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1949-11-28 第6回国会 衆議院 文部委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 原   彪君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君    理事 稻葉  修君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       甲木  保君    柏原 義則君       木村 公平君    佐藤 重遠君       千賀 康治君    中島 茂喜君       渡部 義通君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         文部政務次官  平島 良一君         (大学学術局         長)         文部事務官   剱木 亨弘君         (管理局長)         文部事務官   久保田藤麿君  委員外出席者         文部事務官   竪月米太郎君         文部事務官   福田  繁君        專  門  員 横田重左衞門君 十一月二十八日  委員木村公平君辞任につき、その補欠として小  西寅松君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  私立学校法案内閣提出第三八号)   請 願  一 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願今井耕紹介)(第四二号)  二 同(今野武雄君外一名紹介)(第七二号)  三 同(羽田野次郎紹介)(第七三号)  四 同(内藤友明君外二名紹介)(第七四号)  五 同(有田喜一紹介)(第七五号)  六 同(原健三郎紹介)(第七六号)  七 同(小山長規紹介)(第七七号)  八 同(松澤兼人紹介)(第七八号)  九 同(竹尾弌君紹介)(第七九号) 一〇 同(倉石忠雄紹介)(第八〇号) 一一 同(佐藤榮作紹介)(第八一号) 一二 同外一件(尾関義一紹介)(第八二号) 一三 同(田中豊紹介)(第八三号) 一四 同(松井豊吉紹介)(第八四号) 一五 同(前田正男紹介)(第八五号) 一六 同外四十二件(高橋定一紹介)(第八六号) 一七 同外三件(佐々木盛雄紹介)(第八七号) 一八 同外五件(岡田五郎紹介)(第八八号) 一九 同外七件(受田新吉紹介)(第八九号) 二〇 同外十一件(青柳一郎紹介)(第九〇    号) 二一 同外二十七件(佐久間徹紹介)(第九一    号) 二二 同外四十四件(周東英雄紹介)(第九二    号) 二三 同外六十六件(吉武惠市君紹介)(第九三    号) 二四 同外一件(小高熹郎君紹介)(第九五号) 二五 同(石井繁丸紹介)(第九七号) 二六 育英制度強化に関する請願原健三郎君紹    介)(第四四号) 二七 戰災私立学校復興援助に関する請願江崎    真澄紹介)(第六六号) 二八 習字教育振興に関する請願有田二郎君紹    介)(第九四号) 二九 安城高等学校区変更に関する請願中野四    郎君紹介)(第九六号) 三〇 科学研究費増額請願(小金義照紹介)    (第九九号) 三一 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願仲内憲治紹介)(第二一三号) 三二 同(有田喜一紹介)(第一三四号) 三三 同(福田喜東紹介)(第一三五号) 三四 同外六件(青柳一郎紹介)(第二二六号) 三五 同(山手滿男紹介)(第一三七号) 三六 同外一件(多田勇紹介)(第一三八号) 三七 同外三件(原健三郎紹介)(第二二九号) 三八 同(小玉治行紹介)(第一四〇号) 三九 同(高木松吉紹介)(第一四一号) 四〇 同外五件(今澄勇紹介)(第二二四号) 四一 同(中野四郎君外五名紹介)(第二二七号) 四二 同(周東英雄紹介)(第二二九号) 四三 同(橋本登美三郎君外十一名紹介)(第二    三〇号) 四四 同外一件(川野芳滿君外四名紹介)(第二    三一号) 四五 同(庄司一郎君外五名紹介)(第二三三    号) 四六 同(川端佳夫紹介)(第二三四号) 四七 同(小峯柳多君外一名紹介)(第二三五    号) 四八 同(永田節紹介)(第二三六号) 四九 旧大村海軍航空隊跡国立学校設置請願    (岡延右エ門紹介)(第一五〇号) 五〇 文化財保護法案改正に関する請願外一件    (淺香忠雄紹介)(第一五一号) 五一 暦法審議会設置請願、(眞鍋勝君外一名    紹介)(第一八〇号) 五二 国宝阿彌陀堂修理費国庫補助請願庄司    一郎紹介)(第二一四号) 五三 姫路城改修並びに保護施設実施請願(堀    川恭平紹介)(第二一五号) 五四 戰災私立学校国庫貸付金制度復活請願    (福田昌子紹介)(第二二二号) 五五 宮崎大学に法、文、経各学部設置請願(    川野芳滿君外四名紹介)(第二二三号) 五六 新制中学校建設費助成に関する請願(石原    圓吉紹介)(第二四五号) 五七 教育職員免許法の一部改正に関する請願(    圓谷光衞紹介)(第三六四号) 五八 新制中学校建設費助成に関する請願川野    芳滿紹介)(第三七六号) 五九 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願鈴木善幸紹介)(第四〇〇号) 六〇 同(首藤新八君外六名紹介)(第四〇一    号) 六一 同(吉川久衛紹介)(第四〇八号) 六二 同(吉田吉太郎紹介)(第四一一号) 六三 同(原健三郎紹介)(第四一二号) 六四 教育予算増額並びに定員定額制廃止に関す    る請願吉川久衛紹介)(第四一五号) 六五 同外一件(青柳一郎紹介)(第四一六    号) 六六 同外三十四件(受田新吉紹介)(第四一    七号)六七 同(田島ひで君外二名紹介)(第四一八    号) 六八 同(土倉宗明君外五名紹介)(第四八五    号) 六九 同外三件(鈴木善幸紹介)(第四八六    号) 七〇 同外三件(周東英雄紹介)(第四八七    号) 七一 同(佐藤榮作紹介事)(第四八八号) 七二 同(田中織之進君紹介)(第四八九号) 七三 同(長野長廣君外一名紹介)(第四九〇    号) 七四 同(高木松吉紹介)(第四九一号) 七五 同(首藤新八紹介)(第五五八号) 七六 同(寺島隆太郎紹介)(第五六一号) 七七 同(澁谷雄太郎紹介)(第五六二号) 七八 同(村上勇紹介)(第五六三号) 七九 同(水田三喜男紹介)(第五六四号) 八〇 同(山本猛夫紹介)(第五六五号) 八一 同外二件(青柳一郎紹介)(第五六六    号) 八二 同(吉武惠市君紹介)(第五六七号) 八三 同(田中堯平君外二名紹介)(第五六八    号) 八四 同(山崎猛君外九名紹介)(第五六九号) 八五 同外二件(青柳一郎紹介)(第六五九    号) 八六 同(今野武雄君外一名紹介)(第六六〇    号) 八七 同(渡部義通君外一名紹介)(第六六一    号) 八八 同(田中堯平君外一名紹介)(第六六二    号) 八九 同(玉井祐吉君外七名紹介)(第六八六    号) 九〇 同(菅家喜六紹介)(第六八七号) 九一 同外一件(渡部義通君外一名紹介)(第六    八八号) 九二 同外一件(今野武雄君外一名紹介)(第六    八九号) 九三 同(竹尾弌君紹介)(第七一四号) 九四 同外九件(金光義邦君外六名紹介)(第七    一五号) 九五 同(青柳一郎紹介)(第七二九号) 九六 同(風早八十二君外二名紹介)事(第七三    一号) 九七 同外一件(上村進君外二名紹介)(第七三    二号) 九八 同外一件(今野武雄君外一名紹介)(第七    三三号) 九九 同外一件(渡部義通君外一名紹介)(第七    三四号) 一〇〇 同(池田峯雄君外二名紹介)(第七三五号) 一〇一 同(加藤充紹介)(第七三六号) 一〇二 同(江崎一治君外二名紹介)(第七三七号) 一〇三 同(田代文久君外二名紹介)(第七三八号) 一〇四 同(伊藤憲一君外二名紹介)(第七三九号) 一〇五 同(井之口政雄君外二名紹介)(第七四〇号) 一〇六 同(河田賢治君外二名紹介)(第七四一号) 一〇七 同(砂間一良君外一名紹介)(第七四二号) 一〇八 同(聽濤克巳君外三名紹介)(第七四三号) 一〇九 同(田島ひで君外二名紹介)(第七四四号) 一一〇 同(志賀義雄君外二名紹介)(第七四五号) 一一一 同(林百郎君外三名紹介)(第七四六号) 一一二 同(米原昶紹介)(第七四八号) 一一三 同(西村英一紹介)(第七四九号) 一一四 同(平川篤雄紹介)(第七五〇号) 一一五 同(吉武惠市君紹介)(第七五一号) 一一六 同外十五件(坂本實紹介)(第七五二号) 一一七 同(竹尾弌君外一名紹介)(第七五三号) 一一八 同(澁谷雄太郎紹介)(第七八三号) 一一九 同(河原伊三郎紹介)(第七八四号) 一二〇 同(坂本泰良紹介)(第七八五号) 一二一 同(松尾トシ子紹介)(第七八六号) 一二二 伺(井出一太郎紹介)(第七八七号) 一二三 同(廣川弘禪君紹介)(第八六四号) 一二四 同外十三件(佐藤榮作紹介)(第八六    五号) 一二五 同(受田新吉紹介)(第八六六号) 一二六 同外三件(今野武雄君外一名紹介)(第    八六七号) 一二七 同外五件(渡部義通君外一名紹介)(第    八六八号) 一二八 同(米原昶君外一名紹介)(第八六九号) 一二九 同(井之口政雄君外二名紹介)(第八七〇号) 一三〇 同(伊藤憲一君外二名紹介)(第八七一号) 一三一 同(江崎一治君外二名紹介)(第八七二号) 一三二 同(加藤充君外二名紹介)(第八七三号) 一三三 同(横田甚太郎君外二名紹介)(第八七四号) 一三四 同外一件(若林義孝君外四名紹介)(第八七五号) 一三五 同(犬養健君外一名紹介)(第八七六号) 一三六 同(中原健次紹介)(第八七七号) 一三七 科学研究費増額請願長野長廣君外五    名紹介)(第四七四号) 一三八 新制中学校建設費助成に関する請願(江    崎真澄紹介)(第五一一号) 一三九 税制改革に伴う教育費の措置に関する請    願(鈴木善幸紹介)(第五四一号) 一四〇 阿伏兎観音大悲閣保存に関する請願(高    橋等君外一名紹介)(第六〇一号) 一四一 新制中学校建設費全額国庫負担請願(    山本猛夫紹介)(第六一八号) 一四二 実業教育費国庫補助復活請願長野長    廣君外一名紹介)(第六一九号) 一四三 東京大学農学部演習林荒廃地復旧に関    する請願江崎真澄紹介)(第六四九号) 一四四 国立大学夜間課程開設請願福井勇    君紹介)(第七四〇号) 一四五 国宝月輪寺薬師堂保存に関する請願(青    柳一郎君外一名紹介)(第七五九号) 一四六 神崎神社国宝指定並びに保存経費国    庫補助請願稻田直道紹介)(第八四    二号) 一四七 新制中学校建設費助成に関する請願(坪    内八郎君紹介)(第九一九号) 一四八 同(門脇勝太郎紹介)(第一一五五    号) 一四九 樋合島の新制中学生徒通学費国庫補助の    請願原田雪松紹介)(第九二五号) 一五〇 教育予算増額並びに定員定願制廃止に関    する講額上林與市郎紹介)(第九四八    号) 一五一 同(前田正男君外三名紹介)(第九四九    号) 一五二 同外二十五件(今野武雄君外一名紹介)    (第九五〇号) 一五三 同外三件(渡部義通紹介)(第九五一    号) 一五四 同外七件(柄澤登志子紹介)(第九五    二号) 一五五 同外一件(坂本實紹介)    (第九五三号) 一五六 同(池見茂隆紹介)(第九五四号) 一五七 同(河野謙三紹介)(第九五五号) 一五八 同(苅田アサノ君外二名紹介)(第一一    〇一号) 一五九 同(鈴木善幸紹介)(第一一〇二号) 一六〇 同(今村忠助紹介)(第一一〇三号) 一六一 同(今野武雄君外三名紹介)(第一一〇    四号) 一六二 同(大石ヨシエ紹介)(第二〇五号) 一六三 同(鈴木義男君外一名紹介)(第一一〇    六号) 一六四 大村市に国立学校設置請願岡延右エ    門君外一名紹介)(第九九三号) 一六五 嚴島大鳥居修理費国庫補助請願山本    久雄君外五名紹介)(第一〇〇七号) 一六六 奈良県に国立美術研究所設置請願(前    田正男君外三名紹介)(第一〇二五号) 一六七 育英資金予算事増額請願今野武雄君    外一名紹介)(第一〇七九号) 一六八 同(松本七郎君外二名紹介)(第一〇八    〇号) 一六九 比婆山の巨石遺跡を史跡に指定請願(    稻田直道紹介)(第一〇八三号) 一七〇 私立学校法案の撤回に関する請願(川崎    秀二君紹介)(第一一三六号)   陳情書  一 六・三制予算並びに教員定数に関する陳情    書外三百四十八件    (第一四号)  二 新制中学校舎建設許可申請に関する陳情    書(第    二一号)  三 六・三制完全実施のため国庫補助継続の陳    情書(    第三八号)  四 戰災私学復興に関する陳情書    (第七七号)  五 六・三制予算並びに教員定数に関する陳情    書外百六十九件    (第一一四    号)  六 姫路城修理促進等に関する陳情書    (第一七四号)  七 教員定員定額に関する陳情書    (第一八九号)  八 教育予算増額陳情書外七十一件    (第一九二号)  九 教員定員定額に関する陳情書    (第一九五号) 一〇 教育予算増額陳情書    (第二三〇号) 一一 六・三制完全実施のため全額国庫負担の陳    情書(第二三九号) 一二 文化財保護に対し国庫補助増額陳情書    (第二五九号)     ―――――――――――――
  2. 原彪

    原委員長 これより会議を開きます。  請願の審査に入ります。日程二六を、議題といたします。日程二六、育英制度化に関する請願原健三郎紹介紹介議員説明を求めます。
  3. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員がおられませんから私かわつてその要旨を申し上げます。  本請願要旨は、現下の育英制度は、著しく時代に即応していないために、資力の足りない家庭の秀才が、独立して勉強することができない状態にあるのは、はなはだ遺憾でございます。つきましては、旧来の弊習を破つて時代に即した制度に改善強化されたいというのであります。  この問題はもう本委員会でも何回も問題になつておりまして、事情はよく御承知通りでございますから、何とぞ本請願が採択されるよう希望いたします。
  4. 原彪

    原委員長 政府側意見を求めます。
  5. 竪月米太郎

    竪月説明員 現在の育英制度につきましては、大日本育英会を通じましてこれが施行に当つております。ところで現在の学生の七四%というものは、働かなければ学業継続できないという状態でありまして、これを救済するにつきましては、いろいろな施策があると存じます。それで第一にあげられる問題といたしましては、この奨学資金の問題であると考えているのでありまして、これらの学生を全部奨学資金において救済するということが理想でありまするが、国家予算関係で、で、きるだけこの奨学資金方法で御救済願いたいと存じているのであります。現在はパーセンテージから言いますと、新制高校におきましては二・二%、それから大学高專につきましては八・四%というような微々たる状態でありまするから、これを現在の情勢から判断いだしまして、私ら文部省といたしましては、少くとも新制高校生徒数の三%、それから大学高專は一五%、教員養成関係の分については一〇〇%、この程度育英資金をお認め願いたいと存じまして、これを大蔵省へ概算要求いたした次第であります。現在のように、学生の思想問題と相からみまして、学生生活状態というものが、現在の経済状態あるいは社会情勢からいたしまして、非常に学業継続に苦しんでいる生徒の質というものを分析してみますると、次の時代を背負う学生というものはどういう質であるかということになりますると、教育というものは御承知通り学校教育のみならず、社会教育、その基本となる家庭教育、この円満なる家庭教育を経た学生というものが一番質がよいのであります。その家庭教育の最もよい学生というものは、どういう階層にあるかということにつきましては、御承知通り俸給生活者あるいは中小商工業者、インテリというような家庭生活が、一番理想的な形態でありまして、この家庭生活を経た学生というものは、国家の将来をになうに足る質である。ところがこれらの学生というものは、現在戰後における経済的変動、あるいは社会的変革のために一番困つておる層であるという点におきましても、ここに育英資金増額というものが、非常に意義あるものであるという考えからいたしまして、三十五億の概算要求をいたした次第であります。そういうような見地から、学生の質というものを分析して、その層に該当する学生をどうしても救済しなければならない現況に即しまして、少くとも新制高校は三%、大学高專は一五%、それから教員養成関係のものはまた別の方式におきまして、次の時代をになう一般小国民の師表となるべき教員養成にあたりましては——特にこれらの職に甘んじてなるという方々は、先ほど申しました層に当る人でありまして、この分については一〇〇%の育英資金増額をお認め願いたいという見地から、三十五億という予算を要求いたしておりまするから、何とぞその趣旨を御了承願いまして、予算の御承認を得たいと考えておる次第であります。     —————————————
  6. 原彪

    原委員長 次に日程第二七及び五四を一括議題といたします。戰災私立学校復興援助に関する請願江崎真澄紹介紹介議員説明を求めます。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 紹介議員にかわりまして、本請願要旨説明いたします。  政府戰災私立学校に対し、昭和二十一年から五箇年継続事業として国庫補助の方途を講じておりましたが、本年度に至り突然貸付金を中止することになつたため、現在進捗中の復興計画の中止はやむなきに至りました。ついては、何らかの方法をもつて私立学校復興援助されたいというのであります。何とぞ本請願要旨に御賛成くださいまして御採択願いたいのであります。
  8. 原彪

    原委員長 政府側意見を求めます。
  9. 福田繁

    福田説明員 戰災にかかりました私立学校復興につきましては、従来文部省におきましても、できるだけの援助をいたしたいという考えで進んでおつたのであります。本年度は、不幸にして貸付金が当初予算で落されましたので、このために中途で建築を中止しなければならないというような学校も、かなりあつたと思います。その点は非常にお気の毒なことをいたしたわけでありますが、幸いに、額は十分とは申せませんが、本年度補正予算におきまして、一億二千四百万円程度計上いたされております。来年度の見込みといたしましては、約二億七千万円程度の予定を一応立てておりますので、そういつた貸付金によつて、今後、戰災を受けました私立学校復興をはかつて行きたいと考えております。     —————————————
  10. 原彪

    原委員長 日程第二八、習字教育振興に関する請願有田二郎紹介紹介議員説明を求めます。
  11. 水谷昇

    水谷(昇)委員 本請願者は、奈良奈良博物館内の田中英市外三十名であります。紹介議員有田二郎君でありますが、ただいまお見えになりませんので、私がかわつて請願要旨を御説明申し上げます。  新教育制度実施とともに、小学校毛筆習字を課することができなくなりましたが、毛筆習字は児童の心身の発達並びに精神修養に役立ち、また東洋文字の書写は、やがて芸術への基礎ともなるもので、その価値は多大でありますから、土地の状況あるいは父兄、兒童希望によつては、自由に毛筆習字を課することができるよう、すみやかに現制度改正されたいというのであります。  なお最近文部省におきまして、毛筆習字についていろいろ調査をしたのでありますが、その調査の結果を、一部つけ加えて申し上げてみたいと思います。毛筆習字学習に対する小学兒童希望でありますが、これによりますと、ぜひ習いたいというのが五三・七%、習いたいと思わないというのが六・九%、どちらでもよいというのが三九%、大体小学校兒童希望はそういう成績です。  それから毛筆習字学習に対する中学校生徒希望は、習いたいというものが六〇・四%、習いたくないというものが六・七%、どちらでもよいというのが三〇・九%、こういう成績であります。  次に毛筆習字に対する中学校生徒の感想は、習つてよかつたというものが八九%、習わなくてもよかつたというのが二・一%、どちらがいいかわからないというのが六・八%、こういう成績であります。そのほかに詳しい調査があるのでありますが、いずれも小学校習字を課する方がいいというのが、非常に多いのであります。こういう意味合いから言つても、この請願趣旨はまことにけつこうだと思いますから、よろしく御審議願つて、御賛成を願いたいと思います。
  12. 原彪

    原委員長 政府側の所見を求めます。
  13. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいまの習字をそうした課目の中に取入れろとおつしやる趣旨は、文部省も賛成いたしておりまして、その方向に取進めておるわけでありますが、それを正式に入れます手続の上に、多少時間を要している次第でありまして、速急にそうした形がとれるように、ただいま進めておることを御了承願います。     —————————————
  14. 原彪

    原委員長 次に日程一六四、文書表第九九三号、大村市に国立学校設置請願岡延右エ門紹介議題とし、紹介議員説明を求めます。
  15. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 大村海軍航空隊跡は、敷地実に十数万坪、コンクリートの建物一万余坪という厖大なるものでございます。そこには百メートルプール、あるいは五十メートルプールがあるというようなわけでありまして、学校としては、建物及び敷地、あるいはその環境等、まつたく理想的のものがあるのであります。すでにその建物の一部は、師範学校が使用しておつたような次第でありますが、現在その必要もなくなりましたので、その校舎及び敷地を利用いたしまして、文部省におきましても、国立大学としては最初の短期大学をそこにつくるというので、たしか大村短期大学という名称のもとに、電波学科遠洋漁業科二つ学科を持つところの短期大学をつくりたい、こういう希望のもとに昭和二十五年度予算として三千数百万円を要求したかのように伺つておりますが、それは二十五年度予算からは削除されたようでありますけれども、今後その方針をどこまでも貰いて行く御意向であるかどうか。請願者の立場からは、ぜひそうしていただきたいのでありますが、文部省の御意向を伺いたいと思います。
  16. 原彪

    原委員長 なお日程四九、文書表第一五〇号も同一趣旨でありまするので、一括いたします。政府側意見を求めます。
  17. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 ただいまの大村海軍航空隊跡の問題でございますが、これは文部省も直接よく調査いたしまして、非常にりつぱな施設でございますので、何とかして教育的に利用したいと考えまして、今お話のございましたように、二十五年度において、二つの科を持つ短期大学の案を、一応予算要求として出したわけでございますが、新しい事業を二十五年度において始めることは、非常に困難でありましたことと、もう一つは短期大学としての性格なり、あり方につきまして、なお十分研究をしなければならぬ点がございましたので、二十五年度といたしましては、一応断念いたしたのでございますが、この施設を何とかして教育に利用したいという希望は強く持つておりますので、これを十分考慮いたしまして、将来できるだけ実現に努めて行きたいと考えております。
  18. 若林義孝

    若林委員 私今年度の国政調査のときに、ただいま問題になつております予定地の視察をするの機会を得たのであります。請願趣旨に述べられておりますことと同様のお考えを、文部当局もお持ちになつておられると察知いたすのであります。他にこの種の施設を持つところのものも多々あるかと思いますけれども、私の経験の範囲内におきましては、ここに力を注ぎますならば、地理的に考えましても、四囲の事情、環境等を勘案いたしましても、模範的な優秀な学校ができ上るのではないかと思うのであります。なおその土地の地方民事の熱意も、きわめて切なるものがありまして、文部省の誠意と土地の人たちの熱意とによりまして、十分成果があがるものと思いますので、一日も早く実現するよう格段の御協力を賜わらんことを、この件に関し、現地を視察した者として申し上げる次第であります。     —————————————
  19. 原彪

    原委員長 日程第二九、安城高等学校区変更に関する請願中野四郎紹介文書表第九六号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  20. 圓谷光衞

    圓谷委員 紹介議員中野四郎君にかわつて請願趣旨を申し上げます。  本請願要旨は、不当な運動により愛知県碧海郡矢作町南部は、学区を岡崎高等学校に編入されたため、矢作町南部の通学者は、二里の道程を歩行せねばならず、その上矢作川及び急坂の障害があつて、通学にきわめて不便である。ついては、矢作川南部を安城高等学校区に変更されたいというのであります。
  21. 原彪

    原委員長 これに対する政府側意見を求めます。
  22. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 この学区の問題は、教育委員会がきめる問題でございますので、この請願趣旨につきましては、委員会の方に十分お伝えいたしたいと思います。     —————————————
  23. 原彪

    原委員長 次に日程第三〇でありますが、これは日程一三七と同一趣旨でありますので、一括議題といたします。科学研究費増額請願、小金義照紹介文書表第九九号。紹介議員説明を求めます。
  24. 今野武雄

    今野委員 紹介議員がおりませんので、かわつて説明申し上、げます。  本請願要旨は、文化国家を建設するには、わが国にふさわしい科学と技術の発達に努力しなければならない。そして自然科学系統の科学技術の研究にあつては、そのある專門の研究が一旦中止の止むなきに立ち至るようなことがあれば、專門科学技術者と特殊技能者の離散、文献資料及び施設の分散破損等によつて、その專門研究が根絶に近い状態となり、緊要な研究の上に重大な支障を来すことになる。しかるに昭和二十五年度十四億余円の研究経費は、なお不十分であるのに、これを削減すると聞くが、これでは、專門科学者の特定研究の遂行に重大なる支障を生ずることは必至であるから、前記の研究費予算額を確保されたいと、こういう趣旨でございます。  この同じ趣旨の問題につきましては、本委員会にも苫米地義三君外二名の決議案が現在上程されており、また参議院においても決議案が本会議に上程されるというようなことになつております。重要性については多言を要しないと思うのでありまするが、何とぞこの趣旨を貫徹できるようにお願い申し上げます。
  25. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 科学研究費増額の必要につきましては、文部省といたしましても、非常にその重要性を感じまして、あらゆる努力を拂つて来たのでございますが、現在のところ、いまだ残念ながら十分なる予算の計上を見るに至つていない状態でございます。しかしこれに対しましては、ただいまも申されましたように、あらゆる方面の強い御支持を得まして、この予算増額に今後とも万全の努力を盡して参りたいと思いますので、この点につきましても、国会方面その他一般のできるだけの御支持をお願い申し上げたいと思います。
  26. 水谷昇

    水谷(昇)委員 ただいま御答弁をいただいたのでありますが、この科学研究費につきましては、今回湯川氏がノーベル賞をいただいたというような、わが国にとつても特別うれしいニユースでありますが、こういう機会に、湯川氏を表彰する、あるいは湯川氏にどうするとかいうような問題が起つておるのであります。これは湯川氏が過去十年ばかり前の研究を、今日認められて表彰されたものである。これから先さらに湯川氏に続くような科学者をどんどん出したいと思いますが、それにはどうしても研究費を増額いたしまして、科学者を援助するということが最も大切だと思います。この機会に特に強調していただいて、増額に格別の御考慮を願いたいということを希望いたします。政府側の御意見を伺えればけつこうです。
  27. 剱木亨弘

    ○剱木政府委員 湯川博士がノーベル賞をいただきましたことは、非常に国民全般の喜びでございまして、これを契機といたしまして、日本の科学研究を盛んにし、湯川博士に続く者をぜひ養成したいというふうに考えるのでございます。たまたま予算の査定の時期におきましては——その時期が、実はその後にノーベル賞のことがわかつたのでありまして、その意味を予算に盛ることができなかつたのは非常に残念でございますが、今お言葉がありましたように、これを機会にいたしまして、なおできるだけの努力をいたして参りたいと考えております。なお湯川博士を記念いたしまして、直接的にはこのものを記念するような事業を、できるだけ最近の機会につくりたいと、今研究中でございます。     —————————————
  28. 原彪

    原委員長 次に日程第五〇、文化財保護法案改正に関する請願外一件、淺香忠雄紹介文書表第一五一号。紹介議員説明を求めます。
  29. 水谷昇

    水谷(昇)委員 紹介議員が御出席になつておりませんから、私から本請願要旨を御説明申し上、げます。  第五国会に参議院から提出された文化財保護法案について、次の通り改正されたい。この参議院から提出された文化財保護法案は、今回はこれが衆議院と連合いたしまして法案がかわつておるのでありますが、この請願要旨をそのままここに申し述べます。  (一)無形文化財保護に関しては有形文化財と同一機構内で取扱うことはむりがあるから、別法を設けること (二)文化財の維持、事修理に対する補助金交付等に対しては、專門審議会の決定をまつて執行し、この專門審議会に対し、諮問すべき事項を本法案に明定すること  (三)国立博物館に対すると同様に、地方博物館の活動を助成すること  (四)国宝その他重要文化財に対しては、個人所有権がある限度国家的拘束を受けるが、同時に国家の補償として免税が考慮されるべきであること、こういうふうに希望をしておるのでありますが、今度提案になるはずの文化財保護法案では、大体この要旨が実現できそうであります。ある部面においてはこの要望が盛られていない点もあるようでありますが、とにかく本請願要旨は以上の通りでありますから、よろしく御審議を願いたいと思います。
  30. 原彪

    原委員長 政府側意見の必要を認めないと思います。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕     —————————————
  31. 原彪

    原委員長 速記を始めてください。  請願はこの程度とし、私立学校法案議題といたします。  討論に入る前に一言申し上げます。水谷昇君より修正案が提出されております。修正案の説明を求めます。水谷昇君。
  32. 水谷昇

    水谷(昇)委員 私学校案の修正案について説明申し上げます。  原案の第二條でありますが、「私立学校に関する教育行政及び学校法人については、法律に別段の定がある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」こういう條文でありますが、このうちの「法律に別段の定がある場合を除くほか」という点が、後段の五條と第七條に関係がありまして、ここに非常な疑義があります。よつてこの二條を削除して明確にいたしたいと思うのであります。  従つて第三條を第二條とし、同條第四項を削り、この四項を第三條といたしまして、この一條を加えることにしたのであります。  従つて第五條をはつきりさせるために、次のように修正したいと思うのであります。すなわち第五條は、「所轄庁は、私立学校について学校教育法第四條及び第十三條の規定にかかわらず、左の各号に掲げる権限を有する。  それに伴いまして、同條に第二項といたしまして次の一項を加える。すなわち「学校教事育法第十四條は、私立学校に適用しない。」かようにはつきりさせるのであります。  その他の修正案は、以上修正いたしました関係上、條文をそれに適応するように書き改めることにあるのであります。  以上簡單に説明をした次第であります。
  33. 原彪

    原委員長 ただいまの修正案に質問があるそうですから、これを許します。松本君。
  34. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの提案者の説明に対して、一点だけ、伺うというか、確認しておきます。第二條の削除ですが、「法律に別段の定がある場合を除くほか、」というのが問題になつて、これを削除することには何ら異存はございません。ただ私の考えでは、二條を削除しても、私立学校に関する教育行政事及び学校法人については、この法律で定めるところで規定されるということは、当然のことだと思うのです。全部削除すると、あるいは別の法律でやられるおそれがあるというような心配をされておる向きがあるやに聞いておりますので、全部を削除しても、私学の教育行政及び学校法人については、この法律以外のものではやらない。大学関係のもの云々は別のことですが、この法律を有名無実なものにするようなことは決してないという点を、ひとつ確認していただきたい。
  35. 水谷昇

    水谷(昇)委員 そういう心配はないと存じております。
  36. 原彪

    原委員長 修正案と原案の両案をあわせて、これより討論に入ります。民主自由党高木君。
  37. 高木章

    高木(章)委員 私は民主自由党を代表いたしまして、私立学校法案の修正案並びに修正案を除く原案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  戰後におけるわが国の諸改革のうち、特に教育制度の改革は、実に画期的なものがあつたのでありまするが、ひとり私立学校のみは、ややもすると等閑に付せられていたかの感が深かつたのであります。戰災その他一般国内の経済上の事由等によりまして、わが国の私学のほとんど大部分がその復興はもちろんのこと、教育内容の充実すらも、困難な実情にあつたのでありまするが、ともすると、それに対する施策が忘れられがちであつたことは、われわれも深く遺憾といたしていたところであります。  一昨年八月、日本に訪れましたアメリカの学術顧問団による報告書の中に、日本の私立大学は、自由主義的及び民主主義的理想の指導的提議者であり、また個々の自発性と判断とを反復して説いて来たものであつたし、また現在もそうであるとの印象を受けたのであります。また平和を愛好する国家になるものであるならば、日本は私立大学の発達のおかげをこうむるであろう、と申し述べてありましたことを思い起しまして、さらに一層その感を深くするものであります。  かような観点から申しまして、今回の私立学校法案を見まするに、そもそも私立学校法は、学校教育法に準拠せる特別法であるべきはずでありますのに、本法案の第一章第二條によりますと、その特別法としての性格を失わしめているものでありまして、従つて私立学校の法的基礎を極度に薄弱ならしめるものと考えられまするので、この第二條を削除することに修正いたしましたことは、まことに同感であります。  次に第二章におきまして、私立学校の自主性並びに特殊性を重んじ、所轄庁の監督事項の処理の際には、主として私立学校または私立大学の代表者によつて構成される審議会の意見を聞かねばならぬこととし、同時にまた審議会は、都道府県知事または文部大臣の諮問機関としておる点は、まことに妥当な措置と考えるものであります。  さらに第三章におきましては、私立学校を設置する法人を、学校法人という特別法人として、従来の財団法人に関する財産処理規定とは別にし、なお学校経営の財的基礎を強化する意味で、収益事業を行うことを認めてありますこと、さらに学校法人に対する免税の範囲を拡大したことにつきましては、われわれも最も同感するところであります。  次に憲法第八十九條との関連で、私立学校に対する補助、助成の成否が問題となつておつたのでありまするが、本法案によりまして、公の支配に属するとの意味が付與されまして、その問題は一応解決されたのでありまして、この点につきましては、さきに参考人として意見を述べられました私学団体総連合会代表、早稻田大学法学部長大濱氏も、憲法第八十九條との関係上、補助、助成の法的基礎を與えたと言われておるのであります。同じく全国大学教授連合代表片山教授は、その点について、憲法第八十九條との関連で、補助、助成を條件として監督を強化する理由としてはならぬと申し述べておられるのであります。私もまつたく同感でありますが、本法案は学校教育に準拠する以外は、別に特に監督強化と思われるところもないと認めまして、ここにこの修正案並びに修正案を除く原案に、私は賛成の意を述べた次第でありますが、特に私立大学につきましては、学術研究の機関として、他の学校と異なる特殊の使命を持つているごと、また大学の所轄庁は文部大臣、その他の学校は地方庁であること、また審議会についても、大学とその他の学校とは、この私立学校法においても別々に規定されておる点等から考察いたしまして、各種学校や幼稚園と同一の法律で規定されることは妥当でないと思うのであります。  なお私立大学の審議会の構成、及び構成の方法について、各大学の意思及び各大学教授の意思が反映するように措置されたいのでありますから、左の附蔕條件を強く要望いたします。近い将来に、私立大学については、その大学の本質にかんがみて、別途の法制的措置を講ずるよう考究されたい。  以上をもちまして私の賛成討論を終ります。
  38. 原彪

    原委員長 共産党今野武雄君。
  39. 今野武雄

    今野委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案の修正の箇所については、別に異議はないのでありますが、残りの部分に対して、反対の意向を表明しようとするものであります。  まず第一に、私は私立学校というものが、戰前戰後を通じて日本の教育界において非常に大きな功績を残して来たという点は、いくら強調しても足りないものだということを申し上げたいと思うのであります。ことに大学教育などにおいては、国立大学をもつてしては非常に不十分であり、私立大学というものはなくてはならないものであるということ、特にこの多くの私立大学が、その特色を十分に生かして、教育の将来に非常に大きな影響を與えるだろうということについては、大いに期待を持つものであります。それからまた成城とか成績とか、その他幾多の実験学校において、教育の技術が研究され、そして、ともすれば官僚の支配のもとに縮こまろうとする日本の教育に、生き生きとした発展の芽を植えつけて来たということに対しても、その評価を決して小さく見るものではありません。しかもそういうような私立学校が、戰後において非常に経営が困難になり、戰災復興などもできないということに対しては、何とかしてこれを救う処置を国家において講じなければならないということをずつと考えており、そのために補助または貸付、寄付金の免税ということに対しては、われわれも私立学校の経営者諸君と一緒になつて、今後ともに政府に対して強い要望をすることはもちろんであります。従つてこの法案を涌して、一日も早くそういうような便宜が得られるようにしたいという、そういう私学側のお気持は、十分私たちにもわかるのでありますが、それにもかかわらずこの法案に反対するということは、共産党の立場としては非常につらいものであります。しかしながら、私学のそういう困難な状態を救うために補助または貸付をするということを條件にして、公の支配下に私学を置くということは、先日の我妻教授の参考意見にもありましたように、私立学校そのものの意義と矛盾するのでありまして、現在はともかく、将来において大きな禍根を残すものである、こういうふうに考えるものであります。  公共性ということは、もちろん重事であります。私学が今までにおいて公共性を十分に持つて来たということ、これは先ほども申し述べたことによつて明らかであります。しかしながら、この公共性というものの一番大きな目途は一体どこにあるか、これは学術の発展、文化の発展に寄與することによつて、国民の福祉を増す、そういうことに資するということが一番大きな公共性である。そういうふうに考えるわけでありまして、この公共性を高めるということは、そのように考えられなければならないのであります。しかるに、この法案を見まするに、その監督庁という言葉は所轄庁という言葉に、なるほど改められておる。それから私学審議会または私立大学審議会というようなものも設けられておりますけれども、そういうものは、やはりみな官僚の支配のもとに握られておるわけでございます。公共性というものがイコール官僚の支配ということには決してならないと私は考えるものであります。特にこの点について、文部大臣や文部省政府委員に、いろいろとお伺いしたのでありますが、いずれも満足な回答が得られなかつたのであります。そうして、ことに文部大臣は、いろいろな点において、戰後日本の民主化その他のことが急激に行われないということを了承しながら、あの戰前において一番祕密主義であつた、そうして軍部に奉仕するのに一生懸命であつたあの文部官僚が、戰後において急に民主化したかのごとき言辞を弄しておるのでありますが、これはまつたく私の理解することのできない点であります。そういうような現在の官僚政治の状態において、こういう法案が通されるときには、結局において私学というものが縮こまることに、つまり取締りを受けるような方向にこれが働くということが憂えられるのでありまして、その一点をもつてして、私どもはこの法案に反対せざるを得ないのであります。  私どもをもつてすれば、この私学の能率を高め、そうして国民の福祉を増進させる方向にこれを運営させるということは、一体どういうふうにしてできるか、これは一にもつて学園の民主化、そういうような方法によつてできると考えるのであります。もちろん、それに対して国家が惜しみなく援助を與えることが必要であります。すべての点において、日本の教育制度というものは、アメリカをまねることが多いのでありまするが、アメリカの私立大学その他における学校の運営の状態を見ても、たとえば、教授などがその中でいかに大きな働きをしておるか、たとえば、日本では学生が非常に生活に困難しておる、そのために学園の外に出て、アルバイトをしなければならない、そのために学校に出ることができないというような状況は、たくさんあるのでありまするが、あちらの学校では、学校によつていろいろでありまするが、学園内において学生が十分に事務をとり、あるいは働き得るような組織もできておる。そういうような、学生自身が学園を守り立てるというような、しかもその中から生活の資料を得て勉学できるというような方法が、アメリカにおいてさえも講じられておるのであります。日本においては、学生の生活というものが非常に困難になつておる今日、そういうような方法で、学生意見や、あるいは教授の意見を生かすことによつて、もつともつとこの経営をゆたかにして行くことができる。それを国家が十分に援助する、こういうことが一番必要であると考えるのであります。そういう意味で、この法案に対しては、それと正反対の動きを行くものである、こういう点から、私どもは反対せざるを得ないのであります。  なお、このたび決定されました補助額にいたしましても、わずかに一億二千四百万円ばかり、これではどうにもならぬと思うのであります。現在のあの授業料不拂いの多いこと、そうして学生側からすれば、国立大学に比して非常に高い授業料であるために、とてもやつて行けない、こういうような事情をとうてい救うことはできないのであります。教授の給料にいたしましてもそうであります、現在のようではとても生活すらできない。いわんや研究にいそしむということはできないのであります。こういう点において、もつともつとこの予算は出さなければいけない、そのための貸付金その他の措置も急速に講ずる必要がある。それをこういう公の支配のもとに置くという官僚的方法によつて、その言いわけをつけるというやり方に対しては、絶対反対せざるを得ない。  これが私どもの反対の要旨であります。
  40. 原彪

    原委員長 社会党、松本七郎君。
  41. 松本七郎

    松本(七)委員 私たちは、日本社会党を代表いたしまして、二、三の要望を付して、本法原案並びに修正案に賛成するものであります。  私立学校の重要性については、ここで多くを申し上げるまでもありません。国会におきましても、私学の振興に関する決議案が出まして、これが振興を促進すべきであるという意思を表明しておるのであります。特に戰災学校の復旧は、緊急を要すべきものでありますから、政府でも従来いろいろ御苦心されて来ておるわけであります。しかし今回出て参りました私立学校法案の立案過程を顧みてみますると、この点で一つ要望をしておきたいのであります。  政府は、文部大臣の御説明にもありましたように、一年有余にわたつて私学団体総連合と愼重な御協議を遂げられたのであります。その間の双方の御苦心はよく察せられるのですが、そうしてできて来た文部省の案が、閣議まで通つておきながら、再び私学団体総連合から十箇條の修正要求が出て来るというような始末になつておる。しかも今度できて参りました案についても、大学教授の一部あるいは学生から強い反対の意見が現われておる。こういうことを今後防ぐためには、やはり法案を立案される過程において、もつと広範囲に世論に聞くという誠意を示していただきたい、この点を要望したいのであります。  また私学の復興に関しては、常に憲法八十九條との関係が問題になつておりまして、私学をどうしても早く復興しなければならぬというので、さきに教育金庫法というのを、全議員が一致してこれを立案し制定しようといたしましたが、私どもの聞き及んで知る範囲では、憲法八十九條の解釈が問題になりまして、とうとうこの教育金庫法は提出の運びに至らなかつたわけであります。しかし文部大臣の先般の御説明によりますと、この問題は必ずしも憲法の解釈問題とは関係ないもので、むしろ財政上の理由からこの実現が不可能であるということを申されておるのであります。はたしてしかりといたしますならば、この私学の特性と重要性にかんがみまして、どうしても私学の自主性をもつと高めて行く。そうしてできるだけ官僚による監督を排除して行かなければなりません。そうやりながら何とか財的な援助を国がやつて行くというような方法が一番いいのではないか、この道が、文部大臣の考えでは憲法解釈と関係がないということになれば、今後大いに希望が持てると思います。そこで、できるならばそういう状態を早く実現できますように、金庫法というようなものができたあかつきには、この法律も必要がなくなり、そうして自主性をもつと広範囲に確保して行くというような方法を、今後促進していただきたいと思うのであります。  第三には、原文において示されておりますように、私立学校に関する教育行政と学校法人についての規定になつておりますが、文部大臣が言われたように、教育行政の面から考えれば、もつと法案にある審議会の性格がかわつたものであり得ると思う。私どもの考えでは、この審議会は單なる諮問機関でなしに、できるならば、もつと強い決議機関の方向に持つて行きたいという希望を持つておるのであります。特に大学に関しては、ぜひそういうものにしたい。大臣の答弁にも、教育行政の面から見れば、そういつた性格でやれるのだという御答弁もあつたくらいでありますから、どうか本法の運営にあたりましては、この審議会が教育行政上決議機関的な性格を持つたような運営にしていただきたい。この点を要望いたしますと同時に、先ほど高木委員からも御要望がありましたように、できるだけ早い機会に大学をこれから除いて別に立法していただきたいと思うのであります。  以上の点を私どもは強く要望するのでありますが、何しろ私学関係者は現在この私学校が通過することを非常に熱望しております。なるほど国の予算からいえば、先ほど今野委員も言われましたように、本年度はわずか一億二千四百万円足らずである。しかし、これが出れば、すでに地方でも出す用意をして、この法案の通過を待機しているという状態であります。それにしても、この貸付金というものは、決して十分なものではない、まだ足りませんが、何しろ何とかして復興を急がなければ、結局私学は滅亡してしまう危險にさらされているのでありますから、そういう緊急を要する点からも、私どもは本法原案並びに修正案に賛成するものであります。
  42. 原彪

    原委員長 民主党第九控室稻葉修君。
  43. 稻葉修

    ○稻葉委員 私は民主党野党派を代表いたしまして、私立学校法案に対する修正案並びに修正案を除く原案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  かつて東條内閣時代、私立大学の統合ということが行われた際、そうして当時文部省が陸軍省文部局というようなことをいわれておつた際に、私どもは私立大学関係者を組合いたしまして、大学統合に対して敢然として反対し、その私学に対する圧迫を排除いたした次第であります。そういう思想的な流れを持つているのであります。そうして第五特別国会に国立学校設置法が出ました際に、国立学校私立学校とは車の両輪のごときものであるから、当然国立学校の準拠法ができる際には、私立学校に対しましても、同時に制定してもらいたいという要望があつた次第であります。けれども、当時はあたかもシヤウプ使節が参つておりまして、税制の改革について研究中でありましたので、私学の財政的な基礎を確立するための免税の点について間に合わないという理由から、今日まで私立学校法の国会上程が遅延されておつたわけであります。しかるところ、私立学校関係者並びに文部当局の熱心な御協議の結果、遂に本国会に私立学校法が提案されたということは、まことに喜ばしい次第であります。  法案の内容につきましては、二、三異議がありますけれども、去る委員会におきまして私立学校関係者等の参考人を呼びました際に、世論のおもむくところは、すでに皆様方も御承知通り決定しておりますし、この際、民主自由党の御討論の中にも、将来私立大学につきましては、別個な私立大学校とも称すべき法律を制定いたしまして、私立大学に関する本法内の該当規定を、すべて本法から除くという附蔕條件もつけられていることでありますし、次第に私どもの希望するような方向に本法が制定される機運が強いのでありまして、はなはだ喜びにたえない次第であります。  ただいま松本委員から二、三要望がありました点は、まつたく私ども同感でございまして、この点につきましては、もちろん運営に誤りはないとは思いますけれども、大学審議会の答申等につき十分の尊重をされることは、去る日の文部大臣の御答弁にもありましたが、私はこの点について一つの要望をいたしておきたいのであります。それは諮問の答申に対して反対の決定もすることが、法の建前としてはでき得る状態になつているということ、それが文部省と私立大学あるいは私立学校との間において、常に争いの種になりはしないかという点を憂えるものであります。運用上そういう彈力性を持たせておくということは、警察法とか、そういう事緊急を要する場合の発生を予想せられる法律におきましては必要やむを得ぬことでありますけれども、法治国家におきまして、ことに学校行政等におきましては、行政の敏速なる措置を特に必要とするような事態は、ほとんどないのでありますから、行政に彈力性を持たせるということは、なるべくこれを愼みまして、法律でもつてぎつちりと確定しておくことが必要ではないかと思うのであります。  またこの法案の一つの疑義としては、私立学校を設置する法人について、特別法人とするということになつておりますが、この特別法人ということは、主として私立学校の財政的基礎を固めるために、営利事業を営むことができるという点で、普通の財団法人と異なる特殊性を持たせるという必要から生じたものと思いますが、このために学校法人の法律的性格があいまいになりますし、またこれが公の性質を有し、公の支配に属するということが、この法律によると確定することになりますので、そうなりますと、私立学校法人が公法人であるのか私法人であるのかという点も、法的に疑問を生ずるような結果になるわけであります。その点につきまして、質疑に対する文部大臣の回答も、いまだはつきりいたしておらないといううらみはありますけれども、私は前にも申し上げましたような、私立学校の戰後における窮状をとりあえすまず打開しなければならない、救済しなければならないという意味において、私立学校関係者並びに文部当局がなされた努力に対して敬意を表し、わが党といたしましては、先ほど申し上げましたような二、三の希望條件をつけまして、本法律案の修正案並びに修正案を除く原案に対して賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
  44. 原彪

    原委員長 新政治協議会小林信一君。
  45. 小林信一

    ○小林(信)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、修正案並びに修正案を除く原案に対して賛成するものであります。  教育委員会法が設定されましたと同時に、私立学校に対するところの法的な、教育委員会と同様なものが、私立学校に対してもなされなければならないことは、当然であるのでありますが、それが今日まで遅れておつたということは非常に教育上重大であります。政府といたしましても教育行政の確立のために、いろいろと苦心されたことは確信いたしますが、しかし政府の要望よりも一般のこれに対する関心が非常に重大でありまして、教育そのものが持つ文化国家に対するところの責任からいたしましても、早く法的措置がなされなければならない。さらに私立学校の特性といたしまして、戰災後の経営の困難な状況からいたしましても、一日も早くこの法の設定を期待しておつたのでありますが、今日ここにいよいよその実現がなされるに至りまして、非常に喜びにたえないものであります。  われわれ新政治協議会におきましては、この私立学校法の設定に対して、三つの問題を持つておつたのであります。一つは、教育そのものの持つております民主主義確立が大きな問題でありますが、私立学校法におきましても、この点が十分発揮できるような内容を持つておらなければならない。もう一つは、私立学校の独特な性格を生かすことがこの法の大事な点である。もう一つは、戰災等によりまして、いまだ復旧しておらない現状と、私立学校の現在の経済情勢におきまして、予想されるところの将来の経営者側におきまする困難な問題、ここに勉強いたします生徒の問題、こういうものがこの法によつて希望がもたらされなければならない、こういう三つの問題をもつて本法案に対しましては検討いたしたのでありますが、この三点におきまして、いささか意見があるのでありますが、先ほど申し上げましたような非常に遅れておることと、そうして私立学校の実態等から考えまして、一日も早くこれは通すべきであるという点からしまして、一つの希望を申し上げて賛成するものであります。  第一番の問題におきましては、特に本法に対して期待するところはありませんが、第二の問題におきまして、私立学校の自主性をどこまでも確立して行かなければならない。本法案を通しまして、いささかそういうところに遺憾な点があるのでありますが、今後何らかの処置によりまして、これが善処を要望するのであります。具体的に申しますと、審議会の構成等におきまして、もつと民主的にこれが運営されるように期待するのであります。さらに審議会の権限におきましても、これがもつと拡大されて、所轄庁の権限というようなものはますますこれを少くして行つてほしい。  さらに第三の問題でありますが、これは私たちといたしましては、これに示してありますところの公の支配に属するという見解であります。この公の支配がいわゆる憲法八十九條の方から将来考慮されまして、先ほどからもいろいろな御意見がありましたように、官僚統制というようなことに効果がもたらされるならば、いよいよ私立学校の特殊性は失われるのでありまして、この点文部大臣の御答弁の中にありました大きな意味の公の支配である、これをあくまでも本法案は内容として確立させて行かなければならない。これらに対しましては、非常な疑念を持つのでありますが、先ほども申しましたように、私立学校の現状からしてやむを得ないものと考えております。  最後の問題でありますが、この法案が、上は私立大学の広大な、しかも複雑な組織を持つものから、下は幼稚園のようなきわめて規模の小さい、しかも單純な組織によつて構成されるものまで、一つの規定によつてなされることは、その実施におきまして、非常な矛盾を生むものと予想されるのであります。文部大臣からの御答弁がありまして、将来これは何とか善処するというようなお話があつたのでありますが、ぜひともこれは前に希望されました各党の意見と同様、すみやかに善処していただきたい。それは私立大学の特殊的な扱いだけでなく、それ以下のものがこの法によつて設定されるときには、この法はすでに私立学校、下は幼稚園を含めておりますので、私立大学の法的な措置がなされるときには、それ以下のものにさらに適切なる措置がなされるよう、その方をさらに改善していただきたい、こういうことをお願いいたしまして、本法案に賛成するものであります。
  46. 原彪

    原委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。水谷昇君提出の修正案について採決いたします。賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  47. 原彪

    原委員長 起立総員。よつて水谷昇君提出の修正案は可決せられました。(拍手)  ただいま可決せられました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。御賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  48. 原彪

    原委員長 起立多数。よつて原案は修正議決せられました。(拍手)  なお報告及び報告書の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 原彪

    原委員長 それではさよう決定いたしました。  この際文部大臣より発言を求められております。これを許します。
  50. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいま私立学校法案につきまして、修正の上議決せられましたことは、私立学校のために寄與するところ少くないと考えまして、はなはだ仕合せに存じております。政府といたしましては、修正せられました箇所については、何ら異存はございません。  なお議決についていろいろ御要望がありましたが、それらの御要望につきましては、政府は愼重に考慮いたすことにいたします。特にその中で、私立大学については、特別な措置をする必要があるという強い御要望が各方面にありますので、この点につきましては、ことに愼重な研究をいたしまして、善処いたしたいと考えております。(拍手)
  51. 原彪

    原委員長 それではこれにて暫時休憩いたしまして、午後二時より再開いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 原彪

    原委員長 それでは暫時休憩いたします。    午後零令時五十三分休憩      ————◇—————     午後五時五分開議
  53. 原彪

    原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本日はこの程度にて散会したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 原彪

    原委員長 御異議なしと認めます。  それではこれにて散会いたします。     午後五時七分散会