千百五十九億円余となります。これに対し、来
年度
におきましては
歳出
を大幅に圧縮いたしまして、
総額
約六千六百億円
程度
とし、
歳入面
においては、
租税収入
を四千四百五十億円
程度
に減少し得る
見込み
であります。本
年度租税収入
が、後に述べる
減税額
二百億円を差引いたものであることを考慮すれば、来
年度
減税額
は九百億円
程度
に達し、
相当
な
負担軽減
とな
つて
おります。 次に
補正予算
の
内容
のおもなるものについて
説明
いたします。 まず
歳出
は、
価格調整費
において二百三十億円を減少することといたしました。
価格調整費
については、
内外経済
の
推移
にも照し、
国民経済
に対する国の千與を極力排除し、
企業
の
自主性
を尊重し、あらせて
政府
の
歳出
を節減いたしますため、鉄鋼、肥料、
輸入食糧等
真にやむを得ないものについて
最小限度
の
必要額
を存続するにとどめ、その他の
物資
についてはこの際大幅に整理することとしたのでありまして、その結果、
安定帶物資
百二十八億円余、
輸入物資
百一億円余の減額とな
つて
おります。なお本
年度
においては、
価格調整費
の
総額
は九百億円
程度
にとどまる
見込み
であります。 次に、
公共事業費
は百六億円余を
増加
することといたしました。これは本
年度
における台風その他による被害が莫大な額に上りましたため、当初
予算
に計上した金額に不足を生じましたのと、六・三制による
新制中学校校舎
の
建築
、
引揚者住宅
の補修及び増築を行う必要に基くものであります。
政府
は、わが
國経済
の現段階において
公共事業費
を
相当
増加
することが非常に重要な意味を持つものである点にかんがみ、特に考慮を
拂つた
次第でありまして、引続き
來年度予算
においては思い切
つて
一千億円
程度
を計上し、
国土資源
の保全、
経済復興基盤
の造成をはかりたいと考えている次第であります。今後、
公共事業費
の
積極的活用
によ
つて
、
相当数
の
失業者
を吸収できると考えるのでありますが、
失業対策
については、さらに万全を期するため、別途八億円余を応急的な
失業対策費
として計上するとともに、
失業保險特別会計
への繰入れ約九億円を
増加
計上いたしております。なお
引揚者対策
については、当初
予算
においても
相当額
を計上していたのでありますが、今回の
補正
にあた
つて
は、右に述べた
公共事業費
による
引揚者住宅建築費
の
増加
のほか、別途
引揚者
に対する
生業資金
を
増加
計上しております。 次に
地方配付税配付金
については、
地方財政
の
現状
にかんがみ、九十億円を
増加
することといたしました。 次に、
食糧
管理特別
会計
繰入れの
増加
として百七十億円余を計上いたしました。本
会計
においては、
輸入食糧
の数量の
増加
と
米価
の
改訂
により
運転資金
の
増加
が見込まれますので、これを
一般会計
から繰入れることといたしたのであります。なお
米価
につきましては、
生産者価格
を二十四
年度
産
米石当り
四千四百五円、
消費者価格
は、来
年度
にわたる本
会計
の
収支
、
減税
に伴う
国民
の生計の
緩和等
をも考慮して、来年一月から約一一%値上げを行うこととしたのであります。 その他
薪炭需給調節特別会計廃止
に伴う赤字五十四億円余のほか、若干の
公団
の
手持資産
の
増加
に伴う
運転資金
の
増加
による
公団出資金
四十二億円余、
日本国有鉄道
への
貸付金
三十億円余、
船舶運営会補助増加
二十八億円余を計上いたしました。なお、明年一月一日から
鉄道貨物運賃
八割、
海上貨物運賃
9割三分の
引上げ
を予定しておるのであります。 先般以来しばしば
論義
の対象と
なつ
た
国家公務員
の
給與ベース
につきましては、
政府
は、今回の
補正予算編成
の
前提
と
なつ
た
経済
諸
情勢
にかんがみ、
改訂
を行わないこととしたのであります。この際としては、むしろ
物価
の安定をはかることに
全力
を挙げ、さらに
物価
を低落の趨勢に導くことといたしました。
減税
とも相ま
つて
、
実質賃金
の充実をはかることに最も重点を置くべきであると信ずるのであります。(
拍手
) 次に
歳入
について
説明
いたします。今回の
補正予算
に
見込み
ました
歳入
のおもなるものは、前
年度
剰余金
二百六十億円余及び本
年度
において予定される
租税
の
自然増収
二百十三億円余でありまして、これに
減税案
を織り込んで
歳入
を予定いたしております。
政府
は、近くシヤウプ仕
節団
の
勧告
の
基本原則
を尊重し、
現下
の
わが国経済
の
実情
に即した、
国税
及び
地方税
を通ずる
税制
の全面的な
改正
を行わんといたしておるのであります。先にも一言いたしましたように、
国税
の総
収入
を、来
年度
におきましては約四千四百五十億円
程度
にとどめるという
見通し
のもとに、目下来
年度
予算
の
編成
と
関連
して愼重に検討中でありますが、今回の
補正予算
の
編成
に際しましては、そのうち、とりあえず早急に実施を要しまするところの
所得税
及び
物品税
について、来年一月一日から若干の
減税
を行うことといたし、
取引高税
、
織物消費税
及び
清涼飲料税
については、
シヤウプ勧告
に示された期日以前に、すなわち来年一月一日から
廃止
することといたしたのであります。(
拍手
)これらの
措置
による本
年度
の
減税額
は約二百億円余に上るのでありまして、来
年度
におきまする全面的な
税制改正
と相ま
つて
、
国民
の
租税負担
はかなり
軽減
され、先に述べました
食糧価格
や
貨物運賃等
の
引上げ
による
影響
は、おおむね吸収し得ると確信いたしておるのであります。(
拍手
) なお、この
機会
に
税務行政
について一言いたします。従来
政府
は
税法
の
適実
な
執行
に鋭意努めて参り、
国民各位
の御
協力
を得て、逐次
納税成績
を向上して来たのでありますが、遺憾ながら、
現状
ではいまだ充分とは言いがたいのであります。今後
政府
といたしましても一層
税務行政
の刷新に
努力
する
所存
でありますが、
国民各位
におかれましても、今
年度
及び来
年度
の
減税
が
税法
の忠実な励行を
前提
とするものであることに特に思いをいたされまして、
納税
に一層御
協力
あらんことを切望してやまない次第であります。 以上、
補正予算案
の
概略
を
説明
いたしましたが、この
機会
に
金融政策
について申述べたいと思います。去る六月、
日本銀行政策委員会
の発足以来、
日本銀行
のマーケツト・オペレーションの
活発化
、
融資
あつせん制度の
積極的活用等
によりまして、緊要なる方面への
資金供給
は
相当
円滑とな
つて参つたの
であります。しかしながら、
市中銀行
はその主たる
使命
が短期の
運転資金
の
供給
にあります
関係
上、
市中銀行
のみをも
つて
しては、
長期融資
の
供給
に万全を期することは困難でありますので、
政府
は特に対日援助見返
資金
をなるべくすみやかに、かつ有効に運用することに
努力
いたしますることとともに、恒久的な
長期金融機構
の確立をはかることとし、日本興業
銀行
をこの
種金融機関
の中核として育成するとともに、農林中金及び商工中金に
債券発行
を認め、
農林水産
及び
中小企業
に対しまする
長期資金
の
供給
をはかり、また
不動産金融機関
が自主的に設立されることを積極的に
促進
いたしたい
所存
でございます。(
拍手
) なお
金融機関
については、検査を励行して経営の
合理化
と
健全化
とを
促進
し、も
つて
金利
の引下げをはかるとともに、既存の
金融機関
をも
つて
しては
庶民大衆
の
信用需要
をまかなうに十分であると認められる
地域等
につきましては、真に健全なる企画のもとに適正な規模の
銀行
の設立が計画せられる場合におきましては、いたずらに従来の一県一行主義を墨守することなく、適当と認めるものはこれが営業を免許することといたしまして、も
つて
各種産業
はちろんのこと、
中央地方
を通じ
金融
の円滑をはかりたいと存じておるのでございます。 最後に
国際収支
の問題について一言いたします。先に申し述べましたように、
国内経済
はようやくその安定を見るに
至つたの
でありますが、今後に課せられた最大の課題は、
国際経済
の一環として、
わが国経済
の
自立復興
をはかることにあるのでありまして、米国の援助が今後漸次減少することが必至であることを考慮いたしますならば、一日も早く
国際収支
の
均衡
を回復することが強く要請せられるのであります。従いまして、輸出の振興が
わが国
の
経済再建
に重要なる役割を持つことはもちろんであります。しかしながら、
わが国
の
産業
の国際的な
競争力
は決して十分とは申しがたい
実情
であります。よ
つて政府
は、すでにしばしば言明したように、あくまでも現在の
為替レート
をかえないという根本的な方針のもとに、
産業
の
合理化
を積極的に推進するとともに、
各種
の
貿易條件
の改善に努め、も
つて
公正な
競争力
の培養をはかることが当面最も必要なことであると信ずる次第でございます。(
拍手
) 以上、今回の
補正予算案
について御
説明
申し上げたのでありますが、何とぞ御
審議
の上すみやかにご
賛成
あらんことをお願いいたします。(
拍手
)
—————————————
山本猛夫
13
○
山本
猛夫君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、明十六日定刻より本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
幣原喜重郎
14
○
議長
(
幣原喜重郎
君)
山本
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
幣原喜重郎
15
○
議長
(
幣原喜重郎
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて動議
のごとく決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十分散会