○千葉三郎君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、吉田
総理に御質問申し上げるものであります。
講和條約を前にして、われわれは無限の喜びを感ずるのでありますが、
講和條約を有効にせんとするならば、まず
国内において
経済の自立化をはからなければならないことはもとよりであります。私は、この観点から、以下四項目にわかちまして御質問申し上げたいのであります。
第一の点は今回のシヤウプ使節の勧告案でありますが、シヤウプ使節が四箇月にわた
つて努力をしたその税制案に対しましては、まことに敬意を表するものであります。しかし、その内容については、われわれは今後十分検討を加えなければならぬのであります。このシヤウプ勧告案が発表された八月二十八日において、吉田
総理は談話を発表いたしましたが、その談話によりますと、この勧告案は予想以上の朗報であ
つて、本年度においては所得税を二百億軽減する、明年度においては一千億の
国民負担を軽減する、こういうように、はつきりうた
つているのでありますが、今日この際、なおその御心境に変化がないかどうかということを承りたいのであります。
もちろん、今日
補正予算の提出はございませんが、シヤウプ博士によれば、あの所得税は本年において百五十億、しかし酒の税金を百億上げるから、結局五十億の
国民に対する減税しか望めない、こう言
つておるにかかわらず、吉田
総理は二百億円は可能である、こう言うのであります、まことに力強いお言葉ではあるが、はたしてこれを実行する御
意思であるかどうかを承りたいのである。
明年度におきましては一千億と言
つております。もちろんこの一千億は、單に一般会計にあらずして、地方税を含めてのものであろうと思う。来年に
なつたならば、所得税の二百億、あるいは織物
消費税もありましようが、地方税を入れたならば住民税は二倍となり、また地租並びに家屋税は三倍半に値上げ、新事業税におきましては八十億の増徴になるとシヤウプさん御自身も言
つておられる通り、この八十億は内輪の数字であ
つて、場合によ
つては三百億ないし四百億の増徴になるであろうということを言
つておるのであります。しかも資産再評価の問題に対して、その税率六%になりますると、これはある意味において
産業の破滅であるとい
つてもよろしいのであります。しかも、これらの不動産税といい、新事業税といい、みんな外形標準によ
つておるのであります。そこで最も損失をこうむるものは
中小企業でありまして、彼らの多くのものは、住宅がすなわち営業所であり、また住宅が即工場である。そこで、地方税のうちで市町村税であるところの不動産税、さらに府県税であるところの新事業税がかかる。これを同時に併課されて、しかも増徴されることになる。まことに苦痛この上もないことであります。これをも
つてしても、なお
総理は一千億の減税が
できる、こういうことを主張しておるのでありましようか。
私は、あの八月二十八日の
総理の談話を読んで、いまだにわからない。これ以上の朗報はない、すなわち予期以上の朗報であると言
つておりますが、
国民のこの苦しむ姿をも
つて朗報と称しておるのでありましようか、その前提といたしまして、
総理は
国民所得は来年ふえるから一千億円の減税になる、こういうような発表をいたしております。この
国民所得がふえるという意味は、どういうことであるか。もし今吉田
内閣の
行つておるところの
経済政策、すなわち
デフレ政策を敢行したならば、
国民所得はここに減退する、あるいは現状を維持することすらむずかしい。その場合であ
つたならば一千億は
できないというので、お逃げになるおつもりであるかどうか、その辺の御心境を承りたいのであります。
私は、
総理は従来
国民所得の負担軽減問題に対して非常に御熱心であることは認めておりまするが、この負担軽減に対しましても、社会サービスの点、すなわち社会保障の点は、ややもすれば第二義的に
考えておることはないであろうか。この点を私は申し上げたいのであります。何となれば、今回伝えられるところの
補正予算におきましても、六・三制の経費はわずかに十五億と聞いております、
総理大臣の
施政方針の
演説におきましても、文教は
国家のために最も必要である、こう言
つておりながら、その文教費として計上したものは十五億、しかもこれに反しまして、薪炭特別会計なるものによる損失補償としてここに五十四億を計上されるということが、過般の三十一日の本
会議におきましての緊急質問に対する森農林大臣の御答弁であります。すなわち、この五十四億は
補正予算として出すということは、はつきりしたのでありまするが、この内容について、
総理大臣並びに農林大臣は十分御承知であろうか。すなわち現物の消耗、あるいは不正の有無、さらに売掛金の
状態、そういうことを十分お調べにな
つて、そうして本
国会に
報告され、さらにこの五十四億の使い道を明確にする必要があると思うのであります。
と申し上げるのは、私が入手いたしました
昭和二十四年度薪炭需給調節特別会計歳入歳出の
予算補正額、こういう書類が
政府から出ておりますが、この書類によりますと、ここに一般会計より五十四億の繰入れがありますと、歳入超過として二十八億が計上されるのであります。二十八億はいらないものになる。
従つて、本年度の
予算におきましては二十六億だけ計上すればよろしいのであります。このいらないものをここに計上するということは、どういうわけであるか。私は、この問題は吉田
総理に尋ねるよりも、むしろ
国会の考査委員会にお願いいたしまして、考査委員会にその実情を
報告願う方がよろしいのではなかろうかと思うのであります。(
拍手)いずれにいたしましても、この薪炭特別会計の内容にいかなる不正があるか、そうしたことをあらかじめここに十分調査して、しかるに後に次の
国会においてこれを審議しても遅くはないではなかろうかと思うのであります。しからば、ここに二十六億の金が浮いて参りまして、それによ
つて六・三制、災害復旧費を増額することも
できるのであります。
私は、こういうような観点から
考えますと、
総理は減税に執着するのあまり、社会的サービス面を閑却いたし、ことにいらない
予算をここに提出しておるというそしりを免れないことも、いたしかたないと思うのであります。(
拍手)
第二にお伺いしたいことは地方
自治の問題でありますが、過般シヤウプ勧告書によりますと、今回の税制の改革案は二つから
できておる。
一つは地方
自治の確立が占領軍及び
日本政府の究極の目的として宣言されておる、こういうことを言
つておるのであります。また九月二日、
マッカーサー元帥より、終戰第四周年の記念日にあたりまして、
声明書が出ましたが、その
声明書によりますと、明年になると、か
つて存在した中央よりの支配を完全に断ち切る法律的素地が
できる望みが抱かるるに至
つた、こう書いてあるのであります。すなわち、中央よりの支配がここに完全に断ち切られるところの法律的素地が明年実地になるであろうということを予言しておりますが、これに対しまして吉田
総理は何事かの示唆を受けたのであろうかどうか、この点を承りたいのであります。
過般、吉田
総理は談話を発表いたしまして、地方財政の健全化、地方財政の
合理化を主張いたしました。しかし地方団体としても、今日は本年度配布税を二分の一に削減されたために、今やその運営さえも事を欠いておるのであります。この際私は、
総理大臣が地方財政の緊縮を望み、
合理化を望むのは、あたかも二合七勺の配給を二分の一に減して家計の
合理化をはかれるということと同様に
考えておるのであります。(
拍手)
そこで、この間
総理に対してお尋ねしたいことは、わが国の市町村並びに府県の編成の問題であります。現在の市町村並びに府県の姿は、明治維新当時の廃藩置県そのままにな
つておるのであります。その後交通運輸の発達によりまして、社会的にも
経済的にも幾多の変遷があ
つた。この変遷を
考えて、ここに合理的に改組する必要があると思いまするが、これに対する吉田
総理の所見をお尋ねしたいのであります。
第二は、出先機関の問題でありまして、この問題については私からるる申し上げる必要もありませんが、第五
国会から残
つております農林省資材出張所の問題でありますが、この問題がこの
国会でいかなる形で現われるか、いかなる形において改廃をするかという問題を承りたいのであります。もし吉田
総理が真に
国民の負担軽減に御熱心であるならば、地方民のために、むしろこの際一千二百億円の平衡
資金を増額するか、あるいは地方債を大幅に増加いたしまして、それによ
つて新たなる不動産税あるいは新事業税をしばらく見送る
措置に出たならばどうかと思うのでありますが、この間において吉田
総理はいかなるお
考えを持
つておるか承りたいのであります。
第三にお尋ねしたいことは、
経済安定
政策とその矛盾性であります。過般の
施政演説におきまして、吉田
総理は、
国民経済はここに安定した、さらに積極的、本格的の
段階へ進みつつある、かくのごとく言
つて自画自讃しておるのであります。私はこの言葉を承ると、
国民の一人として憤りを感ぜざるを得ないのであります。(
拍手)現状はどうであるか。
輸出の不振、さらに
有効需要の減退、
生産の縮小、
滞貨の増大、ことに
滞貨は今日において八百五十億の
輸出不能に陷
つておるものがあるのであります。さらに
賃金の不拂い、こうした社会不安は随所に起
つておる。これをしも吉田
総理は、
経済の安定によ
つてますます順調に進んでおるというのであろうか、私はまことに心外にたえないのであります。この間におきまして、民自党
内閣においては何をされたか。私は不幸にして、
米券制度以外におきましては、しかるべき
経済政策を承
つておりません。ほとんど大部分の方は、税金はシヤウプさんに聞いてくれ、金詰りはド
ツジさんに頼んでくれ、これは民自党の合言葉ではないかと思うのであります。(
拍手)さきに
片山内閣、あるいは芦田
内閣をイエス・マンと言いましたけれ
ども、先ほどの吉田
総理の答弁と比べまして、ほとんどこれはオー・イエス・パーテイではないか、オー・イエス・マンではないかと私は思うのであります。
なるほどド
ツジさんの処方によりまして、ここに
インフレーシヨンの收束を見たことは、まことに喜ぶべきことでありますが、何とい
つても
日本の
経済は自立化という一段高い目標から見たならば、
日本の
経済は萎微沈滞いたしまして、ド
ツジさんの
考えと逆行している。少なくとも現在におきましては、
日本の
経済は立ち能わざるような
状態に向いつつあることを、
総理は認めなければならぬと思うのであります。
この金詰りの原因、これは明らかに
昭和二十四年度の
予算そのものがすでに
デフレ予算であ
つたこと、さらに国際
経済事情、特にポンドの
切下げその他もありまして、それに対処するところの内地の金融業者が極度に金融を引締めたこと、その他にも原因がありますけれ
ども、最も大きな原因は、何とい
つても現
内閣が適時適切な手を打たなか
つたというところにあるのであります。(
拍手)
政府は、これに対して従来いかなる手を打
つているか。四月一日に
復興金融金庫の機能をとめた。それに対して、長期
資金はいかなる機関でこれを
補つているのであるか。またさらに保証制度はどうな
つているか。いまだに何らの目安もついておらない。大蔵省の預金部はどうな
つているか。預金部に対しましては、地方債の二百三十億、公団に対する融資九十億、他の預金はどうな
つているか。預金部の金の大部分というものは零細なる
資金である。いわば
中小企業並びに農民のために還元すべき金であります。(
拍手)これすら怠
つている。そこに
政府の怠慢があるのであります。
さらに問題の見返り
資金でありますが、見返り
資金は、千四百億中すでに
資金化されたものは今日六百六十六億であります。この六百六十六億の中に、放出許可に
なつたものが、鉄道、逓信の
建設公債二百七十億中百八十三億だけでありまして、民間企業に対しては、わずかに日窒の一億七千万円にすぎない。四月から今日まで七箇月の間に、長期
資金としてここに放出されたものは、わずかに一億七千万円であります。このまま推移したならば、わが国の
産業は総崩れになり、
失業者はちまたに氾濫し、社会不安はいよいよ増大すると思うのであります。私は吉田
総理に葉巻を捨てよとは申し上げません。白たびを脱げとは申し上げない。しかし、
国民のために、私はよろしくこの
国民の実情を進んでド
ツジさんに申し上げて、そうしてこの金詰りを打開することに協力することが、
総理大臣としての
責任ではないかと思うのであります。(
拍手)
過般の
施政方針の
演説におきまして、
統制経済をよし、また補給金の撤廃をした。これを得意に申されたのであります。私
どもは、もとよりこの
処置に対しては異議はございません。異議はないのでありますけれ
ども、ただ受入れ態勢に対して何らの
措置を講じておらない、まだこれに伴うところの金融
措置を講じておらないことは、すなわち九月十五日のあの配炭公団の廃止においても見らるる通りであります。何らの
措置を講じておらない。銅においても、また非鉄金属その他におきましても同様でありまして、廃止はする、撤廃はするが、それにかわるべきところの受入れ態勢を親切にお
考えにな
つておらないのであります。
従つて、このまま参りますると、民自党のオーソドツクスのために、ほとんど優勝劣敗、栄えるものは栄え、盛んになるものは盛んになれ、つぶれるものはか
つてにしろというようなこの
経済政策、すなわち自由
経済のオーソドツクスでありましたならば、
日本の
産業はほとんど立ち行くことが
できない。ただいま吉田
総理の五箇年
計画の廃止に対する弁明を承
つたのでありまするが、われわれは資本主義の是正をするがためには、ある程度の
計画経済をまじえなければならぬのであります。しかるに吉田
総理は、
鈴木茂三郎氏の質問に対して、この
経済五箇年
計画を捨てると言われたが、これではとうてい完全なる
経済政策を望むことは
できないと思うのであります。(
拍手)
補給金の撤廃によりマル公を上げる、こういうような問題につきましては、先ほど
社会党の鈴木氏からるる御質問があ
つたのでありまするが、さらに運賃が上る、米価の改訂がなされる、税金の問題、こういうようなことになりますると、吉田
総理の御主張になるように、
賃金ベースをそのままくぎづけにしておくことが
できるかどうか、まことに疑わしいのであります。過般の
施政方針演説の中に、厚生施設を充実する、さらに諸手当を充実するということを言
つておりますが、これはいかなる意味であるか。私は、
施政方針演説の中で、吉田
総理が、
労働力はわが国の貴重なる資源であるとまで言
つておる、ここまで
態度を一変して、おせじを言
つておるのでありますから、むしろ進んで労働運動の健全化のために一歩これに御協力したらばどうかと思うのであります。(
拍手)
中小企業の問題につきましては、はたしてこの年が越せるかどうか、まことに疑わしい
状態に立
つておるのであります。御承知でもございましようが、この
中小工業に対する設備金融としては、さきに
政府は二十億を予定したのであります。この二十億を見返り勘定で出すと言
つた。それがだめに
なつた。今度は預金部から出すと言
つた。預金部から出すと言いながら、それもだめになりまして、今はオープン・マーケツトでこれを処理する。それでも通商局におきましては、これを努力せんとしておりまするが、一方におきまする
日本銀行は、それと
反対の
考えを抱いておりまして、この二十億の
資金ははたして出るか出ないか、まことにわからぬのであります。さらに運転
資金の問題にいたしましても、
日本の
産業の九九%を占めるところの
中小工業に対しましては、本年初頭から今日までに、わずかに二十二億の金しか出ておらないのであります。これがすなわち劣惡でありまして、現在
中小企業は年末までに三億の金が得られるかどうか、まことに心配しておるのであります。こういうような
状態であ
つたならば、
中小工業はどこに行くか。業者の中で税金に泣き、
生活苦に泣き、さらに今回の運賃の高騰によりまして自殺行為をする者が
できて来るだろうと思うのであります。私は、この
中小企業をして自暴自棄に陷らしめないために、特に吉田
総理はここに絶大なる心構えをする必要があると思うのでありまするが、これに対する御所見はどうでありましようか。(
拍手)
貿易問題につきまして若干お尋ねしたいのであります。ポンドの切り下げに対して、わが国は円レートを変更しないということが、はつきりわかりました。しかし、それと同時にフロア・プライスを撤廃する。さらに最近においてローガン・フリール・ラインが現われて参りまして、
貿易の前途に対しては若干の明るさを増して来たような感じもするのであります。しかしながら、
経済の自立というためには、どうしてもわれわれは、ここに輸入を縮減しなければならない。何となれば、
輸出に対しては相手国があるのでありまするから、相手国の
事情によ
つて、今後といえ
どもなかなか困難である。そこで
貿易の輸入を縮減しなければならぬのでありまするが、その点について、従来
政府は怠慢ではなか
つたか。たとえば硫化鉄鉱の輸入にいたしましても、また米炭の輸入の問題にいたしましても、いま少しく愼重なる考慮が願わしいのであります。しかもこの輸入
滞貨が、六月の末をも
つて実に三百億を越えておる。そのうち六十八億は焦げついておる。この六十八億の中で、化学薬品は二十九億、鉛のごときは十四億。御承知のように
日本におきましては、鉛は十分の
生産がある。輸入することによ
つて国内の
産業を圧迫する。かくのごとき事例が枚挙にいとまがないのであります。しかも、こうした輸入品を販売することによ
つて、そこに莫大な損失を生ずる。その損失をカバーせんとして輸入補助金を利用する。もしくは
日本銀行から借入れせんとしたことが、今回の池田・ド
ツジ会談の内容であると承
つておるのであります。私は、これらの損失を一般会計から出すということに対しましては非常な悲しみを感ずるのでありまするけれ
ども、一体だれがこうした損失をこうむらしめたか。いかなる人がこの
責任を負うべきものであるか。
責任は單に一通商大臣にあらずして、
総理みずから、すなわち外務大臣としても
責任の一半を負わなければならぬと思うのであります。(
拍手)
私は、こうしたことを申し上げると同時に、
日本の人口問題につきまして、いささかお尋ねしたいのであります。本年度わが国が
外国から輸入した食糧費が二億七千万ドルであります。これに要する輸入補助金は、御承知の通り四百五十億円であります。ところが、現在の人口の増加率をも
つて推算いたしますると、
昭和二十八年度のわが国人口は八千七百六十六万三千人に相なります。このときにあたりまして、戰前と同様な栄養率をとり、しかも農産物が現在の
生産量であるならば、不足物として、玄米の換算が五百七十万トンになります。この五百七十万トンに現在の輸入額をかけますると、外貨五億四千八百万ドルに相なるのであります。この輸入、
輸出のはげしい
状態において、この食糧だけのために五億四千万ドルを費すということは、わが国の
経済の自立化という点から行きまして、とうてい不可能なことであります。わが国におきましては、
外国から原料を輸入する。そうして
生産加工をして、さらに再
輸出をしなければならない。しかるに、この食糧のために五億万ドルをとられるということでは、他の工業が成り立たないことに相なるのであります。
ここにおいてわれわれは、一方において人口の調節をはかり、一方において
産業の
振興、さらに
国内の総合
開発をして、人口の飽和点を見出さなければならぬのでありますが、同時に手取り早い方法といたしましては、食糧の増産、すなわち食糧の自給態勢を整えなければならぬのであります。その点につきまして、吉田
総理は
施政方針の
演説の中において、今回
治山治水事業に力を入れるということを言
つております。これはまことに敬服すべき言葉でありまして、われわれはその
治山治水の費用を惜しんではならぬと思う。
治山治水問題、あるいは土地の改良の問題、水産の問題、あるいは畜産の問題、いやしくも
日本の食糧を増産するものであ
つたならば、相当な
予算を組んでも、この輸入食糧費のために四百五十億の金を使うことを
考えたならば、ほとんどわずかなものでありまして、かくのごときことは十分われわれは賛成しなければならぬと思うのであります。むしろ、進んで吉田
総理におきましては、この食糧の自給のために一層の推進をかけられて、少くともわが国におきまして、さらに二割の増産をする、そうしてこれにより
外国から食糧を輸入しない決意を新たにする必要があると
考えるのであります。
私の最後にお尋ねしたいことは
講和條約の問題であります。この
講和條約の問題につきまして、一昨日の吉田
総理の御
演説を承りますと、
一つの矛盾しておることを発見するのであります。すなわちその
一つは、国際団体に復帰することを明らかにしておる。それが念慮にな
つておるのでありますが、一方において、わが国の平和を保たせるためには無防備であるべきだということを言
つておるのであります。国際連合に入るならば、そこに安全保障理事会の制肘を受けなければならない。そこに防備の必要が起
つて来る。そういたしますと、一方において無防備を主張しております点において撞着して来るのでありますが、その間の調整をいかにする御
意思であるか。いずれにいたしましても、これらの問題はきわめて愼重を要する問題であり、またさらに
單独講和、全面
講和、さらに完全保障、永世中立の問題にいたしましても、また
講和條約の内容そのものにいたしましても、実にワン・マンズ・パーテイーでは、これは不可能なのであります。私は、ここに全
国民を網羅して、
講和條約を迎えるに際しての愼重なる準備をしなければならないと思うのであります。その準備にあたりまして、吉田
総理は有能達識なる外務大臣を専任して、その人によ
つてこれが準備に沒頭せしめるところの御
意思があるかどうか、この点を承りたいのであります。
以上をも
つて私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣吉田茂君登壇〕