○梨木委員 それではもう一点伺いたいのですが、それは最近検察に当りまして、検事の
申請した証人と被告並びに弁護人側から
申請した証人と、この両方の証人が
同一の事実について違
つた証言をした場合には、被告人並びに弁護人の
申請した証人の証言は、偽証である、うそを
言つているのだ、こういう建前でこれらの人々を検挙し起訴し、ひどいのになると、法廷で偽証罪の現行犯として逮捕する、こういうことを検察庁がや
つております。このことはま
つたく検察專制の復活
そのものだと私は思うのであります。なぜならば、こういうことが公然と行われるということになりますならば、身柄を拘束されている被疑者が、自分の無実を
証明するためにいろいろと証人を出す。ところがこれらの証人と、検察庁が見込んだ証人と証言が食い違
つた場合は、すべて被疑者側の証人が偽証だというKとで、全然自分の無実を
証明する手段がなく
なつてしまいます。たとえば、ここで
一つの火災が起
つた。その現場に平素検事から憎まれているある一人の労働者がお
つたとする。そうすると、もしこの検事が、平素から憎んでいるこの労働者をやつつけたいということに
なつたら、まずこの労働者をひつぱる。労働者は自分は何ら火事とは
関係がないと
言つて、いろいろと自分の無実を
証明するために証人を出したとすると、それが全部偽証だということでやられたら、特に身柄を拘束された被疑者は、自分の無実を
証明する何らの手段もない。こういう乱暴なことが行われておる。しかも公開の法廷におきまして、現行犯として証人が逮捕された。千葉県の千葉
地方裁判所において、そういう事実があります。現在また世間の関心を呼んでいる三鷹事件におきまして、現在二名の者が偽証罪として起訴され、今公判にかか
つておる。こういうやり方は、少くとも現在の
刑事訴訟法の精神から行きまして、事件の真相を究明して行くということからおよそ離れているもので、こういうことを検察の面においてやるということに、私はどうも不当であると思いますが、これに対する監督の立場にある法務庁といたしまして、どういう見解を持
つておられるか、伺いたいと思います。